2019年07月19日

幸せホルモンと呼ばれるセロトニンという化学物質は、脳内で働く場合には「神経伝達物質」であって、ホルモンではない。


「大隅典子(東北大学教授)著:うつ病とセロトニンに新設、DNAスイッチという新機能、週刊ダイヤモンド、2019.6.15」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.幸せホルモンと呼ばれるセロトニンという化学物質は、脳内で働く場合には「神経伝達物質」であって、ホルモンではない。ホルモンとは、細胞から分泌され、標的となる細胞が受け取ることで作用が及ぼされるような物質を指す。例えば、「甲状腺ホルモン」などが該当する。
2.セロトニンの新たな働きについて取り上る。セロトニンは1935年にイタリア・ローマのヴィツトリオ・エルスパーマーという楽理学者により発見された。名前の由来は、血清中に存在する、血管の緊張を調節する物質である。
3.体内でセロトニンは、タンパク質を構成するアミノ酸のトリプトファンから代謝されて作られる。ほとんどが腸の粘膜に存在し〔約90%)、残りは血小板〔8%)と脳(2%)に存在する。脳内で働くセロトニンは、脳幹と呼ばれる部分の神経細胞で合成されたものであり、腸で作られたセロトニンが脳に直接作用することはない。これは、脳血液関門を通過できないからだ。脳幹でセロトニンを合成する神経細胞は、大脳皮質や海馬、視床下部など広範な領域に長い神経のケーブルを延ばして、睡眠、体温調節などの生理機能に関わることが知られている。
4.セロトニンが幸福感に関係するといわれ理由は、抗うつ剤の開発の歴史にさかのぼる。50年代、抗精神病薬として開発された化合物が、統合失調症よりもうつ病に効くという臨床的な事実から、その薬理作用が調べられた。そして、セロトニントランスポーターの再取り込みを阻害することによって効果を示すと考えられた。
5.神経細胞と神経細胞のつなぎ目の部分であるシナプスと呼ばれる隙問に放出されたセロトニンが、トランスポーターの阻害作用によって長くとどまるという。そこで、この抗うつ剤の薬理作用から、うつ状態にある人の脳内ではシナプスにおけるセロトニンの濃度が低下し、セロトニン受容体にセロトニンが作用しにくい状態となって、うまくセロトニンの作用を発揮できないのではないかという、うつ病の「セロトニン仮説」が浮上した。「セロトニンは幸せホルモン」という言説は、セロトニン仮説の裏返しとして生.まれたものである。選択的にセロトニンの再取り込みを抑える薬剤〔SSRI〕の開発が進んだ。米国で88年にSSRIの一種であるフルオキセチンが市販されると、瞬く間に抗うつ剤市場を席巻することになった。
6.加えて、96年にセロトニン仮説を支持する画期的な論文が発.表された。それは、セロトニントランスポーター遺伝子の遺伝子型.が、抑うつ状態に関係するというものである。遺伝子の一部が短い「S型」が、父方、母方由来の2本の染色体に存在する「SSタイプ」だと、長い「L型」を保有する場合よりも、うつ傾向が強いことが指摘された。これは画期的な研究成果として受け止められ、うつに関するセロトニン仮説はさらに強化された。つまり、うつ病の発症機序やSSRIの作用自体が十.分に理解されているとは言い難いものの、シナプスのセロトニンの濃度を高く保つことによって、抗うつ効果があると誰もが信じてきた。
7.今年の大型連休中に、この仮説に一石を投ずる論文.が米国精神医学雑誌に発.表された。それは、うつ病のリスクに対するセロトニントランスポーターをはじめとする遺伝子型の効果は、これまで信じられてきたほど大きいわけではないという内容である。6万人から44万人規模の臨床データを450報も精査した結果である。
8.だが、これは「うつとセロトニンは関係ない」という意味ではない。SSRIなどの薬剤が、他の効果を持つ可能性は残されている。3月末、英科学誌「ネイチャー」に、革新的な研究成果が報告された。それは、セロトニンにはシナプスで働く神経伝達物質としての古典的な作用だけでなく、「エピジエネティック」な働きがあるかもしれないというものである。エピジェネティクスについては、遺伝子の情報には塩基配列(A、T、G、C〕に加えて、それを上書きする作用を持つ化学修飾がある。例えば、DNAのシトシンにはメチル基がくっつく。
9.こうした化学修飾が遺伝子の作用を制御することは、「DNAスイッチ」と呼ばれることもある。DNAの本体に加え、二重らせんの鎖をコンパクトに収納するための糸巻きのようなタンパク質のヒストンにも、さまざまな化学修飾が存在する。これまで、メチル化、アセチル化、ユビキチン化などが知られていたが、セロトニンもヒストンタンパク質に結合することによって、スイッチとしての作用をもたらすというのである。米国のマウントサイナイ医学校やその他多数の研究室による共同研究では、ピストン3タンパク質の5番目のグルタミンの部分に、セロトニンが結合することを見いだした。
10.このような修飾を受けたヒストンは、確かに脳と腸に多いことも分かった。そして重要なことだが、セロトニン化されたピストンが存在するゲノム領域では、遺伝子のスイッチが入りやすい状態になっている。つまり、セロトニンは神経伝達物質としての古典的な機能に加え、細胞の中で遺伝子の働き方を調節するという新たな機能を持つのかもしれない。今後、他の研究室の検証を待つ必要はあるが、セロトニンが脳内で重要な物質であることに変わりはない。


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池上湖心 プロフィール
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大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
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(於:稲毛ギャラリー)
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