2019年07月30日

日本は、平成の30年間、眠り続け、まだ眠っている。今のこの瞬間にも、世界との距離は拡大している。


「野口悠紀雄著:日本の劣化を阻止できるか? 週刊ダイヤモンド、2019.6.22」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.このところ日本の劣化を告げるニュースが相次いでいる。「日の丸液晶プロジェクト」であるジャパンデイスプレイ(JDI)が危機的な状態になった。これはソニー、東芝、日立製作所が進めていた液晶事業を統合して2012年につくられた組織である。経済産業省主導の産業革新機構(現INCJ)が2000億円を出資し、国策再生プロジェクトとしてスタートさせ、中小型液晶パネルを生産している。
2.その経営が行き詰まった。5月15日に発表された18年度の連結業績では、売上高は前年度比11・3%減で、営業損益や当期純損益はマイナスだった。自己資本比率は、0・9%と債務超過寸前である。1000人規摸の早期希望退職者の募集や、役員報酬と管理職の賞与の減額などを予定している。
3.4月12日には、台湾のパネルメーカーや中国の投資ファンドなどで構成される台中3社連合から、800億円の金融支援を受けることで合意したが、これが頓挫しそうである。台中連合のうち、中国ファンドの嘉実基金管理グループが支援に慎重な姿勢を示しているためである。同グループはJDIの経営に懸念を強めており、台湾2社も様子見に転じている。
4.合意後にもかかわらず支援の手続きが進まないのは、JDIの主力であるスマートフォン向けパネルの事業環境が悪化しているためである。液晶は、半導体と並んで日本の強さの象徴であり、お家芸の技術とされていたものであるが、このような状態になっている。
5.JDIの問題は、官主導経営の失敗だと批判されることが多い。官主導の再建に問題があることは、間違いない。官主導ファンドがこれまで手掛けた再生プロジェクトで、大きく成功した例はない。企業救済を目的とする官製ファンドとしては、03年に経済産業省が主導して産業再生機構がつくられた。09年には産業革新機構が設立され、企業の重複事業をまとめることによって革新をもたらすとされた。しかし、それら官民ファンドは企業を再生させることはできなかった。特に、エルピーダメモリの失敗が目立つ。これは、日立製作所、NEC、三菱電機のDRAM半導体部門を統合したものだった。日本唯一のDRAMメーカーで、DRAMで世界第3位だった。しかし、12年2月に会社更生法の申請を行い、製造業として戦後最大の負債総額4480億円で経営破綻した。JDIは、エルピーダと同じ経路をたどろうとしている。
6.今、必要なのは、製造業の世界的な構造変化に対応することである。数社の事業を統合して重複を除くというようなことではない。エルピーダやJDIが成功しなかったのは、こうしたことでは対応できないほど、世界の製造業の基本構想が変わったからである。それにもかかわらず、官庁が指導して決める再建は、これまでの日本的ビジネスモデルと産業構造の維持を目的にしてきた。だから、変革が実現できるはずはない。このような体制が、日本の産業構造の変革を阻んできた。
7.半導体事業や液晶事業の不振のもともとの原因は、日本のメーカーの新製品開発能力が低下し、競争力のある製品を作り出せなくなったことである。JDIの売上高も、iPhoneの出荷台数の成長とともに増大していた。と
ころが、16年以降、iPhoneの出荷台数の成長が止まり、さらに、iPhoneがパネルに有機ELを採用し始めた。しかし、JDIは有機ELの準備が全くできていなかった。こうしたことの結果、売上高が激減した。
8.エルピーダメモリの場合も、DRAMはもともと付加価値の低い製品だった。半導体では、経営者が大規摸投資を決断できなかったことがその後の不振の原因といわれるのだが、液晶の場合には、大規模な投資をした。特にシャープはそうで、「世界の亀山モデル」といわれる垂直統合モデルを展開した。しかし、結局は台湾の鴻海精密工業の傘下に入った。厳重な情報管理をして液晶の技術を守るとしていたのだが、今になってみれば、液晶はコモディテイでしかなかった。
9.こうした経緯を見ても、基礎開発力こそ重要であることが痛感される。しかし、その分野で日本の立ち後れが目立つ。文部科学省の「令和元年版科学技術白書」は、基礎研究の現状分析を行い、日本の国際的地位が低下していることに危惧を表明した。同白書によれば、日本の論文数は04〜06年にはアメリカに次ぐ世界2位だったが、14〜16年には中国とドイツに抜かれて同4位になった。重要な論文の数では、04〜06年には世界4位だったが、14〜16年には中国やイタリア、フランスなどに抜かれて同9位に落ちた。
10.同じような傾向が、スイスのビジネススクールであるIMDが発表する「世界競争力ランキング」にも見られる。5月28日に発表された19年版では、日本の総合順位は30位になった。首位はシンガポール、以下、香港、アメリカと続く。アジアでは、中国(14位)、台湾(16位)、マレーシア(22位)、タイ(25位)、韓国(28位)が日本より上位だ。18年9月26日に、Times Higher Education(THE)が、19年の「THE世界大学ランキング」を公開した。1位がイギリスのオックスフォード大学、2位が同ケンブリッジ大学、3位がアメリカのスタンフオード大学だった。前年30位だった中国の清華大学が22位に躍進した。前年までアジアの大学で首位だったシンガポール国立大学は23位になった。こうした中で、東京大学は順位を4つ上げたものの、42位にとどまっている。京都大学は65位である。
11.日本の劣化は目を覆わんばかりである。この現状をどうしたらよいのか。本当は、選挙の前に議論が行われるべきである。与野党が提案を出して、選挙でその是非を問うべきである。それだけではなく、貿易問題や金融政策の問題、あるいは社会保障の問題についても、論争が行われるべきである。しかし、現状では、こうした問題が選挙の争点になることなど、とても考えられない。今の政権に、基本的な経済政策を選挙の争点とする意図は全くない。アベノミクスの第3の矢といわれた「成長戦略」も、最近はいわれなくなった。
12.政府にその気がないなら、野党やマスメディアが政策論争を提起すべきだ。しかし、そこからも政策論争の火ぶたは切られていない。こうなってしまう基本的な理田は、多くの国民が、今の日本の状況に対して危機感を持っていないからである。危機感を持っただけで事態が良くなるわけではない。だが、変える必要があるという意識が高まらなければ、現実が変わるはずはない。日本はもう、成長を目指さなくてよいという意見もあるが、成長しなければ、劣化はさらに進む。日本は、平成の30年間、眠り続け、まだ眠っている。今のこの瞬間にも、世界との距離は拡大している。


yuji5327 at 06:18 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
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