2019年08月02日

日本で、グローバル企業を経営できる人材が出てこないのは、教育の問題である。日本国内では優秀でも、複雑なグローバル企業をマネジメントするのは、次元が異なる。

大前研一 世界の潮流2019〜20
大前研一
プレジデント社
2019-04-30

「大前研一著:世界の潮流2019〜20、プレジデント社、2019.4.30」は参考になる。「プロローグ」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.平成というひとつの時代が終わろうとしている。2018年の1年間を振り返ると同時に、日本の平成30年を総括する。アメリカのドナルド・トランプ大統領は1年もたずに失脚すると予想したが、これに関しては、はずれたことを、お詫びする。
2.20世紀には「西欧型民主主義国家」というひとつの理想の姿があり、先進国はみなこの理想を実現するため邁進した。日本も欧米に追いつけ追い越せと工業化を進め、政治システムなども欧米を手本に整備を進めてきた。その結果、戦後の高度経済成長という果実を手に入れた。
3.21世紀になって進化したテクノロジーが世界中に広がると、西欧型民主主義国家が誰にとっても目指すべき究極のゴールとはいえなくなってきた。この流れを加速したのがインターネットとスマートフォンである。とくに、スマートフォンというエコシステムの登場である。スマートフォンは、iOSとアンドロイドという2つのOSが大部分を占める。それまではある地域に進出しようとすると、その地域に適合するようビジネスのやり方やシステムをその都度変更しなければならなかったため、たいへん時問がかかりハードルも高かった。
4.ビジネスがスマホセントリックになってからは、ある国のAという地域でうまくいけば、世界中のどの地域でも、同じやり方でそのサービスを提供できるようになった。UberやAirbubが一気に世界を席巻したのも、トリックのビジネスモデルだったからである。これは、技術による経済のボーダレス化ともいえる。
5、このようなテクノロジーの進化は、国際的な協調よりも自国の利益優先という風潮を生み出し、その結果として独裁型のリーダーが人々の支持を集めるようになってきた。以前から独裁国家は存在したが、それは一般的に、民主主義が機能していないがために独裁者の登場を阻止できなかったが、21世紀の独裁者はそうではなく、アメリカのトランプ大統領のように、民主的なプロセスを経て国民から選ばれたリーダーである。そのアメリカが、自らが主導しつくりあげてきた国際秩序を、自分の手で壊し始めている。
6.アメリカの国際政治学者イアン・ブレマーは、2012年に出版した「Gゼロ後の世界:主導国なき時代の勝者はだれか」の中で以下のように主張している。第二次大戦後の世界はアメリカと旧ソ連のG2がずっと覇権を争ってきたが、1991年に旧ソ連が崩壊すると、以後はアメリカが世界のリーダーとして振る舞うようになる。G7やG20も登場したが、実質的にはアメリカのG1状態が続いてきた。それが、21世紀になると、50年は続くと思われていたアメリカのリーダーシップが失われ、世界はGゼロとなった。イアン・ブレマーのいうGゼロよりも、むしろG-1(マイナス・ワン)という表現のほうが適当である。
7.テクノロジーの発展を背景に新興国が次々に台頭してきたことで、世界のバランスが崩れ、国家モデル自体も変容してきている。デジタル化により既存のビジネスモデルやスキームが一気に淘汰されるデジタル・ディスラプション。これが米中IT企業間のハイテク戦争によって加速化されつつある点も見逃せない。いまはこの流れが米中貿易戦争という間違った方向に行ってしまっている。いずれにせよ、このデジタル・ディスラプションは今後さらに勢いと破壊力を増していく。そうなると、当然人間のほうも変わらなければならなくなる。そこには学校教育のあり方や企業の人材採用の仕方も含まれる。
8.日本の場合は、その手前のグローバル人材の育成でつまずいてしまっている。ブルーチップと呼ばれるアメリカの優良企業のCEOの顔ぶれをみると、アメリカ人以外にもオランダ、ベルギー、デンマーク、イギリス、インド、台湾、中国といった国・地域の出身者が名を連ねている。ところが、日本人はといえば、日本発の企業を除けばその数は、ゼロである。日本ではグローバル企業の経営をきちんと遂行できるCEOは、ほとんど育っていない。
9.日本において、グローバル企業を経営できる人材が出てこないのは、ひとえに教育の問題である。いくら日本国内では優秀でも、複雑なグローバル企業をマネジメントするのは、次元が異なる要求である。世界のどこに行っても活躍できて、なおかつグローバル企業の経営もできる。さらに、デジタル・ディスラプションに柔軟に対応でき、コンピュータに代替できない能力をもっている、この二種類の人材を育てる教育が日本は明らかに遅れている。これが日本の、非常に重い課題なのである。
10.トランプ大統領就任以降に起こった現象で、人材と企業や資本が出合う場所が変化した。一旗揚げる機会を求めてヨーロッパからアメリカ大陸に移動してきた人々は、約170年前、カリフォルニアでのゴールドラッシュを機に東から西に向かって開拓を進めていった。21世紀に人ると、再び世界中から一擢千金を夢見る人たちが、西海岸のシリコンバレーに集まり始める。ビジネスチャンスのあるところに人が集まるという流れは自然である。ころが、プロフェッショナルが対象となるH・1ビザの発給要件をトランプ大統領が厳格化したことで、世界の有能な野心家たちはアメリカにいられなくなってしまった。
11・アメリカの大学で勉強したIT人材は、これまでは、アメリカの企業に就職したり、起業したりしていたのに、トランプ大統領のせいでこれができにくくなった。彼らは仕方なく中国やインドに帰っていった。優秀な人材が戻ってきたと、今度はそこに企業や資本が流れ込む循環が起こってきた。さまざまな分野でそれまでの常識が崩れ、新しい流れが生まれつつある。2018年は、そんな時代の転換点だった。


yuji5327 at 06:32 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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