2019年08月11日

宇宙で、ヒトの脳ほど複雑な構造物はない、地球上では、ヒトの脳がそのサイズの物体として最も複雑である。


「藤田一郎著(大阪大学教授):脳のネットワークの全貌解明挑戦はどこまで進んでいるか、週刊ダイヤモンド、2019.6.29」は参考になる。-.
1.宇宙で一番複雑な物体は難しいが、ヒトの脳ほど複雑な構造物はない、地球上では、ヒトの脳がそのサイズの物体として最も複雑であることに異論はない。860億の神経細胞から成り、そのそれぞれが数10個から数万個の他の神経細胞とつながり、接続部であるシナプスを介して情報のやりとりを行うやりとりを介して生じた神経細胞群の活動が、私たちの心と振る舞いをつくり出す。一つの神経細胞につながる神経細胞の数.の平均が100個であるとすると8・6兆個、もしも1000個であならば8.6兆個のシナプスを脳は持つ。いずれにせよ、とてつもなく膨大な要素から成るネットワークである。これらの神経細胞はランダムにつながるのではなく特定の相手と接続し、その粘果、特有の構造を持ったネットワーク(神経回路)を形成する。
2.電子回路の設計がコンピューターの機能を大きく左右するように、神経回路の構造が脳における情報処理を強く規定する。膨大な神経回路のどの部分が特定の心の出来事や行動に関係しているのか。それぞれの神経細胞において情報処理はどのようになされ、どんな神経回路がそれを可能にしているのか。私たちが成長し、年を取る過程でそれらの神経回路はどう変化していくのか。心の病はこれらの神経回路に何が起きた結果なのか。こうした問題はどれも重要な研究テーマである。
3.脳神経科学の研究は、多くの場合、これらの問題の一側面と脳の中のある一部との関係を調べている。しかしそのようなアプローチとは別に、神経回路全てを対象として、どの細胞が他のどの細胞とつながっているのかの全貌を明らかにしようという試みがなされている。神経回路の総体はコネクトームと呼ばれ、コネクトーム解明に取り組む研究分野はコネクトミクスと呼ばれる。オバマ前大統領時代に始まった米国のプレイン・イニシアチブ・プロジェクトの中核課題であり、類似プロジェクトは日欧でも推進されている。
4.ヒトのゲノム(DNA全体の塩基対配列)は2003年にその解読が完成した。塩基対の数は30億個あり、その中には、およそ2万2000の遺伝子(特定のタンパク質のアミノ酸配列を指定する塩基対配列)が含まれることが判明した。ヒトの脳のコネクトームは、それに比べて明らかにせねばならない対象の数が数桁多い。加えて、一つ一つの神経細胞と他の神経細胞との接続を明らかにするにはたくさんの技術的困難がある。
5.神経細胞同士の機能的接続を担うシナプスはその大きさが1μmにも満たないため、その有無を確定するには電子顕微鏡を使う必要がある。観察試料を電子顕微鏡で観察するには、50nm程度のスライス〔切片〕にする。たった1mm^3の脳組織であっても、その全てを観察するには、2万枚の切片を作製しなくてはならない。1枚の欠落もなく2万枚の切片を作製することは厳しい技術的要求である。
6.その1枚1枚の中に、神経細胞の細胞体、樹状突起、軸索、グリア細胞、血管内皮細胞などの断面がぎつしりと詰まっている。ショウジョウバエの神経系のある1断面3・5μm四方の電子顕微鏡写真を見ても、その複雑さが分かる。もし、1mm四方を観察しようと思えば、このような写真が8万枚以上必要である。そして、これらの写真に基づいて3D再構成を行うには、この切片のどの部分が上下2万枚の切片のどの部分につながるのかを決定する必要がある。
7.このような技術的困難から、1種類の動物を除いてコネクトームの解明は実現しておらず、マウスの網膜や大脳皮質視覚野、ショウジョウバエの視覚系で部分的な結果が報告されているにすぎない。コネクトームが解明されている唯一の動物はカエノラプディティス・エレガンスという種類の線虫である。体長1mmにも満たないこの動物も神経系を持っており、走性(化学物質や温度に誘引されたり、忌避したりする行動)や学習などの能力を持っている。先端から後端までの全てを切片にすることで、この動物が持つ302個の神経細胞がシナプスでつながっている全様相が1986年に明らかになっている。
8.「なんだ、線虫か」という声が聞こえるが、今のように大容量画像データを取り扱うデジタル技術が発達していなかった時代に、電子顕微鏡写真の巨人なブリントアウトに基づいて行った驚くべき研究である。ゲノムの令.解明もまた多細胞生物としては線虫が最初であり、その成功がヒトゲノムプロジェクトへの推進力となった経緯がある。
9.ヒトのコネクトーム解明に特有の技術的な制約は、脳を傷つけずに観察する方法しか適用できない。従って、現段階では、ずっとマクロなレベルの解析に力点が置かれている。用いられる代表的な方法は磁気共鳴映像(MRI)法であり、脳の活動を血液中のヘモグロビンの変化を見ることで計測する機能的MRI法や、水分子の拡散を見ることで神経線維の走行を可視化する拡散強調イメージング〔DTI)法などがある。DTI法で推定したヒトの脳の主.費な神経線維の走行は生きている人間に適用でき、比較的容易に計測ができる利点があるが、細胞レベル、シナプスレベルの解像度はない。
10.技術的なハードルを強調する話が続いたが、コネクトミクス研究の重要な拠点である米国ジャネリアファーム研究所の研究者からの私信によれば、25万個の神経細胞を持つショウジョウバエのコネクトームの完成が2年後に見込まれているという。いつになるかの予想はできないが、ヒトの脳のコネクトーム解明の日もきっと来るに違いない。


yuji5327 at 06:32 
新技術 | 健康
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





地域別アクセス

ジオターゲティング

ジオターゲティング
livedoor プロフィール

yuji5327

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード