2019年08月16日

中国からアメリカへの輸入品は、アメリカ企業が中国に生産を委託したもの、アメリカ企業が中国に進出して生産したものだから、アメリカ人の雇用を奪っているというのは間違い。

大前研一 世界の潮流2019〜20
大前研一
プレジデント社
2019-04-30

「大前研一著:世界の潮流2019〜20、プレジデント社、2019.4.30」は参考になる。「第3章 G-1=Me First 世界をかき回すトランプ問題」の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる
1.アメリカは、現在中国と貿易戦争の真っ最中である。2018年7月、トランプ大統領は中国に対し約5000億ドルの輸入品に関税を課すと宣言、これまでその50%にあたる約2500億ドル分に25%の関税を課した。一方、中国も報復措置として、アメリカからの輸入品約1500億ドルに対して同じく25%の関税を課すと宣言した。中国はアメリカに対しすでに約1100億ドル分の関税を課している。この不毛な争いの原因は、トランプ大統領の無知にある。彼はグローバル化の意味をわかっていない。いま起こっているグローバル化を定義するとすれば、消費者中心の世界最適化である。企業がそれらを追求して調達、製造、販売網の構築を世界規模で展開するのが、現代企業のグローバリゼーションである。
2.トランプ大統領は、中国がアメリカ人の雇用を奪っているというが、現実にはそんな事実はない。おそらく彼の頭の中にあるのは、1960年代後半の繊維から1980年代の電化製品や自動車にいたる日米貿易戦争である。たとえばAV機器では、ソニーやパナソニックだけでなく旧アカイ、ティアック、パイオニアといった日本メーカーが全米を席巻し、アメリカの同業者を駆逐してしまった。自動車でも、デトロイトの雇用が日本車によって奪われるといったようなことが、当時は実際に起こっていた。しかし、いま自分のブランドでアメリカに販売網をもち、製品を売りまくっている中国企業など、どこを探してもみつからない。唯一その力があるファーウェイは、すでにアメリカ市場から締め出された。
3.現在の中国からアメリカへの輸人品は、アメリカ企業がグローバル化の一環として中国に生産を委託したもの、もしくはアメリカ企業が自ら中国に進出して生産したものである。だから、中国がアメリカ人の雇用を奪っているというのは、間違いである。同じ輸入超過でも、かつての日本と現在の中国とではまるで異なっているが、トランプ大統領にはそれが理解できていない。グローバル化とは消費者中心の世界最適化なのだから、グローバル化ができなければ、被害を受けるのは消費者である。また、これまで中国でつくっていたものをアメリカで生産しようとしても、部品も雇用もないのでできない。最後はまた元の形に戻る。
4.アパレルのような産業であれば、中国のほかにもバングラディシュのような低賃金労働を供給できる国や地域が存在するので、そういうところに生産拠点を移すことは可能である。しかし、電気や電子部品となると、中国以外は考えられない。ベトナムはといわれても、広東省くらいの人ロしかない国の規模では、中国の巨大生産工場の代わりなど到底無理である。完全雇用に近いいまのアメリカでも、新たに100万人の雇用は絶対に生み出せない。
5.中国製品に追加関税をかけると、関税収人が最大10兆円程度増える。国内物価も上昇するのでアメリカ国民にとっていいことは何もないが、濡れ手に粟で10兆円の歳人増を手にするアメリカ政府は笑いが止まらない。トランプ大統領がそこまで考えて、中国からの輸入品に追加関税を課したのであれば、彼を見直すが、その心配はない。このトランプ大統領の仕掛けた貿易戦争を受けて立つ形で、アメリカからの輸入品に対する追加関税で応酬する中国は、あまり賢明ではない。中国が対抗措置をとれば、ディールに勝つというのがトランプ大統領の目的だから、さらなる強硬手段に出てくる。ファーウェイやZTEなどの中国のハイテク企業が叩かれるのも無理はない。中国は報復を行うよりも、輸入超過が生じるアメリカの構造的な問題を冷静に指摘すればよい。
6.トランプ大統領にも習近平国家主席にも理解できるよう、現在のグローバル経済の仕組みを説明すると、第1フェーズは18世紀後半から19世紀にかけてで、国民国家の誕生と同時に始まったこの時代の国家間の貿易は、イギリスの経済学者デヴィッド・リカードが提唱した「比較優位の原則」に基づいて行われていた。これは、ポルトガルであればワイン、英国のヨークシャーであれば毛織物というように、それぞれの国が生産性の高い分野に特化し、それ以外のものは輸入で賄うようにすることで、全体の利益が高まるという考え方である。
7.このとき問題になるのは通貨の交換レート(為替レート)であり、これは長らくリカードや、スウェーデンの経済学者グスタフ・カッセルの購買力平価説に支配されてきた。同じ品物が、A国で買うと通貨Aが100単位、B国だと通貨Bが150単位だとすると、通貨Aと通貨Bの為替レートは1対1.5の逆数となる。
8.第2フェーズは20世紀の、先進国が自国の工業製晶を世界中に売る輸出モデルである。ただし、ここでは常に人件費の高騰が問題となる。アメリカの繊維業を例に挙げると、最初はニューイングランドが中心だったが、業績の向上につれて賃金が上昇すると、より安価な労働力を求めて東部のアパラチアの山の中に移っていった。ところが、さらに人件費の安い日本製の低価格綿製品が輸入されるようになると、ついにアメリカの繊維業は競争力を失ってしまう。時の米ニクソン政権は、安価な日本製品の輸入増加により、国内の繊維産業が衰退し雇用が失われていると、日本に対し繊維製品輸出の自主規制を要請した。ここから20年に及ぶ日米貿易戦争が始まった。最後は、日本がアメリカ側の要求を全面的にのむ形で、日米繊維交渉は決着するが、このときにはすでに日本の繊維業も競争力が弱まって、世界貿易の主役は台湾や韓国に移ってしまっていた。しかし、この両国の賃金もすぐに上昇し、その後はインドネシア、中国、さらに現在はバングラディシュなどへ主役が移ってきている。
9.第3フェーズは、20世紀終盤の、国境を越え世界の最適地でつくったものをお客さんのいるところにもっていくグローバル企業の登場である。旧ヒューレット・パッカードはアメリカ企業だが、PCやプリンタをつくっているのは中国である。かつて大前氏が社外取締役を務めていたナイキも、アメリカでつくるのは試作品だけで、製品の製造拠点は、ベトナム、インドネシァ、中国などだった。アップルのiPhoneやiPadも、鴻海の深圳や成都の工場から出荷されている。この第3フェーズは、アメリカの圧勝だったといっていい。
10.第4フェーズは、21世紀のサイバー経済である。代表的なのがFAANGと呼ばれているフェイスブック(Fcsbook)、アップル(Apple)、アマゾン(Amazon)、ネットフリックス(Netflix)、グーグル/アルファベット(Google/Alphabet〉といったIT企業である。ただし、これらのサイバー企業の業績は通関統には出てこない。ネットブリックスであれば、ユーザーはどこにいてもインターネット回線を通してドラマや映画を観ることができ、決済はクレジットカードである。役人が港の税関に座って計量しようと待っていても、そんなところは通らないから無理である。この第4フェーズも、アメリカのひとり勝ちである。時価総額世界トップ10社のうちアメリカ企業が8社を占める、このいまの経済のどこに文句があるのかと、世界はトランプの認識不足をもっと突くべきである。
11.第5フェーズは、21世紀のeコマースである。強いのは中国で、とくにC2C2CまたはC2B2Cの領域では、中国が明らかに先行している。スマートフォンの普及に伴い、中国では買い物をする場所が実店舗から、完全にeコマースに変わった。毎年11月11日の独身の日には、ECサイトが一斉にセールを行う。


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
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