2019年09月03日

財務省は新紙幣をつくろうとする。新しいお札は、さまざまな偽造防止の仕掛けがあり、結局、キャッシュレス社会に逆行し、財務省と経済産業省は方針が違う。

「池上彰著:
知らないと恥をかく世界の大問題10、角川新書、2019.6.10」は参考になる。「第6権憲政史.h最長政権へ。安倍政権は日本をどこへ」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.東京工業大学が、入学する学生の授業料を値上げした。年額53万5800円の授業料を9万9600円(18・6%)値上げし、63万5400円にしたる。将来は、日本の大学の授業料が3倍になるという予測もある。理由は国の補助金が減らされているからである。
2.ひどいことになっているのはアメリカである。30年前から学生獲得競争が過熱しているアメリカでは、学生を獲得するために教育よりも施設を豪華にしている。たとえばアリゾナ大学の学生寮はベランダにバスタブがあり、屋上にはプール完備。ボストン大学の学生寮は26階建てのタワーマンション。ミシガン工科大学はスキー場を所有しており、学生は学割で滑れる。ルイジアナ州立大学は巨大なレクリエーション施設があり、白由に使うことができる。流れるプール、トレーニングジム、ランニングコースにボルダリング施設まである。
3.これら最高の環境が逆に学生たちを苦しめている。こうした施設への投資が続いた結果、授業料が高騰している。アメリカの大学の授業料は30年前の3倍になっている。年間平均授業料は日本の私立大学で約88万円なのに対し、アメリカは約400万円である。アメリカでは、大学の学費を親に出してもらうことはない。年間400万円とか600万円とかの学費を学生ローンでまかなう。私立大学生の75%が学生ローンを利用しているので、卒業生を含む60万人が2000万円以上の借金を抱えている。家賃が払えずに「ホームレス大学生」になる人も急増している。地獄を味わうとわかっているのに、彼らはなぜ大学へ行くのか。それは、大学へ進学しなければいい職に就けないからである。少しでも豊かな生活を送るには、学位が必要という。いずれ日本もアメリカのようになるかもしれない。お金がある家の子はいいが、貧困家庭では大学へ通えず、ますます格差社会になる。次の日本を背負う世代をどう育てていくのか考えなくてはならない。こへP
4.2018年には明るい話題もあった。ノーベル生理学・医学賞に、京都大学特別教授の本庶佑さんが選ばれた。がんの新たな治療に関わる研究が評価された。本庶さんは、がん細胞と戦う免疫細胞にブレーキがあることを発見した。がん細胞がそのブレーキを踏み、免疫細胞からの攻撃をかわしていた。そういう仕組みがわかったので、ブレーキがかからないように蓋をしてしまえば、がん細胞が免疫細胞を止めることができず、活発にがん細胞をやっつけることができる。こうした治療法を発見したことが、新たながん治療薬の開発につながった。本庶さんは、がん細胞の仕組み、免疫細胞とは?、と、ひたすら研究を続けていた。根本のことを考える基礎研究である。本庶さんは受賞後、あらためて欧米に比べて少ない基礎研究への投資の必要性について訴えた。「自動車とか、IT(情報技術)とか、そういう産業が国を支えているが、なんといっても生命科学、ライフサイエンスに投資しない国は未来がない、と本庶さんは言う。24人目のノーベル賞の受賞者を輩出し続ける日本は、毎年のように受賞をしているのは、30年前、40年前の研究の成果である。日本はそのころ、基礎研究にお金を投資していが、いま、国立大学法人運営費交付金は1%ずつ減り続け、2004年から1%、後は自分で何とかしなさいという。いま全国の研究者たちが科学研究費の申請書を書くのに追われている、助手も雇わなければいけないし、研究者たちはみんな科研費を取ることに一生懸命で、研究をする暇がない。申請すれば必ずお金がもらえるわけでもない。
5.一方で、研究費をどんどん増やしている国は、中国で、研究費を出すからと勧誘され、いま日本の研究者が、研究室の人たちと丸ごと中国へ移ったりしている。この分だと、20年、30年後のノーベル賞受賞者は中国の研究者ばかりになってしまう。基礎研究は何の役に立つかわからない。そんなものにお金を出すのはもったいないと思ってしまうが、アルフレッド・ノーベルが発明したダイナマイトも偶然の産物である。
6.キャリア官僚を志望する東京大学の学生が減っている。2018年は霞が関の官僚に厳しい視線が向けられた。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の不正には驚いた。統計でウソをつく法という本には、「平均」や「相関関係」など、もっともらしい統計の発表があると人は簡単に信じるが、実は疑わしい。数字を駆使すれば人を騙すことができると注意を喚起している。厚生労働省は、労働者の賃金などを調べる統計で勝手に調査対象となる事業所の数を減らしていた。安倍首相は、アベノミクスの成果により給料が上昇している、と強調していたが、これは統計のミスを隠そうとこっそり正しい算出方法にした修正の成果だった。毎月勤労統計調査とは、雇用や賃金、労働時間などの変動を把握するための調査で、従業員500人以上の事業所についてはすべて調べるルールになっている。500人未満の事業所は抽出調査で、基幹統計調査といって、断ることはできない。500人以上の事業所は全国に約5000ある。東京都内には約1400。この1400について、東京都で調べなければならないのに、厚生労働省は2004年から約3分の1だけを抽出して調べて、全事業所を調べたように装っていた。本来はもっと給料が高い会社も含めて平均を出さなければならないのにむしろ低く出た。低く出ると雇用保険が、本来支払う額よりも少なく支払われた。約2000万人が本来もらえる額より少ない額が支給されていて、その総額は約538億円にのぼる。
7.2007年5月に発覚した「消えた年金」騒動で、厚生労働省の特別監察委員会が報告書をまとめて発表。「組織的隠蔽はなかった」と発表した。この特別監察委員会は、外部の有識者が入った第三者委員会と言っていたのに、実態は、外部の有識者が同省部局長級、課長級職員から聴取した人数は12人。特別監察委員会の前身の監察チームによる聴取も含めた対象37人のうち、同省職員のみでの聴取は25人にのぼった、身内が、なるべく穏便に済ませたいと思っている人が調べて「組織的隠蔽がありました」などという報告になるわけがない。今後は、未払いの人を見つけ、一人ひとりに追加の支給をするが、そのためには当然、莫大な時間と費用がかかる。
8.毎月勤労統計調査の間違いの結果、給与水準の数字はずっと低いよまに抑えられていた。2018年6月に突然ポンと数字が跳ね上がったので、おかしいと思った専門家が調べた結果、今回の不正が発覚した。つまり専門家は、名目賃金の仲び率が前年同月比3・6%増。21年5カ月ぶりの高い伸び率というところに、疑問を持った。厚生労働省がこれは間違いだと気づいてこっそり修正したことで名目賃金が上昇した。この調査を基に政府が、賃金が上がったのはアベノミクスの成果、と強調したので、アベノミクス偽装などと言われた。給与水準は前から高かった。統計は正しい数字で当たり前と思われてきたので、それほど重視もされなかった。人員を削減しようと、統計を扱っている部署の人が減らされたという背景があるとはいえ、統計とは、国の状態を客観的に知るためのものであり、国がさまざまな政策をつくる根拠となるものである。安倍政権は、景気が良くなってきているから消費税率を上げても問題ない、と言っていたのに、そもそも間違ったデータを基に消費税率を上げられては、国民はたまったものではない。加えて、中国のGDPなんて信用できない、中国の経済統計はデタラメ、などと、もう日本は中国をバカにできなくなった。今回、政府統計で不正が見つかったことで、日本が信用できない国になったと思われても仕方がない。
9.2019年10月から消費税率が10%に引き上げられる予定です。消費税率を10%に引き上げるにあたっては、併せて軽減税率を導入することが決まっている。軽減税率とは、消費するものを「生活必需品」と「ぜいたく品」に分け、生活必需品に関しては、標準税率よりも低い税率を設定するというものである。なぜなら、消費税は所得が多い少ないにかかわらず、すべての人にかかるからである。低所得者層ほど家計に占める生活必需品の割合が高くる(逆進性という)ので、これを緩和する。つまり今回10%に引き上げられても、これまでどおり8%に据え置かれるものが混在する。この区別が難し。たとえばコンビニで食品を買う場合。最近のコンビニ店で、店の片隅のテーブルで食べると、税率は10%で(外食=ぜいたく)とみなされる。持って帰ると、税率は8%。食料品は軽減税率の対象である。不思議なことも起きる。寿司を店で食べれば10%なのに、出前なら8%である。今回、ややこしいのは、政府が軽減税率導入に合わせて中小の事業者対策として「ポイント還元」を導入したことである。クレジットカードや電子マネー、QRコードを利川して「キャツシュレス」で買い物をした場合、増税幅と同じ2%分などのボイントがもらえる。次回以降、このポイントを使って買い物ができる。対象は飲食料品に限らないため、高額の買い物をすればそれだけポイントが貯まる。これでは「金持ち優遇」である。軽減税率は複雑怪奇で、欧州の各国では、軽減税率縮小の勅きとなっているのに、これから導人するとは、日本は周回遅れという反対派も多い。
10.新元号に続き、新紙幣が発行されるという発表があった。1万円札が渋沢栄一、5千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎である。安倍政権はキャッシュレス社会を目指すと言っている。これを推進しているのは、経済産業省である。一方で、2019年10月から消費税率が10%になるが、こちらは財務省が推進している。財政のことを考えたら、消費税率を上げなければならない。増税すると、消費が落ち込んで景気が悪化すると、消費喚起のために「プレミアムフライデー」やポイント還元制度などを導入した。財務省は、キャッシュレス社会の推進や消費税増税に伴うポイント還元に不満を持ち、新紙幣の発行を発表した。キャッシュレス社会を進めたら、いまのお金はなくなる方向である。コストをかけて新しいお札にするという。財務省は、国立印刷局にお札をつくるプロ集団を抱えている。造幣技術が伝承されなくなるのを避けたい。定期的に最新の偽札防止技術を入れて新しいお札をつくりたいという思いがある。経済産業省が、「世の中からお金を失くしましょう」と旗を振っているのに、財務省が「元号も変わることだし、新紙幣をつくろう」と対抗する。新しいお札はデザインもおしゃれだし、さまざまな偽造防止の仕掛けがされている。結局、キャッシュレス社会に逆行することになりかねない。財務省と経済産業省は、方針が違って火花を散らしている。


yuji5327 at 06:34 
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
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・一般:火曜日、水曜日





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