2019年09月08日

リブラは電子マネーではなく、仮想通貨である。既存の金.融システムに依存することなく独立の通貨圏を形成できる。

「野口悠紀雄著;仮想通貨リブラは貨幣国家管理への挑戦、週刊ダイヤモンド、2019.7.20」は興味深い。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.Facebookが発行を計画する仮想通貨リブラを巡って、世界的に大議論が巻き
起こっている。アメリカ下院金.融サービス委員会のマキシン・ウォーターズ委員長は、リブラの開発計画を停止することを求める声明文を公表した。イングランド銀行のマーク・カー二ー総裁は、「金.融システム上の重要性を持ち得る」と述べ、「高い基準の規制が必要」とした。
2・20力国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議でも問題提起された。7月にフランスで開催される先進7力国(G7)財務大臣・中央銀行総裁会議において、各国における対応方針を報告するよう、G7各国の中央銀行総裁に対して要請が出された。国際決済銀行(BIS)は、6月23日に年次経済報告書の金融におけるIT大手に関する章を公表した。大手プラットフォーム企業の事業が過去20年間に急拡大し、ビッグデータの利用が経済を変えたと指摘。また、リブラが規制当局や中央銀行の注目を集めているとし、協調して規制する必要があるとした。リブラは、ドルなどに対して価値を安定化させるとしている。それが実現すれば、リブラへの資本流入が発生する可能性があるので、その国にとっては大きな脅威になる。人民元への影響も考えられる。
3.日本人にとつても、日本銀行券よりリブラの方が便利であるばかりでなく、長期的円安傾向から免れる価値が安定した支払い手段になる。そうなれば、日銀は金融緩和政策をいつまでも続けることはできなくなる。
4.リブラについて多くの人が注目しているのは、その規模が極めて巨大になり得ることである。そのために、上記のような問題が生じると考えられている。確かに、Faebookの利用者は全世界で24億人とか27億人といわれているので、これらの人が全てリブラを使えば、現存するあらゆる通貨圏より大きなものが実現する可能性がある。
5.しかし、次の点に注意する必要がある。第1に、電子マネーであれば、利用者が10億人を超える規摸のものは、すでに存在する。中国のアリペイもウィーチャットペイも、利用者数は10億人程度といわれている。大手プラットフォーム企業が電子マネーを運営すれば、この程度の規模のものは実現できる。だが、電子マネーは銀行システムの上に築かれているので、独自の経済圏をつくることはできない。これは、端的に言えば、銀行預金からの引き落としを簡単にする仕組みにすぎな。
6.重要なのは、リブラは電子マネーではなく、仮想通貨であることである。既存の金.融システムに依存することなく通貨をつくり出し、これをブロックチェーンと呼ばれる仕組み(リブラの場合には、リブラ・ブロックチェーン)で運営する。このために、既存の金.融システムとは独立の通貨圏を形成できる。だからこそ、資本流入や金融緩和政策への影響など、さまざまな問題を引き起こし得る。
7.また、リブラは電子マネーと違って、誰でも簡単に受取人になれるし、受け取ったリブラを他の支払いに充てることもできる。この特性によって、インターネット上のマイクロペイメント(少額資金.の支払い)が簡単に行えるようになる。最初に登場した仮想通貨であるビットコインはこうした役割を担うと期待されていたのだが、投機によつて価格が高騰して送金手数料が高騰したため、決済・送金用に使うのは難しくなっった。ビットコインの送金手数料は価格にリンクしている。
8.価格が安定した仮想通貨は、ステーブルコインといわれる。これまでさまざまな試みがなされてきたが、満足できるものは存在しない。リブラは、それに挑戦するとしている。リブラの価格安定化が実現すれば、投機の対象となって手数料が高騰するようなことはない。また、受け取り側としても、価値の下落を恐れる必要がなくなるので、安心して受け取れる。リブラは、ビットコインが行おうとして実現できなかったことを実現できる可能性を秘めている。
9.なお、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のMUFGコインなど、日本のメガバンクが発行を計画している仮想通貨も、リブラと同じような役割を担おうとしている。これは日本国内の利用者を主として想定するものだが、どちらが主要な存在になるのかが注目される。
10.人々は、有名企業が参加している「リブラ協会」にも注目している。これは、リブラを運営する団体だとされる。しかし、リブラの信頼性は、これらの企業によって支えられているのではない。重要なのは、リブラ・ブロックチェーンの信頼性が高いことである。
11.他方で、ブロックチェーンであるための問題もある。第1は、処理スピードである。ブロックチェーンでは、取引が確定されるまでに時間がかかる。ビットコインの場合、1つのブロック(取引のデータを記録する場所)は10分間の取引をまとめているので、取引は、10分間は確定できない。多くの人々が確定したと思っているのは、取引所との問の取引である。取引が確実になるには、さらに数ブロックの経過が必要といわれている。リブラ・ブロックチェーンではこれを短縮するだろうが、どの程度まで短縮できるのか、まだ分からない。ビットコインの場合には、ブロックのサイズが小さかったことが問題だった。改良はなされたが、まだ完全に解決されたとはいえない。
12.第2に、価格の安定化は簡単なことではない。電子マネーの場合はもともと現実通貨建てだが、仮想通貨の場合は、価格安定化のために発行量を調整する必要がある。以上はどちらかといえば技術的な問題だが、もっと本質的な問題もある。それは規制ができないことである。電子マネーは管理主体があるから、規制の対象となり得る。ところが、仮想通貨は、規制できない。ビットコインのブロックチェーンを運営しているのは、世界中に分散した「ノード」といわれるコンピューターであり、それらを規制することはできない。
13.人々が規制したと思っているのは、取引所であり、これはブロックチェーンのシステムの外にある組織である。そうした取引は、(インターネットそのものを禁止するのでない限り)規制できない。それが仮想通貨の本来の姿である。仮想通貨は、国が規制する」という仕組みへの基本的な挑戦である。リブラの場合には、最初は参加に許可が必要なブロックチェーンで発足するが、5年以内に誰もが許可なしにノードになれるシステムに移行する。そうなれば、規制はできなくなる。だから、マネーロンダリング、資金供与対策、脱税、不正取引といった問題には、基本的に対応できない。議論はリブラを規制しようとしているのだが、それは、本質を見ていない。この問題についてどうとらえるべきかは、国家存立の基本に関わる問題である。



yuji5327 at 08:54 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
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