2019年09月09日

米国と中国の対立は経済貿易面だけでなくハイテク分野、5Gにおいても熾烈である。


「遠藤誉(筑波大学名誉教授):ファーウェイの実像、逆境で成長、中国初の世界企業に、米制裁で縮まる政府との距離、週刊エコノミスト、2019.7.16」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米国と中国の対立は経済貿易面だけでなくハイテク分野、特に次世代通信を中心とした社会インフラを担うとされる5Gにおいても熾烈を極めている。米中覇権争いは、中国最大の通信機器メーカー、華為技術〔ファーウェイ)を巡って最初の山場を迎えた。ここでは同社が米国の排除を受けてもなおへこたれない理由と中国政府との癒着度を考察する。
2.ファーウェイは1987年に中国の広東省深圳市で、約30万円ほどの資本金を数人の仲聞でかき集めて誕生した民間企業である。83年から85年にかけて小平が100万人の中国人民解放軍をリストラしたのだが、その中の一人に創業者の任正非氏がいた。文化大革命(66〜76年)により中国は経済的に壊滅的な打撃を受け、78年12月に改革開放を断行。そのような中、79年2月17日に中越国境紛争を中国側が起こした。3.ところが、ベトナム戦争で疲弊していたはずのベトナム軍を中国は打ち負かすことができず、わずか1カ月でけんか両成敗のような形で終戦。これにショックを受けた小平は、無駄に多い中国人民解放軍を100万人もリストラした。兵士の食いぶちに注ぐ軍費のゆとりもなかった。
4.このような時期に、たかだか香港の電話交換機の代理販売店としてスタ.ートしたファーウェイに、軍が支援金を出したりするはずがない。任正非氏は土木建築が専門で、軍隊時代も建築工程兵として働いていたに過ぎない。日本ではまことしやかに「創立当時、解放軍の絶大な資金援助があった」などと語られることが多いが、プローカーに資金援助する理由もないし、軍にはそもそもゆとりがなかった。だから任正非氏は数人の従業員とともに、夏は蚊に刺されながら、扇風機だけのぼろアパートで商売を始めた。
5.ファーウェイの特徴には、従業員持ち株制度と海外展開があるが、その原因は両方とも、中国政府にイジメられたことにある。電話交換機という当時の社会の二―ズの高さに目を付けたファーウェイは、創立後まもなく商売が上向きになり始めた。すると85年に同じく広東省深圳市に創立された国有企業の通信機器メーカー中興通訊(ZTE)の創始者である候為貴氏〔現会長)が任氏に対して激しいライバル心を燃やすようになった。任氏は44年生まれで、候氏は42年生まれ。ZTEは86年デジタル電話交換機を製造するようになっていたので、商売上でのライバルとなったことになる。
6.両者〔あるいは両祉)の闘いは、ちまたでは「30年戦争」と呼ばれるほど激しいものとなった。国有企業は中国政府そのもののような存在なので、候氏が中国政府にそっとささやけば、物事が自分の思う方向に動く。任氏も候氏に対抗心を燃やした。香港の電話交換機の代理販売しかしていなかったが、自分自身も研究開発に着手するようになった。そのためには資金が要る。ところが、候氏が中国政府側に「全ての銀行にファーウェイには融資するなと指示してくれ」とささやいた。それは見事に功を奏し、ファーウェイは1元の融資も受けることもできなかった。
7.そこで従業員にひざまずいて、「どうかお金を集めてきてくれ」と頼んだのが「従業員持ち株制度」の始まりである。1株-元から始まって、従業員が集めてくれた。何とかその資金を研究開発に注こうとしていた時、「待った」がかかった。89年の天安門事件で民主を叫ぷ若者に銃を向けることに賛同した当時の李鵬・国務院総理が、93年4月に「従業員持ち株制度を即刻禁止せよ」という国務院令を発布した。禁止しなければ任正非氏を逮捕すると言わんばかりの勢いだった。その任氏に手を差し仲べたのは唯一の「人民の味方」であった当時の朱鎔基・国務院副総理(後に首相)である。
8.朱氏は「3億人民元を貸す」と言ったのだが、任氏はそれを断わった。「政府が背後にあると自由がなくなるから」が理由だった。87年までの妻(孟軍、長女でファーウェイ副会長、孟晩舟の実母)の父親が四川省の高官(副省長)で、そのため解放軍をリストラされた後は、妻の父親の力で深圳にある石油関係の企業に職を得たが、妻が上司という関係だった。だから87年に離婚し、その会社を辞職してファーウェイを創立した。そのため任氏は、「バックに政府がいる」ことが大嫌いだった。
9.その結果、ファーウェイは海外に拠点を移していった。アフリカだろうがヒマラヤの山頂だろうと、ヨーロッパの寂れた古い街だろうと、誰もが行かない、見向きもしないところを求めて基地局を建て、信用を得た国あるいは地域の金融機関から融資をしてもらった。ファーウェイの今日の繁栄をもたらしたのは、たしかに「中国政府」である。ただし、「中国政府によってイジメられたから」という意味において、ファーウェイの成長に中国政府は関わっている。今では世界170力国に進出しており、各国に拠点を設けている。国連加盟国が193力国なのでほぼ地球全体を覆っているとも言える。それを3G時代からコツコツと展開していったわけだから、4G時代の基地局もその延長線上でバージョンアップしており、それらをゼロから他のベンダーに変えるわけにはいかない。経費が掛かり過ぎる。だから米国と強い回盟関係にある日本、あるいは財政的によほどゆとりのある国以外では、ファーウェイの安全保障上の懸念に関しては、各国とも自国で検査する方針を取る傾向にある。10.米国主導のファーウェイ排除にやすやすとは乗らない。そうは言っても、トランプ政権から米製半導体の輸出やアプリなどのサービスまで禁止されたら、さすがのファーウェイもお手上げである。だが、そうはいかない理由は2つある。1つ目は2004年にファーウェイから分離した半導体ファブレスメーカーのハイシリコンが、米半導体メーカー大手クアルコム並みの半導体を設計する能力を持っているにもかかわらず、あえて自社製半導体で全てを賄わず、半分は米国をはじめとする世界各国の半導俸メーカーから輸入していたからである。その理由に関して任氏は今年5月の世界各国の取材に対して「孤立するのを避けるため」と説明している。
11.早晩、米国とは「山頂」で激しい競争に出くわすことは分かっていたので、世畢市場に深く複雑に溶け込んで、いざという時には絡み合ったチェーンを切ることができないようにしていた。90年代、私は在米華僑華人たちを数多く取材した。その時の老華僑の言葉が忘れられない。「もう戦争はこりごりだ。中国共産党は嫌いだが、戦争はしてほしくない。そのために米国が中国とのビジネス・チェーンを切ることができないようにしておく。そうすれば米国は中国と戦争を起こすことはできない」「これこそが中華の知恵だ」。
12.任氏の手法もこの「中華の知恵」なら、習近平政権のグローバル戦略も中国が数千年の歴史の中で蓄えてきた「知恵」なのである。だから今年5月15日に米国が「エンティティー・リスト」の中にファーウエイおよびその支社を人れても、米インテルや米グーグルなどがいろいろと理由を探し出しては、結局は次々とファーウェイ排除反対側に移り始めている。
13.2つ目は「スペアタイヤ」を早くから用意していたということである。外部の企業との関係を深めつつ、それでも、いざ、どうしても孤立した時のためにファーウェイ以外には半導体を販売しないハイシリコンが、多くのスペアタイヤを用意していただ。大.量生産までには多少の時間がかかるだけで、生産の落ち込みは短期聞で回復できる。また、来年世に出るハイシリコンの「Kirin990」とそれが利用している英アーム・ホールディングスのCPUコアに関しては、実は永久ライセンスを持っているので大きな影響は出ない。
14.習近平国家王席は、米国からの猛烈な攻撃を受けて、日本に満面の笑みを向けるようになった。それは日本から大量にハイレベルの半導体が欲しいからであり、「中華の知恵」として生み出した一帯一路に日本を誘い込むためである。日米同盟の離間と米国へのけん制、そして中国への実利。全てを計算し尽くした中国の戦略に安倍首相はまんまと乗り、言論弾圧する一党支配国家である中国の世界覇権に手を貸している。世界トップの国が2番手の国からキャッチアップされそうになった時には、必ず2番手の国を抑え込もうとする。それがわな「トゥキディデスの罠」で、古代から戦争の原因と位置付けられてきた。日本は目先の利益に溺れ、大局を見失っている。なお、当初では中国人民解放軍とも中国政府ともつながっていなかったファーウェイは今、トランプ政権からの激しい攻撃を受けるに至り、中国政府との距離を非常に限りなく近づけていていることを警告しておきたい。


yuji5327 at 06:36 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
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・謙慎展(現在理事)
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