2019年09月10日

チタンは現時点ではレアメタルだが、イノベーションにより将来はコモンメタルになる可能性が高い。

「岡部徹(東京大学教授):レアメタルー資源の現況と今後の活用法、學士会会報No.934(2019-)」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.レアメタルは資源の枯渇や地理的偏在が不安視されているが、枯渇を危惧する懸念はない。むしろ、採掘・製錬技術の限界や各国の環境規制の差のために供給国が偏り、その結果、レアメタル輸入国は供給障害の危険に晒され、輸出国は環境破壊が深刻化していることが問題である。レアメタルのリサイクルが、今後ますます重要になる。
2.専門は、循環資源と材料プロセス工学である。具体的には、.船織鵑覆豹形悩爐寮渋ぅ廛蹈札垢粒発、電子材料用のレアメタル(ニオブ、タンタルなど)の製錬、レアメタルのリサイクル技術の開発である。資源や鉱山開発にも興味があり、世界中の珍しい鉱山と製錬所を訪ねるのが仕事である。
3.2006.年9月8日、日経新聞に「レアメタル、安定供給へ備蓄増強」という記事が掲載され、2012年10月10日には「レアアース、脱中国進む」という記事が掲載された。後者は中国がレアアースの対日輸出を禁止し、日本中がパニックになったことがきっかけで大きなニュースとなっていた。レアメタルも、今や大きく注日されている。
4、鉄、銅、鉛、亜鉛、銀、アルミニウムなどは広く普及し汎用金属で、「ベースメタル」「コモンメタル」と呼ばれており、これら以外の金属は「レアメタル」である。多数のレアメタルの中で、一部のグループが「レアアース(希土類)」と呼ばれ、これらは全部で17個の元素である。レアメタルとは、定義では、)簑⇔未少なく、資源的に希少な金属(白金族、インジウム、ガリウム、タリゥム、ジスプロシゥム、レニゥムなど、∋餮擦亘富だが、メタルを得るのが困難な金属(チタン、シリコン、マグネシウムなど。資源は豊富だが、鉱床の品位(=金属の含有率)が低い金属(スカンジウム、バナジウムなど)。す盻稘拇、特異な形態で優れた機能を発揮する元素(超高純度鉄、高純度非鉄金属など)、ゾ量・微量で特異な機能を発揮する元素(高付加価値を実現できる元素)、Δ海譴泙罵囘咾少なく、工業的には未開発の元素(オスミウム、アクチノイド、超高純度金属など)という定義が加わる。
5.レアメタルの生産と供給には、〇餮散ゝ訐約、技術制約、4超制約がある。,亘簑⇔未少ないことや地理的に偏在していること、△郎侶ゝ蚕僂妨続Δあり、深い地底や海底の資源を利用する技術、品位の低い鉱物を利用する技術、リサイクル技術、有害物の処理技術などが開発されていない、は先進国の環境規制が厳しいことを指す。レアメタルというと、「希少金属→枯渇」というイメージから、日本では多くの場合、,了餮散ゝ訐約だけが注目されて議論されるが、それは間違いで、今、採掘している特定の優良な鉱山が枯渇することはあっても、世界的にみれば、レアメタルそのものが枯渇する可能性は全くない。しかし、レアメタルは、その供給源の偏在性から、明日にでも供給障害に陥る可能性がある。レアアースは中国に、白金族金属は南アフリカとロシアなど、ごく少数の国が世界の供給の8〜9割を独占しているからである。とはいえ、白金族金属以外は、資源が偏在しているとは言えない。ほとんどのレアメタルは世界中に豊富に存在しているものの、低いコストで採掘できる鉱山が一部の国に偏在していることが問題である。
6.レアアースを例にすれば、中国は、年間約10万トンのレアアースを生産し、世界の供給シェアの85%以上を独占しているが、レアアース自体は世界中の陸上に、発見されているだけで1億3000万トン(世界需要の1000年分)存在している。「日本近海の海底で大量のレアアース発見」と報道されたが、陸上資源だけでもほぼ無尽蔵である。海底資源を利用する必要性はない。レアアースは1980年頃までは大半を米国が生産し、中国はほとんど生産していなかった、しかし、2000年頃から中国が供給の大半を担うようになり、米国は鉱山休止に追い込まれた。これは米国のレアアースの鉱山の資源が枯渇したからではなく、米国の環境規制が強化され、採掘・製錬コストが上昇したため、ビジネスとしての競争力が低下したからである。中国では極めて低い環境コストで採掘や製錬を行えるので、他国の鉱山が競争力を失ったのである。
7.その結果、レアアースの供給は著しく中国に偏ることになり、中国が輸出禁止措置を取ると、日本の産業は供給障害でパニックに陥る事態になった。つまり、レアメタルの供給障害のリスクは、採掘・製錬の技術や、環境規制が制約となって供給国が偏り、そこに政治問題や外交問題が絡んで生じる事例が多いの。しかし、企業にとっては「真実」が報道されると困るので、日本ではこのリスクは報道されない。資源の偏在については、白金族金属とタングステンの心配をしている。白金(プラチナ)やパラジウムは南アフリカとロシアに、タングステンは中国に鉱山が偏在している、南アフリカは自由貿易国なので無茶はしないが、中国やロシアが牛耳っているレアメタルについては、備蓄とリサイクルを心掛けるべきである。
8.白金やパラジウムなどの白金族金属は、今後百年以上も採掘可能な鉱山が存在するが、鉱石の品位が低く採掘と製錬に多大なコストがかかり、年間生産量が非常に少ない点も心配である。ただし、いずれのレアメタルも埋蔵量は十分ある。現在の自動車や飛行機には、その部材や制御・計測用電子機器などに多種多様なレアメタルが使われている。自動車は今や「走るレアメタル」、飛行機は「空飛ぶレアメタル」と呼ばれている。スマートホンやコンピューターなどの電子機器(半導体、電子材料)、原子力発電所や太陽光発電装置(バッテリー、変換、送電)も、レアメタルの塊である。合金や医療(生体材料・医薬品・健康食品)にもレアメタルは使われている。具体的には、レアアースは強力な磁石の材料であり、レアアースを含む磁石は、ハードディスク、携帯電話のバイブレータ、ハイブリッド車や電気自動車のモーターに使われている。白金族金属はガソリン車のの排ガス浄化触媒や燃料電池の触媒などに使われる。インジウムは液晶やプラズマの透明電極に、ガリウムは青色発光ダイオードに、タンタルは小型高性能コンデンサーに使われる。今後、ハイテク機器の高機能化がさらに進むと、レアメタルの利用はますます多様化する。日本は最先端素材・レアメタルの開発と供給の分野で、トップランナーである。
レアメタルー資源の現況と今後の活用法(岡部)
9.近年、先進国のメーカーは自社の環境保護への取り組みとして、「工場のゴミゼロ化運動」や「CO2削減」や「省エネ」を喧伝している。例えば、アップル社は、「iPhoneで使用するアルミニウムは、水力による電力を利用して作るため、製造過程でのCO2の発生量が低く抑えられている」と宣伝している。ハイテク・省エネ製品を享受しながら、「私は環境に貢献している」と信じているが、ここには大きなからくりがある。
10、自動車を例では、電気自動車一台を製造するには約50圓瞭爾必要である。銅鉱石の品位は約0.5%なので、約10tの銅鉱石が必要なのだが、銅の抽出後、残りの約10tは全てゴミになる。そのほとんどが鉱山周辺で処分される。しかもこのゴミには、ヒ素などの有害物質が含まれている場合がある、高性能モーターの製造にも、ネオジムなどのレアアースが必要である。これを鉱石から抽出する際も、ウラン、トリウムなどの放射性物質を含んだ廃棄物が大量に発生する。ガソリン車の場合、排ガス浄化触媒として白金族金属が使われる。自動車1台あたりの使用量は数gだが、鉱石の品位はppmオーダーと低いので、自動車1台につき数トンのゴミが、白金族金属を使うだけで発生する。このように、車1台分の原材料を調達するためだけでも、天然鉱物の採掘と製錬の過程で莫大なエネルギーが消費され、大量の有害物質を含む廃棄物が発生している。
11.ます。ハイテク製品が生産されると同時に、私たちが目にすることがないところで、深刻な環境破壊が起きている。先進国の企業は、採掘と製錬の過程を全て途上国に任せ、環境負荷を全て途上国に負わせている。一般の人がそれを知らないことにつけ込んで、環境破壊の実態には頬かむりして、有害物を取り除いた後の綺麗な原材料を輸入している。こうした仕組みで、国内のハイテク工場でゴミの発生を徹底的に減らして「環境に優しい」と謳っている。近年ではオーストラリアで採掘したレアアースの鉱石を、放射性物質を処理する社会システムと技術を持つマレーシアに持ち込んで精錬し、有害物を除去した後に、高純度になったレアアースだけを日本に輸入する動きがある。マレーシアに高純度化と廃棄物処理を任せることで、オーストラリアや日本の厳しい環境規制を回避する、これは「賢いビジネスモデル」と言えるが、このモデルが本当に環境に優しいとは言えない。
12.アルミニウムは剣などの刃物としては脆弱だが、盾やヘルメットにすると軽くて強くて輝きもあるので、相手の戦意を喪失させるハイテク軍事物質として皇帝にも愛された。その昔は、貴金属よりも高価であった時代もあったが、その後、製錬法の技術革新によりコモンメタルになったが、120年前は貴重なレアメタルだった。つまり現在のレアメタルも、採掘・製錬技術やリサイクル技術が進歩すれば、コモンメタルに変わる可能性があります。羽田沖D滑走路の桟橋部の天井面には、錆びないように合計1000tの薄いチタンが貼られている。
13.新素材の普及を考える時、重要なのは素材の製造コストである。例えば鉄は1圓△燭50円、チタンは3000円である。一方、自動車の価格は1圓△燭蠅録千円、航空機は約20万円である。つまり、現時点では自動車を高価なチタンで作るのは高くつき割に合わないので、安価な鉄で作るべきである。逆に、高い素材コストを許容できる航空機なら、チタンをふんだんに使える。日本はチタン製造の超大国で、世界の20〜30%の生産シェアを占めている。チタンは現時点ではレアメタルだが、イノベーションにより将来はコモンメタルになる可能性が高い。
14.今の社会システムの最大の問題は、経済原理が優先され、鉱物資源が本質的に有する価値が評価されず、タダ同然で採掘され、消費・廃棄されていることである。レアメタルのほぼ全量を輸入する日本は何をすべきかは、最良なのは何も買わないことだが、もしも買うなら、とことん使用すること。「環境性能がよい」「省エネだ」という謳い文句に踊らされて次々とハイテク製品を買い替えて、「環境に貢献した」とは絶対に思わないことである。使わなくなった携帯電話などは、回収センターに持って行くこと。携帯電話1台に含まれる金の量は微量だが、金の品位は金鉱石の100倍はあるので、まとまった量が集まれば、業者は必ず回収する。さらなる供給障害のリスクを回避するためにも、中国とロシアが牛耳るレアメタルを中心に、我が国はリサイクルと備蓄の推進が必須である。


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
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・一般:火曜日、水曜日





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