2019年09月27日

金正恩委員長は、新年の辞で「核兵器は製造、実験、使用、拡散のいずれもしない」と演説したものの、いま持っている核兵器についてどうするかは言っていない。

「池上彰著:
知らないと恥をかく世界の大問題10 角川新書、2019.6.10」は参考になる。「第4章:習近平の1強政治」の印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。・
1.トランプ大統領は、在韓アメリカ軍は撤退させない、と明言したが、本心では撤退させたい。理由はお金がかかるからである。トランプは、アメリカ軍が朝鮮半島から撤退して、南北が仲良くするならそれでいい、と考えている。アメリカ軍は沖縄に置いておけばいい。日本の基地なら日本が金を出してくれる。トランプ政権のもとで「新アチソンライン」ができるかもしれないという見方もある。
2.アチソンラインとは、第2次世界大戦後、アメリカのディーン・アチソン国務長官が太平洋西部に引こうとした共産圏に対する防衛ラインのことである。アリューシャン列島から、日本、日本に返還される前の沖縄、フィリピンを結ぶ線で、朝鮮半島、台湾は入っていなかった。これを知った金日成が、「アメリカは韓国を守る気がないようだ。攻撃するチャンスだ」と、ソ連のスターリンや中国の毛沢東を説得し、38度線を南下して韓国に攻め込んだ。アチソンラインは朝鮮戦争の引き金になった。
3.このところ、韓国の文在寅大統領は「金正恩の代弁人」などと言われるほど北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)寄りになっている。2019年1月、韓国は国際連合から非難された。国連安保理の制裁決議で義務付けられていた北朝鮮への石油製品の援助を届け出ておらず、北朝鮮が洋上で船から船に積み荷を移す「瀬取り」を何度も繰り返していたからである。北朝鮮への対応をめぐり、アメリカは文在寅大統領にあきれている。日本との関係も悪くなっているし、アメリカ軍は撤退するから、南北で仲良くやってくれればそれでいいというわけである。これは衝撃的で、東アジアにおけるアメリカの戦略の大転換になりかねない。
4.韓国の北朝鮮に対する言動が北朝鮮の非核化を阻害しているとして、文在寅政権は国際社会から孤立しつつある。アメリカは、北朝鮮の北西部のミサイル発射場で、施設を建て直す動きを確認した。トランプ大統領はこれに対し「事実なら失望する」とコメントした。歴史的一歩を踏み出したかのように見えた初の米朝首脳会談だが、北朝鮮の非核化はアメリカの思い通りには進んでいない。2018年6月12日、初の米朝首脳会談がシンガポールで開催された。両国の首脳が直接顔を合わせるのは史上初めてのことっだった。トランプ大統領は「大成功だった」と自画自賛した。合意文書でアメリカは北朝鮮に「体制の保証」を約束する一方、北朝鮮の非核化については「朝鮮半島の完全な非核化に向け努力する」ことを約束しているに過ぎない
5.非核化は「朝鮮半島の非核化」ではなく「北朝鮮国内の非核化」でなくてはならない。おそらくトランプは、北朝鮮の非核化と朝鮮半島の非核化の違いが理解できないまま、サインをしてしまったと思われる。「朝鮮半島の非核化」は1991年に宣言されています。北朝鮮と韓国との間で、アメリカ軍が韓国に置いていた核兵器を撤去した際、「アメリカ軍が朝鮮半島から核兵器を撤去したんだから、北朝鮮も韓国もこれから核開発は一切しない」と約束したのです。ところがその約束を北朝鮮は何度も破り、ついに核を持ってしまった。約束を破ったことをちゃんと追及せず、昔からの表現と引き換えに、北朝鮮の体制を保証してしまった。「北朝鮮にしてやられた」と言われても仕方がない。非核化はあくまで「北朝鮮の非核化」が前提である。その上で、どういうプロセスで非核化を実現するのか、ロードマップまでいかなければ意味がない。
6.トランプ大統領は政治の世界では素人である。大統領になって、朝鮮半島問題について専門家からレクチャーを受けたとき、朝鮮戦争は休戦状態が続いていることを知らなかった。2019年2月、2度目となる米朝首脳会談がベトナム・ハノイで開催された。トランプにとってはリベンジである。この会談で、何をもって非核化とするかを巡る溝が鮮明された。金正恩委員長はミサイル発射や核実験をするつもりはないと約束したうえで、核爆弾ニヨンビヨンの原料をつくることのできる寧辺の核施設の廃棄の見返りに、経済制裁の解除を求めました。これに対してトランプ大統領は、他の核関連施設の廃棄も要求しますが、北朝鮮はこれを受け入れず交渉は決裂したといわれています。トランプ流に言えば、バッドディールをするくらいなら、ノーディールのほうがよいということと思われる。
7.金正恩委員長は、新年の辞で「核兵器は製造、実験、使用、拡散のいずれもしない」と演説したものの、いま持っている核兵器についてどうするかは言っていない。金正恩は国内で「核兵器は絶対に放棄しない」と宣言している。北朝鮮は非核化をちらつかせながら、ひたすら引き延ばしをする。金正恩は長引かせれば長引かせるほど北朝鮮にとって有利だと考えている。トランプがもし次の大統領選挙で当選したところで、4年で政治の舞台からはいなくなる。自分は死ぬまでトップにいるつもりである。独裁国家と民主的な選挙で選ばれた人がトップに立つ国家が交渉するときの問題である。
8.北朝鮮はいつまでも核兵器を交渉のカードとして使える。トランプ大統領はディールが好きだ、と言っている。不動産業で交渉するときのやり方で妥協を引き出すことをやってきた。北朝鮮に対しても同じことをやっている。最初の段階では「ロケットマン」と呼び、「核兵器のボタンは自分のほうが大きい」と言ったり、空母を近くに派遣つぶしたり、「いつでも北朝鮮を潰すことができるんだぞ」と脅すことによって交渉に引っ張り出してきま。トランプは自分のディールがうまくいった、と思っていたようである。北朝鮮はしたたかである。金正恩委員長はまだ30代だが、彼の下で対米交渉の筋書きを書いているのは大ベテラン。ディールにおいては、北朝鮮の方が一枚上手である。
9.2回目の会談の場がベトナムだった理由は、ベトナムもかつては南北に分断され、北ペトナムはアメリカの支援を受ける南と対立していた。しかし、北が南を吸収合併することで統一を果たし、現在はアメリカとの関係も改善。経済は急激に発展している。北朝鮮も、1党独裁の下でも反米をやめてアメリカと仲良くすれば、これだけ発展する、という現実を見せたかったと思われる。1回目の首脳会談のときにアメリカは、北朝鮮が発展する未来のCGを特別に作らせて金正恩に見せている。2回目はCGを作らなくてもよかった。北朝鮮のあるべき将来像を見せることができるのがメリットだったのです。北朝鮮にもメリットがあった。ベトナム式の改革開放戦略の勉強です。ベトナムは中国と仲が悪く、独自の路線をとっています。それで発展してきました。中国は北朝鮮に対して「改革開放政策」を勧めてきたが、金正恩としては北朝鮮のおじチヤンソンテクが中国に呑み込まれてしまうことを懸念している。
10.金正恩は自分の叔父の張成沢を粛清した。張成沢が自分の兄の金正男をトップに据え、中国式の改革開放政策を進めようとしていることを知って、殺害を命じたらしい。ベトナムとの関係を強化すれば、中国への牽制になる。ベトナムにもメリットがある。アメリカとの関係を強化できることである。ベトナムは、南シナ海の領有権をめぐって中国と対立している。中国と張り合うためにはアメリカの後ろ盾が必要である。米朝は物別れに終わったが、ベトナムでの開催は3力国の思惑が一致した。


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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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