2019年09月30日

中国が共産党の独裁国家で市場経済が発達するはずはない。今、思えば、世界を変えた大きな力は、インターネットと中国だった。


「野口悠紀雄著:夢を語れる時代がかって日本にもあった、週刊ダイヤモンド、2019.8.10−17合併号」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.超整理日記の連載を始めたのは1995年4月である。阪神淡路大震災に関連する記事である。被災地での生活情報が、パソコン通信の掲示板で交換されていた。神戸から大阪に車で行く場合、どのようなルートを取ればよいかという情報は参考になった、デマやいたずら情報が拡散するのではなく、多くの人々の共回作業によって、間違った情報が補正されていたことは興味があった。市場の自動調整機能に似たメカニズムが働いているように思えた。
2.連載では、時事的な経済問題を取り上げるのではなく、社会の大きな流れを捉えたかった。最初のうちは、毎週ではなく隔週の掲載だった。当時、インターネットは使われ始めて、まだ広くは使われていなかった。パソコン通信も、インターネットを使うものではなく、電話線とモデムを使うものだった。海外とのメールのやりとりは困難だった。
3.インターネットが社会を今のように6日変えるとは、予想できなかった。95年7月8日号の本連載で、「インターネットでアメリカの本が買える。30万点の書籍から選べる」と書いた。これは、Amazonの始まりだった。ただ、本が届くまでには、船便だから時間がかかるとも書いた。そして、現実の書店はなくならないだろうと書いた。同年10月21日号には、電子時代に紙メディアは生き残れる?GoogleやFacebookはまだ存在していなかった。
4.インターネットでは、新しいウェブサイトが次々に作られて、日々、新しい世界を広げていた。97年7月、火星に着陸した「マーズ・パスファインダー」が撮影した火星の地表の写真を、NASAがインターネットで配信した。これまでであれば新聞やテレビでしか見られないものを、自分のコンピューターで見ることができる。素晴らしい世界が開けつつあることを実感できた。逆に、時代に取り残されていく企業もあることが分かった。その例が、アメリカの電話会社AT&Tである。同社はそれまでの世界で情報産業の最先端だった。ベル研究所という超一流の付属研究所が、次々に新しい可能性を切り開いていた。ところが、90年代末の同社のウェブサイトは、実に精彩を欠くものだった。適切な内容ではなく、時代の変化に取り残されつつあるように見えた。実はこの当時、AT&Tはインターネットとの戦いで極めて因難な状況に陥っていた。同社のウェブサイトを見ていると、インターネットによって、巨大企業が支配する時代が終わるだろうと予感された。
5.インターネットという言葉は、頻繁に索引に登場している。95年度の掲載記事をまとめた96年版では7個。97年版では8個である。ITの進展に関心を抱いていたのは、それが自分の仕事の進め方に大きな影響を与えるので、経済活動の基本と世界経済の姿を大きく変えていく強い力でもあると考えてい。この動きは、80年代に起こった社会主義国の衰退や自由主義思想の広がりと一体のものと考えた。
6.ITはマーケットを広げ、分権的かつフラットで自由な社会をつくると期待した。その結果、市場主義の経済が拡大していく考えた。IT産業の発展によって、ヨーロッパの最貧国だったアイルランドが驚異的に成長していることに、多大の関心を抱いた。ところが、当時、日本経済に対してあまり強い危機感を持っていなかった。日本経済が変調してきたことは気掛かりだったし、日本が過去の成功の記憶にとらわれ過ぎていることも心配だった。80年代後半の地価上昇がパブルであったこと、その崩壊が大きな問題を引き起こすだろうことは意識していた。
7.それが90年代後半のような金融機関の再編成をもたらすとは予想できなかった。石油ショックやバブルを経て、日本経済は高度経済成長期の構造からは大きく変わっていた。日本社会に陰鬱なムードが広がりつつあり、終末論が流行した。しかし、長期的な停滞に陥るとは予想できなかった。
8.今、振り返ってみれば、この時代に、日本人は世界経済の基本に大きな構造変化を認識していなかったのである。製造業を中心とする日本の産業構造は維持できないものになりつつあったのだが、それを予測できなかった。経済の沈滞は一時的なものと思えた。
9.90年代に、中国に対してほとんど関心を払つていなかった。中国の工業化が持つ大きなインパクトを認識できず、それ以降に起きた大変化を予測できなかった。95年に中国に行ったが、地下鉄サリン事件が東京で起きた日には、北京にいた。それから後にも、行くことがあったが、工業化路線を邁進しつつあった中国を、目の当たりにした。北京の街に高層ビルが建設され、通勤時間帯に道路が自転車でいっぱいになる光景を見た。それにもかかわらず、超整理日記に中国のことを書かなかった。
10.日本がキャッチアップされつつあり、それが日本の産業構造にかなりの影響を与えると考えた。ただし、このときの問題意識は、「中国は大量の労働力で安い工業製品を作る国」というものだ。だから、競争相手になるとすれば、それは安い工業製品の分野においてだろう。また、中国が共産党の独裁国家であることも、大きな制約だと考えていた。独裁国に市場経済が発達するはずはない。どこかで行き詰まる。私が中国の成長を重要な問題と考えなかった。今、思えば、世界を変えた大きな力は、インターネットと中国だった。


yuji5327 at 06:50 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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