2019年10月03日

トランプはそもそも中東には関心がない。アメリカはシェール革命により、石油生産量はサウジアラビアを抜いて世界第1位になった。もう中東に頼る必要はない。

「池上彰著:
知らないと恥をかく世界の大問題10 角川新書、2019.6.10」は参考になる。「第3章:サウジの焦り、したたかイラン、イスラム世界のいま」の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。・
1.ドナルド・トランプ大統領が中東への関与を希薄化させたことで、中東のパワーバランスに変化が生じている。2018年5月、トランプ大統領はイラン核合意から離脱すると表明した。「イラン核合意」とは、イランが行っていた核開発を大幅に制限する代わりに、関係国がイランに対する経済制裁を解除するという取り決めである。2015年、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中華人民共和国、ロシアの6力国が、イランと最終合意した。2.中心的な役割を果たしたのが、当時のアメリカ、バラク・オバマ大統領である。イランは中東で孤立しやすい立場にある。アラブ人が多い中東にあって、イランはペルシャ人の国である。また、イスラム教の宗派は大きく分けると、スンニ派とシーア派に分かれ、その割合は「スンニ派85%、シーア派15%」といわれる中で、イランは少数派のシーア派の代表的な国である。
3.ペルシャ帝国の国教は、ゾロアスター教だった。イスラム教徒に征服されたとき、イスラム教へ改宗が進んだ。こうした歴史から「自分たちは特別」という意識がある。イラン革命(1978年1月〜)以降、反米国家となったイランは、中東最大のアメリカの同盟国イスラエルを敵視し、アメリカ追従型の外交政策をとってきたスンニ派の大国・サウジアラビアとも関係はよくないので、アメリカのオバマ大統領がイランと核合意をしたとき、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との関係は過去最悪といわれ
4.イスラエルの言うことを何でも聞くトランプ大統領になると、アメリカはイラン核合意から離脱。トランプの娘婿ジャレッド・クシュナーはユダヤ教徒だから、イスラエルとの関係は改善した。トランプ・ファミリー全体がイスラエルと親密な関係にある。トランプ大統領は2017年12月、エルサレムをイスラエルの首都として承認し、アメリカ大使館のエルサレムへの移転を指示した。さらに2019年3月、シリア南部のイスラエル占領地・ゴラン高原に対するイスラエルの主権を認定する宣言に署名した。ゴラン高原は1967年の第3次中東戦争で、イスラエルが占領したシリアの領土である。アラブ諸国のみならず、世界各国は、イスラエルの占領下にあるゴラン高原の帰属はシリアにある、とアメリカを批判している。日本政府ですら、アメリカの方針を認めていない。5.シリアのアサド政権を支援するロシアやイランとの緊張はさらに高まっている。いまの中東の勢力図は、アメリカ+イスラエル+スンニ派アラブ諸国がイラン包囲網を築こう、としているのに対し、シーア派+ロシア+トルコ共和国がイランの味方なって対抗している。
6.トランプはそもそも中東には関心がない。アメリカはシェール革命により、石油生産量はサウジアラビアを抜いて世界第1位になった。もう中東に頼る必要はない。アメリカは、イスラエルさえ守ればいい。アラブ諸国の中で、イランは孤立しがちだが、イスラエルも同じである。2018年7月、イスラエル国会はイスラエルを「ユダヤ人の国」と規定する法律を可決した。イスラエルという国が建国されたとき、そこにはパレスチナ人(アラブ人)が住んでいた。中東戦争をきっかけに難民となったパレスチナ人もいるが、そのまま留まってイスラエル国籍を持っているアラブ人も大勢いる。現在はユダヤ人のほうが多いが、イスラエル市民権を持つアラブ人は出生率が高く、このままだとイスラエルはアラブ人のほうが多くなる。そのためユダヤ人たちが危機感を持ち、あらためて国会で「イスラエルはユダヤ人の国」と法律に明記することにした。
7.ユダヤ人とは、ユダヤ教徒のことである。イスラエルには、白人もいれば黒人もいる。アジア系も見かける。いまから2000年前、ユダヤの王国はローマ帝国によって滅ぼされた。ローマ人によって追い出されたユダヤ人は国境を越えて世界中に離散した。散らばったユダヤ人は、ヨーロッパ、アフリカ、アジア(中国)へ行った人もいる。世界3大宗教とは「キリスト教」「イスラム教」「仏教」である。その定義は信者が多い宗教トップ3ではない。数だけでいえばヒンズー教徒は多く、世界で第3位だが、インド周辺のみに留まっているので世界宗教にはなっていない。ユダヤ教も、古い宗教だが世界宗教ではない。3大宗教とは、地理的・民族的な壁を越えて世界中に広まっている宗教である。ユダヤ教が世界宗教にならないのは、改宗するのが難しいからである。キリスト教徒になるのは簡単で、洗礼を受ければいい。イスラム教徒になるのはもっと簡単で、イスラム教徒の男性2人を証人に立て、その男性たちの前で「アラーの他に神はなし、ムハンマドは神の使徒なり」とアラビア語で3回唱えればいい。しかしユダヤ教徒になるには、学科試験と実技試験があり、ヘブライ語の聖書(旧約聖書)がきちんと読めなければならないし、食事にまつわる厳しい戒律もある。「ユダヤ人」の定義は難しく、肌の色などには関係なく、ユダヤ教を信じる想像の共同体である。
8.シリアのアサド政権は、中東では少数派のシーア派に属する。正確には「アラウィー派」というイスラム教では異端だが、シーア派の一派とされている。アメリカのトランプ大統領がそのシリアからアメリカ軍を撤退させると発表したとき、待ったをかけた人物が、ジェームズ・マティス国防長官である。マティス国防長官が辞任を決意したのは、このトランプの決定が理由だと言われる。
9.2011年3月、シリアでアサド政権と反アサド政権勢力との内戦が始まると、アメリカは、「アサド政権が民主化運動を弾圧している」と非難し、反アサド政権勢力を応援した。アメリカ軍が撤退すれば、シリアではアサド政権の基盤が強固になり、喜ぶのはアサド政権を支援してきたロシアとイランである。マティス国防長官は、再びクルド人を裏切ることになるため、撤退すべきではないと考えていた。クルド人を裏切るとは、2014年、アメリカでは、シリアで自称「イスラム国」(IS)と戦うためにアメリカ軍を投入すべきとの話が持ち上がった当時のオバマ大統領は逡巡した。アメリカ軍の地上部隊を投入すると、アメリカ兵に死者が出る。オバマは、アメリカ兵の死者を出したくないために、クルド人を使った。
10.クルド人とは、広大なオスマン帝国の中に「クルディスタン」(クルド人の土地)と呼ばれる一帯があった。第1次世界大戦でオスマン帝国が敗れると、イギリスとフランスによりオスマン帝国は分割され、そこに住む民族や宗教や言葉などに関係なく、イギリスとフランスによって勝手に国境線が引かれた。その結果、クルディスタンは現在のトルコ東部、シリア北東部、イラク北部、イラン北西部などに分割された。クルド人は3000万人ほどいて、国家を持たない最大の民族と呼ばれている。クルド人が話すクルド語はアラビア語とは違いますし、見た目もアラブ人のように黒い髪ではなく、青い目の人も多くいる。宗教はイスラム教のスンニ派である。各国内で少数派となったクルド人は、分離独立を求める運動を始めることで各国の政府と対立するようになる。
11.クルド人は連帯感があり、中には、民族のためなら命を投げ出しても構わないという考えを持つ武装勢力がある。ペシュメルガ(死と直面するもの)である。オバマ大統領は、このペシュメルガに最新の武器を与え、自称「イスラム国」(IS)と戦わせた。クルド人たちは、クルド人の国をつくることができると期待し、多くの犠牲を出しながら自称「イスラム国」(IS)をほぼ壊滅状態にした。
12.アメリカはこのペシュメルガを支援するため、シリアに拠点をつくってクルド人たちを守っていた。トランプはそんなことに関心を持たず、「イスラム国」(IS)がいなくなったら撤退する、と言い出した。そこでマティスが、いまアメリカ軍を撤退させたら「イスラム国」(IS)が復活する恐れがある、とトランプ大統領を翻意させようとした。アメリカがクルド人を支援したことでアメリカと険悪になったのがトルコである。トルコの中にもクルド人は大勢おり、独立したいというクルド人もいれば、自分たちはトルコ人である、というクルド人もいる。トルコは、トルコ国内に住み、トルコを承認しているクルド人は「いいクルド人」、独立運動をするクルド人は「悪いクルド人」というように分けて、後者のクルド人たちをテロリストに指定している。この勢力が強くなることに危機感を持ち、トルコはシリアに越境して、シリアにいるクルド人の掃討作戦を行っていた。そのクルド人武装勢力を支援していたのがアメリカだったので、トルコにとっては、余計なことである。
13.アメリカは、過去にクルド人を裏切っている。1990年、イラクがクウェートに侵攻、翌1991年に湾岸戦争が始まると、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領は、イラク国内のクルド人に対し、サダム・フセイン政権を倒すために立ち上がれと扇動した。イラク北部のクルド人たちは、自分たちの国がつくれる、とフセイン政権に対して反政府運動を始めるが、アメリカはイラクをクウェートから100時間で追い出すと、クルド人を見捨てた。その結果、残っていたフセイン政権の主力部隊が、クルド人に対する大量虐殺を始めた。アメリカはそれを黙視し、何もしなかった。
14.ここで裏切られたにもかかわらず2003年、9.11アメリカ同時多発テロに対する報復戦争として、息子のジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)がイラク戦争を強行したとき、今度こそチャンスだとクルド人はまたアメリカに協力した。そのご褒美としてイラク北部に「クルド人自治区」ができた。このときはとりあえず裏切られずに済んだ。イラクのクルド人たちを見て、他の国に住むクルド人たちも、アメリカに協力するとクルド人自治区ができる、という期待を持ち、今度はシリアにいるクルド人が死に物狂いで「イスラム国」(IS)と戦った結果、弱体化させることができた。途端にトランプ大統領は、クルド人の希望を無視して撤退を決めた。
15.それに反対したのがトランプ政権のマティス国防長官だった。トランプ政権の中東政策は、危うさを増している。裏切られ続けているクルド人を称して、クルドの友は山ばかり、というクルド人の哀しい歴史を表す言葉がある。
16.シリアにいるクルド人武装勢力をアメリカが支援すると、トルコはシリアに越境し、シリアにいるクルド人を殲滅する、と言い出した。トルコはそれほどクルド人勢力が強くなることに危機感を抱いている。トルコの山岳地帯に住むクルド人について、最初トルコは彼らを山岳トルコ人と呼んで、クルド人という存在自体を認めていなかった。クルド語の使用も禁止した。ところがトルコがEU(欧州連合)に加盟しようというとき、EU各国は、トルコは、人権を大切にしていない。クルド人という民族を認めようとしない、と批判した。トルコはしぶしぶクルド人の存在を認め、クルド語の使用も認めた。
17.第一次世界大戦後、イギリスとフランスはオスマン帝国の領土を分割し、現在のシリアやレバノンのあたりはフランスの支配下に置かれた。フランスはシリアを支配するうえで都合がいいように国境線を引いて大シリアからレバノンという国を分離する。シリアとレバノンの間にちょうど高い山岳地帯があり、シリアや中東で迫害されている少数派の宗教勢力が山を越えてレバノン側へ逃げると助かる。レバノンはそのような場所である。レバノンにはイスラム教ドゥルーズ派とか、キリスト教マロン派とか、あまり聞いたことがない宗派が入り交じってモザイク状の国になっている。こういう状態だと、住民が一致団結して独立運動を起こせないだろうと勝手に線を引いた。レバノン人の両親のもとブラジルで生まれ、キリスト教マロン派で育ったある人物は、レバノンの宗主国であるフランスへ行って、パリのエリート養成校で学ぶ。卒業した後、フランスの大手タイヤメーカー、ミシュランに入社し、ブラジルに派遣されて実績を評価され、フランスに戻ってルノーにスカウトされたのがカルロス・ゴーンである。


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
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