2019年10月13日

アメリカ人が社会主義に嫌悪感を抱かなくなったのは、大統領選挙で民主党候補のヒラリー・クリントンと激しく争ったバーニー・サンダース上院議員の影響が大きい。

「池上彰著:
知らないと恥をかく世界の大問題、角川新書、2019.6.10」は面白い。「第1章:居座るトランプ・アメリカファースト主義」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.2018年11月、アメリカで「中間選挙」があった。4年ごとに行われる大統領選挙の中間に実施される選挙で、アメリカの有権者の、ドナルド・トランプ大統領の型破りな2年間に対する審判である。アメリカの大統領の任期は4年間。下院議員は任期が2年間しかない。大統領選挙のときに同時に選挙を行い、それから2年が経ったので2018年11月、下院議員のすべてを選び直す。一方、アメリカの上院議員の任期は6年で、下院選挙が2年ごとにあるので、これに合わせて上院は全体の3分の1ずつを選びなおす。つまり、4年ごとの大統領選挙の間の年に、アメリ力連邦議会の下院全員と上院の3分の1が改選される。
2.2018年11月の中間選挙の結里ほ、上院はトランゾ大統領の与党の共和党が、下院は民主党が、多数派となり、下院を民主党に奪還されたとはいえ、上院では共和党がわずかながら議席数を増やした。.トランブ大娩領はいろいろなことを言われるが、アメリカでは人気が根強い。こうしてアメリカ議会は、上院と下院て多数派が異なる「ねじれ議会」となった。中間選挙の結果、与党が下院の多数派の立場を失い、トランプ大統領は厳しい議会運営を迫られている。
3.下院議員の数は各州の人口に比例して割り振られ、定数は435議席で、選挙区はすべて小選挙区である。小選挙区とは、1つの選挙区に対して当選者が1人だけ、という制度である。民主党の候補と共和党の候補が対決する。候補者は選挙区に現職議員がいても選挙のたびに党内で予備選挙を実施して候補者を選ぶ。
4.この仕組みの結果、今回は候補者の特徴に異変が起きました。民主党の場合、共和党のトランプと十分にやり合えていない現状を憂えている人たちが自ら名乗りを上げるケースが目立った。代表的な例が、ニューヨーク州の選挙区のひとつから立候補したアレクサンドリア・オカシオコルテスです。オカシオコルテスは28歳のヒスパニック系の女性で、約20年にわたり下院議員を務めてきたベテラン現職議員を予備選で破って出てきた。前の年までウエイトレスとして働いていたが、突如として政治に目覚め候補者となり、女性議員としては最年少で当選した。インフレにならない限り、赤字国債をいくら発行しても問題ないという「現代貨幣理論(MMT)」を支持し話題となっている。彼女に限らず、民主党は左派が大挙して候補者になった。アメリカで社会主義者を名乗るのは自殺行為だと考えられていた時代が長かった。
5.アメリカ人が社会主義という言葉に嫌悪感を抱かなくなったのは、2016年の大統領選挙で同じく民主党候補だったヒラリー・クリントンと激しく争ったバーニー・サンダース上院議員の影響が大きい。オカシオコルテスの当選を可能にした背景には、近年のアメリ力社会における大きな経済格差がある。一方、共和党にも変化があり、トランプ化が進んでいる。共和党本流の中にトランプという人間に眉をひそめる人も多かったが、反トランプ派が、中間選挙を機に次々に政治家を引退した。共和党候補には、「トランプチルドレン」とでも呼ぶべき過激な右派候補が続出した。中間層が抜け落ちてしまったのが今回のアメリカ中間選挙である。共和党は「より右寄り」に、民主党は「より左寄り」というのが、いまのアメリカ議会である。
6.下院の議席は州の人口に比例して割り当てられる。10年に1度国勢調査があり、その調査に基づいて州ごとに何人の下院議員を割り当てるかが決まる。下院が国民の代表と称していい。上院は人口に関係なく、各州2人ずつ。アメリカは50州あるので定数100人で、上院は州の代表である。上院と下院の役割の違いについて、国務長官などの閣僚人事は、トランプ大統領が指名した後、上院の承認が必要である。最高裁判所の判事についても同様です、人事については上院が絶対的な力を持っている。予算案や法案を成立させるためには、上院と下院の双方の議決が必要である。アメリカの場合は上院と下院が全く対等で、予算案をつくるのは議会である。大統領に予算案をつくる権限はない。大統領は議会に頼むしかない。アメリカは議会の中に「予算局」というのがあって、ここで予算案をつくり、上院と下院、両方で可決されて初めて予算が成立する。ねじれ議会になると予算がまとまらないことがある。
7.トランプ大統領は選挙中から「メキシコとの国境に壁をつくる」と言っていたが、2018年の暮れ、そのための資金をつなぎ予算として予算案に盛り込もうとしたが、民主党が反対したため、予算案が可決されないままである。政府が使える資金がなくなり、連邦政府の役所が閉鎖する事態にもなる。政府機能が停止し、自由の女神などの観光地が閉鎖されたこともある。入国管理官やFBIが仕事を休んだら国が成り立たないので、職員らは、後で給料はもらえる、とボランティア状態で働いてい。上院と下院がねじれている以上、予算がまとまらないことが今後もしばしば起きる。下院は予算決定権のほか、大統領の弾劾発議権も持っている。
8.アメリカ大統領は権限が強大なため「期限付きの独裁者」という人もいる。たとえば、2019年2月15日、トランプ大統領はメキシコとの国境に壁を建設するために「国家非常事態宣言」を出した。議会で認められたのは壁ではなく「フェンス」の建設費で、大統領が求めた約6300億円には遠く及ぼない約1520億円だった。トランプ大統領は受け入れず、非常事態宣言出した。大統領が非常事態宣言を出せば、議会を通さずに国家資金を支出できる。2001年の9・11アメリカ同時多発テロの後、ジョージ・W・ブッシュ大統領が非常事態宣言を出している。アメリカには「国家非常事態法」という法律があり、これに基づいて非常事態を宣言すれば、平時では制限されている権力を行使できる。「戒厳令」と混同するが、戒厳令というのは、非常時に際して通常の行政権、司法権の停止と、軍による支配を実現することである。
9.オバマ大統領のときも、「新型インフルエンザ」の対策促進のため非常事態宣言を出した。予算を決めるのは議会だが、大統領の権限でアメリカ軍の軍事予算や国防総省の薬物対策費、財務省の基金から資金を捻出できる。今回、このトランプ大統領の宣言を議会は無効とする決議案を可決したが、大統領はこの決議案に拒否権を発動した。大統領の拒否兼を無効にするには、上院、下院両院の3分の2の支持が必要だが、支持ほ得られていない。
10.メキシコとの国境に壁を建設しなければいけないほど、アメリカは切羽詰まっているのは、たとえば、メキシコとの国境に近いアメリカのテキサス州で、国境を不法に越えてくる人たちを一時保護する施設で、ホンジュラスから逃げてきた女性に出会った。アメリカに不法に入っているのはメキシコ人ではなく、そうではなく、ほとんどがホンジュラスなど中米の国からの移民集団である。彼らはメキシコを通過してアメリカへ行きたいのだが、中米には麻薬組織ともつながったギャング集団がいて、とても治安が悪い。小さい子どもを持つ親などは子どもを守ろうと、命懸けで国境を越えている。本来、命の危険がある難民は、難民条約に基づいてメキシコが受け入れることになっている。アメリカは受け入れる必要はない。北アフリカやシリアからEU(欧州連合)へ入った難民も、最初はイタリアやギリシャへ入ってそこからドイツを目指した。本来はイタリアやギリシャで難民認定をしなければならないが、通過を見て見ぬふりをした。同じことをいま、メキシコがやっている。
11.アメリカを目指す理由はいろいろある。ホンジュラスから来た女性は、アメリカで生まれた子は自動的にアメリカ国籍が与えられるので、アメリカで出産をしたいという。子どもが成人に達すれば、家族の永住権を中請できます。アメリカで生まれた子どもには自動的にアメリカ国籍がもらえる。これを「国籍の出生地主義」という。その結果、アメリカに入国を図る不法移民は後を絶たない。トランプ大統領は、これが不満で、いったん不法移民の子に国籍を与えると、家族を外国から呼び寄せられる「移民の連鎖」が止まらなくなる。アメリカのように出生地主義をとる国は、カナダやメキシコ、ブラジル、ペルーなどである。日本は血統主義で、父親または母親のいずれか一方が日本国民であれば、生まれた子どもには日本の国籍が与えられる。大半の国で、国籍は「血統主義」によって与えられている。トランプ大統領は、出生地主義を大統領令で廃止する意向を明らかにした。しかし、大統領令で、合衆国憲法で規定されている出生地主義の制度を廃止することはできるのかという、いかにもトランプらしい議論だが、これは難しい。


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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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