2019年10月14日
韓国に直接半導体を輸出するのを取り締まる一方で、日本が抜け道を作るという事がある。日本の輸出規制という制裁は実質的に意味がない。
2019/8/23付けの大前研一さんの「 ニュースの視点 」(発行部数 160,467部)は「米ウォルマート/米ゼネラル・エレクトリック/韓国サムスン電子/世界石油大手〜小売業界の巨大な戦い」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米国のウォルマートが発表した2019年5月〜7月期決算は、最終損益が36億1000万ドル(約3800億円)となった。生鮮食品や飲料の販売が好調だったほか、成長分野のインターネット通販部門の売上高が約37%増加したことなどが寄与した。これはウォルマートにとって久しぶりに良いニュースである。
2.最近の業績推移をみると、四半期ごとの売上純利益も落ち込んでいたが、ここに来て盛り返してきている。特に、今回は通販部門の売上が好調だったという点が重要である。量よりも質を重視していくというウォルマートの戦略が、結果的に量にも反映されることを証明した形になった。アマゾンのようにディスカウントで量を取りに行くのではなく、自分たちの売りたい値段で質を追求しながらも量を確保していくという戦略が功を奏した。ウォルマートとしては久しぶりに手応えを感じているのではないかと思う。
3.長期的に株価を見ても、アマゾンの株価が急騰してきたのに対し、ウォルマートの株価は堅調に上げてきている。これまでも継続していたアマゾン対策がようやく実を結んだ結果と言える。式市場では、ウォルマートが
アマゾンの犠牲者になるというのが近年の定番だったが、今回の結果を受けてやはりウォルマートのように自主店舗を持っているところが強いという風潮も出てきている。すなわち、現在の状況はウォルマートによってアマゾンに歯止めがかかったという形である。今、アマゾンとウォルマートによる巨大な戦いにおける勝負の分かれ目が訪れている、と感じさせられる決算だった。
4.米国の著名会計専門家ハリー・マルコポロス氏が15日、ゼネラル・エレクトリックが巨額の損失を隠すため
不正会計を行っているとする報告書を公表した。報告書は175ページにのぼり、ヘッジファンドと協力して7ヶ月かけて調査したということで、不正額は発見できただけでも380億ドルに上るとのことである。GE側は「解釈の違い」と否定している。
5.詳細な分析結果として発表されている不正額は、約4兆円ということだから、深刻な問題です。これを受けてGEの株価は大きく下落している。数年前まで約30ドルだった株価は、今では10ドルを下回る水準に落ち込んでいる。
6.レポート作成に協力したのがヘッジファンドだから、株価の下落を受けて売り浴びせて儲けようという
目論見もあると思う。しかし、これだけ詳細なレポートを提出されると、ヘッジファンドの思惑はともかくとして、今はGEが4兆円の不正額を掃き出して、不正を白状するのかどうか注目されている。
7.韓国のサムスン電子が日本からの輸出管理が厳格化されたフォトレジスト(感光剤)をベルギーから調達していることがわかった。調達先は2016年に日本の化学大手JSRとベルギーの研究センターIMECが設立した合弁会社とみられ、半年から10ヶ月分を購入し、最先端の半導体チップ製造工程で使用している。
8.韓国に直接半導体を輸出するのを厳しく取り締まる一方で、サムスンのように関係性を維持したいと思うところには、日本が抜け道を作ってあげているという事である。サムスンはベルギーの会社から半導体を購入したが、航空機で送ってもらえばあっという間だから、日本の輸出規制という制裁は実質的に意味がない。
9.インドの財閥大手リライアンス・インダストリーズは12日、サウジアラビアの国営石油会社・サウジアラムコがリライアンスの石油関連事業に20%出資することで合意したと発表した。出資額は約1兆5750億円に上り、
これによりリライアンスは原油を安定的に確保する一方、サウジアラムコは高まるインドの需要を取り込む考えである。インド最大の財閥であるリライアンスは最近業績が大きく低迷していた。インドにとってみるとリライアンスにとっても渡りに船である。サウジアラビアの動きを見ていると、「他国に深く関与していく」という国家戦略がはっきり見えてきた。
1.米国のウォルマートが発表した2019年5月〜7月期決算は、最終損益が36億1000万ドル(約3800億円)となった。生鮮食品や飲料の販売が好調だったほか、成長分野のインターネット通販部門の売上高が約37%増加したことなどが寄与した。これはウォルマートにとって久しぶりに良いニュースである。
2.最近の業績推移をみると、四半期ごとの売上純利益も落ち込んでいたが、ここに来て盛り返してきている。特に、今回は通販部門の売上が好調だったという点が重要である。量よりも質を重視していくというウォルマートの戦略が、結果的に量にも反映されることを証明した形になった。アマゾンのようにディスカウントで量を取りに行くのではなく、自分たちの売りたい値段で質を追求しながらも量を確保していくという戦略が功を奏した。ウォルマートとしては久しぶりに手応えを感じているのではないかと思う。
3.長期的に株価を見ても、アマゾンの株価が急騰してきたのに対し、ウォルマートの株価は堅調に上げてきている。これまでも継続していたアマゾン対策がようやく実を結んだ結果と言える。式市場では、ウォルマートが
アマゾンの犠牲者になるというのが近年の定番だったが、今回の結果を受けてやはりウォルマートのように自主店舗を持っているところが強いという風潮も出てきている。すなわち、現在の状況はウォルマートによってアマゾンに歯止めがかかったという形である。今、アマゾンとウォルマートによる巨大な戦いにおける勝負の分かれ目が訪れている、と感じさせられる決算だった。
4.米国の著名会計専門家ハリー・マルコポロス氏が15日、ゼネラル・エレクトリックが巨額の損失を隠すため
不正会計を行っているとする報告書を公表した。報告書は175ページにのぼり、ヘッジファンドと協力して7ヶ月かけて調査したということで、不正額は発見できただけでも380億ドルに上るとのことである。GE側は「解釈の違い」と否定している。
5.詳細な分析結果として発表されている不正額は、約4兆円ということだから、深刻な問題です。これを受けてGEの株価は大きく下落している。数年前まで約30ドルだった株価は、今では10ドルを下回る水準に落ち込んでいる。
6.レポート作成に協力したのがヘッジファンドだから、株価の下落を受けて売り浴びせて儲けようという
目論見もあると思う。しかし、これだけ詳細なレポートを提出されると、ヘッジファンドの思惑はともかくとして、今はGEが4兆円の不正額を掃き出して、不正を白状するのかどうか注目されている。
7.韓国のサムスン電子が日本からの輸出管理が厳格化されたフォトレジスト(感光剤)をベルギーから調達していることがわかった。調達先は2016年に日本の化学大手JSRとベルギーの研究センターIMECが設立した合弁会社とみられ、半年から10ヶ月分を購入し、最先端の半導体チップ製造工程で使用している。
8.韓国に直接半導体を輸出するのを厳しく取り締まる一方で、サムスンのように関係性を維持したいと思うところには、日本が抜け道を作ってあげているという事である。サムスンはベルギーの会社から半導体を購入したが、航空機で送ってもらえばあっという間だから、日本の輸出規制という制裁は実質的に意味がない。
9.インドの財閥大手リライアンス・インダストリーズは12日、サウジアラビアの国営石油会社・サウジアラムコがリライアンスの石油関連事業に20%出資することで合意したと発表した。出資額は約1兆5750億円に上り、
これによりリライアンスは原油を安定的に確保する一方、サウジアラムコは高まるインドの需要を取り込む考えである。インド最大の財閥であるリライアンスは最近業績が大きく低迷していた。インドにとってみるとリライアンスにとっても渡りに船である。サウジアラビアの動きを見ていると、「他国に深く関与していく」という国家戦略がはっきり見えてきた。