2019年10月31日

株の世界は「山高ければ谷深し」である。異常に上がったアメリカの株価に上昇理由は乏しく、今は谷に向かう直前の状況にある。


「大前研一著:世界的景気後退は目の前だ、PRESIDENT 2019.10.4」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.世界的な株高傾向が続いている。これを強力に牽引しているのはアメリカ市場の株高である。米中首脳会談で膠着していた貿易協議の再開が確認されたことが好感されるなどして、7月にはアメリカの主要株価指数であるNYダウ、S&P500、ナスダックが揃って史上最高値を更新した。8月に入ってl日、トランプ大統領が制裁関税第4弾を9月l日に発動すると表明した。さらに5日、自国の輸出に有利になるように意図的に人民元安に誘導しているとして米財務省は中国を「為替操作国」に認定した。
2.米中貿易摩擦の再燃、激化への懸念と景気の先行き不安から世界の株式市場は急落、NYダウも全面安で2カ月前の水準まで下落した。さらに中国の報復閲税拡大を受けて、米通商代表部が中国に対する制裁閲税の税率を5%引き上げて最大30%にすると発表した23日などにもNY市場は急落した。
3.米中貿易戦争によるリスクオフを繰り返しながら、NYダウは7月に記録した史上最高値の2万7398ドルから8月には2万5000ドル台まで下げ、それ以降も乱高ドを繰り返している。それでもトランプ政権が発足した2017年1月時点ではNYダウは初めて2万ドルの大台に乗せた程度の水準で、チャートを見ればトランプ政権の約2年半、一貰して株高傾向が続いてきたことが一目瞭然である。
4.このように株高を演出してきたトランプマジックは2つある。1つは大規模な減税である。17年12月、トランプ大統領が大統領選中から公約に掲げてきた法人税や所得税の大規模減税を柱とする税制改革法案が米議会で可決・成立した。これはレーガン政権以来の抜本的な税制改革であり、連邦法入税が35%から一気に21%に引き下げられ、所得税も高所得者層ほど恩恵を受ける形で税率が引き下げられた。
5.「金持ち優遇」との批判もあったが、企業や富裕層をターゲットにした減税は景気浮揚効果が大きい。税引き後に残るお金が大きければ、企業は設備投資や研究開発投資を活発化するし、個人消費も拡大する。景気が良くなれば当然株価は上がる。一方で現在のサイパー経済においては、昔の重厚長大型の装置産業が方々にプラントを造るような巨大な設備投資は必要ない。基本的には優秀な人間がいれば成り立つ。従って減税で浮いた余資を配当資金に回しやすい。配当が増えるから、株が買われる。
6.もう1つのトランプマジックは金融政策。アメリカの中央銀行制度であるFRBは、アメリカの好景気が続く中でインフレを警戒して金利を上げてきた。今の時代、世界的に金利が低いから、ドルやユーロ、円など信頼度の高い通貨の金利が高くなると世界中からお金が集まってくる。アメリカの金利が高いと言ってもたかだか2.5%程度だが、それでもゼロ金利の欧州やマイナス金利の日本に資金を置いておくより、安全なドルに替えようという動機付けになる。そうやって世界中から集まってきたお金は米国債に向かわずに、株式をミックスした上場投資信託のような金融商品に向かう。それが株式市場にも流れ込んで、株高につながっている。
7.利上げや利下げを決めるのはFRBの仕事であって、大統領に決定権はない。FRBはきわめて独立性の高い政府機閲だ。しかし、トップであるFRB議長の任命権は大統領にある。つまりFRBの金利政策が気に入らなければ、トランプ大統領は得意の「おまえはクビだ」で議長のクビをすげ替えることも可能である。しかし、トランプ大統領はそれをやる前に現FRB議長のジェローム・パウエル氏を徹底的にいじめ抜いている。これがトランプマジックならぬトリックである。トランプ大統領はFRBが小幅の利下げを決めても「失望した」と不満をぶちまけ、「FRB議長を解任する権限がある」とか「辞任を望むなら止めない」などとパウエル議長に対して常に利下げ圧力をかけ続けている。そうやってパウエル叩きをするたびに、「そろそろFRBは利下げするかも」と市場の期待値は高まる。これがトランプ大統領の言うことを諾々と聞く議長なら、方向性は織り込み済みだから期待値は膨らまない。
8、パウエル議長のようにしっかりした人物が叩かれているから、市場は敏感に反応する。パゥエル叩きはまさにトランプ金融劇場であり、利下げへの期待感を膨らませて株高を演出してきた。パウエル叩きは一般の米国民には、(金融も財政も貿易も何も理解していないのに)やはリトランプが経済を支配している、と錆覚させる選挙トリックである。
9.株高要因は株式市場の動向にもある。近頃は株式を新規発行するケースが非常に少なくなった。アメリカの公開株の時価総額は膨れ上がっているのに、発行済み株式数はこの20年でまったく増えていない。今年6月、ユニコーン企畳の一つである米ビジネス用チャット大手のスラック・テクノロジーズが上場を果たした。この上場では新規株式を発行せずに、既存の株式を取引所に登録する「直接上場」という方法が採られた。大手企業の直接上場によるIPOは18年末の音楽配信サービス、スポティファイ・テクノロジーの上場に続き2社目である。
10.株式を新規発行しない理由は、面倒な手間暇とコストがかかるからである。通常のIPOは手続きを主幹事の金融機関が頼まなければならないが、直接上場はその必要がない。金融機閲に手数料を支払わなくて済むから、上場コストは大幅に下がる。
11.アメリカの株高はどこまで続くかは、20年の大統領選での再選を目指すトランプ大統領としては少しでも引き延ばしたいところである。アメリカの場合、401K〔確定拠出型年金〕を抱えている人が多いから、株高につながる政策は国民にとって大歓迎である。叩けばホコリしか出ないトランプ大統領が支持、あるいは黙認されている最大の理由は、自分の財布を潤してくれるからである。
12.しかし今、株価暴落のトリガーは至る所に転がっている。冒頭の米中貿易戦争もその一つで、貿易戦争がエスカレートすれば世界的な景気後退につながる恐れは強い。秋以降には対中閲税が消費者物価のインフレを誘発する可能性が高く、金利をかなり上げなくてはならなくなる。金利が上がれば、安易な間接金融に浸っている米企業の負担も増すので、株価は下がらざるをえない。一方、中国経済の崩壊も懸念材料で、今、中国の国有企業や地方政府の赤字状態は深刻である。中国政府は必死に金をばらまいて景気対策をしているが、これまたトランプ劇場でアメリカとの激しい制裁合戦が続く中、向こう1年の間に中国経済が決壊する可能性は排除できない。
13.アメリカとイランの衝突もトリガーになる。ホルムズ海峡危機で原油価格が高騰するのは今や資源輸出国のアメリカにとってはむしろプラスだが、実際にイランとのドンパチに突入すれば話は別Dリスクオフによる株耶仙ド落は避けられそうにない。ドイツ銀行の危機がリーマンショック級のインパクトを引き起こす恐れもある。メインバンクのドイツ銀行から巨額の資金をファミリービジネスに引っ張っているトランプ大統領は「優れた銀行だ」などと言っているが、優れているところは残っていない。特に酷いのは投資銀行部門で、救済不能のディールを世界中、特に北欧と旧東欧圏で行っている。そこで生じた不良債権を証券化した金融商品が世界中に出回っている。
14.そのような怪しげな金融商品の絶対額はリーマンショック時を超えた言われている。もちろんマジックを駆使して株価を上げたトランプ大統領がダメージを受けたり、失脚すれば株価に多大な影響を及ぼす。スキャンダルまみれの大統領だから、どこで地雷を蹄むかわからない。また、パウエルFRB議長が自分から辞表を叩きつける事態になれば、これもトリガーになる。株の世界には「山高ければ谷深し」という言葉ある。異常に跳ね上がったアメリカの株価に上昇理由は乏しく、今は谷に向かう直前の状況にある。トランプマジックは剥がれ、市場ではトランプ自信の支離滅裂なッイッター相場がリスクそのものである。


yuji5327 at 06:31 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
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