2019年11月10日

孤立と孤独は違う。孤立は、人を寄せつけない感じがする。孤独は、来る人拒まずだが、独りでいることを悲しいとも、つらいとも思わない。「独立自尊」という言葉に近い。


「五木寛之著:白秋期、日経プレミアシリーズ、2019.3.13」は面白い。「第5章:孤独のユートピア」の概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.出家という言葉は、単なる家出ではなく俗世間と離れるということで、僧侶になることを意味する。俗世を捨て寺にこもるだけでは、宗教的完成にいたらない。もういっぺん、俗世間にもどってこなければいけないという。出家した人間が、俗世間にもどってきたときには昔の俗人ではない。
2.悟りを得た人間が市井にもどつぐきて、街の人間たちとなごやかに雑談しながら、酒を手にふらふら歩いている姿が、悟りの境地として描かれている。この絵は、私たちに孤独とはどういうことか、孤独とどうつきあえぱいいかを、大変にわかりやすく、また機知に富んだ讐えとして指し示してくれている。孤独を、この酒を手に市で暮らす俗人の悟りの境地のように考えている。
3.人びとのなかに生き、組織のなかで暮らし、活動をつづけながら、そのなかで人間は、つねに孤独を感じている。自分の孤独を、甘えた気持ちだけで、自然発生的な人間の絆を求めたり、安易に連帯を求めることをしてはいけない。そこには本当の癒しはなく、不安が増幅されるだけである。大切なことは、自分が孤独であるということを、自分なりに確認し、しかもその孤独に耐える力を大事にする、つまり人間は孤独であるということを、ちゃんと認めることである。
4.孤独とむきあって生きる、それは白秋期の、大きな収穫のひとつである。人間は群れをつくるという本能もある。カップルをつくるという本能もある。同時に、本来は独りでそれぞれが生きたいという、群れを離れたい願望も半面ある。つねに群れがいることでもって、その孤独は保証されているという逆説がある。
5.法然が亡くなるとき、弟子たちに「群れ集まるな」と言った。グループをつくるな、バラバラにいて念仏をひろめろと言った。法然が亡くなると同時に、弟子たちは大きな追悼法要を企画して、浄土宗という組織を強化していくことになる。群れと孤独の関係というのは、そういうものである。
6.入鄽垂手(にってんすいしゅ)や寒山拾得(かんざん じっとく)の讐え話でも、孤独者は孤独者として、しばしば群れと接触する。鴨長明もしばしば街へいって様子を見ている。竹林にはいりっきりで、そこで獣と一緒になって死んでしまったら、隠遁とは言えない。自分は世間のいろいろなつきあいというものと切れて生きるけれども、一方には世俗の世界があり、そこと離れて生きているということで、隠遁なり、孤独が保証されている。全員が孤独者だったり、全部がばらばらに暮らしているのだったら、隠遁も孤独もない。
7.孤立と孤独は違う。孤立は、人を寄せつけない感じがする。孤独は、来る人拒まずだが、独りでいることを悲しいとも、つらいとも思わない。「独立自尊」という言葉に近い。西行や、藤原定家、芭蕉とか、いう人たちは隠遁のような生き方に対して、みんなが憧れた。官職を離れ、出世の道を捨て、放浪、漂泊ひと筋に生きた。
8.孤独死や単独死を、社会はマイナスとしてとらえるが、遺骨の引取人もないというような人の死を、それほど哀れだとも、悲惨だとも思わない。孫や子供たちに囲まれて末期を看取ってもらいたいと思っている人はすくない。最期のとき、だれかに手を握ってもらってお別れしたいと思う人も少ない。実際には、独りで死ぬことのほうが、みんなが心のなかで望んでいることだと思う。メディアは、人とのコミュニケーションの輪をひろげようとすることばかりが強調する。
9.人間は、最後は独りで物をじっくり考えたり、感じたりしながら、自然の移ろいのなかでおだやかに去っていくべきだ、と思う。白秋期は、現役から退いて林に住み、そこで来し方行く末を考え、人間とはいったい何なんだろうということを思索したり、自分の求める場所に行ったりして暮らすことができる季節である。
10.自秋期を、どんなふうに、人間の充実した時間として生きていくか。「人生百年」時代、人生後半を、もはや余生と呼ぶことはできない。白秋期は、自立した大人たちが歓びを味わう季節である。すなわち、孤独のユートピアである。自分の孤独とむきあい、自分の死、自分の終わりというものが、どこかに見えてくる。
11.定年後のサラリーマンのなかには、自分はもう脱け殻だ、と世をはかなむ人がいるが、60代、70代が自分の人生の仕上げの季節だということを自覚することが必要である。そして人生の仕上げの季節、キーワードこそ、「孤独」である。
12.白秋期を生き生きと過ごすには覚悟が必要である。子供ができたときは嬉しい。親としての歓びと同時に、将来は子供たちと別れていくから、別れていく自分というものを考えなければいけない。元気で、孫たちに囲まれて、楽しく過ごす白秋期の生き方は望めない。そういう25年ではなくて、障害を抱え、病気を抱え、介護されて生きる未来像もある。歓びのなかに寂しさがあり、寂しさのなかに歓びがある。入り組んだ状態である。


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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
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・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
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