2019年12月05日

ビジヨンに果敢に投資してGAFAを超えようとする態度は日本企業は学ぶべ。日本の産業界は、今回の失態を笑ってはいけない。


「校條浩著:シリコンバレーの流儀、WeWorkの失敗を笑うな 週刊ダイヤモンド 2019.10.26」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.WeWorkの米ナスダック市場への上場延期が大きな波紋を広げている。WeWorkは、2010年に創業したオフィスレンタル会社である。カリスマ的な創業者の下、巨額の資金調達を繰り返しながら猛烈な勢いでオフィススペースを拡大し、上場への準備を進めていた。上場の想定企業価値は約6・2兆円と超大で、誰もが大型上場を固唾をのんで見守っていた。
2.しかし、上場前に公開された証券登録届出書(S-1)に記載されていた事業戦略があまりにも稚拙で、将来、現状の赤字を解消し、利益を創出できるとは評価されなかった。570億ドルという想定企業価値は一気に200憶ドル以下に激減。同社に投資してきたJPモルガンやゴールドマン・サックスといった名うての投資銀行が大恥をかいてしまった。さらに、共同創業者アダム・ニューマン氏の乱脈経営が明るみに出てCEO解任に至り、今や、上場どころか、追加資金注入が滞れば倒産してもおかしくない状況である。このような失態が起きた理由は同社の大株主であるソフトバンクグループ(SBG)にある。
3.SBGは傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」と合わせて、WeWorkに合計100億ドル超を注入したといわれ、WeWorkの創業者に次ぐ大株主である。SVFは、SBG会長兼社長の孫正義氏がサウジアラビアなどから巨額の資金を集めてつくった、10兆円以上の世界最大のテクノロジー投資ファンドである。資金力を武器に、上場前の成長スタートアップに株価が割高であっても投資を断行して経営権を取得し、SBGコングロマリットを拡大する戦略を進めている。例えば自動車配車サービスの大手ウーバーは、WeWorkと同様に赤字企業だが、SVFはウーバーの企業価値が480億ドルの頃に過半数の株を取得した。金融界では「高値つかみ」と椰楡されたが、ウーバーは上場を果たし、企業価値が800億ドルを超えたことで投資リターンをしっかり得ることができた。WeWorkもこれと同様の戦略だった。
4.実はWeWorkの570億ドルという破格の企業価値は、SBGが設定したものだった。この「高過ぎる評価額」での資本注入が上場や、他の投資家には株式売却などの「エグジット戦略」を難しくし、結果的にWeWorkのような失態を演出してしまうことがある。
5.米国のベンチャーキャピタル(VC)業界ではSVFの評判はすごぶる悪い。WeWorkに投資していたSVF以外の投資家にとっては、SVFの「高過ぎる評価額」によって持ち株が割高になってしまい、他の投資家などへの売却が難しくなり、上場を待つしかなくなる。かといって放っておくこともできない。WeWorkの場合は赤字が続くため、投資や融資で支援し続けなければ大損してしまう。そのため、さらに資本注入を強いられることになる。WeWorkの場合は、JPモルガンが追加出資や融資をさせられる状況になった。これは「ストックホルム症候群」の心理だといえる。
6.ストックホルム症候群とは、誘拐事件や監禁事件などの犯罪被害者が生存戦略として犯人との間に心理的なつながりを築くことをいう。事件に巻き込まれて人質となり死ぬかもしれないと覚悟すると、被害者は犯人の小さな親切に対して感謝の念が生じ、犯人に対して協力的になるという。これは、自己防衛本能からくる精神状態と理解されている。
7.WeWorkの場合、SVFが高値で大型の出資をしてきたことにより、今までの投資家が監禁状態になった。既存株主は自己防衛に「誘拐」した人物(=大株主であるSVF)に協力(=追加資金注入)して、監禁状態から抜け出る(=上場)しかない。これは、他の投資家がまるでSVFの「人質」になったようなものであり、VC業界のエコシステムを乱すものである。
8.一方で、SBGが大きなビジョンを持って、思い切った投資をする姿勢は素晴らしい。そもそもオフィス賃貸ビジネスの一種であるWeWorkの事業モデルをSBGが有望と考えたのは、そこに壮大なビジヨンを見たからである。
9.WeWorkは一般的なオフィス物件を借り上げ、それを上質なコワーキングスペースに改装して、個人単位で貸し出すビジネスモデルである。コワーキングスペースは、入居者が個室ではなく、オープンスペースで仕事をする場所で、イベントや入居者同士.のコミュニティーを付加価値としている貸しオフィスの新しい形態である。起業やイノベーション活動の高まりの中で、その数は世界中で急拡大している。
10.ただ、コワーキングスペースは付加価値があるとはいえ基本的にはまた貸し業であり、利幅は薄く、倍々で利益が伸びる性格のものではない。それでも多額の資金を調達できたのは、共同創業者ニューマン氏のビジョンの魔術である。
11.「われわれは、美しいシェアオフィスを提供するだけでなく、われわれ一人一人が満ち足りた人生を謳歌できるコミュニティーを提供する」と説き、ミレニアル世代のための「物理空間のソーシャルネットワーク」を提供すると常々語っている。
12.現在のソフトウエアビジネスの流れであるSaaS(必要なときだけ使えるソフトウエアのサービス化)をもじって.、Space-as-a-Serviceeだと豪語していた。「不動産」や「賃貸」のような言葉を一切使わず、WeWorkが最先端のテクノロジー企業であるというイメージの獲得に成功した。
13.一方、SBGの孫氏は、GAFAを凌駕するような大型テクノロジー企業のコングロマリットを傘下に形成したいという野望がある。ソフトウエアやインターネットが、事業創造や産業転換を進めていくというビジョンに対して、WeWorkの「物理空間のソーシャルネットワーク化」や"SaaSが琴線に触れたようだ。
14.ビジヨンを掲げながら果敢に投資してGAFAを超えようとする態度からは日本企業は学ぶベきである。日本の産業界は、今回の失態を決して笑ってはいけない。

yuji5327 at 06:49 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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