2020年01月06日

目を開けたら立体的な世界が見える。平面に描かれた絵画に奥行きを感じる。こんな日常的な出来事の背景で脳が複雑な仕事をしている。


「藤田一郎(大阪大学大学院生命機能研究科教授)著:見たものの奥行きが分かる脳内メカニズムの多様性、週刊ダイヤモンド2019・11・30」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.世界は空間的に3次元である。個々の物体もそれが配置されている空間も私たちには奥行きを持った立体的なものとして見える。当たり前のことのようだが、そうではない。奥行きの感覚は、私たちの脳の働きによって初めて実現する素晴らしい体験である。
2.「見る」ことの最初のステップは、眼球の内面を覆つ網膜が光を受け止めることから始まる。網膜は薄い神経組織であり、光をキャッチする視細胞はその一番奥を敷き詰めている。一つ一つの視細胞は、外界の特定の方向からやって来る光を受け止め、光の波長と強度によって反応を変える。つまり受け止めた光の方向、波長(色の知覚の元になる)、強度〔明るさの知覚の元になる)の情報を明示的に持っている。
3.ところが、個々の視細胞は自分が受けた光.がどのくらい遠くからやって来たかを知らない。本誌の誌面から反射してくる光も、部屋の壁から反射してくる光も、窓の向こうの遠くの木から反射してくる光も、皆同時に日の中に入ってきて視細胞に反応を引き起こす。
4.光の速さにとってみれば、これらの物体から目までの距離の間に違いはないに等しく、個々の視細胞の反応は光の発信地からの距離の情報を含んでいない。このような網膜からの情報を出発点としながら、私たちは奥行きを感じることができる。脳が情報処理をした結果、奥行きの感覚をつくり出している。
5.これが可能なのは、網膜に投影された像が外界の奥行き構造を反映した特有の光の分布を持つからである。奥行きの情報は投影像「画像的な特徴」の中に隠されている。視細胞は単独ではその特徴を捉えることができないが、多数の視細胞の活動はその特徴を反映している。
6.脳がその情報を読み出し、目の前の情景の奥行き構造を読み解くことで、世界が立体であるという感覚が生じる。網膜に映つた像が持つ奥行きを知るのに役立つ特徴は「與行き手掛かり」と呼ばれる。
7.奥行き手掛かりには豊富な種類がある。その多くは、左右の目それぞれにおける網膜像に含まれている。片方の目で見ても世界の立体構造をおおむね知ることができる。単眼立体視ができるのはそのためである。例えば、前後方向に延びる、平行な直線は、網膜像では遠くになるほど直線間の隔たりが小さくなり、一点に向かって収束していく。
8.この手掛かりは「線遠近」と呼ばれ、さらに、遠くのものはかすんで見え(大気遠近)、また青みを帯びて見える(色彩遠近)手がかりもある。幾何学的な手掛かりとかすみの手掛かりは、広い空間における奥行きを知覚するのに役立つ。
9.近い距離における奥行きを知るのに有用な手掛かりの一つは「テクスチャー勾配」である。多くの物体は表面に特有の凹凸を持ち、往々にして繰り返し模様となっている。物体表面で繰り返される凹凸に由来する視覚的特徴はテクスチャーと呼ばれる。テクスチャーを持つ面が奥行き方向に広がると、その構成要素は距離に従って変化する。一例を挙げると、石畳の上に立ったとき、遠くにあ.る石ほど、小さく、ひしゃげ、間隔が詰まって見える。
10.このテクスチャーの勾配から、石畳が、半たんな道なのか坂道なのか、どのくらい急な坂なのかなど、石畳の立体的な様子を知ることができる。遮蔽〔奥の物体の輪郭が見えない)、ぼけ〔注視点の前後の物体はぼけて見.える)、陰影やハイライト(出っ張った物体の下には影ができる、ガラスや金属の表而にはその立体構造に従ったハイライトを生じる)なども単眼立体視における奥行き手掛かりである。これらの奥行き手掛かりは静止した像の中に含まれており、絵画に描き込むことができるため、まとめて「絵画的奥行き手掛かり」と呼ばれる。
11.単眼立体視に加えて、両方の目を使って初めて奥行き感を得る能力も私たちは持っている(両眼立体視)。通常、立体視とか3Dビジョンとかいうときにはこれを指していることが多い。この感覚を持っていることは、単に片方の目を閉じたり開いたりするだけで簡単に確かめることができる。片方の目を閉じるとそれまで感じていた物体と物体との間の奥行き方向の距離が消え、閉じていた目を開けると、その瞬間に再び奥行き方向の距離が生まれる。
12.個々の物体には厚みがあり、空間の中で容積を占めていることが感じられる。両眼立体視による奥行き感覚は、単眼立体視によって奥行き順序や情景の立体横造が分かることとは別ものである。
13.両眼立体視において利用されている奥行き手掛かりは両眼視差である。私たちの右目と左目は横に6-7cm離れているため、それぞれの目に映る外界の像の間にはわずかなずれがある。このずれは両眼視差と呼ばれ、ずれの量と方向は対象物の奥行き位置に依存しているため、奥行きを知る手掛かりとなる。
14.両眼視差は両方の目からの情報を使うことで初めて算出することができる。3D映画は左右の目に両眼視差に対応する水平ズレを付けた映像を投影することで実現している。また、オートステレオグラムでは、両眼視差が生じるように、その繰り返し模様に工夫が施されており、両眼融合するとビビッドな立体図形が浮かび上がる。
15.ヒトの大脳皮質の少なくとも4分の1という広大な領域が視覚機能に関わる。後頭葉にある1次視覚野を出発点として頭頂葉、側頭葉を含む広い範囲へと情報が送られる。これらの領域のほとんどが奥行き惑覚に関わる。どの領域が奥行き感覚のどの側面に貢献しているかの探求が進んでいるが、近年、情報通信研究機構の番浩志博士らの研究により、V3Aと呼ばれる領域で絵画的奥行き手掛かりと両眼視差の情報処理の統合が進むことが、明らかになっている。目を開けたら立体的な世界が見える。平面に描かれた絵.画に深々とした奥行きを感じる。こんな日常的な出来事の背景で脳が複雑な仕事をしている。


yuji5327 at 06:51 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
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