2020年02月09日

85%の心房細動起源が肺静脈に存在するので、心房細動カテーテルアブレーションにおける主な焼灼部位は、肺静脈になる。


「桑原大志著:発作ゼロ・再発ゼロをめざす心房細動治療、 幻冬舎 2016.11.15」参考になる。第3章 発作の恐怖と決別する。完治を目指すカテーテルアブレーションとは」の概要は以下の通りである。
1.高周波カテーテルアブレーションとは、カテーテル先端についている電極を、心臓に当てる。次にその電極と脇腹に貼った対極板の間に電気を流す。電極と心臓、対極板と脇腹との間では電気のやりとりがなされるので、そこで熱を発生する。カテーテル、についている電極は小さく、電流密度が高いので、そこで発生する熱は高くなり、心筋がやけどをする。
2.やけどの大きさは直径5〜8弌⊃爾5〜8个任△襦B亢鉾弔貼られた脇腹でも熱が発生するが、対極板は大きいため電流密度が低く、温度も低いのでやけどはしない。心房細動は、心房細動起源や心房細動基質ができてしまうことで起こるから、カテーテルアブレーションとは、この心房細動起源や心房細動基質を探しカテーテルの先端を押し付けて電気を流し、その心筋を焼灼する治療である。
3.心房細動起源の誘発方法は、心房細動起源を同定するため、手術中に心房細動が起きてくれなくてはいけない。そのために最良の方法が「高用量イソプロテレノール負荷」である。イソプロテレノールとは、交感神経を刺激して、脈拍が速くなり、心臓の収縮力が高まる注射薬である。通常の使用量は1μg/分だが、その20倍の量を投与すると、心房細動患者の90%で心房細動が誘発される。
4.この方法は、狭心症や閉塞性肥大型心筋症の患者には禁忌だが、ほとんどの患者で、安全に施行可能である。この方法を使用することにより、心房細動起源の場所が明らかとなる。筆者は、発作性心房細動患者70人にこの「高用量イソプロテレノール負荷」を実施し、心房細動起源の場所を1人ずつ探してみた。その結果、心房細動起源の多くは、肺静脈(肺で酸素を取り込んだ血液が心房に戻るときに通る血管)に存在することが判明した。また.、すべての心房細動起源を100とすると、肺静脈起源は85%程度で、15%はそ7れ以外のとこみに存在することも明らかとなった。
5.心房細動起源は、1人の患者に1カ所とは限らない。複数有している人も多くいる。これまでの研究をまとめると、発作性心房細動患者の4人に1人は、肺静脈以外にも心房細動起源を有していることが分かっている。
6.85%の心房細動起源が肺静脈に存在するので、心房細動カテーテルアブレーションにおける主な焼灼部位は、肺静脈になる。以前は、肺静脈内の心房細動起源をーつずつ焼灼していたが、肺静脈の奥で焼灼すると、肺静脈が狭窄を来したり、また、焼灼により、心房細動が術中には治まっても、術後にすぐ再発したりと問題が多く、手術の成功率もあまり高くなかった
7.そこで、肺静脈の付け根を円周状に焼灼し、電気的に隔離する方法(肺静脈隔離法)が考案された。当初は、4本ある肺静脈を、1本ずつ隔離する、個別肺静脈隔離法が行われていたが、その後、左右2本の肺静脈を同時に隔離する広範囲肺静脈隔離法や4本の肺静脈をすべて同時に隔離するボックス隔離法に移行してきた。それぞれの方法には、メリット、デメリットがあり、施設、術者により実施される方法は異なる。
8.25年前、著者が医師になり立ての頃、「心房細動は不治の病」といわれていた。「根本的に治すことはできな。症状の強い心房細動が持続性に移行したら、患者をなだめすかしなさい。そのうち、不規則な脈拍に慣れて、症状はなくなる」と先輩医師から教わった。心房細動のメカニズムを明らかにすることなど、夢のまた夢だった。
9.1990年代の後半、フランス、ボルドー大学のハイサゲール医師が、その心房細動のメカニズムを明らかにした。それは「注意深い観察」によってなされたといわれている。細動が始まる瞬問を偶然とらえた心電図を詳細に観察すると、すべて同じような形をした心房性期外収縮の後に心房細動が始まっていました。そこで彼は、心房細動患者の左心房にカテーテルを挿入し、その心房性期外収縮の場所を同定し、まさに心房細動が起きる瞬間の、局所の心電図をとらえた。
10.心房細動は「高頻度に興奮する心房筋=心房細動起源」によって発症することを明らかにした。また、その心房細動起源の多くは肺静脈に存在することも報告した。その当時、フランスのボルドー大学に留学していた現東京慈恵会医科大学循環器内科教授の山根禎一先生が、ハイサゲール医師が初めて肺静脈隔離をした際のエピソードを話してくれた。ハイサゲール医師が肺静脈内の心房細動起源を同定し、焼灼しようとしていたときに、突然、その心房細動起源ではなくハそこかち離れた肺静脈の入口部を焼灼し始めた。その場にいた医師は、彼が何をしようとしているのか分からなかった。ハイサゲール医師が肺静脈の入口部を一周焼灼したとき、肺静脈が電気的に隔離され、心房細動は起こらなくなった。皆が驚嘆し、山根先生は「新しい時代がやって来る」と確信したそうでである。その後山根先生は帰国し、東京慈恵医科大学でオリジナルの肺静脈隔離法を確立された。
11.山根先生の前にボルドー大学に留学していだのが、当時土浦協同病院で仕事をされていた著者の師匠である高橋淳先生である。ハイサゲール医師は4本の肺静脈をそれぞれ個別に一つずつ隔離していたが、高橋淳先生と上司の家坂義人先生は、左右2本の肺静脈を上下一括して隔離する方法(広範囲肺静脈隔離法)を考案し世界に発表した。発表した時は、そんな治療は不可能だと多くの医師に言われたが、、肺静脈を個別に隔離するよりも、広範囲肺静脈隔離法のほうが、効果と安全性の両面で優れていることが証明され、現在では、この方法が心房細動アブレーションの世界標準となっている。
12.肺静脈以外の15%の心房細動起源をどのように治療するのか。15%のうち7〜8%は上大静脈(上腕や頭部の静脈が心臓に戻ってくるときに通る血管)に存在する心房細動起源である。ここから出てくる心房細動は、肺静脈と同様、上大静脈を隔離することで治療可能である。上大静脈と右心房との電気的接合部位を焼灼することにより、上大静脈を隔離し、そこから出てくる心房細動起源を上大静脈内に閉じ込めて、心房細動を起こさないようにする。
13.上大静脈隔離の際に大きな問題になるのは横隔膜麻痺である。横隔膜神経は、上大静脈の真横を上下に走行し、横隔膜(胸部と腹部の境に位置する筋肉。この筋肉が上下することにより、胸郭が広がったり、しぼんだりしている)の動きをつかさどっている。上大静脈を隔離する際に、この横隔膜神経を熱でやけどさせると、横隔膜の動きが低下、もしくは完全に麻痺する。しかし、横隔膜神経の近くを焼灼する際に、カテーテルの先端を前方、もしくは後方に向けることで、この合併症を起こさずに済むようになる。ちょっとしたコツだが、合併症予防にとても重要な技術である。
14.肺静脈、上大静脈以外の心房細動起源を治療するのは、各個撃破しかない。心房細動起源をポイントをで探し当て、そこにカテーテルの先端を押し当てて焼灼する。心房細動のカテーテルアブレーションの中で、知講、経験、技術が最も必要な治療で、長い経験を積んだベテラン医師でないと治療は困難である。心臓内に留置するカテーテルの先端には電極がついており、そこから得られる心電図が外部のモニターに映し出される。
15.心電図データは60本以上ある。その中で、心房細動が起きる瞬間に、最も早く興奮する電気信号をとらえる。心臓の中の電気情報を集めるカテーテルはほぼ3〜4本しか留置していない。すべての心筋の電気情報を観察できるわけではないので、記録された心電図の中で、最も早く興奮する電気信号をとらえても、すぐに起源が見つかるわけではない。一つ一つの心電図を見ながら、電気の流れを想像し、心房細動起源がありそうな場所を予測し、そこヘカテーテルを移動させる。そして、発症している心房細動に対して電気ショックをかける。イソプロテレノールが効いた状態だと、洞調律に復した後もすぐに心房細動が発症する。また、その瞬間に同じ操作を行い、徐々に心房細動起源の場所を絞り込み、特定する。そのプロセスは、詰将棋に似ている。
16.心臓の解剖や、電気の流れ、マッピングカテーテルの位置などは、患者によって全く異なるので、心房細動起源を特定するための方法は、標準化、マニュアル化できない。個々の患者ごとに、術者が先輩に教えてもらったり、自ら学んだりして習得していくしかない。ここが、術者の腕の見せどころであり、治療成績を大きく左右する。
17.肺静脈隔離しか行わなければ、60〜70%の患者しか、心房細動は治癒できない。さらに多くの患者の心房細動を根治させるには、この非肺静脈由来の心房細動起源を焼灼するしかない。筆者の勤務する横須賀共済病院やクリニックでは、すべての心房細動カテーテルアブレーションにおいて、肺静脈隔離を行った後、必ず非肺静脈由来の心房細動起源がないか確認し、認められれば治療を加える。



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健康 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
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