2020年02月10日
どの程度心房細動が治るかは、アブレーションしてみないと分からない。発作性心房細動の患者に、100人中何人治ったという統計学的治療成績は算出可能である。
「桑原大志著:発作ゼロ・再発ゼロをめざす心房細動治療、 幻冬舎 2016.11.15」参考になる。第3章 発作の恐怖と決別する。完治を目指すカテーテルアブレーションとは」の概要の続きは以下の通りである。
1.カテーテルアブレーションを実施することで、心房細動ぱどの程度治るのかは、心房細動起源の数、場所、心房細動の罹病期間、心房の大きさ、アブレーションの実施施設などにより大きく変わる。以下に、筆者が勤務していた横須賀共済病院での研究結果を中心にまとめる。カテーテルアブレーションで発作性心房細動が治るか治らないかは、次の因子に左右される。
2.(1)心房細動がイソプロテレノールによって誘発されるか否か、(2)誘発された心房細動起源を同定できるか否か、(3)心房細動起源の数は一つか複数か、(4)心房細動起源は心筋の浅いところにあるか、深いところにあるか、である。
3.これらの因子は患者により異なり、アブレーション前には予測不可能です。そのため、どの程度心房細動が治るかは、実際にアゾレーションしてみないと分からない。しかし、100人の発作性心房細動の患者さんに、同じような方法で治療を行ったら、100人中何人治ったという統計学的治療成績は算出可能である。
4.その成績を述べると、カテーテルアブレーションと薬物の治療成績を比較できる。する。現在までに、その大規模臨床試験は世界に8つ存在する。これらの試験では、アブレーションを実施、もしくは薬剤を投与し、その後1年間、30秒以上の心房細動が出現しないことを成功と定義している。
5.各試験により結果は様々だが、これらの結果の平均値をとると、発作性心房細動はカテーテルアブレーションにより80%の患者さんで治癒しており、薬剤では30%に留まっている。