2020年02月18日

ソレイマニ司令官殺害の報道を聞いた金委員長が自分に対するメッセージと受け止めたとしても不思議ではない。


「大前研一著:アメリカとイラン、報復合戦のウラ情報、PRESIDENT、2020.3.6.」参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.2020年の国際社会は、アメリカによるイランの要人殺害という衝撃で幕を開けた。1月3日、米軍の無人機がイラクの首都バグダッドにある国際空港を襲撃、イラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官一行を殺害した。
2.イランには国軍〔正規軍〕とは別に国家安全保障を担う「革命防衛隊」という宗教指導者直属の軍事組織があって、独自の陸、海、空軍や情報部隊、特殊部隊などを有している。暗殺されたソレイマニ司令官は、革命防衛隊の中でも精鋭の特殊部隊である「コッズ部隊」を率いて中束各国で秘密工作を指揮してきたと言われている。
3.敵国に対して高度な破壊工作を行ったり、イランが支援するイスラム教シーア派系の武装組織や民兵に軍事訓練を施すのが、コッズ部隊の主任務である。隣国のイラクでは米軍施設や大使館などを狙ったシーア派系武装組織によるテロ攻撃が繰り返されてきたが、この武装組織を支援していたのがコッズ部隊であり、ソレイマニ司令官はイラクでの支配力を強めていた。
4.「革命防衛隊とソレイマニが指揮していた冷酷なコッズ部隊は長年、米国の軍人と市民を何百人も負傷させ、殺害してきた」とトランプ大統領は言う。ソレイマニ司令官の殺害を決断した理由についても「米国人の生命を守るために必要だった」と主張した。米メディアによれば、19年末、イラク北部の米軍基地へのロケット弾攻撃によって、アメリカの民問人と軍人に死傷者が出たことで事態が動いた。
5.国防当局はトランプ大統領に対して複数の対処プランを提示した。ソレイマニ司令官の殺害は、そのうち一番極端な選択肢だったという。官僚のやり方として、極端な選択肢を加えることで現実的な落とし所を選択しやすくするものらしい。ところがトランプ大統領は、その一番極端なカードを選択した。「想定していなかった」という国防当局の言い草もひどいが、世界経済の状況などとは無関係に、突発的にやってくるトランプリスクが一番顕著な形で示された例である。
6.宗教色が強いイランで、市民から崇敬されている革命防衛隊の英雄を標的にすれば、どんな事態を招くのかを、トランプ大統領は深く理解していなかったらしい。理解しないまま意思決定できる希有なリーダーである。ただし、トランプ大統領は襲撃ポイントにイラクの要人がいないことを確認してから作戦を実行するように指示したという。アメリカとしては巨額の戦費をかけてイラク戦争を仕掛け、独裁者サダム・フセインからイラクを解放して民主的な選挙ができる国にしたのだから、動揺させたくない。
7.しかし、スンニ派のフセイン大統領を排除して民主的な選挙を行った結果、イラクは多数派であるシーア派のリーダーが選ばれてシーア派政権の国になった。さらに、IS(イスラム国〕との戦いで国内のシーア派系武装勢力が活気づき、シーア派大国のイランが急接近するという結果を招いた。
8.元日産CEOカルロス・ゴーン氏が逃げ込んだ先で政治的に混乱しているレバノンは、シーア派系政治組織であり武装組織ヒズボラの影響が非常に大きい国だし、アメリカによる反政府勢力への支援.がありながらロシアのバックアップを受けてアサド政権が続くシリアもシーア派〔シーア派の一派であるアラウィー派〕の国家である。イラクがシーア派に塗り替えられたことで、レバノン、シリア、イラク、イランにまたがる「シーア派の一、三日月地帯」が完成した。三日月地帯に近接するイスラエル、そしてスンニ派大国のサウジアラビアにとっては大変な脅威だが、すべての発端は同盟国のアメリカが引き起こした湾岸戦争であり、イラク戦争なのである。
9.宗教と民族が複雑に入り組んだ中東を武力で押さえ込もうとしても簡単には収まらない。民主主義を押しつけても、マジョリティに支配させれば必ずイスラム政権が生まれ、反米に傾く。世界最強の暴力装置と世界最強の情報力を持ち.ながら、それをアメリカが理解していないことが問題である。それでも暴力装置のスイッチは、これまではわりと慎重な軍事のプロや官僚が握っていた。しかし、そうした人材はトランプ政権の中枢から次々追い払われて今やゼロである。
10.イスラエル寄りのファミリー&フレンドで固めたトランプ政権のリスクが、今回まさに顕在化した。「戦争を始めるのではなく、戦争を止めるために殺害した」とトランプ大統領は主張するが、ソレイマニ司令官を失ったイランは3日間喪に服した後、報復を宣言した。トランプ大統領はイランの報復があれば「イランの52ヵ所を標的にする」とツイッターで牽制した。「52」は1979年にイランの首那テヘランで起きた米大使館人質事件で人質になったアメリカ人の数というだけで、具体的な根拠がある数字ではない。
11.「イラン文化にとって歴史的に重要な場所も含まれる」などと脅かすから、ユネスコ{国連教育科学文化機関〕から抗議を受けた。イランは1月8H、イラクにある駐留米置基地2ヵ所に弾道ミサイル10数発を放って報復攻撃に出た。報復合戦がエスカレートしていよいよ本格的な開戦かと世界中が固唾をのんで見守る中、トランプ大統領は「アメリカ人の犠牲者は1人も出なかった。基地の被害も最小限度にとどまった」として軍事的な報復行動を取らず、対抗措置としてイランに新たな経済制裁を科ずことを表明した。
12.また、ソレイマニ司令官の殺害で渦巻いていたイランの反米デモは、革命防衛隊によるウクライナ民間機への誤爆でイラン側が陳謝するに至り、勢いは削がれてしまった。ひとまずこれで沈静化し、トランプの誤判断からあわや全面衝突か、という最悪のコースは避けられそうだが、トランプリスクは今後もついて回る。ロシアと中国がイラン支持を表明したことで、「第3次世界大戦」の勃発を危ぶむ声も聞かれる。
13.実際、19年末にはインド洋やオマーン湾でイラン、ロシア、中国の3力国による共同軍事演買が行われている。もし第3次世界大戦が勃発すれば、それは核戦争になる。核戦争の危険性などを評価して終末までの残り時間を示す「世界終末時計」が、今年に入って過去最短の100秒を切ったというニュースもあるが、肝試しの段階まで追い込まれる可能性はあっても、冷静に考えれば第3次世界大戦に発展することはないだろう。11月に大統領選を控えたトランプ大統領はイランとの決定的な衝突は避けたいだろうし、イランもアメリカと正.面切って戦えば勝ち目のないことはよくわかっている。
14.1月7日、イラン国会は米軍とトランプ大統領を「テロリスト」に指定する法案を可決した。イラクの米軍基地に報復ミサイルを撃ち込んだのは、その翌日のことである。厳しい経済制裁を受けて国民生活が逼迫しているイラン国内では、大規模な反政府デモが起きていて、国民一丸となって戦えるような情勢ではない。戦争より経済立て直し優先.が、イラン国民の本音である。
15.世界で一番恐怖したのは金正恩ソレイマニ司令官の殺害に誰よりも衝撃を受けたのは、北朝鮮の金.正恩委員長かもしれない。年末の演説で「正.面突破」という言葉を連呼して、核兵器やICBM(大陸間弾道ミサイル〕の開発再開を示唆する強気な盗勢を示してきた金委員長だが、年が明けてからは音なしの構え。姿すら現していない。韓国メディアは「ソレイマニ司令官殺害が北に対する最大の警告になった」と一斉に報じている。トランプ大統領は「彼は信頼できる男だ」と金委員長との良好な関係をアピールしてきたが、「まだ彼を信頼している」「私との約束を破ると思ってないが、その可能性もある」など徐々に評価が後退、近頃は「見てみよう」という言い回しに変わった。北朝鮮の出方次第では一番極端なカードを引き直す、つまり北朝鮮を攻撃する「鼻血作戦」や金.委員長の「斬首作戦」を決断しかねない。
16.ソレイマニ司令官殺害の報道を聞いた金委員長が自分に対するメッセージと受け止めたとしても不思議ではない。恐怖した金委員長が暴走した場合、韓国や日本に向けて何らかのトリガーが引かれる可能性は高い。ICBMはアメリカ本土に届かない可能性があるし、核弾頭を搭載しても確実に到着地で爆発させる技術はまだないと思われる。
17.2000発の短距離ミサイルは確実にソウルに照準を向けている。中距離ミサイルを中国やロシアに向けることはないが、日本方面に撃ち込んでくる可能性は十分にある。また金委員長.が暴走しないにしても、使えなくなった核やミサイル技術を、核開発を再開したイランに売り込む可能性は否定できない。イランとアメリカの葛藤は北朝鮮とアメリカの閲係にも伝播する。中東に派遣される自衛隊がホルムズ海峡に足を踏み入れないとしても、日本は「トランプリスク」の埒外にはいられないだろう。




yuji5327 at 06:36 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
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 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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