2020年02月19日

器具と薬物の発達により、専門医でない循環器医でも麻酔管理を安全に行うことが可能となった。


「桑原大志著:発作ゼロ・再発ゼロをめざす心房細動治療、 幻冬舎 2016.11.15」参考になる。第3章 発作の恐怖と決別する。完治を目指すカテーテルアブレーションとは」の概要の続きは以下の通りである。
1.心房細動アブレーションの焼灼は左心房が主体である。そこにカテーテルを到達させるためには、左右心房の間を隔てる壁(心房中隔)に穴を開ける必要がある。以前はこれが、カテーテルアブレーションの最初の難関であった。心房中隔には、卵円窩というたまご型をしたくぼみがあり、そこには数个稜い膜が張っている。この薄い膜に針で穴を開ける。従来は、レントゲンを見ながら針の先端から造影剤を流し、慎重に、針を突き刺す場所を探していた。しかし、レントゲンでは立体的な構造が分からない。誤って、心房の後壁を刺してしまい、心臓に穴を開けることもあった。最近は、この分野でも技術革新があった。心臓の中に入れる超音波エコーである。これで、観察すると心臓の中の様子がつぶさに分かり、針の先端がどこを刺しているのか一目瞭然である。
2.このエコーは使い捨てである。従来は非常に高価だったが、今や、エコープローベが心臓の中に入り、しかも使い捨てである。針も金属から高周波穿刺針へと変化した。金属針では、ある一定の圧で、薄い膜を押さなければならないので、人により、この膜はペラペラで弾力性に富み、いくら押しても、膜が伸びるだけで穴が開かないこともある。それに比較し、高周波穿刺針は、針の先端を薄い膜に軽く押し当て、一瞬、電気を流すだけで、穴が開く。しかも、先端は丸くなっているため、心房中隔穿刺後に針の先端が左心房の壁に仮に触れたとしても、そこに穴を開けたり、傷つけたりすることはない。
3.通常、電気ショックといえば、体外式電気ショックといって、胸壁から心臓をはさむように、大きな電流を流し、不整脈を止める。繰り返すと、胸壁はやけどする。この電気ショックが、日本の会社(日本ライフライン)の技術により、心臓の中にあるカテーテルで実施できるようになった。放電する電流が少なくて済むので、心臓へのダメージは軽微である。このカテーテルは、心房細動起源の場所を探索する際にとても役に立つ。起源を探すには、起こっている心房細動を一旦止めなければならない。患者によっては、必要な電気ショックの回数が10回以上になる。その際も、このカテーテルを用いると、心臓への負担が少ないので、ほぼ制限なく何回でも電気ショックを実施できる。
4.アブレーション治療は施設によりやり方は様々である。例えば、麻酔ひとつとっても局所麻酔のみで行っている施設もあれば、全身麻酔まで行っている施設もある。医師により、考え方は様々である。局所麻酔のメリットは術中に患者の意識状態の変化や痛みをいち早くとらえ、合併症予防に役立てる、ということである。しかし、心臓を焼灼すると、焼ぐ場所によっては激しい痛みを自覚する。アブレーション治療は痛い、と心房細動アブレーションを始めた頃に、よく患者から言われた苦情である。手術が終わって、最後に患者を覆っている手術カバーをはがすと、患者が全身汗でびっしょりということもあった。寝ている問に手術は終わってほしい、とほとんどの患者に言われる。著者は、アブレーション治療は全身麻酔で行ったほうがよいと思っている。その理由は、患者は痛みを感じず、手術を楽に受けられる、人工呼吸器により呼吸が安定し、心臓の上下運動が少なく、カテーテルの固定が容易で、治療効果が高まり、合併症予防にもつながる、患者に「痛い、痛」い」と言われず、術者のストレスがない、などである。
5.麻酔科医は多くの病院で不足し、外科治療の全身麻酔で大忙しである。麻酔科医がアブレーション手術についてくれる施設もある。しかし、それは稀で、実際のところは、循環器医がアブレーション治療をしながら全身麻酔をかけている。当初、麻酔に関して循環器医は素人だった。術中の麻酔は、気管内挿管、吸入麻酔、静脈麻酔など、専門医がしっかりと管理しなければならないものがたくさんある。しかし、器具と薬物の発達により、専門医でない循環器医でも麻酔管理を安全に行うことが可能となった。
6.麻酔をかけると呼吸が停止するので、肺に空気を送り込むために、気管内挿管をしなければならない。気管に直接チューブを送り込むので、術後にのどの違和感が続くことがある。しかし、今では、Igelという非常に簡単で、気管に挿入しなくても、咽頭に置くだけで安定して空気を送り込むことのできるものがある。また、麻酔薬も半減期がわずか数分で安全に使用でぎる「プロポフォール」という注射薬もある。仮に静脈麻酔で血圧が下がりすぎても、中止すれば効果はすぐに消失する。これらの医学の発展により、麻酔科医がいなくても。循環器医のみで安全に麻酔が実施できるようになった。
7.静脈麻酔を注射するためには、それを体に入れるために点滴ルートが必要である。その点滴をする際には、体に斜を刺さねばならない。その際、痛みを自覚する。最近では、その痛みさえもとるようなものもある。キシロカインテープ(商品名 ペンレス)というもので、針を刺す部位に30分間貼っておくと、針を刺しても痛みを感じない。患者が喜んでくれるものを考えることは、医療に携わる者としてはとても重要なことである。「アブレーションを全身麻酔」で、「針を刺すときに痛みを感じないように」と以前では考えられなかったようなことが現実のものとなっている。
8.「あの検査を手術前にやるなら、アブレーションは受けたくない」と多くの患者が訴える検査がある。それは、経食道心エコー検査である。心房細動患者には、左心房の左心耳というところに、血栓がついていることがある。そのような状態で、アブレーションを実施すると、カテーテルでその血栓を飛ばしてしまい、手術中に脳梗塞を合併する可能性が高いので、あらかじめそこに血栓があるかないか確認しておく必要がある。左心耳というのは、心臓との間に何の障害物もない食道から観察すると、きれいに描出できる。しかし、その経食道心エコーは、エコーの先端にカメラがついていないために、えんげ食道に挿入する際に、患者の「嚥下運動」の協力が必要である。つまり、人差し指の太さほどの管を飲み込まなけければならない。これが苦痛である。数%の患者はどうしても飲み込めなくて、検査自体がキャンセルになることもある。
9.奥の手は,胸部造影CTである。造影剤を注射した後に、タイミングを見計らって胸部のCTを撮影する。造影剤がしっかりと左心耳に流入していれば、血栓はないと診断できる。反対に、左心耳に造影剤が流入せずに、欠損像があれば、血栓がついているか、もしくは左心耳への血液流人速度が遅いことが考えられる。経食道心エコー検査は、そのような患者に限定して実施すればよい。実際に、そのような所見が得られるのは、全体の約1割である。その1割の4人に1人は、経食道心エコー検査で血栓が見つかる。造影CTを実施しなければならないので、コスト、造影剤アレルギー、放射線被ばくの問題が生じる。しかし、そのぶん経食道心エコー検査の件数が全体として減少し、患者の嚥下の負担はなくなり、また造影CTで得られた画像はそのまま、アブレーションに利用できるというメリットがある。それらを考慮すると、有望な検査の一つと思われる。

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健康 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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