2020年02月23日

国際海運で排出される温室効果ガスは、世界全体の約2〜3%、ドイツ1国分に相当する。排出ゼロへの取り組みは、ほかの産業にも影響を及ぼす。


「岡田広行著:脱炭素化で船舶が大激変 週刊東洋経済 2020.2.22」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して自分のコメントもカッコ内に付記して纏めると以下のようになる。
1.地球温暖化への対策が急務となる中で、海運や船舶のあり方が大きく変わろうとしている。100年以上にわたって主流となってきた重油などの石油系燃料から、温室効果を持つ、二酸化炭素〔CO2の排出が相対的に少ないLNG(液化天然ガス)への転換が急速に進みそうである。その先は、水素やアンモニアといった、CO2を排川しない燃料や、風力など再生可能エネルギーの利用も視野に入りつつある。
2.国際海運のルールを決める国際海事機関〔IMO〕は2018年4月に「温室効果ガス削減戦略」を採択し、「今世紀中のなるべく早期に、国際海運からの温室効果ガス排出ゼロを目指す」との目標を取り決めた。その際、30年時点での目標として「08年比で単位輸送量当たりの温室効塒ガス排出最の40%以上削減」に加え、50年時点での「国際海運全体での温室効果ガス排出総量の50%以上削減」(単位輸送量当たり温室効果ガス排出量の80%以上削減に相当、08年比)という数値目標が決まった。
3.エンジンの出力制限など30年目標達成に実効性を持たせるための具体的な規制内容については現在、日本やデンマーク、中国などが具体案を持ち寄りIMOの専門委員会で議論を続ける。30年目標については、「現在、考えられている対策でクリアできる」(大手海運各社)とみられている。一方、50年目標の達成については、越えねばならないハードルが多い。だが、どのようなルールが導入されるにせよ、既存の船舶を今までどおり運航させることは困難になるうえ、新たに建造される船舶についても燃料の転換が不可避である。
4.国際的な温室効果ガス削減の動きを見据えた仕組みが、国内でもスタートしている。日本郵船と商船三井、九州電力の3社は昨年12月、LNG燃料で運航する載貨重量9万5000トン級の大型石炭輸送船2隻の導入を内容とした基本協定書を締結した。この規模の石炭輸送船の建造は世界で初めてで、23年4月および6月に竣工する予定である。55.LNG燃料については、九電の子会社が福岡県北九州市に持つLNGの陸上出荷設備から2隻に供給する。LNG燃料の長所は、燃焼時の大気汚染物質排出が極めて少ないことにある。一般的な船舶燃料油であるC重油と比べて、硫黄酸化物についてはほぼすべて、窒素酸化物では約80%の削減が見込まれている。
6.一方、CO2排出の削減率は20-30%にとどまる。LNG燃料を用いるだけでは、IMOが目指す温室効果ガス排出ゼロや大幅な削減には届かない。だが、減速航行、船舶の設計改善、風力の活用などと組み合わせることにより、50年目標達成への有力な手段になりうる。加えて日本の強みも生かせる。というのは、海運大手3社はLNGの輸送実績で世界有数であるうえ、船員の訓練などオペレーションでも、従来のLNG輸送船の経験を生かせる。
7.LNG火力発電や都市ガス供給を通じて、日本は世界最大のLNG輸入国になっている。そのため、30以上の港湾にあるLNG受け入れ基地を改修し、供給機能を持たせることも可能である。造船業では数多くのLNG輸送船の建造実績がある。今後、船舶燃料の大部分がNGに切り替わると思う。今後建造する自動車輸送船の燃料についてLNG化する方針である。
8.商船三井は日本で初めてのLNG燃料フェリー2隻の建造を決定した。LNGを燃科とする自動車輸送船については、日本郵船と川崎汽船の発注によって、国内の造船所で2隻の建造が始まっている。いずれも20年秋に竣.工する予定である。LNG燃料を船舶に供給するためのインフラ整備も進みつつある。タンクローリーから船舶への供給方式に続いて、より大量の燃料を短時間で供給できるLNGバンカリング〔燃料供給〕船による供給も具体化してきた。
9.燃料価格の面でも、LNGに追い風が吹き始めた。今年1月に国際海運全体でSOx排出規制が始まったことにより、排煙脱硫装置を設置した船舶でなければ、硫黄分の多いC重油を燃焼させることはできなくなった。脱硫装置を設置していない船の場合、硫黄分の少ない「規制適合油」に切り替えなければならない。この適合油は従来のC重油と比べて割高である。
10.以前とは状況が変わりつつある。バンカリングに対するエネルギーメジャーの日の色も変わってきた」と指摘する。LNG燃料普及のカギを握るのが供給インフラの整備だ.日本郵船は従来の電力やガス会祉向けLNG燃料の輸送にとどまらず、船舶へのLNG燃科の供給業務を新たなビジネス分野に設定した。そのーつが、伊勢湾三河湾での合弁事業であり、九州・瀬戸内地区でも九電、西部ガスなどと協議を進めている。従来の輸送業のみならず、調達など関連分野にも広げる。海外でも、日本の海運会社はLNG燃料ビジネスを始めている。
11.LNGへの燃料転換は、温室効果ガスの排出最の抑制に効果があるものの、それ自体では排出ゼロにはならない。一方で、LNG化は船舶燃料の脱炭素化への移行をスムーズに進めるために有効である。LNG供給で用いられるインフラは、将来、有力なカーボンリサイクルメタンなど、脱炭素化を見据えた代替燃料にも活川できる。
12.IMOで取り決められた50年時点での温室効果ガス削減目標を達成するうえで、以下の2つのシナリオが有力だとされている。1つは、LNGおよびカーボンリサイクルメタンが、現在、船舶燃料のほとんどを占めている石油系燃料の大部分に置き換わるというシナリオがあり、さらに水素およびアンモニア燃料中心のシナリオもある。カーボンリサイクルメタンは、CO2および水素から合成したメタンである。天然ガスの主成分はメタンであるため、既存のLNGインフラに加え、LNG燃料船の技術も使用できる。ただし、生産過程でCO2を発生させないためには、再エネ電力で水を電気分解し、水素を生成しなければならない。それには再エネ電力のコストを抜本的に低減させる必要がある。CO2は、船舶の運航で発生する排ガスから集めることも検討されている。なお、カーボンリサイクルメタン自体が、新たに環境負荷を生まない「カーボンニュートラル」であるとの評価を得られることが前提になる。
13.一方、水素およびアンモニア燃料中心のシナリオでは、メリットとともに、特有の課題がある。水素およびアンモニアは燃焼時にCO2が発生しないため、ゼロエミッション燃料となる。ただし、水素は液化したときの熱量当たり体積がC重油の約4・5倍と大きく、船内に燃料貯蔵のスペースが必要である。また、液化ではマイナスー62度のLNGよりもはるかに低いマイナス253度に冷却する必要があり、供給インフラも一から造らなければならない。アンモニアはガスタービンでの燃焼実績があるうえ、水素と比べて熱量当たり体積が大きくないことから輸送しやすいといった長所もある。一方、毒性や強い臭気に関して設備や安全面での対策が必要になる。燃焼時に発生するNOxにはCO2の約300倍もの温室効果があるため、NOx低減対策も不可欠である。
14.水素と窒素を合成して製造するため、水素製造のコストにも強く影響を受ける。代替燃料には利点とともにさまざまな課題がある。しかし、IMOの目標である50年までに残された年数は多くない。「船の耐用年数を考慮に入れると、ゼロエミッション技術を盛り込んだ実験船を30年あたりまでに竣工させ、その性能を確かめたうえで、一斉に発注するスピード感覚を持って業界横断的に取り組む必要がある。
15.国際海運を通じて排出される温室効果ガスの総量は、世界全体の約2〜3%、ドイツ1国分に相当する。排出ゼロへの取り組みの行方は、ほかの産業にも大きな影響を及ぼす。



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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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