2020年02月24日

13年にJFEホールデイングスやIHIなど重工系の造船事業が統合したJMUも、地場系との提携は最近まで検討していなかった。


「高橋玲央著:中韓に敗退、業界再編へ、週刊東洋経済 2020.2.22」参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.日本に造船業が残れるか。「日本当の瀬.戸際だということである。2019年の年末、業界を揺るがすニュースが相次いだ。11月29日、国内1位の今治造船と2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU)が資本業務提携に踏み切ると発表した。LNG(液化天然ガス)運搬船を除く大型商船について、共同で営業・設計を行う新会社を設立したうえで、今治造船がJMUに出資する方向で手続きを進めている。さらに、12月18日に4位の三菱重工業が長崎造船所香焼工場について売却を含めた検討を始めると発表した。相手は3位の大島造船所。国内造船1-4位が一度に動き、業界再編の歯車が回り出した。
2.業界を悩ませ、再編へ駆り立てているのは、深刻な「舩余り」である。これは、08年のリーマンショック直前に受注・生産開始した船が大量に出回っていることが原因である。建造に数年かかる大型商船はリーマンショック後も高水準での建造が続き、11年には世界の建造量が1億総トンを超えた。だが、その後新造船への需要は増えないまま、現在ではピーク時の半分程度の約5000万総トンにとどまっている。
3.発注量の激減で各国の手持ち工事量は減少傾向が続き、過当競争に陥った造船業界は赤字も辞さない覚悟で受注を奪い合う。日本の手持ち工事量は適正とされる2年分の総トン数を直近で割り込んでいる。採算も厳しく、JMUが2月3日に発表した19年4〜12月期決算も131億円の営業赤字である。
4.昨年末発表の今治造船とJMUの資本業務提携は合併ではない。共同で行うのはあくまで設計と営業活動にとどまるが、業界に与えた衝撃は大きかった。それは、水と油とまでいわれた「重工系」(JMU)と「地場系」(今治造船)の2社が手を組んだからである。戦前の軍用艦をはじめ、戦後もタンカー大型化など国家プロジエクトを手がけてきた重工系に対し、創業家が強いリーダーシップを発揮し、一族の結束を重視する地場系では造船所の運営から経営方針の決定プロセスまであらゆるものが違う。
5.13年にJFEホールデイングスやIHIなど重工系の造船事業が統合した成り立ちを持っJMUも、地場系との提携は最近まで検討していなかった。それを一気に覆したのが、19年に相次いだ統合ラッシュだった。19年3月には世界一位の現代重工業(韓国)が3位の大宇造船海洋(韓国)を買収することで最終合意したのに続き、中国でも国有の中国船舶工業集団と中国船舶重工集団が経営統合する。
6.環境規制の強化や世界経済の発展に伴い船の需要が再び増勢に転じるには、4〜5年かかる。市況が厳しい中、世界中で進むのが、業界再編による大規模化だった。なぜ大規模化が進むのか。こうした動きは、直近の厳しい状況で生き残るためだけではなく、今後の市況反転時に攻勢に出るための足場づくりの意味合いが強い。顧客である船主も大規模化が進んでおり、大型商船を一度に多数受注・建造できるほうが優位に立てる。
7.日本勢は完全に出遅れた。海運会社は日本への発注量を減らし、日本の船主ですら中韓の造船会社へと発注先が移りつつある。国土交通省によると、1995年には96%だった海運会社の国内調達比率が16年には77%に低下。その後も取引額の大きいLNG運搬船などで中韓への発注が相次いでおり、現在では比率はさらに下がっている。
8.中韓の企業は政府による手厚い支援があることも、日本勢の立場を苦しくしている。韓国の大宇造船海洋に対しては政府系金.融機関が1兆円を超える金融支援をしているとされ、日本政府はこれを世界貿易機関(WTO)のルールに違反するとして2国間協議を求めているが、韓国側が応じるかは不透明である。中国、韓国の造船について、安い船価提示に対抗できない。勝ったと思ったら、ライバルがゾンビのようによみがえる。これまでの考え方では戦えない。
9.日本勢の苦戦を象徴するのが、船価の高いLNG運搬船である。競争環境は日本にとってあまりにも厳しい。技術的な課題を克服するため、開発費用が膨らみがちだが、中韓勢は潤沢な資金.を使って次々と量産に乗り出している。日本のJMUも14年に難易度の高い大型LNG運搬船を4隻受注したが、工事が遅れ、16年度と17年度に相次いで工事損失引当金.を計上。17年度は最終損益が698億円の大赤字になってしまった。これに懲りたJMUは現在、LNG運搬船の受注活動を積極的には行っていない。三井E&Sホールディングス(旧三井造船)と川崎重工業は中国の合弁会社での建造が主力になっていく見込みだ。三菱重工は長崎・香焼工場を売却すると、LNG運搬船などのガス船事業から事実上撤退することになる。ガス船については中韓の追い上げが激しい中、コスト競争で劣る。
10.護衛艦やフェリーを建造する長崎の本工場は残し、今後はこうした特殊な技術が必要な船に特化していく。造船会社によって得意とする方式が違い、それが不利に働いている側面もある。日本の海運会社も、日本の造船には頑張ってほしい、とはいうものの、LNG運搬船は船主だけでなく資源を開発する荷主の方針で採用される船の仕様が決まるのが実態である。LNG船のタンクについて、世界中で主流になりつつあるのはメンブレン方式とよばれるもの。JMUはSPB方式という独自技術を用いたが状況は厳しい。
11.三菱重工などの日本の他社が造るLNG船もモス方式というもので、こうした違いいがで日本勢の発注を妨げる要因のーつになっている。LNG船でマジョリティーが確保できない以上、日本の造船業が世界で存在感を高めていくことは難しい。
12.歴史をたどれば、日中韓による三つどもえが固まったのは、00年以降である。この年、韓国がそれまでトップだった日本を抜き建造量世界一に躍り出た。背景には、それまで圧倒的な1位を誇っていた日本が供給過剰に対応するために行った合理化や人員削減で、優秀な技術者と造船ノウハウが韓国に流出したことがある。韓国に続く形で中国も造船業の育成に着手。10年に韓国を抜き世界トップになった。
13.売上高2兆円、従業員8万人に上る日本の造船業界は、かつて日本の高度成長を支えた基幹産業だった。圧倒的なシェアを握り、ピーク時の85年には世界の新造船の50%を日本が占めていた。海運・舶用機械といった他産業とともに「海事クラスタ」を形成し、オイルショックやプラザ合意後の円高といった逆風に対しても、協力して対応する体制をつくっていた。海に囲まれた日本にとって、造船・海運は今でも欠かすことのできない産業とみる向きは強い。業界の裾野は広く、大型商船で培ったノウハウが国内で使う中型船や海上保安庁などの艦船などにも生かされる。瀬.戸内や九州では基幹産業になっている地域も多い。
14.2月3日にはJMUが、舞鶴事業所での新造船を終了すると発表した。今後、競争力を失った大型商船分野で、造船所の廃止・縮小の動きが加速する可能性が高い。造船業に対する国の支援が必要との意見も根強い。国土交通省は19年度、海事産業将来像検討会を立ち上げ、海事産業の将来像について議論を始め、3月には最終報告をまとめる予定である。中韓のような露骨な支援が難しい中、進むべき針路を示すことは難しい。


yuji5327 at 06:22 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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