2020年02月26日

精密測定による1日の長さの変動の単位は1000分の1秒での変動があるが、大気がこれに敏感に呼応している。


「木本昌秀(東京大学海洋研究所・教授):熱帯の巨大雲塊の動きが影響? 微妙に変わる1日の長さ 週刊ダイヤモント 2020.02.22」は面白い概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.1日は24時間だが、精密に計ると1日の長さは毎日24時間ちょうどではなく、微妙に長くなったり短くなったりしている。地球の形や大きさを正確に求め、さらにそれらの時間的変化を明らかにする学問は、測地学と呼ばれる。地球上の大気の動きを調べる気象学は、かなり異なった両分野の関わ合いは以下の通りである。
2.1日の長さの地球の自転周期の精密測定は、はるか遠くの銀河系外の天体からの電波を利用して行われる。大きなものでは直径30mを超すパラボラアンテナで受けた電波の波形を地球上の2地点で比較することにより、片方が他方と同じ信号を受け取った時刻の遅れを計測し、電波の速さで割って距離を測る。電波は、1秒に30万kmという光の速さで進むので、この測定のためには、2地点間でピタリと同じ時刻を示す時計を使う必要がある。高精度の原子時計の登場がこれを可能にした。最新のものの誤差は、1000億分の1秒である。
3.多数の天体を用い、世界中の多数のアンテナのデータを解析すると、地球上の各点の位置やその動きが極めて正確に分かる。自転速度の変動も、その一つである。このような精密測定による1日の長さの変動の単位は1000分の1秒で、誰も気付かないほどの大.きさの変動であるが、大気がこれに敏感に呼応している。
4.自転軸を回る大気の、地面に対して相対的な動き、つまりは西風の強さと、その場所、高さの大気質量とを掛け合わせて、全球で足し合わせる。固体地球とその上に乗る大気の持つ角運動量は、外力が加わらない限り、一定に保たれる。これは、フィギュアスケーターが、フィニッシュのスピンで、最初は広げていた腕をだんだん縮めて回転を速めてゆくときに使っている原理である。
5.回転軸周りの角運動量は、回転の速度と回転軸からの距離、それに回転している物体の質量を掛けたものだが、これが一定ということは、腕を縮めれば、その分回転速度が上がる。この保存則によって、固体地球とその上に乗った大気の角運動蹟の合計が保存するので、片方が変化する、例えば固体地球の自転が遅くなれば、その分大気の角運動量(=西風〉が増加する。
6.大気の風は、必ずしも全球均一な稠密観測が行われていないのだが、観測所のデータに衛星などからのあらゆる情報を加えて天気予報のための全球解析値が毎日求められている。全く別の方法で求められた、1000分の1秒以下の大きさの自転速度変動の正確さで一致している。大気のデータは風だけではないので、このような変動がどんな気象現象に伴うものかも調べることができる。
7.赤道上での対流活動の東西の動きもわかる。赤道上の巨大雲塊とそれに伴う対流抑制域〔赤)のゆっくとした東進もわかる。全球大気角運動量は、熱帯での巨大雲塊の動きに伴って数10日スケールで変動し、それが自転周期の変動に反映されてる。
8.MJOの1カ月予測は、気象界のホットな話題であるが、自転速度のデータが予測に直接寄与するわけではない。しかし、測地学の精密測定が直接に気象予測のデータとして利用されている例もある。カーナビやスマホの地図アプリで用いられるGPSは.米国の衛星を使ったものの呼称である。GPSは、位置が正確に分かっている複数.の人工衛星からの電波信号の到着時刻の差から端末の位置を割り出す。ここでも正確な時計が重.要である。水晶時計の精度が限られるスマホの場合は位置特定の精度もそれなりだが、国土地理.院のGEONETのような本格的な受信システムでは位置特定精度が高く、それだけに電波が大気中を伝搬するときの遅延や屈折が位置測定にとってのノイズとなる。
9.逆に気象学側からすれば、これら大気による遅延・屈折を詳細に解析することで大気中の水蒸気景の情報を得ることができる。時空間的な変動の激しい水蒸気データは貴重.である。GPSを用いた水蒸気情報の取得には、大きく2つの方法があって、地上で直接受信した電波の大気遅延に基.つくものと、GPS衛星.からの屈折した電波を低軌道衛星.で受けるえんぺい法と呼ばれるものがある。前者は水平分解能に優れ、GEONETによるデータが日本付近の天気予報に用いられる。後著は水蒸気の鉛直分布の推定が可能で、貴重なデータとして全球の解析にも用いられている。
10.GPS水蒸気情報を使った場合と使わなかった場合の予報を比べると、GPS水蒸気情報の導入により、強い雨の予測精度が向上し、強過ぎる雨量の予報が改善されている。GPSえんぺい観測は、他にも観測の困難な大気重.力波や積雪深測定等にも応用されている。近年、揺れる海上の船舶でも川いることのできるGPS受信機の開発が進んでおり、貴重.な洋上での水蒸気情報を与えるものとして期待されている。


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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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