2020年02月28日

原子力にとっての最大のリスクは、「政治リスク」、厳密に言えば「首相官邸リスク」である。


「橘川武郎(東京理科大教授):官即"ゆがめるエネルギー政策・原発建て替え議論回避の無責任 週刊エコノミスト 2020.3.3」参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.原子力にとっての最大のリスクは、「政治リスク」、厳密に言えば「首相官邸リスク」である。2018年に閣議決定された第5次工ネルギー基本計画は、30年の電源構成を原子力20〜22%、再生可能エネルギー22〜24%、火力56%とするとともに、50年時点で
も原子力に「実用段階にある脱炭素化の選択肢」として高い位置づけを与えた。
2.一方で、安倍内閣は、それまでと同様に第5次計画の策定過程においても原発の建て替え(リプレース)に関する議論を回避し、問題を先送りした。このことは、明らかな矛盾である。というのは、リプレースに正面から取り組まない限り、30年に20-22%の原発比率を確保することはできないし、50年に原子力を「脱炭素の選択肢」として維持することも不可能だからである。
3.ここでリプレースを強調するのは、原発.をどんどん推進せよという意味ではまったくない。脱炭素の選択肢として原発を多少なりとも使い続けるのであれば、危険性の最小化が絶対的な前提条件となるから、より危険性が高い古い原子炉を積極的に廃止し、より危険性が低い新しい炉に置き換えるべきだと考えるからである。
4.リプレースは、「原発.依存度を可能な限り低減する」という国民世論の期待や安倍内閣の公約と矛盾しない。リプレースを行うにしても、30年の原発.依存度は最大限15%程度にまで押し下げるべきである。可能な限り低い依存度の枠内で原発リプレースを進めることが、将来において原発を使用する際の唯一の責任ある道だと言える。
5.安倍内閣がリプレースを回避するのは、選挙がこわいからである。安倍1強時代が7年以上も続いているのだから、そんなはずはないという反論があるかもしれないが、安倍首相が獲得をめざすのは、国会の議席の過半数ではなく、3分の2以上である点である。6.憲法こ改正をめざす首柑からすれば、原子力のような微妙な問題に深入りすることは得策ではない。安倍政権が続く限り、リプレースが正面から取り上げられることはない。リプレースが取り上げられない限り、原子力の未来は開かれない。原子力にとっての最大のリスクは「官邸リスク」だと指摘したゆえんである。
7.昨年発覚し、大きな社会的批判を呼んだ関西電力の金銭授受問題もまた、原発リブレースのゆくえと深くかかわっている。日本の原子力開発は、「国策民営」方式で進められてきた。福島第1原発事故のあと、事故を起こした当事者である東京電力が、福島の被災住民に深く謝罪し、ゼロベースで出直すのは、当然のことであるが、それだけですまない。
8.国策として原発を推進してきた以上、関係する政治家や官僚も、同様にゼロベースで出直すべきであるが、彼らは、それを避けたかった。そこで思いついたのが、「たたかれる側からたたく側に回る」という作戦である。
9.この作戦は、東電を悪役として存続させ、政治家や官僚は、その悪者をこらしめる「正義の味方」となるという構図で成り立っている。その悪者の役回りは、やがて、東電から電力業界全体、さらには自由化に消極的だった都市ガス業界全体にまで広げられた。10.政治家や官僚は、火の粉を被るおそれがある原子力間題については、深入りせず先送りする姿勢に徹した。このように考えれば、福島第1原発事故後に政府が、電カシステム改革や都市ガスシステム改革には熱心に取り組みながら、原子力政策については明確な方針を打ち出してこなかった理由が理解できる。熱心に「たたく側」に回ることによって、「たたかれる側」になることを巧妙に回避しようとしたのである。


yuji5327 at 06:43 
エネルギー問題 
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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