2020年03月10日

処理すべき情報の量や質が急激に変化したため、従来の常識が通用しなくなった。新しい常識も生まれいる。

「増井俊之著:情報処理との闘い、學子會会報No.941(2020-)は参考になる。概要をまとめると以下のようになる。
1.人が求めることは長い間あまり変わっていない。面白い話を見たり聞いたり、友人と会話したり、美味しいものを食べたりしたいのは昔も今も同じである。こういう要求を満たすには「情報」が必要である。コンピュータは「情報処理」を行なう機械だと考えられているが、人間の行動の多くも情報処理である。電話やテレビのような革新的技術は人間の情報処理能力を強化してきたが、読書から送金まであらゆる点で社会を変えたWebは人間生活全体に衝撃的な影響を与え続けており、IoT的な全世界コンピューティング時代にはさらに大きな変化があると思われる。
2.処理すべき情報の量や質が急激に変化したため「従来の常識」が通用しなくなってきた一方、「新しい常識」も生まれてきていて大変である。指で画面を拡大するのは常識、。つぶやくと電気がつく常識など、常識や直感や本能が不確かになった現在、人間はどういう「情報処理」を行なえばよいかも考えさせられる。
3.情報は「整理」や「管理」が必要である。本も書類もDVDも口に見える情報なので、整理するのも捜すのも隠すのも簡単だったが、Web時代のデジタル情報は見えないうえに置き場所がよくわからないので厄介であり、心配事も多い。Web時代の情報の整理、管理する方法を考えてみる。将来のコンピュータは、人間の情報処理をどのように助けるかを考える。
4.情報の整理職場でも家庭でも沢山のコンピュータ情報の整理が必要である。仕事の情報は効率良く整理しておきたいし、Webでみつけた情報は個人的に保存して整理したい。普通の人は整理や片付けは得意でない。さまざまな片付け術や整理法が提案されているが、家やオフィスでは整理が行き届かない棚やフォルダがゴロゴロしている。棚や箪笥でモノを整理するには「分類」が必要だが、分類方法を決めるのは難しく、そもそも分類しにくい
5.パソコン上の書類や写真のような情報は実体が無いので、さらに整理が難しい。昔の人は紙の写真をアルバムに貼って整理していたが、スマホ人類はそんな面倒なことをしておらず、Webサービスに丸投げしたり、どこかのフォルダに放り込んだまま放置している。これはファイルの情報整理が難しいからだろう。歴史的経緯により、パソコ.ンのファイルはフォルダを使って「階層的管理」するのが常識だと考えられており、階層的情報整理の原理自体は単純で美しいのだが、情報をどこに置けばよいか考えるのは難しい。
6.分類方法を考えるのも面倒なので、結局何でもデスクトツプや「その他フォルダ」に放り込んでしまい整理が破綻する。これには解決策が存在する。デジタル情報の整理が破綻するのは、情報は階層的に分類して整理するべきだという思い込みに起因する。「検索機能」と「情報間リンク」を活用すれば問題は解消する。Webの情報は分類されないのに、優秀な検索エンジンと沢山のリンクのおかげで破綻せずにすんでいる。個人的な情報でもWebと同じように検索とリンクを適用すれば、雑多なデジタル情報の管理が楽になる。私は長年の考察の結果として開発した「Scrapbox」というシステムでこれを実現しており、今は悠然と情報整理を楽しんでいる。
7.分類が整理の基本だという古い常識が不幸の原因だった。「Scrapbox」はブラウザから編集/利用できるWeb「ページの集合(WiKi)で、階層構造を使わずページ間のリンクで情報を整理する。リンクをたどることは、脳内での芋ずる式の記憶想起に似ており、脳をコンピュータにアウトソーシングしているようなものである。「Scrapbox」を使うようになると情報整理が楽しくなる。新しい常識の勝利である。
8.あらゆる情報をネット上に置くのが普通になってきている。情報をネット上に置く場合、公開情報と秘密の情報を区別して管理するための「情報セキュリティ技術」が重要になるが、秘密情報の管理は難しい。LANケーブルやWiFiなどのハードウェアが安全か、接続先が本物か、暗号通信が安全か、などの検証が必要であり、個人認証も必要である。9.暗号通信の歴史は古い。昔の暗号化手法では、通信する両者が秘密の暗号鍵を持っている必要があったが、暗号化と復号に異なる鍵を利用できる「公開鍵暗号」の発明によって暗号通信の応用範囲が広がり、現在はあらゆる通信で公開鍵暗号方式が利用されている。また通信相手が信用できることを保証するための「認証局」を利用するPKIというインフラがインターネットの安全の基礎として利用されている。
10.公開鍵暗号もPKIも重要な技術であるが、複雑な原理にもとついているので理解が難しく、問題があっても気付かないかもしれない。なんとなく「みんな使ってるから大丈夫なのだろう」と信用して使わざるをえない。暗号通信やハードウェアのセキュリティは厳しくチェックされていることが多いので、大抵の通信は安心して使えると期待できる。このため、一般人が最も注意する必要があるのは「個人認証」の部分である。鍵やカードのような認証ハードウェアは馴染みがあるし、指紋や虹彩を使う生体認証も普及しつつあるが、現在のネット環境で最も広く使われている認証手法は「パスワード」である。
11.コンピュータを共同利用するためにパスワードが発明されたのは1961年だが、60年たった現在も広く利用されている。パス.ワードの利用には文字入力装置が必要で、記憶するのが大変なのに攻撃は簡単で、欠点だらけの認証手法なのだが、あらゆる面でパスワードより有利な認証手法が存在しないため、いまだに広く使われている。複数のサービスで同じパスワードを使っていると、どこかでパスワードが流出したときすべての情報が危険に晒される。このため、サービスごとに異なるパスワードを使うことが強く推奨されている。しかし沢山のパスワードを覚えるのは不可能だから、いろいろなパスワードを記憶しておくための「パスワード管理システム」が使われるようになってきた。しかし、パスワード管理システムを使うには「マスターパスワード」の記憶が必要であるうえに、どこでも動くわけではなく、究極のソリューションとは言いがたい。またパスワード管理システムはどこかにパスワード情報を記憶しているわけだから、流出する危険があり、実際に事故も発生している。パスワード管理システムにパスワードを覚えさせるのは最善ではないので、私は「EpisoPass」というシステムでパスワードを「生成」して使うようにしている。
12.「EpisoPass」では、パスワードを記憶するかわりに自分の昔の記憶からパスワードを生成する。「公園で転んだのは?」のような些細な記憶に対して「奈.良」のような回答を選択することで乱数的な文字列を生成し、それをパスワードとして登録して利用する。ブラウザがあればどこでも使え、ネット接続が不要なので情報が漏れる心配がない。また自分の体験にもとつく記憶は忘れる心配が少なく、質問文をオープンにしても大丈夫なので、情報管理に気を使う必要がない。自分で考えたパスワード文字列をどこかで記憶しておくものだ、という古い常識を捨てることによって有用なシステムを作ることができた。
13.人類は日本住血吸虫や天然痘などとの闘いに勝利してきた。デスクの上の大きなブラウン管モニタとの闘いも過去のものになった。昔は情報の量が少なかったので情報処理と闘う必要は少なかった。情報処理との闘いは現代に特有のもので、将来は忘れられてしまうのかもしれない。中島敦の「名人伝」に出てくる趙の紀昌は、厳しい修行によって弓の名人になった結果、弓とは何だったかすら忘れてしまった。技術と人間が共進化して、情報処理との闘いのことなど誰もが忘れてしまう未来のために貢献したい。




yuji5327 at 06:28 
共通テーマ 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





地域別アクセス

ジオターゲティング

ジオターゲティング
livedoor プロフィール

yuji5327

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード