2020年03月13日

眠っている状態から、行動するために必要な準備にエネルギーを使う。ぽーっとしている時も、行動を起こす時のために脳を動かしいる。


「藤田一郎(大阪大学教授)著:脳にも暗黒エネルギー? ぼんやり時に働く脳の回路 週刊ダイヤモンド 2020.3.14」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.なんだか疲れたな。そなんな時は、しばらく窓の外をぼんやり眺めたり、ソファに寝転がり腕枕でもしてくつろいだりして、身も心も休めるに限るが、このような時も脳は働いている。体を休めている時にこそ活発.に働くシステムが脳の中にはある。脳はいつでも活動しており、寝ているからといって活動を止めているわけではないことは、脳波が発見された当初から明らかだった。脳波を初めて記録したハンス・ベルガーは、1929年の論文の中で、生きている限り脳波は止まることがないことを報告した。だが、この発見は当たり前と受け止められ、驚く人は少なかった。多くの研究者は、安静時の脳の活動は機能を果たしておらず、意味のない揺らぎであ.ると考えた。
2.70年代、キセノンSPECT法という方法を用いて、安静時の脳内血流の空間的な分布を調べていたデビッド・イングバールは、安静時の前頭葉の血流が、後頭葉や側頭葉に比べて20〜40%も高いという意外なデータを得た。
3.脳の局所における血流の量はその場所における神経細胞の活動の度合いを反映している。このことと、脳の異なる領域は異なる機能を果たしていることを併せて考えると、このアンバランスな血流分布は、安静時の神経活動がなんらかの特別な機能を持つことを示唆している。
4.イングバールは、安静時の前頭葉の活動は、体を動かしたり話をしたりすることを「心の中でシミュレーションする」ことに関わっているのだろうと解釈した。その後、80年代にはPET法、90年代にはfMRI法などの脳機能イメージング法が実用化され、ヒトの脳機能研究が大きく動きだした。
5.その目標の一つは、脳の機能分化の詳細を明らかにすること、すなわちさまざまな認知機能が脳のどこで担われているかを明らかにすることであった。例えば、音読に特異的に関わる領域を探したいとき、よく行われる解析では、被験者に音読してもらった時の血流の分布と黙読してもらった時の血流の分布を比較し、音読から黙読を差し引いた時に大きな値を示す脳の領域を探し求める。
6.この時単に差し引くのではなく、まず、それぞれの血流量から、安静状態での血流量を差し引いておく。安静状態の活動はノイズであって、その影響を除外した上で音読と黙読の機能に関わる比較をするという発想である。これは今日でも使われている手法である。
7.この解析手法を用いると、負の値を取るケース、すなわち課題を行っている最中の血流量より安静時の血流量が高いというケースが出てきた。そのような場所の一つが、イングバールが血流量の亢進を観察した前頭葉である。諜題を行っている時に活動が下がり、安静時の方の活動が高いこの現象はタスクネガテイブ反応と呼ばれる。コ安静時の神経活動は低くノイズにすぎず、行動する時に意味のある強い活動が起きる」という従来の考えを変えなくてはならなかった。
8.2003年、この研究分野に大きなプレークスルーが起きた。安静時の血流量の時問変動を調べていたマイケル・グレシウスらは、内側頭頂葉皮質、頭頂葉外側部の活動がおよそ1周期10秒のゆっくりとした振動を起こしており、これらの領域の間でその振動が同期していることを発見した。このことは、安静時に、これらの領域が情報のやりとりをして一団となって働いていることを意味している。この神経システムは当該分野を長年けん引している研究者マーカス・ライクルによってデフォルトモード:不ットワークと命名された。
9.デフォルトモード・ネットワークを構成する複数の領域は脳の中で離れた所に位置している。視覚系や聴覚系などの感覚経路や行動の制御を行う運動経路が互いに近接する領域群で構成されているのとは随分異なる。これらの複数の領域を結ぶ神経連絡の様子も、今日では判明しつつある。
10.ライクルはまた、デフォルトモード・ネットワークの活動を「脳の暗黒エネルギー」と表現した。彼の見積もりによれば、何か特定の課題を行うことに必要なエネルギーは安静状態で使われているエネルギーの5%にすぎない。脳が消費するエネルギーのほとんどはデフォルトモード・ネットワークによる安静時の活動に使われている。
11.そんなにもエネルギーを使っているのは何のためか。ぼーっとしていたり、眠っていたりした状態から、意識を持って行動するために必要な準備ではないかというのが一つの考えである。車のアイドリングにしばしば例えられ、必要な時に車を即座に発進するためにエンジンをかけたままにしておくように、ぽーっとしている時も、行動を起こす時のために脳を動かしておかねばならない。
12.睡眠時に昼間の出来事を記憶に固定する過程が起きるが、この機能にデフォルトモード・ネットワークが関わっていることも提唱されている。さらには、アルツハイマー病、うつ病、自閉症、統合失調症.においてデフォルトモード・ネットワークの領域間機能結合に変化が起きていることも示されており、これらの精神・神経疾患や発達障害との関連も注目すべき研究.課題となっている。
13.体を休めるといえばじっとしていることだが、心を休めるというのはどういうことなのかは、おそらく構成する領域間の同期が正しく行われ、 一体としての機能が健全に働くようにすることではないかと想像する。




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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
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