2020年03月14日

多くの企業は市場で強い基盤を持つようになると、小さな変化を感知しようという気構えや能力が退化し、進化が止まる。


「校條浩著:シリコンバレーの流儀 イノベーションのジンンマを超えて 週刊ダイヤモンド 2020.3.14.」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.ハーバードビジネススクールのクレイトン・クリスノテンセン教授が1月23日、67歳で亡くなった。同教授は1997年に出版された「イノベーションのジレンマ」の著者として、有名である。出版された時期はインターネットが商用化されたばかりで、シリコンバレーでイノベーション戦略のコンサルティングをしていた私もむさぼるようにこの本を読んだ。  
2.「正しい努力を続ける優良企業の事業が、なぜ新興企業にひっくり返されてしまうのか」という疑問に真っ向から答えており、多くの企業に貴重な指針を与えた名著である。イノベーションのジレンマとは、「確固たる地位を築いた企業が顧客の二ーズに対応して、より高度な製品・サービスを提供しようとするほど、新興企業に足をすくわれる」ことである。
3.イノベーションには、従来製品の改良を進める「持続的イノベーション」と、従来製品の価値を超えた新しい価値を提供し、従来製品を破壊してしまう「破壊的イノベーション」がある。既存の企業は持続的イノベーションで自社の事業を成り立たせているため、破壊的イノベーションに気が付かないか、気が付いても目をそらす傾向がある。クリステンセン教授は、既存企業に対してその危険性を訴えた。
4.2000年に日本語訳が出版されてからは、日本企業の多くの経営者やマネジャーが読んだはずである。それなのに、なぜ日本企業の行動はその後も変わらず、「空白の20年」を経てしまったのだろうか。
5.クリステンセン氏が挙げた、破壊的イノベーションに既存企業が対応できない理由を復習してみると、ヾ存企業では株主の意向が優先されるので、既存顧客を中心にして短期的利益を求める。⊃靴靴せ業は市場規模が小さいので、大企業の成長ニーズを満たせない。まだ見えていない未来市場は分析・評価しようがなく、事業計画が立てられない。ご存企業に高度な技術があっても、それを必要とする需要は証明できない。
6.既存企業には事業を継続するという絶対的使命があり、既存の顧客の満足度を維持・改善し続ける運命にある。まだ顕在化していない市場での初期の新しい顧客、新しい製品・サービスには目が行かない。この点に気付けば、既存企業は、意識して新しい製品・サービスや新盟釜業に目を配ればいいはずなのに、破壊的イノベーションの後塵を拝すのは、持続的イノベーションは自社の事業改善という明確な目的を自覚できるが、破壊的イノベーションはそうはいかない。
7.新しい事業や会社を起こす人たちは、それがイノベーションだからという理由で活動するわけではない。新しい顧客層や顧客ニーズに応えようという思いを強くして事業を起こすのであって、それがイノベーションかどうかは関係ない。それは後になって市場や既存企業から認知されたとき、初めて「イノベーション」といわれる。「破壊的」だったかどうかも同様である。既存企業が実際に大打撃を受けた後に初めて破壊的だったと認知される。
8.破壊的イノベーションは、初めから看板を提げて迫ってくるものではない。だから、既存企業は市場の隅で生まれた新しい製品・サービスの中から新たに成長するもの、あるいは自社の製品・サービスを駆逐する脅威となり得るものを感知することができない。しかも、多くの企業は市場で強い基盤を持つようになると、小さな変化を感知しようという気構えや能力が退化し、進化が止まる。
9.ヒエラルキーの頂点に立った恐竜と化していく。既存企業が恐竜のようにならないためのヒントを、環境変化の中で人類が生きるために食に関して適応してきた歴史の中に見ることができる。われわれの祖先は、長い間アフリカ大陸で主に肉を食べていたが、およそ6万年前に起きた気候変動による寒冷化で食べ物が乏しくなり、民族移動が起きた。しかし、食べ慣れた物は見当たらないので、初めての物も食べないと生きていけない。その過程で、今まで無視してきた苦味のある物の中にも、栄養のある食材があることを発見する。その経験が積み重なって、苦味を「積極的に食べたくなる味」として記憶することになった。同時に、脳の一部「眼窩前頭皮質」が高度に発達して「悟報司令塔」として働くようになった。
10.舌で苦味を感じると脳は反射的に「毒」だといったんは認識するが、情報司令塔が記憶を参照し、「これは体に良い苦味」だと判定。すると「おいしい」と食欲を促す。これにより人類の食の幅が広がり、生活が格段に豊かになった。日本は、敗戦という環境変動によるダメージから産業を復興させねばならなかった。なじみのなかった技術への挑戦、先進的なマーケティングの吸収、グローバル市場への展開など「苦味」のあるビジネスに果敢に挑戦し、進化した「苦味センサー」を身に付けたといえる。気が付くと、「おいしい」事業を数多く成功させてきた。
11.人類の食の歴史では、集団で協力して生き抜く道を選んだ人類の祖先は、次第に他人の考えに対して自分のことのように共感できる能力を身に付けていった。この共感能力が発達すると、仲間がおいしそうに食べているのを見るだけで、実際に口にしなくても「おいしい」と判断するようになった。日本企業はおいしい事茉を得て恐竜と化したことに加え、共感能力を高度に発達させたことが、イノベーションのジレンマから抜け出せない根本原因である。
12.共感により「おいしい」と感じた事業はユニークであることは少なく、凡庸であることがほとんどである。それではイノベーションにならない。イノベーションを目指してシリコンバレーに来た日本企業でさえも、権威者や説得力のある人に「おいしい」と言われるとうのみにすることが多い。日本企業は、人の評判を頼りにせず、自らの舌と頭脳で苦味を感じる「苦味センサi」をもう一度鍛え直す必要がある。



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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
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