2020年03月21日

これから日本の社会や産業を変革するリーダーは、理系や文系の色分けを脱却し、多様な脳が原動力となる。


「校條浩著:シリコンバレーの流儀、理系・文系の脳から「LGBT脳」へ、週刊ダイヤモンド、2020.2.29」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.先月、「メガバンク初の理系先トップ」というニュースが話題となった。三菱UFJフィナンシャル・グループの社長に就任する亀澤宏規氏は、理学部数学科出身の「理系」だという。あらゆる業種の既存事業がデジタル化で大きく変貌する中で、理系人材がトップに就くことが世間で好意的に受け止められた。
2.理系と文系を分けること自体、意味がなくなっている。すでに経団連は、2018年に大学での理系と文系の区別は時代遅れだとしている。全てがデジタル化されることを前提にした産業の転換(デジタルトランスフォーメーション:DX)の中で、人工知能やビッグデータを使う新しいビジネスモデルに必要な人材を大学で育ててほしいと提言している。
3.要するに経団連は理系・文系の次に来る「DX系」の人材を育成してほしい、と求めている。しかし、その提言の根底にあるのは、相変わらず既存の大企業の組織にはめ込む人材を養成させる発想である。DXの必要性は20年以上前から明確だったが、日本企業のほとんどは着手できなかった。自らの組織を否定するようなDXに、自発的に銚戦するのが難しかった。経団連がDX系の人材が欲しいと言っても、既存組織の型にはまる人材を求める限り、現状打破は難しい。
4.これからの企業組織に必要な人材は、組織に服従するタイプではなく、自律した個人である。教育も個人中心に転換するべきである。すなわち、「人を育てる」という上から目線の発想ではなく、「一人一人が人生の糧を得られるように支援する」という発想の転換である。
5.しかし日本の現状の教育現場では、理糸、文系に色分けされたカリキュラムを履修することがほとんどである。色分けは子供の頃から始まり、無意識のうちに理系・文系という殻に閉じこもってしまう。振り返れば自分もそうだった。小学生の頃から算数や理科の方が得意だったため、周囲からは理系と色を付けられた。国語や社会が嫌いだったわけではないが、文系とは見てもらえなかった。このときにつくられた殻が、無意識に前半生の方向性を決めていったように思う。
6.特にやりたいことが分からないまま大学に入学し、理学部に進んだ。大学院では何となくの興味で化学分野の研究をした。就職は、たまたま見つけた掲示板の募集から写真フィルムの製造企業に入社し、当然のように開発部門に配属された。私は、知らないうちに組織に組み込まれた理系の従業員となった。
7.しかし、ある小さな出来事が人生を変えるきっかけとなった。社内で開発を続けるうちに、自社の写真フィルムは、ライバル企業の製品に性能では劣っていないのに、なぜマーケットシェアが競合相手の3分の1であることを疑問に思った。開発部門の上司や同僚、本社の営業部門、経営企画部門に聞いて回ったが、納得できる説明はなかった。しばらく悶々とした気持ちで悩んでいたときに、マーケティングに関する本で、「顧客の視点から製品の価値を見直せ」という内容の本に出合った。このメッセージは、衝撃的だった。顧客は写真フィルムを買っているのではなく、人生の思い出や生活シーンを切り取り、保存し、共有するための手段を買っている。そう理解すると、写真フィルムだけでなくカメラやスタジオ、販売店、現像所、プリント、アルバム、さらに旅行代理店など全ての価値連鎖を考える必要があることが分かる。
8.その総合力で、ライバルと比べて自社が劣っていた。時を同じくして、デジタル技術の興隆を知り、デジタルによるイノベーションの中心地であるシリコンバレーに移住する契機となった。自分の人生を全く違う方向へ転換するきっかけとなったマーケティングの発想は理系でも文系でもなかった。シリコンバレーに渡ってからは、米アップル創業者の故スティーブ・ジヨブズ氏のメンターだつたレジス・マッケンナ氏と仕事をする機会に恵まれた。
9.彼は「マーケティングは顧客が全てであり、企業活動の全てがマーケティングだ」と提唱。インテルやアップル、ジェネンテックなどの「理系脳」で凝り固まっていたシリコンバレーの発想の転換させた。マッケンナ氏は学歴の上では理系ではなかったが、技術の持つ力についての理解力と直観力があった。インターネットが商用化されたとき、コミュニケーションが双方向でリアルタイムとなり、マーケティングが顧客主体となる異次元の世界に突入した。マッケンナ氏の頭の中には新技術の本質を理解する脳と、それが市場や社会にもたらすインパクトに思いをはせる脳が共存していた。
10.自分の脳は、子供の頃からの理系脳という殻から抜け切れていなかった。必要なのは「理系脳」や「文系脳」といった伝統的な系統で色分けされない柔軟な脳である。伝統的な特定の色に属さないという意味で、LGBTのような脳といえる。特定の分野に深い知識と見識を持つ専門家が、理系・文系を問わず今後も重要である。これから日本の社会や産業を変革するようなリーダーや実行者は、理系や文系のような色分けから脱却し、多様な脳を応援することが原動力となる。



yuji5327 at 06:39 
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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