2020年04月30日

高齢になると脳の重量が若い人よりも100g程度減る。物忘れは60歳以上の自然の生理現象である。物忘れでも、認知症と結びつけるのは誤解である。


「日野原重明著:いくつになっても、今日が一番新しい日、 PHP、2017年」はためになる。「3章:老いても整える」の印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.高齢になると脳の重量が若い人の脳よりも100g程度減る。物忘れは60歳以上の人なら誰にでもある自然の生理現象である。健忘症の「健」は、「非常に」または「法外に」忘れるという意味である。単なる物忘れでも、認知症と結びつけるのは大きな誤解である。年をとるとともに140億の脳細胞が次第に減少し、脳の視覚領、聴覚領で障害を起こすが、避けることのできない現象である。
2.判断力や統合力は衰えないようにできるから、若い者への指導をきちんと行うことも可能である。これを、老人の知恵(ウィズダム)といいます。「知識は顔を出し、知恵は惇む」と詩人テニスンは言ったが、老人からその隠れた知恵を引きだす周囲の配慮が、老人に若さを保たせるエネルギー源ともなる。骨折や肺炎などで入院し、外界からの刺激が遮断され、頭を使わなくなることから認知症のような症状をみせることがある。
3.認知症がはじまってしまったと周囲の人や看護師・医師が思うことなく、病室をしばしば訪れ、言葉と一緒に行為をみせて、認知症になろうとする状態から引き離すことが大切で、脳のリハビリテーションと呼ぶ。一般に、リハビリテーションは、身体機能の回復に限って用いられるが、ストレスから脱却できるように援助をすること、これも脳のリハビリテーションといえ。機械でなく、薬でもなく、人間が行うことによって可能となる。
4.苦労多き昔の人々の人生航路の記録には、学ぶべき多くのものが秘められている。善人は悩まねばならぬと昔から言われていることは、本当である。悟るということは、知識ではなく、体験の中から生じる知恵であり、迷うことのポジティブな成果として勝ちとられる。迷わぬ者に悟りなしである。
5.人生の最後にやってくる死に対しては、どのように悟ればいいのか、アメリカの精神科医キューブラー・ロスが臨死患者に面接し、死にゆく心理をとらえ、分析したものを読むと、治らない病気の末期であっても、患者はなかなか死を受容せず、死を恐れたり、憎んだり、死と駆け引きをすると記されている。前途に大望を抱く若い人ががんにかかったときなどは、なおのことである。若者の死の前には、「医師や看護師の言葉は無力。宗教だけが彼を支える」と、ジョンズ・ホプキンズ大学医学部のタマルティ教授は述べている。
6.長寿で亡くなる人の中にも、宗教による心の支えを必要とする老人は多い。仏教においては、いのちの空しさを嘆くことから、もう一歩踏みこんで空しさに徹する方法を、「般若心経』の「色即是空」という言葉で示す。「色」とは、物質現象として存在する目に見え、形あるものを意味する。形あるものは、必ず移り変わっていき、ついには空になる。『般若心経』は、この空しさの痛みを感じ、それから生じる虚無感をもまた空にし、生きることの価値と意義が理解できる(空即是色)ようにさせる。そのようなことは、賢人をもってしても至難の業である。
7.どうすれば心の安きを身につけて、老いることができるのかを教えてくれたのは、ウィリアム・オスラー博士だった。博士は、医学生への講演において、「医師として人生を歩む中でいちばん大切なのは「平静の心」と話している。これは平常心といってもよい。人が老いて、近づく死の足音を聞きながら、許された今日一日一日を、静かに送れる心境をもつことができれば、その人生の終わりはさわやかなものに感ぜられると思う。
8.生涯の中で自分にいのちと力を与えてくれる人や言葉に出会うことができたとすれば、心の安らぎが得られる。中国には、「日日是好日」という唐代の禅僧雲門の有名な言葉がある。生を許された今日を、自分を生かす好き日として、精いっぱい、または淡々と静かに生きる人の姿がこの言葉に映しだされている。老後における生と死を受容させるよき言葉である。


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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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