2020年05月20日

韓国、台湾が新型コロナとの戦いで善戦しているのは、巧みな政策だが、背景には苦い経験、SARS、MERSでの経験がある。

週刊東洋経済 2020年5/23号 [雑誌]
週刊東洋経済編集部
東洋経済新報社
2020-05-18

「福田恵介(本誌コラムニスト)著:コロナ制圧戦で善戦、韓国・台湾の舞台裏 、週刊
東洋経済 2020.5.16」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.世界中で新型コロナウ世イルス感染者の増加が続く中で、相対的に感染抑制に善戦している韓国や台湾の対応が世界から称賛されている。新型コロナの発生源である中国に近く、感染防止対策を早く実行せざるをえなかったという背景はあったが、欧米の感染状況と比べると、感染者数の少なさは突出している。日本でも、「韓国、台湾の対策に学ぶべきだ」との声が上がっている。
2.高く評価される理由を考察するために、まずは韓国、台湾などアジア諸国と世界とで現状を比較する。4月25日時点の感染者数や死亡者数で、際立つのは台湾の感染者数、死亡者数の少なさ、そしてアジア諸国の死亡率(死亡者数/感染者数×100)の低さである。この現状を感染者数・死亡者数ともに世界最多の米国と比べてみる。同じ4月25日時点で、米国では感染者数は86万0772人、死亡者数は4万4053人。死亡率は5・12%で、人口100万人当たりの感染者数は2615人にもなる。アジアと比べると状況は確かに深刻である。
3.欧州で感染爆発を経験したスペイン、イタリアと比べると、スペインでは、感染者数は21万9764人、死亡者数は2万2524人。死亡率は10・25%で、100万人当たりの感染者数は約4700人である。イタリアではそれぞれ、19万2994人、2万5969人、13・46%、約3200人。両国の感染状況、死亡状況は米国同様に深刻である。シンガポール、マレーシアの状況も韓国、台湾などと大差はない。ただしシンガポールは人口が約580万と少ないため、人口10万人当たりの感染者数は多めである。人口約2・7億のインドネシアでは死亡率が10%以下に抑えられており、人口100万人当たりの感染者数も約30人となっている。
4.韓国、台湾が新型コロナとの戦いで善戦しているのは、巧みな政策があったからだが、その背景には苦い経験がある。それは、2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)と、15年のMERS(中東呼吸器症候群)での経験である。韓国におけるMERSの感染者数は186人、死亡者数は38人に及んだ。台湾では、SARS流行時に院内感染が発生したため、別人が命を落としている。とくに韓国では、「SARSの影響が軽微だったことからMERS流行時に慢心していた」として、当時の朴槿恵大統領政権が強い批判を浴びた。
5、この批判の背景には、MERS流行の前年である14年に発生した「セウォル号沈没事件」での政府対応のまずさもあった。セウォル号沈没事件は、韓国・仁川から済州島へ向かっていたフェリー「セウォル号」が沈没し、乗員・乗客299人の死者を出した痛ましい事件である。救出作業の不手際により多くの犠牲者を出したことで国民は朴大統領の危機管理能力に強い不満を抱いていた。
6.犠牲者の多くが修学旅行中の高校生だった。「若い命を救えなかった」として、政府への大きな不信が国民の間に残った。そのような中でMERSが流行し、政権の管理能力に再び批判が集まった。政権の危機を感じた朴大統領は、国家の危機管理体制を根底から見直すことに着手した。その中には、16年の「感染病検査緊急導入制度」制定がある。
7.今回の新型コロナ対応では、この制度がつまく機能した。これは政府が認めた民間部門で感染症検査を行えるようにした制度。迅速で広範囲なPCR検査を行うことに役立った。一方の台湾は、SARSの流行によって防疫態勢の不備、国際社会との連携の末熟さを痛感させられた。その反省が、今回の対応のバネになった。
8.中国・広東省で発生したSARSに関して、台湾は情報不足のために初動が遅れた。とくに、中国からの圧力で世界保健機関(WHO)への加盟を阻止されている台湾は、「国際防疫の孤児」(台湾の陳建仁・副総統)だった。陳副総統は日本メディアによるインタビューで、「SARSの原因や死亡率、検査、治療方法などすべての情報が入らず、WHOに問い合わせても反応はなかった」と打ち明けている。
9.WHOとの関係は、今回も問題となった。テドロス事務総長が台湾を不用意に批判したことも、台湾人を傷つけた。中国の圧力も続いており、台湾は今でも「孤児」のままであるが、SARS流行時の反省を生かして19年12月末には新型コロナに関する最初の報告をWHOに行い、翌20年1月中旬には警戒レベルの引き上げや対策本部設置、中国人の入国制限など対策を矢継ぎ早に打ち出している。強力な初動が功を奏し、当初から感染者数を低く抑えることができた。
10.台湾の対応が効果的だった理由は、ほかにもある。蔡英文政権の中枢に専門家がそろっていた点は重要なポイントである。政治と医療の専門家が、その専門知識とリーダーシップを生かし、先頭に立って対応を続けている。例えば、陳副総統は公衆衛生学の専門家で、世界的に高名な研究者である。SARS流行当時は現在の衛生福利部(省)の前身である衛生署の署長として活躍。それが評価されて政策立案に参画するようになった人物である。
11.蘇貞昌・行政院長(首相)は、SARS当時に台北県長(知事)として行政対応に苦慮した経験を持つ。陳其遇・副院長(副首相)も医師出身である。感染症に対し医学的に行うべきこと、行政側がすべきことをその経験から理解している人材がいた、ということである。陳副総統と蘇院長は、ネツトメディアなどに積極的に出演し、新型コロナの基礎知識やマスクの正しい着け方などについて、時にはユーモアを交えながら啓蒙に努めている。
12.医療現場で陣頭指揮を執る衛生福利相で疾患管制センター(CDC)のトップである陳時中氏は歯科医出身で、医療行政の手腕を買われて政界入りし、台湾の健康保険制度の導入などを主導した経験がある。医療行政のトップとして現場を積極的に訪れてスタッフを鼓舞する一方、「国民の不安を情報公開によって和らげる」と連日長時間の記者会見を行い知名度が急上昇した人物である。記者の手が挙がらなくなるまで質問を受け付けるなど、その真摯な姿勢は台湾内外で強い印象を残した。
13.台湾もマスク不足に陥ったが、それを「見える化」により解消することを狙ったアプリケーション「マスク在庫マップ」の作成を主導したのがデジタル相の唐鳳氏である。唐氏はプログラマーとして世界的に有名な人物で、蔡政権で台湾初のデジタル相に任命された。感染予防に有効だとされるマスクを、くまなくかつ平等に、負担なく入手できるかという国民が最も敏感になる問題に対し、「マスク在庫マップ」は解決の一助となった。このアプリは、民間の開発能力を国家的な施策に結び付けて発展させ、国民に有効な解決策を提供できる力を台湾が持っていることを示した。
14.こうした専門知識を持った政論家の活躍は、韓国でも指摘できる。感染対策の最前線に立つ疾病管理本部〔KCDC)の鄭銀敬・本部長は医学部出身で、保健福祉省の医療官僚出身で、SARSとMERSで最前線を経験しており、世界的な感染症への対策では韓国を代表するプロ中のプロとの評価である。本部長職は政府内では次官級。医療界からはKCDCの省庁への格上げを求める声も出ている。
15.韓国の対応が評価されている理由は、迅速で広範囲なPCR検査を実施した点にある。新型コロナの感染が広がった当初、韓国の対応は十分なものではなかった。人口が日本の半分弱〔約5000万}という規模なのに、感染者数や死亡者数が日本と同水準なのは、初期に多くの感染者を出してしまったことによる。2月には病床不足、マスク不足といった、4月以降の日本が直面したのと同様の試練も経験していた。しかし、ドライブスルー形式の検査をはじめ検査態勢を一気に拡充した。さらに、「医療崩壊」を避けるため会社の研修施設やホテルを利用して軽症者用の病床数を拡充、マスクを輸出禁止にすると同時に購人規制によって広く行き渡るようにした。これらの問題は、日本が今でも抱えているものであるが、韓国はいち早く問題解決に成功している。
16.院内感染を防ぐため、感染症患者とほかの病気の患者が通院・入院する病院を分ける制度も機能している。これは、院内感染によって感染者を増やしてしまった日本にも参考になる。韓国、台湾の行動には共通点がある。専円知識を十分に持つ人材が政権の中枢や近くにおり、かつ政治が強いリーダーシップを発揮したという点である。「感染拡大を徹底的に抑え込む」という目標が強く認識されている点も印象的である。
17.台湾の例からわかるように、マスクの在庫などの情報公開が確実になされた点も、国民の不安解消に役立っている。アプリが普及したため、早朝からドラッグストアに並ぶ、並んでも入手できなくて徒労に終わる、という日本で繰り返されてきた事態は、韓国、台湾とも早期に解消されている。今後は、感染症対策と経済政策の折り合いをどうつけるかという世界的な問題に直面する。中国との経済関係が強い分、その調整には難しさが伴う。
18.プライバシー問題も争点である。感染者の追跡調査やマスク購入で利用されたのは住民登録番号や身分証などの個人情報である。緊急時に行われたこれらの個人情報活用が、民主国家としてどこまで許されるのか、という点も、激しい議論を呼ぶことになる。



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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
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