2020年06月23日

各地域に固有の経済活動や文化があるように、脳の中の個々の領域は他の多くの領域と連携しつつ固有の機能を果たしている。


「藤田一郎(大阪大学教授)著:多様な心の機能は脳の中でどう割り振られているか? 週刊ダイヤモンド 2020.06.27」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.心の山来事は多岐にわたる。感覚、知覚、運動から、感情、記憶、睡眠、さらには言語、感謝、思いやり、自己意識といったものまで、さまざまである。いったい、この多様な心の機能は脳ではどのように割り振られているのか。異なる機能は脳の異なる場所が分担しているのか、それともこれらの機能のそれぞれを脳全体が一丸となって実現しているのか。
2.異なる心の出来事は脳の異なる場所によつて担われているとする考えは、19世紀前半に活躍したドイツのフランツ・ガルにさかのぼる。彼は、「脳は心を生み出す臓器であり、働きの異なる区画から成る」という考えを明確にした。ガルはそれらの区画を「器官」と呼び、脳は色や音の知覚、言語、数学、芸術、名誉、友情、哲学、謙虚、社交、性欲などに対応する27個の「器官」の集まりであると唱えた。
3.さらに彼は、個性的な性格や能力を持つ人は、その特徴に対応する「器官」が大きくなり、内側から押し上げて頭蓋骨の形を変えると考え、骨の凹凸を計測することでその人の性格や能力を知ることができると主張した。この考えに基づく研究分野は骨相学〔フレノロジー〉と呼ばれ、当時のヨーロッパで一大ブームとなった。上流階級の人々が自分の頭蓋骨の形を測ってもらうことに夢中になったり、科学者が没後に頭蓋骨を研究用に提供すると表明したり、作曲家ハイドンの頭蓋骨が骨相学者によって持ち去られたりするほどであった。
4.骨相学は全くのエセ科学だった。ガルは性格や能力と頭蓋骨の形態の関係を系統的に調べたわけではなかった。例えば、計算能力は眼窩に近い所に、性欲は首の付け根辺りにその機能があると主張したが、その根拠は、数学の得意な知人の眼窩が突出していたことや、彼が抱き寄せた女性の後頭部が熱を持っていたというような個人的な経験にすぎなかった。熱狂の後、骨相学が急速に廃れたのは当然のことだった。
5.だが、ガルの「脳は働きの異なる区画から成る」という考えは生き残った。1861年には、フランスのピエール・ブローカが、言葉を話せない患者の死後に脳を調べ、左半球の前頭下回が脳梗塞により損傷していることを見いだした。こうして、今日、ブローカ野と呼ばれるこの領域が発話に重要であることが明らかになり、特定の機能が脳の限局した場所で担われているとする局在論を支持する最初の科学的証拠となった。
6.実験研究による脳機能閥在の最初の証拠は、グスタフ・フリッチュとエドゥアルト・ヒッツィヒによる運動野の発見である。彼らはイヌの大脳皮質をごく弱い電流で刺激すると、どの場所を刺激するかによって動く筋肉群が異なることを見いだした。一方で、米国の心理学者カール・ラシュレーは、ネズミの脳を局所破壊したときに迷路学習が阻害される程度が、どこを壊したかには関係がなく、どのくらい大きく壊したかに依存するという結果を得た。彼は、学習機能は脳において局在せず、脳は場所によらず同じ機能を持ち、機能の発現には脳組織の量が重要であると主張した。しかし、ラシュレーの実験と結果の解釈は多くの点で不備があり、彼が主張した極端な全体論は今では明確に否定されている。
7.とはいうものの、ある特定の心の出来事にたった一つの領域が関わり、他の領域から孤立して働いているわけではない。互いに連絡し合う複数の領域が働くことが必要である。つまり、純粋な意味での局在論も成り立たない。機能局在の程度は問題とする心の出来事によって異なるが、局在性が強い例を顔の認識の神経機構に見ることができる。ヒトの側頭葉の底面に紡錘状回顔領域〔FFA)と呼ばれる領域がある。FFAが壊れると、知人や自分の顔を見ても、それが誰であるか、どんな表情をしているかが分からなくなる。しかし、顔以外の物体の認識にはほとんど影響がない。
8.サルの大脳皮質のFFA相当領域を調べると、90%以上の神経細胞が顔に特異的に反応する。ヒトを対象とした機能的磁気共鳴撮影法〔fMRI〕による研究においても、顔の識別時にFFAが強く活動することが示されている。これらの知見は全て、FFAが顔認識機能に特化しているという考えを支持している。しかし、近年、fMRIのデータの解析にマルチボクセルパターン分析〔MVPA)と呼ばれる手法を適用すると、FFAの活動から顔のみならず他の物体に関する情報も読み出すことができると判明し、FFAの機能は顔の認識に特化していないという主張がなされている。
9.だが、実験者が物体情報を読み出せたとしても、脳が実際にその情報を認識という心の出来事に結び付けているとは限らない。ここにきて、FFAの機能がどのくらい顔認識に特異的なのかの議論が再燃することになった。このような状況下、FFAの発見者である米マサチューセッツ工科大学のナンシー・カンウィッシャー教授と旭川医科大学の鎌田恭輔教授の研究グループは、診断目的で側頭葉に多数の電極を配置した患者のFFAを電気刺激する稀有な機会を得た。
10.この患者は、FFAが刺激されると、どんな物体を見ているときであっても、その物体に重なるように人の目や鼻や口が現れると感じることが判明した。そしてさらに重要な発見は、このとき、見ている物体の知覚には何の変化もなかったことである。もしもMVPAが検出する物体情報が意味を持つのであれば、その情報を伝えるFFAの神経活動が電気刺激によって乱されるのだから物体の知覚は影響を受けるはずである。しかし、そのようなことは起きなかった。FFAはやはり顔認識機能に特化した領域なである。地球上の異なる地域の間で活発な交流や人の移動が行われていながらも、各地域に固有の経済活動や文化があるように、脳の中の個々の領域は他の多くの領域と連携しつつ固有の機能を果たしている。



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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
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 青山賞、春興賞の受賞:2回
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