2020年06月25日

半導体とIT産業での強みを生かし、世界の供給網における中心的地位を全力でつかむ、台湾の蔡英文総統は2期目の就任演説で語った。


「杉本りうこ、高口康太(ダイヤモンド編集部)著:半導体巡る大国の思惑・半導体「地政学」バブル 週刊ダイヤモンド 2020.06.27」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.台湾がこれから向き合うの合は、世界経済のより激しい変動と供給網が再編されていく局面である。半導体とIT産業での強みを生かし、世界の供給網における中心的地位を全力でつかむ。と5月20日、台湾の蔡英文総統は2期日の就任演説でこう語った。この言葉は、前週に起こった半導体産業の「大事件」の深層を示唆するものである。
2.演説の前週、半導体受注生産の世界最大手である台湾TSMCが、米国で2つ目の新工場を建設する意向を明らかにした。米国政府が工場新設を求めている、との報道が半年来続いていたが、それが現実となった。また計画発表とほぼ同日、米商務省は中国の通信設備大手、ファーウェイへの追加制裁を発表。こちらもTSMCに関連があり、大口顧客のファーウェイに対して半導体を供給できなくなる内容だった。
3.米トランプ政権はTSMCに巨額の投資をねだっておきながら、大口顧客との取引を妨害している。他国の民間企業の命運をここまで左右するのは、大国の傲慢である。この大事件をそう理解するのは、皮相的である。TSMCは米国新工場計画について公式には、あくまで意向段階でしかなく、最終決定には至っていない。今後慎重.に検討を重ねる、としており、まるで強いられて渋々としている消極姿勢である。だがTSMCは冷静に算盤をはじき、経済合理性を判断して動きだしている。
4.TSMCはなぜ米国新工場建設に動きだした理由を理解するために、この企業のビジネスモデルから解説すると、TSMCは「ファブレス」と呼ばれる半導体設計会社から委託を受け、自社の工場で半導体を製造する「ファウンドリー」と呼ばれる業態である。ものづくりをサービスとして提供している点で、台湾のEMS、鴻海精密工業と共通している。5.主要顧客の顔触れでもTSMCと鴻海は似通っている。米アップルとファーウェイが大口顧吝で、2019年度はアップルがTSMCの年商の23%、ファーウエイが同14%を占めた。他の大口顧客にはAMD、ブロードコム、エヌビディア、クアルコム、ザイリンクスといった米国のファブレス半導体会社が並ぶ。ソニーと台湾メディアテックも顧客である。一方で競合はというと、韓国サムスン電子や米グローバルファウンドリーズがライバル企業である。特にサムスンは、ごく近年に市場参入したにもかかわらず、事業規模はすでにTSMCの3分の1程度に育っている。
6.こういう中で特筆すべきは、米インテルが近年、TSMCの競合から顧各に転じたという大変化である。インテルは13年にファウンドリー市場に参人し、TSMCをおののかせたが、現在は主要顧客の1社となっている。そしてインテルこそがTSMCの米国新工.場
の経済合理性を読み解くヒントを秘めている。
7.英調査会社、インフォーマインテリジェンスのディレクターは、TSMCの米国新工場は、進出先がアリゾナ州であることに注日する必.要がある。同州チャンドラーにはインテルが工場群を持っており、このうち最新のファブ42と呼ばれる工場の稼働率がずっと低いままである。TSMCはファプ42をインテルから何らかの形で借り受けるとみられる。8.TSMCの経営層は、米国での生産増強はコストがネックという考えを示してきた。インテルのファブ42を借用できれば、建物やクリーンルームの建設にかかるコストは圧縮できる。これに米連邦政府とアリゾナ州政府が提供する税制等の優遇策を加味すれば、コスト面はTSMCの期待する水準にかなり近づくが、コスト条件だけではTSMCにとって決め手に欠ける。製造業の進出にとって最大の決め手は常に現地の需要である。今、米国では半導体の需要が熱を帯びており、それにTSMCとインテルが背中を押されている。
9.この需要を示唆する極めて興味深い資料を、5月11日付の米紙「ウ才ール・ストリート・ジヤーナル」が示している。インテルのCEOによる今年4月28日付の書簡に、宛先は米国防総省の高官があり、書簡の中で、CEOは、私たちは米国政府の安全保障とインフラ上の需要を満たすために必要な、持続可能かつ商業的に実行可能な工場を実現すべく、国防総省と協力し、国内の製造と技術、雇用を増強する準備ができている、書いてある。要は国防総省の要請に応じて、生産増強す.る意欲がある、と言っている。この増強のためにTSMCと手を組むことは、大いに合理的である。
10.米国で産業政策をつかさどるのは通常、商務省である。なぜ書簡の宛先は、防衛の司令塔である国防総省なのかは、今、国防総省が巨額のハイテク投資を進めているからである。そのうち、最大のプロジェクトがJEDIと呼ばれるクラウドシステムの構築である。国防総省のデータの8割甲をJEDIシステムに格納し、AIを使った高度な分析で戦闘を支援するのが目的である。
11.構築期聞は10年が見込まれており、予算総額は約1・07兆円とされている。JEDI受注にはマイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、オラクルといった米国のハイテクガリバーがしのぎを削り、結果としてマイクロソフトが獲得した。失注したアマゾンとオラクルは決定経緯が不公正だとして訴訟を起こしているが、それもJEDIが近年まれに見る超大型政府調達だからである。
12.AIを使ったクラウドシステムとは、サーバーを幾つも使った大規模な高性能コンピューティングシステムである。そこにはCPUやFPGAといったインテルの主力製品が大量に使われ得る。他にもエヌビディアのGPUやブロードコムのさまざまな半導体も必要で、TSMCに大きな需要をもたらす。さらに防衛関連では、ボーイングやロッキード・マーティンといった米国軍需企業も、航空機などに搭載する半導体の設計・開発を強化している。米国の人材サイトには今、両社の半導体エンジニア募集の情報が多数出ている。
13.今米国では、「21世紀のスプートニクショック」が起こっており、それが防衛部門の巨大な投資を喚起している。20世紀のスプートニクショックでは、旧ソ連が人類初の人工衛星を実現したことに米国の防衛部門が危機感を抱き、字宙開発を猛烈な勢いで強化した。これと同様に米国は今、AIや次世代通信規格・5Gを巡る中国のハイテクにおける実力に、猛烈な焦燥感を抱いている。そして20世紀の宇宙戦争を制した自信から、米国はまた技術投資に巨額を投じるべく動き始めている。
14.半導体の需要は谷底である。18年前半までの活況の反動で、設備投資は調整期にある。だがコロナ禍は半導体産業にとっては悪材料ばかりではない。在宅ワークやオンライン教育、通販といったネットサービスの需要が増え、米グーグルやアマゾン、アップルなどがサーバーを増強している。前述の防衛需要に加え、こうした民間需要もある。この好機にぼやぼやしていると、TSMCはライバルのサムスンに需要を奪われかねない。サムスンもテキサス州に巨大工場を構え、ファウンドリー事業を強化している。
15.こういった、谷底の先の新しい山を株式市場はもう織り込んでおり、半導体の主力銘柄はすでに買いの対象になっている。こういった需要の恩恵は、半導体供給網全体を潤し、当然ながら日本の関連企業にも及ぶ。特にTSMCの主要なサプライヤーは前提となる米国のハイテク政策を理解する必要がある。冒頭の台湾・蔡総統の宣言は的を射ている。半導体の供給網はこれから、需要に導かれて形を変えていく。米中間でデカップリングなどしないが、中国一極集中から分岐し、冗長な形に変化していく。この中で企業は米中の需要をうまく両取りしていくが、時には、どちらを重視するかと迫られる局而もある。その際のシナリオに、企業は今から備えておく必要がある。



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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
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 青山賞、春興賞の受賞:2回
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