2020年06月27日
過去30日間に慈善活動に寄付をした国民の割合の1位はミャンマーの88%、2位はインドネシアの77%、以下オーストラリア、ニユージーランドと続く。
「池谷裕二著:闘論席、週刊エコノミスト 2020.6.30」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.イングランド出身の元サッカイー選手ベッカムの私的メールが不正侵入されたとき、ベッカムは脅迫に屈せずに要求額を払わなかった。その腹いせからハッカー集団は盗取した私的メールをリークさせたが、そのメール内容でベッカムは世間から非難を浴びることになった。
2.ベッカムはユニセフの親善大使を務めているが、これが慈愛心からではなく、慈善活動を公に認めさせることでナイトの爵位を獲得するためであったことがメールに赤裸々に書かれていた。
3.この事件はベッカムのイメージダウンにつながったとするのが世間一般の解釈だが、こうした論調そのものに問題があるとする意見もある。慈善の意義が問われているのである。
4.慈善のスタンスは国によって大きく異なる。イギリスのチャリティー団体CAFが発表した世界寄付指数リポート2018版によれば、過去30日間に慈善活動に寄付をした国民の割合の1位はミャンマーの88%、2位はインドネシアの77%、以下オーストラリア、ニユージーランドと続く。
5.米国はかつて上位の常連だったが、ここ10年で10%以上落ち込み、いまは12位である。寄付離れが進んでいるのである。その一因が、他人のための行動は利己的な行動よりも清らかなことである、と、寄付を美徳としてあがめすぎたからだと指摘されている。6.人は他人の目があったほうが善行に励む。実際、名前を公表する募金のほうが寄付者は多い。つまり、人間は自尊心を持ち、善行のバランスを取り、究極的には自分のために動く生き物であるため、その心理を無視して「無償の愛」をうたうと逆効果になる。
7.社会福祉において重要なのは「結果」であって「動機」ではないということか、現代は慈善のありかたが変わる節目にあるのかもしれない。