2020年07月02日
アップルは過去10年はiPhoneが主だが、その間に巧みな「技」を習得、約10億人の所有者に、製品やサービスにお金を使わせる方法を得た。。
「クリストファー・ミムズ(WSJハイテク担当コラムニスト)著:iPhoneに頼らないアップル、成長戦略のカギは 週刊ダイヤモンド 2020.7.04」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.アップルの話題と言えば、過去10年は概しiPhoneに関することである。その間にアップルは巧みな「技」を習得した。約10億人のiPhone所有者に、戦略的に拡大してきたiPhone以外の製品やサービスにお金を使わせる方法である。同社はiPhoneの会社から、端末、ウエアラブル製品、各種サービス、アクセサリー、決済、金融、体験を手掛ける会社へと変貌した。
2.こうした事業の多角化は不可欠である。アップルのエコシステムにまだお金を払っていないが同社の製品を購入する意欲と余裕のある人が、地球上で減る一方だからである。当然ながら、アップルはiPhoneの新規購入者の開拓を続けるが、ティム・クック最高経営責任者〔CEO)がよく示唆しているように、いずれはiPhoneの後継が必要になる。一方で、一段と成長するにあたり、規制当局やパートナーの開発企業を味方にとどめておく必要もある。
3.アップルの分析に特化したサイト「アバブ・アバロン」の創業者で独立系のアナリスト、ニール・サイバート氏の推計によると、iPhoneの新規購入者は2016年に1億2900万人でピークを付けて以来、毎年減少している。19年は4800万人で、減少は続いている。それでもアップルは前回の年末商戦で四半期売上高が過去最高を記録した。
4.これは2つの数字で説明できる。1つは、四半期ごとにサービス収入が伸び続けていることである。今年1〜3月期は約1兆4220億円と全売り上高の23%に達した。これにはiCloud〔アイクラウド)、アップルミユージック、アップルTV+〔プラス)の定額利用料、アプリの販売手数料、ブラウザー「Safari(サファリ)」とのデフォルト検索エンジンにするためにグーグルから支払われる料金などが含まれる。
5.これらは、アップルの端末を購入する人ではなく、使う人から得られる収入である。アップルは今週、毎年恒例の開発者会議を初めて全面的にバーチャルイベントとして開催したが、同社の開発者コミュニティーとの実入りの多い関係はこれまで以上に重要性を増し、動揺してもいる。技術調査会社ムーア・インサイツ・アンド・ストラテジーのバトリック・ムーアヘッド社長は、世界経済の低迷でスマートフォンを購入する人が減る可能性があると話す。アップルは前回の決算電話会見で、スマホの買い換えサイクルが既に長期化している点を指摘しており、顧客に買い換えを促すために、しばらく前から価格を下げ始めている。
6.ゴールドマン・サックスのアナリストらは、iPhoneを購入する人たちは安いモデルを選ぶようになり、アップルが販売するiPhoneの非常に重要な平均価格は一段と落ち込む公算が大きいとみている。この打撃は、iPhone所有者がワイヤレスイヤホンやアップルミユージックなどの他の製品やサービスを消費し続ける限りは緩和される可能性がある。特にアップルのアクセサリーやサービスは、上位機種のハードウエアよりも利益率が高いためである。
7.アップルの成長が続いている理由を示す2つ目の数字は、世界で実際に使用されているアップル端末の数である。このアクティブ端末数は毎年、約1億台単位で増えている。それにはiPhone、iPad、Mac、アップルウオッチ、セットトップボックスのアップルTVのほか、売れ行きの芳しくないスマートスピーカーさえも含まれる。ただし、単体ではインターネットに接続できないエアポッズは含まれない。アップルのアクティブ端末数は16年には10億台だったが、現在は15億台に上る。その約3分の2がiPhoneだとサイバート氏は話す。
8.同氏の推計によると、約10億人いるiPhoneユーザーの半数くらいは他のアップル端末を持っていない。こうした人たちの多くは米国外の最近iPhoneを新規に購人した人たちで、アップルにとってサービス収入やiPhonc以外の端末売り上げを成長させ続けるのに必要な肥沃な土壌を意味する。アップルのルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)は1〜3月期決算会見で、エアポッズやウオッチ、ホームボッドをはじめとする「ウエアラブル、ホーム、アクセサリー」の売上高は63億ドルに上り、同期のウオッチ売上高の75%が新規購入者からのものと明らかにした。
9.アップルは、このカテゴリーだけで今やフォーチュン誌の企業番付で140位に入る企業と同程度の大きさだと述べている。つまり、年間売上高が225億ドル前後あるということである。iPhonc所有者にノートプックパソコンなどの高額なアップル製品を購入させるには、アップルは長年してこなかったことに取り組む必要がある。Macの優先的な開発である。パソコン市場では、アップルはマックブック・エア以来、市場シェアを獲得していない。アップルが今年のWWDCで、MacBookの一部のチップをインテル製からアームの設計に基づく内製チップに移行すると発表した場合、垂直統合を利用してノートパソコンの魅力を高め、ウィンドウズパソコンから乗り換えさせることができるかもしれない。
1.アップルの話題と言えば、過去10年は概しiPhoneに関することである。その間にアップルは巧みな「技」を習得した。約10億人のiPhone所有者に、戦略的に拡大してきたiPhone以外の製品やサービスにお金を使わせる方法である。同社はiPhoneの会社から、端末、ウエアラブル製品、各種サービス、アクセサリー、決済、金融、体験を手掛ける会社へと変貌した。
2.こうした事業の多角化は不可欠である。アップルのエコシステムにまだお金を払っていないが同社の製品を購入する意欲と余裕のある人が、地球上で減る一方だからである。当然ながら、アップルはiPhoneの新規購入者の開拓を続けるが、ティム・クック最高経営責任者〔CEO)がよく示唆しているように、いずれはiPhoneの後継が必要になる。一方で、一段と成長するにあたり、規制当局やパートナーの開発企業を味方にとどめておく必要もある。
3.アップルの分析に特化したサイト「アバブ・アバロン」の創業者で独立系のアナリスト、ニール・サイバート氏の推計によると、iPhoneの新規購入者は2016年に1億2900万人でピークを付けて以来、毎年減少している。19年は4800万人で、減少は続いている。それでもアップルは前回の年末商戦で四半期売上高が過去最高を記録した。
4.これは2つの数字で説明できる。1つは、四半期ごとにサービス収入が伸び続けていることである。今年1〜3月期は約1兆4220億円と全売り上高の23%に達した。これにはiCloud〔アイクラウド)、アップルミユージック、アップルTV+〔プラス)の定額利用料、アプリの販売手数料、ブラウザー「Safari(サファリ)」とのデフォルト検索エンジンにするためにグーグルから支払われる料金などが含まれる。
5.これらは、アップルの端末を購入する人ではなく、使う人から得られる収入である。アップルは今週、毎年恒例の開発者会議を初めて全面的にバーチャルイベントとして開催したが、同社の開発者コミュニティーとの実入りの多い関係はこれまで以上に重要性を増し、動揺してもいる。技術調査会社ムーア・インサイツ・アンド・ストラテジーのバトリック・ムーアヘッド社長は、世界経済の低迷でスマートフォンを購入する人が減る可能性があると話す。アップルは前回の決算電話会見で、スマホの買い換えサイクルが既に長期化している点を指摘しており、顧客に買い換えを促すために、しばらく前から価格を下げ始めている。
6.ゴールドマン・サックスのアナリストらは、iPhoneを購入する人たちは安いモデルを選ぶようになり、アップルが販売するiPhoneの非常に重要な平均価格は一段と落ち込む公算が大きいとみている。この打撃は、iPhone所有者がワイヤレスイヤホンやアップルミユージックなどの他の製品やサービスを消費し続ける限りは緩和される可能性がある。特にアップルのアクセサリーやサービスは、上位機種のハードウエアよりも利益率が高いためである。
7.アップルの成長が続いている理由を示す2つ目の数字は、世界で実際に使用されているアップル端末の数である。このアクティブ端末数は毎年、約1億台単位で増えている。それにはiPhone、iPad、Mac、アップルウオッチ、セットトップボックスのアップルTVのほか、売れ行きの芳しくないスマートスピーカーさえも含まれる。ただし、単体ではインターネットに接続できないエアポッズは含まれない。アップルのアクティブ端末数は16年には10億台だったが、現在は15億台に上る。その約3分の2がiPhoneだとサイバート氏は話す。
8.同氏の推計によると、約10億人いるiPhoneユーザーの半数くらいは他のアップル端末を持っていない。こうした人たちの多くは米国外の最近iPhoneを新規に購人した人たちで、アップルにとってサービス収入やiPhonc以外の端末売り上げを成長させ続けるのに必要な肥沃な土壌を意味する。アップルのルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)は1〜3月期決算会見で、エアポッズやウオッチ、ホームボッドをはじめとする「ウエアラブル、ホーム、アクセサリー」の売上高は63億ドルに上り、同期のウオッチ売上高の75%が新規購入者からのものと明らかにした。
9.アップルは、このカテゴリーだけで今やフォーチュン誌の企業番付で140位に入る企業と同程度の大きさだと述べている。つまり、年間売上高が225億ドル前後あるということである。iPhonc所有者にノートプックパソコンなどの高額なアップル製品を購入させるには、アップルは長年してこなかったことに取り組む必要がある。Macの優先的な開発である。パソコン市場では、アップルはマックブック・エア以来、市場シェアを獲得していない。アップルが今年のWWDCで、MacBookの一部のチップをインテル製からアームの設計に基づく内製チップに移行すると発表した場合、垂直統合を利用してノートパソコンの魅力を高め、ウィンドウズパソコンから乗り換えさせることができるかもしれない。