2020年07月04日

メタンハイドレート層はまさに"諸刃の剣“である。海底地滑りに伴う巨大津波を引き起こす可能性もある。南海トラフは世界有数の海溝型巨大地震の発生域である。


「巽好幸(神戸大学教授)著:海底地滑りと巨大津波の要因? "諸刃の剣"メタンハイドレート 、週刊ダイヤモンド 2020.7.04」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.2011年の東北地方太平洋沖地震で破局的な被害をもたらしたのは、最大遡上高約40mの津波だった。また南海トラフ巨大地震でも、広範囲の津波被害が予想されている。津波を引き起こすのは地震だけではない。18年2月にインドネシア中部で発生.し、400人以上の犠牲者を出した津波は、クラカタウ火山の噴火で山体が崩壊し、大量の十砂が一気に海へ流れ込んだことが引き金となった。同様の山体崩壊に伴う津波は、火山大国の目本でも頻発してきた。
2.中でも1792年に起きた島原半島にある雲仙岳眉山の山体崩壊に伴う大津波は、有明海を越えて対岸の熊本(肥後)を襲い、死者1万5000人という[本史上最大の火山災害を引き起こした。一方、全く異なるメカニズムで大津波が発.生することもある。そのきっかけをつくる可能性があるのが、次世代資源として注目されている「メタンハイドレート」である。
3.現在確認されている地球最大規模の海底地滑りといわれているのが、ノルウェー沖の「ストレッガ・スライド」である。今から約8150年前に発生したこの地滑りでは、陸棚斜面を遣っていた約3000立方km、富士山2つ分にも及ぶ大量の堆積物が崩壊し、500km先のノルウェー海盆に流れ込んだ。発生した巨大津波は北海周辺の広い範囲を襲い、英国・スコットランドのシェトランド諸島では最大遡上高が20mを超えた。当時は最終氷期末期で現在より海水面は低く、グレートブリテン島とヨーロッパ大陸は地続きだった。狩猟や漁業に適したこの十地で生.活を営んでいた中石器人の暮らしは、津波で壊滅的打撃を受けた。
4.北海には広く油田、ガス田が分布し、このストレッガ・スライド地域の陸寄りにも「オルメン・ランゲ」と呼ばれるガス田が存在する。人工地震を用いた地下構造探査によれば、海底にシャーベット状のメタンハイドレー卜が広く分布し、天然ガスとして採掘されている。メタンハイドレートはある限られた温度・圧.力領域でのみ安定で、陸に近い水深の浅い場所では水圧が下がるためにガス化して自然湧出していると考えられている。そしてこのメタンハイドレートの特性こそが、巨大海底地滑りを引き起こした要因だった。
5、8150年前、最終氷期末期で気温は上昇傾向だった。その影響で、この海域へも赤道域で生まれた暖かい北大西洋海流が流れ込むようになったと考えられる。このことで、それまでは低温度の海底下に安定に存在していたメタンハイドレート層の浅い、陸に近い部分で、温度上昇によってガス化が起こる。そしてガスの湧出による小規模な岩層流が発生したようである。さらに、この岩層流で堆積物が取り去られ、荷重が滅少したことで海底下の圧力が下がり、メタンハイドレート層の中で一気にガス化が進み、大現模な地滑りが発生したのである。
6.この巨大地滑りは、地震活動が引き金になったとする説もある。氷期が終わりに近づき大陸を厚く覆っていた氷河が消滅し始めると、地殻全体の重量が減る。その結果、流動的なマントルの上に浮いている大陸塊が上昇し始める。この後氷期隆起運動は現在も継続中で、スカンディナビア半島では年間1cm程度の隆起が観測されている。このような地殻変動によって断層が形成され、地震が発生することは十分に考えられる。地震で揺さぶられた陸棚斜面の不安定な堆積物が岩層流として崩壊し、メタンハイドレート層を海底に露山させたり、海底下の圧力を減少させたりすることで、一気にガス化が進行した可能性もある。
7.メタンハイドレートは、エネルギー資源の大半を輸入に頼るわが国でも熱い視線が注がれている。これまでの調査で、日本列島の周辺には100年分以上の天然ガス使用量に匹敵するメタンハイドレートが存在することが分かっている。採掘するにはまだまだ解決すべき課題は多いが、有望な資源であることは間違いない。その主要な分布域が、フィリピン海プレートが日本列島の下へ潜り込む「南海トラフ」の陸側斜面である。場所によっては数百mに達するメタンハイドレート層が眠っていると考えられている。この地域のメタンハイドレートの形成には、プレートの沈み込みが大きな役割を果たしている。
8.プレートの最上部の海洋地殻や堆積物には水が含まれている。この水はプレートの沈み込み、つまり圧力の増加によって絞り出されて上昇し、さまざまな微生物の活動源となる。この微生物の中に、メタンを生成することでエネルギーを得ているものがいる。南海トラフ近傍のメタンハイドレートは、こうした微生物の活動によって生成されている。中には石油をつくり出す微生物もおり、静岡県の相良油旧は微生物活動によるものといわれる。
9.メタンハイドレート層はまさに"諸刃の剣“である。海底地滑りに伴う巨大津波を引き起こす可能性もある。南海トラフは世界有数の海溝型巨大地震の発生域である。今後30年間の発生確率は70%を超えるといわれている。地震発生時には地殻変動によって巨大津波が発生することが想定される。これに加え、その強烈な揺れによって不安危な海底斜面が崩壊し、メタンハイドレートが気化することで、追い打ちをかけるように海底地滑り起源の津波が発生する可能性もある。
10.南海トラフ域では、地震活動を伴わない津波の記録も残っている。例えば、永正9(1512)年に徳島県南部の宍喰を大津波が襲い、約3700人が犠牲となった。しかしこの時期に他の地域も含めて明瞭な地.震の記録は残っていない。最近、徳島大学の馬場俊孝教授たちのグループは宍喰沖の海底地形を詳細に調査し、海底地滑りの痕跡が存在することを確認した。さらにその崩壊地形から津波の規模を推定すると、宍喰津波を再現できるという。今後さらに詳細な調査によって、この海底地滑りの発生されることが期待される。



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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
○公募展の受賞、入選
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