2020年07月08日

人間,皆あの世に旅立つので、生存率は0%、死亡率は100%、「率」だけではなく、生存年齢、死亡年齢にも目を向けるべきで、がん死容認論もこの考えに立つ。

「小林博(公益財団法人札幌がんセミナー理事長・北大名誉教授)著:がんの年齢別特性を考える、十分に齢老いてからがんで逝こう、學士會会報No.943(2020-)」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.「がんで死ぬのも悪くないね」という声を耳にする。「心筋梗塞や脳卒中で突然この世を去るのに比べてがんで逝くのは必ずしも悪くはない」ほどの意味である。がんならば家族や親しい人達とのお別れも出来る。過去をゆっくりと振り返り、思い出に浸り、人生を総括する余裕もできる。がんが憎悪と恐怖の的だった時代と比べると昔日の感がある。自分もこの「がん死容認論」に賛意を表したいが、前提条件は「高齢者のがんによる死であるならば悪くはない」といい換えたい。がんがどの年齢で出てきたかによって、がんそのものの性質だけではなく、がんによって受ける家族や社会の影響にも非常に大きな違いがある。
2.高齢者といっても、85歳以上、とくに「超高齢者」(90歳以上)ががんで逝くのはもはや、否定的なイメージのものではない。むしろ理想的な亡くなり方といえるかも知れない。この人達が「がんで死ぬのも悪くない」となる。
3.わが国の「がん年齢」は高齢化している。男性のがんの死亡年齢は次第に高くなっている。1950年にわが国民は60歳でがんで亡くなったのに50年後の2000年には凡そ70歳で亡くなっている。その後もこの死亡年齢はどんどん高くなって、最近の2018年の時点では76.2歳となっている。女性も同じで、1950年頃には平均58歳ぐらいでがんで亡くなったが、2000年には72歳、2018年には77.2歳と延びている。がん死亡年齢は男女ともこれからも高くなって、やがて80歳を越え、またいつの日にか85歳も越えていくであろう。
4.わが国ではがんについて論じるときに、このような「がんと年齢の関係」に触れることは少ない。がん治療の効果を見るときなど一般的に「生存率」や「死亡率」で語られることが多い。人間はだれ一人例外なくあの世に旅立つので、生存率は0%、死亡率は100%となる。そこで「率」だけを気にするのではなく、生存年齢、死亡年齢といった「年齢」にも目を向けるべきである。がんで逝くとしても、何歳で亡くなったかということである。"がん死容認論"もこの考えに立っている。がんはすべての年齢の人に見られる。ただし、いくつの年齢のときのがんか、子どものときか、思春期か、結婚して子どもが生まれて間もない頃か、または社会の中核になって働く40〜60歳のときか、70、80歳の高齢者、さらに90歳以上の超高齢者になってからか、その意味合いには非常に大きな違いがある。
5.人の体のなかでがんがいつから始まったのかは正確にはわからない。がんと診断されて初めて突然、がん患者になる。そのときの年齢が「罹患年齢」ということになる。罹患年齢と死亡年齢の関係は、「死亡年齢が高くなってきた」のは医学・医療の進歩によるところが非常に大きいが、それだけではない。罹患年齢と死亡年齢の推移を重ねてみると、罹患年齢、死亡年齢ともに年次が進むごとに高くなっている。
6.2つの調査は年代が違うし、調査期間も母集団も違うので単純に比較は出来ないが、がんの死亡年齢が高くなってきた主な原因は、罹患年齢そのものが高くなった結果である。計算をすると、死亡年齢が高くなった原因に占める罹患年齢の高齢化の影響は、男女を一緒にまとめると73%になる。残りを医学・医療によるものとすると、その影響は27%である。では罹患年齢が高くなってきたのは、世のなかの暮らしが豊かになって、がんへの関心が高まり、その原因になるようなものを遠ざける余裕のある社会になったことである。根本的には、人間がみんな長生きするようになり、日本が超高齢社会になってきたからである。
7.65歳以上は高齢者と定義されている。同じ高齢者といっても65歳と85歳ではかなり大きな違いがある。個人差もある。一概に言えないが、高齢者を年齢別に細かく見ると現在、85歳以上のがん死はすべてのがんの28.3%です(九卜歳以上の区分けがないので八十五歳以上として一括処理されています)。ヒ十五〜八十四歳の高齢者のがんはおおよそ三四%ですので、八十五歳以上を含め七卜五歳以ヒのすべての高齢者のがんを合わせますと全体の62.28%になる。65歳を高齢者というのには少し早すぎると思うが、65歳以上のすべての高齢者のがんをまとめると86.92%となる。がんイコール高齢者といわれて当然である。
8.死への葛藤と受容死への恐怖には恐らく年齢は関係ない。高齢者ががんに罹った時の人の心境は、不老不死を願うのが正直な気持ちである。生あるものは必ず死があることは理屈では知っていても、いざとなるとやはり死にたくはない。この死にたくない気持ちと、いずれ死ななければならないとの思いの狭間のなかで心の葛藤が続く。そうした心のなかのせめぎ合いにもやがて決着の時を迎える。年齢を重ねるうちに身に付いた心の訓練の賜物というべきか、穏やかに死を受け入れる境地になってくる。特に天寿といわれるまで生き延びた90歳以上の人にはこうした豊かな人生究極のゴールに、より容易に到達できる。それには自分を長い間生かしてくれた大いなる力に対する感謝の気持ちが大きく寄与する。
9.高齢になる前の働き盛りの中高年(40歳〜64歳)のがんも存在する。この年代の人のがんはすべてのがんの12.4%である。(2018年の人口動態統計)。65歳以上hの高齢者に比べればとくに高い比率ではないが、家族にとっても社会にとっても極めて深刻で重大な意味がある。40〜64歳の年齢の人達は労働の担い手、つまり人生の働き盛りの人達である。子どもが未だ小さく、家族扶養の責任も重い人達が大部分である。到底、死を受け入れる境地にはなれない。子ども達が一人前になるまでは頑張りたいと思う。職場との関係も気になる。がんの告知を受けショックの余り、がん治療を始める前にすぐに職を辞めてしまう人も少なくない。仕事を辞めないまでも志半ばにして逝かねばならぬとしたら、その無念さは筆舌に尽し難い。本人は勿論、残された家族にとっても残念無念の極みであり、お気の毒な限りなのです。「がんで逝くのも悪くないね」なんていえたものではない。社会的損失も極めて大きい。この年代のがんはなんとしても克服しなければならない。
10.さらに若く、15歳から39歳までの「人生これから」の若いAYA世代(思春期〉と若年成人の人達ががんで逝くのも極めて辛いものがある。この世代のがんはわが国すべてのがんの0.6%だから頻度としてはかなり少ないが、人生始まったばかりのもっとも生き生きした一番大切な年齢の人である。この世代のがんは、いままで余り注目されてなかったが、悲劇解決へ向けての努力が最近ようやく高まってきた。
11.子どものがん(0〜14歳)では、学校の生徒の長期欠席の1つは小児がんによるものである。小児がんは決して多くなく、全てのがんの0.08%であるが、少ないからといって軽く見てはいけない。この世に生を受けて間もない子どものがんは、両親をはじめ家族の皆さんにとって心の苦しみは痛烈なものである。小児がんは、大人のがんとは全く異質のもので、小児には大人で頻繁に見られた肺がんとか胃がんというものはなくて、白血病、リンパ腫とか脳・神経のがんが多い。小児は発育途上であるために、生体が放射線療法、薬物療法による影響を敏感に受ける。がんが治ったあと何年も経ってから、子どもの成長、発達、生殖機能などに、何らかの変調を起こすことがある。二次がんといって、新たながんが出て来ることもある。
12.65〜74歳のいわゆる前期高齢者はまだ現役で働いている方も少なくない。この年齢のがん死はやはり早すぎる。働き盛りの年齢(40〜64歳)では絶対にあってほしくない。この年齢層の46000人ほどの方が毎年がんで亡くなっている。75〜84歳はまだ早すぎる。少なくとも85歳以上、出来れば90歳以上の「超高齢」になってからなら何とか許されるかと思う。禁煙やウォーキングなど身体運動によるがん予防は高齢者にも効果がある。90歳、100歳になって「天寿がん」で大往生できる時代が近い将来くると期待されている。



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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
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 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
○公募展の受賞、入選
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