2020年07月20日

LNGはややクリーンエネルギーに近いが、石炭はそうではない。とっくに石炭を使わない状況である。

2020/7/17付けの 大前研一さんの「 ニュースの視点(発行部数 157,275部)は「エネルギー計画/富士通/米テスラ〜テスラは「電気自動車業界のトヨタ」になれるのか」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日経新聞は10日、「エネルギー政策、不作為に限界」と題する記事を掲載した。政府は、世界的な脱炭素の流れに沿って、エネルギー計画を見直す動きを加速させている。しかし、原発は再稼働が進まない上、国民の信頼回復もままならない。現実を見据えたエネルギーミックスの議論を早急に始めるべきとしている。
2.日本の電源別の発電電力量の構成比を見ると、福島第一原発事故の後、かつて30%以上の割合を占めていた原子力発電が今では10%未満に落ちている。一方で、液化天然ガス(LNG)や石炭の割合が増加しています。LNGはややクリーンエネルギーに近いと言えるかもしれないが、石炭はそうではない。本来ならとっくに石炭を使わない状況になっているはずだった。
3.世界的な脱炭素の流れで、今あらためて計画されているのは、2035年をめどに石炭による発電の約8割を削減していく、というものである。脱炭素を実行するのであれば、8割減などと言わず「石炭をゼロにする」という目標をまず明確に決め、原油生だきなどの中途半端なものも一切やめるべきである。その上で、再生可能エネルギーの割合を全体の約20%まで引き上げる、という方針が良い。この再生可能エネルギーの中には水力発電は含まない。同時に、利用するエネルギー消費の効率も改善していくことが重要である。
4.これは、例えば、エアコンやモーターなどの技術を向上させることで実現可能なはずである。全体でエネルギー消費の効率を40%ほど改善させる必要があると。「再生可能エネルギーの割合を20%まで引き上げ」「エネルギー消費の効率を40%改善する」という、この2つの施策を実行できれば、原子力のエネルギーを使わなくても、ブラックアウトなどを起こすことなく、問題なく生活できる。
5.他国のように、日本でも再び原子力エネルギーを活用できる可能性があるか?というと、やはり非常に難しい。かつての原子力行政は電力会社に任せっきりにしたために、大失敗した。今度は国が主導権を握ってできるか?というと、それを担える政治家が日本にはいない。例えば、反対する人に対して責任を持って説明するという1点を考えただけでも、それができる政治家が思い浮かばない。以前、大前氏が、福島第一原発事故のレポートを書き上げて、政府に提出したとき、何人もの政治家にレポートを見せて説明したが、誰もが及び腰で、「選挙の地元民に合わせる顔がない」などと言うだけで、自ら責任を背負い取り組もうという人は、一人もいない。今後の方針としては、再生可能エネルギーの割合を20%まで増やし、同時にエネルギー消費の効率を40%ほど改善させる、という2点が絶対条件である。
6.エネルギー消費の効率を改善するという点を見逃している人が多い。米国では、建物からエネルギーが逃げないように構造的な工夫を施している。日本の家屋は特にエネルギーが漏れやすいので、こういう事例も参考になる。
7.富士通が国内のグループ会社を含めたオフィススペースを、今後3年を目安に半減させる見通しである。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、国内で働く全社員8万5000人を対象に在宅勤務を推奨したが、今後もこれを継続するとともに、勤務時間や評価など新たな人事制度作りも進める。在宅勤務を前提とする新たな人事制度を作る際、「ジョブ型」の契約書を作ることが大前提で必須になる。
8.しかし、この時点で多くの日本企業が苦戦する。なぜなら、「ジョブ」を定義できる人がほとんどいないからである。例えば、ジョブ型の契約で採用する場合には、「仕事内容」「能力」「経験」「達成度合い」「それぞれに応じた年俸」などを明確に定義する必要がある。大前氏が在籍していたマッキンゼー等の米国企業なら、こうしたことを明記しているが、大半の日本企業では、それぞれの「ジョブ」をあいまいにしている。生命保険のセールスレディなどは、日本の中でも明確に「ジョブ」が定義されている職種と言える。9.富士通でも日立でも在宅勤務に移行する方針とのことだが、人事部の中に、「ジョブ」を明確に定義できる人材がいるのか疑問が残る。今採用されている人たちは「ジョブ型」として採用てないから、「ジョブ型に変更する」と言われても、受け入れるのは難しい。仮に仕事のパフォーマンスが悪くても、日本では簡単に従業員を解雇できないし、制度上の問題が発生する可能性がある。
10.米テスラの時価総額が1日、トヨタ自動車を初めて上回り、世界首位となった。環境規制が世界で広がり、電気自動車(EV)の普及が進むとの期待から、株価が急速に値上がりしている。トヨタの時価総額を上回ったテスラが、電気自動車の業界で、トヨタのような世界的なメーカーとして君臨できるかどうかは、現時点ではわからない。その答えは、イーロン・マスク氏の後、2〜3世代にわたって経営が引き継がれたときにわかる。
11.数十年後の電気自動車業界で、テスラが、今のトヨタやGMに匹敵するような立場になっていれば、今の期待値に相当する企業に成長したと言える。トヨタで言えば、豊田喜一郎氏が創業してから、ファミリー経営者が続き、その後一度は外様の経営者に任せ、今は再びファミリー経営者に戻っている。この数十年を経て、トヨタも今の時価総額に値する企業になっている。テスラに当てはめれば、イーロン・マスク氏は豊田喜一郎氏であり、ヘンリー・フォード氏である。
12.内燃機関の自動車メーカーの歴史を見れば、トヨタ、フォード、GM、いずれの企業も、ここまで成長するのに数十年を要している。これは電気自動車業界でも同様である。イーロン・マスク氏の後継者が、数世代に渡って優秀な経営者として、テスラを成長させなければならない。そう考えると、テスラの時価総額は今がピークであり、今後は下がるしかない。
13.今の高い時価総額を利用して、例えば電気自動車に強みがある日産を買収する、という手を打つのも面白いが、イーロン・マスク氏は自分自身の設計思想を実現していくことに喜びを見出す人なので、現実的に日産を買収する可能性は低い。イーロン・マスク氏は非常に気難しく、また気が短いタイプである。1つの事業に固執せず、嫌になったらすぐに手放すようなところもある。その意味でも、イーロン・マスク氏が後継者を見つけ、かつ、その後継者が数10年に渡って引き継がれていくのは、難しい。
14.トヨタの時価総額を抜いた後、さらに時価総額が増加しているテスラだが、利益面ではいまだに純損失が出ている。将来に対する期待値が高いのは理解できるが、トヨタのような1000万台レベルに成長するのは、並大抵のことではない。



yuji5327 at 06:31 
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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