2020年07月27日

リモート会議を続ければ、業務のムダや人材のムダがあぶり出される。意見も言えずに自分の存在価値に疑問を持つ人もいる。


「大前研一著:“新しい働き方”模索者が新型コロナで急増中、PRESIDENT 2020.8.14」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.戦後日本の企業社会というものは「昼飯を食わせてくれるところ」としてスタートしたと言ってもいい。戦争で焼け出されて帰る家を失い、食料生産も食料輸入も激減して、配給でわずかな食糧を得るだけの飢えた毎日だった。ハイパーインフレに低賃金政策で労働者の生活が窮乏する中で、職場は昼飯にありつける大事なライフラインだった。
2.戦前は資本家と労働者の立場は、まったく違っていた。工業化社会の第一段階というのは資本家による搾取であり、大正や昭和の初めの頃の労働者は搾取される側だった。これは産業革命後のスコットランドでもアメリカでも同様だった。さらに戦争に突入すると、今度は軍が国民から搾取した。敗戦後、深刻な食糧不足、物不足の中で立ち上がってきた会社というのは、労使で対立している余裕などなく、皆で稼いで皆で分け合う原始共産制のような組織たった。
3.後に戦前の労使対立が持ち込まれて、労働争議が頻発するようになるが、戦後の日本企業の多くは鍋釜を共にして、家族のように肩寄せ合って貧しさを乗り越える共同体から出発した。会社の利益と自分(社員)の利益が一致しているから「我が社」のために頑張り、尽くすのが、日本のサラリーマンの会社に対する忠誠心の源泉であり、それが終身雇用、年功序列、企業別組合を「三種の神器」とする日本的経営へと昇華して高度成長の礎になった。
4.三種の神器を染色体に染みこませた「モーレツ社員」や「企業戦士」が闊歩した時代である。時は移ろい、パブル崩壊や「平成」の「失われた30年」を経て、「令和」に変わった。かつてのような終身雇用や年功序列は崩れて、「モーレツ社員」も「企業戦士」も姿を消した。しかし先行きが見えずに安定志同が強まる中で、日本のサラリーマンの会社という共同体への帰属意識は、それほど大きく変わっていない。
5.そんな折、新型コロナウイルスのパンデミックが降りかかって、企業社会も変革を余儀なくされた。感染拡大防止のためにテレワークや時差通勤の推奨・導人に踏み切る企業が続出して、政府の音頭では一向に進まなかった働き方改革が一気に進行した。大脳生理学者の研究によれば、日本のサラリーマンにとって一番α波{リラックスしたときに多く出る脳波〕が出るのは、会社で自分の席に着いているときだという。そんな日本のサラリーマンが、今回のコロナ禍で在宅勤務をやってみると、さほど生産性は変わらなかった。
6.ハイクラスを対象にした大手転職サイトのアンケートによれば、新型コロナの感染拡大をきっかけに約6割がキャリア観に変化があり、そのうちの9割以上が「会社に依存しないキャリア形成が必要」と回答した。あくまで自分のキャリア形成に関心が高い人たちのアンケート結果ではあるが、テレワークをやってみて、日々の通勤や対面の会議、打ち合わせ等、「会社に行って仕事をする」ことの意味や価値を見つめ直した人は少なくない。
7.たとえば、Zoom〔Web会議用アプリ〕などを使ったリモート会議と対面の会議では勝手が違う。日本企業の普通の会議なら、まず配った資料の説明に時間がかかって、質疑応答の後に「各々、検討しておくように」で終わる。リモート会議の場合、事前に配った資料を参加者が読み込んでいるから、長々とした説明は要らない。すぐに質疑応答に入れる。質疑応答にしても、普通の対面会議では発言せずにいても案外目立たない。しかしリモート会議の場合、司会役の上司から全員の顔がよく見えるから居眠りもできないし、端から一人ずつ意見を求められることもある。リモート会議では意見を言わないほうが目立つ。
8.リモート会議のようなことを続けていると、業務のムダや人材のムダが否応なくあぶり出されてくる。大した意見も言えずに自分の存在価値に疑問を持ったり、疎外感を覚える人もいる。日本のサラリーマンの多くは、「会社に依存したキャリア形成」をα波が出るくらい当たリ前のようにやってきたが、そのうちの5人に1人でも「会社に依存しないキャリア形成」を模索するようになれば、日本の企業社会は変わる。さらにそのうちの5人に1人、あるいは10人に1人でも成功するようになれば、日本は大きく変わる。
9.「会社に依存しないキャリア形成」とは、政府の言葉で言い換えれば「ジョブ型雇用」ということになる。「職務記述書」を示して、職務の内容や必要な能力を明確にしたうえで最適な人材に報酬を提示して、提示された側もそれでよければ契約し採用する。これがジョブ型雇用である。欧米では一般的だが、日本人にとっては一番苫手な雇用形態である。
10.たとえばアメリカでは、「こういう部門のこういうジョブを求めています」と企業が募集をかける。LinkedIn(リンクトイン〕などのビジネス人材に特化したSNSを活用するケースも近頃は多い。選考して候補者が絞られてくると、リファレンス・チェック〔身元照会、経歴照会〕が行われる。応募者はエントリーシートにこれまでのキャリアや自己アピールとともに、自分のことをよく知る人物〔過去の仕事の上司や同業者など〕の名前を最低3人書き出さなければならない。採用担当者はその3人に連絡を取って、「本人はこう言っているが、あなたと仕事をしているときはどうだった?」と逐い確認する。
11.これは給与条件の設定にも閲わってくる。たとえば、1社目の年俸が6万ドル、2社目が7万ド、3社目が15万」だったとすると、1社目、2社目の上司の評判は上々なのに、3社目の上司の評価は低かったりする。この場合、当人の能力が頭打ちになったと判断できるから、15万ドルではなく、11万ドルくらいの仕事をジョブ・ディスクリプションに書き出してオファーする。ジョブ型のマーケットでは、このようなプロセスを経て人材に値札をつける。しかし、今までジョブ・ディスクリプションを書き出せる日本企業のマネージャーを見たことがない。高収入の専門職を労働時間の規制対象から外す「高度プロフェッショナル制度」を導入した企業がこの1年でわずか10社、適用者が414人にとどまっているのも、ジョブ型と日本の企業社会の相性の悪さを物語っている。
12.「会社に依存しないキャリア形成」、すなわちジョブ型人材になるためには、値札がつくだけのスキル、余人をもって代えがたいスキルというものを身につける必要がある。それも自己評価ではなく、「あの人にこれをやらせたら大したもの」と複数の第三者に証明してもらえることが重要である。有名大学院や大学卒業は肩書にはなるが、値札にまで影響するかどうかは疑問である。推奨したいのは、会社の中で実践を積んでスキルを身につけることである。
13.たとえば「今、こんなことをいろいろな会社がやっている。ウチでもやりましょう」と会社に提案してイニシアチブを握って進める。今ならロボティック・プロセス・オートメーション(RPA〕など事業プロセスの自動化技術は、どこの企業も関心度が高い。RPAを社内に導入するとなれば、今までと違ったスキルを身につけなければならない。しかし、アシストしてくれるツールはいくらでもある。それを会社に埋め込んで、たとえば今まで7人でやっていた業務を3人でできるようにする。一度実綾をつくれば隣の部署にも提案しやすくなるし、もっと大きな部署への導入を任される。
14.会社にいる間に自分から仕掛けて、客観的に測定できる実績を積み上げる。「RPAで3つのプロジェクトを成功させた」というのは、完全な値札である。RPAで年収500万円の人員を10人削れれば5000万円のコストダウン。さらに、その10人分の新しい仕事を見つければ、効果はその何倍にもなる。「年収1000万円+成果報酬ボーナス」でプロジェクトリーダーに迎えてもお釣りがくる。いまだ使い勝手の定まらないリモート会議を改善した。
15.簿記の延長のような経理を完全オンライン化して、在宅でもで出張経費の計算ができるようにした。そんな実績をつくることが、ジョブ型人材への近道である。「会社に依存しないキャリァ形成」をしたいなら、まずは会社にべったり依存する。日本の会社は生意気な提案をしてもクビにならないし、失敗しても致命的なダメージにはならない。会社を練習台に使わせてもらってスキルを身につけ、他人に示せる実績を積む。会社でそれが認められれば出世するだろうし、認められなくても引く手あまたある。


yuji5327 at 06:36 
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(常務理事)
 青山賞、春興賞の受賞:2回
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