2020年08月12日

中東ではアラブ人とユダヤ人はパレスチナの土地で何度も戦争を繰り返してきたが、最近、対イランで、サウジアラビアとイスラエルが急接近している。


「池上彰著:知らないと恥をかく世界の大問題11、KADOKAWA 2020.6.10」
は参考になる。「第3章 アメリカが関心を失い、混乱する中東」の印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して自分のコメントもカッコ内に付記して纏めると以下のようになる。
1.日本人がいちばんわかりにくいのが中東あるいはイスラム世界である。中東では、とりあえず3つの国を理解しておきたい。「盟主」の座を争っている「サウジアラビア」と「イラン」の2国は昔から仲が悪い。中東には、サウジアラビアとイランの他に、もう1国、ユダヤ人国家である「イスラエル」がある。
2.中東ではアラブ人とユダヤ人はパレスチナの土地をめぐって対立し、何度も戦争を繰り返してきが、最近、対イランで、サウジアラビアとイスラエルが急接近している。驚くべきことである。イランは「イスラエルの排除」を訴えてきた。イスラエルを、イスラム教徒の土地を不法に占拠する者、と位置付け、強硬派で知られたマフムード・アフマディネジヤド前大統領などは、イスラエルを世界地図から抹殺する、言っている。
3.イスラエルは核を持っているらしいから、イランも核を持とうと核開発をひそかに進めていた。しかし現在のイランの大統領ハサン・ロウハニ師は穏健派である。「師」がつくのは高位のイスラム法学者の敬称である。白いターバンを巻いていて、いかにも柔和な顔をしているが、イランのトップはこのロウハニ大統領ではなく、大統領の上にアリー・ハメネイ師という最高指導者がいる。彼はロウハニ師より反米の保守強硬派である。黒いターバンを巻いていて、イスラム革命防衛隊ガーセム・ソレイマニ司令官の葬儀では、棺を前に号泣していた。テレビではなかなかイランの大統領と最高指導者の関係について解説しない。
4.イスラム教には、スンニ派とシーア派という2つの派がある。紀元後7世紀ごろ、サウジアラビアでムハンマドという人が「神の声を聴いた」と、人々にその言葉を伝えていく、これによってイスラム教が広がっていく。ムハンマドがイスラム教の絶対的な指導者だったが、亡くなった後、後継者をどうするかというところでイスラム教徒が2つに分裂することになる。
5.ムハンマドは神から選ばれた預言者ならば、ムハンマドの血を引く者こそ指導者になるべきだと考える人たちが「シーア派」です。シーアというのは「党派」を意味する。ムハンマドのいとこにアリーという人がいて、アリーを指導者にしたいという人たちが「アリーのシーア」と呼ばれているうちに、単に「シーア」となった。シーア派はイスラム教徒の約15%、つまり少数派だがイランでは人口の約9割がシーア派である。
6.一方、イスラム教徒の多くが「スンニ派」(正しくはスンナ派)である。「スンナ」というのは慣習という意味で、スンニ派は、イスラムの教えに詳しい人であれば別に血筋は問わないという人たちである。イスラム教徒を指導する人は「カリフ」と呼ばれた。これに対し、シーア派ではムハンマドの血筋を引く指導者を「イマーム」と呼ぶ。スンニ派とシ
ーア派で指導者の呼び方も異なる。こういう宗派の分かれ方は日本では日蓮宗である。日蓮には6人の門弟がいたが、日興上人だけは他の5人と日蓮の教えの解釈をめぐって対立。日蓮宗と挟を分かって日蓮正宗を始めた。以来、日興上人の後継者のみを正統な指導者と見ている。ちなみに日蓮正宗の信徒団体が創価学会だったが、口蓮正宗から破門され対立している。イスラム教と日蓮宗を比較するというのは奇想天外な発想だが、カリスマ的な指導者がいなくなった後、誰が継承者となるかという対立で分かれるのはどの宗教でもあり得る。
7.イランはシーア派なので、ムハンマドの血を引くアリーが初代イマームです。その子どもたちが2代目、3代目のイマームとなっていくが、12代目のイマームが突然、姿を消してしまい、信者たちは困り、12代目のイマームはお隠れになったと解釈し、姿を消したけれど、いずれ戻って来てすべての信者を導いてくれると信じる。イスラム教にもキリスト教と同じように、コーラン(クルアーン)の中に「世界の終わり」という生々しい描写がある。12代目のイマームはお隠れになっているけれど、やがて世界が終わりを迎えるとき、再びこの世にあらわれて人々を導いてくれる。これがイスラム教におけるシーア派の中の「12イマーム派」考えである。
8.12代目のイマームが戻ってくるまでの間はどうするかの答えをイラン・イスラム革命を起こしたイスラム教の法学者ルーホッラー・ホメイニ師である。12代目のイマームが再臨するまでの間は、イスラムの教えに詳しいイスラム法学者が「最高指導者」として国を導いていけばいいとした。イランには、イマームが存在しない間のイマームの代理人が存在する。それが、国民から選挙で選ばれる大統領より偉い最高指導者というわけである。大統領は1期4年で辿続2期までだが、最高指導者は終身である。ホメイニ師が亡くなった後を継いだのが、現在のイランの最高指導者ハメネイ師である。イランの最高指導者は、イランの「国軍」と「イスラム革命防衛隊」両方の指揮権を持っている。加えて、大統領を罷免できる権利も持っている。ちなみに、「イスラエルを地図から消せ」と暴言を吐いていたアフマディネジャド前大統領は、革命防衛隊の出身者でした。彼はイスラム法学者ではないので、「師」はついていない。
9.イランの革命防衛隊は、基本的にイランの中でイスラム体制を守るために機能しているが、一方でシーア派というのはイスラム教の少数派である。周りのアラブの国はたいていスンニ派だから、イランはシーア派の影響力を何とか中東で広めていきたいという思う。そこで海外工作を担当していたのが、革命防衛隊の中でソレイマニ司令官が指揮した「コッズ部隊」である。革命防衛隊の中のさらに精鋭である。同じシーア派の民兵部隊レバノンの「ヒズボラ(神の党)」や、イエメンの民兵組織「フーシ」、イラクのシーア派民兵組織「人民動員隊(PMF)」などと強く結びつき、シリア、アフガニスタンでもシーア派民兵を支援し育成してきた。アメリカは「テロリストの親玉」という。
10.コッズとは、アラビア語やペルシャ語でイスラム教の聖地でもあるエルサレムを意味する。「いつの日か聖地エルサレムを奪還する」という意味も込められている。ここ数年、中東での最大の脅威は、スンニ派のテロ組織「IS」(白称「イスラム国」)の拡大だった。シーア派の国イランにとって、スンニ派のテロ組織「IS」は敵である。このため「IS」がシリアやイラクを占領したとき、イラクのシーア派を守ろうと派遣されたのが革命防衛隊のコッズ部隊だった。「lS」を潰すうえで、コッズ部隊の役割は大きかった。イランのお隣イラクにはシーア派住民のほうが多く、イラクのイスラム教徒のうちの約6割がシーア派である。しかしイラクのサダム・フセイン元大統領はスンニ派で、多数派のシーア派の力が増大するのを恐れてシーア派を冷遇する政策をとっていた。
11.フセイン亡き後、今度はシーア派が政権を掌握、とりわけ警察と軍隊の指揮権を取り、スンニ派が冷遇されるようになった。イラクはシーア派とスンニ派、クルド人の3つのグループからなる「モザイク国家」といわれる。最近も反政府デモが起こり、国内は混乱していた。ソレイマニ司令官が殺されたのは、そんなイラクに到着したところだった。



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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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