2020年09月10日
新彊ウイグル自治区の人たちが弾圧されている理由のひとつは、イスラム教を嫌がったからである。一部の過激なイスラム教徒による抗議活動で約200人の死者が出た。
「池上彰著:知らないと恥をかく世界の大問題11、KADOKAWA 2020.6.10」
は参考になる。「第4章 一触即発。火種だらけの東アジア」の印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して自分のコメントもカッコ内に付記して纏めると以下のようになる。
1.アメリカ政府は中国の通信機器大手「ファーウェイ」(華為技術)などの機器をアメリカから締め出す方針を決め、2019年5月から事実上の禁輸措置を実施している。アメリカは同盟国に対しても、5Gネットワークからファーウェイの機器を排除するように説得してきた。ファーウェイの機器が世界中のいろんなところで使われることによって、中国にさまざまな秘密が漏れるのではないか。ファーウェイが中国政府のためにスパイ行為を働いているとして、対立している。本音は、次世代通信で中国に覇権を握られるのが許せないということである。
2.5Gの「G」とは、ジェネレーション(世代)の略である。第5世代の通信システムのことで、大きな特徴は、高速大容量(2時間の映画を3秒でダウンロード)、多数同時接続(災害時などの通話不可がなくなる)、低遅延(通信の遅れが起きない)である。すでにファーウェイの機器を導入している、あるいは検討している国は80を超えている。イタリアやイギリスなど、ヨーロッパの国でも導入している国は多く、世界でシェアが広がっている。アメリカの説得に大きな成果は見られない。技術がしっかりしていて安いのに日本が使わない理由は、アメリカに睨まれるからである。
3.中国は面子を大事にする国である。トランプ大統領のように問答無用で「俺の言うことを聞くのか、聞かないのか」というやり方は、極めて相手のプライドを傷つける。中国の面子丸つぶれのやり方である。中国も引くに引けない。しかし今回の新型コロナウイルスの感染では、経済面での中国依存のリスクが浮き彫りになった。日本で必要とされているマスクのほとんどは中国製だった。シャワートイレの部品や自動車部品も中国頼みである。気がつくと日本は中国頼りになっている。中国に頼らざるを得ない部分もあるが、頼りすぎはリスクが大きいことが、今回はっきりした。経済構造をどうシフトさせるか考えたほうがよい。
4.「トランプ大統領ありがとう」という英語の横断幕が、2019年12月に香港で行われたデモで、登場した。アメリカのトランプ大統領が11月27日「香港人権・民主主義法案」に署名し、法律が成立したことに感謝したのである。成立した法律は、アメリカ政府に対して、香港の自由が中国政府によって侵害されていないかを毎年検証し、結果を議会に報告するよう義務付けた。
5.12月3日には「ウイグル人権法案」が可決された。これは新彊ウイグル自治区でイスラム教徒のウイグル族を弾圧する当局者に、制裁を科すことなどを求めている。中国政府はアメリカ議会が「香港人権・民主主義法案」を通過させ、続いて「ウイグル人権法」を可決したことに猛反発している。中国の新彊ウイグル自治区では、およそ2500万人が暮らしている。そのうち約1000万人はイスラム教を信仰するトルコ系のウイグル族で、ウイグル語という独自の言語を持つ。
6.新彊ウイグル自治区の人たちが弾圧されている理由のひとつは、イスラム教を嫌がったからである。一部の過激なイスラム教徒による抗議活動や暴動がたびたび発生し、2009年7月の暴動では約200人の死者が出た。暴動を2度と起こさせないためにというが、アメリカ政府は、ウイグル族を中心にイスラム教徒の多くが無理やり収容所に入れられ虐待や拷問をされていると批判している。
7.中国ではキリスト教徒も弾圧されている。キリスト教の教会が破壊されたり、許可がないと聖書が読めなかったりする。宗教活動を制限するわけは、中国ならではの理由がある。たとえばカトリックでいうとトップはローマ教皇です。中国共産党よりローマ教皇の言うことを聞くのは許されない。新彊ウイグル自治区はイスラム教徒が多いが、イスラム教徒にとって絶対的な存在は「アッラー」(神)である。自治区を抑えつける理由は他にもある。中国としては周りの国との緩衝地帯にしたい。チベット自治区はインドとの緩衝地帯である。チベットは高地なのでインドを狙った核ミサイルが配備されているといわれている。核ミサイル発射基地があるから独立など認めない。アメリカは2020年1月28日、チベット族の人権や信教の自由を擁護する「チベット人権法」を賛成多数で可決しました。ダライ・ラマー4世の後継者選定について中国政府が介入しないように監視する。