健康

2019年08月11日

宇宙で、ヒトの脳ほど複雑な構造物はない、地球上では、ヒトの脳がそのサイズの物体として最も複雑である。


「藤田一郎著(大阪大学教授):脳のネットワークの全貌解明挑戦はどこまで進んでいるか、週刊ダイヤモンド、2019.6.29」は参考になる。-.
1.宇宙で一番複雑な物体は難しいが、ヒトの脳ほど複雑な構造物はない、地球上では、ヒトの脳がそのサイズの物体として最も複雑であることに異論はない。860億の神経細胞から成り、そのそれぞれが数10個から数万個の他の神経細胞とつながり、接続部であるシナプスを介して情報のやりとりを行うやりとりを介して生じた神経細胞群の活動が、私たちの心と振る舞いをつくり出す。一つの神経細胞につながる神経細胞の数.の平均が100個であるとすると8・6兆個、もしも1000個であならば8.6兆個のシナプスを脳は持つ。いずれにせよ、とてつもなく膨大な要素から成るネットワークである。これらの神経細胞はランダムにつながるのではなく特定の相手と接続し、その粘果、特有の構造を持ったネットワーク(神経回路)を形成する。
2.電子回路の設計がコンピューターの機能を大きく左右するように、神経回路の構造が脳における情報処理を強く規定する。膨大な神経回路のどの部分が特定の心の出来事や行動に関係しているのか。それぞれの神経細胞において情報処理はどのようになされ、どんな神経回路がそれを可能にしているのか。私たちが成長し、年を取る過程でそれらの神経回路はどう変化していくのか。心の病はこれらの神経回路に何が起きた結果なのか。こうした問題はどれも重要な研究テーマである。
3.脳神経科学の研究は、多くの場合、これらの問題の一側面と脳の中のある一部との関係を調べている。しかしそのようなアプローチとは別に、神経回路全てを対象として、どの細胞が他のどの細胞とつながっているのかの全貌を明らかにしようという試みがなされている。神経回路の総体はコネクトームと呼ばれ、コネクトーム解明に取り組む研究分野はコネクトミクスと呼ばれる。オバマ前大統領時代に始まった米国のプレイン・イニシアチブ・プロジェクトの中核課題であり、類似プロジェクトは日欧でも推進されている。
4.ヒトのゲノム(DNA全体の塩基対配列)は2003年にその解読が完成した。塩基対の数は30億個あり、その中には、およそ2万2000の遺伝子(特定のタンパク質のアミノ酸配列を指定する塩基対配列)が含まれることが判明した。ヒトの脳のコネクトームは、それに比べて明らかにせねばならない対象の数が数桁多い。加えて、一つ一つの神経細胞と他の神経細胞との接続を明らかにするにはたくさんの技術的困難がある。
5.神経細胞同士の機能的接続を担うシナプスはその大きさが1μmにも満たないため、その有無を確定するには電子顕微鏡を使う必要がある。観察試料を電子顕微鏡で観察するには、50nm程度のスライス〔切片〕にする。たった1mm^3の脳組織であっても、その全てを観察するには、2万枚の切片を作製しなくてはならない。1枚の欠落もなく2万枚の切片を作製することは厳しい技術的要求である。
6.その1枚1枚の中に、神経細胞の細胞体、樹状突起、軸索、グリア細胞、血管内皮細胞などの断面がぎつしりと詰まっている。ショウジョウバエの神経系のある1断面3・5μm四方の電子顕微鏡写真を見ても、その複雑さが分かる。もし、1mm四方を観察しようと思えば、このような写真が8万枚以上必要である。そして、これらの写真に基づいて3D再構成を行うには、この切片のどの部分が上下2万枚の切片のどの部分につながるのかを決定する必要がある。
7.このような技術的困難から、1種類の動物を除いてコネクトームの解明は実現しておらず、マウスの網膜や大脳皮質視覚野、ショウジョウバエの視覚系で部分的な結果が報告されているにすぎない。コネクトームが解明されている唯一の動物はカエノラプディティス・エレガンスという種類の線虫である。体長1mmにも満たないこの動物も神経系を持っており、走性(化学物質や温度に誘引されたり、忌避したりする行動)や学習などの能力を持っている。先端から後端までの全てを切片にすることで、この動物が持つ302個の神経細胞がシナプスでつながっている全様相が1986年に明らかになっている。
8.「なんだ、線虫か」という声が聞こえるが、今のように大容量画像データを取り扱うデジタル技術が発達していなかった時代に、電子顕微鏡写真の巨人なブリントアウトに基づいて行った驚くべき研究である。ゲノムの令.解明もまた多細胞生物としては線虫が最初であり、その成功がヒトゲノムプロジェクトへの推進力となった経緯がある。
9.ヒトのコネクトーム解明に特有の技術的な制約は、脳を傷つけずに観察する方法しか適用できない。従って、現段階では、ずっとマクロなレベルの解析に力点が置かれている。用いられる代表的な方法は磁気共鳴映像(MRI)法であり、脳の活動を血液中のヘモグロビンの変化を見ることで計測する機能的MRI法や、水分子の拡散を見ることで神経線維の走行を可視化する拡散強調イメージング〔DTI)法などがある。DTI法で推定したヒトの脳の主.費な神経線維の走行は生きている人間に適用でき、比較的容易に計測ができる利点があるが、細胞レベル、シナプスレベルの解像度はない。
10.技術的なハードルを強調する話が続いたが、コネクトミクス研究の重要な拠点である米国ジャネリアファーム研究所の研究者からの私信によれば、25万個の神経細胞を持つショウジョウバエのコネクトームの完成が2年後に見込まれているという。いつになるかの予想はできないが、ヒトの脳のコネクトーム解明の日もきっと来るに違いない。


yuji5327 at 06:32 

2019年07月19日

幸せホルモンと呼ばれるセロトニンという化学物質は、脳内で働く場合には「神経伝達物質」であって、ホルモンではない。


「大隅典子(東北大学教授)著:うつ病とセロトニンに新設、DNAスイッチという新機能、週刊ダイヤモンド、2019.6.15」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.幸せホルモンと呼ばれるセロトニンという化学物質は、脳内で働く場合には「神経伝達物質」であって、ホルモンではない。ホルモンとは、細胞から分泌され、標的となる細胞が受け取ることで作用が及ぼされるような物質を指す。例えば、「甲状腺ホルモン」などが該当する。
2.セロトニンの新たな働きについて取り上る。セロトニンは1935年にイタリア・ローマのヴィツトリオ・エルスパーマーという楽理学者により発見された。名前の由来は、血清中に存在する、血管の緊張を調節する物質である。
3.体内でセロトニンは、タンパク質を構成するアミノ酸のトリプトファンから代謝されて作られる。ほとんどが腸の粘膜に存在し〔約90%)、残りは血小板〔8%)と脳(2%)に存在する。脳内で働くセロトニンは、脳幹と呼ばれる部分の神経細胞で合成されたものであり、腸で作られたセロトニンが脳に直接作用することはない。これは、脳血液関門を通過できないからだ。脳幹でセロトニンを合成する神経細胞は、大脳皮質や海馬、視床下部など広範な領域に長い神経のケーブルを延ばして、睡眠、体温調節などの生理機能に関わることが知られている。
4.セロトニンが幸福感に関係するといわれ理由は、抗うつ剤の開発の歴史にさかのぼる。50年代、抗精神病薬として開発された化合物が、統合失調症よりもうつ病に効くという臨床的な事実から、その薬理作用が調べられた。そして、セロトニントランスポーターの再取り込みを阻害することによって効果を示すと考えられた。
5.神経細胞と神経細胞のつなぎ目の部分であるシナプスと呼ばれる隙問に放出されたセロトニンが、トランスポーターの阻害作用によって長くとどまるという。そこで、この抗うつ剤の薬理作用から、うつ状態にある人の脳内ではシナプスにおけるセロトニンの濃度が低下し、セロトニン受容体にセロトニンが作用しにくい状態となって、うまくセロトニンの作用を発揮できないのではないかという、うつ病の「セロトニン仮説」が浮上した。「セロトニンは幸せホルモン」という言説は、セロトニン仮説の裏返しとして生.まれたものである。選択的にセロトニンの再取り込みを抑える薬剤〔SSRI〕の開発が進んだ。米国で88年にSSRIの一種であるフルオキセチンが市販されると、瞬く間に抗うつ剤市場を席巻することになった。
6.加えて、96年にセロトニン仮説を支持する画期的な論文が発.表された。それは、セロトニントランスポーター遺伝子の遺伝子型.が、抑うつ状態に関係するというものである。遺伝子の一部が短い「S型」が、父方、母方由来の2本の染色体に存在する「SSタイプ」だと、長い「L型」を保有する場合よりも、うつ傾向が強いことが指摘された。これは画期的な研究成果として受け止められ、うつに関するセロトニン仮説はさらに強化された。つまり、うつ病の発症機序やSSRIの作用自体が十.分に理解されているとは言い難いものの、シナプスのセロトニンの濃度を高く保つことによって、抗うつ効果があると誰もが信じてきた。
7.今年の大型連休中に、この仮説に一石を投ずる論文.が米国精神医学雑誌に発.表された。それは、うつ病のリスクに対するセロトニントランスポーターをはじめとする遺伝子型の効果は、これまで信じられてきたほど大きいわけではないという内容である。6万人から44万人規模の臨床データを450報も精査した結果である。
8.だが、これは「うつとセロトニンは関係ない」という意味ではない。SSRIなどの薬剤が、他の効果を持つ可能性は残されている。3月末、英科学誌「ネイチャー」に、革新的な研究成果が報告された。それは、セロトニンにはシナプスで働く神経伝達物質としての古典的な作用だけでなく、「エピジエネティック」な働きがあるかもしれないというものである。エピジェネティクスについては、遺伝子の情報には塩基配列(A、T、G、C〕に加えて、それを上書きする作用を持つ化学修飾がある。例えば、DNAのシトシンにはメチル基がくっつく。
9.こうした化学修飾が遺伝子の作用を制御することは、「DNAスイッチ」と呼ばれることもある。DNAの本体に加え、二重らせんの鎖をコンパクトに収納するための糸巻きのようなタンパク質のヒストンにも、さまざまな化学修飾が存在する。これまで、メチル化、アセチル化、ユビキチン化などが知られていたが、セロトニンもヒストンタンパク質に結合することによって、スイッチとしての作用をもたらすというのである。米国のマウントサイナイ医学校やその他多数の研究室による共同研究では、ピストン3タンパク質の5番目のグルタミンの部分に、セロトニンが結合することを見いだした。
10.このような修飾を受けたヒストンは、確かに脳と腸に多いことも分かった。そして重要なことだが、セロトニン化されたピストンが存在するゲノム領域では、遺伝子のスイッチが入りやすい状態になっている。つまり、セロトニンは神経伝達物質としての古典的な機能に加え、細胞の中で遺伝子の働き方を調節するという新たな機能を持つのかもしれない。今後、他の研究室の検証を待つ必要はあるが、セロトニンが脳内で重要な物質であることに変わりはない。


yuji5327 at 06:41 

2019年07月16日

加熱式たばこは、ファッションに近く、有害作用や受動喫煙のリスクは紙たばこと大差ない。使用を禁止している国もある。


「池谷裕二著:闘論席、週刊エコノミスト、2019.6.11」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日本の成人喫煙率は厚生労働省の調査で男性29%、女性7%。以前に比べると、ずいぶんと減ってきた。喫煙率の低下の理由は、有害作用が社会的に認知されてきたことに加え、ニコチン置換機器が普及してきたことにもある。
2.世界では「電子たばこ」の市場拡大が日覚ましい。液体を電気加熱して発生した蒸気を吸入するもので、当初の予想をはるかに上回って浸透している。今年2月にはニコチンパッチなど、ほかのニコチン置換療法に比べ禁煙成功率が1.8倍高い、という一定の禁煙効果を示す英国の調査結果が医学専門誌に発表された。
3.しかし、電子たばこは、真の意味で有益だろうか。まずは副作用。発がん作用については多様なデータが発表されているが、おおむね「作用なし」との意見が優勢である。とはいえ、血管収縮作用があるニコチンが含まれるため、心臓発作や脳竿中のリスクを高めるとされる。またニコチンには強い依存作用があり、海外では「電子たばこ依存症」が新たな社会問題となっている。
4.これ以上に問題視されるのが、若者による乱用である。たばこ未経験者が電子たばこを使用するケースが増えている。アメリカではここ1年で10代による電子たばこの使用が倍増した。ニコチンに味をしめた若者が、紙たばこに移行しているという。電子たばこの目的に逆行する現象である。
5.我が国では少し状況が異なる。日本では電子たばこで用いられるニコチン液が医薬品.医療機器法(薬機法)の規制対象であり、自由に販売・購人できない。このため、たばこの葉を加熱し蒸気を吸人する「加熱式たばこ」が主流である。
6.加熱式たばこは、いわばファッションに近く、有害作用や受動喫煙のリスクは紙たばこと大差ないという指摘もあり、使用を禁止している国もある。


yuji5327 at 06:22 

2019年07月03日

かかとから着地するほうが、ふくらはぎの運動量がアップする。ふくらはぎは、下半身にたまった血液を心臓に戻すポンプの働きをする。ふくらはぎの筋肉が弱ると心臓に負荷がかかる。

「南和友著:
最強心臓外科医が教える病気にならない自律神経の整え方、幻冬舎、2018.7.10」は参考になる。「第3章:苦労を楽しい記憶に変えると、健康維持の努力も楽しく続けられる」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.加齢によって体調に不具合が出ることはむを得ないが、かならずしも加齢ばかりが影響しているわけではない。実年齢は50歳でも、血管年齢は70歳という人はいるし、逆に、70歳を過ぎても血管年齢が50歳という人もいる。いくつになっても50代くらいの血管年齢なら十分に維持できる。生活習慣を変え、自律神経を上手にコントロールし、それまでの不健康な生活から抜け出すには一時的な苦労や我慢も必要になる。
2.血管を若返らせるためには、「運動」「自律神経の閾値を高める」「食事法」の3つの要素が必要になる。1つ目の「運動」は、激し過ぎても心臓に負担となるので適切ではない。のんびり歩くだけでも効果がない。普通に歩いている状態よりも拍出量が増える軽いジョギングや強めのウォーキングをするなどして、血管が筋肉に血液を送るように仕向けることで、初めて心臓も血管も鍛えられる。強度の高い運動を急に中止すると筋肉内に血液が留まることで疲労物質が蓄積し、回復が遅れる。少しずつ運動強度を下げていくクールダウンの時間が必要となる。
3.2つ目の「自律神経の閾値を高める」ためには、血管を収縮させるのが交感神経、血管を拡張させるのが副交感神経、という原理を理解したうえで、血管を締めて開く、締めて開くの繰り返し、すなわち血管の「拍動流」を保つことが大切である。拍動流とは、心臓の拍動を受けて、動脈がうねうねと波打つように動き、血液が流れていくことである。この拍動流があることによって、隅々の組織にまで血液を送ることができる。また、血流がスムーズであれば血管の柔軟性が保たれ、動脈硬化を予防することもできる。自律神経の閾値を高めると血管が若く強くなるとはそういう意味である。
4.自律神経を鍛える方法として、もっとも大切なのは感動をテーマに生活することである。仕事や子育てから解放されたからといって、無為に日々を過ごすようなら、感動とは程遠い生活になってしまう。
5.3つ目の「食事法」とは、食のコントロールのことで、糖やコレステロールの少ないさらさらの血液をつくり、血管壁が傷つかないようにすることで血管力を高めるのが目的である。長年の食の嗜好たとえば脂や塩分が多い食べ物への執着を変えるためには「思考」を変えることが必要である。どんな食事が血管に悪いか、どんな食事が血管によいかを知識としてしっかり頭に入れる。健康になるのにはそれなりの努力がいる。
6.早いうちに始めた努力は、かならず将来、大きな成果となって返ってくる。そして、苦労の末に味わった「楽しい」「気持ちいい」というイメージをつくるのも、自律神経の働きである。
7.運動はやり過ぎれば不整脈が出たり、心肥大になったりします。激しく息を切らしながら汗だくになってランニングをする中高年は、心臓への負担は相当なもので危険である。「適度な運動」の定義は「有酸素運動」である。有酸素運動とは、運動中の呼吸を普段よりも深めにし、たくさんの酸素を取り込みながら行なう運動である。このとき十分に取り込まれた酸素は、体内の糖質や脂肪をエネルギー源として燃焼するときに使われ、効率的にエネルギーを作り出す。
8.体内に乳酸を生じないために疲れが蓄積しにくく、エネルギー源が徐々に体脂肪に切り替わっていく。ポイントは、激しいとまではいかず、ややきつい、といえるくらいのウォーキングなど、反復する動作を一定時間続ける。最初は15分程度でOKで、わずかな時間のうちにもいろいろな情報が五感を通じて体の中に入ってくる。歩いていて気持ちよくないと感じたら、オーバーペースになっているサインで、歩く速度を少し落としたり、途中に休憩をはさんだりする。習慣化がたいせつ。
9.有酸素運動に最適な方法として、パワーウォーキングを勧める。パワーウォーキングは運動生理学と医学的見地にもとづき、骨格を正しく使いながら心臓をケアし、代謝を効果的に上げる歩き方で、年齢に合わせた目標心拍数でウォーキングをすることにより、必要な酸素を100パーセント取り込むことができる。
10.心臓にも負担がかからないパワーウォーキングの方法は、〇兩をまっすぐにして、軽くこぶしを握ってひじを直角に曲げる普段の1.5倍ほどの速さで歩くかかとから着地したら、足裏全体を使って前方に重心移動していく。15分ほど歩いたら脈を測り、目標心拍数になるようにウオーキングすることで体に最適な有酸素運動を行なうことができる。
11.有酸素運動の目標心拍数(1分)は(220−年齢)×(0.6~0.75)で計算する。79歳では84.6~105.8となる。目標心拍数で歩いたほうが代謝はアップし、効率よく脂肪が燃焼し、体に必要な酸素を100パーセント取り込むことができ、心臓にもあまり負担がかからない。普段から高血圧や不整脈などの薬を服用している人は運動してもあまり脈が上がってこないことがある。その場合には平常時の20〜30パーセントを目安に運動する。
12.足裏全体でなくかかとから着地するのは、そのほうがふくらはぎの運動量がアップするからである。ふくらはぎは、下半身にたまった血液を心臓に戻すポンプの働きをしているため、「第2の心臓」とも呼ばれている。ふくらはぎの筋肉が弱ると末梢の血液が心臓に戻りにくくなるため、心臓に負荷がかかり、全身の血流も悪くなる。週2〜3回でも効果は十分に期待できる。
13.3日以上排便がない、または1週間当たりの排便回数が2回以ドの人は便秘で、本来外に出すべき老廃物が体内に残る。老廃物をそのままにしておけば毒素が増殖し、腸の壁に回っている血液の中に取り込まれ、代謝が悪くなって糖分やタンパク質が分解されきれずに脂肪として蓄積され、肥満の原因となる。たとえ便意がなくても、朝食後にはかならずトイレに行く習慣をつける。


yuji5327 at 06:32 

2019年07月02日

60歳を超えた人には2〜3年に1度、循環器系の特定検診を受けることをすすめている。

「南和友著:
最強心臓外科医が教える病気にならない自律神経の整え方、幻冬舎、2018.7.10」は参考になる。「第3章:健康診断は必須、ただし過信してはいけない」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.健康診断では異常がなかったのに、食後に血液検査をすると中性脂肪の数が異常で、脂質異常という症状を示すことがある。これは「食後高脂血症」といって、中性脂肪を分解するリポプロテアーゼという物質の働きが弱っていることが原因である。健康な人と比べて心筋梗塞などの心臓病のリスクが3倍といわれている。
2.バリウムを飲んで胃や腸のレントゲン検査をしても、見つけられるのはかなり進行した末期がんだけである。決して健康診断を過信しないよう注意を呼び掛けている。血管の状態をより正確に把握するためには、CTやMRIといった高度な画像撮影やABIといったドプラ検査の技術が不可欠である。
3.脳の血管の動脈瘤や詰まりなどの異常を発見するには、MRIを用いる必要がある。人間ドックでCT検査を受けたという人でも、全身を撮っていない場合があるので、そうなると狭い血管の異常は見落とすことになる。60歳未満なら5年に1度、60歳を超えた人には2〜3年に1度、循環器系の特定検診を受けることをすすめている。
4.循環器系疾患のリスクを正確に知るためには、次に挙げる検査項目のチェックが必要である。
・血液検査……代謝系の値と腎・肝臓機能、血液の栄養・感染状態のチェック
・胸部レントゲン……心臓の大きさ、形の把握、肺の異常陰影
・心電図……心筋梗塞、心筋炎などのリスクチェック、不整脈
・負荷心電図……負荷をかけたときの心臓の動きから不整脈や心不全を調べる
・エコー検査(心臓超音波検査)……弁の働き(迷流・狭塞)、筋肉の肥厚具合、血液の拍出量の測定
・頸動脈・下肢動脈エコi、ドプラ検査……詰まりやすい動脈に血栓がないかチエック
・ABI計測……上下肢の血圧差を測り、体の上下左右での動脈硬化の有無を調べる
・PWV計測……心臓の拍動が四肢に到達する時間の測定(動脈硬化の進行度チエック)
・.眼底検査……ドプラ検査では測れない細かい部位で動脈硬化をチェック
・肺機能検査………肺気腫、肺線維症、気管支喘息の有無を確認
・.全身CT検査…-体の断面図から狭くなった血管や動脈瘤がないか探す
・心臓CT検査…-冠勤脈の走行異常や狭塞の有蕪を1mm単位で検査
・心筋シンチ……心臓の虚血が疑われた場合に、血液の活用具合を測るオプション検査
5.特定検診(心臓・血管ドック)を受けるのが難しいのであれば、既往症などを考慮しながら、リスクの高そうな項目だけでもチェックしてもらう。かかりつけ医を持てば、自分の健康状態が経過とともにすべて記録されているので、小さな症状を見逃すリスクもそのぶん減る。-



yuji5327 at 06:49 

2019年07月01日

病気に関する情報を医者任せにせず、自分でも知識を身につけて質問し、アドバイスを求めるようにする。日本では、医者間のネットワークが問題である。


「南和友著:最強心臓外科医が教える病気にならない自律神経の整え方、幻冬舎、2018.7.10」は参考になる。「第3章:病院のブランドより、医者自身の実績を見きわめる
」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.健康に長生きしたければ、よいかかりつけ医を持つことも鉄則の1つである。かかりつけ医といっても誰がよいのか、その選び方がわからない。知名度のある病院だからといって、あるいは大学教授だからといって、かならずよい治療ができるとはいえない。日本の医者が医療の現場で一定の評価を受けるためには、大学で研究論文を書いて教授まで昇進することが最善のコースと考えられている。
2.ドイツの例でば、外科医が大学病院の教授や大病院の部長になるには、手術がうまいことが絶対の条件である。何千という回数の手術をこなしても、1万例経験してもまだ何らかの苦い思いを経験している。それに比べて日本の心臓外科医は、多くても3000例ほどしか手術を行なわず、中には数百例というケースもある。これはドイツなら大学卒業後、6〜8年くらいでこなすべき数に過ぎない。500例ほど手がけて、ようやく本格的な医者としてのスタートを切る。論文の数で評価される日本とは大違いである。当然、日本では大学教授だからといってすぐれた治療ができるとは限らない。
3.医者には専門がある。何を専門としていて、どんな症例をどれだけ経験してきたかを見きわめることのほうが、肩書よりもはるかに大切である。病院からの情報開示は限られているが、いまはインターネットもあるし、そうした評判はかならず伝わる。また、評判がよいからといって、何でも大病院で診てもらおうという考え方は感心できない。
4.ドイツでは、保険証をかかりつけ医に預けておかなければならないので、緊急の場合以外はかかりつけ医の元へ行く。そこで、大きな病院での処置が必要かどうかの判断もされるので、医療費の節約につながる。現在の日本ではかかりつけ医に保険証を預けるというシステムがないから、自分でかかりつけ医を持つという意識で探すしかない。病気になってからでは遅過ぎるから、病気になる前から定期的に通える地域の病院や医院に健康状態をチェックしてもらうのが理想である。
5.病気に関する情報を医者任せにせず、自分でも知識を身につけて質問し、アドバイスを求めるようにする。日本では病院間の連携はできているが、医者間のネットワークができている例がまだまだ少なく、医療業界全体の課題である。専門に特化したクリニックでは積極的に紹介システムを設けているところはある。
6.健康維持は基本的に自己責任である。よりよい生活習慣を築くのも、医者を選んでアドバイスを求めるのも本人次第である。自分の身は自分で守るという気持ちを持つことも、活力ある人生を実現する秘訣だと思う。



yuji5327 at 06:43 

2019年06月30日

心房細動の原因はストレス、水分不足、不摂生など、ストレスのせいで暴飲暴食、水の摂取量が1日1リットル以下という人は要注意。


「南和友著:最強心臓外科医が教える病気にならない自律神経の整え方、幻冬舎、2018.7.10」は参考になる。「第3章:老いるほど自律神経はコントロールできる」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.心身の健康は日頃の生活習慣をいかに整えるかが鍵となる。若いうちから意識的に自律神経を整えてきた人ほど、いつまでも活力に満ち溢れた状態を保つことができ。後期高齢者と呼ばれる75歳以上の人であっても、健康維持に努めるべきである。思い立ったら即実行という意識を持つこと。最低限、いまの健康状態を維持、免疫力を落とさない、関節や筋肉が硬くなって動かなくなることを防ぐ、血管の劣化を防ことを目標に、これからの生活を考えてみる。
2.血管系とリンパ系を含む循環器系が、老化のほとんどを左右する。年齢という単純な数字以上に、循環器系の健康状態が若さを測るバロメーターになる。循環器系の機能をコントロールしているのが、自律神経である。自律神経を整えるのは、睡眠や運動、食生活、あるいは精神的な活動など、さまざまな要因が複合的に作用しているので大変だが、高齢者は実現しやすい。いろいろな経験があるために、若い人たちより感受性が豊かで、新しいことを始めても感動の閾値を高めやすい。
3.血管の疾患は、「破れる病気」と「詰まる病気」に分けられる。人間の体には心臓から出て1本の大きな大動脈と呼ばれる血管があり、直径は2〜3cmである。その大動脈からつながっている中動脈と、それより細い直径数mm以下の小動脈があり、脾臓、胃腸、肺といった各臓器につながり、それから筋肉、皮膚などで微小な毛細血管となり、最後に静脈へとつながる。大動脈で起こりやすいのが「破れる病気」である。
4.なぜ大動脈に起こりやすいかといえば、血管の分岐部や屈曲している場所に乱流が起きやすく、それによって血管壁の弾性が不均一になりやすいからである。血管の弾性が不均一だと、柔らかい-部分に血夜が.気に流れ込み、圧がかかり過ぎて膨れ出す。これが動脈瘤である。さらに動脈硬化が進めば、血管が伸縮することに血管壁を薄くし、弱めてしまう。動脈瘤は一度できてしまうと自然に小さくなることはないから、気づかないうちにどんどん膨らんで、やがて破裂する。大動脈の直径が5cmを超えると、破裂のリスクは相当に高い。仰向けに寝て自分のお腹を触ってみて、動脈瘤のある人は、ボッボッと鼓動を感じる。大動脈瘤はそれまで自覚症状がなくても、破裂すると急激に腹や腰の激痛が起こり、緊急手術が必要である。
5.中動脈・小動脈で起こりやすいのが「詰まる病気」である。血管が詰まる原因の多くは動脈硬化だが、高コレステロールや高脂肪の食事のせいで血液がドロドロになっている場合にも起こる。血管が詰まりやすいのは血管が分岐する部分で、とくに総頸動脈、外頸動脈、内頸動脈は動脈硬化を起こしやすく、それらにできた血栓が脳に飛ぶと脳梗塞を引き起こす。腹部大動脈から大腿動脈、下肢動脈にかけても同じように詰まりやすく、足の痛みやしびれ、放置すると壊死などが起こる。
6.日本人の動脈硬化は、昔から高血圧型が多いのが特徴だった。血圧が高くなると血管壁の弾力がなくなり、もろくなる。近年は欧米型の食生活が日本人の間でも一般的となり、欧米人に多く見られる高脂血症型の動脈硬化も増えている。こちらのほうが細い血管が詰まりやすく、脳梗塞や心筋梗塞のリスクも高いので、高血圧型の動脈硬化よりもいっそう気をつけるべきである。高脂血症が原因の病気も自覚症状がなく、それでいて生命に危険を及ぼす危険性が高いので、とくに食事法で善玉(HDL)コレステロールを増やしていくことが大切であ。
7.ほかにも血管の劣化が原因の重い病気にはさまざまなものがあり、しかもその初期症状は自覚しにくいものが多いのでやっかいである。だからこそ日頃の生活習慣を改善して、できるだけ病気を遠ざける必要がある。さらに、万一のために、隠れ初期症状のチェックポイントを知っておき、そのチェックポイントは以下の通りである。
8.脳卒中とは脳梗塞と脳出血の総称で、血管が詰まるのが脳梗塞であるのに対し、血管が破れるのが脳出血である。脳卒中患者のおよそ75%は脳梗塞を発症している。小脳梗塞は、血管内膜に生じた血栓やコレステロールの破片が小脳に至る血管を詰まらせる病気であ。小脳が詰まるとバランス感覚がくずれるので、歩いていてつまずくことが多くなったり、自転車に乗ったときうまくバランスがとれなくなったりしたら、この病気を疑ってみるべきである。
9.不整脈とは、心臓には、洞結節という場所があり、そこから出た電気シグナルに反応して心臓が収縮する。この心臓の中の電気の乱れを総称して不整脈と呼ぶ。とくに多いのは心房が高速でけいれんするように動く心房細動で、心原性心筋梗塞のほとんどは心房細胞によって引き起こされる。心房細動の原因としてはストレス、水分不足、不摂生などが挙げられるので、週に1度くらいのサイクルで、ストレスのせいで暴飲暴食してしまう人や、摂取量が1日1リットル以下という人は要注意である。
10.狭心症・心筋梗塞については、狭心症も、心筋梗塞の前兆として気をつけたい症状の1つである。冠動脈の血流が動脈硬化などで滞り、心筋(心臓の筋肉)へ供給される酸素が不足するために起こる一時的な胸の痛みや圧迫感のことだが、階段を昇ったらかならず痛みや不快感をともなうなど、症状を起こす行動や状況がわかっているものは安定狭心症である。いつ起きるかわからない場合は不安定狭心症といって区別する。広範囲に及ぶ胸の痛みが数分間続くときは、狭心症の可能性がある。
11.心臓の動きが悪くなると疲れやすくなり、代謝が落ちるので、食生活を変えていないのに最近6か月で2kg以上太ったなどという場合も、狭心症の隠れ症状かもしれない。冠動脈が詰まった場合、心筋は大きなダメージを受け、心筋梗塞(壊死)が起こる。その時点で約1/3の人は心停止で亡くなる。いわゆる急性心不全の大半はこれが原因である。発作後、比較的短い時間(4時間)内に病院に運ばれ、詰まった血管を拡げて血流を再開できた場合で、後遺症なしにほぼ正常な生活ができる人は3分の1、残りの人は心機能が低下し、以前のような正常な状態には戻らない。
12.肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)とは、飛行機の狭い座席に長時間座ったままでいると発症しやすいことからエコノミークラス症候群の呼び名が広まったが、正式には肺血栓塞栓症といって、血栓が肺動脈に詰まる症状である。肺動脈が詰まると肺の機能が低下して全身に十分な酸素が行かず、右側の心臓が肺動脈に血を届けようとして急激に収縮することで心筋虚血や不整脈が起こり、最悪の場合心停止が起こる。狭い座席でなくても、1日中座っていることが多く、ほとんど運動しない人はこの症状を起こすリスクが高い。隠れ症状は、血栓が肺に飛び、肺動脈が塞がれたときに起きる息苦しさや咳である。。また、下肢に大きな血栓ができると、それが肺に達して動脈を塞いでしまうおそれもあるので、足のむくみや腫れを見つけたときも、肺血栓塞栓症を疑ってみる必要がある。
13.腎動脈狭窄症については、腎動脈は、腹部大動脈から枝分かれして2つの腎臓に血液を供給している血管である。腎動脈狭窄症は、それが狭くなって血流が少なくなる症状で、腎機能が低下するため血液透析が必要になるケースもある。50歳を過ぎて急に高血圧症になった人や、高血圧の薬を飲んでいるのに血圧が下がらない人は、さらに詳しい検査を行なうべきである。
14.レイノー症候群については、寒冷時に急激な血液循環の悪化を引き起こし、小動脈が発作性の収縮を起こす現象のことである。原発性と続発性の2つに分類され、明らかな原因がない原発性の発症者の多くは自律神経が失調している若い女性である。続発性のレイノー症候群は、関節リウマチや動脈硬化など原因を特定することができる。冷水に手や足をつけたとき、指先の色が蒼白や紫、赤色などにはっきり変わるようなら、レイノー症候群の可能性がある。




yuji5327 at 06:39 

2019年06月15日

健康を研究する流れは、米国や英国や中国で、大規模なゲノム解析である。13年もかかったDNA解読が、現在では30分以内に終わる。


「池谷裕二著:闘論席、週刊ダイヤモンド、2019.5.14」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.発症してからでは遅い。健康なうちに先手を打つべし、と予防医学がうたわれる近年だが、いまだに体調の異変に気づいてから病院に足を運ぶ人が多い。現存す.る中国最古の医学書『黄帝内経」に収録された「素間・四気調神大論」には「聖人不治巳病治未病」〔聖人は既病を治すのではなく未病を治す)と記され,「未病」という概念が提唱されている。
2.未病のブームは臨床だけではない。基礎研究界でも病気の研究から「健康」の研究にかじを切っている。これまでは疾患を解明することで治療に役立てようというアプローチが主流だった。
3.しかし改めて考えてみれぱ、患者の数より健常人のほうが圧倒的に多い。健康について理解が進んでいないということは、人聞という生命体の動作原理が解明されていないに等しい。
4.健康を研究する代表的な流れは、米国や英国や中国で進められている大規模なゲノム解析である。 2003年に完了した「ヒトゲノム計画」当時は13年もかかったDNA解読が、現在では30分以内に終わる。 
5.こうした技術革新に後押しされ、海外では100万人規模の健営人のゲノムを解読」て「健康」の原理を解明しようとしている。健康状態を監視するヘルスケアツールも普及しつつある。
6.よい例はアップルが昨年発売した腕時計型の「アップルウオッチシリーズ4」である。加速度計や心拍計のみならず心電計も内蔵する。膨大な.身体状態がデータセンターに集約される。すでに不整脈の予備軍が発見され、思恵を授かった「健康な人」も少なくない。7.問題は日本である。大規模な健常人ゲノム計画はおろか、アップルウオッテの心電計の使用さえ、国の認可の壁に阻まれ認められない。倫理規制や承認制度など難しい問題もあるだろうが、有益な試みには柔軟な対応が望まれる。



yuji5327 at 06:37 

2019年06月10日

世界中の複数の集団でアルコール代謝に選択圧が働いていた。アルコール摂取量を減らす遺伝子変異が選択された。酒は百薬の長という言葉は、見直される。

「岡田随象(大阪大学教授)著:遺伝統計学で迫る日本人集団の適応進化、學士会会報No.936(2019-)」は面白い。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.15万〜10万年前、アフリカの森の樹上で暮らしていた類人猿がサバンナに進出した時、ヒト(ホモ・サピエンス)への進化が始まったと言われる。その後、ヒトはアフリカ大陸を出て、多くの集団に分岐しながら、世界中に拡散していった。拡散の過程でヒトは他のホモ属と交雑したようで、現生人類のヒトゲノムの数%は、ネアンデルタール人由来
と考えられる。世界中に拡散したヒト集団は、異なる地理的環境で異なる選択圧に晒された。その結果、アジア人、欧米人、アフリカ人など集団ごとに、遺伝子変異の頻度に著しい差が生じました。この遺伝子変異に着目し、それがどんな環境や表現型に対応しているかを調べることで、その集団に特有の選択圧が分かる。
2.代表例がマラリアで、マラリアが蔓延する中央アフリカ地域では、ヘモグロビンβ鎖の遺伝子変異による「鎌状赤血球症」という貧血が高い発生率を示した。これは、マラリア耐性を獲得するため、この遺伝子変異が急速に広まったことに由来する。このように生物の形質が世代を経るごとに周囲の環境に応じて変化することを、「適応進化」と言う。います。
3.適応進化には、「優れた生き物に変化する」という意味はない。限定的な環境に適応し過ぎたため、結果として絶滅した生物も数多くいる。例えば、三葉虫はかつて世界中の海に生息し、長い棘の生えたもの、目玉が飛び出たもの、5伉度のもの、70冂兇里發痢甲羅を2つ折りに丸めるものなど、環境に適応して一万種以上の種がいたが、各種は徐々に絶滅し、最後まで生き残ったのは、最初に登場したのと同じ位シンプルな形の三葉虫だった。
4.「適応進化の検討」とは、「ヒトゲノム配列のどの遺伝子領域が、どの集団で、どの表現型との関わりで、選択圧を受けてきたか」を検討することである。この作業はホモ・サピエンスの歴史を知る上でも、現代人の疾患の背景を理解する上でも重要である。
5.ある集団内で特定の遺伝子変異が高い頻度で起きる時、「その集団は過去に何らかの選択圧を受けた」と考えられる。しかし、「その選択圧はいつ起きたイベントの結果か」については「おおまかに数万年前」としか分析できない。ある集団内で、ある遺伝子変異が高頻度で起きるまでには、数万年かかるからである。
6.数万年前、日本人の祖先はまだ日本列島に入っておらず、ユーラシア大陸や東南アジアにいた。近年、「集団内で極めて低頻度の遺伝子変異に注目すれば、数千年前という近い過去の選択圧を分析できる」と分かってきた。発生して数千年(ほぼ百世代)の遺伝子変異は頻度が低いまま保たれているからである。
7.低頻度の変異の例に、シングルトン(集団内で1サンプルしか観測されていない変異)がある。このシングルトンの分布を次世代シークエンサーで解析する手法を、SDSと言う。2016年、イギリスの研究グループが開発した。SDSにより、世界各地の集団がその地域に定住する過程で生じた、最近かつ集団特異的な選択圧の検討が可能になった。
8.イギリスの研究グループは、欧米人集団3000人の全ゲノムシークエンスデータにSDSを実施したことで、「過去数千年間で、身長を高くする遺伝子変異の頻度が急増した」と判明した。欧米人は身長が高くなる方向に選択圧を受けていたのである。これは「北方適応」(北方の寒冷な環境に適応するため、寒さに強い大きな体格になった)と考えられる。
9.「日本人集団は、どのような環境の中でどのような選択圧を受け、どのような形質を形成したか」については、長らく不明だった。大阪大学の研究グループは、理化学研究所及び慶慮大学との共同研究で、日本人集団約2200人を対象に、全ゲノムシークエンス解析を実施し、日本人集団の適応進化の謎に迫った。日本人集団に低頻度で起きた遺伝了変異の分布を検討したところ、「近い過去(約3000年前)に、日本人集団は4カ所の遺伝子領域において、強い選択圧を受けた」と判明した。
10.日本人が罹りやすい疾患と、その原因となる遺伝子変異は既に分かっているので、各疾患に対する選択圧の強さを定量的に検討したところ、「日本人集団は、飲酒量などアルコール代謝と、脂質や血糖値、尿酸値など栄養代謝に関わる形質に強い選択圧を受けた」と判明した。日本人集団が強い選択圧を受けて獲得したのは、高身長やマラリア耐性ではなく、アルコールや栄養に関わる形質だった。これら4カ所の遺伝子領域のうちの2つは、ADH1B、ALDH2という遺伝子で、ここで遺伝子変異が起きると、お酒に弱くなる。日本人集団では、過去数千年の間に、お酒に弱くなる変異の頻度が増えた。これらニカ所の遺伝子変異は、日本人集団だけでなく、稲作を営んできた東アジア人集団でも高い頻度で観測される。今回の解析を東アジア人集団に対して実施しても、おそらく近い結果が得られると考えられる。
11.日本人集団にアルコール代謝に関する強い選択圧が働いたのは、^酒が各集団におけるコミュニティ形成や生存競争に大事だった、古代日本人(縄文人、弥生人)の地理的な移住パターンを反映している、水田に住む淡水生の寄生虫への防御反応に、アルデヒド代謝が重要だった、で帯雨林と違い、日本では自然発生するアルコールはなく、酒が飲めなくても問題はなかった等が考えられるが、本当の理山は不明である。
12.最近の研究では、程度の差はあるが、世界中の複数の集団でアルコール代謝に選択圧が働いていたと指摘されている。アルコール摂取量を減らす遺伝子変異が正の選択を受けていた。「酒は百薬の長」という言葉は、近い将来に見直されるかもしれない。
13.「日本人集団の持つネアンデルタール人由来のゲノム配列に、選択圧は働いたか」について調べたところ、有意の結果は得られなかった。「ネアンデルタール人由来のゲノム配列は、選択圧を介して、ヒトの疾患の発症に寄与した」という従来の学説には、必ずしも一致しない結果だった。
14.遺伝統計学の研究を通じて一番に感じたことは、「歴史の研究は面白い。数千年前の日本に確かに存在していた自分たちの祖先に、何が起きていたのかを考えるのは、とても楽しい」ということである。しかし、日本は遺伝統計学の分野で顕著な人材不足に陥っている。この分野を研究する中国人とインド人は大勢いたのに、日本人研究者は本当に少なく、将来、日本はこの分野で大幅に立ち遅れると悲観されるので、次世代を担う若手研究者の育成を目指し、様々な活動を始めている。実際にゲノムデータ解析をしてもらっている。


yuji5327 at 06:35 

2019年06月07日

ロコモーショントレーニングの効用として、推奨している内容は、バランス能力の訓練である開眼片脚立ちと、下肢筋力強化の訓練のスクワットの2つで、効果は証明済み。

「岩本幸英(九州労災病院院長)著:ロコモティブシンドローム対策の効用、學士會会報No936(2019-掘法廚六温佑砲覆襦3詰廚鮗分なりに纏めると以下のようになる。
1.ロコモティブシンドロームの運動器は、私達の身体活動を担う骨・関節・筋肉・腱・神経などの総称である。ヒトの体を構成している組織・臓器には、それぞれ重要な役割と意義があるが、そのなかで運動器は、ヒトが自分の意志で活用できる唯一の組織・臓器である。
2.ヒトは、自分の意志に従って運動器を介する身体活動を行うことにより、自己の存在を証明し、自己の能力や精神性をも表現している。脳や心臓、肺、消化管などの生命維持臓器の重要性はいうまでもないが、運動器は人間の白律と尊厳を支える重要な組織・臓器である。
3.わが国では、近年の高齢化に伴い、加齢による運動器疾患が急増している。地域の研究結果から推計されるわが国の運動器疾患の有病者数は、変形性腰椎症3790万人、変形性膝関節症2530万人、骨粗鬆症(腰椎部)640万人、骨粗鬆症(大腿骨頸部)1070万人にも及び、これら3つの疾患の少なくとも1つ以上を有する国民は4700万人、上記疾患すべてを有する国民は540万人にものぼっている。
4.また、2013年度の国民生活基礎調査によれば、要介護・要支援の原因の第1位(25%)を転倒・骨折、関節疾患、脊椎疾患などの運動器疾患が占めており、介護予防、国民の健康寿命延伸のためには、運動器疾患対策が重要である。
5.以上のような背景のもと、2007年に日本整形外科学会(以下、日整会)は、ロコモティブシンドローム(和語は運動器症候群、以下「ロコモ」)という新しい概念を提唱した。ロコモの定義は、運動器の障害により、歩行・立ち座りなどの移動機能の低下をきたした状態であり、進行すれば要介護の原因となる。ロコモの原因は、加齢に伴う運動器疾患、筋力低下、バランス能力低下の3つに集約される。現在、日本整形外科学会は関連諸団体と連携し、ロコモ対策を通じた介護予防、健康寿命延伸に取り組んでいる。
6.ロコモ対策の効用として、運動器障害を包括的に診ることの効用がある。 現代医学は、対象とする各臓器の疾患を細分化し、深く探究することにより発展してきた。整形外科も例外ではなく、脊椎、膝、股関節などの部位別、骨粗懸症、関節症など疾患別の専門家が存在し、専門分野別の診療、研究を行う傾向にある。
6.しかし、高齢者では、加齢に伴う運動器疾患を複数合併している頻度が高いため、例えば大腿骨近位部骨折の手術は成功しても変形性膝関節症の痛みのために移動できないなど、一疾患のみにとらわれた治療では患者のADL・.QOLを改善できない場合がある。また、高齢者では、疾患だけでなく筋力低下、バランス能力低下が移動機能の低ドの原因となっていることが多く、この問題を併せて考えなければ問題解決にはならない。ロコモ対策では、常に移動機能を指標とし、運動器疾患、筋力低ド、バランス能力低ドを包括的に診る方針をとるので、患者の本来の望みである移動機能の回復を実現できる可能性が高い。
7.ロコモーションチェック(ロコチェック)の効用として、ロコモの概念の発表に合わせ、日整会は一般の方々でも日常生活動作を指標にロコモに気づくことができるよう、7つのチェックを発表した。その内容は、(匍嗄ちで靴下がはけない、階段を上るのに手すりが必要、2C琶眛擦鮴朕号で渡りきれない、15分くらい続けて歩けない、ィ恐箸涼罎任弔泙困い燭螻蠅辰燭蠅垢襦↓2堋度の買い物をして持ち帰るのが困難、Р箸涼罎里笋篏鼎せ纏(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)が困難、である。
8.7項目のうち、ひとつでも該当すればロコモの疑いがあるとした。ロコチェックの各項目は、筋力低ド、バランス能力低下、あるいは運動器疾患の症状と関連がある。具体的には、,バランスの指標、△下肢筋力とバランスの指標、歩行速度を反映するは動いている状態で円滑に重心を移動させる動的バランスの指標、い持久力の評価、および腰部脊柱管狭窄症に見られる間歇性跛行が存在しないことの確認、イ転倒しやすさ(筋力、バランス力、関節、神経の障害が原因)の指標、ΝГ上下肢の筋力、バランス能力の低下、腰痛や膝痛がないことの指標などである。
9.ロコチェックで該当項[がある場合、筋力低下、バランス能力の低下以外に、運動器疾患が隠れている可能性があるので注意を要する。特に、急激な歩行能力の低ド、痛みなどの症状がある場合は要注意であり、早めに整形外科などの医療機関を受診し、適切な診断・治療を受けることが望ましい。疾患の存在の可能性が低い場合や、医師の診察を受けて疾患の存在が否定された場合は、筋力低下やバランス能力低下を改善するトレーニングを勧める。
10.ロコモーショントレーニング(略してロコトレ)の効用として、日整会では、ロコモ予防・改善のためにロコトレを推奨している。その内容は、バランス能力の訓練である開眼片脚立ちと、下肢筋力強化の訓練であるスクワットの2つであり、高齢者における運動機能改善効果は証明済みである。また、ロコトレは、運動強度が低く短時間で実施可能、特別な器具は不要で経費がかからず、自宅で実施可能など数々の利点があり、高齢者が長期間継続するのに適したトレーニングである。
11.医療経済の観点からも、ロコトレは経費・設備が不要なロコモ予防・改善法であり、介護予防につながる可能性もあるので、その効用は大きい。日整会およびその関連団体であるロコモチャレンジ推進協議会は、さまざまなメディア、市民公開講座などを通じ、ロコトレの意義と実践法の普及活動を行っている。
12.ロコモ度テストの効用として、2007年に発表した「ロコチェック」は、日常生活動作を指標として、一般の方々がロコモに気づくための主観的な自己チェック法であった。しかし、ロコモにおいては、メタボにおける腹囲のように、医療関係者が数値で客観的に判定する基準はなかった。そこで日整会は2015年に、医療関係者が移動能力を数値で把握し、ロコモの重症度を判定するための「ロコモ度テスト」を考案した。ロコモ度テストには、下肢筋力をみる立ち上がりテスト、大股で歩いた歩幅を測る2ステップテスト、生活や身体の状態を25項口の質問でチェックする「ロコモ25」の3つの方法があり、その結果によりロコモの重症度をロコモ度1(運動器の衰えが始まった状態)とロコモ度2(ロコモが進行し、自立した生活に支障をきたしている状態)に区分する。ロコモ度1と判定された場合、運動習慣や食生活の改善により、筋力、バランスカの改善を図る。ロコモ度2と判定され、痛みを伴う場合には運動器疾患の可能性が高いので、整形外科の受診を勧める。高齢者の移動能力、筋力、バランス能力に対する運動療法の介入効果は、軽度の障害には有効であるが、重度の障害には効果が乏しいことが知られている。ロコモ度テストの開発により、ロコモ度1という軽症例の早期発見が可能になったことにより、早期介入によるロコモ予防・改善、ひいては将来の介護予防に期待が寄せられている。今後の検証結果が待たれる。
13.健康寿命延伸については、健康上の問題がない状態で日常生活を送ることができる期間のことで、2016年に厚生労働省が発表した健康寿命は男性72.14.年、女性74.79年であった。平均寿命(男性80.98歳、女性87.14歳)に較べ、男性で約9年、女性で約12年短い。人は誰しも人生の最後まで、健康で生き生きとした生活を送りたいと思っており、健康寿命の延伸が望まれる。今後、ロコモ対策が、究極の目標である健康寿命延伸につながることを期待している。


yuji5327 at 06:46 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





地域別アクセス

ジオターゲティング

ジオターゲティング
livedoor プロフィール

yuji5327

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード