環境

2018年06月09日

日本では、自動車リサイクル法で、使用済み自動車のリサイクル率95%以上という目標値がある。原料から製造、使用、廃棄に至るリサイクル体制が不可欠である。


「尾崎望(みずほ銀行産業調査部素材チーム調査役)著:伸びる炭素繊維、世界シェア6割の日系3社積極M&Aで自動車向け進出、エコノミスト、2018.6.5.」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.炭素繊維の世界市場は15年には約6万tだったが、20年には14万tを超えるとみられる。中でも自動車の需要の伸びが大きい。
2.日本の炭素繊維メーカーが自動車市場を狙った川下領域のM&Aを活発化させている。東レは18年3月、炭素繊維を樹脂に浸したシート状のブリプレグ〔硬化させるとCFRPになる中間基材〕の知見や成形加工技術を有するオランダ・テンカーテの買収を発表した。買収金額は約1230億円を予定しており、同社として過去最大級の買収である。
3.テンカーテのメインビジネスは航空機向けであり、今後、中小型機を中心に.需要の拡大が見込めることから、ボリュームゾーンを押さえるというのが第一の目的である。また、熱可塑性樹脂は熱によって軟化するため、プレス加工によって量産化を図りやすいという特徴を持ち、加工コストを下げることが可能となる。
4.中長期的には、東レが有する素材の知見とテンカーテが有する加工のノウハウを組み合わせ、コスト面の競争力を上げることで、自動車への展開を標傍しているものとみられる。
5.帝人は、17年1月にガラス繊維強化プラスチックなど樹脂性部品の成形加工技術を有する米コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(以.卜、CSP〕を約900億円で買収した。こちらも帝人として過去最大級の買収であ.る。CSPは米国のみならず欧州、日本の完成車メーカーとも取引があ.り、販路拡大が期待できることは言うまでもない。さらに、帝人は、以前より素材メーカーからティアー(1次部品メーカー}への転身を表明している。加工技術と合わせて自動車向け部品設計のノウハウを獲得することで、完成車メーカーに対する提案力向上を目指すと考えられる。
6.三菱ケミカルも、17年3月にCFRPの部品設計を営む米ジェミニコンポジッツを買収した。さらに、同年10月には自動車部材の設計技術に加えてCFRPの成形加工技術を有するイタリアのCPCに44%を出資した。東レ、帝人同様に炭素繊維を素材として売るだけでなく、川下領域に積極的に進出している。
7.自動車という新たな市場を切り開くために、素材を提供するメーカーにとどまらず、加工技術や部品設計の知見を取り込むことで、完成車メーカーに対して最適なソリューション(課題解決策〕を提供する姿勢、そして、そのためには大型のM&Aも辞さない覚悟が各社に共通している。
8.現在、CFRPは、月産数台から数十台の車種が中心だが、月産数干台クラスにも徐々に広がっている。日系完成車メーカーでは、トヨタ自動車が17年に発売した「プリウスPHV」のバックドアに、量産車向けとしては初めてCFRPを採川した。海外に目を転じると、欧州系完成車メーカーがCFRPの採用を加速させている。独BMWは、13年に発売した電気自動車「i3」では車体の骨格部位に、15年に発売した「7シリーズ」ではルーフ周りを中心とした補強材にCFRPを採用した。独アウディも「RS5CouPe」や「A8」の部品の一部にCFRPを使うなど、採用は着実に増えている。日本の炭素繊維メーカーによる欧米企業買収が相次いでいるのも、ここに理由があると考えられる。
9.軽さ、強さだけを見ると夢のような素材だが、炭素繊維が自動車、とりわけ大衆車に普及するためには、価格が高いこととリサイクルが難しいことの大きく2点が課題として挙げられる。
10.まず炭素繊維の価格は、1kg当たり4000円前後と、自動車用素材の代表格である鉄鋼の約60倍、炭素繊維同様に鉄鋼の代替素材として期待されるアルミの約20倍高い。この背景としては、原料のPANを焼いて炭素化する際にかかるエネルギーコストの高さや歩留まりの低さが主な要因となっている。加えて、現在の自動車の生産ラインは鉄鋼を前提として組まれており、メインの素材としてCFRPを使うためには、接合や塗装など、既存の工程に打人きく手を入れる必要があ.る。
11.BMWが「i3」を製造するために新工場を建設した際には約800億円を投じた。確かに、軽量性や強度を考慮すると、素材の使用量や部品点数が減少し、ある程度コストが抑制されるとは考えられるが、素材そのものの価格に加えて、生産工程の変更にかかる費用などを含めると鉄鋼とのギャップは大きく広がる。
12.2点目にリサイクル上の課題がある。炭素繊維の製造工程やCFRPの加工工程で発生する廃材や、最終製品に使用されるCFRPのリサイクル技術は現時点では確立されていない。代表的なリサイクル方法として、CFRPを炭素繊維と樹脂に熱分解した上で、新しい製品の原材料として再利用する「マテリアルリサイクル」、焼却時の熱をエネルギーとして利用する「サーマルリサイクル」がある。しかし、いずれも分解時に多量のエネルギーを必.要とするためコストと環境.面で負荷が大きい。このため、廃材となったCFRPの一定割合は廃棄処理されているのが実情である。
13.日本では、自動車リサイクル法で、使用済み自動車のリサイクル率95%以上という目標値が掲げられるなど、完成車メーカーは、原料から製造、使用、廃棄に至るまで環境.問題に取り組まなければならない。大衆車市場を考える上で、リサイクル体制の確立は必要不可欠である。
14.日本の炭素繊維メーカーも手をこまねいているわけではなく、価格、リサイクルに対して、各社で、あるいは産官学一体となって課題解決に向けて取り組んでおり、進化を続けている。炭素繊維は、自動車軽量化の最適解として、成長するポテンシャルを秘めた素材である。創成期から市場を牽引し、数々の困難をきり抜けてきた日本の炭素繊維メーカーが、主役の座.にすわり続けることを期待する。



yuji5327 at 06:41 

2018年06月08日

日本の炭素繊維メーカーが期待を寄せるのが自動車。CFRPはレーシングカー、2000年代には高級車へ、次のターゲットは大衆車。

「尾崎望(みずほ銀行産業調査部素材チーム調査役)著:伸びる炭素繊維、世界シェア6割の日系3社積極M&Aで自動車向け進出、エコノミスト、2018.6.5.」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.ここ数年、炭素繊維が、日本を代表する高機能素材として取り上げられる機会が増えている。炭素繊羅は、ゴルフクラブや釣りざおなどスポーツ用途から始まり、ボーイング787やエアバスA380に代表される航空機用途、最近、特に注目を集める自動車用途など、需.要を創出することで成長を続けてきた。
2.現在、日本の炭素繊維メーカーは、素材の域にとどまらず、加工工程など川下領域に進出することで、自動車という新たな市場を拡大しようとしている。炭素繊維の歴史を振り返り、日本のメーカーの動向と、自動車に用途を広げる上で直面する課題は以下の通りである。
3.炭素繊維は、19世紀末に発明王トーマス・エジソンが木綿や竹の繊維を焼いて炭素化し.白熱電灯用のフィラメントとして使ったことに端を発する。.ISO〔国際標準化機構)により「有機繊維を焼成して得られる炭素含有率が90%以上の繊維」と定義される。その原料や製造方法によって特性が大きく異なるが、現在主流となっているのは、1959年に大阪工業技術試験所の進藤昭男博士が発明したPAN〔ポリアクリロニトリル)を原料とするPAN系炭素繊維である。
4.日本で生まれ、日本企業が中心となって育ててきたことから、世界市場を牽引しているのは東レ、三菱ケミカル、帝人の日系3社である。東レは、2014年に買収した炭素繊維メーカー米ゾルテックの生産能力を合算すると、世界シェアトップの40%超を有するリーディング企業である。次いで、三菱ケミカルが13%、帝人が11%を有しており、日系3社を合計した世界シェアは65%に達し、日本を代表する高機能素材と言える。
5.立ち上がりから順風満帆だったわけではなく、創成期から苦難の時代は長く続いた。この間、欧米の大手化学メーカーの多くが撤退する中、長期的な目線で研究開発を続けた先人たちの苦労の上に今の姿がある。
6.炭素繊維は、繊維単独で使われることはほとんどなく、樹脂と組み合わせてCFRP〔炭素繊維強化プラスチック〕として使われることが一般的である。CFRPに使用される樹脂は、熱を加えることで固まれる樹脂は、熱を加えることで固まる熱硬化性樹脂と、熱を加えて変形させた後、冷却することで固まる熱可塑性樹脂に分かれ、求められる特性によって便い分けられる。現状では、ほとんどの用途で熱硬化性樹脂が使われている。
7.「鉄の10倍強く、重さは4分の1」と言われるが、その軽量性と強度、剛性が最大の強みである。加えて、さびない、耐熱性や耐薬品性に優れるなどの特性が評価され、さまざまな分野で使われている。1970年代にゴルフシャフトや釣りざおなどスポーツ用品に採用されたのを皮切りに、風力発電用ブレード,、天然ガスタンクなどの産業用途に広がった。
8.最大の市場となっているのは航空機である。ユーザーとのすり合わせにより地道な用途開発を続けた結果と言える。
日本の炭素繊維メーカーが、今、最も期待を寄せるのが自動車である。CFRPは、1980年代にレーシングカー、中でも多くのF1メーカーに採用され、その後1台数干万円するスーパーカー、2000年代には高級車へと徐々に普及していった。次なるターゲットと目されるのはボリュームゾーンの大衆車である。環境規制が厳しくなる中で、軽量化を実現する素材として炭素繊維が注目を集めている。


yuji5327 at 06:38 

2018年03月10日

世界の気候はいま大きく変化しつつある。この2〜3年、ヨーロッパと北米には大寒波が襲来して交通が麻痺し、大停電が起こり、多くの死者が出ている。

「深井有著:
地球はもう温暖化していない、科学と政治の大転換へ、平凡社、2015年」は参考になる。CO22削減の国家プロジェクトに参画した自分にとって共感できる記述も多い。「第1章:CO2温暖化論が破綻するまで」の「1.変わりつつある地球温暖化」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.1998年以来、CO2は増え続けているのに温暖化がまったく起こっていないので、多くの人々が温暖化の科学的根拠に疑問をもち始めた。IPCCは2007年の第4次報告書まで気温の頭打ち現象に目をつぶってきたが、それが20年近く続くことになり、第5次報告書では触れないわけにはいかなくなった。何らかの自然要因で温暖化が「一休み」しているのだということにした。CO2温暖化論を信奉する人たちはその要因探しに躍起になっていて、いま蜂の巣をつついたような騒ぎになっている。
2.世界の気温は過去100年に波打ちながら上昇し、1998年からは頭打ちになった。気温が上昇したのは100年のうち半分しかない。IPCCは過去100年間の平均気温上昇を大気中CO2の増加によるものと仮定して、大気大循環モデルの枠組みの中でスーパーコンピュータによる予測を行った結果を報告している。
3.計算ではCO2の増加は必然的に気温上昇をもたらすことになるので、最近16年間の頭打ちはまったく表現でぎず、その食い違いは将来ますます大きくなる。このことは第5次報告書には明記されていない。報告書は数千ページからなる大部のもので全3部からなっており、まず第1部「自然科学的根拠」の簡約版、30ぺージほどの「政策決定者向け要約」が2013年末に公表された。
4.そこでは地球温暖化が人為的要因によるものであることが2007年の第4次報告書よりさらに強調されているが、16年来、CO2の急激な増加にもかかわらず気温が頭打ちになっていることにはほとんど触れておらず、計算による気温予測が観測と大きく乖離していることにはまったく触れていない。
5.「政策決定者向け要約」を見る限り、人為的温暖化がますます確実になったと誰しもが思う。その後に公表された第2部「影響・適応・脆弱性」、第3部「気候変動の緩和策」ではこの「自然科学的根拠」に基づいて、さらに温暖化の脅威を煽る記述がされている。これは間違っている。
6.現実に起こっている16年間の気温の頭打ちを説明できないのに、50年先、100年先を予測してみせることに意味がない。第5次報告書のCO2主因論に基つく気候モデルには大ぎな欠陥があって、ほとんど予測能力がないことは今や明らかだが、「政策決定者向け要約」しか読まない政策決定者やマスコミにはそのことが認識されずに、相変わらず温暖化防止キャンペーンが行われている。
7.世界の気候はいま大きく変化しつつある。この2〜3年、ヨーロッパと北米には大寒波が襲来して交通が麻痺し、大停電が起こり、多くの死者が出ている。2014年も例年よりケ月も早い降雪があり、10月にはシベリアの広域がすでに雪に覆われて、北半球は前年以上の厳しい冬になると警戒された。2015年1月には米国東海岸の大雪で非常事態宣言が出された。日本では2014年秋に出された季節予報で冬はほぼ平年並みとされていたが、年末からの寒波襲来で、年明け早々に気象庁は予報を訂正した。
8.寒冷化の予兆ぱ数年前からあった。2009年4月に英国気象庁がそれまでの冷夏続きから一転して今夏ぱ「バーベキューサマー」になるという長期予報を出したが見事に外れて冷夏となり、その夏7月には暖冬を予告したところがヨーロッパ全域が50年来という大寒波に襲われてしまった。気象庁は国中から非難を浴びて、以来、長期予報は止めてた。温暖化が続くという固定観念は通用しなくなった。
9.2015年のドイツでは春の花が開くのが28年前に比べて20日遅くなったと報告された。植物にはすでに寒冷化の足音が聞こえている。これからの気温を知るために、まず産業革命以前の気候変化を眺めてみる。太陽が大ぎな影響を及ぼしていることが見えてくる。1600年ごろと1800年ごろの太陽活動極小期は世界的な寒冷期に当たり、1000年前後の極大期は中世の温暖期に当たっている。両者の相関は数億年前から確認されている。
10.太陽活動はこれまで100年間の極大を経て現在は急激に弱まっている。太陽活動がこれほど強くなったのも、これほど急に弱くなったのも極めて稀なことで、太陽研究者たちは今後の推移を見守っている。これまで100年間の温暖化は太陽活動の活発化に対応していて、今後は太陽活動が弱まるにつれて寒冷化に向かうことが推測される。


yuji5327 at 06:39 

2018年03月08日

主な原因は海洋中に溶存しているCO2が、水温上昇で溶解度が下がり、大気中に放出されるためである。気温が上がり、CO2濃度が上がるという因果関係である。

「深井有著:
地球はもう温暖化していない、科学と政治の大転換へ、平凡社、2015年」は参考になる。CO22削減の国家プロジェクトに参画した自分にとって共感できる記述も多い。「第1章:CO2温暖化論が破綻するまで」の「2.温暖化とCO2は関係ない?」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.約46億年前、地球が現在の大きさになったばかりのころ、それを取り巻く大気ばCO2を主成分とする金星大気(CO2:N2=98:2)とよく似た組成で圧力は約80気圧だったと推定されている。その後、CO2の大部分は石灰岩として沈積し、一部は生物の光合成でO2,に変えられて、現在の大気組成(N2:O2:CO2=80:20:0・04)へと変化してきた。その過程では、地球が太陽からほどよい距離にあって水が液体として存在でき、炭酸塩を溶解し、生物を育むことができたのが、決定的に重要な意味をもっていた。地球より少しだけ太陽に近い金星では液体の水が存在できないために、原始大気が今でもほぼそのまま残っているのだ。
2.地球の大気が現在の状態になるまでにCO2は80気圧から0・004気圧(400ppm)まで、ほぼ一貫して減り続けてきたこと、そこでは生物が重要な役割を果たしてきたこと、現在の大気は決して最終的な化学平衡状態に到達したわけではなくて、まだ変化し続けていること、が重要である。
3.大気だけではなく、地球の表面状態、温度や海洋と陸地の分布なども大きく変化した。昔の地表はほとんど海に覆われていて、そこに大陸と呼べるものが現れたのは19億年前、その大きさは地表面積の数%程度だった。その後、大陸は分裂・移動・融合を繰り返し、約10億年前から形を変えながら広がって、現在の分布に到達した。
4.現在、陸地は地表面積の約30%を占めている。この間、マントル活動が活発なときには多くの火山ガスが放出され、例ば、5億年前の大気中CO2濃度は数千ppmに達していたと推算されている。それに対して、マントル活動が鎮静化してCO2濃度が現在とほぼ同じ水準まで低下した時期(3億年前と1.5億年前)は地質学から推定された氷河期(気温の極小にほぼ対応している。7〜9億年前には全地球凍結と呼ばれる激しい寒冷期が何回か訪れて多くの生物種が絶滅したが、これもマントル活動が鎮静化してCO2濃度が下がったことが引き金になった。
5.6000万年前からの変化を見ると、CO2濃度は2400万年前までに5000ppmから現在の水準まで低下して、その後はほぼその水準に落ち着いているのに対して、気温はかなり違った変化をしている。不規則上下しながら次第に低下し、280万年前からは4万年周期を示し、80万年前からは10万年周期の変動を示すようになる。
6.5000万年前の気温は現在に比べて約20℃高く、1000万年前には10℃高かったが、400万年前からはだ大きく低下している。この期間全体の傾向には、気温とCO2濃度の相関はほとんど見られない。しかし、詳しく見ると、両者の周期変動には相関が見られる。南極大陸のヴォストークコアから得られた35方年前からの気温とCO2濃度の比較では、ほとんど同じ形で変動を繰り返しているが、CO2のほうが立ち上がりが少し遅れて、しかも尾を引いている。
7.1〜2万年前、氷河期から現在の間氷期に移るところでは、CO2は800年ほど遅れて変化している。同様の遅れは他にもいくつか観測されていて、CO2濃度変化の気温からの遅れは800±200年である。
8.その主な原因は海洋中に溶存しているCO2が、水温上昇で溶解度が下がることによって大気中に放出されるためである。大切なのは、まず気温が上がり、次いでCO2濃度が上がるという因果関係である。こうして増えた大気中のCO2は気温を上げる作用(温室効果)をもつのだが、少なくともこの時期にはそれが気温を決めているわけではなかった。



yuji5327 at 06:50 

2018年03月06日

最近の気温変化を眺めると、気候モデルと観測との乖離はさらに明らかである。計算値が観測値より大きくて両者の開きは年を追って大きい。

「深井有著:
地球はもう温暖化していない、科学と政治の大転換へ、平凡社、2015年」は参考になる。CO22削減の国家プロジェクトに参画した自分にとって共感できる記述も多い。「第1章:CO2温暖化論が破綻するまで」の「3.IPCCは何をしてきたのか」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.IPCCの第1次報告書(1990年)では「人間活動によって温室効果ガス(主にCO2)の大気中濃度は確実に増加し、このため温室効果が増大している」として「温室効果ガスがこのまま排出され続ければ、生態系や人類に重大な影響を及ぼす気候変化が生じる恐れがある」と警告しているが、一方で「温室効果が強められていることを観測によって明確に検出することは、10年内外ではできそうにない」とも述べている。
2.ところが5年後に発表された第2次報告書では一転して「人間活動の影響による地球温暖化がすでに起こりつつあることが確認された」として、「その影響はすでに取り返しのつかないものになりつつある」とまで言っている。第3次報告書(2001年)では「過去50年間の平均気温上昇の大部分は温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性が高い」、第4次報告書(2007年)では「……非常に高い」、第5次報告書(2014年)では「……極めて高い」となって、信頼度は年を追うごとに高められている。これは確からしさ66%超→90%超→95%超を意味するとされ、第5次報告書では人為的温暖化はもはやほとんど動かしがたいものと見なされている。
3.IPCCを支える学者たちは、まずCO2濃度が増え始めた150年前からの気温変化を再現できる気候モデルをスーパーコンピュータの中に構築し、それを使って今後の気候を予測しようとしている。第3次報告書では、1860〜2000年の気温変動が計算によってよく再現されている。この計算では、この間の気温がCO2濃度上昇に伴って100年間に0・6℃の割合で上昇したことと、1940〜1970年の間には火山活動などによるエアロゾル(大気中の微粒子)によって一時的な気温低下が起こったことを仮定してパラメータを決めている。4.要するに、適当な原因と数値を仮定して観測結果を再現させている。計算の骨子は第5次報告書でもほとんど変わらない。人為的温暖化の信頼性が上がってきたとする主な論拠は、世界中の大型計算機で行われた温暖化についての計算が、気候モデルの多少の違いにもかかわらず、ほぼ一致した結果を与えたことにある。
5.これに引き替え、気候変動現象そのものの認識は迷走している。第1次報告書に載せられていた過去1000年問の気温は大きく変動していて、現在の知識とほぼ合っていた。報告書はこの古気候学の知識を踏まえた上で、長期にわたる温暖化傾向の中で人為的な温暖化だけを取り出すのは難しい、と言っている。そして、中世温暖期にCO2濃度が高かったという証拠がないのは注意すべきことであり、小氷河期を火山活動や太陽活動の極小期に関連づける議論もあるがコンセンサスは得られていない、とも述べている。
6.この認識は、第3次報告書で一変する。主としてシベリアの樹木の年輪幅からマンら(米)が求めたこのグラフ(その形からホッケースティックと呼ばれている)には中世温暖期も小氷河期もなく、西暦1000〜1800年の間、平均気温はほとんど変化せず、その後、急激に上昇している。この上昇は産業革命後のCO2濃度の増加に伴って起こったもので、それ以前に気温変化がなかったことはCO2以外の自然要因が極めて小さかったことを意味するものとされた。このグラフは人為的温暖化論を強力に支持するものとしてIPCCによって喧伝され、広く知られるようになった。
7.このとぎ、マンは学位をとって問もない若者で、この「非常識な」グラフは古気候学の専門家からは相手にされなかったが、これがIPCCを通じて広く受け入れられるようになったので、事態を重く見た米国科学アカデミーは専門家にその正否を精査することを依頼した。その結果、ホッケースティックは誤りであると結論された。
8.こうして改めて得られた数多くのデータは、ホッケースティックを否定するものだった。このように、地球の平均気温は数百年周期で大きく変わるものである。このホッケースティック事件は、IPCCの「観測データ」の信頼性に大きな疑問を投げかけた。ホッケースティックを諦め切れなかったマンらは、その後、小氷河期と中世温暖期が辛うじて認められる改訂版を発表したが、それを額面どおりに受け取る人は多くない。
9.ホッケースティックという人為的温暖化の論拠を失ったIPCCは、その後、観測データと気候モデルからの結論との乖離に悩まされた。IPCCの気候モデルの中で気温上昇をもたらすものはCO2、気温低下をもたらすのはエアロゾルしかないので、それだけで17〜19世紀の寒冷化を説明するのは難しい。火山噴火によって大量に放出されたエアロゾルの効果が長期間、海洋に記憶され寒冷化をもたらしたという説が出され、第5次報告書ではそれで改訂版ホッケースティックを説明してみせたりしているが、ご都合主義で説得力に欠けている。
10.最近の気温変化を眺めてみると、気候モデルと観測との乖離はさらに明らかである。計算結果にバラツキはあるが、すべての計算値が観測値より大きくて両者の開きは年を追って大きくなっている。それにもかかわらず、IPCC報告書では、気候モデルの信頼度は年を追うごとに高くなったとされている。


yuji5327 at 06:53 

2018年03月04日

気候モデルと観測の食い違いが明らかである。IPCCの議論はこれまでもっぱら気候感度の計算値に依存してきたが、、気候モデルとの食い違いを認めて一歩退かざるを得なくなった。

「深井有著:
地球はもう温暖化していない、科学と政治の大転換へ、平凡社、2015年」は参考になる。CO22削減の国家プロジェクトに参画した自分にとって共感できる記述も多い。「第1章:CO2温暖化論が破綻するまで」の「4・IPCC第5次報告書を読み直す、気候モデルへの過信:大きすぎる気候感度」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.第5次報告書には、人為的温暖化が重要であるという主張について、「1951〜2010年の間の地表平均温度の上昇のうち、半分以上が温室効果ガスなどの人為的要因によるものである可能性は極めて高い」。それは自然要因として太陽からの流入熱量変化だけしか考慮していないためだが、その他の自然要因が働いていないという保証はない。
2.気候モデルの計算結果はコンピュータへの入力によって変わり、その入力は気候変動の要因として何を考えるかによって決まる。気候変動の主因は人為的なCO2排出によるもので、変動の自然要因は小さいとする仮定から導かれたものだから、これを人為的温暖化の論拠とするのはおかしな論法である。
3.この報告書が作られた経緯は、2013年9月27日、IPCC第1作業部会(自然科学的根拠)の報告書をまとめるストックホルム会議のあとで「政策決定者向け要約」が報道関係者に公表されたとき、会場はおかしな雰囲気だった。それは、説明役に当たった第1作業部会まとめ役のストッカーが、最大の関心事だった気温の頭打ち現象についてまったく触れようとしなかったからである。
4.質疑もこの問題に集中したが、回答ぱ不得要領に終始した。これは比較的新しい問題だから分からない、と言ってみたり、これがあと何年続けば気候モデルの間違いを認めるのかという問いに対しては、予測では30年続くことにはなっていないと論点をぼかしている。
5.ここには気候モデルの信頼性に関する重大な問題が隠されている。人為的要因への気候のレスポンスは気候感度で表され、IPCCはこれをCO2.濃度が2倍になったときの気温上昇で表している。平衡気候感度の計算結果は、気候モデルの差異によるバラツキはあるものの、1979年のチャーネイ報告からIPCC第5次報告に至るまでほとんど変わらず1.5〜4.5℃となっていて、最良の推定値はその中間、2.5〜3.0℃とされてきた。
6.第5次報告書ではその最良の推定値が書かれていない。気候モデルの結果が最近の観測と合わないので「最良の推定値」は掲げられない、と脚注に小さく書いてあった。この脚注は「政策決定者向け要約」の最終稿にはなかったのだがストックホルム会議の土壇場で「専門家の意見」として付け加えられたものである。
7.気候モデルと観測の食い違いがあまりにも明らかなので、まったく触れないわけにはいかないという判断から、なるべく目立たないように書き加えたのだろう。IPCCの議論はこれまでもっぱら気候感度の計算値に依存してきたのだが、観測に基づく値が得られてくるにつれて、気候モデルとの食い違いを認めて一歩退かざるを得なくなった。
8. 1979年のチャーネイ報告から第5次報告書までの35年間に、大循環モデルは大幅に進化し、コンピュータの飛躍的進歩によって計算の規模も精度も格段に向上したが、気候感度を見る限り、その大きさも不確かさの範囲もまったく変わっておらず、むしろ頭打ち現象が現れてから実際との乖離が明らかになってきた。

yuji5327 at 06:56 

2018年03月02日

地表や海水面からの蒸発で生じた水蒸気→雲→降水という水の循環と、その過程での熱の出入りと気温の変化は、地球全体を扱う大循環モデルの中に組み込むことになる。

「深井有著:
地球はもう温暖化していない、科学と政治の大転換へ、平凡社、2015年」は参考になる。CO22削減の国家プロジェクトに参画した自分にとって共感できる記述も多い。「第1章:CO2温暖化論が破綻するまで」の「3.IPCCは何をしてきたのか、気候モデルの弱点/緇気の作用」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.循環モデルの最大の弱点は水蒸気と雲の取り扱いにある。地表や海水面からの蒸発で生じた水蒸気→雲→降水という水の循環と、その過程での熱の出入りと気温の変化は、元来がミクロな物理過程によって決まるが、地球全体を扱う大循環モデルの中にはパラメータとして組み込むことになる。
2.よく分かってないことが多いので、その値は適当に決めてやらなくてはならない。また雲の生成や降水は狭い範囲で起こる現象なので、それを10匯擁の領域での平均値として記述することには無理がある。これが雲や水蒸気を大循環モデルに組み込む際の本質的困難である。
3.水蒸気の作用について、これまでIPCCは一貫して水蒸気が大きな正のフィードバック効果をもつと主張してきた。気温が上がると地表や海面からの蒸発が盛んになり、大気中の水蒸気が増える、すると水蒸気の強力な温室効果が気温上昇をもたらす、という。
4.第5次報告書に載せられた気候モデルの計算によると、水蒸気の作用によってCO2による気温上昇が2〜3倍に増幅されている。この増幅作用が気候感度を決める上で極めて重要な役割を果たしているのだ。
5.この水蒸気による増幅作用も観測に合わないと指摘されている。もしもこの仮定が正しいとしたら、大気中のCO2濃度が地球全体で一様に増えたとき、水蒸気の多い熱帯地方で気温の上昇が大ぎくなるはずであ.る。気候モデルによる計算結果では確かに高度10夘婉瓩妨加な地球を帯状に.取り巻いているホットスポヅトリングが見られるが、気球や衛星による観測によると、ホットスポヅトは存在しない。
6.熱帯上空にホットスポットがないことは、水蒸気による正のフィードバックが小さくて、気候感度が気候モデルの見積もりよりずっと小さいことを意味する。IPCCの主張ぱ水蒸気のフィードバック如何にかかっていると、地表付近の上空7劼凌緇気量は明らかに減少していて、これは地表の気温を低下させる方向に作用する。ここでもCO2濃度の増加に伴う大きな増加はまったく見られていない。



yuji5327 at 06:29 

2018年02月28日

雲と地表温度との関係は、雲は太陽熱を反射するために降温効果をもつが、地表の放熱を遮るために昇温効果ももつ。雲はCO2の効果を増幅する作用をもつ。


モデルの弱点雲の作用」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.雲と地表温度との関係は、雲は太陽熱を反射するために降温効果をもつが、地表の放熱を遮るために昇温効果ももつ。雲は全体として地表の気温が上がると雲が増え、それが気温上昇をもたらし、CO2の効果を増幅する作用をもつ。
2.策決定者向け要約では、気候モデルで雲の効果を定量的に正しく表現できているかは確信がもてない。とくに低層雲の昇温効果が不確かなので雲全体のフィードバックが正である可能性は3分の2程度である、と書かれている。雲についての理解は最近、著しく進歩して、IPCCの見解はほぼ完全に否定されている。
3.ステフンスら(2015)は衛星観測のデータを解析して、南北半球から放出される熱量がほぼ同じであることを見出した。これは陸地が北半球に偏在して太陽熱を余計に反射することを考えると非常に不思議なのだが、ステフンスらはこれが雲の生成・消滅.移動の影響によるとして理解できることを示した。雲は大陸上よりも海洋上に多く発生することによって太陽熱の反射を増やす。こうして太陽からの流入熱量分布の不均一と、それによる気温分布の不均一を平滑化する作用をもつことになる。
4.雲はまた、気温の時間変化を平滑化する作用をもつことも知られてきた。南太平洋の島フィジーで暮らしたことのあるウィリス・エッシェンバックは、毎日繰り返される気象変化の中に雲の作用についての重要な鍵が隠されていることに気がついた。朝、太陽が昇り、気温が上がると、10時過ぎから積雲が発達し始めて午後には大きく発達し、夕方には雷雨(スコール)をもたらす。すると、これに伴う下降気流によって気温が一気に下がる。こうして気温上昇が抑えられる。
5.このサイクルが毎日繰り返されるが、平均すると気温はほとんど一定に保たれる。雲は空間的にも時間的にも気温変化を小さくする。雲が温暖化に負の効果をもつことは2001年にリチャード・リンゼンらによって提唱され、アイリス効果と呼ぼれている。それは次のような機構である。
6.熱帯の一部で海水温が上がると、そこでは上昇気流が盛んになって雲が湧き雨が降る。、それに伴い周囲1000勸幣紊砲錣燭辰鴇絛の湿度が下がり雲が減るので、海面からの放熱が増加して気温上昇が抑えられる。結果として高層雲に覆われず放熱が可能な領域が増えることが温暖化に負の作用をもたらして、気温を安定化させる。これは眼の虹彩(アイリス)が光量の増減に応じて開閉するのと似ているので、アイリス効果と呼ぼれる。
7.アイリス効果は、2001年に発表されて以来、真剣に検討されることがなかったが、最近、モーリッツェンとスティーブンスの論文(2015)が発表されたことで、その主張の正しさが確証された。この効果を取り入れることによって、これまでの大循環モデル計算では少な過ぎていた降水量は増加し、大き過ぎていた気候感度は数10%小さくなって、ほぼ実測に合うようになった。これまでの気候モデルに共通の欠陥がようやく見.えてきた。


yuji5327 at 07:09 

2018年02月23日

英国では、人々の意識がかなり変わったが、日本は変わっていない。気候学者たちは相変わらずlPCCの下請け仕事に励んでいて、反省がない。

「深井有著:
地球はもう温暖化していない、科学と政治の大転換へ、平凡社、2015年」は参考になる。CO22削減の国家プロジェクトに参画した自分にとって共感できる記述も多い。「第1章:CO2温暖化論が破綻するまで」の「3.IPCCは何をしてきたのか、流出メールから読み取れること」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.科学の分野でぱデータを改竄するのはご法度であが、気候科学に携わる人たちはデータの加工を日常的に行っているために、センスがずれている。たとえば世界の平均気温は、気温は時間的・空問的に大きく異なるが、測定点は時間的・空問的にバラバラである。これを単に算術平均したのでは駄目で、何らかのデータ加工が必要になる。また数十年にわたる長期変動を調べるためにはエル・ニーニョ、ラ・二―ニャなど数年ごとの準周期的な変動を取り除いてやらなくてはならない。目的に応じたデータ加工が必要である。
2.CO2による温暖化が起こっていると信じている人たちにとっては、気候データを、あるべき形に加工するのは、日常的だったもしれない。気温データについては、都市化の影響も要注意である。都市の平均気温は都市を離れたところより高く(ヒートアイランド現象)、その差は過去100年間にわたって年々大きくなってきた。
3.ある地域の平均気温を求めようとする場合には、その中に含まれる都市データの扱いには注意しなくてはならないが、IPCCは、都市化による気温上昇は0・1℃以下であると効果は小さいものと見なしてきた。そこでエッシェンバックは、CRUが測定地点のリストを請求したところ、拒絶された。やっと入手したリストを見て驚いたのは、世昇の主要都市のデータが、そのまま使われてたことである。
4.バンコック、バルセロナ、北京、ブエノス・アイレス、京都、リスボン、モスクワ、名古屋、大阪、サンパウロ、ソウル、上海、シンガポール、東京、等々である。これは重大で、都市化によるヒートアイランド現象は、見かけ上、過去100年間の温暖化を作り出すことになる。都市データを除外しなかったのは、近年の温暖化を演出するための、不作為の作為だった。
5.データ操作のもう一つのやり方はモスクワの経済分析研究所の報告から推察される。英国気象庁ハドレー気象研究センターに提供したロシアのデータのうち、気温上昇を示すもの25%しか使われておらず、その結果、国土の40%が地球平均気温の計算に取り入れられていない。これは近年の温暖化を誇張するための操作と疑われる。ロシアは世界の陸地面積の12.5%を占めているので、これによって世界の平均気温が大ぎく変えられた。
6.IPCCは、都市化の影響が過去100年間の気温上昇の10%を超える可能性は非常に低い、とまとめている。現在が過去1000年以上も経験したことのない温暖化に見.舞われていることを語るぎれいな年輪データを出してほしいという圧力があるが、現実はそう簡単ではない。
7.気候科学に携わる者は、気候科学とメディアの関係を議論すべきではない。問題は、メディアとどう向き合うかよりは、一般国民とどう向き合うかである。地球温暖化については、懐疑論者だけが特定の政治目的を持っているように言われるのは正しくない。アル・ゴアの映画のようなポピュラー・サイエンスへの対応が問題である。
8.メディアの誇張への対処すべきかは、今でも生きている。英国では、CRUを含めて人々の意識がかなり変わったが、遠く離れていた日本はまったく変わっていない。気候学者たちは相変わらずlPCCの下請け仕事に励んでいて、真摯な反省は聞いたことがない。
9.温暖化教をキリスト教になぞらえて、その教義に背く者に異端者のレッテルを貼ることは、温暖化批判の排除を人々の心情に訴える極めて有効な手段になっている。


yuji5327 at 06:46 

2018年02月20日

気候の科学は、21世紀に入ってIPCCがCO2温暖化を喧伝し始めてから捻じ曲げられたが、着実に進歩していた。地球科学の変革は1957〜58年の国際地球観測年(IGY)から始まった。

「深井有著:
地球はもう温暖化していない、科学と政治の大転換へ、平凡社、2015年」は参考になる。CO2削減の国家プロジェクトに参画した自分にとって共感できる記述も多い。「第1章:CO2温暖化論が破綻するまで」の「1.気候感度と温室効果」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.水分を含む空気の状態変化だけでも雲の生成・消滅に伴う熱の出入りや太陽光を反射する効果、低層雲と水蒸気による保温効果等々があり、それに加えてCO2による保温効果(温室効果)もある。その上、これらはフィードバック効果を通して互いに絡み合っているのでなおさら難しい。今のところその内訳の定量的理解は極めて不十分である。
2.気候感度の時間依存性である。入射エネルギーが変化した時点から、気候システムが新しい平衡状態に到達するまでには時間がかかるので、その間、気候感度は時間の関数として変化することになる。普通、十分に長時間が経過したあと(:100年)の値を平衡気候感度と呼び、レスポンス時間10年以下での値を過渡的気候感度という。これは平衡気候感度よりいくらか小さい値をとる。現実には、入射エネルギーも変動するものであるから、気温変化は過渡的気候感度で表される変化を重ね合わせたものになり、平衡気候感度そのものが問題になる。
3.地球の科学は20世紀後半に科学史上稀に見るほどの変貌を遂げ、われわれが地球を見る目は人きく変化した。気候の科学も、21世紀に入ってIPCCがCO2温暖化を喧伝し始めてから捻じ曲げられてしまったが、それに至る半世紀の間に着実に進歩していた。地球科学の変革は1957〜58年の国際地球観測年(IGY)から始まった。
4.IGYは大戦で疲弊した世界の地球物理観測綱を再建し、新たな技術を生かして広い分野にわたる観測を行おうという国際プロジェクトであった。国際協力による観測は1882〜83年と1932〜33年に行われていたが、その対象は極地(主に北極圏)に限られていた。IGYは対象を全世界に広げ、得られたデータを世界中で共有できる組織を作ることで、地球科学の進歩に大きな貢献をした。参加国は第1回極年が12ヶ国、第2回極年が44ヶ国であったのに対してIGYでは67ヶ国に上り、まさに世界的なプロジェクトとなった。
5.観測対象はオーロラ・夜光、電離層、太陽活動、宇宙線、地磁気、重力、測地、氷河、海洋、気象など多岐にわたり、なかでも南極大陸に観測基地を作ることと、ロケットと人工衛星によって大気圏外の測定を行うことが目玉であった。極地は地磁気の影響で太陽や宇宙からの荷電粒子(プロトン)が侵入しやすいので、そこに常設の観測基地を作ることには格別な意義がある。オーロラ、太陽活動、宇宙線などの観測に加え、南極大陸やグリーンランドを覆っている氷床の掘削が本格的に行われるようになって、古くからの太陽活動や大気成分や気候の変化が明らかにされた。また1958年から米国で検討が始められた海洋底掘削も、当初の目的だったマントル組成の調査だけではなく、堆積物から過去の地球のデータを得る方向へと発展していった。こうして、古気候学はIGYを契機に大きく進歩したのだ。
6.1957年には旧ソ連の観測衛星スプートニク1号が、翌年には米国のエクスプローラー1号が打ち上げられて、史上初めて大気圏外の観測データが得られるようになった。その最大の成果は、地球をドーナツ状に取り巻く荷電粒子の環の発見であり、観測を主導した物理学者に因んでヴァン・アレン帯と名づけられた。これは太陽風(主に電子)と宇宙線(主にプロトン)の一部が地球磁場に捉えられたもので、その高さは赤道上で2万劼傍擇屐
7.その後、地球近くの軌道を回る人工衛星は気象観測、通信、GPSなど、日常生活に欠かせないものとなり、また惑星空間を回る科学観測衛星も数多く打ち上げられて、太陽と諸惑星、その周りの惑星空間、太陽圏についての知識は飛躍的に増えた。2015年7月には探査機ニューホライズン(米)が冥王星に接近して観測データを送ってきた。これで太陽系の主要な天体すべてに探査機が送られたことになる。IGYの成功を踏まえ、その後、さまざまな研究目標を掲げる国際共同観測事業が実施されるようになって現在に至っている。





yuji5327 at 06:52 
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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