環境

2019年05月15日

都市の昇温についてはよく知られているが、都市化によって乾燥化も起こっている。都市化率が大きいほど相対湿度が小さくなる。


「木本昌秀(東京大学教授)著:気温が上がり乾燥化する都会、都市化と気象のメカニズム、週刊ダイヤモンド、2019.04.13」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.キャンパスのある干葉県柏市は、東京から北東へ30kmほど、40万を超える人口を抱える都会のはずだが、公園を隣に控えるのどかなキャンパス環境のせいもあって、東京から来る柏は寒いという感想を言う客は少なくない。寒い冬の朝にはしばしば池に氷が張る。これから陽気がよくなって日中の最高気温が25℃を超える「夏日」が増えてくると、都市と郊外の気温差「ヒートアイランド」も話題になることが多くなる。
2.昨年のデータだが、墓兄・北の丸と柏に一番近いアメダス自動観測点である千葉県我孫子市の気温を比べてみたら、日中の最高気温もさることながら、夜間から朝方の気温差が大きい。
3.ヒートアイランドという用語は、都市部が周囲より暖かく、気温の等値線が島のような形になることからきている。都市化の昇温効果の数値シミュレーション結果の現象は大都市の英ロンドンでは1世紀にすでに知られていた。
4.ヒートアイランドは、土や植生など保水性のよい自然の陸面環境がアスファルトやコンクリートなどの人工被覆に代わることで.地面と直上の空気が暖まりやすくなること、そして、人間活動に伴う人工排熱が直接空気を暖めることで起こる。人工排熱の大きさを、地.面から大気への熱の流れで測ると、最大で真夏の日中の日射景の10%にも及ぶ。
5.ヒートアイランド現象を詳細に調べると、都市と周囲の気温差は、日中より夜間のほうが大である。日中は暖められた地表近くの空気が軽くなって上昇し、上空の少し冷たい空気とよく混合するが、地而からの放射冷却で地表の気温が下がる夜聞には、上空の大気との密度の差が小さくなり、上空との混合が抑えられる。季節的にも、上空との混合が大きい夏よりも冬の方が、都市と郊外の気温差は大きい。
6.ここでいう「上空」とは高度1km程度までを指しており、「大気境界層」とか「混合層」と呼ばれている。欧米では、夏の猛暑時に「アーバン・ヒート・ドーム」という言葉が使われることがある。広範囲を覆う高気圧の下降気流が都市部を覆う熱盆を低い高度に保ち、晴れることで日射量も増えて都市に猛暑をもたらすイメージをよく表している。
7.世界有数の大都市、東京では近年100年間に平均気温が約3℃上昇している。この3.分の2は都市化の影響とみられる。同じ気温上昇率を、日本の都市化影響の小さい観測所および都市化影響のない日本近海で調べると、両者とも約1℃で、これは温室効果気体の増加に起因する地球全体の温暖化を示していると考えられる。
8.人工排熱やビルからの照り返しによって暑い目に遭う都会人には深刻だが、都市化の効果は、都市胴辺、高度最大1km(大気全質量の約1割)、そして晴れて風の穏やかな日でないと顕著に現れないので、地球全体の温暖化への寄与は限定的である。
9.昨年夏は記録的な猛暑で、7月23日には埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41・1℃を記録したが、数値シミュレーション等を参照すると、熊谷では都市化の効果は大きくなく、他の高温記録を見ても、気圧配置や気流等の自然変動が人きな原因で、これに地球温暖化によるかさ上げが加わって記録.史新が頻繁になっていると考えるべきである。
10.都市の昇温についてはよく知られているが、最近の調査によると、都市化によって乾燥化も起こっている。都市化率が大きいほど相対湿度が小さくなる傾向がある。気温の上昇に伴って空気中に含み得る最大の水蒸気量は増加するが、人工被覆の広がりや植生面積の減少等により、実際に空気に含まれる水蒸気の量にそれに見合うだけの増加がないため、相対湿度が下がっている。
11.劇的なのは、大.都市化での.霧日数の減少である。データをさかのぽると、東京では1930年代には年間40日程度霧が観測されていたが、近年は激減し、2007年以降の霧日数はわずかに3日である。札幌、名古屋、大.阪、福岡等、他の大都市にも類似の傾向が見られる。霧は、地面に達した雲、すなわち水蒸気が飽和して凝結した小さな水の粒でできている。気温の上昇と乾燥化によって.大都市では霧を観測することがまれになっている。
12.08年.夏以来、いわゆる「ゲリラ豪雨」という言葉がよく使われる。この年の7月28日には、兵庫県内の都賀川の親水公園で鉄砲水によって子供を含む5人の命が失われ、続く8月5日には東京都豊島.区で局地的な豪雨による増水によって下水道工事の作業員5人が亡くなった。
13.増水や冠水など都市部で被害が大きいこともあり、都市化の効果、すなわち昇温やそれに伴う気流の収来、上昇気流の強化等が局地的な豪雨の増加傾向に拍車をかけているのではないかと推察したくなるが、そもそも頻度の低い現象なので、学術的な証明はまだできていない。
14.近年、シミユレーションの精緻化によって、気温だけでなく局地的な豪雨の増強への都市影響も評価できるようになりつつある。緑化や保水性舗装、ドライミストなど、都市の暑さ対策も進んできているが、地下街の多い都市部では豪雨にも一層の注意が必要である。

yuji5327 at 06:20 

2019年03月15日

遺伝子組み換え作物は一般的に、サイズが大きく、味がよく、害虫に強くなるように改良されている。さらに作付面積当たりの収穫量も高く、農地開拓を低減できるため地球にも優しい。


「池谷裕二著:闘論席、エコノミスト、2019.3.12」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.‥纏劼聾胸劼茲蠑さい、大気中の酸素は植物から来る、E形灰肇泪箸砲楼篥岨劼呂覆い、遺伝子組み換えトマトには遺伝子がある、こうした科学の正誤問題への回答から、その人の科学リテラシーがわかる。その上で「あなたは遺伝子組み換え作物に賛成か」ときくと、科学知識に乏しい人ほど反対する傾向がある。これは米コロラド大学のファーンバック博士らが、米国、ドイツ、フランスで行った調査結果である。
2.同調査ではさらに「科学リテラシーが低い人ほど自分の科学知識に自信がある」ことも示された。別の米国での調査によれば、科学者の88%は「遺伝子組み換え作物は健康に害がなく食してもよい」と返答するが、一般人では37%しか肯定的に答えない。
3.遺伝子組み換え作物は一般的に、サイズが大きく、味がよく、害虫に強くなるように改良されている。さらに作付面積当たりの収穫量も高く、農地開拓を低減できるため地球にも優しい。「ならば遠慮なく遺伝子組み換え作物を導入せよ」と主張するのは短絡的だ。なぜなら科学的な正しさと社会的な正しさは異なるからである。例えば「テレビを近くで見ると目が悪くなる」に科学的根拠はない。しかし近くで見て良いわけではない。世間には「目が悪くなる」という説がまかり通っており、この通念に背けば、周囲から注意されたり、人々を不快にさせたりと、自身にとっても周囲にとってもマイナス要素が大きい。
4.「テレビを離れて見る」ことは「夜に爪を切らない」「北枕で寝ない」と同じように、いわば社会マナーであり、科学的な正否とは別の問題である。遺伝子組み換え作物についても、同種の社会的制約が通底していることを、先の調査論文を読んで痛感した。


yuji5327 at 06:40 

2019年02月27日

気象予報士制度ができた1993年以降、年間売り上げは300億円前後で停滞。気象データの経済効果は年間1800億円と見積もられ、開拓の余地がある。


「木本昌秀(東京大学大気海洋研究所・教授)著:先に行くほど不確実な気象予測、ビジネス活用の伸びしろと注意、週刊ダイヤモンド、2019.2.23.」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.気象に関わって40年、この間天気予報の精度は着実に上がってきた。特に、2009年からは台風の進路予報が5日先まで延ばされ、「南海上で迷走中の台風は来週○曜日ごろに首都圏を襲う見込み」のような予報を利用できるようになったのは大変ありがたい。
2.気象予測が可能なのは、古典力学に従って気象現象が生じているからである。ニュートンの運動方程式は、物体の加速度(=速度の時問変化率)が物体に作用する力に比例することを述べているが、これは現時刻の力(と速度)が分かっていれば、次の時刻の速度が分かることを意味する。天気予報は、この原理を地球上の空気(=1大気)に当てはめて、現在の気象状況から将来の空気の動き(=1風)や温度の変化を高速コンピュータで計算して行われている。
3.予測の対象となる大気は、流体(連続体)なので、現在の状況はなるべく空間的に細かく把握しておかないと計算がうまくいかない。これが原理的には簡単でも実践が難しいゆえんの一つだ。そこで現在では有人の観測所はもちろん、人工衛星からのリモートセンシングも多数活用して、地球大気の状況を、天気予報に支障のない程度には細かく把握できる体制になっている。
4.ゲリラ豪雨のような時空問的に細かい現象の予報が難しいのは、そもそも実況が観測で把握できていないからである。実際、最新レーダーのデータを使ってスーパーコンピユータで計算すれば、急速に発達する局地豪雨の予測も不可能ではない。観測もさることながら、積乱雲の中での乱流の様子や、さまざまな大きさの雲や雨、あられ粒子の衝突、成長といった、陽に計算できないが、その効果は考慮する必要のある細かい現象の実態が科学的によく分かっていない、という事情もある。連続体なので、どこまで計算メッシュを細かくしてもそれより細かい現象は存在し、その効果を考慮する必要が出てくる。
5.これらの課題を克服すべく開発や研究が続けられているのだが、実際の予報を使うに当たっては、多くのユーザーが求めるピンポイ,ント情報と粗い計算メッシュの間のミスマッチに如凡て、「先に行けば行くほど予測が不確実になる」ことに留意せねばならない。初期値が誤差分だけわずかに異なる多数の「アンサンブル予報」で台風の進路予報が広がる。初期誤差が成長するため、ある町のある"の天気予報は2週問までが限界である。それでもその先の長期予報が発表されているのは、週や月、ある稚度以上の広さで平均した「天候」の傾向なら、つまり予測対象を限定すれば、ゆつくりと変化する海水温の影響などを考慮して、ある程度有用な予測ができるからである。
6.天気予報の精度が十分かといえば、決してそうではないが、同時に、ある程度の精度に達し、データも格段に容易に手に入るようになった現在、特にビジネス界における気象データ活用については相当に伸びしろがあるように思う。農業や交通、損害保険といった分野で気象の影響が大きいことは分かるが、小売りやサービス業でも売り上げや売れ筋商品の変化などに気象は大.きく影響するという。
7.全国清涼飲料連合会の協力を得た気象庁の調査によると、平均気温22℃以上では屋外自動販売機のホットのコーヒー飲料等の販売数はほぽゼロで、気温の低下に伴い急激に増加する。自販機をコールドからホットに切り替えるタイミングを決めるのに、2週間先までの気温予報を使うか使わないかで、売り上げに1台当たり100本程度の差が生じる。同様の気象影響は、アパレルや家電、コンビニでも確認される。
8.さまざまな業界でこのような気象データの利用は進んでいるものと思うが、気象予報士制度ができた1993年以降の20年ほどで見ると、民間気象事業者の年間売り上げは300億円前後で停滞している。その一方で、気象データによる需要予測の経済効果は年間1800億円と見積もられると、まだまだ開拓の余地がある。膨大な数値予報や衛星.データと、他のビッグデータとを掛け合わせれば大きな可能性を生む。
9.気象データのビジネス利用を考える際に、幾つかの課題に思い当たる。ほとんどのビジネスは気象だけに影響されるわけではない。判断の一助にしたいとは思っても、何をどう調べたらよいのか分からない。気象コンサルティングも、多様なデータから相関関係を抽出してくれるAI等の利用も有用である。気象に詳しくなくてもPOS〔販売時点情報管理)などの自社システムに気象情報を警入れることができるシステムにも需要がある。
10.数値天気予報や衛星など、気象のデータ量は半端ではない。本格利用には過去のデータも必要になる。緊縮財政の役所がユーザーに十分親切な大容量データサービスを用意できないのが問題である。特に予測データの場合、不確実性の収り扱いに注意が必要である。気象庁は今年6月をめどに2週問先までの気温予測を毎日発表する予定だが、誤差情報も加味した発表となる。
11.東京の90日先までの毎日の天気予報を掲載するウェプサイトもあるが、3カ月先を明日や明後日と同じように予測することは原理的にも無理である。何もかも気象庁が作成し、保証した形式でしか手に入らないでは、ビジネスチャンスを逃すことにもなる。人命に関わる防災情報は官の管理が必要だが、差し支えない部分は民に開放して可能性を広げるべきである。



yuji5327 at 06:26 

2018年11月08日

エルニーニョの予測自体もまだ十.分とはいえない.。エルニーニョが起こってもその影響がどの程度現れるかについてはもっと不確実である。


「木本昌秀(東大海洋研究所教授)著:気象、この秋にもエルニーニョ発生か、暖冬なら太平洋側も大雪に注意、週刊ダイヤモンド 2018.11.03」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.2018年夏は、7月上旬、西日本を中心に220人以上の命を奪った「平成30年7月豪雨」、続いてそれ以上の熱中症死者を出したと見込まれる猛暑、そして毎秒50mに及ぶ強風と高潮で関西国際空港に浸水をもたらした台風21号、さらには同等の記録的な強風を束日本にももたらした台風24号と気象災害が相次いだ。猛暑や豪雨、台風といった極端気象は、地球温暖化の進行とともに頻度や燈度が増す傾向が加速すると予想される。これまで以上に常日頃からの心構えが必要である
2.メディアでも何度か取り上げているが、この冬には再びエルニーニョ発.生の予測がされている。気象庁の最新情報によれば秋の間にも70%の確率でエルニーニョ発.生が予測されている。ニーニョはスペイン語で男の子、定冠詞エルが付いて神の子=キリストの意で、東部赤道太平洋の海面水温が高くなって半年ないし1年以上続く現象のことをいう。エルニーニョと反対に海面水温が普段より低くなるラニーニャ(女の子)現象と数年程度の不規則な周期で繰り返すことが知られている。
3.気温が高いほど空気中の水分は多くなるので、暖かい熱帯の海水温異常は上空の雲の位置や量を大きく変える。そして、雲の大集団に伴う上昇気流は数万キロメートル以上にわたる広範囲の大気の流れを変え、世界各地に天候異常をもたらす。
4.エルニーニョは、古くから南米沿岸のペルーやエクアドルの漁師にはよく知られていた。毎年クリスマスのころに海水温が上がって漁が休みになるので親しみを込めて神の子と呼んでいた。20世紀になっていろいろと調べてゆくうちに、南米沿岸に限られる毎年の季節変化よりずっと広範囲にわたった数年規模の変動があることが分かり、気象庁では後者を区別して「エルニーニョ現象」と呼ぶ。
5.エルニーニョ現象が大気海洋柑互作用のたまものであることに最初に気付いたのは米国カリフォルニア大学のビャークネス教授で、1960年代のことである。赤道東部で海水温が上がると、普段は海水温の高い西太平洋にあ,る雲の集団が大きく東へ移動し、これに吹き込む海上の貿易風が弱まる。普段の東太平洋では、東から西へ向かう貿易風が赤道上にも束から西への海流を引き起こし、これを補うために冷たい海水が下層から湧いている(赤道湧昇という)ので西太平洋より低温になつているが、貿易風の弱まりによって湧昇が緩和され、海水温が上がる。そして上がった水温が一層貿易風を弱めて……という具合に大気と海拝の間で自己増強作用が働くためにエルニーニョが発達する。
6.大気や海洋が地図をあたかも知っているかのように赤道に沿って湧昇やエルニーニョ現象が起こるのは.地球の自転が赤道を挟んで南と北で反対向きになっているせいである〔地面に立っている人にとって北半球では反時計回り、南半球では時計回り)。貿易風が厳
密に東から西に吹いていたとしても、引きずられる海水の運動は、赤道から少し離れた北半球で北向き、南半球では南向きの、赤道から離れる向きの海流を生じるため、これを補う下層からの湧昇が起こるの。
7.エルニーニョとラニーニャの間の周期性についても、重くて慣性の大きい海水の運動が貿易風の変化に遅れて起こるためであることが分かってきた。
8.仕組みが分かってきたとはいえ、実際の赤道大気海洋の観測データが手に入らないと予測は行えない。83年、嵐によって米国サンタモニカの桟橋が流されてしまったが、当時起こっていたエルニーニョとの関連に気付く関係者はいなかった。この反省から国際研究計画が立てられ、赤道海洋を規則的に覆う自動観測網が設置された。海底に係留されたこれらのブイが時々刻々気象海洋データを届けてくれるので、コンピュータモデルによる予測が90年代から可能になった。
9.今では半年くらい先のエルニーニョ予測ならけっこう目信がある、と業界の誰もが思っていた。ところが、14年には久しぶりのエルニーニョ発生が予測されていたにもかかわらず翌年にずれ、肩透かしを食った。赤道海洋の水温の様子を見ると、前回のエルニーニョ、ラニーニャ時の水温の高低は明瞭だが、本稿の執筆時点では監視領域の水温上昇はまだはっきりしない。
10.このように、エルニーニョの予測自体もまだ十.分とはいえないが、仮にエルニーニョが起こったとしてもその影響がどこにどの程度現れるかについてはもっと不確実性が大.きい。世界各地の天候の変動はエルニーニョだけが原因で生じるわけではないためである。
11.日本についてはエルニーニョ年の冬は暖冬傾向になることが知られている。今年の春以来、地球全体で中緯度の気温が高い状態が続いていることもあり、気象庁の寒候期予報も暖冬傾向と言っている。厳しい寒さよりは、暖冬傾阿の方が歓迎されるのではないかと思うが、関東地方など太平洋側では暖冬年には大鴬が多いので注意が必要である。普段雪の少ない首都圏などではたった5cmの積雪でも交通機関への影響が大きく、慣れない都会の人たちは転んでけがをする人が続出する。
12.14年2月には甲府市の国道でたくさんの車が大雪のため立ち往生した。暖冬時には、冬型の気圧.配置が緩むことで、北の寒気と南の暖湿気塊の間の前線が日本の南岸付近まで上がることが多く、台湾や東シナ海から急速に発達しながら日本の南海上を東に抜ける「南岸低気圧.」が太平洋側に大雪をもたらす。
13.南岸低気圧は、勘と経験がものを言った天気予報の時代には、「低気圧中心が八丈島の北を通れば雨、南なら雪と習った。低気圧.が南にある方が関東地方の上空の気温は低いからである。今はコンピューダ予測がそうした機微も表現してくれる。直近の気象情報に注意が必要である。


yuji5327 at 06:44 

2018年10月11日

既存の省庁や内閣府では実行困難な、国家規模かつ長期の施策を一元的に実行する組織がこの国には不可欠である。


「巽好幸(神戸大学海洋底探責センタ一教授・センター長)著:地震と豪雨による複合災害、北海道胆振東部地震の教訓、週刊ダイヤモンド、2018.10.13」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.大阪府北部地震に続き、北海道胆振東部地.震が発生した。マグニチュード6・7、.震源の深さ約37kmのこの直下型地震は、北海道で初めて震度7を記録した。なぜこれほどの大地震が北海道内陸部で起き、士砂崩れが多数発生したのか?、まず指摘しておきたいのが、熊本地震や大阪府北部地震と同様、「地震が少ない北海道でこんなことが起こるなんて…」という声が報道機関でも流れていたことである。
2.北海道胆振地方は、ここ数年に限っても2014年と17年に震度5弱の地.震が起きた「地
震多発域」である。過去の地震の被害が大きくなかったために、人々は勘違いしていたようである。
3.今回の地震は.東日本大震災のような「海溝型」ではなく、プレート境界(海溝)から離れた内陸域で発生した直下型地震である。東北地方の直下型地震の例を挙げると、08年に最大震度6強を記録した岩手、宮城内陸地.震、1894年に死者726人を出した庄内地.震などがある。これらの内陸地震は、プレート運動によって圧縮された地盤が破壊されることで発生し、「逆断層」が生じる。胆振東部地震も圧縮による逆断層型の内陸地震なのだが、東北地方とは圧.縮のメカニズムが少々異なる.
4.太平洋プレートは日本海溝に対してはほぼ真っすぐに、千島海溝ではやや斜めに沈み込む。その結果、北海道中東部の太平洋側では、地盤が西向きに引きずられるように動いている。
5.小さなプレートのように挙動するこのような細長い地盤は「スリバー」と呼ばれる。この「千島スリバー」が西進すると、胆振地方ではスリバーとその西側の地盤が衝突し、ほぼ東西方向の圧縮が生じる。こうして逆断層タイプの内陸地震が発生した。
6.今回の地震では、土砂崩れが甚大な被害を引き起こした。発生前日の台風21号による豪雨が、斜面崩壊の呼び水となった。ここで注目すべきは、地質の特徴である。付近に樽前山や恵庭岳など活火山が密集し、火山灰や軽石が厚く堆積していた。この火山性堆積物が雨水で緩み、表贋部2〜4mが地震の揺れで崩壊した。
7.火山灰層の表層滑りと豪雨の関連は、火山灰層そのものは水はけが良いため、大量の水を蓄えて地層が緩み、崩壊することは考えにくい。典型的な火山灰地層の表層には、地表付近の植物が腐食してできた「黒ボク」や「赤ボク」と呼ばれる土壌があり、その下に火山灰層や軽石層が存在する。
8.これらの屡は水を通しやすく、雨水は地下へ染み込んでいくが、その過程でマグマが急冷されてできたガラスからケイ素を溶かし出す。こうして浸透する水は深くなるほどケイ素に富むようになり、今度はガラスと反応してハロイサイトという粘土鉱物を形成する。今回の場合.この反応は深さ3屑前後で起こっていたようである。不透水性の「ハロイサイト層」は水がたまりやすく、しかも粘土鉱物なので滑りやすい。地震による強い、揺れで、ハロイサイト層が滑り面となり、土砂崩れが多発したと考えられる。だから今回の土砂崩れは、まさに豪雨と地震の複合災害といえる。
9.火山大国日本では火山灰層は広く分布し、ハロイサイト層が形成されている揚所も多い。熊本地震の大規模な土砂崩れも、阿蘇山でできたハロイサイト層の存在が原因の一つに挙げられている。
10.最近の日本は「数十年に1度の大雨」が頻発している。今回の北海道の悲劇〔火山灰土壌の地震と豪雨による複合災害)は、今後、わが国では想定内の災害となる。
11.日本列島は降水量が多く、台風の影響も受けやすい。さらにこの地球上で最も地震と火山が密集する「災害大国」である。実際にわが国は例年、インドや米国、インドネシア、中国などと共に、自然災害発生国ランキングの上位常連国であり、災害被害額は、東日本大震災以前でも世界の総被害額の約1割を占めている。
12.この災害大国では「未曽有の災害」が将来必ず起きる。以下の4つの根拠がある。
/邑・機能が集中する地域を襲う首都直下地.震、南海トラフ巨大地震は今後30年に80%程度の確率で発生する。大阪府北部地震のように、直下型地震を引き起こす未知の活断層が多数存在する。C狼絏甲伐修砲茲蝓∈8紊旅覬・水害は巨大化、多発する、い海旅颪鮠播擇伐修后峙霏腑ルデラ噴火」は、今後100年に約1%の確率で発生する。こうした
災害のリスク評価には、「危険度」(想定死亡者数×年間発生確率)が参考になる。平均すると毎年どれくらいの犠牲者が出るかを示すものである。
13.古代より日本人は、頻発する災霧に対して自然と対峙するのではなく、災害を受け入れて諦める生き方を選んできた。災害のことは早く忘れて、明日の生活を立て直すこと〔復興)に重きを置いてきた。中世には、「はかなきもの」に美を感じる無常観を身に付けた。なかなか災害に備えることは難しくなる。
14.過去とは比べものにならないほど人口が都市に集中する現代の日本では、これまで通りの対応で難儀な状況を乗り越えることができないのは明瞭だろう。災害大国の民の安心・安全を守るための策として期待したいのが、「災害省」の設置である。災害後の対策に加えて、豊かな自然からの恩恵と引き換えに当然受けるべき試練の原因を科学的に解明するための観測や研究.、低頻度の大規模災害にも対処できるような長期的視点での減災対策、さらには災害大国にふさわしい倫理観の模索と教育など、取り組むべき課題は山積している。
15.既存の省庁や内閣府では実行困難な、国家規模かつ長期の施策を一元的に実行する組織がこの国には不可欠である。


yuji5327 at 06:46 

2018年09月25日

0.3个魏鴫鵑詒細なマイクロプラスチックを採集し、軽量する手法は未だ確立していない。私たちは、浮遊マイクロプラスチックの総量を、正確に定量する方法を持っていない。

「磯辺篤彦著者:浮遊マイクロプラスチックによる海洋汚染の現状と研究の最前線、學士會会報No.932(2018-V)」は参考になる。概要の続きを自分なりに纏めると以下のようになる。
1.わが国周辺海域では、2014年から現在まで東京海洋大学の練習船2隻が、海面下1m程度の表層に浮遊するマイクロプラスチックの現存量調査を実施している。この調査は、2017年から、北海道大学、長崎大学、そして鹿児島大学も参加して5隻体制に拡充された。世界でも、これだけの規模で組織だった観測を継続している例はなく、わが国は海洋プラスチック汚染研究で疑いなく先進的である。環境省環境研究総合推進費の助成(研究代表は筆者)を受けて、著者たちの研究グループは、南極海に浮遊するマイクロプラスチックを世界で初めて報告した。
2.これらの調査結果によれば、日本近海の東アジア海域は、浮遊マイクロプラスチックのホット・スポットである。海面近くの海水1m^3当たりに浮遊するマイクロプラスチックの個数(以降、浮遊密度)は平均で3.7個を数え、この値は他海域と比べて一桁高い。海表面1平方凖たりの浮遊個数に換算しても、世界の海洋における平均値の27倍である。南極海における浮遊密度は、東アジア海域に比べて2桁は低かった。それでも、生活圏から最も遠い南極海で浮遊が確認された事実は、プラスチック片が浮遊しない海など、すでに世界には存在しないことを示峻する。
3.実際に、太平洋や大西洋、あるいはインド洋の中央であろうと、浮遊するマイクロプラスチックが発見されている。なお、材質のほとんどは、海水よりも比重の小さなポリエチレンやポリプロピレンであった。
4.自然に分解しづらいプラスチックであれば、投棄プラスチックの海洋流出が続く限り、地球に蓄積するマイクロプラスチックが今後も増え続けることは疑いない。しかし、私たちは、マイクロプラスチックが地球の何処を循環し、何処に滞留するのか、未だ明快に答えることができない。
5.ほとんどの研究者は、船で水平方向に網を曳いて、海面近くを浮遊するマイクロプラスチックを採取している。網の目合いは、動物プランクトン観測に準拠して0.3伉度であることが多いため、目合いを下回る大きさの微細片は網をくぐり抜けてしまう。破砕を繰り返すたびに等比級数的に数を増やすマイクロプラスチックは、実のところ、私たちの観測量をはるかに超えた数で浮遊している可能性がある。
6.0.3个魏鴫鵑詒細なマイクロプラスチックを採集し、軽量する手法は未だ確立していない。私たちは、浮遊マイクロプラスチックの総量を、正確に定量する方法を持っていない。自然には分解しづらいプラスチックであるが、一方、浮遊マイクロプラスチックが海面近くから消えてしまう事実も、最近になって多くの研究が指摘している。
7.海洋を漂ううち、生物が表面に付着することで重くなったマイクロプラスチックは、次第に海底に向かって沈降を始めるらしい。あるいは、海洋生物が摂食したのち、一部は糞や死骸に混じって沈降する。高緯度では海氷への取り込みがある。砂浜海岸での吸収も無視できない。これら海而近くからの移行について、優先的な経路の特定や、移行速度の定量化などは、今後に残された研究課題である。
8.浮遊密度の将来予測には、微細片化や移行過程を包括する海洋プラスチック循環の解明が必須である。新規な海洋汚染物質のプラスチックについては未解明で、本年度より研究プロジェクトが始まった。



yuji5327 at 06:45 

2018年09月24日

投棄プラスチック発生量の国別ランキングを見れば、中国の年間900万トン弱は別格としても、東南アジア5力国が上位10位以内に入る。

「磯辺篤彦著者:浮遊マイクロプラスチックによる海洋汚染の現状と研究の最前線、學士會会報No.932(2018-V)」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.流木など天然山来のものを除く海岸漂着ごみのうち、個数比で全体の7割程度をプラスチックが占める。ペットボトルのような水に浮く形状でなくても、ポリエチレンやポリプロピレンは海水よりも軽く、また総じてプラスチックは自然に分解しづらい。海面近くを漂いつつ、風や海流で遠くに運ばれるため、漂流・漂着ごみとなる条件をよく満たす。
2.リユースやリサイクルの経路に乗らない投棄プラスチックのうち、15〜40%が海洋に流出して漂流・漂着ごみになる。投棄プラスチック発生量の国別ランキングを見れば、中国の年間900万トン弱は別格としても、東南アジア5力国が上位10位以内に入る。中国と東南アジア各国を合算した年間の発生重量は1772万トン程度であって、これは全世界の合計である約3200万トンの55%を占める。わが国にとって海流の上流部から、全世界の半数強に及ぶ投棄プラスチックが流れ出す。
3.わが国で年間に回収されるプラスチック廃棄物のうち、15%程度は輸出へ回されることにも留意したい。すなわち、海外での投棄プラスチックには、日本での消費を経て輸出されたものが含まれる。何よりも、わが国は他のアジア諸国に先駆けて経済発展を達成し、経済規模に応じたプラスチックの消費を続けてきた。ほとんど自然で分解しないプラスチックであれば、いま地球を循環する海洋プラスチックごみに対し、すでに相応の寄与をしているはずである。加害・被害の視座を超えて、「海洋プラスチック汚染」は人類共通の問題と認識すべきである。
4.海岸に漂着したプラスチックごみは紫外線や寒暖差によって劣化していく。これに海岸砂との摩擦など物理的な刺激が加わることで、次第に破砕が進行する。特に大きさ(最大長さ)が5个魏鴫鵑辰織廛薀好船奪微細片を、マイクロプラスチックと呼んでいる。同じ期間を陸に置いたものと比べて、海中では劣化の進行が遅いとの報告がある。そもそも海中であれば、水温は気温ほど変動しないし、物理的な刺激は海岸に比べて弱い。これらを勘案すれば、マイクロプラスチックは、漂流中の海洋ではなく、主として漂着後の海岸で生成される。
5.海岸に漂着したプラスチックごみは、波にさらわれて海に再漂流し、いずれまた海岸に漂着する。漂着と再漂流を繰り返すうち、プラスチックの劣化や破砕が進行して、細かなマイクロプラスチックへと変化していく。破砕に要する時間や条件、あるいは微細片化の限界など、マイクロプラスチックの生成過程についての研究は、ほとんど進んでいないのが現状である。
6.自然に生成されるマイクロプラスチックに加えて、例えば洗顔剤などにスクラブとして人為的に混入されるマイクロプラスチック(マイクロビーズ)もある。マイクロビーズは、下水処理をくぐり抜けて海洋に漏出し、浮遊マイクロプラスチックの一部となっている。
7.プラスチックそのものは無害である。また、海岸に漂着したところで、マイクロプラスチックは大型のプラスチックごみと違って、景観を損ねるような大きさではない。マイクロプラスチックの問題は、1mmのプラスチック片であれば、この大きさは動物プランクトンと同程度であって、これを餌とする小魚などが誤食してしまうこと。マイクロプラスチックは海洋生態系に容易に紛れ込む。
8.実際に、クジラから魚類や動物プランクトンに至る多種多様な生物の体内から、マイクロプラスチックが検出されている。海洋生態系へのマイクロプラスチックの混入は、すでに相当程度に進行している。この際、プラスチックへの添加物や、あるいは漂流中に海水から表面に吸着した残留性有機汚染物質が、マイクロプラスチックを介して生態系に移行する可能性が指摘されている。特にプラスチックは表面への吸着性が高いため、生態系への汚染物質の移行の経路に繋がる。
9.室内実験で海棲生物に微細なプラスチックビーズを摂食させた結果、摂食障害や生殖障害が発現した。たとえ汚染物質が含有されていなくとも、毒ではないが糧でもないプラスチックを大量に摂食した生物は、何らかの障害を起こすのかもしれない。ただし実験室での結果を除けば、いまのところ、マイクロプラスチック由来のダメージが、海洋生物に見つかったとの報告はない。一つには、まだ実海域での浮遊量がそれほど多くないことによる。
10.ありえないほど大量のプラスチックビーズを与えてしまえば、そのような実験など現実に敷衛しづらい。環境科学として価値を見出すことは難しい。海洋プラスチック汚染の未来を見通すためには、現在の実海域における浮遊量を正しく監視しつつ、将来の増加量を確からしく予測することが重要である。


yuji5327 at 06:34 

2018年09月06日

「廃炉」という言葉は印象が良くない。グリーン技術として環境学科の科目にする。「グリーン」「環境」で表現すれば、成長産業である。廃炉はニーズがある。人材を確保して欲しい。

2018/8/31付けの 大前研一さんの「 ニュースの視点 」(発行部数 167,103部)は「原子力産業/福島第一原発〜原子力事業は日本全体で1つの事業体で担うべき」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日経新聞は23日、「原発 膨らむ費用、再編迫る」と題する記事を掲載した。東京電力と中部電力、日立製作所、東芝が原子力事業で提携協議に入ったと紹介。原発事業は世界的にコストが膨らむ傾向にあり、4社とも「1社では事業を担えない」という共通の焦りがあり、今回の提携をきっかけに国内の原発はもう一つの連合との2陣営時代を迎える可能性もあるとしている。
2.一昔前は、BWR(沸騰水型軽水炉)とPWR(加圧水型軽水炉)の2つの陣営に別れていたが、今ではそれほど明確に分かれてはいない。BWR陣営には、日立、東芝、東京電力、中部電力、東北電力、中国電力、北陸電力。そしてPWR陣営には、三菱重工、関西電力、九州電力、四国電力、北海道電力。これがかつての2陣営の構図だった。
3.PWRを世界で初めて商用化したのはウエスチングハウスで、かつて日本国内では三菱重工が提携し、PWR陣営の一翼を担っていた。しかし、東芝がウエスチングハウスを傘下におさめたことで、東芝はBWRもPWRもどちらも対応できるようになっている。三菱重工は仏アレバと提携した。
4.全体として見ればBWR陣営、PWR陣営という区分けに敏感ではなくなっている。また「1社では無理なので4社で」原子力事業を担っていくとのことだが、4社でも不十分である。
5.東日本大震災が発生した3月11日の直後、大前氏は次のように提案していた。すなわち、9電力会社の原子力部分を全て切り離し、そこに日立、東芝、三菱重工を加えて、「日本原子力機構」という組織を作るべき、と。このように提案した理由は、とても1社だけでは無理だし、日本全体で1つにならなければ対応できないからである。
6.東京電力は相当大きな企業だが、それでも福島の原発だけで持て余す状態になっている。原子力損害賠償・廃炉等支援機構が資金を注入しなければ、存在できない状況である。中部電力は、浜岡原発を当時の菅直人首相に閉鎖させられて困り果てている。フランスでも実質的にアレバ1社に原子力事業が集約されているように、日本も「とりあえず4社で」などと言わず、全体として1つに集約されなければ原子力の体制を立て直すことは難しい。
7.福島第一原発事故もあって、日本国内で新しい原子炉を作るのはほぼ不可能な状況にである。これから先は海外に出ていくしかない。その意味でも、日本全体でまとまらないと企業体力の面でも厳しいことは明らかである。
8.日刊工業新聞の情報サイトは21日、「東京電力と大学の思惑一致せず…足りない廃炉人材」と題する記事を掲載した。福島第一原発の廃炉作業を支える人材育成について、大学が廃炉技術の研究者を育てている一方、実際に現場で求められるのは日々発生するトラブルに対応しながら計画管理ができるプロジェクトマネージャーであると紹介している。こうした人材を育てるには、自身の専門以外の基礎を働きながら学べる仕組みや大学と現場をつなぐ場が必要としている。
9.大前氏がMITで原子力工学を学んだときには、同級生が130人もいたが、スリーマイル島原発事故が起こって状況が一変した。97年頃私がMITに訪れたときには、原子力工学を学ぶ生徒は1学年で15人くらいに激減していた。しかも、その15人の中に米国人は1人もいなかった。ほとんどは奨学金をもらってアフリカから来ていた留学生だった。
10.大前氏が学んでいた時代には、原子力工学には夢があった。マンハッタン計画の後は、原子力の平和利用だと誰もが思っていたし、MITでも非常に有名な先生が教鞭を執っていたが、スリーマイル島原発事故の後、米国人の中に原子力を学ぶという発想はなくなった。
11.福島第一原発事故で、同じことが日本でも起こってしまった。当時の米国でもそうだったが、今、日本で原子力を学んでいると言ったら「将来性がない」と思われる。だから誰も学ぶ人がいなくなる。
12.この問題は廃炉人材がいなくなることになるので、極めて重要な問題である。廃炉のために外国人を雇用して危険な環境の中で仕事をさせるのは、国際的な批判も受けるし、難しい。とは言え、廃炉は絶対にやらなければいけない。「廃炉」という言葉も、その印象が良くない。グリーン技術の1つとして環境学科の科目にするなど工夫するのも1つの策である。「グリーン」「環境」という言葉で表現すれば、興味関心を持ってくれる生徒も増える可能性がある。MITでもそのようにしている。考え方次第では、これは成長産業である。なぜなら、廃炉は「絶対にやらなくてはいけないこと」だから、完全なニーズがある。「廃炉」という見せ方ではなく、成長が約束された環境産業として位置づけて人材を確保して欲しい。


yuji5327 at 06:55 

2018年08月15日

使用済み核燃料の処理問題は、まず、もんじゅに代わる有害度低減技術開発、次に、原発敷地内に空冷式冷却装置を設置しオンサイト中聞貯蔵、リアルな原発のたたみ方を準備すること。


「橘川武郎(東京理科大学教授)著:福島後の未来をつくる、有害度の低減技術開発をリアルな原発のたたみ方、エコノミスト、2018.8.7.」は参考になる。
1. 核兵器非保有国である日本がプルトニウムを生む使用済み核燃料の再処理を行うことを可能にしているのは、日米原子力協定による米国政府のお墨付きがあるからである。その根拠になっていたのは、日本は核燃料サイクル政策を推進し、プルトニウムを平和的に管理する仕組みを有しているという判断だったが、2016年12月に高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃止が決定されたため、核燃料サイクル政策はその「心臓部」を失い、事実上立ち行かなくなった。核燃料サイクルを支える主要な柱と想足されていたのは、高速増殖炉燃料サイクルの方であった。
2.日本政府は、もんじゅ廃止後も、既存原発の軽水炉でウラン燃料とプルトニウム燃料を混ぜて利用するプルサーマルを実施すれば核燃料サイクルの維持は可能だとしているが、プルサーマルだけでは日本が現.在国内外に保有する約47トンのプルトニウムはわずかずつしか減らない。しかも、そのプルサーマル自体が遅々として進まず、現在プルサーマル発電を行っている原発は3基のみ、電気事業連合会が目標としてきた16〜18基には遠く及ばない状況である。
3.国際社会は、日本が今後どのようなプルトニウム削減方針を打ち出すか.注視している。今年7月に日米原子力協定は自動延長されたが、同時に、日米どちらかが6か月前に通告すれば、協定を破棄できる局面にも突入した。日本が打ち出すプルトニウム削減方針が国際社会の納得を得られない場台、トランプ米政権が北朝鮮政策との整合性を取るため、日米原子力協定を破棄して、日本の使用済み核燃料再処理に対するお墨付きを取り下げることもありうる。日本の使用済み核燃料処理政策は、きわめて困難な岐路に立たされている。
4.注目したいのは、16年に廃止が決定される以前から、もんじゅが事実上、高速増殖炉としての役割を終えていたという事実である。14年に策定された第4次エネルギー基本計画〔今年7月の改定まで効力があった)は、使用済み核燃料の減容化について「放射性廃棄物を適切に処理・処分し、その減容化・有害度低減のための技術開発を推進する。高速炉や、加速器を用いた核種変換など、放射性廃棄物中に長期に残留する放射線量を少なくし、処理・処分の安全性を高める技術などの開発を国際的なネットワークを活用しつつ推進する」と述べていた。
5.もんじゅに関しても、「廃棄物の減容・有害度の低減や核不拡散関連技術等の向上のための国際的な研究拠点と位置付け、これまでの取り組みの反省や検証を踏まえ、あらゆる面において徹底的な改革を行う」としていた。
6.第4次エネルギー基本計画では、もんじゅの高速炉技術を、従来のように怯燃料の増殖のためでなく、使用済み核燃料の減容化・有害度低減に転用する方針が、すでに打ち出されていたのである。
7.日本政府が政治的判断で、減容化・有害度低減のために転用するはずだったもんじゅの廃止を決定したのは、その2年後だ。つまり、日本の核燃料サイクル政策は、もんじゅ廃止で行き詰まったわけではなく、それ以前からすでに破綻をきたしていたことになる。もんじゅ廃止は、厳密には、核燃料サイクル政策に対してではなく、使用済み核燃料の減容化・有害度低減の取り組みに対して痛手を与えたと言うべきである。
8.「バックエンド対策」と呼ばれる使用済み核燃料の処理対策は、原発への賛否にかかわらず社会全体が解決を迫られている重.大な問題である。それは決して日本だけでなく、人類全体にかかわる問題でもある。
9.使用済み核燃料を再利用するリサイクル方式を採るにしろ、1回の使用で廃棄するワンススルー〔直接処分)方式を採るにせよ、最終処分場の立地は避けて通ることのできない課題であり、実現は、きわめて難しい。
10.最終処分場では使用済み核燃料を地下深く「地層処分」することになるが、その埋蔵情報をきわめて長い期問にわたって正確に伝達することは至難の業である。リサイクル方式を採れば危険な期間は短縮されるかもしれないが、それでも「万年」の単位、つまり、伝達期間は何百ー何千世代にも及ぶことになる。原発推進派の中には「地層は安定しているから大丈夫」と主張する向きもあるが、それでは地上はどうなのだろうか。
11.プルトニウムの半減期は2万4000年だが、2万年前には北海道はアジア大陸と陸続き、本州から種子島まで陸続きで、日本列島の姿は今とはまったく異なっていたという。
12.使用済み核燃料の危険な期間が万年単位のままでは、いくら政府が前面に出ても、最終処分地が決まるはずはない。最終処分地の決定には危険な期問を数百年程度に短縮する有害度低減技術の開発が必要不可欠である。有害度低減技術の開発については、その困難性のゆえに.否定的な見解をもつ識者も多いが、どんなに高いハードルであってもそれをクリアしない限り、あるいは少なくともそれにチャレンジしない限り、人類の未来は開けない。
13.有害度低減技術の開発には長い時間がかかる。その間、原発の敷地内に燃料プールとは別の追加的エネルギーを必要としない空冷式冷却装置を設置する、使用済み核燃料の「オンサイト中間貯蔵」を行うことも求められる。さらにいえば、きわめて困難とされる使用済み核燃料の有害度軽減の技術革新が成果を上げず、バックエンド問題が解決しないことも想定しなければならない。
14.それに備えて、「リアルでポジテイブな原発のたたみ方」という選択肢も準備すべきだ。柱となるのは、_侘魯轡侫(送変電設備を活用した原子力から火力発電への転換〕、廃炉ビジネス(廃炉作業などによる雇用の確保)、オンサイト中閏貯蔵への保管料支払い(使い終わった電気が生み出した使用済み核燃料を預かってもらうことに対し、消費者が電気料金等を通じて支払う保管料}からなる、原発立地地域向けの「出口戦略」だ。この戦略が確立すれば、現在の立地市町村も、「原発なきまちづくり」が可能になるだろう。
15.使用済み核燃料の処理問題にどう向きあうべきかは、まず、もんじゅに代わる有害度低減技術開発の具体的な方針を確立すること、次に、原発敷地内に空冷式冷却装置を設置し「オンサイト中聞貯蔵」を行うこと、そして「リアルでポジティブな原発のたたみ方」という選択肢も準備することが重要だと思われる。



yuji5327 at 06:48 

2018年07月18日

漂流するマイクロプラスチックには、海に残留する有害物質(PCB)などが、表面に吸着し、海の生物体内に摂取された化学物質が、食物連鎖を通じて人の健康に悪影響を及ぼす。


「足達英一郎〔日本総合研究所理畢)著:使い捨てプラスチック規制、象徴的なストロー流週禁止、EUの周到な経済戦略も背景、エコノミスト、2018.7.17 〕は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.ブラスチックリサイクルの増加にょり、欧州の化石燃料の輸入依存が低減し、CO2排出が削減され、パリ協定(20年以降の温室効果ガス排出削減などの新たな国際枠組み)に整合する効果もアピールしているが、あくまで控えめな印象を受ける。
2.最も目を引くのは「欧州は、分別やリサイクル関連機器及び技術のリーダーシップを取る」という意志を表明している点である。使用済みプラスチックを循環させるという国際的需要の高まりとともに、関連する輸出も増大すると見ている。規制が新たな産業を作り出すという伝統的な欧州流の経済政策、産業政策が、今回も踏襲されている。
3.使い捨てプラスチック規制指令案と同時に公表された影響評価報告書には、興味深い記述がある。そもそも世界のプラスチック製品生産のうち、欧州での生産は2割弱にとどまる。特に流通全面禁止の対象になる使い捨て食器類や綿棒の大部分は、中国、インド、台湾などアジアと米国から欧州に輸入されている。規制が実施された場合の売り上げ損失は年20億〜50億ユーロと見込まれるが、大部分はEU外での売り上げ損失だと分析している。
4.EUにとって影響の少ない品目で象徴的に流通全面禁止を打ち出したに過ぎない。規制によって代替素材の開発を促進させ、その優位性を武器に、世界的な普及を目指す経済的な戦略である。
5.EUの規制と軌を一にして、世間をにぎわしているのが、「海洋プラスチック汚染」という新たな地球規模の環境汚染である。30年以上前から、海洋ごみの約7割を占めるプラスチックごみが、海の生物によって誤飲、誤食される問題は指摘されてきた。今、改めてこの問題に焦点が当てられているのは、大きさが5mm以下のマイクロプラスチックが、広範に海の生物の体内に摂取されている実態が明らかになってきた。
6.科学記事サイト「サイエンス・デイリー」が「マイクロプラスチックは、これまで認識されなかった汚染の脅威を提起する」という記事を掲載したのが07年11月。08年には、米ワシントン州立大学タコマ校で海洋におけるマイクロプラスチック破片をテーマに、初の国際研究ワークショップが開催された。それからほぼ10年の間に、マイクロブラスチックによる環境汚染は世界中の関心を集めるようになった。
7.プラスチックに使われる添加剤には、有毒性が指摘されているものも少なくない。これらは、マイクロプラスチックになっても残留し、さらに、漂流するマイクロプラスチックには、海に残留する有害物質、ポリ塩化ビフェニール(PCB)などが、容易に表面に吸着する。海の生物の体内に摂取されたマイクロプラスチックに起因する化学物質が、食物連鎖を通じて人の健康に悪影響を及ぼす。


yuji5327 at 06:38 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
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池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
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のテーマについて、
・技術コンサルタント
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・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
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お気軽に下記にメールをください。
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
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