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2019年12月13日

ヒューマニズムのための戦争という新しい戦争理論が主張された。宣戦布告なしの空爆は、国際法をまったく無視している。


「半藤一利、池上彰著:令和を生きる、幻冬舎、2019.5.30」は面白い。「第6章:戦争がない時代ではなかった」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.平成の時代、世界では、たいへんなことが起きていた。日本の国の元号が変わっても世界には関係のない話である。世界は西暦で動いている。ちょうど平成がはじまった頃に東西冷戦が終わった。平成の30年間というのは、東西冷戦が終わってからの30年ということになる。東西冷戦時代の世界は社会主義陣営と資本主義陣営の2つに分かれていた。それぞれに敵対していたが、それでも大規模な戦争、つまり第三次世界大戦を起こさないことは、ともに重要な課題だった。
2.ソ連とアメリカの、自分の陣営に勝手な真似はさせなかった。両陣営の接点である朝鮮半島やベトナムにおいては局地的な戦争が起きたが、それ以外の場所では抑えつけていた。核抑止力もあるなかで、ある種平穏な時代でもあった。
3.東西冷戦が終わってソ連がなくなり、イラクのフセイン大統領は、クウェートを自分のものにしてしまおうと攻め込み、て湾岸戦争が始まった。ユーゴスラビアのカリスマ指導者チトーは、資本主義諸国と対立するいっぽう、ソ連のスターリンの言うことは聞かず、ソ連に従わないという独自路線をとっていたので、ソ連から攻撃されるかもしれないという危機感を、ユーゴスラビアは絶えず抱えていた。
4.ソ連から離れようとした東欧のハンガリーやチェコスロバキアは50年代、60年代にソ連軍に攻め込まれていた。そういう危機感のもとでユーゴスラビアは、カリスマ指導者による統一がなされていた。6つの共和国。5つの民族、4つの言語、3つの宗教」などと言われていて、民族も宗教も言語も違う人たちが集まっていたが、きわどくまとまっていた。
5.チトーが死んで、ソ連が崩壊。危機感がなくなった結果、バラバラになっていく。クロアチアやスロベニアが独立し、さらにボスニア・ヘルツェゴビナが独立しようとしたら、ここで独立派のクロアチア系住民と、いまはボシュニャク人と言うイスラム教徒の人たち、さらに独立に反対するセルビア人の住民とこれを支援するセルビア国(ユーゴスラビア連邦維持を主張)が対立して、内戦状態:ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争になら。イスラム教徒と言っても民族的にはクロアチア系だったり、セルビア系だったりする。
6.クロアチアは力トリックで、セルビアは東方正教会のセルビア正教とあって、民族はおなじでも、宗教が違う場合もある。そして、オスマン帝国に支配されていた時代にイスラム教に改宗したセルビアやクロアチア系のひとたちが、ひとつの「民族」としてボシュニャク人と呼ばれるようになった。こうしてソ連崩壊後、複雑に人り組んだ勢力の三つ巴の戦争になっていった。
7.1992年、ユーゴスラビア連邦が壊れていくなかで、宗教的とも民族的とも言える、錯綜した抗争がはじまった。それはたとえば連邦からの独立戦争だったり、主導権争いの内戦であったりした。いずれにしても各地で凄.惨な戦闘、虐殺や無差別攻撃など、散々な殺戮殺教が行われた。その旧ユーゴでNATO軍が空爆をはじめるのが、7年後の1999年。セルビア政府に対してセルビアの南端に位置するコソボ自治州のアルバニア人が分離独立を要求したことがきっかけだった。ユーゴ紛争が起きてからセルビア共和国は「大セルビア」構想を唱えていて、分離独立派に武力攻撃を行っていた。その過程で「民族浄化」と呼ばれた、イスラム系住民に対する大量虐殺が行われた。
8.それをうけてNATOはアルバニア人の人権擁護のために、「人道的介人」として空爆に踏み切った。「ヒューマニズムのための戦争」という新しい戦争理論が主張されたのを見て、びっくりした。宣戦布告もせずに、いきなりの空爆は、国際法をまったく無視している。これが通用するなら、なんでも「ヒューマニズムのためにやっつけろ」となりかねない。ただ、NATOは事前にセルビアに対して警告している。米英仏とロシアなどが仲介して、調停をしようとした。9.NATO軍の攻撃の可能性をチラつかせて交渉したが不調に終わっている。それを経てNATO軍の攻撃となった。NATO軍は首都のベオグラードを空爆した。独立国であるセルビア共和国への空爆だから、これは戦争だった。国連安保理の承認も必要である。NATO軍司令官は「戦争ではない」と言っていた。このときセルビア側が一.方的に悪者にされたが、かならずしもそうではなかったという報道もその後出てきた。
10.「人道的介人」にもとつく空爆は、コソボ紛争の前、ボスニア内戦でも行われていた。ボスニア内戦では、国連から派遣された責任者、明石康さんが懸命にセルビアに停戦を働きかけたがダメだった。NATOは明石さんのやり方は手ぬるいと言って、明石さんを追い出した。NATOは「人道的介入をする」と宣言してセルビア勢力を攻撃した。国際社会ではその是非について議論が起きた。「武力介入による紛争解決」の結果、ボシュニャク人とクロアチア人の虐殺を防ぐことができたのだとNATOはその正当性を主張した。


yuji5327 at 07:20 

2019年12月12日

クウェートに感謝されなくて当たり前である。あの金はすべてアメリカ軍に行っただけであるが、日本政府は国際社会から嫌われたと急に慌てた。


「半藤一利、池上彰著:令和を生きる、幻冬舎、2019.5.30」は面白い。「第6章:戦争がない時代ではなかった」の印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して纏めると以下の
1.いちばん最初に国際社会で問題になったのは、ベトナムのカンボジア侵攻である。ベトナム戦争が終わって、ベトナム共産党が南北統一政府を樹立したが、おなじように隣国のカンボジアでも共産党政権が誕生した。ポル・ポト政権である。このベトナムとカンボジアの間で国境紛争が起き、軍事的に優位なベトナムは1978年にカンボジアに攻め入ったが、このときまでポル・ポト政権によって自国民の虐殺が続いていた。少なくとも100万人、300万人という説もある。これが、ベトナムがカンボジアを攻撃することによって止まった。あきらかにベトナムによるカンボジア侵攻、国連で非難されて経済制裁を受けるべき侵略行為だが、侵攻の結果、虐殺が止まった。これをどう解釈したらいいか。当時、国際社会が悩んだ。
2.ベトナムのカンボジア侵攻も怪しいものだったけれど、NATO空爆ほどではなかった。あのときベトナムには「ポル・ポト政権がわが国を攻撃してくるので、反撃のためにやった」という言い訳があった。だから「人道的介人」を真正面から掲げた戦争行為と言えるのは、やっぱりコソボ紛争での、NATOによるセルビア勢力への空爆が最初である。人道という理由で空爆ができるなんていうのは、世界の国際法にはない。
3.しかし、ユーゴでのNATO軍の「人道的介人」によってボスニア・ヘルツェゴビナの殺教が止まったし、コソボの紛争もおさまったのも事実である。だから肯定するむきもある。でもそれが許されるならば、21世紀にはどこでも戦争が起こせることになったので、認められない。
4.アメリカが主導した「有志連合」によるイラク戦争(2003年.)である。あれは国連の決議を経ていない。安保理常任理事国のフランス・ロシア・中国が強硬に反対し、ドイツも反対を表明し、参加しなかった。ところがアメリカの開戦がどういう埋屈かと言ったら「テロを防御するために先制攻撃する」。これも過去の戦争論にはない、とんでもない理屈だった。
5.そういうおかしな戦争が次から次へと起きたのが20世紀末から21世紀の平成の時代である。平成のはじめ、イラクのクウェート侵攻で湾岸危機が起きたときに日本は、国内問題でテンヤワンヤになり、あわててPKO(国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律)法案をとおしたのが平成四年(1992)の6月だった。。これによくわからない理由がついていた。
6.世界が変わっていくなか、日本はアメリカから圧力を受けてそれに従った。自衛隊を多国籍軍に参加さることをアメリカから要求され、当時の海部内閣は、憲法の縛りがあるから自衛隊はそんなことできない、と断った。湾岸戦争でクウェートが解放されたあと、クウェートは世界各地の新聞に「わが国を助けてくれてありがとう」と広告を出したが、そこに日本は入っていなかった。日本は130億ドルもの支援をしたのに感謝されなかった。というのが当時の政権のトラウマになった。金を出すだけではなく汗を流さなくてはダメだ、ということになって、PKO法をつくろうという流れになった。
7.共産党など野党が大反対をして、牛歩戦術をとって徹夜国会になり、大騒ぎしたけれ、徹底した議論なしに決まってしまった。ついに自衛隊を海外派兵するのか、という大問題だった。野党が「派兵」と言うと与党は、自衛隊は軍隊じゃないから派兵じゃなく、派遣だと言った。PKO協力法案には、日本独自で国際平和にどう貢献するかという発想はなかった。
8.クウェートに感謝されなくて当たり前である。あの金はすべてアメリカ軍に行っただけであるが、日本政府は国際社会から嫌われたと急に慌てた。国際社会に評価されるためには多国籍軍に参加しなきゃいけないと妙な理屈だった。
9.国連は、カンボジアの内戦終結にともなって実施されることになった選挙や停戦監視、治安維持などに日本の支援が欲しかった。当時国連の事務次長だった明石康さんを責任者に据えて、日本としては明石さんを全面的に支援しなければいけなくなって、自衛隊を派遣することになり、PKO法案が出てきた。自衛隊をカンボジアに派遣したのはPKO法ができた直後である。それ以前の海外派遣は、湾岸戦争のときに難民輸送という名目で航空自衛隊を出している。そのあとペルシャ湾機雷除去のために海上自衛隊の艦隊が派遣された。いずれも自衛隊法にもとつく指令で、日本の海上輸送の安全のためとされていた。PKO法にもとつく自衛隊の海外派遣は、カンボジア派遣が最初で、その翌年にはアフリカのモザンビークに派遣。さらにその翌年には中米エルサルバドル、ルワンダ難民救援と、続けて自衛隊派遣を行なった。


yuji5327 at 06:46 

2019年12月11日

子どもの頃習った西洋史では、十字軍は「正義の戦」というのは間違いで、イスラム側から言わせれば凶暴なる侵略者である。


「半藤一利、池上彰著:令和を生きる、幻冬舎、2019.5.30」は面白い。「第6章:戦争がない時代ではなかった」の印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して纏めると以下の
1.日本は、バスに乗り遅れるな、みたいな空気が支配的になり、和平のために世界が協力するとなると、日本も蚊帳の外でいるわけにはいかないと焦る。国内のその空気と、政府に対するアメリカからの圧力があった。ちなみにアメリカはPKOには協力していない。アメリカは一貫してそうである。平和維持活動は、国連に言われなくても世界の警察官としてずっとやってきた、という。
2.昭和の日本も「バスに乗り遅れるな」を叫び、負け戦に突き進んだ。なぜ日本人はその言葉にいっせいに乗りやすいのか。太洋戦争開戦の前年、昭和15年(1940)、ヒトラー率いるドイツ軍が電撃作戦をはじめて、6月にパリに無血入城を果たした。快進撃を見て、日本では陸軍が息巻き、イギリスが白旗を上.げる前に、ドイツ、イタリアと3国同盟を結ぶべきだと主張した。陸軍大臣をわざわざ辞任させて海軍出身の米内光政内閣を総辞職に追い込み、陸軍が担いだ近衛文麿内閣を7月に誕生させ、9月にはもう3国同盟を結んでいる。「バスに乗り遅れるな」という言葉がこのとき盛んに語られたが、その意味は、早晩ドイツが勝つから、早く参戦しないとドイツの分け前にあずかれない、ということだった。東南アジアのイギリス、オランダの植民地は、戦勝国ドイツの手がのびる前に押さえておきたかった。インドネシアとフランス領インドシナといった地域の資源は、日本にとって喉から手が出るほど欲しいものだった。22.昭和16.年にもまた、バスに乗り遅れるなと叫ばれた。ドイツ軍の対ソ連進撃がはじまったのが昭和16年6月22日に、独ソ不可侵条約を無視したドイツ軍の奇襲の前に、ソ連赤軍は敗走させられた。このときイギリスとアメリカはただちにソ連援助の声明を出している。つまりソ連が英米の陣営に入った。
3.開戦後のドイツは、盛んに日本の決起を督促してきた。大島浩駐独大使をつうじて、対ソ作戦に協力を要請した。作戦はドイツ勝利で終了する可能性が高いとも言ってきた。オットー駐日ドイツ大使も、いまこそ日本にとって唯一無二のチャンス。対ソ軍事行動を起こすことで、中国との戦争、支那事変を解決できると、リッベントロップ外相の申し入れを伝えてきた。それらの情報は、日本の好戦派を武者震いさせ、ソ連が白旗を上げる前にこそ立つべき、バスに乗り遅れるな、とかれらの勇み足を早めさせた。そしてこの国は情勢分析と政治判断を誤り、全国民を巻き込んだ凄惨な負け戦さに突き進むことになった。国民はほとんど思考停止の状態で、軍部や政府の言うがままになっていた。
4.世界は平成になってからほんとうに音をたてて変わっていった。欧州連合・EUが成立したのが平成5年(1993)で、日本は国際的にはまったく無関心でありすぎた。そしてまた、バスに乗り遅れるなと、その場しのぎの法律を慌ててつくってきた。腰を据えた議論がなかった。
5.ドイツもまた、国際社会からおなじような.圧力を受けた。日本は敗戦後、戦争放棄を国是としたが、ドイツの場合は東西に分割され、徴兵制が維持され国防軍が存続することになった。そのいっぽうで第二次世界大戦の反省から、西ドイツ軍の活動はNATO軍のなかに限られ、NATOの外には出ないという歯止めがあった。
6.それが一変したのがアフガニスタン攻撃で、平成13年(2001・9・11)で、アメリカがイスラム過激派による同時多発テロ攻撃を受けた、その翌月、「対テロ戦争」と名づけられた「防衛戦争」つまり「先制攻撃」を、NATOの集団的自衛権発動という理屈ではじめた。ドイツ軍がNATO軍に入って派遣されるときに、ドイツ国内が大騒ぎになった。ドイツはNATO域内での活動は認めてきたけれど、NATO域外のアフガニスタンに果たして軍隊を派遣していいのか大議論になったが、それをやってしまった。ドイツは軍をアフガニスタンに派遣しつづけ、いまもアフガニスタンではドイツ兵が死んでいる。ドイツ軍がアフガニスタンに派遣されるときドイツ政府は、「戦闘地域には派遣しない」と言っている。戦闘地域には派迅しないという建前だったが、アフガニスタンに行ってみたら全土が戦闘地域だった。
7.アフガニスタンで現地のひとたちのために井戸を掘ったり、灌概で川をつくったりしている医師の中村哲さんは、日本はアフガニスタン人から信頼を寄せられているが、ドイツはダメで、日本人以外は全部ダメである。その日本にたいする信頼も、いつまでつづくかわからない。イスラム過激派をさらに勢いづかせたのはブッシュの「十字軍」発言である。
8.平成12年(2001・9・11)で米国に攻撃を仕掛けたその首謀者オサマ・ビンラディンを生むきっかけは湾岸戦争だった。イスラム教の聖地を2つ抱えるサウジアラビアに、アメリカ軍が駐留した。それに対してオサマ・ビンラディンが反米意識を高めて、アフガニスタン国内で反米テロ組織アルカイダをつくった。そしてアメリカに対する攻撃計画を実行に移していった。ブッシュ大統領はあろうことか、テロとの戦いについて「十字軍の戦いだ」と言った。それを聞いたアルカイダは大喜びで、かつてキリスト教社会が、平和だったイスラム教世界に突然攻め込んだのが十字軍だからである。
9.子どもの頃習った西洋史では、十字軍は「正義の戦」というのは間違いで、イスラム側から言わせれば凶暴なる侵略者である。それまでオサマ・ビンラディンは、自分たちの戦いは「十字軍との戦いだ」と言って正当化していたのが、イスラム社会一般には説得力がなかったが、アメリカ大統領のブッシュがわざわざそう言ってくれた。ここから急激にイスラム過激派は勢いづいた。
10.9・11のあとの米国の変化、世界の激変に気がついて、日本の政府は慌てた。平成12年(2001)9月25日には、小泉首相はワシントンでブッシュ大統領と会って、「米国の報復行動に同盟国の一員として、最大級の支援と協力を惜しまない」と述べて、「国際社会の一員として責任を果たしたい」と言った。ブッシュの「テロとの戦い」を支持すると表明したのもこの会談であった。帰国するやすぐに、テロ特措法成立に動き出した。このとき日本にとって、ほかに選択肢はなかったのかと間われれば、なかったと答えるしかない。アメリカの傘の下にいるあいだは、ない。アメリカの言うとおりにならざるを得なかった。



yuji5327 at 06:54 

2019年12月10日

イスラム過激派と同じで、聖戦で死ねば天国に行けると思っている。ブッシュも十字軍の戦いという聖戦で死ねば天国へ行けると思っていた。


「半藤一利、池上彰著:令和を生きる、幻冬舎、2019.5.30」は面白い。「第6章:戦争がない時代ではなかった」の印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.英政府はイラク派兵の責任を追及されたが、日本政府はどこ吹く風だった。アメリカがアフガニスタンを攻撃しはじめたのが、10月7日。日本でテロ特措法が国会を通過し施行されたのは、10月2日である。これでインド洋に護衛艦などを派遣して、NATO軍への支援活動に向かった。問題はこのあとで、2年後にアメリカ・イギリスはイラクを攻撃した。(2003年3月20日)。大量破壊兵器を隠し持っている、査察を妨害しているという疑いだった。日本もイラク特措法をつくって参加した。
2.PKOというのはそもそも国連の組織だから、国連加盟国であればPKOに協力するの義務、道徳的義務感というのはある。そういう意味ではPKO協力法によって自衛隊を派遣するというのは大義名分が立つが、このとき日本政府は、イラク特措法を新たにつくってイラクのサマワにも自衛隊を派遣した。アメリカ・イギリスが、国連決議がないままイラクを攻撃した。このときのアメリカへの協力は極めて問題が多い。しかも日本は、その後の検証すらきちんとはやっていない。イギリスは、ブレア政権がやったことに対して、膨大な調査報告書をつくった。3.イギリスは、イラクが大量破壊兵器を隠し持っているというのは誤報だという事実を受け入れて、自らの判断の過ちを反省した。日本政府は。どこ吹く風だった。外務省にわずか4ページの概要報告書を公表させただけである。乱暴な言い方をするなら、「だからやむを得なかった」みたいな感じのレポートで非公開で、反省していない。イギリス議会はブレア首相の責任を追及したが、日本の国会で小泉首相の責任を追及したというようなことはない。それどころでなくて、小泉さんは構造改革を掲げて人気者になった。
4.その背景の違いを見ると、イギリスはアフガニスタンで大勢兵士が死んでいる。自衛隊には戦闘による死者はなかった。この差は大きい。このときの逸話として、アメリカとイギリスが中心になってアフガニスタンに攻撃をしたとき、米英ともに多くの死者が出た。そんなさなかにブッシュがブレアに言った。「わが国イギリスでは兵士が、死ぬと首相か遺族にお悔やみの手紙を書くのがつらい」と。ブッシュが「正義の戦いで死んだ兵士を讃える手紙を書くことは、つらいことではない」と言い返した。ブッシュはあれを聖戦だと考えていた。イスラム過激派と同じである。イスラム過激派は聖戦で死ねば天国に行けると思っている。ブッシュも十字軍の戦いという聖戦で死ねば天国へ行けると思っていた。


yuji5327 at 06:48 

2019年12月09日

国土の面積ではアメリカの約4%しかないが、海岸線の総延長では、アメリカの2万kmに対して日本は35000km以上である。


「半藤一利、池上彰著:令和を生きる、幻冬舎、2019.5.30」は面白い。「第6章:戦争がない時代ではなかった」の印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して纏めると以下の
1.令和の日本には、今後、国防をどう考えるのかという課題が残された。「日米安保条約を破棄しますか」という問いがある。この問題を議論するときに、いつも言うことは「この国は守れない国である」ということである。このことを日本人はもう少し知っておいたほうがいい。昨年平成30年(2018)8月15日の終戦記念日に、秋篠宮様の悠仁くんに昭和史の講義をした。2時間半と頼まれて、宮邸に出かけて行った。親王殿下は小学6年生である。その年齢の子にもわかりやすいように戦争へのいきさつを話す準備し、こういう話を最初にした。
2.日本はものすごく海岸線が長い。国土の面積ではアメリカの約4%しかないが、海岸線の総延長では、アメリカの2万kmに対して日本は35000km以上である。列島の真ん中に急峻な山脈があり平野が狭いので人びとは奥には逃げられない。列島の北から南まで、この海岸線の長い国を守るのは大変で、近代日本には、点在する海岸線の街を守るために多くの陸軍の兵隊を配置するという難問があった。海岸線で守ろうと思ったら、非常に多数の陸軍の兵隊さんを並べなくてはならない。そうしたら若い働くひとがいなくなる。
3.勝海舟とか、坂本龍馬の名前をご存じか殿下にと聞いたら、知っていると答えた。勝海舟は、幕末の時点で、日本の国を外国の軍艦から守るためには海軍しかないと確信していた旨をお話しした。明治の指導者たちもこの国をどうやって守るかと、皆が頭を悩し、太平洋側は海軍を強くして海上で守るよりしょうがないと考えた。さらに北からの脅威や日本海側の守りは、朝鮮半島を防衛の最前線と位置づけて外からの侵略を塞ぐことにした。それから150年もの時が流れたが、国土の特徴は変わらない。
4.しかも日本には110の活火山がある。地震と火山噴火は、日本では永遠に続く大問題としてあり、しかも資源がない、生産力も強くない、とお話した。こういう国土なのだということをしっかりと認識する必要がある、という話を延々とした。日本の国は地政学的に守るには非常に難しい国土である、地政学の意味を殿下は「わからない」と言うので、秋篠宮が字を教えていました。
5.質問がありますかと聞いたら「なぜアメリカは広島に原子爆弾を落としたんでしょうか、と言われたので、一応お答えした。秋篠宮に講義したのが一時間半。後半は昭和史の話になった。、要するに、日本の国防は非常に難しいということである。しかもいまはその海岸線に原発がずらりとあるから、「バスに乗り遅れるな」とばかりに、十分な議論も経ずして紛争地に出て行くことは、できるだけ慎重になるべきである。
6.日本にとって朝鮮半島は、国際情勢しだいではユーラシア大陸から突きつけられたナイフにもなる。ここをロシアに押さえられることになっては国の守りが危うい。だから、朝鮮半島をなんとかしなければと日本の近代の指導者は考えたと思われる。日露戦争も、もとを正せば朝鮮半島をめぐっての争いだった、ということを、いまの若い人は意外に知らない。
7.かつて日本は朝鮮を武力で併合してしまったが、いまのような国際協調の時代にそんなことはできるはずがない。日韓や日朝が対立したままでは、東アジアの安定のために、ひいてはこの国のためにもよくない。困ったことに、平成17年(2005)前後から、日本の国には大きな声で嫌韓を唱える者が多くなった。そういう風潮で、国防問題をまともに話すことができない情けない状況になっている。
8.反韓のきっかけのひとつが、ワールドカップの日韓共同開催(平成14年/2002)だったと言うひとがいる。かれらと一緒にやることへの反発が広がったという。自分たちを嫌っているような連中と一緒になってやることはないという感情があった。朝鮮半島を大事にするということ自体が反日だなんだ、という理屈さえまかりとおる。



yuji5327 at 06:43 

2019年12月08日

国民を騙す言い替え。撤退が転進、全滅を玉砕、戦闘を武力衝突、武器輸出は防衛装備移転など


「半藤一利、池上彰著:令和を生きる、幻冬舎、2019.5.30」は面白い。「第6章:戦争がない時代ではなかった」の印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して纏めると以下の
1.産経新聞の影響が大きい。産経新聞は平成26年(2014)から「歴史戦と名づけた特集記事を掲載している。歴史上、韓国と何があったか、その論戦で勝たなければいけないというような大キャンペーンを張っている。そういう新聞記事を若者たちがネットで読んでいるわけか、。社会の意図的な記憶喪失は、やがて全体主義の再来を呼び込むことになる。紙の産経新聞は、いま140万部ぐらいだが、ネットでの影響力はすごい。
2.国防問題は、日米安保は維持せざるを得ない。いま国防予算は5、6兆円である。新型戦闘機を買わされたり、あるいはイージス・アショアを買うので、予算はどんどん増えている。仮に日米安保を破棄して日本が自主防衛するために独自の国防力をもつとなったら、防衛大学校の教授2人のシミュレーションよると、23兆円の金かかる。これは核兵器をもたない場合の予算で、核兵器をもつと言ったらとんでもないことになる。核兵器をもつとなると、核拡散防止条約から外されて、経済封鎖を食らい、日本の国はお手上げである。とにかく地政学的に武力では守れない国である。
3.アメリカの空母がいま横須賀に来ているが、もし日米安保を破棄してアメリカ軍の空母がいなくなったら日本独自の空母をもつことになる。その空母機動部隊の運用費も入れると23兆円の金額になる。空母の維持費も含めての金額である。そんな金がいまの借金大国の日本のにはない。日本は核兵器をもつべきだと言う某有名タレントに、飲み会の席で核兵器をもてない理由を長々と話した。
4.核拡散防止条約から脱退をしなければいけないこと、経済制裁と同時に、ウランを海外から輸入できなくなること、ウランが入ってこなくなると日本の原子力発電所も止まること。仮に核兵器をつくったら、核爆弾はミサイルに搭載することになる。その核ミサイル基地をつくる場所も問題になる。
5.ミサイル基地のありかは衛星ですぐにわかる。アメリカは、テキサスやネバダの砂漠のなかに、巨大な地下トンネルをつくって核ミサイルを常にその中で移動させ、衛星からもわからないようにしている。アメリカはそれが可能な広大な国土をもっており、地政学的にも有利である。核保有国イギリスも日本とおなじような小さな島国だが、イギリスは、原子力潜水艦に核ミサイルを積んで、常に北海のどこかに潜ませておく、というやり方を採っている。
6.日本が核ミサイルを持つならば、ディーゼル型の潜水艦は長期間潜っていられないので、イギリスと同じような原子力潜水艦をつくる必要がある。経済制裁でウランが入って来なかったら原子力潜水艦の原子炉の燃料がなく、原子力潜水艦は抑止力にならない。北朝鮮がアメリカ何もできないのは、原子力潜水艦がないからである。
7.その運用では、常に日本海溝なり日本海に潜ませておくためには1隻ではダメで、最低でも、3隻必要である。原子力潜水艦3隻を運用して、初めて最低限の核抑止力になる。日本はそれができない。核兵器保有論者のタレントさんも押し黙る。借金大国の日本が、それだけの予算を投入できない。いずれにしても、平成のあいだに国防問題については慌てていろんなことをやったが、どういう国をつくろうと考えたのか、さっぱりわからない。
8.日本の国は戦争中に、国民を騙すために言い替えをやった。撤退じゃなくて「転進」。「全滅」を「玉砕」。今、似たようなことをやっている。「戦闘」じゃなくて「武力衝突」、南スーダンでの「武力衝突」は間違いなく「戦闘」である。「共謀罪」を「テロ等準備罪」、公文書の情報公開を阻む法律を「特定秘密保護法」と言い、「武器輸出」は「防衛装備移転」とした。「カジノ法」は「統合型リゾート実施法」(IR法)。カジノは明らかに博打である。「移民」を「外国人材」。「単純労働者」を「特定技能者」、ヘリ搭載の護衛艦を「空母」化しても「多用途運用護衛艦」。それで肝心の安全保障関連法を平和安全法、「積極的平和主義」といった。日本は核兵器はもてない、絶対戦争のできない国であることを理解してほしい。


yuji5327 at 07:24 

2019年12月07日

国語力が危ない

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国家百年の計は国語力の向上
現在の小学校1年生の国語教科書
十分な内容になっていない
国の土台をつくるもの
思考力
思考力の土台になる母語
重要になるのが語彙力・文脈力
武士の心得
葉隠
活字の絶対量が足りない 一年生の教科書
一年生で学ぶ漢字が少ない
六年間積み重ねても、
江戸時代の子供たちの国語力には及ばない
明治時代を過ごした人たちの残した文章
SNS
語彙の絶対量が欠けている


yuji5327 at 07:04 

2019年12月05日

ビジヨンに果敢に投資してGAFAを超えようとする態度は日本企業は学ぶべ。日本の産業界は、今回の失態を笑ってはいけない。


「校條浩著:シリコンバレーの流儀、WeWorkの失敗を笑うな 週刊ダイヤモンド 2019.10.26」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.WeWorkの米ナスダック市場への上場延期が大きな波紋を広げている。WeWorkは、2010年に創業したオフィスレンタル会社である。カリスマ的な創業者の下、巨額の資金調達を繰り返しながら猛烈な勢いでオフィススペースを拡大し、上場への準備を進めていた。上場の想定企業価値は約6・2兆円と超大で、誰もが大型上場を固唾をのんで見守っていた。
2.しかし、上場前に公開された証券登録届出書(S-1)に記載されていた事業戦略があまりにも稚拙で、将来、現状の赤字を解消し、利益を創出できるとは評価されなかった。570億ドルという想定企業価値は一気に200憶ドル以下に激減。同社に投資してきたJPモルガンやゴールドマン・サックスといった名うての投資銀行が大恥をかいてしまった。さらに、共同創業者アダム・ニューマン氏の乱脈経営が明るみに出てCEO解任に至り、今や、上場どころか、追加資金注入が滞れば倒産してもおかしくない状況である。このような失態が起きた理由は同社の大株主であるソフトバンクグループ(SBG)にある。
3.SBGは傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」と合わせて、WeWorkに合計100億ドル超を注入したといわれ、WeWorkの創業者に次ぐ大株主である。SVFは、SBG会長兼社長の孫正義氏がサウジアラビアなどから巨額の資金を集めてつくった、10兆円以上の世界最大のテクノロジー投資ファンドである。資金力を武器に、上場前の成長スタートアップに株価が割高であっても投資を断行して経営権を取得し、SBGコングロマリットを拡大する戦略を進めている。例えば自動車配車サービスの大手ウーバーは、WeWorkと同様に赤字企業だが、SVFはウーバーの企業価値が480億ドルの頃に過半数の株を取得した。金融界では「高値つかみ」と椰楡されたが、ウーバーは上場を果たし、企業価値が800億ドルを超えたことで投資リターンをしっかり得ることができた。WeWorkもこれと同様の戦略だった。
4.実はWeWorkの570億ドルという破格の企業価値は、SBGが設定したものだった。この「高過ぎる評価額」での資本注入が上場や、他の投資家には株式売却などの「エグジット戦略」を難しくし、結果的にWeWorkのような失態を演出してしまうことがある。
5.米国のベンチャーキャピタル(VC)業界ではSVFの評判はすごぶる悪い。WeWorkに投資していたSVF以外の投資家にとっては、SVFの「高過ぎる評価額」によって持ち株が割高になってしまい、他の投資家などへの売却が難しくなり、上場を待つしかなくなる。かといって放っておくこともできない。WeWorkの場合は赤字が続くため、投資や融資で支援し続けなければ大損してしまう。そのため、さらに資本注入を強いられることになる。WeWorkの場合は、JPモルガンが追加出資や融資をさせられる状況になった。これは「ストックホルム症候群」の心理だといえる。
6.ストックホルム症候群とは、誘拐事件や監禁事件などの犯罪被害者が生存戦略として犯人との間に心理的なつながりを築くことをいう。事件に巻き込まれて人質となり死ぬかもしれないと覚悟すると、被害者は犯人の小さな親切に対して感謝の念が生じ、犯人に対して協力的になるという。これは、自己防衛本能からくる精神状態と理解されている。
7.WeWorkの場合、SVFが高値で大型の出資をしてきたことにより、今までの投資家が監禁状態になった。既存株主は自己防衛に「誘拐」した人物(=大株主であるSVF)に協力(=追加資金注入)して、監禁状態から抜け出る(=上場)しかない。これは、他の投資家がまるでSVFの「人質」になったようなものであり、VC業界のエコシステムを乱すものである。
8.一方で、SBGが大きなビジョンを持って、思い切った投資をする姿勢は素晴らしい。そもそもオフィス賃貸ビジネスの一種であるWeWorkの事業モデルをSBGが有望と考えたのは、そこに壮大なビジヨンを見たからである。
9.WeWorkは一般的なオフィス物件を借り上げ、それを上質なコワーキングスペースに改装して、個人単位で貸し出すビジネスモデルである。コワーキングスペースは、入居者が個室ではなく、オープンスペースで仕事をする場所で、イベントや入居者同士.のコミュニティーを付加価値としている貸しオフィスの新しい形態である。起業やイノベーション活動の高まりの中で、その数は世界中で急拡大している。
10.ただ、コワーキングスペースは付加価値があるとはいえ基本的にはまた貸し業であり、利幅は薄く、倍々で利益が伸びる性格のものではない。それでも多額の資金を調達できたのは、共同創業者ニューマン氏のビジョンの魔術である。
11.「われわれは、美しいシェアオフィスを提供するだけでなく、われわれ一人一人が満ち足りた人生を謳歌できるコミュニティーを提供する」と説き、ミレニアル世代のための「物理空間のソーシャルネットワーク」を提供すると常々語っている。
12.現在のソフトウエアビジネスの流れであるSaaS(必要なときだけ使えるソフトウエアのサービス化)をもじって.、Space-as-a-Serviceeだと豪語していた。「不動産」や「賃貸」のような言葉を一切使わず、WeWorkが最先端のテクノロジー企業であるというイメージの獲得に成功した。
13.一方、SBGの孫氏は、GAFAを凌駕するような大型テクノロジー企業のコングロマリットを傘下に形成したいという野望がある。ソフトウエアやインターネットが、事業創造や産業転換を進めていくというビジョンに対して、WeWorkの「物理空間のソーシャルネットワーク化」や"SaaSが琴線に触れたようだ。
14.ビジヨンを掲げながら果敢に投資してGAFAを超えようとする態度からは日本企業は学ぶベきである。日本の産業界は、今回の失態を決して笑ってはいけない。

yuji5327 at 06:49 

2019年12月03日

経産省のクールジャパン機構は179億円、農水省のA-FIVEは92億円の累積損失を計上している。

2019/10/18付けの 大前研一さんの「 ニュースの視点」(発行部数 159,565部)は「人口動態統計/消費増税/ベンチャー投資/デジタル課税〜市場が利益を得られる「新しい枠組み」」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.厚生労働省の統計によると、2019年1〜7月の出生数は前年同期に比べて5.9%減り、51万8590人となったことがわかった。2016年に100万人を下回ってからわずか3年で、90万人を割る公算が大きくなっているもので、第二次ベビーブーマーや団塊ジュニアと呼ばれる世代の女性が45歳以上になったのに対し、20代、30代の女性が減少していることなどが要因と見られている。
2.これは日本にとって深刻な問題である。2025年までに700万人の人口減が予想されていて、これは埼玉県の人口に匹敵する。2005年に死亡数が出生数を上回り、それ以降も死亡数は増加を続け、出生数は減少し続けている。日本の人口減は物理的な現象と言える。
3.婚姻件数も減っていて、出生年齢が上がっている点も心配である。母の年齢別出生数を見ると、かつては25〜29歳の年齢層が70万人を超える出生数でトップだったが、今では30万人弱まで大きく減っている。現在は30〜35歳の年齢層が最も多くなっている。
4.日本は戸籍の問題があり、事実婚を阻害している。日本の人口減は構造的な問題であり、政府が正面から取り組む必要がある。例えば、フランスは結婚しないで子供を生む女性が非常に多い。
5.こうした状況を許容する少子化対策によって、フランスは1994年には1.65まで下がっていた出生率を、2010年には2人を超える水準まで改善させている。日本でも、フランスと同じくらい抜本的な対策を打つ必要がある。
6.日経新聞は8日、「キャッシュレス急拡大」と題する記事を掲載した。1日の消費増税にあわせて政府主導で始まったキャッシュレス決済のポイント還元制度を追い風に、現金を使わない決済が急増している。しかし、還元される時期が各社で異なるなど、様々なキャンペーンが乱立して消費者にわかりにくいといった課題もあり、定着には一段の周知が必要である。
7.わかりやすく周知することは必要だが、それ以前の問題がある。日本のキャッシュレスが6割増加したと言っても、全体のわずか30%弱に過ぎず、まだまだ低いことである。キャッシュレス決済が96%になっている韓国やインドより低い水準である。まずこの認識で、もっとキャッシュレス決済の割合を増加させていくことを考えるべきである。
8.日経新聞は7日、「官民ファンド、遠い累損解消」と題する記事を掲載した。スタートアップ企業などに投資して産業を振興する官民ファンドで、コンテンツ分野や農林水産分野など4機構の累積損失が膨らんでいて、2018年度末までの1年間だけで6割増えて合計367億円になった。
9.事業の実態を知らない役員が、出資先に無理な要求を突きつけているなどの問題も発覚しており、官民ファンドが適度な利益を出していくためには長期的に取り組む人材が欠かせない。経産省のクールジャパン機構は179億円、農水省のA-FIVEは92億円の累積損失を計上している。
10.彼らは予算を確保するのは上手かもしれないが、ビジネスセンスやビジネスの判断能力はないので、こんな累積損失を計上する結果を招くのである。
11.産業革新機構にしても全く同じで、官民ファンドなどと言われるが、実際は「官」の力が強く、「民」の影響力はない。「官」主導になっているため、出資した値よりも安い場合には上場させない、といったおかしなルールも適用されている。最後に助けてくれる味方なのか、手を離して見放す敵なのかわからない、といった印象である。最初は良い顔をしていても、最終的に「恥をかきたくない」という行動が多い。
12.ベンチャー投資には、特にリスクがつきものである。リスクを低減するには、選別能力や経営者を見極める能力が必要だが、彼らには能力がない。官民ファンドという名の「ほぼ官ファンド」にベンチャー投資を任せること自体に、大きな問題がある。
13.経済協力開発機構(OECD)は9日、GAFAなど巨大IT企業を念頭に置いたデジタル課税について国際ルールの原案を公表した。本社や工場などの拠点がなくても利用者がいる国で一定の売上があれば、それに応じて法人税を課せられるようにするもので、来年1月に大枠合意し来年末までに正式合意を目指す考えである。これは、外形標準課税という方法である。
14.サイバー企業は様々な国でサービスを展開する。例えば、ウーバーなら、法人税率が低いオランダに世界の事業を統括する本社を置き、それにタックス・ヘイブンのバーミューダを組み合わせて節税している。それに対して外形標準課税では、日本で操業している割合を算出し、それに比例して再配分をする。つまり、操業の割合=外形として課税する。全てのビジネスはお客さんがいて成立するのだから、それに比例して利益を払うべき、という考え方である。15.GAFAなどの他のサイバー企業も、アイルランドとオランダを組み合わせるなどして節税をしているが、同様の考え方を適用するべきである。利益を得る権利があるのは、市場である。現在の状況では、サービスが提供されている市場ではなく、税率が安い国が利益を得ている。正しく市場が利益を得られるような「新しい枠組み」を固めることは非常に重要で、世界的に合意するべきことである。



yuji5327 at 06:49 

2019年11月29日

日本でもNTTの上場時に言われたことだが、一般投資家が上場直後の株を買うと損をすると言われる所以である。

2019/10/11 付けの大前研一さんの「 ニュースの視点 」(発行部数 159,757部)は「米ウィーカンパニー/ソフトバンクグループ/ ベンチャー投資/米ウーバーテクノロジーズ」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米ウィーカンパニーの共同創業者、アダム・ニューマン氏は先月24日、最高経営責任者(CEO)を辞任すると発表した。当初、9月中の新規株式公開(IPO)を目指していたが、赤字が続く事業や企業統治について、機関投資家から疑問の声が相次ぎ、IPOを延期した。
2.米メディアは、筆頭株主であるソフトバンクグループが、ニューマン氏の辞任を求めていたと報じている。赤字ではあっても将来性を期待され高い時価総額を設定されたウィーカンパニーには、筆頭株主でもあるソフトバンクも大いに期待していたはずである。
3.しかし、近年この類の企業が上場しても、その後の調子が良くない状況がある。ウィーカンパニーも赤字のまま、競合に対する明確な差別化もできない状態で、企業価値もピーク時の1/3に下落し、さすがに不安を払拭できなくなったためと思われる。
4.安売りをやめ、黒字化の目処が立つまで上場を延期するように、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが強制したと言われている。そのソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先企業の一覧を見ると、有望と言われるユニコーン企業がたくさん並んでいる。しかし、3兆円規模の投資を受けている半導体テクノロジーのアームについて、当時取締役を務めていた日本電産の永守氏が「自分なら3000億円でも買わない」と話していたことなど、その投資価値については疑問視する声もあった。。
5.ユニコーン企業のチャンピオンとも言われる立場だったウィーカンパニーの問題が起こってしまった。文春オンラインは4日、「ソフトバンクグループの窮地で孫正義が狙うLINE買収」と題する記事を掲載した。
6.ウィーカンパニーの上場延期などを受けて、ビジョンファンドが投資する他のユニコーン企業にも疑念が持たれ始めている。この危機を乗り切る奇策として、孫正義氏が狙っているのがLINEで、もし買収が実現すればアマゾンにも対抗できるとする関係者の見方を紹介している。Weibo(ウェイボー)とも親しいソフトバンクの孫正義社長なら、韓国系の企業であるLINEとも話をまとめる可能性があることが背景にある。ソフトバンクがLINEを買収しSNSを手に入れると大きなプラスになる。ソフトバンク・ビジョン・ファンドに多額の出資をしているみずほ銀行も背中を押していると言われている。
7.日経新聞は6日、『「上場で成長」今は昔』と題する記事を掲載した。世界の未公開企業がベンチャーキャピタルから調達した資金額は、2018年2580億ドルとなり、上場時の調達額2236億ドルを上回った。金余りの中、利回りに飢えた投資家が成長著しいベンチャー企業への投資に殺到していることが要因である。こうした投資は過剰評価になりやすく、企業が生む富も特定の人間に集中しかねない問題もあり、資本主義を支えてきた株式市場の存在意義があらためて問われている。
8.ソフトバンク・ビジョン・ファンドは10兆円規模の大きなファンドである。他にも、ブラックストーン、ベインキャピタルなどベンチャー企業に多額の投資をするベンチャーキャピタルが多数ある。
9.これらのベンチャーキャピタルには、資金も情報も集まってくるため、Cラウンド、Dラウンドのベンチャー企業に多額の資金を投じる。これが上場前のベンチャー企業に異常に高い企業価値が想定される要因である。
10.最終的な上場前の想定時価総額は、最後に投資した人の1株あたりの価格で決まるため、
金余り状態のベンチャーキャピタルが高値で投資するとそのまま高い時価総額が設定されてしまう。
11.このように機関投資家の「金余り現象」のために、実態以上に時価総額が上がり上場するが、いざ上場すると今度は一般投資家が相手になる。一般投資家から見れば、収益が出ていないなど価値を感じない場合が多く、一気に株価が下落するというのが典型的なパターンである。日本でもNTTの上場時に言われたことだが、一般投資家が上場直後の株を買うと損をすると言われる所以である。
12.今は、世界的にこういう現象が多発している。上場後の時価総額の伸びを見ると、1990年上場のシスコシステムズ、1997年のアマゾン、2002年のネットフリックスまでは、上場前に比べて上場後の伸びが大きくなっている。しかし、2004年アルファベットの上場以降は、未公開市場での企業価値の伸びが大きく、上場後は伸び悩むパターンになっている。
13.これは株式市場の存在意義を問われる由々しき問題である。現状としては、株式市場は、巨大なファンドが素人の一般投資家に売り逃げするために使われているに過ぎない。
14.上場前に大きく期待されながら苦戦しているユニコーン企業の代表例が、米ウーバーテクノロジーズである。そんなウーバーテクノロジーズは先月26日、「サブスクリプション(継続課金)」型のサービスを本格的に始めると発表した。
15.月24.99ドル(約2700円)を支払うと、ライドシェアを使うたびに割引が受けられたり、ウーバーイーツの配達手数料が無料になったりする。まずサンフランシスコなど米国内の10都市で始める見込みである。
16、この施策は、競合であるリフトもすでに実施している。結局、現時点で言えば配車アプリで収益を上げることができず、ウーバーイーツ、そしてサブスクリプションモデルで現状を打開したいということである。サブスクリプションモデルで定額支払いをしてくれた人には、割引サービスの提供、ウーバーイーツの配達料の無料化などを考えていおり、実現すれば一定の評価は得られる。
17.問題はトータルで黒字にできるかである。黒字の目処が立たなければ、また新しい企業が収益の見通しもないまま終わっていくことになる。時価総額が数兆円を超えるともてはやされても、実際には収益化しないという話になる可能性もある。これは、GAFAが乗り越えてきた道でもある。苦戦が続くウィーカンパニー、ウーバーテクノロジーズなどが、この壁を乗り越えることが出来るのかどうか注目したい。



yuji5327 at 09:37 
池上技術士事務所の紹介
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池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
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