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2017年07月21日

中国では、習近平国家主席と李克強首相の間で、経済政策をめぐる対立が激化している。国有企業保護政策で権力掌握する習主席に対し、李首相のゾンビ企業の淘汰の構造改革である。

「大前研一著:GDPの2.5倍、借金大国中国の危機は日本の好機、週刊ポスト、2016年8月30日」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.中国では、習近平国家主席と李克強首相の間で、経済政策をめぐる対立が激化している。国有企業保護政策を維持して権力掌握を進めたい習主席に対し、李首相がゾンビ企業の淘汰など痛みを伴う構造改革を提唱している。
2.景気判断については習主席のほうが正しい。今年6月に中国社会科学院の学部委員で国家金融・発展試験室の理事長を務める李揚氏が「2015年末の時点で、中国の債務残高は約2600兆円で、GDPの249%に達し、うち企業分が156%を占める」と発.表した。発言の趣旨は、中国の債務はコントロール可能な範囲で、債務リスクに対応するための十分な資金があることを理由に「債務危機は存在しない」と強調するものだった。この数字は経済規模が違うとはいえ日本の借金1000兆円の2・6倍の規模である。
3.中国の借金には、大きく4つの要素「国営企業」「民間企業」「地方政府」「国」がある。249%のうち企業分が156%ということは、地方政府と国が残りの100%近くになる。だが、これまで地方政府の富の源泉だった農地を商業地や工業団地に用途変更して利益を得る不動産開発やインフラ整備などの投資プロジェクトはことごとく行き詰まり、地方政府は莫大な借金を抱えて収拾がつかない状況に陥っている。
4.アリババなどのネット通販隆盛の影響で多くのショッピングモールはテナントが入らなくなり、ゴーストタウン化しているため、地方政府が商業地などの開発で儲けるという従来の方法は、もはや機能しない。
5.AIIB(アジアインフラ投資銀行)に気前よく資本金1000億ドルの3割(約3兆円)を出資したが、海外インフラプロジェクトで利益を出すのは至難の業である。中国には海外インフラブロジェクトの運営ノウハウがない。おそらくAIIBのプロジェクトは軒並み失敗するだろう。
6.国営企業も国内経済の急減速によって鉄鋼、セメント、造船、鉄道などが飽和状態で、生産力が完全にダブついている。たとえば、中国には鉄鋼メーカーだけで100社くらいあり、2015年の粗鋼生産量は約8億トンに達し、世界全体の5割を占めている。日本もかつて鉄鋼世界一の時代があったが、その後、通商産業省が国策としてキャパシティの削減に大ナタを振るった。
7.それと同じことを中国はできない。中国の地方自治体の多くは、そこに立地している鉄鋼、造船、セメントなどの企業によって成り立っている。企業をつぶしたら地元の地方自治体も消滅してしまう。もし、それらの地方自治体のうち習近平が任命した首長や書記がいるところだけ生き残ったりしたら、怨嗟の渦で政権そのものがもたない。
8.民間企業の経営者は続々と海外に脱出している。2016年に入ってからの中国企業による海外企業のM&Aは約15兆円に達し、すでに15年通年の約11兆円を上回った。だが、その大半は実は海外逃亡資金であり、M&Aという名目であれば、企業の国際化ということで政府が認めてくれる。だから経営者たちはアメリカの投資銀行などが持ち込んだM&A案件に飛びつき、せっせと資金を海外に持ち出している。
9.かつて日本企業は急激な円高や苛烈な貿易摩擦に直面した時、必死に生産性や付加価値の向上、コスト削減などのイノベーションを重ねて生き残ったが、中国の経営者はすでに国を見捨てて海外に.高飛びしている。中国経済が刻々と破断界に近づいていることは明らかだ。
10.中国政府が人件費を市場に委ねず強制的・人為的に毎年15%ずつ引き上げてきたせいで中国企業の競争力は低下したが、賃下げは人民の反発が怖いからできない。おのずと為替は元安に向かう。変動相場制にしたら一気に元安が進み、現在の1ドル:6・6元が半分の1ドル:13元くらいまで下がる。そうなれば輸出競争力は回復するかもしれないが、経済はハイバーインフレになって人民の生活は困窮する。
11.中国経済が破綻すれば、世界経済は大混乱する。1929年に当時の新興経済大国アメリカのバブル崩壊が引き起こした大恐慌のような状況になるかもしれない。日本は、オーストラリアやブラジルなどの資源国に比べれば対中輸出に依存していないし、元安によって中国から輸入している食料品、電気製品、衣料品などが安くなり、中国に進出している日本企業のコスト競争力も強くなるから、日本にとってはマイナスよりもプラスのほうが大きい。


yuji5327 at 06:33 

2017年07月19日

エルドアン大統領はコントロールしにくいリーダーだが、サダム・フセインのように倒すべき敵としてアメリカは見ていない。

「大前研一著:欧州がおびえるトルコ崩壊という悪夢、
PRESIDENT 2016.9.12」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.昨年、トルコでクーデターが発生した。エルドアン大統領がバカンス中の隙を突いて軍の一部が決起し、ヨーロッパとアジアを隔てるボスポラス海峡に架かる橋やアタチュルク国際空港などを封鎖。最大都市イスタンブールや首都アンカラに戦車や軍用機を展開し、国営テレビ局を乗っ取って戒厳令と夜間外出禁止令をトルコ全土に発令した。
2.休暇中だったエルドアン大統領は難を逃れてイスタンブールに戻った。途中、スマートフォンのテレビ電話アプリ・フェイスタイムを活用してCNNトルコにテレビ出演し、スマホから「広場や空港に集まってほしい。人民の力に勝る力はない」と国民に反乱軍への抵抗を呼びかけた。大統領のメッセージにモスクも呼応して.「これは聖戦だ。神のために街頭に出よ」と訴えた。クーデター側が占拠した国営テレビ局を通じて「表に出るな」と外出禁止令を出したにもかかわらず、大統領の呼びかけに応じて人々は表に繰り出して.イスタンブールやアンカラの街はクーデターに抗議する群衆で溢れた。翌16日正午には反乱軍はほぼ鎮圧されて、クーデターは失敗に終わった。
3.イデオロギー不足のお粗末なクーデター計画だったようだが、世論をコントロールする情報戦で形勢が決まった。既存のテレビメディアを掌握した反乱軍に対して、エルドァン大統領はフェイスタイムやツイッターなどのソーシャルメディア(SNS〕を駆使して国民を鼓舞することに成功した。SNSがクーデター鎮圧の立役者になるご時世である。
4.トルコでは1960年、71年、80年と過去に3回のクーデターが起きていて、.国軍が全権を握っている。クーデターの力の裏付けになるのは軍事力であり、トルコ軍はNATOでアメリカに次いで第2の軍事大国といわれるほど強大な兵力を有する。今回のクーデターは、イスラム化と権限強化を推し進めるエルドアン大統領に対して、軍の一部が反旗を翻した。
5.トルコは人口の99%以上がイスラム教徒(大半はスンニ派〕でありながら、23年に共和国として誕生して以来、建国の父である初代大統領ムスタファ・ケマル・アタチュルクが打ち出した世俗主義を国是としてきた。世俗主義とは公の場に宗教思想を持ち込まないという考え方で、政教分離の原則である。軍人アタチュルクの系譜を受け縫ぐトルコの国軍は世俗主義の守護者を自認していので、イスラム色の強い政権のときにはしばしば政治介入し、時にクーデターを引き起こしてきた。
6.エルドアン大統領は民主的な選挙で圧倒的な支持を受けて2003年に首相に選出された。デノミと財政健全化で高インフレを収束させ構造改革で世界からの投資を呼び込み、通貨危機後のトルコ経済を立て直した。当初は非の打ちどころがないリーダーぶりで、エジプトに代わる中束の要と期待され欧米の評判も上々だった。
7.徐々に言論統制などの強権化が目立つようになり、14年にトルコ初の直接選挙で大統領に就任すると、ロシアのプーチン大統領のように手下を首相に据えて大統領権限を強化し、独裁色を強めてきた。
8.もう1つがイスラム回帰である。反イスラム的な運動家や学者を投獄し、最近では大学構内にモスクを建設してイスラム教育を制度化したり、アルコール販売を禁止したりするなど、イスラム色の強い政策を推し進めてきた。民主主義や世俗主義に逆行するエルドアン大統領のこうした政治姿勢に対して内圧が徐々に高まってきて、クーデターという形で噴出した。
9.エルドアン大統領やトルコ政府が首諜者として名指ししたのが、アメリカ在住のイスラム教指導者フェトフッラー・ギュレン師である。ギュレン師は穏健なイスラム指導者で、彼が率いる社会運動(ギュレン運動〕はトルコの教育や医療支援などの社会奉仕活動で大いに貢献してきた。軍や財界などエリート層にも多くのギュレン支持派がいる。もともとエルドアン大統領とギュレン師の仲は悪くなかったが、大統領の汚職疑惑を機に距離が離れていった。
10.ギュレン師はクーデターの関与を否定している。しかし軍の内部にはギュレン派もいて.ギュレン師に煽動されたかどうかは別にして、エルドアン大統領のやり方についていけないと思っていた人がかなりの数いた。
11.クーデターを潰したエルドアン大統領はすぐさま大粛清に乗り出し、軍人や警官、判事や教員など、すでに5万人以上の公務員が拘束されたり、解任や停職処分を受けたりしている。ギュレン派は格好の粛清ターゲットで、今回のクーデター未遂は、ギュレン派を一掃して独裁体制を固めるための自作自演という見方まである。
12.クーデターの2週間以上前に注目すべきトピックスがあった。昨年11月のロシア軍機撃墜問題でロシアの謝罪要求を突っぱねていたエルドアン大統領が、プーチン大統領に謝罪した。トルコにとって外貨を稼ぐ手っ取り早い手段は観光業である。トルコ国内ではテロが続発して観光客数激減。ビザが要らないから大挙してやってきていたロシア人も、撃墜事件の報復措置でトルコへの渡航が禁止された。自国経済が窒息状態のエルドアン大統領としては、渡航禁止を含むロシアの経済制裁を解除したかったので謝罪した。
13.謝罪の直後、プーチン大統領はトルコへの渡航を許可している。エルドアン大統領はロシアとの仲直りついでにシリアのアサド大統領と対話する姿勢も見せているが、これを一番嫌がるのはアメリカである。アメリカからすればNATOがロシアと対立を強めているときにトルコとロシアが接近するのは好ましくないし、打倒しようとしているシリアのアサド政権との関係改善も困る。エジプトみたいに軍事クーデターで親米の傀儡政権を立ち上げるのはアメリカの得意技である。
14.エルドアン大統領はコントロールしにくいリーダーだが、サダム・フセインのように倒すべき敵としてアメリカは見ていない。トルコはNATOのメンバーであり、IS〔イスラム国〕掃討を目指す有志連合の一員でもある。アメリカはトルコの基地を使わせてもらっている。エルドアン大統領が国内のクルド人やギュレン派を迫害して民主主義に逆行する政策を取っても、決定的な対立は避けたい。
15.難民問題を抱えるEUとしても、トルコの存在は非常に重要である。隣国シリアで内戦が始まって以来、トルコはシリア難民の最大の受け入れ先になっていて、.現状でも200万人以上のシリア難民を受け入れている。イラクやアフガニスタンの難民を含めると300万人以上で、それがトルコ経済を疲弊させる原因になっている。
16.トルコが"イラク化したら地続きのギリシャやブルガリアに一気に難民がなだれ込む。ISもトルコ中に群雄割拠することになる。トルコが乱れれば中近東のすべての悩みがヨーロッパを直撃する。ヨーロッパではエルドアン大統領の多少の独裁は仕方がないという考え方が強い。
17.サダム・フセインは独裁者だったが、排除したらイラクは分裂して宗教対立が先鋭化したうえにISの温床になってしまった。ヨーロッパではこれが強烈な教訓になっている。トルコをイラクのようにするわけにはいかない。エルドアン大統領には元気でいてもらわないと困る。


yuji5327 at 06:48 

2017年07月18日

ブロックチェーンは、銀行など管理主体に代わり、コンピューターネットワークが取引の正しさをチェックし、管理者不要で、低いコストで運用できる。

「野口悠紀雄著:ブロックチェーンはどんな未来をつくるか、
週刊ダイヤモンド、2016.09.10」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.ブロックチェーンは、ビツトコインなど仮想通貨の基礎技術である。公開された台帳に取引記録を記入し、管理する仕組みである。これまで、送金などの経済的取引は、銀行など信頼を確立した機関が管理することで行われてきた。ブロックチェーンは、そうした管理主体の代わりに、コンピューターネットワークが取引の正しさをチェックする。しかも、記録は書き換えることが事実上できないので、管理者が不必要になるため、低いコストで運用できる。
2.日本のメガバンク、シティバンク、UBS、ニューヨークメロン銀行など、大手金融機関による取組みが発表されている。銀行業務に適用できるかどうかの実証実験を住信SBIネット銀行が行っていたが、その実験に成功したと、ブロックチェーン企業のテックビューローが今年の4月に発表した。三菱東京UFJ銀行と日立製作所は、ブロックチェーンで小切手の決済ができるシステムの開発を行うと発表した。また、NASDAQは「Nasdaq Linq」という未公開株取引システムの実証実験を行い、成功している。
3.ニューヨーク証券取引所やVisaなども同様の実験に取組んでいる。金融機関の取引では、取引が完結するまでに多数の仲介機関が存在する。これらの機関は独自のデータベースを用いて、取引の整合性や勘定の照合を行っており、それに多大なコストが掛かる。ブロックチェーンを用いれば、コストが下がり、時間がほとんどゼロにまで短縮する。
4.コンサルティング会社のアクセンチュアは、ブロックチェーンの普及によって、2022年までに金融業界のオペレーティングコストを、少なく見積もっても年間200億ドル以上削減できるとしている。世界経済フォーラムレポートは、ブロックチェーンを、今後数年間に世界に大きな影響を与える10大技術の1つだとした。来年末までに、世界の約80%の銀行がブロックチェーン関連のプロジェクトをスタートさせると予想する。また、90の国の中央銀行がブロックチェーンのリサーチを開始し、24の国の政府がすでにブロックチェーンへの投資を行っている。
5.フィンテックの中には、スマートフォンによる決済など、従来の銀行送金.システムの上に構築されたものが多い。こうしたものが日常生活を便利にすることは事実だが、金融業を根本から変えるものではない。本質的な変革はブロックチェーンによってなされる。
6.ブロックチェーンの応用は、金融に限定されない。特許権や著作権のような知的財産権の証明や、土地登記や結婚証明など公的証明の分野での応用が検討されている。映画や音楽などの著作物でも、正規版の証明ができる。
7.エストニアでは、15年12月から、ブロックチェーンによる公証サービスが開始された。このシステムは、婚姻証明、出生証明、ビジネス契約などの公証サービスを行うことができる。スウェーデン政府は、土地登記情報を管理するブロックチェーンの検証を開始した。中国にも、同様のプロジェクト「スマートシティ計画」がある。ジョージア政府も同様の試みを行っている。中米のホンジュラスでは、土地登記書類の管理が不完全なので改ざんされやすく、また、土地の6割が登録・管理されていないという。そこで、登記をブロックチェーンで管理することを試みている。
8.公的証明の他にも、ブロックチェーンは徴税や社会福祉サービス、パスポートの発行、人口統計などの公共データの記録や物流管理も可能である。複数の企業でブロックチェーンを利用して情報を共有する。エバーレジャー社は、ダイヤモンドの取引にブロックチェーンを応用するシステムを開発している。センサーで個々のダイヤの形状を厳密に測定し、そのデジタル指紋を登録する。ブロックチェーンには個々のダイヤの取引履歴が記録され、購入者は事前に来歴を追跡することができ、不法な盗品の購入を回避できる。食品などの生産・取引データを記録すれば、廃棄食品の横流しなども防げる。
9.自動車の自動運転は、20年ごろには実用化されそうだが、車が自動で走り、客を乗せて運賃を受け取り、給油をしてガソリンスタンドへの支払いも行うことになる。それら全ては、ブロックチェーンに記録される。
10.Airbubなどを用いて所有するアパートなどを旅行者に貸す場合にも、鍵の受け渡しを物理的なキーではなく電子的なキーで行い、その情報をブロックチェーンで管理する。ブロックチェーンを利用したデバイス認証は、IoTにおいて欠かせない。ブロックチェーンでIDを認証されたデバイス同士が、自動で連絡し合う。
11.洗濯機が洗剤を自動発注したり、家庭内の他の電気機器と利用電力の調整を行うシステムが、IBMで実験されている。人が住んでいない地域にある水道管が「水漏れが発生。修理が必.要」と発信すると、自動運転の修理車が現地に向かって修理し、費用を計算して水道管理機関に請求する。
12.IoTのシステムに接続されるデバイスが今後爆発的に増えていけば、集中処理型のデータ管理方式で対応するのは難しいので、分散処理型のブロックチェーンを用いる。
13.経済産業省は、ブロックチェーン関連の潜在的な国内市場規摸は67兆円になるとし、経済活動全体に影響する。金融業の枠内にとどまらず、社会の姿を変える。ブロックチェーンは、経営者を代替する可能性がある。ブロックチェーンがつくる未来社会の完全な姿は分からない。




yuji5327 at 06:35 

2017年07月17日

イギリスの繁栄はEUの中にあってこその繁栄であり、離脱したら、イギリスは元のイギリス国に戻り、投資の魅力は減退する。

「大前研一著:イギリスのEU離脱は国家分裂をもたらすか?、
PRESIDENT 2016.8.29」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。1.EU〔欧州連合〕からの離脱の是非を問うイギリスの国民投票は、僅差で離脱支持派が制した。事前の世論調査などから接戦が予想されていたが.「最終的には残留派が勝利して
イギリスはEUに留まることになるだろう」という見方が大勢だった。それだけに離脱派の勝利は激震で、国民投票から一夜明けた6月24日の世界の株式市場は全面安の展開となった。為替市場ではイギリスポンドが売られて1985年以来の水準に下落、1日の下げ幅としては過去最大を記録した。当事者であるイギリス国民にとっても予想外の結果で、彼らの後悔の念は相当に強い。
2.今回の国民投票では世代間の意識の違いが明確に出た。「We European」で育っている若い世代は圧倒的多数がEU残留を支持し、逆に高齢世代の多くは離脱を支持した。イギリスの運命を自分たちが決めたのは聞違いだった。若い人たちがそんなに残留を望んでいるのなら.我々も残留に投票すべきだった、という声が高齢層から聞こえてきた。
スコットランドの住民投票では現状維持派がきわどく上回ったが、今回の国民投票は完全に読み違った。
3.マーガレット・サッチャー以来26年ぶりの2人目の女性百相、メイ首相は国民投票ではEU残留を支持していたが、首相就任後は国民投票で過半数を得た「離脱」を推進する考えを示し、組閣で離脱派のポリス・ジョンソン氏を外務大臣に任命した。「離脱を成功裏に進めたい」としながらも、「EUとの交渉戦略を策定するために時間が必要」として、年内は離脱手続きを開始しないとの立場を新首相は表明している。
4.EUの基本条約であるリスボン条約の50条に離脱の手続きについて規定されている。当該国が欧州理事会(EUの最高協議機関〕に離脱の意思を通告し、離脱手続きは始まる。その後、欧州委員会と脱退協定を締結するための交渉を行い、合意した脱退協足が欧州議会で承認され、さらに欧州理事会で承認されれば、脱退協足の発効日を以て晴れてEU離脱となり、離脱国にEU法は適用されなくなる。EUを離脱するには最低でも2年以上かかるが、イギリスはまだ離脱通告すら行っていない。通告をしなければ離脱の手続きは始まらない。
5.イギリスとしては粛々と離脱手続きに入るか、もしくは国民投票の結果を覆す逆転シナリオも考えられる。国民投票はキャメロン前首相が約束した公約にすぎず、その結果に法的拘束力はない。法的な拘束力があるのは議会で決まったことである。国民投票の結果は尊重されなければならない。しかし、これからあらゆる情報を取り寄せて、イギリスにとって何が得策なのか、もう1度議論してはどうか?
6.70年代のイギリスは慢性的に経済が停滞して失業率は11%に達し、「英国病」という言葉がメディアを賑わしていたが、今のイギリスの失業率はわずか5%程度。ヨーロッパで最も移民を受け入れている国の1つがイギリスだが、昔のような失業率にならないのは、今のイギリスに雇用がある。そういう議論が今回の国民投票のプロセスでは抜け落ちていた。
7.この30年間、イギリスが世界中から投資を集めて雇用を生み出してきたのは、サッチャー!改革の成果ばかりではなく、イギリスがEU28力国のヘッドクオーターとして重宝されてきたからである。日本企業にしてもイギリスに欧州本部や工場をつくれば、そこからEU全体に容易に事業を展開できる。ロンドンのシティにしてもEUに入ってから世界の金融センターとして断トツに発展した。日本の銀行や証券会社がシティに行くのは、あそこがヨーロッパだと思っているからである。
8.イギリスの繁栄はEUの中にあってこその繁栄であり、離脱してひとりぼっちになったら、イギリスは元のイギリス国に戻り、投資の魅力は減退する。今回の国民投票で離脱の恐怖を肌で感じたイギリス国民は少なくない。世界経済、ひいては自国経済に与えるインパクトもポンド暴落の可能性も見えた。さらに.残留派が多数を占めたスコットランドや北アイルランドの動向も見逃せない。スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相はスコットランド単独のEU加盟に向けた諮問会議の設立を表明、独立に向けた2度目の住民投票の準備も始まった。北アイルランドでもEU残留とアイルランドとの統一.の動きが加速し.離脱派が多数を占めたウェールズでも独立を模索する動きが出てきた。イギリスが離脱に向かえばグレートブリテンは空中分解しかねない。
9.離脱後のUKの運命、すなわち崩壊という問題はいまだに国民的な議論がなされていない。このようなデメリットを改めてカウントしていくと.離脱の道は遠く霞んでくる。EUの強気の姿勢を見ている限りでは、離脱交渉をイギリスが優位に運べる可能性も低い。イギリスの離脱はUKの終わりの序章ではあるが、巷間言われているような「EUの終わりの始まり」になることはない。


yuji5327 at 06:36 

2017年07月16日

南鳥島周辺のEEZに高濃度のレアアースを含む堆積物が分布している。その規模は2013年の世界の総生産量の7倍。日本列島を囲む海の底は資源の宝庫である。

「巽好幸著(神戸大学海底探査センター教授)著:レアアースや貴金属の宝庫海底資源は日本を救うか、
週刊ダイヤモンド、2016.09.10」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.レアアース(希土類元素)は強力磁石やLED、ハイテク製品などの原料となる。主要生産国である中国の輸出制限やそれに対する世界貿易機関(WTO)の協定違反とする裁定などにより価格が乱高下し、有用資源の安定的な確保を探っている。
2.南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)に高濃度のレアアースを含む堆積物が分布している。その規模は2013年の世界の総生産量の7倍(酸化物換算で77万トン)に及ぶ。日本列島を囲む海の底は貴重な資源の宝庫である。
3.2011年に東京大学の加藤泰浩教授らが、太平洋各海域で採取された掘削試料を分析した結果、レアアースを高濃度に含む泥が広域に分布することを見いだした。この泥の起源は、プレートが誕生する海底火山山脈にある。海底火山の活発な熱水活動によって生じた鉄を含む懸濁物質が、海水中のレアアースを吸着し、それが広く海底に降り積もる。これだけではレアアースが拡散してしまうが、リン酸カルシウムという生物の遺骸の主成分で海底に堆積するこの物質が、レアアース懸濁物質を固定する。南鳥島凋辺域のものは特に純度が高く、数千万年前のサメなどの歯や骨を核として、レアアースが集積した。この時代に海中の環境が激変し、大型海生動物の大量絶滅が起きた?
4.レアアース泥を活用するたの課題は多い。数千メートルもの深さの海底からの採泥に選鉱、製錬などの技術開発は必要である。日本列島岡辺には、レアアース泥のほかにも膨大な海底金属資源が眠っている。代表格は「黒鉱」と呼ばれる銅や亜鉛、鉛、金・銀などの貴金属を多く含む鉱石である。
5.東北地方を中心に開発された黒鉱鉱山は、日本の近代化を支え続けた。特に、秋田県の小坂、花岡などが有名である。しかし、昭和後期からの急速な円高による輸入鉱石に対する競争力の低下と、資源の枯渇によって、平成初顕に全ての鉱山が閉山した。
これらの黒鉱鉱床は、約1500万年前に日本列島がアジア大陸から分裂して旧本海が誕生.したときに造られたものである。
6.日本列島の大移動に伴い、海底火山周辺を循環する熱水がマグマや周囲の岩盤から金属元素を抽出し、海底に沈殿させることでできた黒鉱鉱床が「海底熱水鉱床」と呼ばれる。日本列島には110の活火山があるが、その約4分の1は海底火山である。つまり、日本列島周辺には黒鉱を胚胎する可能性がある火山が数多く存在する。実際、石油天然ガス・金属鉱物資源機構や海洋研究開発機構、地質調査所などの探査で、幾つもの有望な海底熱水鉱床が発見されている。
7.鉱床が集中する伊豆・小笠原弧では、太平洋プレートがフィリピン海プレートの下へ潜り込んで活発な火山活動が起きている。以前にも紹介したが、この火山活動によって、海の中に「大陸」が造られる。
8.海底火山にはカルデラをなすものも多い。そのカルデラ壁や、カルデラ形成後に活動した溶岩ドームの周辺で、黒鉱が見つかっている。八丈島の南方約100kmにある明神海丘カルデラのサンライズ鉱床やベヨネーズ丘カルデラの白嶺鉱床などが大規模なものとして知られる。
9.沖縄トラフと呼ばれる地帯でも、多くの海底熱水鉱床が見つかった。ここではかつての日本海誕生と同じような海底の拡大が進行中であり、裂けた海底の隙問を埋めるようにマグマが入り熱水活動が起きている。このため大量の鉱床が出来上がっているらしい。その一つの伊是名海穴には、740万トンの黒鉱が眠る。
10.海底火山では、「コバルトリッチクラスト」と呼ばれる資源も確認されている。これはマンガンと鉄の酸化物であり、時には1%以上のコバルトやニッケル、白金、レアアースなどを含む。コバルトはリチウムイオン電池などに不可欠な金属資源である。この鉱石は、海底火山といっても、現在では活動的ではない古い火山の斜面(クラスト)を殻のように覆って分布している。
11.このクラストは海水中の元素が集積してできたものであるが、その成長速度は100万年で数ミリメートルというゆっくりとしたものである。従って、平たんな海底では堆積する泥などに埋もれてしまう。一方、海山の斜面では堆積物がたまりにくいために、斜面の表層を覆うように鉱床が形成されると考えられている。
12.そのほかにも日本列島周辺には、100年分の天然ガス使用量に匹敵する「メタンハイドレート」が存在する。わが国の周辺には豊富な海底資源が眠っている。いずれもまだ実用化には至っていない。海域での開発には膨大な費用が掛かることから、その推進をちゅうちょする声もある。しかし、わが国の将来を考えると、海底資源の探査と開発を急がねばならないことは明らかだろうし、資源が眠る海域はまた、地震や火山噴火の発生域でもある。海底資源と巨大災害という地球からわが国に与えられた恩恵と試練に対し、戦略的かつ総合的に取り組むべきだ。そのための海洋・技術立国をけん引する人材の育成を行わねば、豊富な資源も宝の持ち腐れで終わってしまう。



yuji5327 at 06:36 

2017年07月15日

フランスでは出生率の回復のため、GDP比で約3%の予算を使っているが、日本は約1%。フランスでは、子供の数が増えるほど育児給付金が増加し、同時に所得税が減税される。

「大前研一著:
「0から1」の発想術
大前 研一
小学館
2016-04-06

0から1の発想術、小学館、2016年」は面白い。「10章:すべてが意味することは何?」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.海外企業のトップたちと話をすると、最後に「要するに何なのか?」「それらすべてが意味することは何なのか?」と聞かれる。物事を考える時、A、Bという事実が目の前にあると、どうしてもA、Bという個別の案件に目が行き「全体」が見えなくなってしまう。
2.新しいアイデアを出そうとする場合、最初に大前提を立てる演繹法では難しい。たとえば企業の改善を行う場合、まずはその企業の現状と課題を正確に把握することが重要で、そうした事実を集め、そこから最終的な結論を導き出してい帰納法的な推論を行う。だが、これには大きな欠点があって、ただ事実を列挙しただけになる。イノベーションの最大の狙いは、新しいアイデアを出すことで、判明した事実を並べ立てても、そこからは何も見出せない。
3.重要なのが、それらが意味することは何かを問い直すことである。「木」を見ていた視点を上に飛ばして「森全体」を見る。データを集めるのが得意な人間が、データに埋もれてしまい、まとめて整理し直すのが精一杯になる。それは「発想」ではない。
4.少子化によって市場は縮小している時代の有望なビジネスを考える。本気で日本経済を立て直そうとするならば、安心して子供を産み育てられるような社会を作ることである。
安倍内閣は「少子化社会対策大綱」を閣議決定し、2020年までの5年間を少子化対策の集中期間としているが、結局、「希望出生率1・8の実現」を掲げただけで、政策ではなく、単なるスローガンだけである。
5.フランスでは出生率を回復させるため、家族関係に対GDP比で約3%の予算を使っているが、日本は約1%。フランスの場合は、子供の数が増えれば増えるほど育児給付の金額が大きく増加すると同時に所得税が減税されるため、子供の数が増えるにしたがって家計にはプラスに作用する。このような取り組みをしなければ、出生率は回復しない。


yuji5327 at 06:46 

2017年07月13日

農林水産省の官僚や自民党の政治家は、日本が世界中を敵に回した時、というが、いざという時に最も困るのはコメではなく石油である。

「大前研一著:
「0から1」の発想術
大前 研一
小学館
2016-04-06

0から1の発想術、小学館、2016年」は面白い。「10章:すべてが意味することは何?」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.TPP承認以降、日本の農業は"成長産業〃になり得るのか考える。TPP合意により、日本の関税は農産物と工業生産品を合わせた全9018品目の95%にあたる8575品目で撤廃される。うち農産物は日本が重要5項目と位置づける、コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖を含め、全2328品目の81%にあたる1885品目の関税が撤廃されることになった。そのうちコメは、現行の1341円の高関税を維持する代償として、アメリカとオーストラリアからの無関税輸入枠を新設し、年間5万6000t(13年目以降は7万8400t)を無関税で輸入する。
2.牛肉は現行の関税38.5%を27.5%に引き下げ16年目以降は9%に、豚肉は高価格品の関税4.3%を10年目に撤廃し、ソーセージなどに使う低価格品も1482円の関税を10年目に50円にする。
3.こうした合意内容の発表に、日本の農家から不安の声が高まった。安い輸入食品が増えれば、国内農業にとっては打撃となる。農村部の選挙区を地盤とする議員を中心に与党内部にも反対は渦巻いている。
4.「日本の農家が大変だ」という感情に流されては、全体が見えなくなる。日本の農業の危機は今回だけではなく、1990年代、かつてのGATT(関税貿易の一般協定)ウルグアイ・ラウンドで日本はコメの市場開放を迫られた。そして日本は778%というコメの関税を維持する代わりに毎年一定量の外国産米を無税で輸入するミニマムアクセスを義務づけられた。さらに関税も毎年100%ずつ下げて最終的にゼロにすることになった。しかし、実際にはコメの関税はまったく下がっておらず、購入した外国産米をどう有効利用するかも決まっていない。
5.この時、危機に陥った農家に当時の自民党政権がしたことは、お金をバラまくことだけだった。ウルグアイ・ラウンド対策として20年間で42兆円もかけて農業基盤整備事業を行ったが、農業の生産性や国際競争力は高まらず、むしろ、国際競争力は年々低下している。コメという農産物は完全にコモディティ化し、「トン単位」で取引されている。1圓△燭蠅了挫浪然覆40円程度である。一方、日本ではその5倍くらいの価格で生産されている。つまり、日本のコメは高額な関税でなんとか守られてきたにすぎない。日本の農業は危機ではなく、とっくに崩壊している。
6.日本がコメ偏重を続けているのは、「食料自給率」の問題が絡む。コメは「自給率100%」であり、それがあるから全体で「約4割」の自給率をなんとか保っている。コメを作ることが日本の食料自給政策である。
7.食料自給率を中心に考えてしまうと、グローバル社会での競争力はつかない。グローバル経済とは、最適地で生産して最適地で売ることである。コメは最適地で生産し、輸入すればよい。
8.農林水産省はいざという時のための「食料安全保障」を主張しているが、「いざという時」がどういう時なのか、農林水産省の官僚や自民党の政治家に聞くと、「日本が世界中を敵に回した時」という答える。一番の問題は「いざという時」に最も困るのはコメではなく石油である。
9.いくら農業を守っても、石油がなくなれば、耕運機もトラクターも動かせない。「自給率」だけ問題にしても、意味がない。日本の農業がすでに崩壊し、食料自給率を守ることも意味がないとすれば、攻めの農業に転じるほかない。コメから高付加価値産品への転換である。海外で人気がある和牛、イチゴ、リンゴ、モモ、サクランボ、柑橘類などである。コメを残すとしたら、一部の高付加価値産品ブランド米だけだろう。
10.重要なのは、これを日本全国一律でやらないことである。JAの問題もそこにある。横並びで一律にやろうとするから発展しない。特定のエリアに集中し、そこに資本も技術も投下する。農民から「農場経営者」へと脱皮できる仕組みを整えることこそ、政府がやるべきことである。「貿易自由化=予算のバラまき」では、日本の農業が決して再生できない。


yuji5327 at 06:55 

2017年07月10日

マイナス金利導入の目的は、銀行貸出を増加させること。その効果はない。円安誘導の効果もない。マイナス金利撤廃以外に現状を抜け出す方策はない。

「野口悠紀雄著:マイナス金利の撤廃が日本銀行の最重要課題、週刊
ダイヤモンド、2016/09/
03」は説得力がある。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.日本銀行は、9月に金融政策の見直しをするとし、第1にインフレ目標、第2にマイナス金利、第3に国債購入額を検討している。第1のインフレ目標については、その達成時期を不明確にする可能性がある。必要とされるのは、細部の見直しでなく、インフレターゲットそのものの放棄である。第2のマイナス金利は、現在、適用しているのは日銀当座預金の一部なので、この範囲を鉱大することはあり得る。また、現在はマイナス0.1%である付利のマイナス幅を広げることも考えられる。マイナス金利政策を強化すれば、銀行の収益がさらに悪化する。
2.金融庁は日銀のマイナス金利政策が、3メガ銀行グループの2017年3月期決算で、少なくとも3000億円程度の減益要因になるとの調査結果をまとめた。三菱UFJフィナンシャル・グループでは1550億円、三井住友フィナンシャルグループ(FG)では750億〜760億円、みずほFGでは610億円の減益要因になる。
3.マイナス金利幅の拡大は、銀行の収益を悪化させるだけではない。日銀による国債の購入、あるいは、国債の発行そのものにも影響する。た第2と第3の問題は、密接に関連している。
4.マイナス利回りの国債を購入するのは合理的とはいえない。そもそも国債を保有したくないから、国債ビジネスからの撤退に繋がる。そうなると、国債の発行が困難になり、国債価格が下落する。つまり金.利の上昇につながる。実際、8月には国債入札の不調が懸念された。こうした状況が続くと、円滑な国債発行ができなくなる。国債の発行利回りがマイナスとは、国が国債を発行して利益を得ることを意味するが、そうしたことが円滑に運ぶわけがなく、どこかでブレーキがかかって、そのような資金調達ができなくなる。今後さらにマイナス金利幅を拡大することは難しい。
5.マイナス金利を拡大しないにしても、これから銀行が日銀に国債を売却して日銀当座預金が増えれば、マイナスの付利がなされ、銀行の収益は今より悪化する。従って、銀行が日銀に売却したくないという問題が存在している。当座預金にマイナスの付利がなされることを前提としてこれに対処する方法は、マイナス付利を補填できるだけ高い価格で日銀が国債を買うことである。
6.日銀が償還まで保有した場合に発生する損失がさらに拡大する。高値の購人を続ければ、将来損失が発生する国債が日銀に蓄積されていく。すでに、日銀の資産中で長期国債は75%という大きな比率を占めている。その多くが将来損失を生む不良資産になっているのは重大な問題である。
7.現在の日本は、異常な低金利によって支えられている。仮に金利が高騰すれば、日銀、銀行が保有している国債に巨額の含み損が発生する。また、一般会計予算の国債利払い費が急増する。これらさまざまな問題が一挙に表面化し、日本経済は大混乱に陥る。
8.マイナス金利導入の目的は、銀行貸出を増加させることとされていた。しかし、その効果は明らかでない。また、日銀は円安誘導を狙った可能性もあるが、その効果もない。こうした事情を老えると、マイナス金利撤廃以外に現在の八方ふさがりから抜け出る方策はない。



yuji5327 at 06:34 

2017年07月09日

ローソンがやってはいけないのは、成城石井のノウハウを導入した商品を大量生産してローソンで安く売り、成城石井の高級イメージを崩すことである。

「大前研一著:
「0から1」の発想術
大前 研一
小学館
2016-04-06

0から1の発想術、小学館、2016年」は面白い。「3章:ニュー・コンビネーション」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.オーストラリアのゴールドコーストでは、「アクアダック」と呼ばれる水陸両用バスが観光客に人気となっている。街中はバスとして走り、素晴らしい景観で有名な内海のブロードウォーターに到着すると、大きな水しぶきを上げながらクルーズを開始する。ゴールドコーストでは、こうした水陸両用バスがいたるところで走っている。
2.ニュー・コンビネーションという概念は、ヨーゼフ・シュンペーターというドイツのボン大学の経済学者が唱えたもので、大半の発明は、古くからあるものの新しいコンビネーションである、シュンペーターは新しいとされるものを観察し、それが古いものの組み合わせであると主張した。ゼロから何か新しいものが生まれるのではない。既存のものが結合することで、新しいものが誕生し、イノベーションになる。
3.学生の論文でウィキペディアのコピペが問題になっており、使い勝手がいい。正確性は怪しい部分も多々あるが、物事の概要ならウィキペディアでつかめるケースが多い。調べものは、ウィキペディアの登場で格段に楽になった。ウィキペディアを支えているのは、無数の人聞だ。世界中の人間が、その物事について説明してくれる。個人の知識の組み合わせによって成り立つ。1人の知識ではなく、無数の人間の知識が掛け合わさり、ニユー・コンビネーションの一種と言える。
4. 現在、日本には「Suica(スイカ)」(JR東日本)など数十種類のICカード乗車券が発行されている。こうしたICカード乗車券のほとんどは、ソニーが開発した非接触型ICカード「FeliCa(フェリカ)」が基になっている。ICカード乗車券は、1992年にフィンランドのバス会社が導入したのが世界初である。ソニーの「FeliCa」は1988年から研究が開始されている。当時のソニーには「ニュー・コンビネーション」の発想がなかった。せっかく材料がそろい、香港に進出するという条件も整っていながら、最初から「Suica」と「Edy」をコンビネーションさせるような試みがなかった。もし、ソニーが大きな視点を持って展開していたならば、「FeliCa」は共通化されて世界標準を取っていたはずである。
5.ニュー・コンビネーションの発想方法で忘れてならないのは、個別の価値提供に留まらず、ユーザーのニーズをトータルで考え、グローバル化を前提とした仕様・方式を仕込んでおくことが必要である。
6.今後は、ユーザーの立場に立って、交通系ICカード、電子マネー、クレジットカード、キャッシュカード、ETC、社員証(学生証)、各種会員力ードなど、すべてが結合したカードが登場し、世界はいわゆるキャッシュレス・ソサエティに向かう。世界はすでにキャッシュレス・ソサエティになりつつあるが、コンビネーションが十分になされていないために財布がカードだらけの時代になっている。
7.DeNAの創業者であり、現在、横浜DeNAベイスターズのオーナーを務めている南場智子氏は、大前研一氏のマッキンゼー・アンド・カンパニー時代の後輩だが、1999年にDeNAを立ち上げた時は、インターネットオークションのサービスを収益の柱にしていたが、日本では「ヤフオク」が絶大なシェアを誇っており、新規参入のオークションサイトに勝ち目はなかった。
8.窮地の南場氏が目をつけたのが、デジタルカメラつき携帯電話で、2004年からサービスを始めた「モバオク」である。その仕組みは、オークションでモノを売りたい人は、自分の携帯電話のデジカメで品物を撮影し、その画像をそのままモバオクのプラットフォームに送る。オークションに出品している人間がその場で撮った写真がすぐにサイトにアップされるので、利用者の信頼性が高く、DeNAは息を吹き返した。モバオクは、ヤフオクや楽天オークションと並ぶ日本最大級のインターネットオークションサイトへと成長、定着した。デジタルカメラつき携帯電話×オークションというニュー・コンビネーションが、モバオクを成功に導いた。現在、DeNAの時価総額は約2600億円で、プロ野球球団を有するまでになった。
8.ストックホルムにはセブン・イレブンのお馴染みの看板がある。セブン・イレブンのヨーロッパ進出は、北欧に偏っていて、デンマークー89店舗、スウェーデンー85店舗、ノルウェー156店舗である。ストックホルムのセブンー・イレブンは街並みに溶け込んでいたが、店内に入って驚いたのは、レジ周りにはカフェを展開している。「コンビニエンスストア×ファストフードショップ(カフェ)」が、スウェーデンにおけるセブン・イレブンである。オーストラリアでは、セブン・イレブンはガソリンスタンドと組み合せである。
9.コンビニの実力を示す1店舗あたりの平均日販は、セブン・イレブンは約67万円なのに対し、ローソン:約55万円、ファミマ:約52万円である。全店売上高(2015年2月期)はセブン・イレブンは4兆0082億円、ローソンは1兆9619億円である。その差は、セブンカフェの客による全商品への売り上げである。
10.ローソンの「ニュー・コンビネーション」の格好の材料は、2014年に550億円で買収した高級スーパーマーケットの「成城石井」である。ここには、ワイン、ハム、ソーセージ、弁当、惣菜などにユニークな商品がたくさんある。成城石井舗前に、中国人観光客を乗せたバスが停車している。旅行会社や観光ガイドが「成城石井の弁当や惣菜はおいしい」ということを知っているから、わざわざ連れてくる。ローソンがやってはいけないのは、成城石井のノウハウを導入した商品を大量生産してローソンで安く売り、成城石井の高級イメージを崩してしまうことである。


yuji5327 at 11:14 

2017年07月07日

日本の小売業1位のイオンの年商が約8兆2000億円、2位のセブン&アイ・ホールディングスの年商が約6兆円だから、アリパパの売り上げはケタ違いである。

「大前研一著:日米市場をも呑み込む中国アリババの野望、週刊ポスト、2016年8月5日」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.中国のeコマース市場の急拡大が世界を激変させている。その中核は、中国のネット通販最大手アリババグループで、同社は6月、中国の家電量販最大手蘇寧雲商集団との協業の具体策を発表し、「王者連盟」とも報じられたが、アリババが蘇寧を救済したという見方もある。
2.蘇寧は中国国内で2700の店舗を展開し、実店舗の小売企業としては売上高トップで、サッカー日本代表DFの長友佑都選手が所属するイタリア・セリエA「インテル・ミラノ」の買収でも話題になった中国を代表する巨人企業である。しかし、近年はアリババをはじめとするネット通販の台頭で営業赤字に陥っている。
3.中国では今、日本やアメリカと同じように、実店舗を全国展開している量販店が伸び悩み、スマホ1つで何でも買えるeコマースが急成長している。その代表格が、中国国内のネット通販で6割のシェアを占め、物流と決済機能を押さえているアリババである。昨年11月11日の「光棍節」セールの総取引額が1日で約1兆7600億円に達した。日本の小売業1位のイオンの年商が約8兆2000億円、2位のセブン&アイ・ホールディングスの年商が約6兆円だから、アリパパの売り上げはケタ違いである。
4.アリババは蘇寧との提携によってネットと実店舗を組み合わせて相乗効果を生み出すことで、さらなる成長を目指している。だが、アリババが国境を越えて世界に広がることはない。eコマースが国境を越えて成功した企業は少ない。その国の言語に非常に依存するし、国ごとに消費者の嗜好や購買行動が大きく異なるからである。
5.日本の楽天も海外では大苦戦し、次々と撤退している。楽天が約920億円で買った無料通話アプリのViberという会社も、楽天は買収しただけで経営らしいことはできていない。ネット企業が国境を越えるのは難しい。
6.アメリカ企業でありながら日本で成功しているアマゾンは例外的である。アリババと蘇寧の「王者連盟」も、基本的には中国国内に限定される。しかし、アリババとヤフー連合は、すでに日本のヤフー(ヤフージャパン)とアリババはeコマースで提携しているので、中国人は日本のヤフーで売っている商品をアリババから直接購入できる。訪日中国人観光客の「爆買い」が減っているのは、アリババで日本の商品が簡単に買えるようになったことが影響している。中国で苦労して販売網を構築してきた日本企業では、アリババで日本の商品が手軽に買えるようになって以来、現地の代理店の売り上げが急減している。たと7.今後のアリババとヤフーの協業の行方のカギを握るのは、日本のヤフーの親会社ソフトバンクグループの孫正義社長とアリパパのジャック・マー(馬雲)会長である。孫社長とマー会長は、孫社長が創業間もないアリババに20億円を出資して以来の親密な関係で、ソフトバンクが約32%のアリババ株を保有する筆頭株主となり、アリババのアメリカ株式市場上場によって、ソフトバンクの含み益は一時10兆円を超えた。
8.アリババが米ヤフーを買えば、日本ヤフーも支配できるから、アリババは中国人が欲しがっているアメリカの商品や日本の商品を好きなように売ることができる。そうすれば一気に中国市場を制覇することができる。マー会長と孫社長は友達だし、非常に面白い戦略である。孫社長とマー会長はお互いに株を持ち合うことになり、この2人で日・米・中のeコマースを支配する可能性もある。孫正義とジャック・マーの2人の野望がどこまで膨らみ、何を仕掛けるのか見ものである。


yuji5327 at 06:51 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
(平成28年度、国立新美術館にて開催)
・読売書法展(8月開催、現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(3月開催、現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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