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2019年10月20日

多くの民族や宗教、言語が混在し、紛争や戦争が絶えなかった。ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボは、第一次世界大戦の引き金となった場所である。


「池上彰と増田ユリヤ著:彼は英雄かーボスニア・ヘルツエゴビナ、PRESIDENT、2019.9.13」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.バルカン半島は「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれてきた。地政学的にアジアとヨーロッパを繋ぐ要衝で、多くの民族や宗教、言語が混在し、紛争や戦争が絶えなかった。ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボは、第一次世界大戦の引き金となった場所として有名である。
2.1914年にオーストリア:ハンガリー帝国の皇位継承者夫妻がこの街を訪問中、ボスニア系セルビア人の7人の青年によって暗殺された。オスマン帝国の力が衰えていたこの当時、バルカン半島はオーストリアの支配下にあった。この「サラエボ事件」をきっかけに、オーストリアが当時のセルビアモ国に宣戦布告。双方の同盟国が、続々と参戦した。
3.我々は世界史の教科書で、セルビア人の民族主義者がテロを起こしたせいで第一次世界大戦が勃発した、と教わった。ところがセルビア人にとっては、彼らはオーストリアなど外国による統治に抵抗した英雄である。セルビア人には、「大セルビア」という民族統一の強い概念がある。
4.隣国セルビアの首都ベオグラードの公園に立っている銅像は実行犯となった、ガブリロ・プリンツィプという当時19歳の青年で、4年後に獄中で死亡している。生花の赤いバラを持って立っていた。セルビア諸で「歴史に名を残す人か生まれてくれてありがとう」という趣旨のことが書いてある。日韓でも同じように、伊藤博文を暗殺した安重根も日本ではテロリストと呼び、韓国では民族的英雄と呼ぶのは同じ構造である。この銅像の場所で大学生風のカップルに聞いたら、知らなかった。どの国でも戦争に関する考え方や自分の国の歴史を声高に語る人がいる一方で、若い人たちの意識は違ってきている。
6.第二次世界大戦後のサラエボは、社会主義のユーゴスラビア連邦人民共和国に属するボスニア・ヘルツェゴビナ人民共和国の首都ヒして発展した。84年には、冬李オリンピックも開催したくらいである。そのあと、悲惨な内戦が勃発した。東西冷戦が終わって、91年からユーゴスラビア連邦の解体が始まった。ボスニア・ヘルツェゴビナに住むセルビア人はユーゴ連邦に留まることを望んだが、クロアチア人やイスラム教徒のボシュニャク人が92年に独立を強行した。セルビア人たちは、「ボスニア・ヘルツェゴビナ・セルビア人共和国」を名乗って分離を宣言した。双方の間で武力衝突が始まった。
7.サラエボでも激しい戦闘が行われて、たくさんの死者が出た。内戦の犠牲者の墓地は、オリンピック競技場の跡地である。イスラム教徒は土葬するので、公園や空き地がどんどんお墓になり、ついにオリンピックの会場だったところまでお墓にした。いまも丘を上ると、あちこちに白いまとまりが見えるが、それはみんな墓標である。
8.紛争は国連の調停で95年に終った。今はボスニア・ヘルツェゴビナという共和制国家で、歴史的に、北側はボスニァ.南側はヘルツェゴビナと呼ばれている。この国は2つの自治共和国から成り立っている。ひとつは「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦」で、クロアチア人やボシュニャク人の国である。もうひとつは「スルプスカ共和国」で、セルビア人の国である。内戦が終わっても両者は分断されたままで、住む場所も完全に分かれている。9.サラエボから山を越えた南側は、スルプスカ共和国の首都・東サラエボである。看板を見ると、山を越える手前はラテン文字(アルファベット}で、山を越えた先はキリル文字になっている。通貨単位は同じマルクである。しかし、お札の色や文字は違うし、肖像画も別々だが、どちらの国でも使える。
10.もともと旧ユーゴスラビアは、「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの国家」と形容されるほど、複雑な成り立ちである。現在は分離独立して、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、北マケドニアの6力国になっています。スロベニアはトランプ大統領の夫人メラニアさんの山身地で、小さい国である。首都はリューブリャナ。トランプ大統領と結婚したばかりの頃、メラニア夫人の最終学歴はリュブリャナ大学卒となっていた。首都の名前を冠する大学だから、日本で言うと東京大学に当たるがトランプさんが大統領選挙に出馬し途端、リュブリャナ大卒は経歴から消えていた。


yuji5327 at 06:24 

2019年10月19日

同じアジアのASEAN諸国などは非ホワイト国でも日本と良好な関係を維持している。韓国も普通の国に戻ってもらうだけである。


「大前研一著:日韓貿易対立でわかった文在寅の本姓、PRESIDENT、 2019.9.13」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日韓の対立悪化がとうとう貿易問題にまで広がった。7月l日、経済産業省は韓国への半導体材料3品目の輸出に閲して、7月4日から契約ごとに審査・許可する方式に切り替えると発表した。対象となる半導体材料はフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目である。フッ化ポリイミドはスマートフォンの液晶などの基板材料から宇宙航空関連の部材まで幅広く利用されている化学製品で、世界の全生産量の約9割を日本が占めている。レジスト「感光材」は半導体などを物理的、化学的に処理する際の保護膜。高純度フッ化水素は「エッチングガス」とも呼ばれ、半導体や太陽電池などのシリコン基板の洗浄に使われる。
2.高純度フッ化水素の製造技術は日本のメーカーが圧飼的で、市場シェアをほぼ独占している。これらの半導体材料の韓国への輸山は、これまで一度許可申請をすれば3年間は申請なしで輸山することができた。この包括輸出許可制度の対象から韓国を外したため、7月4日以降は契約ごとに個別の輸出許可申請が必要になった。
3.経済産葉省は輸出管理上の国別カテゴリーを見直して、輸出手続き簡素化の対象となる「ホワイト国〔グループA〕」から韓国を除外する方針を明らかにした。ホワイト国とは、簡単に言えば、輸出管理を徹底して軍事転用の恐れのある危険な物資を無闇に世界に流さないように努力している、と日本政府が認めた国のことである。ホワイト国に対しては規制を最低限にとどめて、効率よく輸出できるように取り計らわれる。
4.日本がホワイト国に指定しているのは欧米の先進国を中心に世界27力国。アジア圏では唯一韓国だけが該当国だった。非ホワイト国への輸山は契約ごとに個別許可が必要で、許可を得るまでに最大90日かかる。審査が長引けばもっと日数がかかるし、場合によっては輸出許可が下りないこともありうる。韓国に対する輸出管理を厳格化する理由について、経済産業省は「韓国との信頼閲係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっている」、さらには「韓国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生した」と説明している。
5.「不適切な事案」とは、日本からの輸出品が韓国経由で北朝鮮やイラン、シリアに流れたケースなど推測できることはいくつかあるが、経済産業省は「守秘義務」を理由に具体的な内容を明らかにしていない。韓国がWTO{世界貿易機関〕に提訴するなど、今後の展開次第では「不適切な事実」の内容が明らかになってくるかもしれない。自由貿易論からすれば、日本のやり方は正しいとは思えない。しかし、まるで尻尾を踏みつけられたような文在寅大統領の反応を見るにつけ、断固たる姿勢を示すことも時に必要と思えてくる。
6.徴用工問題や慰安婦問題では木で鼻をくくったような対応しかしてこなかったのに、今回の日本の措置には過剰に反応して国家存亡の危機であるかのように騒ぎ立て、「李舜臣はわずか12隻で国を守った」と豊臣秀吉の朝鮮出兵にまつわる逸話まで持ち出して対決姿勢を煽った。なぜ大統領が「国家の非常事態」とギャンギャン騒ぎ立てるのかは、ほとんど理解不能である。半導体材料の輸出規制については、韓国の半導体産業の主力であるメモリー関連の材料は規制対象になっていない。それに日本のメーカーの海外拠点からの輸出も規制の対象外である。
7.だから影響を受ける韓国企業のほうは、それほど騒ぎ立てていない。影響が少なくなるように複雑な手当てを粛々と進めて、努めて冷静に対処している。ホワイト国からの除外にしても、同じアジアのASEAN諸国などは非ホワイト国でも日本と良好な交易関係を維持しているわけで、韓国も同じ立場の「普通の国」に戻ってもらうというだけのことである。
8.8月2日に日本政府がホワイト国から韓国を除外する政令改正を閣議決定すると、文大統領はさらにヒートアップして日本政府を激しく非難した。「問題を解決するための外交的努力を拒否し、事態を一層悪化させるきわめて無謀な決定であり、深い遺憾の意を表する」「これから起きる事態の責任が全面的に日本政府にあるという点をはっきりと警告する」「厳しい状況にある我々の経済に困難が加わった。だが我々は二度と日本に負けない」「加害者である日本が盗っ人猛々しく騒ぐ状況を決して座視しない」など、文言の端々から文大統領の本性が滲んでくる。
9.朴前大統領の弾劾・罷免を受けて2017年に行われた大統領選挙で文大統領は当選した。脱北避難民の子どもに生まれ、親北の金大中元大統領や盧元大統領の側近として仕えた文大統領が自らの使命と考えているアジェンダはただ一つ、南北統一である。半面、祖国分断の責任は日本の植民地支配にあり、日本は加害者と固く思い込んでい。
10.「親日清算」を掲げ、朴正煕、朴槿恵大統領父娘政権の親日路線を否定するところからスタートした文政権は、日韓閲係を冷え込ませる姿勢を一貫して取り続けてきた。朴槿恵大統領前政権否定の象徴的なトピックスは「和解・癒やし財団」、いわゆる慰安婦財団の解散である。15年の日韓合意に基づいて設立され、元慰安婦や遺族への支援事業を行ってきた同財団を、文政権は日本政府の同意を得ることなく勝手に解散してしまった。日本が拠出した10億円の残金の取り扱いも不明のままである。18年10月には、韓国の最高裁に当たる大法院が日本企業に韓国人元徴用工への賠償を命じる判決を確定させた。
11.韓国の歴代政権は、徴用工問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決済みとの見解を維持してきたが、文大統領は「司法判断を尊重する」として政治介入を避けた。「判決は国際法違反」と主張する日本政府は韓国に対して2国間協議に応じるように再三要請したり、日韓請求権協定に基づく仲裁委員会の設置を求めた。しかし文大統領は一切取り合わなかった。文政権か政治的な歯止めをかけなかった結果、徴用工問題は当該日本企業の資産差し押さえ、さらに売却によるキャッシュ化と取り返しのつかない状況になりつつある。慰安婦問題、徴用工問題など、問題を解決するための外交的努力を拒否して、事態を悪化させてきたのは、まさに韓国側である。
12.日本の韓国向け輸出管理の厳格化を「徴用工問題などの〕政治的な報復であり、不当な措置だ。WTO規範に反する」と韓国が非難すれば、「あくまで安全保障のための輸出管理の一環であり、WTOの規則に則っている」と日本は真っ向から否定して、国際会議の場などでも激しくやり合っている。以前から麻生太郎財務大臣が徴用工問題で日本に実害が出た場合の報復搭置に言及していたので、今回の日本の借置に「報復」の意図が微塵もなかったとは思わない。しかし、徴用工問題よりもはるかに日本政府が問題視したのは文政権になってからの韓国の輸出管理体制である。それまでは日韓が事務レベルで意見父換をしながら貿易上の問題点を共有し、輸出管理体制の運用改善につなげてきた。しかし文政権になってからはそうした協議がまったく行われなくなったという。日本側の呼びかけを韓国側が無視してきたのである。
13.文大統領の韓国が北朝鮮に異常接近する状況下で、韓国の輸川管理体制に信頼が置けなくなれば、日本としては安全保障上の観点から韓国に対する輸出管埋を見直して厳重にするのは当然のことである。それをやらずに軍事転用可能な日本の輸出品が韓国経由で第3国に流出すれば、今度は国際社会から日本の輸出管理体制の甘さが問われることになる。つまり、今回の日本の措置は日本の呼びかけに応えてこなかった文大統領の対日外交姿勢がもたらしたと言っていい。当初、韓国のメディアや野党からは文政権の対日外交の失敗を問う声が出ていた。しかし、日本政府が韓国のホワイト国除外を閣議決定してからは、メディアも議会も日本批判一色になった。不買運動や反日デモも広がるばかりである。
14.韓国は日本への対抗措置として、輸出手続き上の優遇国からの日本の除外、WTOへの提訴準備の加速、観光・食品・廃棄物などの分野での安全対策強化を挙げている。さらには北朝鮮の核ミサイル情報を共有するための日韓軍事情報包括保護協定{GSOMIA〕の破棄や東京オリンピックのボイコットまで検討しているという。それこそ筋違いの報復措置である。韓国がホワイト国への再指定を望むなら、自国の輸入管理体制の適正化が先決だが、そんな殊勝な姿勢は見えない。文大統領は来春の総選挙に向けて対日強硬論で支持率を上げるほうに意識が向いているようで、日韓の対立激化は当面、収まりそうにない。

yuji5327 at 06:50 

2019年10月18日

世界一高い山は、標高8848mのエベレストである。これは海水面からの高さで、山の麓から、正味の山の高さの世界一はハワイ島のマウナケア〔標高4205m〕である。


「巽好幸(神戸大学教授)著:地球深部の熱源は移動するかホットスポットの熱い議論、週刊ダイヤモンド
、2019.8.31」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.世界一高い山は、標高8848mのエベレストである。これは海水面からの高さである。山の麓から、つまり正味の山の高さの世界一はハワイ島のマウナケア〔標高4205m〕である。海底から1万0203mもそびえ立っている。太平洋のど真ん中にこんなにごつい山ができた理由は、ハワイ島は、地球深部の「ホットスポット」と呼ばれる熱源から、マグマが次々と供給されてできた巨大火山だらである。このようなホットスポット火山の研究は、「プレートテクトニクス」の成立に大きく貢献した。そして今も新たな研究が進むホットな分野である。
2.ドイツの気象学者、アルフレッド・ウェゲナーが「大陸移動説」を唱えたのは1915年である。当時、この説はあまりにも先鋭的だった上に、大陸を動かす原動力がよく分からなかった。このため、彼の死後はすっかり忘れ去られた。しかし、大陸移動説は60年代に復活する。海嶺と呼ばれる海底大火山山脈で誕生した海底〔プレート〕が、左右に拡大していることが発見され、それが大陸移動の原動力だと分かった。これをきっかけに、大陸移動説はプレートテクトニクスへと進化した。
3.その頃、太平洋の「海山列」に注目した2人の研究者がいた。カナダのツゾー・ウィルソンと米国のウィリアム・モーガンである。太平洋の海底には、ハワイ島からアリューシャン列島の西端付近まで約6000kmにわたり「海山」が並んでいる。「ハワイ・天皇海山列」である。海山は古い火山で、ハワイ島から離れるほど年代は古くなる。天皇海山列の北端は、8000万年前にできたものである。このような火山の年代と距離の関係は、他の海山列でも認められた。彼らは、ハワイ島や太平洋南部のピトケアンなどの活火山の源は、プレート運動に影響されない地球深部に存在し、そこから次々とマグマがヒ昇すると考えた。
4.プレートは一定の速度で動いているのだから、古い火山ほど活火山の源から離れた所まで移動する。この地球深部の熱源はホットスポットと名付けられた。この「不動」のホットスポットという概念の登場で、過去のプレート運動を見積もることが可能になった。例えばハワイ海山列の各火山の年代とハワイ島からの距離に基づくと、太平洋プレートは年間8cmの速さで北西方向へ移動していることになる。
5.太平洋プレートヒにある海山列はいずれも"くの字“形に折れ曲がっている。そして屈曲点の火山は約4700万年前にできたものである。このことは、太平洋プレートの運動方向がこのときに急変したとすればうまく説明できる。その後、海山列の調査が進むにつれて奇妙なことが分かってきた。天皇海山列の海山が、予想される位置からずれている。このことは、ハワイホットスポットがずっと不動だったのではなく、かつて「移動」していた可能性を示す。もしそうならば、天皇海山列とハワイ海山列の"くの字"は、4700万年前のプレート運動の急変を意味するのではなく、移動していたホットスポットが停止した結果なのかもしれない。
6.太平洋プレートの運動が急変したという説には、別の観点からも疑問が出ていた。もしこんな急変が起きたならば、日本列島などの太平洋プレートが沈み込む地帯では「大異変」が起きたはずである。しかし、4700万年前に特段の異変は認められない。
7.ホットスポットの「不動説」と「移動説」は、激しい論争を引き起こした。それぞれのシナリオは、不動説では、現在のハワイ島の位置にできた火山は、4700万年前までは北北西に移動する。そして、プレート運動の急変で、古い火山は天皇海山列を、4700万年前よりも後に誕生した火山はハワイ海山列を形成する。一方の移動説では、大昔には現在のハワイ島よりも北側で火山が誕生し、プレート運動によって現在の天皇海山列まで移動。そして4700万年前にホットスポットが停止した後に、ハワイ海山列が形成される。ハワイホットスポットの移動を認めると、4700万年前までのホットスポットは、現在のハワイ島よりも北に存在したはずである。
8.これを実証したとする論文が2003年に発表された。それは溶岩に記録された過去の地球磁場に注日したものだった。日本列島付近では、磁石は水平よりも約50度北に傾いている。この角度は赤道では0度、北極では90度である。この関係を使い過去の溶岩を調べると、火山が誕生した緯度を推定できる。ハワイー天皇海山列のデータは、天皇海山列では古い火山ほど高緯度に位置していた可能性を示した。このデータはホットスポット移動説の決定打になると思われた。しかしその後、過去の磁極の移動を考慮すると、天皇海山列の火山にも、現在のハワイ島とほぼ同じ緯度で形成されたものがあることが分かった。つまり、ハワイホットスポットは約6000万年前には今の位置に達し、その後は不動だった可能性が高い。ならば、太平洋プレートの運動方向の急変が、ハワイー天皇海山列の屈曲の主な原因ということになる。
9、だが昨年、移動説を後押しするデータが発表された。他の海山列とハワイー天皇海山列の形成年代のデータが整備され、ホットスポット聞の距離が推定された。これによると、ハワイと太平洋南部のルイズビル、ルルツの両ホットスポット問の距離は、4700万年前以降は 一定なのに対して、それ以前はもっと離れていた。つまり、ハワイホットスポットは決して不動ではない。
10.ホットスポット不動説はプレートテクトニクスの成立に重要な役割を果たした。しかし今では、少なくともハワイホットスポットについては、過去に南方へ移動したことは確からしい。なぜこのようなホットスボットの移動が起きて、なぜそれがストップしたのかは、今後も議論される。


yuji5327 at 06:29 

2019年10月17日

不確実な未来での新事業を、直感と試行錯誤で行動するベンチャー型の人材が求められ、複数のベンチャー企業に投資し、失敗も計算に入れ、投資リターンを得る。


「校條浩著:両利きの経営と参謀、週刊ダイヤモンド、 2019.08.31」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.デジタル化の大きな波の中で、全ての企業で事業のイノベーションが課題となっている。既存企業でのイノベーションへの取り組みで問題になるのが、「イノベーションのジレンマ」である。これは、「優良な企業が顧客に対応して努力すればするほどイノベーシヨンから遠ざかり、新たな挑戦者(イノベーターや破壊者)に足をすくわれる」というジレンマのことで、クレイトン・クリステンセン氏が著書の中で解き明かしたものである。この本は今や世界中の企業経営者、幹部のバイブルとなっている。
2.イノベーションのジレンマを理解すると、次に「既存企業は外からの挑戦者による破壊的な力の前に、なすすべはないのか」という疑問が湧いてくる。そこで、私は既存組織の"城壁"の外側に独立したベンチャー組織をつくり、そこでつくられた新事業を「トロイの木馬」のように城壁の中に引き入れるモデルを提唱してきた。木馬(新事業)の開発途中では、なるべく既存組織の影響を受けないようにすることが最重要と信じていたからである。既存のビジネスモデルとは異なる新事業をつくることは、管理・秩序を重んずる閉鎖的な古い組織の中では難しい。だから、物理的にも企業本体から切り離して開発する必要がある。ただ、新しい組織をつくるだけでは回らない。そこに集う企業の従業員たちは既存事業の規範が身に付いていて、失敗を恐れず試行錯誤しながら木馬をつくるという、イノベーション追求に必要な文化を持っていないからである。
3.そこで要となるのが、経営トップである。経営トップは「新しい事業分野にチャレンジするコミットメントを表明せよ」。イノベーシヨンが分からないことを勇気を持って認め、新しい組織のリーダーやイノベーション人材を探索・選択することに自らコミットせよ」「新事業創造の組織に合った人事政策のビジョンづくりをけん引すべき」は新時代の経営トップに課せられたことである。
4.スタンフォード大学経営大学院のチャールズ・オライリー教授は、新時代の経営トップに課せられることを、豊富な研究事例を基に「両利きの経営」であると提唱し、脚光を浴びている。「両利き」とは新事業の探索・創造と既存事業の維持・深化をあえて両方追求する経営を指す。今では、オライリー教授の下で学ぼうとする経営トップ・幹部が、日本を含む世界中から集まってくる。「トロイの木馬型」でも、「両利きの経営」でも、経営トップに課せられるハードルは高くなる。実際、オライリー教授が取り上げている例を見ても、その難しさが分かる。
5.オライリー教授は、IBMとシスコシステムズが2000年ごろに既仔事業から転換していく苦難の過程を紹介している。どちらも、サミュエル・パルミサーノ氏(IBM)、ジョン・チェンバース氏(シ一スコ)という名経営者が、新事業組識と既仔事業組織のシナジーを求めて自社をけん引した。両氏は、両利きの事業運営を成功させるために、新事業創造の戦略的方向性を明示し、その活動を保護、支援。さらに異なる文化の組織を設計し、共通の価値観を提示するという難題を、全て実行してみせた。彼らのような実力者だからこそ成し遂げられた。
6.結果としてシスコはIBMほどの成果を上げられなかった。チェンバース氏の新事業創造のビジョンの具体性が不十分だったことと、乱立したプロジェクトの絞り込みが足りなかったのが原因だといわれている。ただこれは、経営トップに未来を見通すセンスや嗅覚が求められることを意味しており、これでは、どんなに優秀な経営トップでも、イノベーション活動をけん引するのは困難だろう。むしろ必要なことは、経営トップのエンパワーメントだ。イノベーションのために経営トップに課せられた能力は、それまでの能力とは異質であり、既存事業で培われた能力だけでは早晩破綻する。あのチェンバース氏でさえ足りなかった。
7.筆者が堤案したいのが「イノベーション型企業参謀」である。経営コンサルタントの大前研一氏が1975年に著した『企業参謀』では、経営トップの近くに戦略的思考家のグループを置くことを提案している。この「戦略的思考家グループ」とは、「組織の中にあって、外部にあるような極めて客観性と独立性の強いトップレベルの参謀グループ」であり、参謀とは「単にスタッフ的に作動するだけでなく、企業の運命を左右するトップの精神を持ち、企業体の頭脳中枢として戦略行動方針を策定し、それをラインへ実行させる独特の力を持つ」ものである。8.今経営トップに足りないのは「戦略的思考」の参謀ではなく、「イノベーション的思考」を持つ参謀である。前者が事実と分析に基づいて論理的に考えるMBA型なら、後者は不確実な未来での新事業を、直感と試行錯誤で行動するベンチャー型の人材である。求められる能力は、未来のビジョンを持って複数のベンチャー企業に投資し、投資先の失敗も計算に入れながら投資リターンを得るベンチャーキャピタルに似ている。さらに、参謀は経営トップの精神を自ら持っていることが重要である。「数十年先に会社の経営トップになる」ということを本気で思いながら企業の針路を考えている人材である。そこには部下という意識はなく、経営トップとはあくまで対等の意識でなくてはいけない。
9.もう一つ大事なのは、若いことである。未来に対する真剣度と感度が違う。さらに、現業の成績に対する責任がないことで、自由な発想ができ、失敗を恐れる気持ちも小さい。ただ、イノベーション型企乗参謀はそもそもあまり存在しないのと、存在していても企業の外からは見えにくい。


yuji5327 at 06:43 

2019年10月14日

韓国に直接半導体を輸出するのを取り締まる一方で、日本が抜け道を作るという事がある。日本の輸出規制という制裁は実質的に意味がない。

2019/8/23付けの大前研一さんの「 ニュースの視点 」(発行部数 160,467部)は「米ウォルマート/米ゼネラル・エレクトリック/韓国サムスン電子/世界石油大手〜小売業界の巨大な戦い」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米国のウォルマートが発表した2019年5月〜7月期決算は、最終損益が36億1000万ドル(約3800億円)となった。生鮮食品や飲料の販売が好調だったほか、成長分野のインターネット通販部門の売上高が約37%増加したことなどが寄与した。これはウォルマートにとって久しぶりに良いニュースである。
2.最近の業績推移をみると、四半期ごとの売上純利益も落ち込んでいたが、ここに来て盛り返してきている。特に、今回は通販部門の売上が好調だったという点が重要である。量よりも質を重視していくというウォルマートの戦略が、結果的に量にも反映されることを証明した形になった。アマゾンのようにディスカウントで量を取りに行くのではなく、自分たちの売りたい値段で質を追求しながらも量を確保していくという戦略が功を奏した。ウォルマートとしては久しぶりに手応えを感じているのではないかと思う。
3.長期的に株価を見ても、アマゾンの株価が急騰してきたのに対し、ウォルマートの株価は堅調に上げてきている。これまでも継続していたアマゾン対策がようやく実を結んだ結果と言える。式市場では、ウォルマートが
アマゾンの犠牲者になるというのが近年の定番だったが、今回の結果を受けてやはりウォルマートのように自主店舗を持っているところが強いという風潮も出てきている。すなわち、現在の状況はウォルマートによってアマゾンに歯止めがかかったという形である。今、アマゾンとウォルマートによる巨大な戦いにおける勝負の分かれ目が訪れている、と感じさせられる決算だった。
4.米国の著名会計専門家ハリー・マルコポロス氏が15日、ゼネラル・エレクトリックが巨額の損失を隠すため
不正会計を行っているとする報告書を公表した。報告書は175ページにのぼり、ヘッジファンドと協力して7ヶ月かけて調査したということで、不正額は発見できただけでも380億ドルに上るとのことである。GE側は「解釈の違い」と否定している。
5.詳細な分析結果として発表されている不正額は、約4兆円ということだから、深刻な問題です。これを受けてGEの株価は大きく下落している。数年前まで約30ドルだった株価は、今では10ドルを下回る水準に落ち込んでいる。
6.レポート作成に協力したのがヘッジファンドだから、株価の下落を受けて売り浴びせて儲けようという
目論見もあると思う。しかし、これだけ詳細なレポートを提出されると、ヘッジファンドの思惑はともかくとして、今はGEが4兆円の不正額を掃き出して、不正を白状するのかどうか注目されている。
7.韓国のサムスン電子が日本からの輸出管理が厳格化されたフォトレジスト(感光剤)をベルギーから調達していることがわかった。調達先は2016年に日本の化学大手JSRとベルギーの研究センターIMECが設立した合弁会社とみられ、半年から10ヶ月分を購入し、最先端の半導体チップ製造工程で使用している。
8.韓国に直接半導体を輸出するのを厳しく取り締まる一方で、サムスンのように関係性を維持したいと思うところには、日本が抜け道を作ってあげているという事である。サムスンはベルギーの会社から半導体を購入したが、航空機で送ってもらえばあっという間だから、日本の輸出規制という制裁は実質的に意味がない。
9.インドの財閥大手リライアンス・インダストリーズは12日、サウジアラビアの国営石油会社・サウジアラムコがリライアンスの石油関連事業に20%出資することで合意したと発表した。出資額は約1兆5750億円に上り、
これによりリライアンスは原油を安定的に確保する一方、サウジアラムコは高まるインドの需要を取り込む考えである。インド最大の財閥であるリライアンスは最近業績が大きく低迷していた。インドにとってみるとリライアンスにとっても渡りに船である。サウジアラビアの動きを見ていると、「他国に深く関与していく」という国家戦略がはっきり見えてきた。


yuji5327 at 07:10 

2019年10月13日

アメリカ人が社会主義に嫌悪感を抱かなくなったのは、大統領選挙で民主党候補のヒラリー・クリントンと激しく争ったバーニー・サンダース上院議員の影響が大きい。

「池上彰著:
知らないと恥をかく世界の大問題、角川新書、2019.6.10」は面白い。「第1章:居座るトランプ・アメリカファースト主義」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.2018年11月、アメリカで「中間選挙」があった。4年ごとに行われる大統領選挙の中間に実施される選挙で、アメリカの有権者の、ドナルド・トランプ大統領の型破りな2年間に対する審判である。アメリカの大統領の任期は4年間。下院議員は任期が2年間しかない。大統領選挙のときに同時に選挙を行い、それから2年が経ったので2018年11月、下院議員のすべてを選び直す。一方、アメリカの上院議員の任期は6年で、下院選挙が2年ごとにあるので、これに合わせて上院は全体の3分の1ずつを選びなおす。つまり、4年ごとの大統領選挙の間の年に、アメリ力連邦議会の下院全員と上院の3分の1が改選される。
2.2018年11月の中間選挙の結里ほ、上院はトランゾ大統領の与党の共和党が、下院は民主党が、多数派となり、下院を民主党に奪還されたとはいえ、上院では共和党がわずかながら議席数を増やした。.トランブ大娩領はいろいろなことを言われるが、アメリカでは人気が根強い。こうしてアメリカ議会は、上院と下院て多数派が異なる「ねじれ議会」となった。中間選挙の結果、与党が下院の多数派の立場を失い、トランプ大統領は厳しい議会運営を迫られている。
3.下院議員の数は各州の人口に比例して割り振られ、定数は435議席で、選挙区はすべて小選挙区である。小選挙区とは、1つの選挙区に対して当選者が1人だけ、という制度である。民主党の候補と共和党の候補が対決する。候補者は選挙区に現職議員がいても選挙のたびに党内で予備選挙を実施して候補者を選ぶ。
4.この仕組みの結果、今回は候補者の特徴に異変が起きました。民主党の場合、共和党のトランプと十分にやり合えていない現状を憂えている人たちが自ら名乗りを上げるケースが目立った。代表的な例が、ニューヨーク州の選挙区のひとつから立候補したアレクサンドリア・オカシオコルテスです。オカシオコルテスは28歳のヒスパニック系の女性で、約20年にわたり下院議員を務めてきたベテラン現職議員を予備選で破って出てきた。前の年までウエイトレスとして働いていたが、突如として政治に目覚め候補者となり、女性議員としては最年少で当選した。インフレにならない限り、赤字国債をいくら発行しても問題ないという「現代貨幣理論(MMT)」を支持し話題となっている。彼女に限らず、民主党は左派が大挙して候補者になった。アメリカで社会主義者を名乗るのは自殺行為だと考えられていた時代が長かった。
5.アメリカ人が社会主義という言葉に嫌悪感を抱かなくなったのは、2016年の大統領選挙で同じく民主党候補だったヒラリー・クリントンと激しく争ったバーニー・サンダース上院議員の影響が大きい。オカシオコルテスの当選を可能にした背景には、近年のアメリ力社会における大きな経済格差がある。一方、共和党にも変化があり、トランプ化が進んでいる。共和党本流の中にトランプという人間に眉をひそめる人も多かったが、反トランプ派が、中間選挙を機に次々に政治家を引退した。共和党候補には、「トランプチルドレン」とでも呼ぶべき過激な右派候補が続出した。中間層が抜け落ちてしまったのが今回のアメリカ中間選挙である。共和党は「より右寄り」に、民主党は「より左寄り」というのが、いまのアメリカ議会である。
6.下院の議席は州の人口に比例して割り当てられる。10年に1度国勢調査があり、その調査に基づいて州ごとに何人の下院議員を割り当てるかが決まる。下院が国民の代表と称していい。上院は人口に関係なく、各州2人ずつ。アメリカは50州あるので定数100人で、上院は州の代表である。上院と下院の役割の違いについて、国務長官などの閣僚人事は、トランプ大統領が指名した後、上院の承認が必要である。最高裁判所の判事についても同様です、人事については上院が絶対的な力を持っている。予算案や法案を成立させるためには、上院と下院の双方の議決が必要である。アメリカの場合は上院と下院が全く対等で、予算案をつくるのは議会である。大統領に予算案をつくる権限はない。大統領は議会に頼むしかない。アメリカは議会の中に「予算局」というのがあって、ここで予算案をつくり、上院と下院、両方で可決されて初めて予算が成立する。ねじれ議会になると予算がまとまらないことがある。
7.トランプ大統領は選挙中から「メキシコとの国境に壁をつくる」と言っていたが、2018年の暮れ、そのための資金をつなぎ予算として予算案に盛り込もうとしたが、民主党が反対したため、予算案が可決されないままである。政府が使える資金がなくなり、連邦政府の役所が閉鎖する事態にもなる。政府機能が停止し、自由の女神などの観光地が閉鎖されたこともある。入国管理官やFBIが仕事を休んだら国が成り立たないので、職員らは、後で給料はもらえる、とボランティア状態で働いてい。上院と下院がねじれている以上、予算がまとまらないことが今後もしばしば起きる。下院は予算決定権のほか、大統領の弾劾発議権も持っている。
8.アメリカ大統領は権限が強大なため「期限付きの独裁者」という人もいる。たとえば、2019年2月15日、トランプ大統領はメキシコとの国境に壁を建設するために「国家非常事態宣言」を出した。議会で認められたのは壁ではなく「フェンス」の建設費で、大統領が求めた約6300億円には遠く及ぼない約1520億円だった。トランプ大統領は受け入れず、非常事態宣言出した。大統領が非常事態宣言を出せば、議会を通さずに国家資金を支出できる。2001年の9・11アメリカ同時多発テロの後、ジョージ・W・ブッシュ大統領が非常事態宣言を出している。アメリカには「国家非常事態法」という法律があり、これに基づいて非常事態を宣言すれば、平時では制限されている権力を行使できる。「戒厳令」と混同するが、戒厳令というのは、非常時に際して通常の行政権、司法権の停止と、軍による支配を実現することである。
9.オバマ大統領のときも、「新型インフルエンザ」の対策促進のため非常事態宣言を出した。予算を決めるのは議会だが、大統領の権限でアメリカ軍の軍事予算や国防総省の薬物対策費、財務省の基金から資金を捻出できる。今回、このトランプ大統領の宣言を議会は無効とする決議案を可決したが、大統領はこの決議案に拒否権を発動した。大統領の拒否兼を無効にするには、上院、下院両院の3分の2の支持が必要だが、支持ほ得られていない。
10.メキシコとの国境に壁を建設しなければいけないほど、アメリカは切羽詰まっているのは、たとえば、メキシコとの国境に近いアメリカのテキサス州で、国境を不法に越えてくる人たちを一時保護する施設で、ホンジュラスから逃げてきた女性に出会った。アメリカに不法に入っているのはメキシコ人ではなく、そうではなく、ほとんどがホンジュラスなど中米の国からの移民集団である。彼らはメキシコを通過してアメリカへ行きたいのだが、中米には麻薬組織ともつながったギャング集団がいて、とても治安が悪い。小さい子どもを持つ親などは子どもを守ろうと、命懸けで国境を越えている。本来、命の危険がある難民は、難民条約に基づいてメキシコが受け入れることになっている。アメリカは受け入れる必要はない。北アフリカやシリアからEU(欧州連合)へ入った難民も、最初はイタリアやギリシャへ入ってそこからドイツを目指した。本来はイタリアやギリシャで難民認定をしなければならないが、通過を見て見ぬふりをした。同じことをいま、メキシコがやっている。
11.アメリカを目指す理由はいろいろある。ホンジュラスから来た女性は、アメリカで生まれた子は自動的にアメリカ国籍が与えられるので、アメリカで出産をしたいという。子どもが成人に達すれば、家族の永住権を中請できます。アメリカで生まれた子どもには自動的にアメリカ国籍がもらえる。これを「国籍の出生地主義」という。その結果、アメリカに入国を図る不法移民は後を絶たない。トランプ大統領は、これが不満で、いったん不法移民の子に国籍を与えると、家族を外国から呼び寄せられる「移民の連鎖」が止まらなくなる。アメリカのように出生地主義をとる国は、カナダやメキシコ、ブラジル、ペルーなどである。日本は血統主義で、父親または母親のいずれか一方が日本国民であれば、生まれた子どもには日本の国籍が与えられる。大半の国で、国籍は「血統主義」によって与えられている。トランプ大統領は、出生地主義を大統領令で廃止する意向を明らかにした。しかし、大統領令で、合衆国憲法で規定されている出生地主義の制度を廃止することはできるのかという、いかにもトランプらしい議論だが、これは難しい。


yuji5327 at 06:54 

2019年10月12日

アメリカは中国による情報抜き取りへの警戒感から、国防権限法を制定した。中国のファーウェイ、ZTEなど5社の部品を組み込んだ製品を締め出すことにした。

「池上彰著:
知らないと恥をかく世界の大問題、角川新書、2019.6.10」は面白い。「第1章:居座るトランプ・アメリカファースト主義」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.アメリカ・ファーストを掲げるトランプ大統領は、貿易面でも「自国ファースト主義義」を推し進めている。「輸入品に高い関税をかける」として、関税を武器に各国からの輸入を制限した。結果的に税金分を負担するのは消費者で、アメリカが中国からの輸人品に関税をかけると、アメリカの消費者の負担が増える。日本は海外から入ってくる牛肉に38・5%の関税をかけている。野菜には3%。畜産農家は安い牛肉が入ってきたら競争に負けるので、国が高い関税をかけて保護している。
2.貿易戦争は相手国だけではなく、自国にも大きなダメージを与える。アメリカが目の敵にしているのが中国で、米中貿易戦争勃発となっている。アメリカはあらゆるものを中国から輸入している。それによってアメリカが貿易赤字に苦しんでいる、というのがトランプの言い分である。対中貿易赤字を少しでも減らすために、アメリカは2018年7月、中国から入ってくるハイテク製品など340億ドル分に25%の関税をかけた。関税をかけられた中国製品はアメリカ国内では値段が高くなって売れなくなる。中国もアメリカから輸入されている自動車や大豆など、同じ340億ドル分に25%の関税をかけて報復した。これはWTO(世界貿易機関)が決めた「報復関税」というルールに則っているので対応に問題はない。
3.日本とアメリカの関係でも、アメリカは日本に対して貿易赤字を抱えていますから日本にも圧力をかけている。関税を使って国内産業を保護する。1929年、ニューヨークで株式市場の大暴落が起きた。それがきっかけで世界恐慌へとつながった思うが、実際にはそうではない。当時のアメリカ大統領(共和党のハーバート・フーバー)はポピュリストで、有権者の支持を得ようと大統領に就任するや大幅減税を実施した結果、アメリカは空前の好景気を迎え、住宅バブルまで起こった。
4.不安が広がり1929年の株価大暴落につながり、金融不安が広がった。金融システムが麻癖すると経済が深刻な状態になる。このとき、アメリカは「スムート・ホーリー法」という法律を成立させた。共和党のリード・スムート上院議員とウィリス・ホーリー下院議員が連名で出したので「スムート・ホーリー法」と呼ばれる。アメリカの国内産業を守るために海外からの輸入品に高い関税をかけるもので、2万品目くらいに平均で60%もの税金をかけた。
5.ヨーロッパなどは反発して報復関税をかけた。アメリカの産業を守ろうとしたら、ヨーロッパへの輸出ができなくなった。世界貿易がほとんど止まってしまい、恐慌へとつながっていく。アメリカの恐慌がヨーロッパへ飛び火し、やがてヨーロッパも深刻な恐慌に陥っていく中で、オーストリアに生まれドイツにやってきたアドルフ・ヒトラーという人物が「これはドイツ人が悪いのではない、ユダヤ人のせいだ」などと主張。みるみる支持を広げ、選挙で勝利した。
6.当時ドイツには、世界で最も民主的と謳われるワイマール憲法があった。民主的な憲法のもと、民主的な手続きによってヒトラーが政権をとった。その権力を使って独裁体制になり、第2次世界大戦へと突入した。当時のようなことがないように、戦後になって、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)ができた。いまの学生は「WTO」で習っている。GATTがその後発展したものがWTOである。自国の産業を守るために高い関税をかけるのをやめるという取り組みで、第2次世界大戦へとつながる世界恐慌になってしまった教訓から、この国際協定ができた。トランプ大統領はそんなことはお構いなし。自由貿易を促進するWTOから脱退すべきだ言い出した。
7.アメリカが中国を徹底的に叩きたい理由には、貿易赤字とはまた別に、外交問題、安全保障問題もある。中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)のナンバー2の女性、孟晩舟がカナダで逮捕された。孟晩舟は、ファーウェイ創業者・任正非の長女である。彼女が捕まった理由は、アメリカはイランに対して経済制裁をしており、イランが核開発をしているという疑惑があって以来、世界の国々に対してイランと貿易をするな、イランに物を売るな、あるいは買うなと圧力をかけている。アメリカの経済制裁とは、売買費用の送金を引き受けた銀行は、アメリカの銀行と取引をさせないというものである。このドルを武器にして、日本がイランから石油を買うと、イランに対してドルで支払いをするが、銀行が、ドルを用立てなければならない。ある企業が外国に送金する場合、金融機関に通貨を持ち込み、ドルに両替して送金する。銀行に十分なドルがなければ送金することができない。アメリカの金融機関との取引ができなくなった銀行は、アメリカのドルを仕入れることができなくなる。ドルが手に入らなくなると大変で、世界との貿易で一切支払いができなくなるので、銀行にとっては致命的である。ドルを入手できない金融機関は、貿易をする企業から相手にされなくなるので、銀行は、イランへの送金やイランからの送金を引き受けない。となるとイランは外国との貿易ができなくなり、経済に打撃を受けるというやり方で経済制裁をしている。ところがファーウェイの孟晩舟が経営権を持っていた子会社がひそかにイランにコンピュータを輸出し、支払いをドルで受け取っていた。
8.そのやり取りは、イギリスの金融大手HSBC(香港上海銀行)の口座を使って行っていた。HSBC内部で違法取引を監視しているコンプライアンス担当者が気付いてアメリカに通報した。自ら通報しないと、もし違法な取引が行われていることがアメリカにわかったら、HSBCがアメリカから制裁を受けて大打撃である。アメリカに発覚する前に通報した。通報を受けたのは2017年初め。2017年4月から本格的な捜査が始まっていた。それによってアメリカは孟晩舟に対する逮捕状を取っていた。彼女はアメリカによる捜査に気付き、それ以降アメリカに立ち寄ろうとしなかった。カナダなら大丈夫だろうと、香港からカナダのバンクーバー経由でメキシコに行く途中、バンクーバーで逮捕された。カナダとアメリカには特別な関係があるから、アメリカの要請を受けたカナダの警察が逮捕した。
9.アメリカは日本に対してもファーウェイの部品を一切使うなと要請してきた。アメリカが恐れているのは「バックドア」である。アメリカのさまざまな企業の通信機器にファーウェイの部品が組み込まれている。部品を組み立てるときに、その中に、使っている人が気付かないような、いわば裏口のような機能を仕込んで、中国から指令を受ければその部品がファーウェイの通信機器を経由山してアメリカの軍事情報などを盗み取って中国へ送信する仕掛けになっているのではないか。あるいは米中が緊張関係になったときには、中国からの指令により、ファーウェイの部品が突然動作を止めてすべてが麻痺してしまうのではないか。CIA(中央情報局)がそうした疑惑を抱いている。理由は、ファーウェイはもともと中国人民解放軍出身者が設立した企業である。中国人民解放軍とのつながりが深く、ファーウェイがここまで発展したのは、中国人民解放軍の全而的なバックアップがあったと見られている。米中貿易戦争を仕掛けた一番の狙いはここにある。
10.アメリカは中国による情報抜き取りへの警戒感から、「国防権限法」を制定した。アメリカ政府の情報システムの調達企業から、ファーウェイなど中国の先端技術企業5社(ファーウェイ、ZTE、ハイテラ・コミュニケーションズ、ハイクビジョン、ダーファ・テクノロジー)の部品を組み込んだ製品を締め出すことを決めた。5社の部品を組み込んだ製品を購入することが禁じられる。さらに2020年8月からは、第2段階として、5社の部品を組み込んだ製品を社内で使用している世界中の企業とアメリカ政府機関との取引が禁じられます。ということは、ファーウェイなどの部品を組み込んだ製品を使っている日本企業は、アメリカの政府機関と取引ができない事態に陥る。
11.アメリカはあらゆる手段で情報流出を防ぐルールを定めた。そのうえで、同盟国に対してもファーウェイなどの製品や部品を使わないようにも申し入れた。アメリカが使用禁止を求めたのは、イギリス、カナゲ、オーストラリア、ニュージーランドの4力国である。この4つの国とアメリカは「ファイブ・アイズ」(5つの目)と言って、情報機関同士の情報交換をしている。いずれもかってのイギリス連邦であり、アングロサクソンの国である。この5つの国で収集した情報を州、相互に提供している。アメリカが得た秘密情報をこれらの国に送っている、そこでファーウェイなどの部品を組み込んだ製品が使われていたら、それぞれの情報をカナダ経由やオーストラリア経由で中国へ送られてしまうのを恐れている。アングロサクソンの国の情報機関同士の連帯の次にアメリカが重視しているのが日本である。アメリカは日本にもアメリカが得たさまざまな情報を伝えている。その情報がファーウェイを伝って中国へ送られたら大変だということで、日本にも同様の対応を要求する。困ったのが菅義偉官房長官である。アメリカの言うことを聞いて、携帯電話も含め、ファーウェイの製品を使わないでくれと本当は言いたいが、いま日本は中国との関係が急激に改善に向かっている。習近平国家主席が2019年に来日予定である。雪解けムードになっているところに中国製品を名指しで排除すると、関係悪化は避けられない。、菅官房長官は、固有名詞は出さず、日本の安全保障にとって危険があるような製品は使わないでほしい、という言い方をした。携帯電話大手3社は、次世代通信の基地局などに中国製品は使わないことになったが、米中貿易戦争の狭間で、日本は辛い立場に立っている。


yuji5327 at 07:10 

2019年10月10日

世界企業の売上高トップ500社の番付の2019年版を発表した。ランク入りした数は中国系企業が129社(台湾系企業10社含む)で米国の121社を抜き、世界一となった。


「真家陽一(名古屋外国大教授):中国視窓、再編で巨大化する国有企業本業集中で強さを追及、週刊エコノミスト、2019.8.27」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.経済誌『フォーチュン』は7月22日、世界企業の売上高トップ500社の番付「フォーチュン・グローバル500」の2019年版を発表した。ランク入りした数は中国系企業が129社(台湾系企業10社含む)で米国の121社を抜き、世界一となった。
2.中国企業の躍進に貢献しているのが国有企業である。中でも、「中央企業」と呼ばれる大型の国有企業は129社中と約4割を占めた。トップ10入りした中国石油化工集団(2位)、中国石油天然ガス集団(4位)、国家電網(5位)はいずれも中央企業である。
3.国有企業の規模拡大の背景には、政府主導の再編がある。中国共産党と国務院は15年9月、「国有企業改革の深化に関する指導意見」を公表した。「より強く、より優秀で、より大きく」をスローガンに「20年までに決定的な成果を収める」として、経営統合を通じた再編を進めてきた。中央企業は12年初めの117社から今年7月末には96社に集約され、現在も国有造船大手の中国船舶工業集団と中国船舶重工集団の経営統合などが進められている。
4.中国の企業研究で著名な北京新世紀グローバル企業研究所の王志楽所長は「内需の急成長が企業規模の拡大に重要な基盤を与えたことに加えて、多くの中国企業の戦略的再編により順位が押し上げられた」と指摘する。国有企業改革は「より大きく」という観点では一定の成果が得られたと言える。しかし、「より強く、より優秀で」の点ではまだ課題がある。王所長は「売り上げが多くても企業の収益性が高いとは限らない。中国企業は大きさではなく、強さを追求する方向へ転換する必要がある」と強調する。
5.こうした中、中国政府は国有企業の再編を次の段階に移行させようとしている。国資委の彰報道官は7月16日、国務院新聞弁公室主催の記者会見で、設備製造、船舶、化学工業などの分野で中央企業の再編・大型化を引き続き推進するとした一方、「本業をより強く、より優秀にすることを一層重視し、専業化のための整理・統合を推進する」と強調。今後は電力、非鉄金.属、鉄鋼、環境保護などの分野で、本業に資源を集中させる「専業化」を進め、企業競争力の向上を図る方針を示した。
6.中国企業研究院の李錦執行院長は「今後1〜2年は、専業化に向けた再編の動きが相次ぐだろう」と指摘する。中国経済の減速を受け、中央企業は19年上半期の売上高の伸びが前年同期から3・7ポイント低下するなど業績が悪化しており、再編の機運を高める可能性もある。
7.日本はかつて、国鉄や電電公社といった公営企業を分割民営化して競争原理を導入し、効率やサービスを向上させた。中国の国有企業の再編はこれとは正反対のやり方で、弱みである生産性の低さが改善されるかは不透明である。とはいえ、国有企業の規模が再編でさらに拡大すれば、グローバル競争において日本の大きな脅威となり得る。決定的な成果を収めると宣言した来年に向け、今後の再編の動向を注視する必要がる。



yuji5327 at 06:44 

2019年10月09日

第2次安倍晋三政権は、効果がないことが分かっている金融緩和政策で貴重な時間を空費した。この間にも、世界は大きく変わった。


「野口悠紀雄著:2000年代の円安で日本製造業が偽りの復活、週刊ダイヤモンド、2019.8.24」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.1990年代末の金融危機で、日本の金融機関の姿は大きく変わった。戦後経済を支えてきた金融体制は崩壊した。また、中国の工業化に押されて、鉄鋼業などそれまでの日本の基幹産業が不調に陥っていた。この象徴が、「スペースワールド」である。
2.新日本製鐵(現日本製鉄)は、すでに90年から、八幡製鉄所の一部をこの名称の宇宙テーマパークにしていた。鉄鋼業の業績は、それほど悪化していた。「超」整理日誌7に収録したのは、次のような記事で、どれも、日本の経済政策に不満を表明している。「金融緩和では問題は解決しない」「必要なのは構造改革だがそのシグナルが見えない」「経済政策が短期的バイアスを持っている」「円安で痛み止めをしても問題は解決しない」である。
3.04年春から1年間、アメリカのカリフォルニア州にあるスタンフォード大学に滞在した。この間にも、超」整理日記の連韓を続けた。ゲラのやりとりも、PDFをメールに添付することで、日本にいるのと全く同じように、支障なくできた。ITはその前から私の仕事の進め方に大きな影響を与えていたのだが、海外で仕事をすることになって、その効果がはっきりと目に見える形で現れた。この10年前ではもちろん、5年前においてさえ、海外にいて連載を続けることなど考えられなかった。60年〜70年代と比べれば、実に大きな変化である。飛行機は、この間にあまり変わらなかった。自動車もそれほど大きく変わったわけではない。しかし、情報環境だけは比較にならないほど大きく変わった。
4.インターネットは、情報収集の手段として重要性を増していた。ただし、新聞や雑誌も重要だった。大学にいたので、日本の新聞を読むことはできたが、あまり丹念に読む気にはなれなかった。その代わりに地元の新聞を購読していた。人間は、「住んでいる土地に関する情報に関心を抱く」という不思議な習性を持っている。インターネットが出版に与える影響は顕在化しつつあり、私も危機感を強めて、なんとか対応しなければと努力した。
5.スタンフォード大学は、シリコンバレーの中心にある。これは、サンフランシスコの南、サンフランシスコ湾に面した地域で、パロアルトなどの町で形成される都市群である。さまざまなIT企業の本拠地がある。ここでの1年間の滞在で、世界の大きな変化を実感することができた。第1は、IT関連企業の急成長だ。滞在中にグーグルの株式公開(IPO)が行われた。検索やGmailなどのグーグルのサービスは、すでに広く使われていた。ただし、グーグルマップはなかった。このため、ドライブしていて道に迷うことがしばしばあった。
6.アップルは、まだ小さな会社だった。スタンフォード大学では、研究室にアップルのパソコン(PC)を配備していたのだが、ウインドウズ・マシンが圧倒的なシェアを持つ中で、これは珍しい風景だった。インターネット関連企業としては、これらの企業よりむしろ、ルーターのメーカーであるシスコ・システムズが注目されていた。
7.インターネットは、すでに生活の重要なインフラになっていた。税の申告も簡単にできる。日本の運転免許証の書き換えのために帰国しなければならなかったので、日米両国の差を思い知らされた。実感したもつ一つの世界の変化は、中国の発展である。これは、留学生の状況にはっきりと表れていた。中国からの留学生は急増しており、しばらく前から、スタンフォード大学の外国人留学生の中でトップになつていた。80年代には日本人の留学生が多かったのだが、明らかに逆転した。時代の大きな変化を感じた。中国からの留学生は、「パーリンホウ」と呼ばれる世代(80年代以降に生まれた世代)の人々である。驚くほど優秀である。これらの人々が中国を動かす時代になれば、大きな変化が生じるだろうと予想できた。そうした変化が今、実際に起きている。
8.「日本にも夢はあるはず」で、中国の状況について、次のように書いた。「能力ある若君が、ハングリー精神にあふれて努力している。(中略)こうした人的能力の大爆発こそ、最大の脅威というべきではある」。日本経済の閉塞的状況が、03年ごろから変わってきた。財務大臣の権限によって決定され、その指示に基づいて日本銀行が実施する外国為替市場への大規摸な介入が始まり、為替レートは大幅な円安に動いた。日本の製造業が復活した。
9.だが、宇宙テーマパークに手を出すほど業績が悪化した製鉄会社が復活するのは、不可能なことと思われた。シリコンバレーでは、全ての自動車がトヨタ自動車の車になったかと思われるほど、トヨタ車が氾濫した。これも実に奇妙な光景だった。その頃、アメリカでは住宅価格のバブルが生じていた。このメカニズムを考えているうちに、トヨタ車の氾濫と関係があるのではないか、と気付いた。アメリカの住宅価格バブルは、日本や中国の経常収支の黒字によって生じたアメリカへの資金流入が住宅に投資されることで引き起こされたものであり、日本の輸出増も、このメカニズムの一環だった。
10.帰国した05年から、悠長に構えてはいられないという切迫感から、経済一色になった。日本経済は本当に復活したのか?である。08年にリーマンショックでアメリカの住宅バブルが崩壊すると、日本の輸出も激減した。「超」整理日記もこの問題に集中し、単行本のタイトルで見ると、08年版は『円安バブル崩壊金.融緩和政策の大失敗』と『世界経済危機日本の罪と罰』、09年版は『未曾有の経済危機克服の処方箋』、10年版は『世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか』「日本を破滅から救うための経済学』である。
11.中国経済もリーマンショックで崩壊するかと思われたが、復活した。復活しただけではない。今や世界一の経済大国に向かって驀進を続けている。日本はどうかというと、民主党政権は、期待をばらまいただけだった。第2次安倍晋三政権は、効果がないことが分かっている金融緩和政策で貴重な時間を空費した。この間にも、世界は大きく変わった。


yuji5327 at 07:20 

2019年10月07日

国民投票で離脱派が勝つという結果にならないと高をくくりて投票に行かなかった。

「池上彰著:
知らないと恥をかく世界の大問題10 角川新書、2019.6.10」は参考になる。「第2章:揺らぐヨーロッパ、EUは夢だったのか」の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。・
1.自国ファースト主義の流れは、アメリカよりイギリスが先だった。EUからの離脱劇がそれである。イギリスでEU残留の是非を問う国民投票が実施され、残留派48・1%、離脱派51・9%の僅差で離脱派が勝利したのは2016年6月のことだった。イギリスはEUから出たかった理由には、東西冷戦の終結が背景にある。
2.第2次世界大戦後の世界の対立構造は単純で、ソ連をリーダーとする社会主義陣営とアメリカをリーダーとする資本主義陣営とに分かれ、それぞれが結束を強めた東西冷戦の時代でである。東ヨーロッパはそこだけで「COMECON(コメコン・経済相互援助会議)」という経済圏をつくり、資本主義経済圏とは隔絶されていて相互間の貿易はない。
3.西ヨーロッパの国々は、互いに二度と戦争を起こさないための模索をした。国境をなくしてはと、最初はドイツとフランスの紛争の火種となった国境のアルザス・ロレーヌ地方の石炭と鉄鉱石を、国家を超えて共同管理する試みから始まった。「欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)」、これがEUの起源である。その後、経済統合を進める欧州経済共同体(EEC)となり、原子力エネルギーの共同管理のための欧州原子力共同体(EURATOM)が設立され、1967年には、この3団体の主要機関を一体化させるべく、現在のEUの前身である欧州共同体(EC)が発足した。
4.EC統合は、あくまで経済分野での協力が中心だった。1992年、欧州連合:EU創設を定めた「マーストリヒト条約」が締結され、通貨統合の計画や、通貨統合参加に対する国内経済の基準が定められて、共同体の中に東側諸国が入ってきた。東ヨーロッパの国々は社会主義経済体制で賃金が安いが、教育には力を入れていたので質のいい労働者が多く、西ヨーロッパの経営者にとっては好都合だった。旧共産圏の国々がEUに加盟することを歓迎した。
5.ドイツに本社を置く自動車メーカーのフォルクスワーゲンがスロバキアに進出するなど、人件費の安い国にどんどん工場をつくった。東ヨーロッパに住む人にとって、自分の国に工場ができるのを待っていることはない。同じヨーロッパ内では移動の自由、移住の自由がある。EU加盟国の国籍を持つ人は自由に加盟国間の国境を渡り、働いたり住んだりすることができる。「もっと賃金が高い国で働こう」と考える。東ヨーロッパの国々から西ヨーロッパの国々へ、どっと人が流れ込んだ。とりわけ、ポーランドの人たちが大挙して出稼ぎに向かったのがイギリスである。
6.ポーランドには悲しい歴史がある。ナチス・ドイツとソ連によって両側から占領されて国がなくなったことがあった。このとき政権は国外に逃れ、ロンドンに亡命政府をつくって国内の抵抗運動を指揮した。いまもイギリスにコミュニティがあるので、それを頼りにイギリスへ行こう、となる。ポーランド人は建設作業や農作業など、イギリス人がやりたがらない仕事を低賃金でも喜んで引き受ける。ポーランドと西ヨーロッパ諸国では、賃金に5〜10倍の開きがある。低賃金でも祖国に仕送りすると、故郷に豪邸が建つくらい所得格差が大きい。
7.ポーランドがEUの仲間入りをしたのは2004年だが、以降、200万人ものポーランド人が出稼ぎ目的でイギリスへ移住した。イギリス人にとって、「ポーランドの労働者に仕事を奪われる」という危機感が生まれた。他にも、被害者意識を持つ理由があった。イギリスという国は医療保険制度が充実していて、誰でも無料で診てもらうことができる。もちろんポーランドからの労働者もタダである。そもそも医療費は誰が負担しているのかといえばイギリス人である。移民の急増だけが不満だったわけではない。
8.かつてEUには「過度に曲がったバナナを売ってはならない」などといった規定があったが2009年に撤廃された。欧州委員会が定めた細かい規定にはうんざり、自分の国のことは自分たちで決めたい、イギリスに主権を取り戻したい。とくにEUからの離脱を望んだのほ高齢者である。若者はというと、物心ついたころからEUの一員で、離脱など考えられない。EU域内の大学なら自由に行き来ができるし、EUはイギリス国民にとってなくてはならないものだった。
9.国民投票でまさか離脱派が勝つという投票結果になるわけがないと高をくくりて投票に行かなかった。高齢者の投票率は高く、若者の投票率が低かったことが、離脱派が勝利する一因となった。投票結果が出た後、グーグルの検索では「EUって何?」とか「EU離脱が意味することは?」とか、EUに関する質問が上位に入った。つまりイギリス国民の中には、EUのことをよく知らないまま、一時の感情だけで「離脱」に投票した人が多い可能性がある。
10.ブレグジット推進派で「イギリスさえよければいいのだ、EUにいるからこんなことになるんだ」と人々を煽ったイギリス独立党(UKIP)ですら、まさか離脱が決まるとは思っていなかった。慌てた独立党のナイジェル・ファラージ党首は、「自分の役割は果たした」と辞任を表明し、思いもよらない結果になり、一時逃出してしまった。
11.離脱交渉に人ると、露骨な「イギリスいじめ"が始まった」。まずは「手切れ金」である。「出て行くなら、EU分担金を払ってから出て行け」というわけで、日本円にして最大で5兆6000億円を支払うことになった。最大の問題は、北アイルランドの国境管理問題である。かつてアイルランドはイギリスの植民地だった。1801年にイギリスがアイルランドを併合。アイルランドが正式にイギリス連邦から離脱したのは1949年のことである。ただし、現在のイギリスの正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」となっている。なぜアイルランド北部だけがイギリスなのかというと、イギリスの植民地時代にアイルランド島の北部(=北アイルランド)には、イギリス本土から大勢が移り住んだことが原因である。
12.もともとアイルランドはカトリック、イギリスはプロテスタント、宗教が違う。アイルランドがイギリスから独立したとき、プロテスタントの多い北部の6州(人口の3分の2がプロテスタント)はイギリス領として残った。北アイルランドに取り残された形の3分の1のカトリック教徒たちは、自分たちはアイルランド人だという思いを強くし、アイルランドとの一体化を求めて、独立運動を展開した。中でも過激派はIRA(アイルランド共和軍)を組織し、「我々、北アイルランドはアイルランドと一緒になるべきだ」とイギリスに対する武装闘争を開始した。
13.当時のマーガレット・サッチャー首相は、北アイルランドの制圧にイギリス軍を投入した。するとロンドン中心部でも爆弾テロが起きた。エリザベス女王も、サッチャー首相も命を狙われた。こうなるとプロテスタントも黙ってはいない。「我々はイギリスに留まるべきだ」と、プロテスタントの過激派が生まれた。彼らは「アルスター義勇軍(アルスター防衛協会)」を結成し、IRAの活動家を暗殺した。北アイルランドのことをイギリス側からはアルスター地方と呼んだ。アルスター義勇軍の活動は、「北アイルランドはイギリスなのだ」という主張である。激しい紛争が続き、3500人以上が殺されたが、1998年に和平合意が成立した。
14.北アイルランド情勢が安定したのにはいろいろな理由があるが、一番大きな理由は、イギリスとアイルランドの双方がEUに入ったことがある。EUに入ったことで、北アイルランドとアイルランドの国境管理がなくなり、お互いが自由に行き来できるようになった。家は北アイルランドにあるけれど、農場はアイルランドにあるといった人がいても平和になった。
15.ところがイギリスがEUから離脱するとなると、アイルランドはそのままEUに残るから、北アイルランドとアイルランドの間には再び国境線が生まれる。北アイルランドにいるカトリック教徒たちがまた怒り出して、北アイルランド紛争が再燃しかねない。すでにIRAから飛び出した「真のIRA(RIRA)」という過激派のテロが始まっている。北アイルランド紛争の地・ウエストベルファスト地区には、いまでもあちこちに壁がある。カトリック系住民とプロテスタント系住民が壁をつくって住み分けている。アイルランド出身のロック・バンドであるU2に「血の日曜日事件/1983年」という曲がある。デモ行進中の北アイルランドのカトリック系住民をイギリス軍が襲撃した痛ましい事件を描いた作品である。最近は、イスラム教徒のスンニ派とシーア派のもめごとばかりがクローズアップされているが、キリスト教徒もカトリックとプロテスタントで殺し合った歴史がある。
16.イギリスのメイ首相としては、イギリスはEUから離脱するけれど、北アイルランドとアイルランドの国境線は特別だから国境管理をしないことで丸く収めようとした。メイ首相がEUと取り交わした離脱協定案というのは、アイルランドとの国境問題について2020年末までに解決策を出すまでの間、イギリスはEUの関税同盟にそのまま留まるというもの。 つまり、これまで通りEU各国との間では関税かかけるのをやめるというものである。しかし、そもそもEUに留まるのがイヤだと言う離脱は、関税同盟に留まれば引き続きEUの決めたルールに従うだけになるので、とんでもないと主張した。結局、意見がまとまらず、結論は2019年10月末まで先送りされた。


yuji5327 at 06:48 
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工学博士、技術士(応用理学)、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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