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2019年06月17日

新しい天皇皇后両陛下は、象徴というお務めをどのように受け継がれていくのか。新しい時代とともに、象徴のお姿も変わっていくのかもしれない。

PRESIDENT (プレジデント) 2019年 7/5号 [雑誌]
PRESIDENT 編集部
プレジデント社
2019-06-14

「池上彰と増田ユリヤ著:これからの時代を語ろう、PRESIDENT、2019.6.3」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.5月1日から新しい時代「令和」がスタートした。憲法第一条に、「天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴」とある。上皇が天皇退位の意向を示した2016(平成28年)8月のビデオメッセージの冒頭で、「日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました」とおっしゃったことが、強く印象に残っている。
2.戦後に作られた.平和憲法の下で、初めて即位された天皇である。1933(昭和8}年生まれの上皇も、ひとつ年下の美智子さまも、小学生.の頃に疎開をされ、終戦で帰ってきて焼け野原になった東京をご覧になった体験をお持ちである。そのご記憶を原点に、国民が願う平和な世の中と、その中で象徴とはどうあるべきか、お二人で考えていらっしゃった思われる。
3.憲法には、象徴とは何かという具体的なことは書かれていないから、新しい象徴天皇像をご自分たちで築いてこられた。国民の一番の望みは平和にあるというお考えに重きを置かれて、そのことを行動で表されたのが、戦地への慰霊の旅と被災地へのお見舞いだったと思われる。
4.戦後50年の節目となった95年に、長崎、広島、沖縄と、東京大空襲の犠牲者を祀る東京都慰霊堂を訪問されている。その前年には硫黄島を訪問されている。沖縄は、皇太子時代を含めて11回も訪れている。戦後60年の2005年には、サイパンに行かれた。多くの日本人が身を投げたバンザイクリフで、両陛下が並んで頭をお下げになった。
5.サイパンでは、予定になかった韓国平和記念塔も訪問されている。米軍との戦闘で、徴用工な1000人以上の朝鮮人が亡くなったので、慰霊碑がある。ここは、両陛下が望んで足を運ばれた。
6.戦後70年の15年には激戦地だったパラオのペリリュー島をお訪ねになり、その翌年はフィリピンだった。マニラでは日本側の慰霊碑より先に、フィリピン人の犠牲者を祀る「無名戦士の墓」に拝札された。この場所の訪問も、両陛下の希望だったそうである。国籍を問わず、すべての犠牲者を慰霊するという強いお気持ちが伝わる。
7.被災地へのお見.舞いは、91年の雲仙普賢岳の噴火が最初である。とにかく現地に行きたい、と希望なさったそうである。スーツにネクタイ姿でいらっしゃったが、避難所に着くと、こんな姿は相応しくないと判断して、スーツを脱いでネクタイを外し、ワイシャッを腕まくりされた。膝をついて被災者と話をされ。被災者と目線の高さを同じにされたお姿は、衝撃だった。被災者が座っている畳より低い体育館の床に、直接お膝をつかれた。8.抗議電話が殺到した。「なぜ、天皇陛ドにあんな格好をさせるのか」と。国民とともにあるというのは、困っている人たちや立場の弱い人たちにこそ寄り添うことだと、お考えと思われる。平成の問には、その後も阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災と、大きな天災が相次いだ。そのたびに被災地の避難所を見舞われて、時間をかけてたくさんの被災者とお言粟を交わされるのは、当たり前の光景になった。しかもほとんど、日帰りである。被災地になるべく負担をかけたくない、というご配慮である。
9.東日本大震災のあと、電気を使わず、暖房も止めて、ろうそくを立てて過ごされた。宮内庁の職貝が「暖房をおつけになったほうがよろしいのでは」と申し上げたら、「寒かったら着込めばいいんです」とお答えになったとのこと。皇居のある千代田区には総理官邸や官庁もあるので、計画停電の対象地域ではなかったのに、計画停電が始まったら一定の時間帯は電気を使わないようにされていた。
10.被災地で電気もガスも使えずに困っている国民がたくさんいるのだから、ご自分たちも同じ思いを共有するというお考えだったと思われる。宮内庁の職員には守秘義務があるから、口外はしない。侍従長だった渡温允さんが定年退職して、対談したときに、お話ししてくれた。新しい天皇皇后両陛ドは、象徴というお務めをどのように受け継がれていくのか。あるいは、新しい時代とともに、象徴のお姿も変.わっていくのかもしれない。



yuji5327 at 06:27 

2019年06月16日

政治経験のないことを問題視する声もあるが、ウクライナの場合には政治経験の有無は特に大きな問題にはならない。従来的な政治に染まった政治家が大敗北を喫したことである。

2019/5/10付けの大前研一さんの「 ニュースの視点 」(発行部数 162,198部)は「ウクライナ大統領/米朝関係/ロ朝関係」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.ウクライナ大統領選挙の決選投票が先月21日実施され、コメディ俳優のウォロディミル・ゼレンスキー氏が約7割の得票率で大勝した。ペトロ・ポロシェンコ現大統領も敗北を認め、ロシアとの対立が続くウクライナを政治経験がない大統領が率いることになる。
2.政治経験のないことを問題視する声もあるが、ウクライナの場合には政治経験の有無は特に大きな問題にはならない。それよりも今回の選挙で大きなことは、従来的な政治に染まった政治家が大敗北を喫したということである。
3.ゼレンスキー氏が、より一般民衆に近い自分の立場を上手に利用した結果である。ゼレンスキー氏は、テレビ俳優で、米トランプ大統領と同様に知名度が高い人物である。あるテレビドラマの中で、「偶然大統領になってしまうという役」を演じたことがあり、今回の選挙でまさにそのドラマが現実になった。
4、選挙では、イホル・コロモイスキー氏という富豪が財政面でバックアップしたと言われている。コロモイスキー氏は、ロシアとの会話を求める路線らしいので、今後ロシアに近づいて、ミンスク合意に戻る可能性もあるかもしれない。
5.ポロシェンコ現大統領は、一貫してロシアと対立する姿勢だったが、結局、その成果としては何も残っていない。ウクライナ国民はそれを不満に思っているし、本心を言えば、ロシアと対立しても、大きな意味はないと思っている。
6.ゼレンスキー氏はそうした国民の心境にうまく同調できた。ロシアのプーチン大統領との関係で気になるのは、選挙直後にプーチン大統領が、ウクライナ東部地域の住民にロシア国籍を付与することを認める大統領令に署名したことである。プーチン大統領の早とちりかも知れないが、タイミングが早すぎる。
7.今回の選挙は、「出来合い」だったと勘ぐりたくなる。物理的な占領はしていないものの、ロシア国籍を与えることで、パスポートの力で人を吸引しようという行為に対して、他のウクライナの地域からも反発を招く可能性は高い。
8.ソ連邦崩壊以降、ウクライナは政治家による利益誘導の政治が横行してきた。ろくでもない政治家しかいなかった。今回、ゼレンスキー氏という「無色」の人が大統領になることで、それが一新されることを願う。一般常識がある人として、良いスタートを切ってもらいたい。
9.非核化を巡る米朝交渉で、北朝鮮外務省の対米担当の幹部が先月18日、2回目の首脳会談が物別れに終わった責任は、ポンペオ国務長官にあるとして、交代を求める声明を発表した。これに対し、米国国務省は北朝鮮と建設的な交渉を行う用意があるとし、あらためて非核化に向けた協議に戻るように呼びかけた。
10.北朝鮮の担当者のほうが、お話にならない。北朝鮮側の担当者が考えているのは、
金正恩委員長とトランプ大統領が直接2人で話し合えば何とかなるということである。そのためには、前哨戦に登場するポンペオ国務長官やボルトン大統領補佐官が邪魔と思われる。こんな要求に応じて、ポンペオ国務長官が退くことはあり得ない思われる。
11.北朝鮮の金正恩委員長は先月25日、極東ウラジオストクでロシアのプーチン大統領と初めて会談した。プーチン大統領は、北朝鮮が主張する段階的な非核化を支持し、制裁と圧力路線を維持する米国を牽制した。金正恩委員長は、自らの立場を米国のトランプ大統領に伝達するようプーチン大統領に要請した。要請されたプーチン大統領にしても、現在の立場を考えれば、とてもトランプ大統領にそんなことを言える状況ではない。
12.プーチン大統領は金正恩委員長に「6者協議」の復活を提案したが、打てる手立てがないことを証明しているようなものである。6者協議は、米国、韓国、北朝鮮、中国、ロシア、日本の6カ国で北朝鮮の核開発問題について直接協議を行う会議体だったが、2009年北朝鮮は離脱を表明し、さらに「6者協議は永遠に終わった。6者協議には絶対に参加しない」とまで発言した。6者協議を北朝鮮の発案で復活させるというのは、あり得ない話である。


yuji5327 at 06:26 

2019年06月14日

社会保障費増大の影響を考えると、消費税の税率をさらに引き上げる必要があるが、そうした議論は全く行われていない。MMTの影響力を軽視するのは危険である。


「野口悠紀雄著:MMTが問題なのは無駄な支出を増やすから、週刊ダイヤモンド、2019.5.11」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.現代貨幣理論(MMDという考えがアメリカで注目を集めている。日本でも、参議院の決算委員会で議論された。これは、自国通貨建てで政府が借金して財源を調達しても、インフレーションにならない限り、財政赤字は問題ではないという主張である。ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授などが提唱している。この考えに対して、主流派経済掌者や政策当局者は、異端の学説として強く批判している。
2.MMTは、幾つかの理論を根拠としている。一つは、ドイツの経済学者、ゲオルク・フリードリヒ・クナップによって20世紀初頭に唱えられた貨幣理論(チャータリズムと呼ばれる)である。これは、貨幣は素材の価値があるから通用するのではなく、国が価値があると宣言するから通用するという考えである。もつ一つは、20世紀中ごろのアメリカの経済学者、アバ・ラーナーの主張である。内国債は、国から見れば債務だが、民間の国債保有者から見れば資産である。両者は帳消しになる。従って、「将来時点で、外国に利子と償還金の支払いをするために国が使える資源が減る」という意味での「国債の負担」は発生しない。この点で、内国債と外国債は経済効果が異なる。さらに、ケインズ経済学がある。これは、経済が不完全雇用にあって遊休資源があるなら、財政赤字によって財政支出を増やすべきだとする。
3.MMTが「インフレにならない限り」と言っているのは、「不完全雇用なら」というのとほぼ同じである。だから、これはケインジアンの理論そのものである。ところでチャータリズム、ラーナーの理論、ケインズ経済学は今では縫済学者に広く受け入れられており、格別新しいものではない。クナップのチャータリズムは、金本位制が万能と考えられていた20世紀初頭の世界では異端の考えだったが、管理通貨制に移行した現代の世界では、ごく当たり前のものである。ラーナーの考えは、今でも一般には理解されていないことが多い。 財政赤字を家計の借金と同じようなものと見なして、「負担を将来世代が負うから問題」という考えは、マスメディアではごく普通に見られる。
4.しかし、経済学者の間では、内国債が自分自身への借金だという考えはすでに1940年代に確立されており、正統的なものである。アメリカの経済学者、ポール・サミュエルソンは、この考えを、戦争の費用を内国債で戦後に転嫁することはできない」と表現している。ケインズ経済学も、多くの経済学者によって広く受け入れられている。
5.以上で述べた限りでは、MMTは「モダン」と称してはいるものの、あまり目新しい老えではない。どこが新しいのかは、財政赤字を、長期的な施策の継続的な財源としていることである。
6.今、MMTが論争となっているのは、アメリカ民主党左派にグリーン・ニューディール(地球温暖化対策)や国民皆医療保険などの大型の歳出拡大が必要との意見があり、その財源としてMMTが提唱されているからである。そして、民土党の急進左派を中心に支持者が増えている。これが、アメリカの大統領選挙で争点となる可能性がある。
7.ケインズ経済学で財政支出を増やすという場合に考えられているのは、短期的な需要を調整するための一時的な支出である。これらは、経済が完全雇用になれば、すぐにやめることが想定されている。ところが、上に述べたような施策は、完全雇用になったからといってすぐにやめられるものではない。「インフレにならなければ問題ない」というのだが、政策をすぐにやめられなければ、インフレになる可能性がある。
8.そうなれば、大きな問題が生じる。ケインジアンと見なされている論者までもがMMTに反対を表明しているのは、このためである。さらに、インフレが生じない場合においても、問題がないわけではない。無駄な支出が行われる可能性が高いからである。イギリスの経済学者、ロイ・ハロッドは、ケインズの理論は「ハーヴェイロードの仮定」に立っているとした。これは、財政支出が賢人たちによって決められるということである。しかし、現実の政治プロセスでは、この仮定は満たされず、大衆迎合的な決定がなされる。このことは、アメリカの経済学者、ジェームズ・ブキャナンなどによつて、60年代から70年代に指摘された。ブキャナンの理論はノーベル経済学賞を受けた。問題はこのように、純粋に経済的な問題というよりは、政府支幽に関する政治的なメカニズムの問題なのである。9.簡単に言えば、増税で賄うとすれば反対が強くて実行できない政策でも、財政赤字で賄うとすれば通ってしまう。例えば、増税して戦費を賄おうとしても政治的な抵抗が強くてできないが、財政赤字で賄うことにすれば、負担が意識されないので財源が調達できてしまい、実際に戦争が起きる。こうしたことによって資源配分がゆがめられれば、将来の生産力が低下する.このような意味において、「国債の負担」が発生し得るのである。
10.日本はすでにMMTを行っているという指摘がある。これは、日本銀行の異次元金融緩和政策によって、大量の国債を市中から買い上げたことを指している。国会の議論でも、こうした指摘が行われた。ここで注意すべきは、日本の場合、大量の国債が購入されたのは事実だが、まだ貨幣化までには至っておらず、日銀の当座預金.が増加したままの状態になっていることである。これは、MMTの主張者が言っていることそのものではない。
11.ただし、市中から国債が減少した結果、財政赤字に対する危機感が弱まったことは否定できない。第1に、金利が上昇すると、銀行保有国債の価値が下がり、これが銀行(特に地方銀行)のバランスシートで問題を起こすと懸念されていた。銀行保有国債が減った結果、この問題への関心は薄れた。第2は、国債利子の支払いや償還金だ。まず金.利が低下した結果、新発債の利子負担が減少した。さらに、既発債についての負担も、次の理由で減少した。国債を民間主体が保有している場合、国が支払う利子や償還金.は、民間に対する支払いになる。ところが、国債を日銀が購入してしまうと、これらは日銀納付金を通じて国に還流する。だから、国庫にとって負担がないような状態になってしまった。
12.以上を考えると、今後の日本で、「財政赤字は問題ないのだから、歳出を拡大(あるいは減税)せよ」という声が強まる危険は否定できない。実際、財政赤字幅縮小への努力は、すでに減少している。消費税率の10%への引き上げは、これまで2回延期された。また、将来の社会保障費増大の影響を考えると、消費税の税率をさらに引き上げる必要があると考えられるが、そうした議論は全く行われていない。異端の学説であるからといってMMTの影響力を軽視するのは危険である。


yuji5327 at 06:34 

2019年06月13日

イチロー選手が、「自分のバッティングに影響するため、下手な人のバッティングは見たくない」と言った。自身の動作に影響を受ける。

「藤田一郎(大阪大学教授):ヒトや動物が生まれつき持つ光の点から動きを検出する力、週刊ダイヤモンド、 2019.5.11」は面白い、概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.面接などにおいて相手の顔を見て話すことは重要であるとよくいわれる。目と目のコンタクトをしっかり取ることが有能さや誠実さといった好印象を与えるからである。これに加えて、あまり語られることのない注点がもう一つある。
2.私たちは、思っている以上に他者の動作に敏感である。他者の振る舞いのほんのわずかな変化を見ることで相手の意図や感情を読み取り、自分の次の行動や相手とのコミュニケーションに役立てている。これは.時に無意識のうちになされる。
3.ヒトがこのような能力を持つことは、グナール・ヨハンソン博士初めて示した。彼は、主要な関節に豆電球を取り付けた人物に暗闇の中でさまざまな動作をしてもらい動画を撮影した。この動画は、黒の背景に十数個のドットが動いているだけだが、それを見ると人物の動作がビビッドに感じられる。歩いているのか、走っているのか、ダンスをしているのかがはっきりと分かる。
4.ほんの十数個のドットの中に動作に関する情報が含まれている。その情報は想像以上にリッチである。私たちは、このような動画から動作の種類だけではなく、人物がどちらに向かって歩いているか、自分なのか他者なのか、男性か女性かが分かり、場合によっては感情まで読み取ることができる。この能力は「バイオロジカルモーション知覚」と呼ばれる。
5.十数個のドットから成るこの刺激は容易にかつ厳密に操作ができるという利点があり、それを利用して魅力的に見える動作はどのようなものかも研究されている。得られた結論の一つは、「速く歩く人は魅力的に見える」ということである。面接の話に戻ると、面接者が志願者から受ける印象は、志願者が人室して着席するまでの間にすでに形成され始めていることを意味している。のろのろ、もたもた歩くよりも、すたすたと席まで歩くことが大事である。
6、バイオロジカルモーションを示す刺激には、ドット集団が織り成す形の変化と、ドットの動きそのものの二つの要索が含まれている。これらの情報は、運動前野、側頭葉上部、縁上回など大脳皮質の複数の場所が処理.している。加えて、間脳の一部である視床でも処理されていることが、香港大学のドリータ・チャン教授、脳情報通信融合研究センターの番浩志研究.員らの最近の研究により明らかになってきた。
7.バイオロジカルモーション刺激が持つ動きの要素のうちでも特に大事なのは、ドットとドットの間の相対的な関係である。例えば、腕を振って歩いているとき、手首の関節は肘の関節に対して振り子運動をしている。私たちの視覚系はこのような相対運動を検出している。相対運動を検出する仕組みは、他者の動作を読み取るときだけではなく、他の物体の動きの知覚にも使われている。その良い例は、自転車の車輪に貼った小さなシールが回って動いて見えることだ。実際にはシールはサイクロイドと呼ばれる軌道に沿って動いている。
8.サイクロイド軌道は、平行移動〔自転車の進行方向への移動)と回転運動(車輪の回転方向の移動〕の組み合わせで生.じている。シールは空問の中ではサイクロイド軌道に沿って動くが、平輪中央のハブに対してはその周辺を回る回転運動をしている。脳は、後者の運動すなわちシールのハブに対する相対運動を計算しているのだ。
9.バイオロジカルモーション知覚は、ヒトだけでなく、サルやネコやハトも持っている。ジョルジオ・ヴァロルティガーラ博上は暗室で育てたひよこに、親烏が歩く様子を示す刺激と対照刺激(ドットの位置をスクランブルした刺激Vを見せて、どちらに歩み寄るかを調べた。ひよこはこのテストを行うまで視覚経験がないにもかかわらず、前者の刺激を示す映像の方へ近づいていった。
10.同様に、生まれて2日目のヒトの赤ちゃんがバイオロジカルモーション知覚を持つ.ことも実験的に確かめられている。ヒトでもニワトリでも.バイオロジカルモーション知覚は生まれつき備わっている。
11.他者の動作を知覚し現解する能力は、学習や経験の影響を受ける。スポーツやダンスの経験者は、自分の専門種目の動作に人並み外れた鋭い感受性を持つ。自身の経験によって、他者の動作の観察が精密になる。また、その逆に他者の動作を感じることが自身の動作に影響を及ぼすこともある。
12.池上剛博士とゴウリシャンカー・ガネッシュ博上は、ダーツのエキスパートに素人がダーツをしている映像を見せ、標的のどこに命中するかを予測してもらった。予測のたびに正解を伝えると、エキスパートはやがて素人のパフォーマンスを正確に予測できるようになる。驚くべきことは、そのようになったとき、エキスパート本人のダーツの命中率が落ちてしまう。ところが同じような映像を見せながら、予測が合っていたかどうかの正解を伝えないという実験を行うと、エキスパートは素人のパフォーマンスを予測することができるようにならず、自身のダーツの成績は高いレベルが保たれていた。
13.つまり、最初の実験でエキスパート自身の命中率が下がってしまつたのは、素人の下手な動作を見たこと自体が原因ではない。そのことが原因であるならば、2番目の実験でも自身のダーツの成績は下がるはずだからである。この実験結果は、他者の動作の結果を予測する仕組みと、自分の動作の結果を予測し、動作を正しく実現する仕組みが脳の中で共有されていることを示唆している。
14.かつて、ある新聞記事の中で野球のイチロー選手が、「自分のバッティングに影響するため、下手な人のバッティングは見たくない」と語っていた。他者の動作を見て、どういうスイングをすると打球はどのように飛ぶかを真剣に検討する選手ほど、自身の運動の予測シミユレーション、動作の実行が影響を受けてしまうのである。イチロー選手はそのことを実感していたのか興味ある。



yuji5327 at 06:48 

2019年06月12日

企業価値が500万ドルだつた頃のウーバーに2万5000ドルの投資を行った投資家、ジェイソン・カラカニス氏、リスクマネーでベンチャーを育てる米資本市場の懐の深さ。

「森川郁子(本誌):ライドシェア首位が情状へ ベール脱ぐウーバーの実態、
週刊東洋経済、2019.5.11」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米ライドシェア最大手のウーバー・テクノロジーズがいよいよ上場する。5月にもニューヨーク証券取引所に株式を公開する。3月29Hには米2位のリフトが先立って上場し、初値ベースの時価総額は約2・7兆円を.記録した。企業価値10兆円前後とされるウーバーはまさに超ユニコーン企業である。
2.設立は2009年。パリでタクシーが拾えずに困っていた創業者のトラビス・カラニック氏が、空いている自家用車と利用者を仲介するアプリの着想を得たことに始まる。原則、仲介に徹するライドシェアアプリ事業は、車両を保有しドライバーを雇用するタクシー事業よりコスト競争力で有利である。
3.高い利便性もあって、瞬く間に利用者の支持が集まった。空いた時問に簡単に稼げることからドライバーも増加。需要と供給がともに増える正のスパイラルを描き、ライドシェアアプリ「ウーバー」は世界63力国に拡大(うち自家用車のシェアは57力国)。昨年は50億回以上使われた。
4.米調査会社マーケッツアンドマーケッツによると、ライドシェアの市場規模は現在約613億ドル。 25年に約2180億ドルまで拡大する見通しである。米国ではリフト、中国では滴滴出行、東南アジアではグラブなど新勢力の台頭も著しい。それでもウーバーは依然トップランナーである。
5.ソフトバンクグループは「ライドシェアは自動車業界の地図を丸ごと塗り替える」(孫正義社長)と、これまでウーバーに約77億ドルを出資し、16・3%を握る筆頭株主である。トヨタ自動車も18年に5億ドルを出資しており、自動運転やライドシェアで共同開発を行う。さらに独ダイムラーやスウェーデン・ボルボとも提携している。
6.輝かしい未来が約束されているかのようなウーバーだが、4月11日に開示された上場目論見書からは収益化に苦しむ現実がうかがえる。18年の売上高は約1・2兆円。17年比4割増、16年比では約3倍に拡大している。だが、営業損益は約3300億円の赤字。過去3年間の合計営業赤字は1兆円を超える。
7.18年の最終損益はl100億円の黒字だが、これは東南アジアの事業をグラブに譲渡した際の売却益などによる一時的なものである。営業キャッシュフローは赤字が続いており、優先株などで調達した資金.で赤字を埋めながら走っている。かつての米アマゾンのように、初期に赤宇でも一定規模まで成長すれば利益を出せるという考えがある。
8.ウーバーの収益構造を分析すると先行きは楽観できない。現状、利用者が支払う料金の総額から80%弱をドライバーに支払い、残った20%強がウーバーの売り上げとなっている。売上原価にはドライバーの保険料や運行費用、デバイス提供費、カード手数料などがある。売上高に占める原価比率は17年に52%。4割増収になった18年でも50%と高止まりしたままである。加えてサポートの人件費やマーケティング費用、研究開発費、一般管理費もかさむため、営業里…宇化が見えてこない。
9.肝心の成長率も鈍化している。18年10〜12月の利用者がドライバーに支払った料金は、同年7〜9月比で9%増加した。だが、同じ期間のウーバーの手数料収入は横ばいだった。これは主力の米国市場でリフトの攻勢を受けてシェアを落としており、従来の手数料率を維持できていないからである。もっとも、シェア拡大を図るリフトも18年の売上高が約2400億円と前年から倍増したが、営業損益は約l100億円の赤宇。互いに採算割れの中でしのぎを削っている。この先も競争が続けば、手数料率の引き上げは容易ではない。
10.グローバルで見ても、ローカル企業との競争が激しく、中国と東南アジアでは、滴滴出行とグラブに事業を譲渡した。対価として一部株式を得たものの、事業からは撤退している。
11.大赤字を垂れ流しながらも投資のアクセルは踏み続ける。18年の研究開発費15億ドルは2年前のおよそ2倍。ウーバーATGという自動運転の開発事業部門に研究開発費の3割をつぎ込むほか、「空飛ぶクルマ」の開発や中東のライドシェア企業「カリーム」の買収など先行投資も積極的である。
12.16年に立ち上げた出前事業「ウーバーイーツ」は世界500都市で展開するまでに育っているが、手数料率が10%前後と低いうえ、こちらもプラットフォームへの投資が続く。4月19日には、自動運転部門のATGを分社し、トヨタグループやソフトバンク・ビジョン・ファンドから合計10億ドルの出資を受けると発表した。トヨタは21年までに最大3億ドルを開発費用として拠出する。上場後は投資家の視線も厳しくなるためか、外部資金.を引き入れて開発投資の負担を軽減する狙いである。
13.それでも、事業上のリスクは山積している。世界各国でタクシー業界がライドシェアへの反発を強めており、ドライバーの雇用を求める訴訟や規制強化の動きがある。近年はカラニック元CEOの退任騒動、自動運転実験中の死亡事故なども起きた。存在感の拡大とともに、社会との軋櫟も大きくなっている。こうしたことから目論見書ではリスク情報の文章が延々と続く。
14.さまざまなリスクを抱え巨額赤字であっても、資金が集まり、10兆円前後の値段がつく。日本企業で時価総額10兆円を超えるのはトヨタとソフトバンクグループのみである。リフトの株価も初値から3割ド落したとはいえ、時価総額は依然約1・9兆円ある。15.SBI証券の遠藤功治アナリストは「タクシー代わりのウーバー、というだけでは先は知れている。乗り物の役割がサービスへと変わっていく中、ライドシェアや自動運転の領域で主役になるとの期待が高い」と解説する。
16.企業価値が500万ドルだつた頃のウーバーに2万5000ドルの投資を行ったエンジェル投資家、ジェイソン・カラカニス氏は「シリコンバレーでは規格外のリターンを得られる可能性が世界一高い」と話している。本当にすごいのはウーバーやリフトではなく、リスクマネーを供給してベンチャーを育てる米資本市場の懐の深さである。


yuji5327 at 06:28 

2019年06月04日

副業で稼いで収入を増やすことを考えるのもよい。金銭的にも精神的にも余裕のある生活ができる。副業の内容が本業と関係する場合は徹底的に隠す。

PRESIDENT (プレジデント) 2019年 6/3号 [雑誌]
PRESIDENT 編集部
プレジデント社
2019-05-13

「高橋洋一著:消費税増税すれば日本は全治3年、PRESIDENT、2019.5.13」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.安倍晋三首相は、今年10月に予定されている消費税増税について、昨年11月に、「リーマンショック級の出来事がない限り、10%にしたい」と述べている。その「リーマンショック級の出来事」は起きる可能性が高い。国内の景気が危うい。政府はずっと景気拡大していると言っているが、まったく理解不能である。
2.それは景気動向指数を見れば一目瞭然である。景気動向指数の推移を見ると、直近のピークは2017年12月ごろ。マスコミは、昨年10月から下がっていると言っているが、実際はもっと前から落ち始めていた。そして昨年1年間は、上がったり下がったりしながら全体のトレンドとしては下落していて、今年3月7日に内閣府が発表した1月の景気動向指数は3カ月連続でマイナスとなり、下落がさらに顕著になっている。
3.こんなときに消費税増税をやったら、みんな財布の紐をがっちり結んでしまう。景気は、つるべ落としで一気に.悪化することが予想できる。海外に目を向けると、イギリスのEU離脱と中国経済の失速がある。どちらも顕在化すればリーマンショック級になる。。国内景気、ブレグジット、中国経済の3つのうちのどれかが、近々弾ける。
4.そうなれば、7月の参院選を前に、安倍首相も消費税増税するとは言いにくくなる。増税見送りを表明するタイミングは、3月中は20年度予算を成立させることで精いっぱいで、予算案の中に消費税が盛り込まれていたので動けなかった。しかし、予算が成立した後の今は違う。
5.ブレグジットや中国の状況が急に.悪化するなど、世界情勢や景気動向の状況によっては、4月までに、すでに消費税見送りを表明している可能性はありえる。それがまだであれば、あまり遅くなると、増税に向けた準備が進んでしまいやめられなくなる。増税見送りの表明は、改元して5月の連休が終わってからになるか、5月20日のGDP速報で悪い数字が出て、それがダメ押しのようになって表明するか、わからない。
6.参院選の公約は6月上旬までにまとめる必要があるので、5月いっぱいくらいが見送り表明のデッドラインである。6月28日から大阪で開かれるG20のころには、目鼻がついている。安倍首相は、16年5月の伊勢志摩サミットでも、原油などのコモディティ価格の下落を挙げて「リーマンショック級の危機」と指摘し、17年4月に予定されていた消費税増税を見送っている。コモディティ価格下落の影響を受けやすいのは、先進国ではなく発展途上国。本当はその程度では「リーマンショック級」とは言い難い。
7.コモディティ価格下落を理由に増税を見送るくらいなら、今のほうがもっと「リーマンショック級」に近いはずである。国内景気、ブレグジット、中国経済が緕み合えば、消費税増税どころではなくなる。日本は1000兆円の借金を抱えていて財政が破たんするから、消費税を上げる必要がある、と言われるが、借金は多いが資産も多いので、日本の財政状況は健全である。また少子高齢化で社会保障の財源が足りないから、消費税増税をするしかない、と言う議論もウソである。そもそも日本の財政は.悪化していないし、社会社会保障費も大丈夫なのだから、消費税を上げる必要などない。
8.消費税増税をしないと児童手当が出せない、とか、幼児教育・保育の無償化ができない、と言う人もいるが、財政が大丈夫なのだから、消費税増税をやめてもそれは可能である。つまり消費税増税は、経済が停滞するだけで、一つもいいことがない政策である。消費税増税をすると全治3年である。税金が増えれば可処分所得が減り、その影響は3年はど続くため、景気は冷え込んでしまう。過去の消費税増税も全治3年だった。3%から5%に上がった1997年も、5%から8%に上がった14年も、その後3年間景気が停滞した。唯一の例外が89年の消費税創設です。あのときは物品税をなくして消費税を導入したので、税金の名前が変わっただけで、実質的には増税ではなかった。
9.今回の増税時にはポイント還元などの時限措置を行うことになっている。こうした措置は、その期限が切れるまでは景気への消費税増税の影響が出ないで済むかもしれないが、期限を迎えた時点で効果が切れて、景気の停滞が始まる。措置が行われる間だけ、景気の冷え込みが先延ばしになるだけで、増税の影響はいつか必ず出る。時限措置の後にやってくる景気停滞のために、多少の心の準備はできるかもしれないが、お金.の準備ができるわけではないので、ほとんど意味がない。消費税は、全員が一方的に徴収されるので、ビジネスパーソンが消費税増税に対してできる対策は何もない。
10.この機会に副業で稼いで収入を増やすことを考えるのもよい。金銭的にも精神的にも余裕のある生活ができる。もし副業の内容が本業と少しでも関係する場合は、徹底的に隠したほうがいい。


yuji5327 at 06:48 

2019年06月03日

オムロンは学生からの就職人気が高いが、役人になるのと同じ発想でキーエンスと異なる。

2019/4/26付けの大前研一さんの「 ニュースの視点 」(発行部数 162,406部)は「消費税増税/日銀」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.菅官房長官は18日の記者会見で、10月に予定する消費税増税について「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、予定通り引き上げる」と述べた。同日、自民党の萩生田光一幹事長代行が「景気がちょっと落ちている。万一腰折れしたら何のための増税かということになる」とし、6月の日銀の短観次第で増税延期もあり得ると述べており、それを否定したものである。
2.萩生田氏の考えは安倍首相に近く、おそらくこの発言についても安倍首相の影響を受けていると思われる。菅官房長官と萩生田氏のやりとりは、自民党が総選挙までにらんで二枚舌を使っているものだと思われる。
3.そもそも消費税を段階的に10%まで引き上げるというのは、民主党の野田政権のときに法案が提出され可決されたものである。しかし、民主党を含め現在の野党は消費税増税に反対の立場を示している。それに対して、実体経済としては疑問視する意見もあるが、史上最長の好景気と自負している自民党は、リーマン・ショック級の出来事が起きたら延期もあり得ると匂わせている。
4.史上最長の好景気なのに、リーマン・ショック級の出来事が起こるというのは、おかしな理論である。しかし、そんな理論をゴリ押ししつつ、そうなった場合には、消費税増税の延期について「国民に真意を問う」と萩生田氏は発言している。
5.ここが重要なポイントになっている。「真意を問う」とは、総選挙「衆参ダブル選挙」のことである。まさに茶番のような二枚舌を使ったのはこのためである。この流れを作ることで、自民党は「消費税増税の延期について国民に問う」という名目で総選挙を行うことができる。そして、基本的に消費税増税の延期に反対する国民はいない、というのも重要である。
6.国家財政を憂慮し理性的に判断する人よりも、増税が延期されれば家計的に助かると感じる人のほうが多い。このような流れで消費税増税を論点とした総選挙になってしまうと、野党としては非常に厳しい戦いになる。そもそも自分たちも増税に反対だから、増税の延期について国民に問うという自民党に対抗する術がなくなってしまうからである。
7.自民党は間違いなく圧勝できる。そして、安倍首相の思惑は、選挙に圧勝した上で憲法改正に向けて動くというものである。史上最長の好景気と言いながら、リーマン・ショック級の出来事が起こるかもしれないというのは、「あり得ない」理論である。それを成り立たせるために、菅官房長官と萩生田氏で始末の悪い演技をしているだけである。全ては自民党が選挙に勝つシナリオのために、示し合わせているだけだと思われる。
8.16日の衆院財務金融委員会で、共産党の宮本徹議員が日銀によるETF買いの副作用について質問したのに対し、黒田総裁は「株価安定の目標を実現するために実施している」と説明した。しかし、直後の答弁で「物価安定の目標を実現するための措置であり、先ほどの発言には誤りがあった」と訂正した。
9.プライス・キーピング・リーダーの中心人物とだけ言っていれば良いのに、うっかり「株価」という本音が出てしまった。安倍首相なら、このような過ちは犯さないはずだが、黒田総裁は「正直」過ぎる。日銀の本質的な問題は、ETFを購入し過ぎていることである。
10.日銀が筆頭株主になっている企業には、日東電工、ファナック、オムロン、日本ハム、宝HD、東海カーボン、安川電機などがあり、いずれも日銀の株式保有比率は10%を越えている。「国営企業?」というレベルである。
11.オムロンは関西で最も学生からの就職人気が高い企業だが、オムロンに入社するのは「役人」になるのと同じではないかと思う。学生はこの状況を理解して、役人になる手段の1つとしてオムロンへの就職を考えていると思われる。
12.キーエンスに比べてオムロンは穏やかな企業だし、国営企業として安定していれば、なおさら良いのかもしれない。これだけ日本に「国営企業」が増えてきているのは、大きな問題である。


yuji5327 at 06:43 

2019年05月31日

中央集権的な管理は、環境変化が激しい中で企業を成長させる場合の足かせになる。令和の時代は、成長を目標にした攻めの経営が待望される。


校條浩著:シリコンバレーの流儀、人事部による人事は成長できるか、週刊ダイヤモンド、2019.04.27」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.先日、配車サービス企業の米リフトが米ナスダック市場に上場した。時価総額は上場時、優に2兆円を超えた。競合である米ウーバーも上場を予定しており、時価総額は6兆円を超凡ると予想されている。
2、今年、時価総額1兆円を超える上場は民泊仲介サービスの米エアビーアンドビーなど6社ある。これらの合計時価総額は18兆円程度といわれ、それは、東証マザーズに上場している約300社の時価総額の合計約5兆円をはるかに超える。
3.これらの急成長企業は、ほんの10年ほど前に産声を上げたベンチャー企業である。そこで頭をもたげるのが、急増する従業員の人事をどう運営しているのか、という疑問である。何百人という人を頻繁に採用し、配属・動機付けをした上で、評価し、昇給・昇進を行うと同時に、急成長する事業の運営も行わなくてはならない。
4.そこで活躍するのが「HR(Human Resources)テック」である。最先端のITを活用して、人材の採用、配置、育成などのさまざまな人事業務を飛躍的に効率化させるものである。MBO(Management by Objectives)、OKR(Objectives and Key Results)、タレントマネジメントなどの近代的な人事管理手法をクラウド上で実現できる。
5.MBOは、経営の神様といわれたピーター・ドラッカーが提唱したもので、上司と部下で相談した仕事の目標(Objectives)を定期的に評価するもので、結果はボーナスや昇給・昇進に反映され、日本企業でも古くから行われている。一方、OKRも目標と成果を見るのだが、従業員個人ではなく、組織の成果を最大限に押し上げるための評価を見る。組織の具体的な目標である「Objectives」を達成するために必要な結果「KR」を具体的にブレークダウンして、比較的頻繁に評価する。
6.OKRは企業に急成長をもたらす手法として知られる。採用した企業として有名なのは、世界的な半導体企業である米インテル。創業期から関わり、後に経営トップを務めたアンディ・グローブが1970年代に取り入れた。最近、再びこのOKRに注目が集まっているのは、米グーグルで積極的に使われ、その急成長を支えてきたからである。持ち込んだのは米クライナー・パーキンス(KPCB)のパートナー、ジョン・ドーア。KPCBはまだ誕生したばかりのグーグルに投資した、世界最強のベンチャーキャビタルの一つといわれている。
7、ドーアは、もともとインテルで半導体事業の営業をしていた。そこで、グローブからOKRの指導を受けていた。それから約20年後、ドーアは、グーグルにOKRを適用した。グーグルを初めて知ったときには従業員は数百人程度だったが、今は10万人規模である。時価総額は99年にKPCBがグーグルに投資したときの約100億円程度から85兆円になった。OKRはこのような成長を人事面から支える、会社の経営の根幹となった。
8.グーグル共同創業者のラリー・ペイジは、「OKRを実行することで、10倍の成長を何度も繰り返すことができた」と述懐している。OKRを採用している企業は多い。米リンクトインや米ツイッター、ウーバーなどである。それら企業の共通点は、成長への飽くなき欲求と、具体的な目標に対して一丸となって取り組むことである。こう聞くと、日本の60代以上の人にはなじみのある響きである。それは戦後日本の高度経済成長の前向きな雰囲気と同じだからである。
9.過去30年の間に日本の雰囲気は変わってしまった。長い経済停滞の中で、顔を上げて未来への成長に胸を躍らせることがなくなってしまった。このような後ろ向きの状況で、日本企業はHRテックをどう活用すればいいのだろうか。人事評価の効率化はできるだろが、今の日本企業にはより根本的な問題がある。
10.米ワークデイでソフトウェア開発のディレクターを務める宇田川博文氏から興味深い話を聞いた。宇田川氏は、人事・財務管理システムを提供するワークデイの米国本社と日本法人を行き来しており、日米両方の人事システムに詳しい。宇田川氏によれば、米国で成長している企業の経営は、ミッシヨンを明確にしたプロジェクト志向になってきているという。多.くの場合はOKRを活用し、プロジェクトを推進するために業務を具体的に定義し、業務管理、人事管理をする。人を配置したり異動させたりするには、個々人のスキルを評価し、見える化する必要がある。それを可能にするタレントマネジメントも取り入れている。
11.HRテックにより、こうした人材情報はクラウドで誰もがアクセスできるようになる。プロジエクト型の経営を推進する場合は、関係者全員が閲覧可能となっていることが常識となりつつある。一方、宇田川氏によれば、日本でのこうした人材悟報は、人事部が独占している。人事部が掌握した情報を基に、人事部によって人材配置をすることが前提になっている。宇田川氏はこのような中央集権的な管理は、環境変化が激しい中で企業を成長させる場合の足かせになると指摘している。令和の時代は、成長を目標にした攻めの経営が待望される。HRテックが、既存人事システムの効率化だけではなく、OKRや透御(独)の効用を最大限に掌受でき、成長への足掛かりになる。



yuji5327 at 06:52 

2019年05月26日

米国からの防衛予算増額要請を踏まえ、NATO基準を適用し理解を求める考えとのことである。かつては防衛費が1%を越えたら、野党が文句を言っていたが、今はその力もない。

2019/4/19付けの 大前研一さんの「 ニュースの視点」(発行部数 162,508部)は「航空自衛隊/防衛費/新紙幣発行」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機「F35A」が訓練中に消息不明になったことについて、防衛省は10日、機体の一部などを回収したことから墜落したと断定した。機体から訓練中止を告げる通信があった直後に消息が途絶えたということで、自衛隊などはパイロットの捜索と機体の回収を続けるとともに事故の状況や原因を詳しく調査している。
2.墜落した航空機を操縦していたのは、4機編隊の隊長を務めるほどのベテランだったが、よほどの緊急事態が生じたようである。ベイルアウト(ボタンを押して非常脱出すること)もできずに墜落したというのは、驚きである。
3.F35Aの墜落事故は世界的にも初めてのことで、原因究明は必要で重要なことである。何かしら機体の構造的に問題があったのかもしれない。機密性が高いため、どこまで原因を追求できるのか不明である。墜落した機体は海底1500メートルに沈んでいるので、回収も容易ではない。
4.日本は1機150億円のこのF35A戦闘機を150機購入予定だから、ウヤムヤにする訳にもいかない。1500メートルの海底からでも回収する方法はあると思うので、一刻も早い原因究明を望む。
5.岩屋防衛相は9日、2019年度の防衛費を北大西洋条約機構(NATO)の算定基準で試算すると、対国内総生産(GDP)比で最大約1.3%になると示した。日本の防衛費は、
これまで国内反対派や周辺国による防衛費拡大への懸念を抑えるため、防衛費を対GDPで1%以内におさえてきた。
6.今回は米国からの防衛予算増額要請を踏まえ、NATO基準を適用し理解を求める考えとのことである。かつては防衛費が1%を越えたら、野党が文句を言っていたが、今はその力もない。
7.トランプ大統領がNATO加盟国に国防費負担増を要求していたのを、対岸の火事と思ってみていたら、いつの間にか岩屋防衛相がNATO基準を活用し1.3%を提示するようになった。トランプ大統領のNATO加盟国への要求は厳しく、現在1.2%のドイツは2025年までに2%まで上げることを求められている。
8.防衛費を2%まで上昇させるのは、ドイツにとっても日本にとってもかなり難しい。トランプ大統領からすれば、防衛費を上げて、米国から購入してほしいという意図があると思われる。日本とドイツの場合には、防衛費を上昇させると周辺国から警戒されるという歴史的な事情や背景もあるので、一筋縄ではいかない。
9.財務省は9日、1万円、5千円、千円の紙幣を2024年度上半期に一新すると発表した。新紙幣の図柄は、1万円札が日本の資本主義の父と言われる「渋沢栄一」、5千円札は津田塾大学創始者の「津田梅子」、千円札は日本の感染症予防や細菌学の発展に貢献した「北里柴三郎」になる。新紙幣の発行理由を「偽造防止のため」とする報道もあるが、全然違う。
10.中国くらい偽造紙幣が横行しているならわかるが、日本の紙幣はそれほど偽造されていない。元号が変わるタイミングで発表し、明るい状況の勢いに乗りたいというのもあるのかも知れないが、財務省の「裏の意図」があるように感じる。真偽はともかく、20年前に新紙幣が発行されたときには、赤字財政を立て直すために、政府がトリックを仕掛けたとの噂がある。
11.旧紙幣の1万円を持ってきたら新紙幣の8千円を返すという仕掛けを作り、2千円(20%)を強制的に国が徴収できるように画策していたと言われている。当時、ATMを製造している会社に、上記のような仕掛けについて複雑な操作ができるように要請したという噂が流れた。某関西地区の国会議員がこの情報を入手し、当時の大蔵省に問い合わせをして、ATMの設計上はそのような細工が施されていたと確認した。
12.日本国債の暴落が世界的な金融危機のトリガーを引くことになるのではないかと危惧されていた時だったので、日本政府としては何とか対応したかった。今回も同じ仕掛けということはないと思うが、別の「裏の意図」が隠されていると思う。タンス預金50兆円を表に出すためとも言われているが、このお金は課税対象にならないので政府としては意味がない。また、ほとんど銀行金利がつかない今の状況では、新紙幣の発行だけでタンス預金を表に出そうと思う人も少ない。旧紙幣が1年で使えなくなるといった条件があれば別だが、5〜10年使えるのであれば問題ない。日本は現金流通残高が多い国である。
13.キャッシュレス化が叫ばれている今、新紙幣の発行を発表した意味もある。20年前は新紙幣の発行までの期間は2年間だったが、今回は5年の猶予がある。財務省を辞める人もいるし、代議士も追求するから、5年の間に少しずつ、その「裏の意図」が漏れてくる可能性も高い。何にせよ、財務省の「本当の意図」は5年後ではなく、別のところにあると思われる。



yuji5327 at 06:26 

2019年05月25日

情報の信ぴょう性や信頼度の評価、広告宣伝的なものの排除が必要である。国家的な研究プロジエクトとしてAIによる相談サービスの必要性は意味がある。


「野口悠紀雄著:老後不安に対する情報サービスが欲しい、週刊ダイヤモンド、2019.04.20」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1. 最近の週刊誌に「終活もの」の記事が非常に多くなっている。異常といってもよいほどの状況である。退職後の生活のためにどれだけの蓄えが必要か? 認知症になったときに備えて預金をどう管理すべきか? 自宅という資産はあるが老後の生活資金がない。どのようにして自宅を活用できるのか? 自宅を処分して老人ホームに入った方がよいのか?等々である。
2.健康上の問題もあるし、相続に関する親族間の争いの問題もある。あるいは手続き上の問題もあり、それらが複雑に絡み合っている。多くの人々が、こうした問題について強い関心と、大きな不安を持っている。日本人の平均寿命が飛躍的に長くなった。その半面で、家族間のつながりや地域のつながりが希薄化したため、日本社会はこれまで経験したことのなかった問題に直面している。
3.こうした状況下で、人々が求めているのは、情報である。公的な財政支援が必要となる問題も多いが、それは別途、考えるべき問題である。報道機関が果たすべき役割は大きいが、マスメディアで伝えられる情報は、重要ではあるが十分とはいえない。求められているのは、もっと個別的で詳細な情報である。状況は地域によって大きく異なるので、少なくとも、地域別の情報は必要である。それだけでなく、個人個人の事情に対して、どう対処できるかという情報が必要である。だから、マスメディアの記事だけを読んでも役に立たない場合が多い。現在では、このような問題に関する最重要の情報源は、多くの場合、友人や職場、あるいは地域の]コミのネットワークだろう。しかし、これら口コミも不十分であり不正確である。たまたま入ってくる情報が自分が知りたいと思つことに役立つとは限らないし、その情報がどの程度信頼できるものか、どの程度一般的なものかなども分からない。
4.医療関連の問題や法律上の問題に関しては、個別的状況に対してアドバイスする無料の相談サービスが幾つか提供されている。例えば、三井住友力ードの「ドクターコール24」やJCBカードの「ドクターダイレクト24」では、ゴールドカード会員などを対象に、簡単な医療上の問題について、専門スタッフが電話で相談に応じてくれるサービスがある。自治体でも、類似の相談窓口を設けているところがある。
5.三井住友海上火災保険の「生活サポートサービス」や損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「SOMPO健康・生活サポートサービス」は、契約者を対象に、医療、その他の生活上の相談について電話で応じるサービスである。
6.借地・借家、不動産、柑続、離婚、金銭のトラブルなどの法律問題全般について、弁護士が相談を受ける法律相談を、自治体や弁護士会が無料で提供している。弁護士が法律問題について答えてくれる才ンラインの無料法律相談もある。日本司法支援センター(総合法律支援法に基づいて設立された独立行政法人)の「法テラス」は、電話やメールでの法律相談を無料で受け付けている。
7.こうしたサービスだけでもまだ、情報需要には十分には対応できない。現在の医療相談や法律相談ではなぜ不十分なのか? 求められているものは、こうしたサービスとどこが違うのか? 「正しい答え」というよりは、適切な方法や賢い方法が求められている場合が多い。個人間の問題に関して、アドバイスを与えるのが適当でないと思われる案件も多い。とりわけ、相続をめぐる親族間の争いなどはそうである。
8.相談者が問題そのものをはっきり捉えていない場合もある。漠然と不安を抱えているだけで、何が問題なのかを正確に把握していないので、具体的な質問をすることができない。また、現在のサービスは、対象が限定的である場合もある。カード会社や保険会社の情報サービスの対象者は、加入者や特別の会員に限られる。法テラスは、収入が一定額以下の人が対象である。行政サービスの一環として行われる相談の多くは対象者を限定していないものの、十分な時間を掛けた相談はできない。
9.弁護十事務所が行っている法律相談が本当に相談者のために親身になってアドバイスしてくれるのかについては、疑問なしとしない。実際、法律事務所は、多大なる経費を掛けて運営されている。無料相談に十分な時間を割けなくても、当然である。法律相談は、アドバイスすることそれ自体が目的なわけではなく、あくまでも事件依頼を受けるための手段、道具であり、集客の手段なのだと捉えるのが自然である。
10.新しい形でのサービスが望まれる。幸いにして、現代社会では、インターネット上でこのような情報を交換、提供できる。特に重要なのは、人工知能(AI)を利用する対話型の仕組み(チャットボット)である。現在すでに、企茉のコールセンターなどで、AIによる顧客への情報提供サービスに向けての警組みがなされ始めている。通販サイトで、FAQ(よくある質問と回答)の自動回答にチャットボットを導人しているところもある。この用途や対象をもっと拡大することは、技術的には可能である。
11.コールセンターの場合のように、データベースに基づいて回答を行う。制度がどうなっているのか、どのようなサービスが得られるのか、実際の例としてどのようなものがあるのか等々の情報を提供する。それに加え、個人が自分の経験などを書き込んだり、関係の機関や企業が情報を提供することもできるようにする。また、行政が必要な情報を提供する。
12.これは、電話を介する対話型のサービスだから、誰でも利用できる。IT機器の扱いに慣れていない高齢者でも対話を繰り返すことによって必要な情報を入手することができる。気兼ねなく、いくらでも利用できる。地域的な細かい情報も提供できる。そして、相談者の個人情報も保護できる。
13.ただし、このシステムの構築は、それほど簡単ではない。単に費用が掛かるだけでなく、技術的にも未解決の問題が多い。とりわけ、データベースの構築は容易でない課題である。まず、多種多様な問題を把握し、それらに対する適切な指針を示さなければならない。このためには、さまざまな分野における専門家の協刀が必要である。
14.外部から寄せられる情報の信ぴょう性や信頼度の評価、虚偽情報や広告宣伝的なものの排除などがなされなければならない。こうしたシステムを、私的な主体が構築するのは難しい。国家的な研究プロジエクトとして推進する必要がある。AIによる相談サービスの必要性は、終活問題に限定されたものではない。しかし、多くの人が求めているところから手を付けるのは意味がある。



yuji5327 at 06:43 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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