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2018年01月23日

国交省の社会資本整備事業特会のような公共事業会計は、地方で所管するほうがうまく運営できる。地域主権のためにも財源、人間、権限を地方に移管したほうがいい。

「高橋洋一著:
日本は世界1位の政府資産大国、講談社新書、2013年」は参考になる。「第三章:掘り起こした46兆円の埋蔵金」「天下り法人を廃止する方法」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.社会資本整備事業特別会計にある道路整備勘定の収入源は、ガソリン税、石油ガス税、自動車重量税等、かつては道路特定財源だった。道路の整備が進むと同時に、「財政が苦しいにもかかわらず、地方分も合わせると5兆円を超える財源を道路のためだけに使うのか」という批判が集まり、福田康夫政権下で一般財源化が決まった。
2.現実には、一般会計を経由するルートに変わっただけで、年に1兆2000億円を超える巨額のカネが一般会計から投入され、道路予算の規模は特定財源のときとほとんど変わらなかった。民主党政権になり、公共事業予算は全般的に削られたが、それでも2割程度のカットに止まった。
3.飛びぬけて予算額が大きい道路には、蜜にたかるアリのように、道路族の国会議員が利権を求めて群がり、そのおこぼれを国交省がいただくという構図ができあがっていた。民主党政権になっても、地元に利益誘導したい与党議員が道路予算を欲しがるという状況は変わらなかった。
4.民主党政権での行政刷新会議が事業仕分けで指摘したように、道路財源は無駄の温床である。道路整備勘定には余剰金がたっぷりあり、独立行政法人や特殊法人を通して、補助金や委託契約金の名目で天下り組織にカネが流れ込み、無駄に使われている。
5.社団法人「国際建設技術協会」が、国交省から約1億円で発注されて作成した「海外道路情報調査報告書」は、世界銀行のデータやウィキペディアを安易に引用した粗悪な内容で、資料として使い物にはならなかった。これに、1億円も払っている。こうした利権構造をぶち壊すためにも、道路整備勘定は地方に移譲すべきである。
6.国交省の社会資本整備事業特会のような公共事業会計は、地方で所管するほうがうまく運営できる。地域主権のためにも財源、人間、権限を地方に移管したほうがいい。道路整備勘定を地方に移せば、無駄な道路も減る。経済効率に合わない道路ができるのは、建設基準がしっかりしていないことと、国が補助金を出していることにある。道路を作れば、国が建設費の一部、たとえば50%を負担してくれる。地方にしてみれば、天からカネが降ってくるようなもの。だから不要な道路まで建設しようとなる。
7.これには罠がある。残りの50%の地方負担分が地方財政に重くのしかかる。道路にしろ、箱モノにしろ、なまじ補助金があるから、地方は余計なものまで作ってしまい、財政を悪化させる。しかも、国の画一的な基準を満たさなければ補助金は下りないので、できあがった道路は無駄が多い。地方に行くと、ほとんど通行人がいないのに、歩道が両側についている道路がある。地方の実情を考えず、国が基準を押し付けているから、不要な歩道付きの道路ができあがる。
8.地方ごとに真に必要な社会投資は異なる。地方の裁量で、「適材適所」の予算配分ができれば、行政サービスの向上につながる。大半の国では、道路建設は地方の領分だ。地方が地方債を発行して、資金を集め、道路を作り、税金で地方債を償還するという方法が一般的になっている。
9.道路整備勘定の財源になっているガソリン税は、消費税の一種で、地方の財源という原則からいっても、道路整備勘定は地方に移管すべきである。


yuji5327 at 06:42 

2018年01月21日

道路整備勘定、空港整備勘定を地方に移管すれば、しっかりした住民による監視も行えるし、数兆円の埋蔵金も地方のために活用できる。霞が関の抵抗が強いからやる価値がある。

「高橋洋一著:
日本は世界1位の政府資産大国、講談社新書、2013年」は参考になる。「第三章:掘り起こした46兆円の埋蔵金」「天下り法人を廃止する方法」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.空港整備勘定は、2009年度で5000億円規模。霞が関が握る金融資産からいえぼ、微々たる額に過ぎない。しかし、地方に移譲されると、次々と特別会計が剥がされていくことを、霞が関は懸念した。
2.2010年7月、事業仕分け第3弾に先立ち、当時国土交通大臣だった前原誠司氏は、公益法人の建設弘済会と財団法人の空港環境整備協会を解散する方針を打ち出した。建設弘済会解散の話には、2008年春、道路特定財源にかかる暫定税率の維持・廃止が大きな政治問題となった経緯がある
3.建設弘済会は、役人OBばかりで独自の技術力もなく、民間に丸投げしていたピンハネ組織だった。建設弘済会は、組織的には東北から九州まで8つある国交省の地方整備局の下に、「○○弘済会」「○○建設協会」などの名で9つの組織が設けられており、国交省の発注業務をほぼ独占的に受注している。
4.9つの公益法人の職員は4358人、うち548人が国交省OBという構成である。役人OB以外の職員は、ほとんどが民間の建設会社からの出向である。弘済会が受けている発注業務は、公共事業を発注する際の積算などを補助で、民間からの出向組がやらされ、役人OBは何もしていない。
5.建設弘済会の解散は自然のなりゆきだったが、あえて国交省は前原大臣に大々的に発表させた。前原氏にアナウンスさせれば、何も知らないマスコミは国交大臣はよくやっていると書いてくれるので、肝心な改革からは目を逸らすことができる。前原氏も自分の手柄になるので喜んで乗った。
6.国交省が裏で振り付けをしていることは、前原国交相が「方向で」とか「基本的には」といった、役人がよく使う曖昧な表現を連発していたことからも明らかである。擬似民営化して役人の天下りのピンハネ組織を温存されるよりも、解散してもらったほうがいい。7.建設弘済会の解散で、数百億円の埋蔵金も見込める。本筋は、特別会計をどうするかで、公益法人などの資金の末端組織ではなく、川上にある特別会計を絞る必要がある。兵糧攻めをやれば、自ずと公益法人は廃止されていく。
8.それをやらないので、国交省の地方出先機関である地方整備局は、パラダイス状態である。道路整備勘定を事実上支配している地方整備局は、国の出先機関だから地方自治体の監督・監視も受けない。しかも、本省からのコントロールも弱い。20万人も職員がいる地方整備局を、本省が十分に管理・監督できるわけがない。本省から派遣される幹部官僚も1〜2年の地方旅行気分である。そうしたぬるま湯のなかで、建設弘済会は天下り受け入れ機関として生き延びてきた。
9.道路整備勘定、空港整備勘定の両勘定を地方に移管すれば、しっかりした住民による監視も行えるし、数兆円ある埋蔵金も地方のために活用できる。霞が関の抵抗が強い改革だからこそ、やる価値がある。



yuji5327 at 06:36 

2018年01月19日

特殊法人や独立行政法人の民営化をいうと、霞が関の官僚は反発する。特殊法人は必要で、ガバナンスを確保すべきという理由だが、本音は天下り先を失いたくないだけのこと。

「高橋洋一著:
日本は世界1位の政府資産大国、講談社新書、2013年」は参考になる。「第三章:掘り起こした46兆円の埋蔵金」「天下り法人を廃止する方法」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.埋蔵金は各省庁の外郭団体、独立行政法人にも眠っている。独法には出資金や貸付金以外にも、政府のカネが流れている。各省庁は「運営費交付金」などの名目で公的資金を注入している。
2.独法のなかには、政府からもらったカネを資金に、国債や地方債を売り買いするなど運用しているところも少なくない。運用に回しているのだから、余剰金だ。埋蔵金と見なして引き揚げても何ら問題ない。
3.特殊法人や独立行政法人の民営化をいうと、霞が関の官僚は必ず反発する。そのときに持ち出してくるのは、「特殊法人は必要であり、それに対するガバナンスを確保すべき」という理由だが、本音は天下り先を失いたくないだけのことである。
4.政府自体をスリム化すれば財務体質は強くなる。これは民間企業の再建でも同じである。経営難に陥った企業は、余計な事業を切り離す。さらに政府がスリム化すると、その分、民間経済の範囲が大きくなり、日本経済が活性化するというメリットも期待できる。
こうして民営化された企業が稼いだ税収などが入ってくるので、長いスパンで見ると、プ
ライマリー・バランスの改善につながる。
5.郵政民営化を例に取れば、郵貯の資産200兆円が国の資産から外れるものの、同時に郵貯が抱えていた国債が減る。民営化された郵政は黒字になり、税収にも寄与する。しかも、政府が保有する郵政の株を売れば、国に売却益が入る。だから、民にできることはどんど民に任せ、民営化による「改革の配当」は国民に還元したほうがいい。



yuji5327 at 06:34 

2018年01月11日

ラストベルトの中でも、鉄鋼からハイテク産業への移行で繁栄を取り戻しつつあるピッツバーグの例がある。

「伊藤元重(学習院大学教授)著:地球を読む、市場経済と格差、民主主義万能ではない、2017/4/2 読売新聞 」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米国でのトランプ政権の発足、英国の欧州連合(EU)からの離脱、欧州での極右勢力の台頭など、世界の政治が大きく揺れている。それぞれの国で起きていることには違った要素も多いが、共通しているのは、グローバル化と格差拡大の問題である。
2.グローバル化の中、米国では「ラストベルト」(さび付いた工業地帯)と呼ばれるアパラチア山脈に近い地域で、鉄鋼や自動車などの製造業が衰退を続け、住民たちを直撃した。産業基盤を失った地域の貧困と将来への絶望は、私たちの想像を超える。そうした人たちの投票が、保護主義を訴えるトランプ政権の誕生につながった。グローバル化とは、市場経済が国境を超えて拡大したもので、その意味では、グローバル化と保護主義の衝突は、市場経済と格差拡大の衝突と読み替えてもいい。
3.市場経済は、しばしば所得や富の格差を広げる。勝者の総取りという言葉にあるように、市場での自由な経済活動は、経済的な勝者と敗者を分ける結果を生む。所得や富を一部の人に集中させ、大衆は相対的に貧しくなる。
4.民主主義は、すべての国民に対して1人1票を与えているが、国民の半分以上が市場経済に不満を持っていれば、保護主義でも規制でも、市場経済活動を阻害する政策が支持される。トランプ政権の誕生は、多くの人が「保護主義の方がまし」と考えたからである。5.格差の拡大と定着は、政治的な影響力を持っている。こうした「民主主義」的な力の行使が、社会にとって好ましいとは限らない。米工ール大学のエイミー・チュア教授の著書「富の独裁者」が、それを的確に指摘している。
6.アフリカ南部の国では、少数の白人が富を独占していることに不満を持つ黒人が多かった。「我々の富を取り戻す」と主張した黒人政治家が大統領になるが、独裁者となり、彼に票を投じた国民を苦しめる。結果的に、国民の不満と「民主主義」が政治的にうまく利用されてしまう。
7.トランプ政権の掲げる政策が、ラストベルトの人たちの生活の改善につながる可能性は低い。関税を引き上げ、企業の国外への投資をけん制する保護主義的な政策が、ラストベルトでの雇用を増やすとは考えられない。複雑化したグローバル経済は、単純な政策でコントロールできる代物ではない。
8.最近は、中国の方が、市場経済のアクセルを思い切り踏み込むことができている。中国でも格差は拡大し、様々な形で暴動やデモなどが起きている。それらは投票という形を取らない民主主義の姿である。多くの住民が格差拡大に不満を持てば、投票以外の形で反対運動が起こり得る。
9.中国のような政治体制では、市場経済への不満が社会全体には広がりにくい。非民主主義的な政治が動きを抑圧するからである。中国で、市場経済の動きが加速しているというのも皮肉な話ではある。
10.長い歴史を持つ欧州諸国は、市場経済の拡大と民主主義の矛盾を解消する努力を続けてきた。英国などでは、産業革命で経済が大きく成長すると、多くの労働者の抗議活動や暴動が起きた。こうした動きが、社会の不安定化につながらないための制度設計が求められた。
11.格差是正のためにポイントとなったのが、所得分配政策や社会保険制度である。失業者を守る雇用保険制度が整備され、無償の教育サービスが提供された。医療や年金などの社会保障制度も確立した。累進課税の導入により、高所得者から低所得者への所得移転が行われてきた。これらの制度は、一義的には国民を守り、福祉を向上させた。同時に、結果的には、市場経済のアクセルをより強く踏み込むことができるような安全装置の役割も果たしてきた。
12.重要なのは教育である。貧しい人たちにも教育の機会が提供されることで、貧困や格差が固定しない社会が実現する。ラストベルトの貧困も、将来への希望を持てないことが、当面の貧因以上に深刻な問題である。世代を超えて貧困や格差が固定することが避けられるなら、多くの人がグローバル化の恩恵を強く実感することができる。
13.ラストベルトの中でも、鉄鋼からハイテク産業への移行で繁栄を取り戻しつつあるピッツバーグの例がある。AI(人工知能)研究の世界的な拠点となっているカーネギーメロン大学の存在が大きい。グローバル化に対応できる力を育てていくためにも、教育は重要な意味を持つ。
14.市場経済と格差の間題は、今後の日本の経済政策を考える上でも重要である。国民皆保険で全ての国民に医療の安心を与え、公立学校が安い費用で若者に優れた教育を受ける機会を提供してきた日本の制度は、米国のラストベルトと比べると優れていたように見える。
15.日本の制度が今後も維持できるのかどうか、確信が持てない。財政的な制約で医療、年金、介護の制度が圧迫されている。子供の貧困問題が深刻に語られる中で、旧来の教育制度にほころびが見えている。高等教育が、技術革新や社会の変化に対応できなくなってきた。就職氷河期世代で非正規雇用が増えたことに象徴されるように、労働市場にもひずみが広がっている。市場経済やグローバル化の恩恵を十分に享受できるようにするには、格差の固定化を是正したり、社会保障制度の強化に取り組んだりする必要がある。日本は、デフレからの脱却を政策の最重要課題にあげてきた。そのためには、市場経済を最大限に活用することが不可欠で、グローバル化にも正面から向き合ってきた。今後、そうした流れをさらに加速できるように、、市場経済の安全装置も拡充していかなくてはならない。



yuji5327 at 06:33 

2018年01月02日

国家公務員や地方公務員の人件費を2割カットすれば、6兆円の財源ができる。これが毎年使えるようになる。増税して国民に負担を強いる前に公務員が血を流すべき。

「高橋洋一著:
日本は世界1位の政府資産大国、講談社新書、2013年」は参考になる。「第三章:掘り起こした46兆円の埋蔵金」「天下り法人を廃止する方法」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.経営難に陥っている会社は、従業員の賃金カットやリストラを考える前に、保有している資産を切り売りする。民問なら、当たり前の話である。ならば政府は増税の前に政府資産の売却をするのは当然である。日本と同じく財政難に陥っているイギリスでは、空母をネットオークションにかけることになった。、
2.日本政府は629兆円という莫大な資産を保有しているのだから、処分できるものは処分すべである。とくに、このうち428兆円を占める金融資産(現金・預金や有価証券のほか、特殊法人などへの貸付金や出資金、および年金積立金管理運用独立行政法人への寄託金など)は、年金を支払うために取ってある寄託金を除けば、原則として売却できる。この多くが、官僚の天下り先への資金提供なので、売却によって天下り法人も原則廃止できる。
3.日本では、政府資産の切り売りの話はなかなか出ない。日本の中央官庁の特色は、業界の規制に関わるセクションが多い代わりに、消費者の利益を守る仕事は少なく、携わっている人間も非常に少ない。規制と許認可権で業界に権限を行使しているので、民間も天下りを受け入れ。役人天国の源になっているのは、規制だけではなく、629兆円という莫人な保有資産のためである。
4.莫大な資産を保有するとは、政府の外郭団体が非常に大きいということである。多くの外郭団体や特殊法人に資金を融資しているから、結果的に資産が巨額になる。そして、融資の見返りとして天下りポストを拡大する。
5.この意図で霞が関が作った特殊法人や独立行政法人は、約4500。そこに2万5000人が天下りし、国費が12兆円も注ぎ込まれた。この数字を見れば、日本の公務員の数が少ないというのもまやかしだということがわかる。こうした法人で働く人間も、実質的には公務員である。
6.これら法人が何らかの役割を果たしているのなら、まだ救われるが、業務は民間に丸投げのところが多く、中間搾取するだけの存在になっている。要は、官僚OBを養うための組織でしかない。霞が関が大きな権限を握り行使できる仕組みがあるからこそ、官僚たちが役人天国を謳歌できるという構造になっている。
7.役人天国を解消するためにも、資産のスリム化が必要である。小泉改革では、その一環として郵政の民営化を行い、その他の多くの独立行政法人も民営化する方針を決めた。民営化すれば、無駄なカネを注ぎ込む必要もなくなり、政府の保有する株を売って、そのカネを国民のために使える。しかし、霞が関の役人たちは、パワーの源泉である資産の売却を何とか阻止しようとする。
8.財務省は、「我が国政府の金融資産の多くは将来の社会保障給付を賄う積立金であり、すぐに取り崩して債務の償還や利払いの財源とすることができない」と予防線を張っている。バランスシートが苦手な学者やマスコミは、この財務省の言い分を鵜呑みにし、そのまま発言するが、これが真っ赤な嘘であることは、バランスシートをチェックすればわかる。
9.金融資産428兆円の内訳を見ると、有価証券97.6兆円、貸付金142.9兆円、出資金59.3兆円、運用寄託金110.5兆円など。財務省が取り崩せないとする年金の積立金(運用寄託金)は110.5兆円で、資産の2割程度だ。財務省の「多くは社会保障の積立金」という表現は、詐欺的である。それ以外の300兆円くらいは、すぐに売れるはずである。
10.小泉改革から取り組みが始まった政府資産の圧縮は、官僚べったりで財務省に牛耳られていた民主党政権下で完全に骨抜きにされ、ひたすら政府は増税.を進めた。そして財務省は、自民党政権に替わった今も、大増税を企んでいる。
11.逆に、日本の再生への道筋は、経済成長、埋蔵金の拠出と公務員人件費カットの3段階である。政府資産は、元はといえば、税金から形成された国民の資産である。国民のために使わずに、政府が温存し、官僚が自分たちのために使い、なおかつ国民にさらなる負担を求めるのは、とんでもない話である。
12.国家公務員や地方公務員の人件費を2割カットすれば、6兆円の財源ができる。これが毎年使えるようになる。国民感情からいっても、増税して国民に負担を強いる前に公務員が血を流すべきである。
13.埋蔵金は、政府資産大国・日本の実態を如実に語っている。政府資産のなかには、いますぐにでも国民のために使えるカネがある。いわゆる「霞が関の埋蔵金」である。著者が、推計して埋蔵金を発掘したことは、財務省側からすると、手の内を明かされるようでおもしろくなかった。最初から不足財源を埋められるおカネがあることがわかっていると、誰からも感謝されないし、立場がなくなるからである。



yuji5327 at 06:59 

2018年01月01日

米国のエルサレム首都認定、安倍首相は簡単に賛成すると懸念していたが、河野太郎外相がふんばってくれた。日本の決断は正しかった。

小生の今年は78歳の読書記録、昨年は無休だったのは健康のおかげである。本年も頑張ろう。
2017/12/29付けの「大前研一 ニュースの視点」(発行部数 168,278部)は「北朝鮮情勢/サイバー攻撃/米韓関係/イスラエル情勢」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.国連安全保障理事会は22日、北朝鮮に対する追加制裁決議を全会一致で採択した。北朝鮮への石油精製品の輸出を年間50万バレルに制限することで、輸出の約9割を禁止するほか、北朝鮮からの出稼ぎ労働者を24ヶ月以内に送還することなどを求めた。北朝鮮の脅威が増す情勢から、この採択は正解である。
2.米政府は19日、今年5月に世界で被害をもたらしたランサムウエア(身代金要求型ウイルス)「WannaCry(ワナクライ)」を使ったサイバー攻撃について、北朝鮮が関与したと断定した。
3.北朝鮮の脅威は、核ミサイルによる物理的な攻撃能力だけでなく、ソフト面での攻撃力も備えてきている。ソニーピクチャーズは、北朝鮮を揶揄するような映画を作ったために、未公開映画や個人情報を漏洩させられ、韓国では原発の設計図が盗まれそうになっている。バングラディシュの中央銀行では約8100万ドルを強奪されている。北朝鮮によるソフト面でのサイバー攻撃は、成果につながるレベルにまで達している。
4.韓国の文在寅大統領は19日、平昌冬季五輪期間中の米韓合同軍事演習の延期を米国に提案し、米国側も検討していることを明らかにした。文在寅大統領は北朝鮮選手の五輪への参加を促し、対話への気運を高めたい考えである。米国のティラーソン国務長官は「予定されている定例の軍事演習を変更する計画は承知していない」と語った。
5.韓国の国内でも指摘されているが、文在寅大統領は全く信用に値しない。文在寅大統領は、かつて金正日に挨拶に行ったこともあり、「自分が赴いて挨拶をすれば何とかなる」という思いがある。
6.米国のティラーソン国務長官は、文在寅大統領が求めている「軍事演習の延期」については全く知らないと発言し、中国は吉林省に難民キャンプを準備し始めたと言われている。これは半島の有事を想定した対応である。米国や中国の動きに反して、文在寅大統領は相変わらず反米・親北の態度を示している。日本も米国や中国と同様、北朝鮮への圧力を強化しようという流れに乗っているから、文在寅大統領の韓国と良い関係は築けない。しばらくの間、日韓関係については期待しないほうが良い。
7.国連総会の緊急特別会合が21日開催され、エルサレムをイスラエルの首都に認定した米国の決定撤回を求める決議案を賛成多数で採決した。賛成は日本を含む128カ国で、トランプ大統領は決議案に賛成した国には経済援助を打ち切ると表明しており、カナダ、豪州など一部の国は棄権した。
8.このニュースを聞いて、「米国がいかに下品な国に成り下がったのか。 リーダーシップがなくなったのか」と感じた。トルコのチャウショール外相は、「お金で我々の威厳を買えると思うのなら、それは間違いだ」と演説したが、その通りである。米国からの援助受けている国に対し、反対したら援助をしないというのは、脅しも同然であり、米国の大統領がこのような発言をするのは前代未聞である。
9.米国のエルサレム首都認定に対して、米国側についたのは、米国、イスラエル、グアテマラ、ホンジュラス、マーシャル諸島、ミクロネシア、ナウル、パラオ、トーゴである。カナダ、メキシコ、豪州、コロンビア、ハイチ、ポーランド、フィリピンなどは「棄権」を表明した。カナダ、豪州、メキシコが棄権の立場を取れるのは、自国内に資源があるので、中近東の国に遠慮しないで良い、という背景がある。
10.日本は資源国ではないので、中近東の国々と関係が悪化して、油を輸入できなくなったら致命的である。安易に「棄権」の立場を取ることはできない。トランプ大統領から安倍首相に「棄権しろ」と要求されたら、安倍首相は簡単に賛成してしまうと懸念していたが、河野太郎外相がふんばってくれた。日本の決断は正しかった。



yuji5327 at 06:44 

2017年12月30日

戦前において、帝国陸軍軍人が、軍人の責任、軍人の規律ということを全然わかっていなかったのと同様に現在の大学の学長も、民主主義の初歩を全然わかっていない。

「山本七平、小室直樹著:
日本教の社会学
小室 直樹
ビジネス社
2016-11-25

日本教の社会学、ビジネス社、2017年2月」は面白い。第1章:戦後日本は民主主義国家ではない」の「マイナスシンボルとしての民主主義、デモクラシーと法の支配」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.デモクラシーというのは、語源的には悪い意味だった。ギリシアの場合、デモクラシーといったら暴民政治という意味であるから、19世紀までは、現在われわれがデモクラシーと呼んでるものも、西ヨーロッパでは、デモクラシーとは呼ばなかった。デモクラシーがマイナスシンボルではなくて、プラスシンボルになったのは、1918年、ウィルソン米大統領の対独宣戦布告で、世界をデモクラシーをして、住みよき場所とならしむるために、アメリカはドイツに宣戦布告するといってからである。
2.それからデモクラシーという言葉が初めてプラスシンボルに転化した。そういう伝統があるから、欧米諸国においては、デモクラシーと呼ぶことにうしろめたさがある。デモクラシーとは、法の支配であって、暴民政治ではないことを常に正面に出さなけければならない。デモクラシーが法の支配を失ったら、あっという間に暴民政治になる。これは欧米諸国では何回でもデモクラシーのテーマとして出てくるけれども、日本ではデモクラシーという言葉は、戦後、文句なしのプラスシンボルとして入ってきたから、その背後にある法の支配ということが、いかに重要であるかということの感覚がスッポリ抜けて落ちた。
3.デモクラシーが何かを、新聞記者、編集者、学者に聞くと、口を突いて出るのは、国民を大事にするのがデモクラシーだというが、馬鹿げている。国民を大事にしなくてもよいという思想がむしろ例外である。
4.日本の場合、崎門学の系統の吉田松陰、ヨーロッパの場合、カルヴァニズムにしか出ていない。それ以外では、東洋専制国家、古代国家、中世国家の政治思想を要約すると、政治としていちばん大事なのは国民を大事にすることである。中国でも「論語』、『孟子』の場合には徹底的にそれを強調している。
5.現在ではデモクラシーの正反対といわれる、ナポレオン戦争後の神聖同盟がある。あの最大のテーマも、国民を大事にすることである。民主主義の反対は何かと、設問を変えると、多くの日本人は、軍国主義。ポイントは、危機が去ったときに独裁を止めることと言う。ナチスの論理によると、総統は国民から全権委任を受けたもので、ローマ時代の委任独裁と同じであって、決してデモクラシーと矛盾しないだけでなく、西欧流の堕落したデモクラシーではなく、これこそドイツ流のデモクラシーであるという。ナチスに反対の学者が、これはデモクラシーでないと論ずるが、ナチス自身はデモクラシーでないとは思っていない。
6.戦後になって、ナチスの戦争責任が問われと、ドイツ人の答えは、われわれは委任独裁を与えるつもりでヒトラーへの全権委任法を可決した。最初4年間の時限立法だったのに、ヒトラーがあのようになってしまうとは誰も思わなかったという。ヒトラーが4年間でやめればデモクラシーでである。
7.ファシズムはデモクラシーの反対というのは一つの説だが、そうでないという説もあり得る。これと同様に、共産主義・社会主義はデモクラシーであるかないかは、西欧の学者は、ソ連や東欧諸国はデモクラシーではないという。西欧型のデモクラシーのみをもってデモクラシーと考えればこの説は正しいが、これに反対する説もある。、
8.資本主義諸国はみかけ上ではデモクラシーだが、独占資本の利益にすべてが奉仕するようにできているので人民の利益は省みられない。これに対し社会主義国では労働者独裁によって人民の利益が守られるようになっているのだから、これこそ真のデモクラシーである、
9.日本が全部滅びても憲法を絶対守るという態度を日本人がとれば、それは世界史に類例のない「神なきセオクラシー」になる。ヨーロッパには、専制政治であろうと、貴族支配であろうと、人間が治める以上は全部デモクラシーになり得る。ここまでさかのぼって理解しないとデモクラシーの真の理解は難しい。日本ではデモクラシーが理解されない。初めから人間の支配だから。それだけでデモクラシーならば最初からデモクラシーであって、それ以外は考えられない。
10.西欧の場合、近代以前の社会では、絶対的一神との契約がすべての規範の根底にある。これが根本規範で、すべての法もここに依拠する。この「神との契約」が「人間のあいだの契約」に取ってかわられることによって近代社会が成立する。近代デモクラシーの出発点となる社会契約説にせよ、統治契約説にせよ、「人間のあいだの契約」が社会の根本規範になる。
11.前近代社会においては、人間にとって習慣、風俗、規範、法、政治制度、社会一般は、神がつくったもので、人間の力によってこれを変えるのは難しい。近代人は、法も政治制度も社会も、すべて人間がつくったものだから、人間の作為によって変えることができる。
12.日本人は、今でも立法ということがわかっていない。アメリカの戦犯裁判の秘密文書で、自分はドイツ国民だからドイツの法律に従ったので、自分は法的に無罪であるという論理がある。これを言われると戦犯は一人もいなくなる。ナチス政府は列国から認められた正統性を持つ政府だから、それが発布した法律に自分は違法はしていない、法律通りにやったということを日本に持ってきてもその論理は機能しない。
13.日本は「負けたんだから、しようがない」になる。責任というのは、自分に与えられた権限という概念という考え方が日本に全然ない。たとえば捕虜問題は陸軍大臣の責任なのかというと不明確で、追及していくと、天皇の責任以外に出てこない。帝国憲法では、天皇は責任負わないので責任はどこかに消えてゆく。
14.いつでも無責任に転化しうる無限責任ほどデモクラシーと異質なものはない。
その無限責任の伝統は戦後まで生きている。連合赤軍事件のときに、当時の横浜国立大学の学長越村信三郎氏が国会に呼ばれて、申しわけございませんと頭を下げた。論理的にいえば学長には責任はない。大学の学長が何で治安問題に責任があるのか。しかも大学生というのは保護を要する未成年じゃなくて、成年だから、私の知ったことでないとひと言いえばよかった。
15.戦前において、帝国陸軍軍人が、軍人の責任、軍人の規律ということを全然わかっていなかったのと同様に現在の大学の学長も、民主主義の初歩を全然わかっていない。



yuji5327 at 06:50 

2017年12月28日

日本の製薬業界では「自由競争」ができない。日本の薬価を決めているのは、厚生労働大臣の公的諮問機関「中医協」の中央官庁の役人である。

「上昌宏著:
医療詐欺:先端医療と新薬はまず疑うのが正しい、講談社、2014年7月22日」「第1章先端医療と新薬を支配する「医療ムラ」は癒着と利権の巣窟」の「不都合な真実‘本には「原子力ムラ」とよく似た「医療ムラ」が存在している、東大病院にみる悪質さ」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.福島第一原発事故後、「御用学者」という原子力の専門家が注目を集めた。彼らは国や東京電力から物心ともにサポートを受けることで、原子力行政を批判するようなデータを片っ端から否定したり、攻撃したりしていたことから、社会から大きな批判を浴びたが、まったく同じことが医療界でも起きている。
2.医療界の御用学者が生まれる理由はカネである。たとえば、バルサルタン騒動で問題になった医師たちは、毎週のように講演会に呼ばれ、バルサルタンが効きますと話しては1回およそ10万〜15万円程度の講演料を貰う。
3.医師からすれば小遣い程度かもしれないが、小遣い欲しさから、製薬会社に操られる医師も多い。バルサルタンを方々で宣伝した教授の中には、お子さんを私立の医大に通わせている例もあった。学費などの負担は年間350万〜760万円で、大学教授といえどもサラリーマンである。給料だけでそんなおカネは払えない。
4.製薬会社の方針から医師への接待費が公開されなくてはいけなくなったため、現在ではかなりおとなしくなったが、かつてはシンポジウムだ、学会だと超高級ホテルで、さらにその後の高級クラブなどで、医師を接待漬けにするという時代もあった。
5.この構造は対医療マスコミにもあてはまる。誠意ある医師は、医学論文などをチェックしているので、絶大な波及効果がある、一部の高齢医師や管理業務で多忙な医師は、いちいち論文なんて読まない。製薬会社が営業資料としてもっていくのが、日経メディカルなど医療専門誌の企画記事である。東大教授などを招いた座談会などで「バルサルタンは効く」みたいなことを言わせれば、「それじゃこの薬をつかおう」となる。
6.東京電力が捻出していた莫大な広告費によって、マスコミの言論が封殺されていたという報道もあったが、医療界にも御用学者を用いた御用マスコミが存在し、製薬会社によるその広告費は、年間1兆円はくだらないと言われている。
7.日本の医師たちの不祥事の背景に、製薬会社の存在があることがわかった。まだ氷山の一角にすぎない。この「民」と「学」の癒着や不正が生み出される真犯人が見えてくる。国立がん研究センターの医師による横領事件を例にとると、2013年2月26日、国立がん研究センター中央病院の小児腫瘍科長、牧本敦医師が国の研究費約2570万円を不正にプールし、一部を家電製品の購入などに私的流用したとして懲戒解雇された。
8.牧本医師は、厚生労働省から約2億2000万円の研究費を受け取っていが、物品納入業者に架空発注して代金を過大に払い、その分を不正にプールする「預け」という手法で裏金をつくり、少なくとも5百数10万円を私物のエアコンやテレビなどの代金に充てていた。
9.国立がん研究センターの記者会見では、牧本医師本人がプールしていたという説明がされたが、あり得ない。出入り業者が1人の医師のためだけにリスクを負うことは考えにくい。
10.牧本医師は、国立がん研究センターで代々おこなわれていた裏金づくりやりかたで、私的流用をした。牧本医師は、まず消耗品などを代理店に発注。商品が納入されたことにして、カラ伝票を切って金をプールしていた。それを別会社に発注し、そこに家電製品を購人させて自宅に配送させていたが、この手口は、詐欺容疑で逮捕された秋山昌範・東大教授のそれとそっくりである。
11.秋山教授は、システム販売会社など6社の役員らと共謀し、研究事業のデータベースの作成業務をカラ発注し、東大から約1890万円、共同研究をしていた岡山大から約290万円をだまし取ったとして逮捕された。秋山教授は国立国際医療研究センターという厚生労働省所管の組織にいた人である。こういう手法でプールするというのは、役所直下の組織ではよくある。国立組織でやっていた手口を東大でもやってみたらバレてしまった。
12.厚労科研費の不正使用は続発している。この現象を考えるうえで重要なのは、不祥事を起こした組織・研究者と厚生労働省の距離が非常に近いことである。国立というのは構造的に不正が蔓延しやすい。医師の横領、裏金づくりなどには必ず「国」が関係している。国立組織は、法にもとついて予算が下りるのでリスクをとってチャレンジするうま味がない。国立病院の研究者は、なにもしなくても研究費が下りてくるのでチャレンジをしないので、実力がつくわけがない。実力がなければ、たいした臨床研究はできない。研究をしてもたいした研究ではないので、そんなに研究費を使うこともなく、余ってしまう。
それをそのままご丁寧に.厚労省へ報告したら、翌年から研究費か削られる。
13.医師の不正の背後には、必ず「官」との近過ぎる構造がある。製薬会社は御用学者をつかい、臨床試験論文によるプロモーションを行う。普通の商品であれば、良い商品をつくって安く売れば儲かる。自由競争のなかで、製品の質が磨かれる。
14.日本の製薬業界では「自由競争」ができない。日本の薬価を決めているのは、厚生労働大臣の公的諮問機関「中医協」の中央官庁の役人である。日本は世界で唯一といってもいいくらい、国が医療行為にまつわる価格をすべて一律に決めている。この価格統制権が数々の癒着や利権を生んでいるのは、電力行政と同じ構造である。
15.現在、電力の自由化が叫ばれているが、日本の電気料金も薬価と同様、東京電力ほか10社の電力会社という国策企業が管轄区域で独占的に決めている。両者に共通するのは、総括原価方式で、薬価についていえば開発にかかったコストを将来見込まれる患者数で割るという独特な価格設定をしており、コストダウンという意識がゼロである。市場において、価格をコントロールするということはすべてを支配するということである。そこから癒着や「口利き」などの利益供与が始まり、「ムラ」が生まれる。


yuji5327 at 06:40 

2017年12月26日

医師がおこなったという臨床試験が、実はカネの面でも人の面でも製薬会社が丸抱えしていて、その論文が薬の宣伝につかわれていた。

「上昌宏著:
医療詐欺:先端医療と新薬はまず疑うのが正しい、講談社、2014年7月22日」「第1章先端医療と新薬を支配する「医療ムラ」は癒着と利権の巣窟」の「不都合な真実‘本には「原子力ムラ」とよく似た「医療ムラ」が存在している」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.医療と原子力は似ている。医療の不都合な真実といって、患者さんがまず思い浮かべるのは医者にまつわる不祥事である。最近、続発しているのが、製薬会社との不適切な関係である。医師がおこなったという臨床試験が、実はカネの面でも人の面でも製薬会社が丸抱えしていて、その論文が薬の宣伝につかわれていた。あるいは、研究で用いられた患者の個人情報が、製薬会社へそのまま流されていた。そんな不祥事が近ごろマスコミを大いに賑わせている。
2.医師による論文不正や捏造も多く報告されている。科学研究費補助金(科研費)などの使い込み、横領、研究費の私的流用などの不祥事も続発している。過去に医師の不祥事がまったくなかったわけではないが、近年に増えている背景には、「医療」というシステムそのものが制度疲労がある。
3.この構造とよく似ているのが、「原発」である。東日本大震災による福島第一原発事故は、日本の原子力行政がこれまで覆い隠してきた様々な問題を浮き彫りにした。かねてから一部の人たちから指摘されていた原子力発電所の安全性である。国民を置き去りにして、ここまで強引に原子力を推進し、疑念を必死に隠してきた「原子力」という政官業のシステムは、限界に達していた。
4.「原子力」と「医療」という社会システムは、非常によく似ている。国家の厳重なコントロール下で、専門家たちが研究をおこない、その科学技術が民間企業を介して国民へと提供される。官の規制のもとで、学・民が一体となり「国策」として推進されているという構造は同じである。
5.福島第一原発事故で明らかになった隠蔽体質や、その場しのぎの安全対策は、原発を推進することで利益を得てきた政治家、企業、監督官庁、そして研究者が強固に結びついた排他的な「官・民・学」のグループのせいである。
6.近世のムラ社会的な閉鎖性をもつ利益集団は「原子力ムラ」と呼ばれているが、医療にもこれと同じようなものが存在している。患者の利益を真剣に考えず、医師、製薬企業、・官僚たちが自分たちにを利することを優先する「医療ムラ」ともいうべきグループは、癒着や不正の温床となっている。
7.代表例が2013年に大きな社会問題になった大手製薬会社「ノバルティスファーマ」の降圧剤「ディオバン(一般名・バルサルタン)にまつわる、臨床データ不正操作事件である。福島第一原発事故で「原子力ムラ」の醜悪な構図が白日のもとに晒されたように、この事件は、「医療ムラ」を浮かび上がらせた。
8.事件の概要は、「降圧剤」という血圧を下げる薬のことで、バルサルタンというのは他の降圧薬と比べて、それほど下がり方は強くないが、狭心症や脳卒中のリスクが半分くらいに減るとされていた。
9.効き目は強くない代わりにその分、安心だとうたっていが、多くの患者さんが服用する薬だから、しっかりとした医学的根拠がなくてはならない。この「効果」の拠り所となっていたのが、京都府立医科大学や東京慈恵会医科大学などの5つの大学でおこなわれた臨床試験の論文。なかでも、慈恵医大の「Jikei Heart Study」という論文は世界的にも有名な英国の医学誌「ランセット」にも掲載され、大きな話題を呼んだ。
10.これだけの"お墨付き"がある以上、処方しない理由はない。逆に、バルサルタンを処方せずに、患者さんが狭心症や脳卒中を起こせば、医師が「不作為」を理由に訴えられるかもしれない。バルサルタンは「リスクの少ない画期的な降圧剤」として全国の医師から支持をされ、年間1000億円ともいわれる記録的な売り上げを叩き出した。
11.しかし、この状況に待ったがかけられる。京都大学の由井芳樹さんという循環器内科医が、これらの臨床試験の数値が不自然だと指摘した。各大学も調査にのりだし、5大学のうち、4つの大学の臨床試験で狭心症や脳卒中の発症に関する数値などの臨床データが操作されていた疑いが強くなり、製造元であるノバルティスファーマ社が関わっているという疑惑が持ち上がった。
12.薬の臨床試験は、製造元である製薬会社の協力なくしてはできない。臨床試験に関わることは珍しくはないが、不審なことに、この社員はノバルティスファーマ社の人間だという身元を隠して、臨床試験に参加し、結果を左右する統計解析を担当していた。バルサルタンの有用性を示す臨床試験論文は製薬会社側が仕掛けた「ヤラセ」である可能性が持ち上がった。
13.ヤラセ疑惑に拍車をかけたのが、奨学寄付金だった。奨学寄付金とは製薬会社から大学へ研究費を提供できる制度で、バルサルタンの臨床試験研究も、ノバルティスファーマ社から提供され、奨学寄付金によって実施された。慈恵医大や京都府立医大など5大学に対して支払われた総額は11億3290万円で、製薬会社というのは、医師たちのスポンサーでもあった。
14.日本の医薬品市場規模は約9.3兆円、2011年で全世界の11.7パーセントを占め、アメリカに次いで世界第2位だった。



yuji5327 at 06:34 

2017年12月24日

プーチン大統領が再任されると任期は6年であり、日本は、その6年間でロシアとの問題を解決しないと、さらに厄介な状況になる。

2017/12/22付けの 大前研一さんのニュースの視点(発行部数 168,280部)は「米税制改正/ロシアゲート/天然資源開発/ロシア情勢」の話題である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.アメリカ共和党指導部は13日、上下両院の一本化へ向け協議していた連邦法人税率について、21%に引き下げる案で大筋合意した。両院とも20%に引き下げる案でそれぞれ可決していたが、実施時期を2018年で統一する一方、税収減を懸念する議員を配慮し、減税幅を1%縮小したもので、週明け早々にも上下両院で採決する見通しである。
2.連邦法人税率を21%に引き下げるということだが、実際には各州税が加わるため、20%台後半の税率になる。また個人所得税については、最高税率が39.6%から37%に引き下げられるが、こちらは、あまり効果を期待できない。
3.大きな影響を期待できるのが、海外子会社からの配当課税の廃止である。これにより、企業は海外留保資金を米国に戻しやすくなる。これは非常に影響力が大きく、うまくすれば、海外に置いている2.5兆ドル規模の資金が米国に戻ってくる可能性があり、米国は、お金がジャブジャブの状態になる。
4.この政策が実施されると、米国はクリントン政権の後期のように、盆と正月が一緒に来たような状態になるかもしれない。米国経済は株価も上がり、海外からの資金も流入してくる可能性があり、日本経済への影響も極めて大きいものになる。
5.ザ・エコノミストは13日、「ロシアゲート、厄介なシナリオ」と題する記事を掲載した。大統領選当時のトランプ陣営幹部らが出版した回顧録からは、陣営の混乱状況が見て取れると指摘している。現在捜査を進めているモラー特別検察官がコミー氏解任による司法妨害の罪をあげたとしても、おそらくトランプ氏はニクソン氏のようには辞任せず、議会もトランプ氏を追い落とすには分断されすぎているとしている。
6..大前氏の少し異なる意見は、共和党は完全に分裂しており、トランプ大統領を支持するのはわずか10%程度であり、大統領の弾劾の可能性も大いにある。トランプ大統領が弾劾される立場になったとき、彼の言語能力ではその状況に耐えられない。トランプ大統領の発言を見ていると、文章は短く、バラバラでしかモノが言えない人である。弾劾される立場になって厳しい問答に1時間も2時間も耐えられるとは思われない。クリントン元大統領、ニクソン元大統領とも違う。トランプ大統領が辞任する可能性は大いにある。トランプ大統領が辞任したとしても、トランプファミリーにとっては痛いところはない。大統領を何年務め上げたかは関係なく、元大統領という経験と肩書きがあれば十分である。
7.ロシアのヤマル半島に設置したプラントで8日、液化天然ガス(LNG)の生産が始まり、初出荷に合わせた記念式典が開かれた。これは、ロシア天然ガス大手・ノバテクを中心に、総額約3兆円を投じて進められるプロジェクトで、これによりロシアは従来のパイプラインによる輸出だけでなく、北極海航路を利用したアジアや欧州向けのLNG輸出を拡大したい考えである。
8.ヤマル半島というのは、現地ネネツ語で「ヤ(世界)マル(終わり)=最果て」の意味を持つ、非常に気候条件が厳しい地域である。1年のうち約8ヶ月は冬で、氷点下60度まで気温が下がる。夏には、30度まで気温が上がり永久凍土が溶け、蚊や虻が大量発生するという地域である。天然ガスの埋蔵量は世界有数の地域として有名である。
9.ロシアはこのヤマル半島に港をつくる計画を立てている。一般的に天然ガスはパイプライン経由で輸送されるが、今回の計画は、天然ガスを液化してLNG船で輸送するというものである。液化した天然ガスをのせたLNG船で、北極海を通じて日本や中国に運ぶという壮大な計画である。この日、プーチン大統領は3箇所の異なる場所に顔を出して、挨拶・演説をしていたが、ヤマル半島という寒い場所にも赴むくタフな人である。
10.プーチン大統領は、2018年3月に予定される次期大統領選挙への出馬を表明した。自動車企業の従業員らとの会合で、参加者からの立候補の要請に応える形で明らかにしたもので、再選され任期満了の24年まで務めれば約4四半世紀にわたってトップに君臨することになる。
11.プーチン大統領は2000年に大統領に就任し、一度首相を経て、また大統領に就任した。その間に大統領の任期を6年に延ばし、6年×2期=12年できる体制を確立している。プーチン大統領に対するロシア国内の支持率は、約80%である。ロシア国民の政府に対する不満は高いが、その不満はメドベージェフ首相に向けられていて、プーチン大統領には影響していない。
12.政府の代表はメドベージェフ首相であり、政府に対する不満は首相に向けられるようになっている。この構図は中国も全く同じで、習近平は総書記であり、中国政府に対する不満は国務院総理である李克強に向けられる。メドベージェフ首相をおとしめて、プーチン大統領は安全な立場で信任を得ているというロジックに、ロシア国民は気づいている。今のロシアから強力なリーダーシップを発揮するプーチン大統領がいなくなると、米国や欧州からも見下げられると感じたと思われる。プーチン大統領は強いロシアを作るためには必要な人物だと認められている。
13.日本にとって、プーチン大統領の再任はチャンスである。プーチン大統領は親日派だが、メドベージェフ首相は日本を好きではない。プーチン大統領が再任されると任期は6年であり、日本は、その6年間でロシアとの問題を解決しないと、さらに厄介な状況になる。


yuji5327 at 06:36 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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