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2024年04月16日

USスチールを日鉄は約2・1兆円で買収、クリーブランドの2倍。日鉄の圧勝と見えるが、次期大統領を目指すトランプ前大統領、バイデン大統領も反対。

週刊エコノミスト2021年9月21・28日合併号【電子書籍】
週刊エコノミスト2021年9月21・28日合併号【電子書籍】「岩田太郎(在米ジャーナリスト)著:注目海外企業 クリープランド・クリフス
1847年創業の米鉄鋼2位 週刊エコノミスト 2024.4.9」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.クリープランド・クリフスは米鉄鋼大手である。世界鉄鋼協会のデータによれば、2022年の粗鋼生産量は世界22位の1680万トンに上り、米国企業としては2位だった。
2.1847年、中西部オハイオ州の実業家たちが同ミシガン州の鉄鉱山で採掘を目指して前身企業を創業した。採掘が軌道に乗ると、鉄道や桟橋を整備して五大湖沿岸の製鉄会社に供給するようになり、91年に同業他社と含併して現社名に改称。1910年代には東部ペンシルベニア州などの鉄鉱山を取得し、戦後になると製鉄原料のペレットを生産し始めた。60年代にはオーストラリアとカナダで採掘に乗り出している。
3.創業以来、鉄鉱石を中心とした資源大手だったが、2020年に鉄鋼火手を相次いで買収した。米AKスチールと、ルクセンブルクに本社があるアルセロール・ミタルの米国事業の一部である。これによりクリーブランドのフラットロール製品と自動車用鋼材の生産量は北米最大規模となった。
4.鉄鋼業界は需要の鈍化、利益率の低下、サプライチェーン〔原材料などの供給網〕の混乱、最新技術や地球温暖化への対応など、多岐にわたる課題に直面する。同社は昨年、コスト削減と競争力強化を狙って米鉄鋼大手ユナイテッド・ステーツ・スチール(USスチール、22年粗鋼生産最1449万トン、世界27位)に買収を持ちかけたが、日本製鉄〔同4位)に競り負けた。
5.23年12月期売上高に占める製鉄事業の比率は97%に上り、主力事業である。販売先別の同事業売上高は自動車約1・1兆円、インフラ・製造業約8362億円)、卸売業・加工業約7942億円、鉄鋼業約4394億円と自動車が多く、前期比伸び率も12%と最も高い。
ただ、競争は熾烈だ。今年2月15日には南部ウェストバージニア州のブリキ工場を4月に休止すると発表した。影響を受ける従業員は900人以上に及ぶ。クリーブランドと全米鉄鋼労働組介(USW)はカナダ、中国、ドイツ、韓国の企業がプリキ製品をダンピングしていると主張。
6.米商務省は1月、4ヵ国の同製品に追加関税を導入すると発表した。しかし、政府機関の米国際貿易委員会(ITC)は認めなかった。クリーブランドは工場の休止を決めた直接的な理由はITCの決定だとしている。
7.USスチールを巡って、日鉄は咋年12月、約2・1兆円で買収する契約を締結したと発表した。クリーブランドが提示した金額のほぼ2倍である。日鉄が圧勝したかに見えるが、次期大統領を目指すトランプ前大統領は日鉄による買収に反対する姿勢を示している。バイデン大統領も今年3月14日、「米国の製鉄企業であり続けることが不可欠だ」と表明した。
8.ローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者は同日、ロイターの取材に応じて「買収計画が破談になれば、USスチールへの買収再提案を検討する意向」と明らかにした。両候補のどちらが11月の大統領選に勝っても、クリーブランドが買収を再提案する可能性は高そうである。米国の証券アナリストの一部は、再提案すれば同社の株価が上昇すると見通す。
9.セルソ・ゴンカルベス最高財務責任者は1月30日の決算説明会で「自社株買い予算のうち約894億円以上が残っている」とし、株主還元を強める姿勢を示した。23年中、フリーキャッシュフローは約2384億円増え、約1937億円を負債の返済に充てた。同年の鉄鋼製品出荷量は約1490トンに上った。1米トン当たりの生産コストを約1万1920円削減し、正常収益力を示す調整後EBITDA〔利払い・税引き・償却前利益〕は2831億円)に上つた。



yuji5327 at 07:31 

2024年04月15日

米国は民間企業と月面探査プロジェクトを進める。NASAが中心で商業月面輸送サービス(CLPS)が始まり、10年間で3900億円を民聞企業に投資。米民間企業が無人船の月面着陸に成功。

週刊エコノミスト2021年9月21・28日合併号【電子書籍】
週刊エコノミスト2021年9月21・28日合併号【電子書籍】「鎌田浩毅(京大名誉教授)著:日本の探査機SLIM 月誕生の謎に迫る初の着陸成功 週刊エコノミスト 2024.4.9」は興味ふかい。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げた日本の無人探査機「SLIM」が1月20日、月面着陸に成功した。世界で5ヵ国目となり、着陸目標地点点との誤差100m以内の達成は世界初の「ピンポイント着陸」である。
2.SLIMの機体は高さ2・4m、幅2・7m、重量700kgと比較的小さく、月の90を占めるマントルを分光カメラで分析したデータを地球へ送信する。
3.これまで月面着陸に成功した米国と旧ソ連の機体は1〜3トンと大型で、着陸地点の精度は半径数〜十数kmの範囲で降りやすいところにしか降りられなかった。
4.月で資源探査を行う場合に有利な場所は狭い領域に限られており、資源が存在する場所へ、正確に着陸する必要がある。
5.近年は研究者からクレーター近傍の岩を直接調べたいといった、地点を絞り込んだビンポイント着陸が要求されるようになった。
6.実は、着陸直前にメインエンジン2基の1つに異常が発生し、想定とは異なる姿勢で月面に着陸した。搭載された太陽電池に太陽光が当たらなかったため、しばらく発電ができなくなり、探査機の電源を切って復旧に向けた作業を続けてきた。
7.1月29日に太陽の向きが変わって太陽電池パネルが稼働し始め、地上との通信に成功した。分光カメラを使って観測対象として絞っていた月面上の6個の岩石の中から、「トイプードル」と名付けられた岩石の撮影に成功した。この岩石は月の地下のマントル由来の鉱物「かんらん石」を含んでいるとみられる。
8.今回のミッションは月の形成と進化の謎を解くことである。月の誕生に関しては、約45億年前に別の天体が地球に衝突してできた「ジャイアントインパクト説」がある。この衝突によって地球のマントルが飛び散り、月が作られたと考える。
9.月には「海」と呼ばれる濃い色の玄武岩で覆われた平らな部分があり、SLIMが着陸した「神洒の海」にある「SHIOLI」クレーター付近には、かつて月の内部にあったかんらん石が地表に露出している。
10.かんらん石はマグマが冷え固まった火成岩に含まれており、分光カメラで分析した組成が地球のマントル由来のかんらん石と同じであれば、地球に大きな天体が衝突して剥ぎ取られた物質によって月ができたと考えられる。
11.反対に、成分がまったく異なれば、宇宙からやってきた物質が地球に引き寄せられて月ができた説が有力になる。これまで米国のアポロ計画などで地球へ持ち婦った試料にはかんらん石が含まれていなかったが、「ピンポイント着陸」技術によって初めて貴重な材料が得られることになる。
12.米国は民間企業を巻き込んで月面探査プロジェクトを進めている。2018年からはNASA(米航空宇宙局)が中心となって商業月面輸送サービス(CLPS)が始まり、10年間で26億ドル(約3900億円)を民聞企業に投資する。2月23日にはCLPSの一環として、米民間企業が初めて無人船の月面着陸に成功した。
13.日本はかなり後れを取っているのが現状で、今後は最先端の地学をフォローしながら国も支援し、宇宙ビジネスにも積極的に参画しなければならない。



yuji5327 at 06:45 

2024年04月10日

一致団結できることは日本の大きな強みである。日本への信頼を自信に変え、米国に対してもしなやかさと、したたかさを発揮し、日本の輝きを取り戻す新年度となればよい。

週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]
週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]「多田博子(伊藤忠インターナショナル会社ワシントン事務所長)著:米国の分断、脱中国に潜む日本の存在感を高めるカギ 週刊東洋経済 2024.4.9」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.希望と不安が入り交じる新年度スタートとなる日本の4月。だが、米国では新年度の緊張感を味わうことは少ない。政府の会計年度は10月〜9月。企業の事業年度は1月〜12月が多いが、統一されていない。学校は9月〜6月が多く、州によって異なる。日本のように政府・企業・学校が新年度に一斉にスタートする国は、世界でもまれである。
2.米国では7月4日の独立記念日や11月第4木曜日の感謝祭などのイベントでは盛り上がるが、新年度を境に「よし、今日から新しいスタートだ」と皆の気持ちが一つになる習慣はない。
3.南北戦争以来最悪とも評される米国の分断は、接戦が予想される11月の大統領選でマグマが沸点に達しそうな気配を感じさせる。トランプ氏の復活を視野に、「関税増や防衛費増を要求され、日本の立場は弱くなるのではないか」「仮にパリ協定離脱となればバイデン政権の脱炭素ビジネス支援策はどうなるのか」などと不安の声が多く聞かれる。
4.それでも現在の米国には日本の存在感を高めるチャンスがある。ポイントはまず「脱中国」である。トランプ政権で進められてきたこの政策は、対中投資の鈍化や、中国以外の国へ製造拠点を移すグローバルサプライチェーン上の脱中同のみならず、米国内でも着実に進んでいる。
5.例えば、米国の港湾の多くで使われていた高度ソフトウエアを搭載した中国製クレーンは、犯罪的攻撃によりデータが暗号化されて利用できなくなるという安全保障上.のリスクがあるとして、日本製のクレーンに差し替えられることになった。
6.今後5年間で200億ドル以上が港湾セキュリティー向上に割り振られる予定である。中国の穴を日本が埋めることが可能な産業分野は他にも多くある。
7.次に「分断」である。政治面だけではなく、例えば電気自動車一つとっても、民主党が優勢なカリフォルニア州では需要増が続く一方、共和党が有力な州ではガソリン車が強い。人種、所得などがバラバラな国で、右派と左派の対立が先鋭化する中、企業は一律の商品の提供やサービス維持がコスト面で難しくなっている。そこで自動化や移民に頼るが、質は悪い。
8.先日、職場のパソコンのキーボードが壊れ、技術者が修理に来たが、なんとパソコンごと壊して帰っていった。この技術者は英語が通じない移民だった。コールセンターに電話しても自動応答でらちがあかない。日本ではあり得ない顧客サービスレベルの低さである。
9.一方、日本車メーカーのディーラーで車の修理を依頼した際は、米国人スタッフにきめ細かい日本式サービスが徹底され、店は客でにぎわっており、感心した。
10.かつて日本企業は「アニマル・スピリッツ〔攻めの精神〕」ごで米国を席巻し、日米は政治而でも通商交渉などで火花を散らした経緯がある。だが仮に今、日本が米国から距離を置いた場合、アジア太平洋戦略上、困るのは米国である。ビジネス面では「脱中国」「分断」を好機と提えるべきである。
11.一致団結できることは日本の大きな強みである。日本への信頼を自信に変え、米国に対してもしなやかさと、したたかさを発揮し、日本の輝きを取り戻す新年度となればよい。


yuji5327 at 07:03 

2024年04月09日

習氏の威信低下が目立つ。昨年秋に開くはずの共産党中央委員会全体会議が開けないまま終えた。会期中、北京市内の中南海の正門に何者かが自動車の突入を試みた。

週刊エコノミスト2021年9月21・28日合併号【電子書籍】
週刊エコノミスト2021年9月21・28日合併号【電子書籍】「金子秀敏(毎日新聞客員編集委員)著:中国視窓 米国の大物親中家族に巽変 関係打開の端緒失う習氏 週刊エコノミスト 2024.4.9」は興味ふかい。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米国の次期大統領選挙の予備選は3月12日、民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領が指名に必要な代議員を獲得した。前日、中国では全国人民代表大会〔全人代〕が閉幕した。習近平国家主席は、経済回復のための政策も、冷却した対米関係を打開する方針も示せなかった。
2.昨年来、習氏の威信低下が目立つ。昨年秋に開くはずの共産党中央委員会全体会議〔3中全会〕が開けないまま全人代を終えた。会期中、北京市内の政治の中枢「中南海」の正門に何者かが自動車を運転して突入を試みる事件も起きた。
3.対米外交は、バイデン氏と昨年11月、米サンフランシスコで会談したが、トランプ政権になった場合、パイプはない。失踪中の秦剛・前国務委員兼外相の後任人事は決まらないまま、王毅・党政治局委貝の外相兼務が続く。
4.米国では中国に冷たい風が吹いている。共和党内の反トランプ勢力の中心だったミッチ・マコネル上院院内総務が2月末、「年内引退」の声明を出した。数日後、トランプ氏と争うヘイリー元国連大使も予備選撤退を表明した。
5.マコネル氏は引退の理由に、妻のイレーン・チャオ〔趙小蘭〉元運輸長官の妹の富豪、アンジェラ・チャオ〔趙安吉)氏の突然の「事故死」をあげた。アンジェラ氏は米海運大手、フオアモスト・グループのCEO(最高経営責任者)である。夫のジム・プレイヤー氏はフェイスプック〔現メタ〕創設者7人の1人だったベンチャー投資家である。2人とも習近平政権のもとで対中国ビジネスを拡大してきた。
6.プレイヤー氏のIDGキャピタルは、中国のデジタル企業に投資してきたが、1月末、米国防総省から「中国軍の関連企業」と認定され、対中投資からの撤退を命じられた。米メディアは妻のアンジェラ氏も軍需企業「中国船舶工業総公司」や大手国有銀行「中国銀行」の役員をつとめ、中国共産党と深い関係があると報道した。
7.国防総省の命令を受けたプレイヤー氏は18カ月間、対中投資を凍結すると表明した。その3日後の2月10日、アンジエラ氏は米テキサス州ブランコ郡の私邸敷地内の池に落ちた自家用車の中で溺死した。
8.1カ月以上たって地元警察は、洒に酔った状態での運転ミスによる事故と発表したが、状況が不自然だとする論評も少なくない。マコネル氏も、義妹の死で引退を決意したという以外、口を閉ざす。
9.習氏にとってプレイヤー氏の対中投資撤退は手痛い打撃である。IDGキャピタルはテンセント、バイドゥ、シャオミなど中国の代表的なデジタル企業への投資だけでなく、習氏が旗振りとなった海外の先端技術専門家を厚遇で中国に招く「千人計画」を支援していた。
10.習氏は咋年の訪米時、米国の政財界に、AI(人工知能)等先端科学技術分野への投資を呼びかけた。だが次期大統領がバイデン氏でもトランプ氏でも、米国の対中技術禁輪政策の継続は確実である。マコネル一族という有力な親中派を失った習氏は対米関係を打開する手がかりがない。
11.習氏は全人代のひな壇で大型の茶わんから薬と見られる液体をすすり、苫しそうに顔をゆがめた。英紙「デイリー・メール」撮影の写真が流れ、習氏の健康状態についても臆測が乱れ飛んでいる。



yuji5327 at 07:06 

2024年04月08日

北海道で大型工事が活況。千歳市ではラビダスの次世代半導体工場、北海道新幹線札幌延伸。札幌市中心部で再開発。

週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]
週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]「星野貴俊(北海道建設新聞社)著:北海道が全国で最も忙しい ラピダス工場が招く混乱 地場ゼネコンは技術力や組織力を生かして規制適用と対峙する。 週刊東洋経済 2024.3.30」は興味ふかい。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.北海道で大型工事が活況を呈している。千歳市ではラビダスの次世代半導体工場「IIM-1」、「北海道新幹線札幌延伸計画」のルート上では高架やトンネルの建設が進む。そして札幌市では、中心部で再開発の現場が今後稼働する。
2.その中で建設業は全国共通の課題である人材不足に直面している。4月からは時間外労働の上限規制が適用されるため、残業抑制と年収維持の両面で対策を講じる必要がある。ゼネコンはDX(デジタルトランスフォーメーション)など新技術導人やバックオフィスによる支援体制の構築を進める。下請け会社は業界団体単位で元請けへの単価アップなどを求める。
3.1月22日、ラピダスは工事が進行するIIM-1を報道陣に公開した。工場棟など施設の建築面積は約7万9000m^2、延べ床面積は約19万3000m^2」に上る。2023年9月に本格着工、25年4月の試作ライン稼働を目指す。
4.この日までの工事進捗率は約15%で、現場内で稼働する作業員数は500人程度。躯体や設備が最盛期を迎える今年6-8月には約4000人となる見通しである。ラピダスに作業員が集中することで、他現場に影響が出る懸念がある。
5.とび・土工業者で構成する北海道建設躯体工事業協同組合の梅内豊理事長は1月に開いた新年交礼会の席上、IIM-1の工事などが本格化することを受け「大変な年になるが力を合わせ、情報交換を密に乗り切ろう」と呼びかけた。
6.建設産業専門団体北海道地区連合会〔建専連北海道)の熊谷誠一会長も2月に開いた研修会で、「全国でも北海道がいちばん忙しい状況」との認識を示した。
7.両代表の言葉の背景にあるのは人材不足である。国土交通省の調査にょると建設業の技能者数は1997年のピーク時から3分の2に落ち込み、就業者全体でも高齢化の進行と若年層の減少が著しい。
8.工期を守るために労働時間や休日を調整した結果、長時間労働が常態化する側面もあった。建設現場の管理は、天候や気温などの自然条件に加え資材、エネルギー価格の高騰など社会情勢によっても左右される。とくに北海道は積雪寒冷地であり、天候などの影響を受けやすい。
9.建設現場の労働環境改善へ業界団体の多くが4週8閉所(週休2目制》を目標に掲げる。工期が厳しい民間の建築工事現場ではなかなか進まないのが現状だが、地場ゼネコンは複数の施策を打ち出すことで状況打破を目指す。
10.地場でトップクラスのゼネコン、岩田地崎建設〔札幌市)はDXに活路を見いだす。ウェプアプリケーションによる施工管理支援で作業負担を減らし、ドローン自律飛行による現場点検技術の確立にも努める。
11.岩田幸治副祉長は「DXは建設業のイメージを変えうる」と話す。同社は23年に、建築現場の施工図作成支援などを行う業務推進部も新設した。伊藤組土建(札幌市)も業務ソリユーシヨン部を核に内勤者が現場業務を支援する体制づくりを進める。「現場の仕事を分解しマニュアルを作って標準化した」と阪豊彦専務は言う。協力業者の提出書類チェックなどで成果を上げている。
12.同じく札幌市に本社を構える中山組は、社員が労働時間を減らせた分に応じて収入を補う仕組みを取り入れた。「月5時間減らせれば、その分を努力と認め給与に加える。残業を減らしても年収は維持できる」と澤向弘光代表収締役専務は説明する。
13.施工監理支援サービス「CTUBE」を開発したのは大庭組〔札幌市)である。建設現場の稼働状況を波形で示すシステムで、複数の現場を少ない人数でモニタリングできる。大庭将宣社長は「CTUBEをゆくゆくは施工監理支接技術者ロボットとして発展させたい」と意気込む。
14.新太平洋建設(札幌市)の井出雅人社長は「人材不足の中で仕事を抑えなければ大事な社員を予放すことになる」と危機感を抱く。23年には、適正に工事をこなすために受注を断念した案件もあったという。
15.ここまで見てきたように、ゼネコン各社では資金力や組織力、技術力を生かした取り組みが目立つ。一方、下講けの専門職種は中小零細企業が多いため、団体単位で元請けなどに対する単価アップや工法の変更に理解を求めている。
16.北海道鉄筋業協同組合は23年、元請け各社などに鉄筋施工単価20%程度の増額を要請した。原材料や運搬費などの値上がりで工事原価が上昇する中、職入の手当を厚くし若年者の入職促進につなげる。「一律20%とはいかないが、おおむね理解してもらった」と、熊谷誠一理事長(建専連北海道会長を兼務)は話す。
17.北海道左官業紅合連合会はコンクリート床の金ごて仕上げを、流し込むだけで水平で均一な床材に仕上げられるセルフレベリング材での施工に可能な限り切り替える。金ごてによる従来工法は作業時間が深夜にまで及ぶこともある。従来工法では、時間外労働の上限規制をクリアできないと判断した。
18.「本州には土問屋〔床仕上げの専門業者)がいるが、北海道は左官工が土間の仕事をすべて手がけるため残業の逃げ場がない。規制適用に備えセルフレベリング材での施工に関する勉強会を開いている〕と同連合会の中屋敷剛会長は言う。
19.IIM-1の建設では、人材不足とともに労務費の上昇も懸念されている。九州では台湾積体電路製造〔TSMC〕熊本第1工場の開所を受け、「現地の労務費が上昇した.、ラビダスが本格化すると道内でも起こりうる」と北海道建設業協会の栗田悟副会長はと警戒する。
20.人材不足や労務費高騰が続く中で、規制適用が始まる。建設業団体は民間工事の施主などに適正工期の設定を要望している。ただ、建設資金を借り入れているデベロッパーなどの施主にとって、工期を延ばすことは簡単なことではない。追加の融資を同じ条件で受けることができるかによっても、工期の設定などが左右される。
21.やはり、建設業各社の自助努力だけでは対応に限界がある。社会資本整備の担い手であり、地域の守り手である建設業は北海道の広大な生産空聞の維持、国上強靱化に欠かせない。業界全体、そして国やデベロッパーなどの発注者が「自らの問題」であると認識することが重要である。


yuji5327 at 07:14 

2024年04月07日

民衆は習政権が国家安全を口実に民間経済への統制を強め、その力を絞め殺していることが問題と認識。習政権は集権化して、政治的には脆弱になった。

週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]
週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]「益尾知佐子(九州大学大学院教授)著:中国動態 「外敵」求める習近平の標的は海だ集権化の結果、脆弱になった習政権。その矛盾は外部に噴出しかねない。 週刊東洋経済 2024.3.30」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.中国で3月5日から11日にかけ開催された全国人民代表大会〔国会に相当)で、首相の李強が初めての政府活動報告を行った。報告は2024年の経済成長率の目標値を5%前後と設定し、政府の任務の筆頭に「現代化された産業システムの建設」と「新たな質の生産力の発展」を掲げた。
2.中国政府は経済の重要性を軽視してはいない。むしろ、イノベーションを促進し、中国を国家実験室にしながら、新産業を創出して世界を先導したいと考えている。しかし、何か隔靴掻痒である。
3.李強は政府活動報告の冒頭で、「異常に複雑な国際環境と、とても重たい改革発展安定の任務に向き合いながら」、習近平を核心とする共産党中央が過去1年に「外部の圧力に耐え」、しっかり任務を遂行したと肯定した。つまり、中国の今日の困難は基本的に外部環境のせいだと述べた。だが彼は、その改善策を説明しなかった。
4.外交は本来、中央政府が国家主権を行使して相手国と交渉して行うものである。首相はそこに重い責任を負う。だが李強は習近平外交を褒めたたえるばかりで、報告の主要部分をすべて経済と民生の話題に割いた。なぜならそれが、今の彼に許された職責範囲だからである。
5.彼が率いる中国政府は、国民経済の不振の原因は除去できない。外交だけでなく、国防、安全保障、香港・台湾などの政治課題はすべて、共産党総書記の習近平が掌握する。李強が恒例の首相会見を避けたのも無理はない。
6.そもそも、中国の最大の障害が外部環境なのかは疑わしい。これまで中国の政権は民衆の不満に直面すると、自分の正しい政策をちゃんと履行しない下級幹部が悪いと言い逃れしてきた。しかしその手はもう使えない。新型コロナの統制で習への集権化が進み、反対派は政権から駆逐された。今日、習政権は国内問題のすべてに責任を負う。
7.そして民衆はもう、習政権が国家安全を口実に民間経済への統制を強め、その力を絞め殺していることが問題だと認識し始めている。習政権は集権化して、政治的にはより脆弱になった。だからこそ、外部の敵は必要である。中国政治の中で、内政と外交は、不可分に絡み合っている。
8.外敵との闘争の中で、最も機微なハンドリングが必要なのが台湾問題である。政治局委員の王毅は7日の記者会見で、中国は「最大限の誠意で平和統一のために努力し続ける」と述べる一方、「国際社会で「台湾独立」支持を容認する者は、必ず身を焼き焦がし、その結果に苫しむだろう」とすごんだ。中国がなめられてもこわもてすぎても、台湾統一の宿願は遠のく。
9.確かに、ひととき世間を席巻した「中国が27年までに台湾に侵攻する」という説は下火になった。米国の研究者たちも、経済停滞と軍幹部の相次ぐ摘発を考慮すれば、習は大規模な軍事侵攻を仕掛けられる状況にないと判断する。だが、国際政治も米中台の国内政治も流動的で、いつ何が火を吹くか、誰も正確に予測できない。
10.とくに最近、憂慮されるのが海である。頼清徳が次期台湾総統に決まって間もない本年2月、金門島付近で中国の違法漁民2名が死亡する事件が起き、中国はそれを口実に海警局の行動範囲を拡大させた。3月7日に全人代で軍の代表が集まると、ある幹部が海洋状況把握の能力建設を要求し、習も「会場での軍事闘争の準備を統合的に行え」と積極的に応じた。
11.不可思議なのは、中国が3月1目にトンキン湾北部で改めて領海基線を公戎し、沿岸からかなり沖合までを中国の内水としたことである。内水では他国船の無害通航が認められない。近年、中国の専門家は、台湾海峡を中国の内水、内海と呼ぶことがある。中国は新たな海洋主張を準備し、台湾海峡を自分の内水に変えようとしている、という見方が強まる。
12.蔡英文総統時代、中国は台湾周辺に戦闘機を飛ばし、台湾を空から威嚇した。頼の就任後は海からの圧力が加わりそうである。だがもし武力衝突が起きれば、中国経済は決定的な打撃を受ける。そのとき中国人民は、それを誰のせいと見なすのか。最もひどいやけどを負うのは、習政権自身かもしれない。


yuji5327 at 07:33 

2024年04月06日

米国と中国の外交関係は、さらなる悪化を懸念する声は減りつつある。今後1年間の米中関係を楽観している、との回答が全体の44%を占め、22年の比率より17ポイント上昇した。

週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]
週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]「王婧、周勇勤〔財新記者〕著:中国のアメリカ企業、対中再投資意欲が急低下 週刊東洋経済 2023.3.30」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.中国南部に進出した米企業などで組織される華南米国商工会議所は2月27日、会員企業を対象に毎年実施しているアンケート調査の報告書を発表した。それによれば、2023年に「中国で得られた収益を再投資した」と回答した企業は全体の66%にとどまり、前年の調査より14ポイント低下。米企業の対中投資意欲が後退している実態を示唆した。
2.この調査結果は、23年10月9日から12月31日の間に会員企業から得られた183通の回答の集計・分析に基づいている。華南米国商工会議所には米国以外の企業も加盟しており、アンケート調査の回答企業の49%が米国系、26%が中国系、25%が欧州や香港などその他の国・地域の企業だった。
3.過去の調査を振り返ると、中国で再投資を行ったと回答した比率は、新型コロナウイルスの世界的流行が始まる前の19年が78%、コロナ禍が始まった後である20年が74%、21年が79%、22年が80%だった。
4.それらに比べて、23年の66%という数字は落ち込みぶりが際立つ。米国系に限れば対中投資意欲の後退はさらに顕著で、再投資を行ったとの回答比率は57%と前年より19ポイントも下がった。
5.それだけではない。今回の調査では、回答企業全体の40%が「今後3年間に中国事業を拡大する計画はない」と回答。この比率は前年より9ポイントも上昇し、過去最高を記録した。
6.投資金額も大きく減少している。「回答企業が今後3年から5年の間に計画している中国での再投資額は合計約109億5000万ドル〔約1兆6480億円}と、前年の調査結果に比べて4割減少した」。
7.華南米国商工会議所のハーレー・セアディン会長は、記者会見でそう述べた。また同氏は、コンサルティング会社の調査を引用し、外資系企業が中国のGDP〔国内総生産〕の33%を占めており、雇用の27%を提供していると指摘した。
8.もっとも、会貝企業による対中中国最強の投資のリターンは依然高水準であり、「中国からの全面撤退を選択する企業はない」とセアディン会長は強調した。報告書によれば、回答企業の88%は中国事業の損益が黒字であり、46%は予算を上回る利益を上げている。
8.さらに、回答企裳の62%が「中国以外の国・地域に投資の重点を移す計画はない」と表明。「中国市場にコミットし続ける」と回答した米企業の比率は66%に上り、米国以外の国・地域の企業よりも高かった。
9.米国と中国の外交関係についても、さらなる悪化を懸念する声は減りつつある。報告書によれば「今後1年間の米中関係を楽観している」との回答が全体の44%を占め、22年の比率より17ポイント上昇した。



yuji5327 at 07:37 

2024年04月05日

トランプの勝利には、共和党支持の有権者が投票所に足を迷び、浮動票も必要だが、浮動票の有権者はとうの昔にトランプに嫌気の人が多い。振る舞いだけでなく、政策も原因である。

週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]
週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]「リード・ガレン(米「リンカーン・プロジエクト」共同創設者)著:11月の米大統領選挙でトランプは勝てない 週刊東洋経済 2024.3.30」は興味ふかい。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.トランプは最もありえない米大統領だった。ばかばかしい限りだが、2016年に彼が大統領選挙に打って出たとき、何百万という有権者〔そこには選挙に行ったこともないという人々も多く含まれていた)が「トランプは仕事のできる男だ」と信じ込んだのは、ビジネス版リアリティー番組で「おまえはクビだ」という決めぜりふとともに参加者に失格を宣告するイメージのためだった。
2.そうした印象に幸運が重なってトランプはヒラリー・クリントンを打ち負かすことができたが、その勝利は極限の僅差だった。現に一般投票ではクリントンに280万票の差で負けている。米国史上、一般投票でここまでの敗北を喫しながら大統領に選ばれた人物はほかにいない。
3.以来、トランプは選挙で毒になることが明らかとなっている。18年の中問選挙でトランプの共和党は民主党にポロ負け。20年の大統領選は獲得した選挙人の票数では惜敗だったものの、一般投票の票数では大敗。22年の中間選では、トランプえり抜きの候補者たちが全米で総崩れとなった。
4.11月の大統領選でも突飛な言動や反民主的な物言い、対抗勢力への恫喝が敗北の原因となるに違いない。だが究極的には米国の人口動態が、トランプを政治の舞台から永久にに退かせる要因となる。
5.16年と24年の人統領選の間に、およそ2000万人の高齢有権者が亡くなり、3200万人の若者が投票年齢に達する見通しとなっている。若い有権者の多くは共和党と民主党のどちらも軽蔑しているが、Z世代がとくに重視する妊娠中絶の権利や民主主義、環境問題といった争点での姿勢を考えると、大半が民主党に票を投じ続ける流れは変わらない。
6.16年にトランプが政界進出して以降、共和党は以前にも増して高齢、白人、男性、過激な人々の政党と化してきたのが現実である。穏健派や無党派層を遠ざけた結果、支持層は一段と小さくなっている。
7.現大統領バイデンのほうが、トランプより大きな票田を持っているということである。これは、投票しない人が増えればバイデン再選の可能性が確実に高まることを意味する。トランプが勝利するには、共和党支持のあらゆる有権者が投票所に足を迷び、さらに浮動票もかき集める必要があるが、浮動票を握る有権者にはとうの昔にトランプに嫌気が差したという人が少なくない。トランプ個人の振る舞いだけでなく、政策もその原因である。
8.共和党は重要争点でことごとく国民から疎まれている。妊娠中絶の権利はその1つで、共和党に乗っ取られた米最高裁判所は約半世紀にわたり中絶を憲法上の権利として保障してきたロー対ウェイド判決を22年に覆した。同様の動きは超保守の州で広がりを見せており、女性や穏健派を民主党支持か少なくとも無党派、もしくは「トランプ以外なら誰でも」派へと一段と押しやる結果となっている。
9.国家安全保障では、伝統的な敵国に同調することの多いトランプに、重要な支持母体は怒り、うろたえている。古くからの共和党支持者には今も、自由と民主の灯台たる米国が世界を導く、というレーガン的な世界観を心にとどめている人が多い。こうした共和党支持者の大部分にとって、北大西洋条約機構(NATO)離脱をちらつかせ、独裁者に親しみを示すトランプは嫌悪の対象でしかない。
10.予備選から撤退したヘイリー元国連大使に票を入れた有権者の多くは、本選でトランプに票を入れるくらいなら、投票しないかバイデンに票を入れる、と答えている。20年の大統領選に敗れて反乱をあおったトランプは、言動を改めるどころか一段と過激になっている。共和党支持者がこうした状況にげんなりしてわずかでも投票率が落ちれば、トランプには大敗が待っている。返り咲きにはとにかく、進んで票を投じる有権者の数が絶対的に足りない。


yuji5327 at 07:09 

2024年04月04日

日本の成長に根拠があれば、現株価も正当化でき、上昇も目指せる。バブ後の株価を回復しただけの日本が、14倍になった米国株をうらやむこともない。

週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]
週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]「中空麻奈(BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長)著:過去最高値の株高は実力かバブルか 一時4万円を超えた日経平均がバブルたったかはこれから決まる。
週刊東洋経済 2024.3.30」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。           
1.日経平均株価が4万円を超えて、ちまたでは「6万円だ」「10万円だ」という声も聞こえる。株価上昇の解説も飛び交う。東証改革や伊藤レポートの効果、そもそも日本企業の株価が割安に放置されすぎていただけ、などである。
2.理由の1つではあるかもしれないが、なぜこの時期に株価が上がったのかまでは説明できていない。
3.私見では、中国を回避し日本を選好する資金フローが見られたことや、新NISAによる実際の株買いがあったことなどの需給要因で説明できると考えている。日本の企業業績のよさから見直し買いがあったとの解釈もあるが、企業収益では円安依存も大きい。以上から需給要因と円安が下支えする株高という理解は間違いではない。
4.そもそもファンダメンタルズを形成するマクロ経済環境は、悪くはないが史上最高値を更新するほどの強さではない。例えば、超過貯蓄を喪失している中、米国の消費データが強いのは不思議である。無理やり与信がつけられた層が、BNPL(後払い決済)によって
消費を引き上げているだけならば、各種ローンの延滞率がこれから増すことも想定される。
5.また中国や欧州の商業用不動産市場などの懸念や、各国債務が膨張していることもある。リスクがそれなりに気になる中での株高は、だぶつく流動性のたまり場になっているだけで、すでにバブル気味だという見方もできる。
6.ただし、クレジットを長く見てきた心配性の私も悲観しているばかりではない。世界からの資金が日本に流れ込んでいる間に、本当の意味で成長に資する投資とその結実があれば、話は異なるからである。
7.株価はリアルなものだし、資金流入も事実なのだから、それが得られている間に、これからの成長の源泉となる芽をいくつも擁せるのなら、近い将来の日本の競争力に資するものとなるであろう。そうした芽が出てくる段階で、期待感が醸成され、さらに株価を押し上げる可能性があるはずである。
8.では、こうした成長に資する投資ができているのか。すでにGX経済移行債が2月に5年債と10年債、合わせて1.6兆円分発行されている。国の資金20兆円を呼び水に、150兆円の資金をGX分野に投資していくことを計画しているが、この計画をいかに実行し、成長に資するものにしていくかは、これからである。
9.正確に言えば、水素やモビリティー、洋上風力など分野ごとにこまごまとした計画はあるが、うまく実行されて競争力確保までいけるのかは極めて心もとない。日本の勝ち筋はどこで、何に注力していけばよいのか。これは圧倒的だという技術をいくつか掲げ、日本をパススルーしてはその製品が造れないという部品にコミットするのもいい。例えば、石炭火力なのにいっさいCO2が出ないというような、不連続なまでの技術革新も待ちたい。
10.日本には、少量の粉を混ぜるだけで泥水が飲み水に変わるといった技術もある。四方を海に囲まれた日本では海岸線が長い。TNFD〔自然関連財務情報開示タスクフォース)や生物多様性の流れもくみつつ、海藻に着目する動きもある。海藻は食料にもエネルギーにも、加工して食器にもなる優れものである。
11.サーキュラーエコノミーの柱の1つであるリサイクルのための仕組みも日本各地で検討されている。こうしたすべての技術の中から、市場価値が大きく、世界経済へのインパクトも大きい技術を絞り込み、戦略的に勝ちに行かねばならない時が来ている。
12.若干の出遅れ感が否めないEVでも、日本には力と技術のある自動車会社が多いことをアドバンテージとして捉えれば、まだまだキャッチアップできるだろうし、半導体などの必需品を確保しつつ、そこに付加価値を持たせていくことは日本の得意分野である。
13.しかしながら、全体を見て、どこにどれだけの配分をすれば勝ちに行けるか、という戦略自体は誰がどう描くのか。ある大企業の会長に、「GX経済移行債で集めた資金は誰が使えるのか」と聞かれた。つまり、資金を集めて投下するというプロセスができつつあっても、資金を必要とする実際の企業への投資には回っていないということである。GX経済移行債が成功裡に発行されても、実際に技術を持つ企業が必要なだけの資金を得られていなければ、日本の成長力への期待と実際の成長とに乖離ができたままに終わる。
14.現時点で必要なのは、GX投資に関するこまごまとしたラインナップの開示ではなく、勝ち筋の選別と、その分野の代表技術に対する集中的な投資である。それができないようでは、またも絵に描いた餅になり、せっかくの技術も他国に搾取されてしまう。
15.日本の成長にリアリティーが増せば、現在の株価も正当化でき、さらに上昇することも目指せる。パブル後の株価を回復しただけの日本がすでに同14倍になった米国株をただうらやむこともない。株価を上げるためだけの無理な配当政策や自社株買いも必要がなくなる。逆に言えば、GX投資を日本経済のパイの成長に生かせないようでは、やはり株高はバブルだつた、という結論になる。われわれに必要なのは「競争力」だということを声を大にして言いたい。


yuji5327 at 06:57 

2024年04月03日

情報プロセシング企業はビジネスとして成功する。電子決済で得た小売店利用者の行動と購買のデータを可視化、端末の設置に協力した流通事業者に情報を提供する。

週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]
週刊東洋経済 2024年 3/16号 [雑誌]「川上清市(本誌)著:成長企業 トランザクション・メディア・ネットワークス 「データビジネス」に挑む電子決済企業の成長戦略 電子決済サービス基盤を活用し、情報プロセシング事業の拡大を狙う。 週刊東洋経済 2024.3.30」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.クラウド型電子マネー決済サービスを手がけるトランザクション・メディア・ネットワークス〔TMN)。2008年に三菱商事とトヨタファイナンシャルサービスの共同出資で設立され、23年4月に東証グロース市場に上場。小売店舗などへの接続端末数は24年1月現在90万台超、取り扱う決済サービスはクレジットやQR・バーコードなど45を数える。
2.中長期には電子決済サービスの事業基盤を活用し、POS〔販売時点情報管理〕などの流通関連サービスである情報プロセシング事業の拡大を目指している。ビジネスモデルの強みや、今後の成長戦略について、設立時から社長を務める大高敦氏に聞いた。
3.TMNのビジネスモデルの強みについては、売上高の源泉は、決済データの処理に伴う月額固定のセンター利用料や、決済プランドや決済端末の台数から設定する登録設定料、QR・バーコード精算料といったストック収入、決済端末販売売り上げ、決済サービスの導入・追加サポートに関連する開発売り上げといったフロー収人である。接続端末台数の増加に応じて、ストック収人が増加する安定的な収益構造であることが強みである。ストック収入は7割を超えている。QR・バーコード精算料は従量課金で、市場の拡大とともに成長する。
4.希少価値の高い領域については。設立から15年を経ての上場だが、当社のようなコーポレートベンチャーは上場しにくく、設立当初は上場ということは選択肢になかった。ただ15年前後から事業が急拡大し始めた。大手の流通事業者に、POSや販売促進などへのソリューションを提供していくには、信用を得ることが必要である。資本政策だけでは.不十分だった。今後の事業拡人に備えて資金調達力を高めたり、人材を採用するうえでも、上場で信用を担保することは不可欠である。
5.他のフィンテック企業と違うのは、決済を展開するために設立した企業ではないということである。当社は、電子決済ゲートウェー〔主に流通業の事業者を顧客とし、複数のキャッシュレス決済事業者と加盟店をつなぎ、キャッシュレス決済サービスを提供す
るプラットフォーマー)の事業基盤をペースにした、POSなどの流通関連サービスを展開する情報プロセシング企業である。店舗事業者や生活者に対し、あらゆるデジタルデータのワンストップサービスを実現するという構想から始まっているのが、当社の独自性である。
6.購買・行動に関するできるだけ多くの情報をつかむため、電子決済というツールを活用する。クラウド型の電子決済というサービスを提供することで、端末を置く小売店舗を増やしていく。点を而にしていく活動を繰り広げる中で、電子決済以外に商品などの情報もキャプチャーし、デジタルデータとして一元管理する。
7.情報プロセシング企業を目指す理由については、希少価値の高い領域に軸足を置くほうがビジネスとして成功するはずだからである。電子決済ゲートウェーによってため込んだ小売店利用者の行動と購買のデータを可視化して、端末の設置を推進し協力してくれた流通事業者に情報を提供する。何が、どの世代に、どれぐらいの頻度で買われているかなどを提示する。
8.こうした情報はサービスや製品を扱う企業にとっては、次のサービスや商品開発に生かせるだけに極めて価値がある。膨大な量の購買情帳を連続的にストックし、可視化して提供している企業は世界でもまれである。
9.情報プロセシングの分野への投資はこれからも継続していくが、機微な情報をストックしていくため、情報インフラとしてのセキュリティーの問題は重視する。晴報の管埋や安全性をどう担保するかはつねに注視すべき重要な課題である。
10.また、事業面での大きな課題は協力事業者とのパートナーシップをいかにつくっていくかである。例えば、当社は顧客でもあるPOSメーカーを飛び越えて、流通事業者向けに新たなPOSサービスをつくろうとしている。既存の商流にたきな影響を及ぼさないようにオペレーションは確立しているが、中立性を保ちつつパートナーシップを広げたい。
11.昨年7月にJCBグループと決済機能だけでなく勤怠管理や在庫管理などのアプリケーション機能を搭載した決済端末する協業を開始し、接続決済端末は月に1.5万〜2万台のペースで増加しており、すでに90万台〔前期末83万台)を超えている。
12.カテゴリーでは「その他」に分類されている情報プロセシング事業も今期は連結売上高の9%弱〔約9億円)まで成長している。売上高、営業利益とも今後は20%程度の伸びは実現したい。


yuji5327 at 07:08 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
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池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山(文化功労者)に師事
書象会理事、審査会員
公募展出展
〇謙慎展・常任理事
・春興賞受賞2回
・青山賞受賞
〇読売書法展理事
・読売奨励賞受賞
・読売新聞社賞受賞
〇日展入選有

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