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2017年10月20日

トランプ大統領が自分の国の自画像を正しく描けていないというのは、アメリカにとっても世界にとっても不幸である。

「大前研一著:トランプ大統領よ、アメリカはすでに一人勝ちだ、
PRESIDENT ,2017.3.20」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.第45代アメリカ大統領ドナルド・トランプの「強いアメリカを取り戻す」というスローガンは「アメリカは弱い」という認識に基づいている。多くのアメリカ国民が本気でそう思っているのだろうか? 自分の国の自画像を正しく描けていないというのは、アメリカにとっても世界にとっても不幸である。
2.2016年の時価総額上位10社のランキングは、米国企業が圧倒的に多く、近年ますますその格差が開いている。1位アップル、2位アルファベット〔グーグル〕、3位マイクロソフト、4位バークシャー・ハサウェイ、5位エクソンモービル、6位アマゾン・ドット・コム、7位フェイスブック、8位ジョンソン・エンド・ジョンソン、9位JPモルガン・チェース、10位GE〔ゼネラル・エレクトリック〕で12位まで米国企業が独占。ちなみに日本企業はトヨタの29位が最上位。この30年間で進行したのはアメリカの一人勝ち現象である。
3.米国企業の今日の繁栄をもたらしたもはロナルド・レーガン大統領のレーガノミクスにある。通信、金融、運翰などの分野を中心に規制緩和が進んだおかげで米国企業はグローバル化し、強い企業が続々と生まれてきた。前述の時価総額企業トップテンを見てもわかるように、抜群の強さを誇る新興企業はアメリカの企業が圧倒的に多い。中国の新興企業も序列では伸びているがそのすべてが国営企業かアメリカのパクリ企業である。ジョンソン・エンド・ジョンソンやGEのような古参企業も善戦している。
4.レーガノミクスによる規制緩和と市場開放政策は、アメリカの企業社会に適者生存の競争原理をもたらし、米国企業を強靱にした。競争に勝った会社は生き残り、負けた会社は市場から退出した。弱者への同情は一切なし。勝ち残った会社は基本的にはいい会社のはずだから、それによって人々は安くて良い製品を享受できる。
5.自国の弱い産業を潰しても、世界の最適地から安くて良いモノを取り入れて消費する。ウォルマートやコストコはこの原理でアメリカの高コスト体質企業を排除した。これがアメリカの通関・貿易に対する考え方である。トランプ大統領はレーガン元大統領を尊敬しているそうだが、レーガンの革命思想には思いが至らない。
6.トランプ大統領の頭の中にある経済埋解は30年前の発想で、中国やメキシコに対する攻撃は、30年前にアイアコッカが振り撒いた「黄禍論」を想起させる。日米貿易均衡がピークだった1980年代、米クライスラー社の会長だったリー・アイアコッカは「イエローペリル〔黄禍〕と呼んで日本車の大バッシングを展開した。アメリカのクルマが日本車に負けている理由は、奴らがチープレイバー〔安価な労働力〕を使って、公害を重れ流してクルマをつくっているからだ」と訴え、日本車に対する関税や数量規制を政府に求めた。破綻寸前だったクライスラーを立て直したことで名声を高めた。トランプ大統領は現代版のアイアコッカだが、アイアコッカの主張には真実の欠片もなかった。


yuji5327 at 06:35 

2017年10月18日

ジヤーナリズムは反政府だが反体制ではない。共犯関係にある。一応権カに対して批判するが、その体制の中に収まっている。

「大石裕氏(慶應大学法学部教授)に聞く:批判する・批判されるジャーナリズム、
週刊東洋経済、2017.2.25」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.ジャーナリズム論というと、記者クラブ批判や、メディアリテラシーを高めてもっと権力を監視すべし、というのが常套句である。基本的には、マスコミがあり、その中の送り手が新聞や放送を中心としたジャーナリズムである。問題を抱えながら、同じ形態で行われ続け、現場でのニュースの作り方、作られ方を老えて分析する研究態度に欠けていた。2.ニュースメディアは外からの政治的影響力の下で活動している。しかしメディアの中にも「政治」はある。メディアテクストの生産・受容過程で権力が作用し、メディアテクストそれ自体も権力性を確かに持つ。
3.国家利益と地域利益のせめぎ合いの中で、沖縄タイムスと琉球新報のあり方に関心が集まっている。このせめぎ合いはTPPの交渉時などでもあった。沖縄だけがバッシングされるのは、地域利益を守るのがローカルメディアだし、国家利益を主張するのがナショナルメディアだとしたら、素材として沖縄になる。
4.原子力発電所事故は、地域利益が国家利益「東京インタレスト」にだまされた事例である。半世紀前にも水俣病で「ジヤーナリズムの不作為」を痛いほど感じた。水俣病は1960年から報道空白期を迎えている。なぜか。60年代後半に当事者企業チッソで安定賃金闘争が繰り広げられ、第1組合と第2組合の問での流血騒ぎに至る。世は日米安保問題や三池闘争を経て、条件設定がもっぱら労働運動になっていた。水俣を労使紛争として地方紙も全国紙も扱った。
5.健康被害にウエートはかけなくなり、地域が真っ二つになった真の原因をジャーナリズムは過小評価した。水俣病の問題はさらに深刻になった。
6.ジヤーナリズムは反政府だけども反体制ではない、という共犯関係にある。一般市民の期待に応えようと思ってジャーナリズムはメッセージを送る。体制の中で一応権カに対しては批判するが、その体制の中にジャーナリズムも収まっている。臆病なほどにジヤーナリズムの幅も狭くなってくる。狭くなった幅を、一般市民も社会はこんなものと思うようになり、その状況をまたジャーナリズムが反映するという循環が起こっている。
7.自社の財政的な問題、他方でネットという新興メディアの問題があり、.両方の挟み撃ちに遭っている。そしてネットの住人や発言者が一般の人の考え方を代表しているという構図が作られつつある。それがトランプ発言であり、ブレグジットの現象だと解説される。、マスメディア型のジャーナリズムは信頼を取り戻せるのか、紙媒体が残るか、信頼を取り戻せるないと問題の根は深い。
8.既存のジャーナリズムの人たちも匿名ではなくどんどん実名をさらしたほうがいい。自分の言葉でいろいろな形でメッセージを発することが重要になってきている。いい意味での無駄な部分がジャーナリズムから欠落しつつある。個性はリスクと隣り合わせのところがある。危なさはあるが面白いやつだから採ってみるか、というような余裕が今やない。
9・最近の大学生と接していると、ジャーナリスト予備軍としては心もとない。その意味では、人材づくりを進めてほしい。新聞は逆にテレビ局やIT企業にぶら下がってもいい。コングロマリット化して。そのぐらいのことをしないと、ジャーナリズムの立ち位置は本当に危なくなってくる。



yuji5327 at 06:41 

2017年10月16日

入国問題について日本が強く言えないのは、移民や外国人労働者の受け入れについて、極めて制限的である。正論を吐けば、難民・移民を引き受けよという圧力が日本に加わる。

「野口悠紀雄著:日本は言うべきことを主張していない、
週刊ダイヤモンド2017/02/25、」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
日本は、ドナルド・トランプ米大統領のご機嫌取りをする半面で、言うべきことを主張していない。日本はトランプ氏の手下になったのだろうか?
1.安倍晋三総理大臣は、トランプ氏の雇用創出計.画について、日本はアメリカでのインフラ投資に対して資金協刀するというが、こんな奇妙な政策はない。そもそも、これでアメリカは納得しない。
2.この提案は、日本がこれまで何度もやってきた総合経済対策と同じである。いろいろな事業をかき集めて規模を大きく見せて、日本国民をだませるかもしれないが、同じことをアメリカにしたところで、効果はない。アメリカのインフラ投資に協力したところで、アメリカの自動車産業の.雇用が増えるわけではない。新幹線の売り込みと見なされてしまう。
3.最大の問題は、相手が理不尽なことを言ってきたから、カネで解決しよう、という考えである。示談金と同じ発想である。1985年のプラザ合意も、ドル高によってアメリカの自動車産業の危機的状況に対応するために行われた。このときに行われたのは、為替レートをドル安に導くために協調介入し、日独が財政支出を増加させた。アメリカ国内の雇用を増やすための具体的プログラムを作ったわけではない。
4.日本政府は、主張すべきことは主張していない。トヨタ自動車は、名指しで工場立地を批判された唯一の外国企業だが、理不尽な批判に対して、日本政府は強く抗議すべきだが、日本政府は抗議していない。
5.アメリカの内政問題だいうが、これはれつきとした国際問題である。こうした状況でゴルフなどしたら、入国制限強化を認めたことになる。トヨタ自動車の工場立地批判についても、認めたことになる。
6.入国問題について日本が強く言えないのは、事情があるからである。日本は、移民や外国人労働者の受け入れについて、極めて制限的である。正論を吐けば、難民・移民を引き受けよという圧力が日本に加わることを懸念してい。
7.問題を持っているから強く主張できないのは、日本経済にとって最大の懸念である円安政策批判についても同じである。日本政府は、為替市場への介入していないから、円安政策を取っていない、としている。しかし、円安政策とは、直接的な介入だけではない。最も重要なのは金融政策である。
8.金融緩和は日本国内の政策であり、物価上昇率を引き上げるために行っているので、為替レートとは関係がない、という説明は通用しない。2月3日の為替レートは日本銀行の国債買い入れに応じて変動した。長期金利の急上昇に反応して1ドル=112円台になったが、日銀の行動で長期金利が大きく低下すると円安になった。結果的に日銀の行動が為替レートを大きく動かした。
9.日銀は、金融政策の目標は、物価上昇率2%の達成だが、金利を抑えれば円安になり、輸入物価が上がって、消費者物価も上がるということである。トランプ氏が指摘する通り、日本は円安のために金.融政策を行っていることになる。
10.円安政策の停止は、アメリカのためではなく、日本の消費者のために必要なことである。金融緩和をやめれば、円高になり、日本の輸入物価は下落し、外国のものを安く買えるようになる。そして消費が増えて、日本経済が活性化する。しかし、円高になれば企業利益が減少して株価が下がるから、政府としてはそうした状況を阻止したい。



yuji5327 at 06:42 

2017年10月12日

平和の維持

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トランプ米大統領
スペインのラホイ首相
イスラム国(IS)掃討作戦
テロとの戦いでの協力
スペイン、北朝鮮大使を国外追放
カタルーニャ自治州の独立
スペインの統一は維持されるべき


yuji5327 at 07:10 

ロシア側の主張は北方領土の領有は第2次世界大戦の結果、戦勝国のソ連(当時〕が獲得した正当な権利であるとしてきた。史実に照らせば、ロシア側が正しい。

「大前研一著:安倍vsプーチン密室会談の中身を語ろう、
PRESIDENT 2017.2.13」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1. 2016年12月に来日したロシアのプーチン大統領と安倍晋三首相の首脳会談の成果について、安倍首相は「北方四島で日露が共同経済活動をするための『特別な制度』について、交渉を開始することで合意した」と説明し「共同経済活動の協議開始が平和条約締結に向けた重要な一歩になりうる」と述べた。
2.これまでに日本政府が平和条約締結の前提条件としてきたのは北方領土問題だが、表立った成果はなく、日本の新聞メディアは「領土問題に具体的な進展なし」と期待外れ、との論調が目立った。しかし、今回ほど北方領土問題に対するロシア側のスタンスが明確に示された首脳会談はない。
3.特に、プーチン大統領は「1956年にソ連と日本は56年宣言(日ソ共同宣言〕を調印したとき、アメリカの当時のダレス国務長官は、もし日本がアメリカの利益を損なうようなことをすれば沖縄は完全にアメリカの一部になるとを言った。これは「ダレスの恫喝」と呼ばれる歴史的事実であり、これで日露間の領土問題は一歩も動かなくなった。
4.日本の外務省が国民に説明してきたのは、「日ソ中立条約がまだ有効だったにもかかわらず、ソ連はこれを一方的に破棄して日本に宣戦布告、日本がポツダム宣言を受諾した後もソ連軍は侵攻を続けて北方領土を不法に占拠、以来実効支配を続けている」というものである。対して、ロシア側の主張は北方領土の領有は第2次世界大戦の結果、戦勝国のソ連(当時〕が獲得した正当な権利であるとし、「日露間に領土問題は存在しない」としてきた。
5.史実に照らせば、ロシア側が正しい。カイロ会談、ヤルタ会談など、戦後処理の話し合いの流れで、北方領土はソ連が勝ち取った「戦利品」である。当時のスターリンは、北海道を南北に分割して北半分をソ連が占領ずることを要求した。トルーマン大統領が北海道分割案を拒否、戦勝権益として代わりに南樺太の返還と南クリル(北方四島〕を含めた千島列島の領有を提案した。つまり、北方領土を譲る、と言ったのはアメリカである。
6.日ソ中立条約の破棄と対日参戦もルーズベルト大統領の要請によるものであるし、北方領土へ兵を進めたのは米戦艦ミズーリ号の甲板上で日本が降伏文書にサインした9月2日以前。つまり日本とソ連はまだ戦争状態にあったのだから、北方領土の占領は不法ではない。しかも島民を1人も殺さずに返還してやったのだから、文句はあるまい、というのがロシア側の言い分である。
7.これは日本の外務省、日本の教科書が国民に説明してきたことと100%異なる。「北方領土は我が国固有の領土」というスローガンは大嘘で、アイヌ固有の土地かもしれないが、日本固有の領土と証明されたことは一度もない。世界のルールでは、領土は戦争で取った者勝ちである。納得できなければ、武力で取り返すしかない。
8.北方領土は先の大戦でロシアの領有がアメリカ以下の連合国から承認された。日本固有の領土、と主張するのは、日本が第2次大戦の結果を受け入れていないことになる。だからロシアの政治家や政府高官から、第2次大戦の結果を受け入れていない状態では、平和粂約締結や領土返還の交渉に応じられない、という発言が頻繁に出てくる。プーチン大統領も、第2次大戦の結果を受け入れるのが話し合いの原点、と繰り返してきた。
9.今回はさらに踏み込んで、ダレスの恫喝に言及した。ダレスの恫喝とは56年8月に日本の重光葵外相とジョン・フォスター・ダレス米国務長官がロンドンで会談した際の出来事で、ダレスが沖縄返還の条件として、北方四島の「一括返還」をソ連に求めるよう重光に迫ったのである。
10.サンフランシスコ講和条約にソ連は署名しなかったため、日ソの国交正常化は56年10月の日ソ共同宣言でなされる。このとき平和条約締結後に歯舞、色丹の2島を日本に引き渡す二島返還論で両国の交渉は妥結寸前まで進んでいが、そこにアメリカの横槍が入った。ダレスの恫喝である。東西冷戦が過熱する状況下で、領土交渉が進展して日ソ閲係が修復されることをアメリカは強く警戒していた。二島返還はそもそも日本政府が拒否していたという見方もあるが、日本が国後、択捉を含む四島返還を要求するようになった背景には「ダレスの恫喝」、すなわちアメリカの圧力があったことをプーチン大統領はズバリ指摘した。
11.5月ソチ、9月ウラジオストク、11月リマ(ペルー)、そして12月と、16年だけで安倍首相とプーチン大統領は首脳会談を4回行っている。リマの会談後、少なくとも2島は返してもいいが、主権が移って日本の領土になるということは日米安全保障条約の対象になる。アメリカが北方領土にミサイル基地を造ると言い出したら、日本は断れるのか疑問である。日本が独立した国として自分で意思決定できるまで、領土交渉は進まない、というロシアのラブロフ外相の発言は間違っていない。
12.ダレスの恫喝以外に、もう一つ大きな付帯条件があった。外務省は隠しているが、沖縄の民政は返還しても軍政は返さない。日米地位協定という取り決めで、軍政の主権が返還されてないことを、日本政府は今日まで国民に説明してこなかった。
13.プーチン大統領から北方領土問題の歴史的な因果について言われると、安倍首相は、領土問題の根深さ、難しさを思い知ったに違いない。「私の世代で北方領土問題に終止符を打つ」と決意した安倍首相は、次のステップに踏み出さなければならない。誰かに相談したら、潰されるリスクが高い。一人で交渉に当たった安倍首相の孤独な心情は察するに余りある。
14.12月の首脳会談では「特別な制度の下での共同経済活動」という方向性が示された。「特別な制度」とは、主権を分けて経済活動を優先させる沖縄返還方式を意味している、という見方もできる。当面はアメリカの干渉を招く領土問題を棚上げして、「平和条約」でエネルギーや観光交流など日本にもメリットのある作業に集中することである。



yuji5327 at 06:57 

2017年10月10日

2015年のアメリカの貿易赤字相手国は、第1位中国約3672億ドルで約半分、日本は第3位で、約690億ドル。1990年代初め、対日貿易赤字が全体の約半分が、トランプ氏の頭にある。

「野口悠紀雄著:トランプに翻弄されずに経済成長を続けるには、
週刊ダイヤモンド、2017.02.04」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.トランプ米大統領の経済政策が、世の中の関心事である。アメリカの政策で日本経済が影響を受けるのは事実だから、その予測に関心が集まる。もっと重要なのは、日本経済をどう運営するかを考えることである。トランプ政策には不合理な要素が多く、予測不可能である。
2.日本が外需中心の成長をしようと思えば、ほぼ確実にトランプ政策に翻弄される。トランプ氏は、トヨタ自動車のメキシコ工場建設に介入した後、記者会見で、日本を非難した。中国に対して数千億ドルの貿易赤字を抱えている。日本、メキシコなどに対しても同じだ、としたが、事実に反する。
3.2015年におけるアメリカの貿易赤字を相手国別に見ると、第1位は中国で、約3672億ドルと全体の約半分、第2位がドイツ。日本は第3位で、約690億ドルで全体の1割にもならない。1990年代初めには、対日貿易赤字が全体の約半分を占めていたので、トランプ氏の頭には、そのころのイメージがある。日本は、こうした誤解を解く努力が必要である。
4.そうした努力と並行して、自らの経済政策の基本も考え直す必要がある。重要なのは、外需中心の成長か、内需中心の成長を考えるかである。内需による成長路線を取れば、トランプ政策に翻弄される事態を回避できる。実質所得を増やして実質消費を増やすことによって、原理的には実現可能である。こうした方同付けは、トランプ政権が登場しなくても必要である。
5.輸出を拡大するには、原材料や燃料の輸入を増やさなければならないから、経済成長に対する寄与は、輸出-輸入、つまり貿易黒字で見るべきであるが、東日本大震災以降、発電用燃料の輸入が増えたので、これがマイナスになった。原油価格が下落したために15年の貿易赤字は大幅に縮小したが、原油価格が上昇すれば、赤字は拡大する.。こうした状況を考えれば、貿易立国はもともと無理である。
6.実質消費を増やすには、実質賃金の伸びが必要だが、最近の日本では、実質賃金.は伸び悩んでいる。16年11月の毎月勤労統計調査(毎勤統計)によると、実質賃金の前年同月比は、0.2%減と11カ月ぶりにマイナスに転じた。.野菜価格の高騰などで、消費者物価指数が前年同月比で0.5%上昇したためである。
7.野菜価格の高騰は一時的要因だから、11月の実質賃金減は一時的なものともいえる。今後は、原油高や円安で、物価に上昇圧力がかかる。輸入物価指数は、16年8月をボトムとして、その後は上昇に転じている。原因は、石油・石炭・天然ガスの指数が、16年3月をボトムとして、その後は上昇している。今後は、円安の影響が加わって、輸入物価の上昇が続く。
8.輸入物価の変化率は、半年遅れて国内の消費者物価に影響する。従って、今年の春ごろからは、消費者物価の上昇が続くだろう。実質賃金の伸び率は、年平均で12年以降マイナスだった。15年7月からプラスが続くようになり、16年6月には2%という高い値になった。原油価格の下落と円高によって物価が下落し、実質賃金が上昇するという過程が続いていたが、その過程は終わった。
9.政府も賃金を引き上げようとし、春闘へ介入している。春闘参加企業は主として大企業であるため、全体の賃金動向にはほとんど影響を及ぼさない。16年春闘では、交渉前の.滋賃金に対する賃上げ率は2.14%であった。現金給与総額の前年同月比は、16年上半期で0.8%でしかない。
10.実質賃金に影響するのは、名目賃金と並んで、物価である。消費者物価の上昇は、政府や日本銀行が期待するが、名目賃金の伸びが低い状況で物価上昇が実現すれば、実質賃金がマイナス成長を続けることになる。実質賃金を引き上げるには、物価の上昇を食い止めることが絶対に必要である。そのためには円安の進行を阻止することが必要である。このためには、金融政策が重要な役割を果たす。
11.具体的には、金融政策を大転換する必要がある。まず、マイナス金利政策からは脱却する。長期金利について、ある程度の上昇を容認する。巨額の国債購入を惰性的に続けることもやめる。これによって、為替レートが円安に動くのを抑止することができる。為替レートは投機によって大きく変動ずるが、政策転換を明らかにすれば、投機筋の行動が変化し、実際に円高になる。
12.円高になれば輸入物価が下落する。さらに、企業の競争を促進させ、輸入物価の低下が消費者物価の低下に反映されやすい状況をつくり、実質賃金が上昇する。そして、実質消費が増大することで、経済成長が実現する。10年から12年前半にかけての日本経済は、物価が下落し、実質賃金.が上昇した。株価が低迷を続けたので、この時期は経済が停滞していたと思われたが、実際には逆だった。
13.長期的・構造的な政策は、生産性を高めることである。同一労働同一賃金で、企業が非正規労働者を増やすのは理由がある。その根源を変えない限り、問題は解決されない。同一賃金が実現されても、雇用が減らされるか、正規労働者の賃金.が引き下げられる。
14.UberやAirbubに見られるように、シェアリング・エコノミーやギグ・エコノミーと呼ばれる仕組みが広まっている。これらの活用によって、新しい働き方が技術的には可能となっているから、それを活用することが必要である。こうした技術は、企業と個人の供給者としての差を消滅させる。個人がフリーランサーとして働き、所得を増やすことができるようになったが、日本では関連業界の反対によってこれが実現できていない。


yuji5327 at 06:40 

2017年10月04日

スウェーデンの予算運営の特徴は、景気後退期の思い切った財政出動は、景気拡張期に支出をコントロールする点である。

「伊集守直(横浜国立大学大学院准教授)著:示唆に富むスウェーデンの財政再建、
エコノミスト、2017.1.10」はためになる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.先進諸国の財政赤字の推移を観察すると、大まかな傾向を見いだすことができる。石油危機を背景にした1970年代後半から80年代初頭にかけた赤字の拡大、80年代半ばの金融自由化を背景とした資産バブルとその崩壊に伴う90年代初頭の赤字の拡大、そして2008年のリーマン・ショック以降の世界金融危機による赤字の拡大である。
2.財政赤字への対応として共通するのは、90年代に各国で財政再建が取り組まれ、アジア通貨危機の影響を受けて赤字が拡大した日本を除いて、収支の黒字化あるいは大幅な改善を達成している点である。90年代に取り組まれた財政再建策としては、アメリカのクリントン政権期の包括財政調整法のもとでの所得・法入増税と軍事費・メディケアの削減などが知られる。
3.フランス、カナダ、オーストラリア、スウェーデンにおいても増税と歳出削減をともなう財政再建策が実施された。中でも大胆な改革を試みたスウェーデンの事例は参考になる。スウエーデンにおける90年のバブル崩壊は、まず金融機関の経営危機として表面化した。さらに景気後退にともなって92年末には通貨危機に直面し、変動相場制への移行を余儀なくされた。この間、実質GDP(国内総生産〕成艮率は91年から3年連続でマイナスを記録し、失業率は93年には8.2%に達した。
4.その結果、一般政府の財政赤字は対GDP比11.9%〔93年)、債務残高は同比77.9%(94年)まで上昇した。深刻な経済危機のなかで実施された94年の国会議員選挙は、経済財政間題が最重要の争点となり、歳出削減に重点をおいた保守中道連立政権と、増税と歳出削減のバランスを強調した野党社民党との戦いとなった。この選挙に勝利した社民党は、増税と歳出削減を組み合わせ、累計で1255億クローネ(対GDP比8%〕に及ぶ規模の財政再建を実施し、98年には財政収支の黒字化を達成している。
5.ここで注目すべきなのが、財政再建策に適用された3つの原則である。それはー要に対する悪影響をもたらさないように一定期間をかけて政策を実施すること、⊇蠧精栃配政策の観点から高所得昔層に大きな負担を求めること.歳出削減は教育、医療、社会櫛仕という対人社会サービスよりも、家計に対する現金給付において優先的に実施する、というものであった。
6.財政再建に要した総額1255億クローネのうち、661億クローネ(52.7%)が歳出削減、594億クローネ(47.3%)が歳入強化によるものだった。家計を5つの所得階層に分けてみると、総額の43%が最高所得階層、11%が最低所得階層により負担されることとなった。7.歳出面においては、社会保障分野における現金給付が主要な削減項目となり、在宅保育手当の廃止や児童手当の縮小、年金給付額の引き下げや、各種社会保険給付率の引き下げなどが含まれた。歳入面では、医療保険の本人負担の引き上げのほか、国税所得税率の引き上げ、株式配当など資本所得課税の強化など高所得者層を中心とした負担の引き上げが実施された。一方で、所得分配に対する配慮から、食料品に対する付加価値税率を21%から12%に引き下げる措置もとられた。
8.このようにスウェーデンでは経済・財政危機を背景に、景気回復への影響、所得分配の効果、対人社会サービスの維持という面に配慮しながら、大規模な財政再建を実施し、財政収支の均衡を達成している。ただし、財政再建を一時的なものとして終わらせるのではなく、長期に持続可能な財政運営を可能にすべきとの認識から、予算制度改革も並行して行われている。
9.予算制度改革は、従来制度下での財政規律の欠如を是正することを主眼として実施された。とくに、国会での予算審議において増額に対する歯止めが効かないことを問題視し、予算の透明性の向上や、予算執行に対するチェック機能の強化などを目的とした制度改革が行われた。
10.96年に予算法が制定され、現在では3力年のフレーム予算を中心とする仕組みに基づいてトップダウン型の予算編成が行われている。その内容は、現行制度では新年度が始まると、財務省において最新の経済データや各省・外局からの予算.要求を踏まえ、3ヵ年分のフレーム予算の更新が行われる。
11.この作業はGDPに対する一般政府財政余剰目標の設定(対GDP比1%〕、△修量槁犬鮹成するための歳出総額の上限設定、上限額のもとでの27の歳出分野への歳出配分の提示、という3段階から構成される。次に財務省による原案をもとに、予算閣議において各省大臣からの追加予算要求を中心とした歳出分野に対する支出配分が議論される。ただし、ここでも歳出総額を先に決定するため、各省大臣は他の歳出分野からの資源の再配分を求めるか、所管する歳出分野の間で再配分を行う。
12.予算閣議を経た3ヵ年のフレーム予算、そして次年度予算についてはおよそ500の議決科目を含む予算案が国会に提出されると、国会審議でもトップダウン型の予算審議が行われる。具体的には、財政委員会において歳出総額と27の歳出分野の上限額がまず決定され、次に各歳出分野を担当する個別委員会において個別の議決科目が決定される。
13.スウェーデンの予算運営において特徴的なのは、景気後退期における思い切った財政出動を可能とするには、景気拡張期にこそ支出をコントロールする必.要があるという視点に立ちながら、予算編成を行っている点である。また、トップダウン型の予算編成方式を取り入れることで財政規律を保ちながらも、歳出分野・歳出科目間の予算配分において政治的意思決定を重視している。つまり、機械的な歳出のコントロールを避け、国民のニーズを予算編成に反映させることを狙いとしている。
14.これまでの日本の財政再建のあり方を振り返ると、最近の消費税率の引き上げを除けば、一貫して歳出削減に特化してきた。また、予算編成においてはシーリングが重視され、一部の特別枠などを除いては硬直的な省庁別予算配分を前提とした歳出削減が目指されてきた。さらに、地方単独事業を活用した90年代の景気対策や、分権改革のもとでの地方交付税などの削減により地方財政は悪化し、住民のニーズ充足や生活保障を困難にしてきた。90年代に欧米諸国が達成したような財政健全化の機会を逃してしまった。財政運営の根本的な問題を私たちは突きつけられている。



yuji5327 at 06:34 

2017年10月02日

企業には、技術・人材双方への投質が求められる。労働者がよリスマートに、効率的に働けるようにする技術への投資と、技術を生かす人材を訓練する投資が欠かせない。

「スティーブン・ローチ(米エール大学シニアフェロー)著:トランプノミクスは一晩で米国経済を偉大にする魔法ではない、
エコノミスト、2017.1.10」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.年率2%くらいでしか成長できなかった米経済が、次期政権の目標値である4%以上の成長が可能だと踏んでいる。市場は、税制改革や規制撤廃政策、保護主義的政策による国内雇用増加などを評価し、「この大統領なら、結果を出す」と期待している。
2.市場は、ほんの数カ月前のことさえ簡単に忘れてしまう。市場は熱狂的な期待に沸いている。しかし、トランプ氏の経済政策は財政赤字の拡大をもたらし、家計の貯蓄率はさらに低下するため、経済赤字と貿易赤字が増大する。こうして貿易赤字拡大とトランプ政権が掲げる「米国第1」の保護主義的政策が、早晩衝突することになる。それは、米経済にとって懸念すべきことである。金融危機後8年間さえなかった米経済を、一晩で偉大にできる魔法はない。
3、共和党が上下院で過半数を占めるようになるため、2017年の早い時期に、大統領選で公約した税制改革の大半を法制化できる。しかし、税制改革法令が、実際に米経済を浮揚させることができるかは別問題である。
4.トランプ氏は、財政出動によるインフラ投資ではなく、官民パートナーシップへの税制控除で投資を活性化させるつもりである。長期的に見れば、うまくいくかもしれないが、パートナーシップ設立や税制の整備には時間がかかる。すぐに結果が出るものではない。5.官民パートナーシップのよいところは、いったん発足すれば、のろまなお役所仕事に比べ、実行が迅速であることである。欠点は、道路や橋梁の補修は利幅がひどく薄いため、参入業者が限られてしまう。ヒラリー・クリントン前国務長官が大統領選で公約した財政出動によるインフラ直接投資の方が、業者には利益面で魅力的で、参入業者も増える。
6.トランプ政権が、年率4%の成長目標を達成するのは難しい。開かれた国境による労働力供給は経済成長の重要な要素だが、トランプ氏は国境を閉じようとしている。重要なのは、米経済の長期的成長に極めて重要な生産性が過去8年、非常に弱い。4%成長目標を達成するには、生産性の向上が不可欠だが、トランプ政権移行チームは生産性に十分な注意を払っていない。
7.企業には、技術・人材双方への投質が求められる。つまり、労働者がよリスマートに、効率的に働けるようにする技術への投資と、そうした技術を生かす人材を訓練する投資が欠かせない。政府には、このような投資を促進する政策が求められる。
8.トランプ氏の支持者は、「企業が投資しないのは米国の法人税率が高すぎるからだ。税率を現行の35%から15%に引き下げるだけで、アニマル・スピリットが息を吹き返し、投資が活性化する」と言うが、そうは思わない。金融危機以降の回復局面で企業による投資が弱かった本当の理由は、米国内の消費を中心とする内需が弱かったからである。08年の第1四半期(1〜3月)以来、消費は年率平均1・6%しか成長していない。.それ以前の12年間の平均より2ポイントも低い。消費低迷は、家計が借金をしすぎたことで、バランスシートが傷んだ結果である。消費が低迷するなか、法人税率引き下げで、すぐに解決するような問題ではない。
9.金融危機後のFRBによる裁量的な緩和政策は、堅実で地に足のついた経済成長ではなく、資産価値の上昇に期待する状態を作り上げてしまった。これは「ゼロ金利に向かう罠」と言える状態で、FRBのバランスシートも膨れあがった。消費による内.需が低迷するなか、新政権は輸出拡大を米経済成長の新たなソースにすべきだが、ドル高はその向かい風になるだろう。加えて、隣国のカナダとメキシコは、米国の貿易相手トップ2という重要国だ。しかし、トランプ氏は両国と米国の間に締結された北米自由貿易協定(NAFTA)の破棄を唱えている。そればかりか、米国の第3位の貿易相手国である中国との貿易でも強硬な立場を取っており、ドル高傾向とあわせて、懸念される。トランプノミクスによって引き起こされる財政赤字の拡大と経常赤字の増大によって、ドル安傾向になると信じている。
10.17年の世界経済のリスクの第1は、貿易の急減速を伴う脱グローバル化である。米国などでは、グローバル化の敗者に対する安全網を築いてこなかったため、大衆迎合主義者の台頭を許した。その傾向は17年も続く。第2のリスクは、保護主義の台頭である。「米国第一のお題目の下、メキシコ国境に壁を作り、中国製品に高関税を課すのは、心配なことである。
11.経済学者や政策立案者は、グローバル化の利益を労働者たちの納得する形で示せなかった。現在見られる政治的な揺り戻しは、何もないところから起こったのではない。経済学音は責任を取る必要がある。第3のリスクは、米中関係の急激な悪化だ。トランプ氏の台湾接近で中国が怒り、有事になるかもしれないし、南シナ海での軍事的緊張も高まるかもしれない。

yuji5327 at 06:35 

2017年09月30日

トランプ氏が掲げる減税政策は、小さな政府を目指す共和党の方向性と一致する。すべてが好転すれば、投資機会の不足と過剰貯蓄による長期停滞論から抜け出すきっかけになる。

「ポール・シェアード(S&Pグローバルチーフエコノミスト):トランプ大統領の登場が長期停滞論を抜け出すきっかけに、
エコノミスト、2017.1.10」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米大銃領選から約1カ月半。6月の英国の欧州連合〔EU)の離脱に続き、世界経済の不確実性を一層高めることになった。前国務長官であるヒラリー・クリントン氏なら、従来の政治と大きく変わらないことが予想できた。しかし、政治家としての経験もなく、公職に就いたこともないトランプ氏が,どんな大統領になり、どんな政策運営を行うかは、ほぼ予測不可能だ。
2.予想に反してトランプ氏が勝利した理由は、背景には、「今、ワシントンにいる政治家に任せても、何も変わらない」という米国民の既存政治家に対する失望がある。米国の中間層は、現状を変える見込みのないクリントン氏を支持しなかった。大きな不確実性はあるが、突破口となるような大胆な政策を打ち出し、米国を変える可能性のあるトランプ氏を選んだ。
3.クリントン氏が副大統領候補にティム・ケイン上院議貝を選び、予備選を最後まで激しく争ったバーニー・サンダース上院議員を排除したことも、賢い判断ではなかった。大手銀行の解体や大学の無料化など、トランプ氏のように極端な政策を掲げていたサンダース氏を取り込む方が得策だった。サンダース氏をクリントン氏は恐れた。
4.トランプ氏の副大統領候補選びは的確だった。トランプ氏は、共和党の中でも伝統的な主流派であるマイク・ペンス・インディアナ州知事を副大統領候補とするなど.クリントン氏とは.正反対の姿勢を見せた。あえて自分とは対極の人物をナンバー2に置くことで、人事については実務的な人物を抜てきするという安心感を米国民に与え、支持を得た。副大統領候補選びでは,トランプ氏はクリントン氏よりも一枚上手だった。
5.米議会は上下両院とも共和党が多数を占め、2014年の中間選挙から続いた政府と議会の「ねじれ現象」が解消されるのは、トランプ氏にとって大きい。トランプ氏の打ち出す政策が通りやすくなり、その気になれば選挙中に語った大胆な政策展開も可能となる。また、2年後の中間選挙を見据えて、上下両院ともトランプ氏の政策に協力的な姿勢を示す可能性もある。トランプ氏が世論の強い支持を維持し、2年問で実績を残せれば、共和党はこれを追い風に多くの議席を確保できる。民主党も無理.に抵抗するよりは、トランプ氏の勢いに乗って手を組んだ方が有利だという打算が働いてもおかしくない。
6.トランプ氏が掲げる政策の一つである減税政策は、小さな政府を目指す共和党の方向性と一致する。すべてが好転すれば、ローレンス・サマーズ元米財務長官が提唱した投資機会の不足と過剰貯蓄(需要不足)による「長期停滞論」から抜け出すきっかけになる。
7.リーマン・ショック以降、金融政策に過度に依存しすぎたことへの反省が語られる機会が増えた。金融政策だけでなく財政.政策も組み合わせたポリシーミックスのリバランス(再均衡〕が必.要という機運が急速に高まっている。サマーズ氏が唱える長期停滞論の突破口は、政府主導による大規模な財政出動やインフラ投資の促進である。
8.金融と財政が一体となるよう経済政策運営の枠組み自体を再構築すぺきという機運も高まっている。マクロ経済として考えた時、状況に応じて、金融政策と財政政策.両方の広い視点で、どの政策が最も効果的かを議論すべきである。財政政策は政治家、金融政策は米連邦準備制度理事会〔FRB)に任せて、テクノクラート〔高級官僚)や経済学者が担うという分離された仕組みはおかしい。
9.優秀なビジネスマンであり、直観に優れているトランプ氏なら、すぐに現在の分離された非合理的な経済政策の枠紐みを問題視するだろう。例えば、政府の経済政策に強い影響力を持つ国家経済会議(NEC)にイエレンFRB議長を呼ぶのもトランプ氏ならおかしくない。従来の枠糾みにこだわらない柔軟で、新しい試みを行う可能性は高い。
10.自由貿易を推進すれば、大きな利益を得る人と不利益を被る人が出る。そこで経済学者やエコノミストなどの経済の専門家たちは、不利益を被った人たちに対して利益を得た人たちが拠出し、何らかの保証〔利益の再配分)をすれば、ネットでは全体に利益が発生するという理論で自由貿易を推奨している。
11.こう主.張した専門家たちは、再配分の問題を政治家任せにして、本来着手すべき民主党もこの問題を放置した。米中西部のラストベルト(さび付いた工業地帯)は自由貿易によって大きな打撃を受けたままである。もっと早く財政支援などの措置を取るべきだった。現実主義者でラストベルトの代弁者として支持されたトランプ氏は、マイナスの影響が出た場合には臨機応変に対応すると思われる。.
12.トランプ大統領の下、財政拡張政策がうまく回り出せば、欧州にもその影響が波及していく。金融政策だけで景気を回復させるのは難しく、財政政策とのポリシーミックスが必要である。ドイツや、ベルギー・ブリュッセルが推進する緊縮財政への不満は.想像以上に高まっている。
13.EU各国・地域の国内総生産(GDP}は、リーマン・ショック前と比べて、米国は11%増であるのに対し、ユーロ圏では1%増にとどまる。同じ欧州でも英国は8%増で、ユーロ圏ではドイツが7%増と突出している。一方、イタリアは8%減とドイツとの格差は広がるばかりである。ドイツはユーロ安の恩恵を受け、独り勝ちだが、イタリアやスペインなど南欧諸国の不満が鬱積している。
14.12月4日の憲法改正に伴う国民投票が否決され、辞任したイタリアのレンツィ首相は、10月の訪米時の講演で「緊縮財政は国家を破壊する」と、公然とEUの政策を批判した。4.トランプ氏の経済政策が軌道に乗り、目標の4%成長を達成すれば、反EUの機運はさらに高まる。南欧諸国だけでなく、ドイツ国内にも反EUの火種はくすぶっており、秋に選挙を控えたメルケル首相も、緊縮財政からの転換を迫られる可能性は否定できない。




yuji5327 at 17:11 

2017年09月28日

アベノミクスは、安倍晋三首相はじめ政府首脳が高度経済成長の成功体験をひきずり、頑張れば成長できると信じ込んでおり、時代錯誤である

「水野和夫(法政大学教授)著:米国のトランプ現象は茶番劇、既成秩序が崩れる危機の時代、
エコノミスト、2017.1.10」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.歴史の危機で一つの秩序が終わり、次の秩序へと向かうには、人々の世代交代を待つ必要がある。旧秩序の時代に築いた遺産で生活する代がいなくならない限り、新しい時代の担い手は出てこない。日本はすでに新世代が登場する時期に差し掛かっている。90年代以降に生まれた世代は、物欲が薄く、物質心主義の世代とは価値観が異なる。彼らが時代を担うようになれば、政策も変わっていくだろう。
2.日本は世界に先駆けて穏便に新しい秩序を構築できる恵まれた立ち位置にある。経済学者ケインズは、ゼロ金利は「利子生活音の安楽死」をもたらし、革命を経ずに大きな社会改革が可能と指摘した。現代の日本とドイツがそうした状態にある。社会のすみずみに資本がいきわたりゼロ金利の状態であり、分配による社会改革が可能な状態にある。
3.資本が希少性を保っている間は、人々は資本の奪い合いをしなければならず、エスタブリッシユメントへの反抗や弾劾、そして革命を経なければ新秩序への移行は難しいが、日独は状況が異なる。
4.経済成長を追い求め続ける近代資本主義の延長線上でしか思考できないのは残念である。アベノミクスは、安倍晋三首相はじめ政府首脳が高度経済成長の成功体験をひきずり、頑張れば成長できると信じ込んでおり、時代錯誤であることに早く気づくべきである。政府よりも市場の方がより効率的な資本配分ができるという市場原理主義に根ざす新自由主義も茶番でしかない。




yuji5327 at 06:37 
池上技術士事務所の紹介
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池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
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