新技術

2020年03月29日

本人確認を瞬間でこなす顔認証技術が、羽田・成田に今春登場する。空港で搭乗手続きを終えたら、顔バスで飛行機に搭乗できる。


「中川雅博著:あのアップルも空港イノベーションに参画、羽田・成田で顔パス搭乗、世界で広がるスマート空港、 週刊東洋経済 2020.3.28」
1.本人確認を瞬間でこなす顔認証技術が、羽田・成田に今春登場する。空港で搭乗手続きを終えたら、パスポートをかばんにしまったまま、顔バスで飛行機に搭乗できる。そんな革新的な仕組みが動き出す。
2.羽田空港と成田空港は今夏の東京五輪開催までに、搭乗手続きから機内への搭乗までのすべての予続きで顔認証技術を採用する。まず日本航空〔JAL)と全日本空輸〔ANA)から導人が始まる予定である。搭乗手続き時に自動チェックイン機でパスポートと搭乗券、顔情報をひも付け、「One ID」と呼ばれる一時的なIDを生.成する。その後、自動手荷物預けや保安検査、搭乗ゲートの通過が顔認証だけで完了する。
3.朝7-9時の羽田空港において手荷物預け待ちから保安検査通過まで10分以内で終えられた旅客の比率は2018年時点で41%だった。導入を指揮する国土交通省は、これを70%まで引き上げたい考えである。同省航空局総務課の担当者は、「旅客のストレス軽減につなげたい」としている。新型コロナが猛威を振るっているが、くしくもこの仕組みで空港や航空会礼の職員と旅客の物理的な接触を抑えられるという副次的な効果もある。
4.両空港で顔認証システムを導人するのは、ITサービス国内大手のNECである。同社は現在、顔や指紋などの生体認証技術を生かした事業を最重要分野として位置づける。とくに顔認証は米国立標準技術研究所(NIST)のベンチマークテストにおいて、照合精度で米マイクロソフトなどの米中欧大手を抑え、昨年5度日の首位獲得を達成。営業攻勢を強めている。
5.顔認証技術の開発責任者を務める今岡仁フェローは、「特長は、本人と似ている他人との違いを最大限に強調して認識する点にある。さらに経年変化があっても認証精度を維持でき、データベースの登録人数が増えても正解率が変わらないのが強み」と自信を見せる。パスポート写真を用いた混雑空港での顔認証は、まさにそうした技術力が求められる。
6.昨年成川空港での顔認証導人におけるメインベンダーに選ばれた際、事業開発を担当する受川裕執行役員は、「搭乗ゲートなどで、ウォークスルーを実現できる、動画による顔認証の精度が評価された」とも語っている。ただ、実は羽田でも成田でも、1カ所だけ「顔パス」では通れない手続きがある。出入国審査である。ほかの手続きの管轄官庁が国土交通省なのに対し、ここでは法務省の出入国在留管理庁である。
7.18年夏から顔認証ゲートが導入されたが、NECを含む4社を抑え、パナソニックが受注した。これは先述のOne IDのシステムとはつながっておらず、読み取り機にかざしたパスポートのICチップ内の写真と、その場で撮影した顔写真を照合するという仕組である。国交省担当者は、管轄官庁との協議を進めたい、という。
8.近年、大規模な顔認証システムを採用する空港は海外でも増えている。先駆けが、16年10月に開業したシンガポール・チャンギ国際空港の第4夕ーミナルである。出発エリアに職員がほとんどいない光景は当初から話題となった。その後18年末に続いたのが、米アトランタ国際空港。ここに本社を置く米デルタ航空が導入し、税関国境警備局とも協力したうえで、羽田・成田では当面実現しない出入国審査でのシステム連携も可能になった。
9.世界中で採用拡大のきっかけになりそうなのが、今年中に航空連合「スターアライアンス」が生体認証を活用した本人確認システムの導人を始めることである。ここでもNECが受注した。アライアンス加盟社のスマートフォンアプリで顔画像とパスポート情報を登録してチェックインを行うと、顔パス搭乗が可能になる。
10.旅客の利便性が増す一方で、顔認証の普及とともにプライバシーに関する懸念が膨らむ。咋年5月には米サンフランシスコ市議会が公共機閲による顔認証システムの導入を禁じる条例案を可決した。人権団体・米国自由人権協会〔ACLU〕など顔認証技術の反
対派は、一般のビデオカメラで対象者の同意なしに監視できる点に懸念を示す。ACLUはこの3月、米国土安全保障省などを相手取り、出入国管理や空港の監視において、認識した顔情報の利用法や航空会社や空港との契約の詳細を透明化するよう訴えを起こした。
11.ACLUのアシュリー・ゴースキー弁護士は、「空港での顔の監視に関する政府の計画がほとんど知られていないのは、非常に憂慮すべきことだ」と述べている。もっとも、各国の主要空港で発着枠が拡大する中、空港のスマート化は不可欠である。.NECのようにそれを商機とするIT企業も少なくない。昨年10月には、米アップルが米ユナイテッド航空と協力し、サンフランシスコ国際空港の刷新を計画していることが明らかになつた。アップルはユナイテッドに毎年1.5億ドル支払う最大級の法人顧客でもある。
12.ユナイテッドの幹部は、「空港での体験を革新するものになる。アップルのチームはすでに手荷物預けやカスタマーサービス、ロビーなどのエリアを視察した」と語っている。技術の発達により、空港の混雑はどこまで解消されるか、まずは日本の2大空港での実力が試される。



yuji5327 at 06:28 

2020年03月19日

量子コンピューターの活用に積極的な業界は、金融と化学業界。パートナー企業として日本勢は、三菱UFJとみずほ、三菱ケミカル、JSRの4社である。


「大矢博之、杉本りうこ(ダイヤモンド編集部)著者:乗り遅れるな量子ビジネス、MUFGは「1億回使った」金融・化学業界が応用に本腰、週刊ダイヤモンド 2020.3.14」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.米IBMがクラウド上で公開している量子コンピューターの。ヘビーユーザーの一人に、あるメガバンクの担当者が名を連ねている。これまでに、1億回以上使いました」と語るのは、三菱UFJ銀行システム企画部IT戦略グループの田中智樹調査役である。金融業界での可能性を探るべく、量子コンピューターを使い倒している。
2.2016年5月に5量子ビットの量子コンピューターをクラウド上で公開したIBM。それ以降も装置の性能が上がるとともに利用可能な台数は増えていき、現在は15台をクラウド上で触ることができる。
3.日本IBMの森本典繁執行役員によれば、15台の量子コンピューターの稼働率は97%以上。これまでに全世界で101社の20万人以上が利用し、累計で1400億回以上の計算が実行された。IBMが"虎の子"の量子コンピューターをクラウド上で公開する理由について、日本IBM東京基礎研究所の福田剛志所長は、「量子コンピューターを作り、単なる"箱“として売っても価値がない。ユーザーやアプリケーションが存在し、価値を引き出す企業がいて初めてビジネスが成立つ」と語る。ユーザー企業に積極的に関わってもらうことで、産業分野での量子コンピューターの使い道を見いだそうとしている。
4.今、量子コンピューターの活用に積極的な業界はどこかは、福田所長によれば、101社の中でも参加企業が多いのは、金融と化学業界である。パートナー企業として日本勢で名を連ねているのが、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とみずほフィナンシャルグループ(FG)、三菱ケミカル、JSRの4社。日本の金融、化学業界の雄である。
5.この4社は18年5月に慶応大学に開設された量子コンピューターの研究開発拠点「IBM Qネットワークハブ」の初期メンバーである。慶応大学の伊藤公平教授によれば、IBMから量子コンピューターの研究拠点にならないかと打診があったのは17年8月。最先端で今まさに成長している量子コンピューターを、実際に使えるという夢のような話だ、と打診を快諾。メンバー企業は伊藤教授が自ら足を運んで発掘した。量子コンピューターは今後、発達し続ける。学術的な興味はもちろんあるが、どんな問題を解かせるかを、企業が設定することに意味がある。
6.伊藤教授が参加企業に求めたのは、単なる資金提供だけでなく、常駐するメンバーも出してもらうことである。拠点には4社から6人の担当者が送り込まれ、常駐するIBMの技術者や慶応大学の研究者らと日々議論を交わす。困ったときにじかにIBM側に聞くことができ、コミュニケーションが早い」と田中調査役は拠点に参加したメリットを語る。
7.拠点での取り組みについて田中調査.役は、「量子コンピューターで何をやるかを見極めるところからスタートした。金融業務のどこで使えそうなのかという可能性を探ることが日的だが、同時に、この業務では利用が無理だと分かることも重要だ」と語る。金融業務では、資産運用のポートフォリオの最適化や経済予測など、量子コンピユーターのさまざまな活用例の可能性が示されているが、現在ホットなテーマはデリバティブ商品の価格計算である。
8.みずほ情報総研サイエンスソリューション部の宇野隼平チーフコンサルタントによれば、大手金融機関はリスクなどの価格変動に関わる要素を考慮した上で、利益を確保できるようデリバティブ商品の値付けをしている。ただ、考慮すべき要素は100万を超え、各社とも自前のスーパーコンピューターを使い、取引時聞の終了後に数時聞かけて日々計算している。この計算を素早く行って高速に値付けすることが、みずほFGから送り込まれた宇野チーフコンサルタントのミッションである。目下のところ、各金融機関が共通して狙う量子コンピューターの使い道である。
9.実際に慶応大学の拠点で、成果が出始めている。田中調査役らが見いだしたのは、量子コンピユーターを使った効率的なリスク計算の工夫だ。リスク分析などに使う計算は、理想的な量子コンピューターならば高速に計算できると目されているアルゴリズムが存在する。だが、現在使える量子コンピューターはエラーが多く、実際に使うためにはアルゴリズムの改良が必要だった。そこで田中調査役らは、既存の量子コンピューターでも計算できるよう問題を分割して"小型化〃した。量子コンピューターが得意な部分だけに特化した小さな問題を繰り返し計算させ、出てきた答えを、既存コンピューターを用いた最尤推定と呼ばれる統計手法を使い計算する手法を提案した。

yuji5327 at 06:32 

2020年03月18日

光に反応する不安定な分子の計算は、既存の量子コンピューターにはまだ荷が重い。あらゆる問題が量子コンピューターで解けるようになるまでには30〜40年はかかる。


「大矢博之、杉本りうこ(ダイヤモンド編集部)著者:乗り遅れるな量子ビジネス、MUFGは「1億回使った」金融・化学業界が応用に本腰、週刊ダイヤモンド 2020.3.14」は参考になる。印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.量子コンピューターを使うことで、スパコンで1万回必要だった計算量が約100回で済むことが知られているが、この改良した計算手法を使うことで、量子コンピュータ1回当たりの計算を20分の1にすることができた。この成果を19年4月に査読前の論文として公開したところ、金融世界最大手の米JPモルガンが即座に引用し、IBMとの共同研究に活用したという。
2.金融業界と並んで、量子コンピューターの産業応用に近いと日されているのが化学業界である。化学反応をコンピューターで計算しようとした際に、1原子単位の物質の挙動まで調べようとすると、量子力学に行き着く。1990年代以降、量子化学計算という分野がアカデミックの世界で発展してきた。だが、スパコンで実際に計算できるのは、数個の原子で構成された低分子まで。原子の数が増えていくと計算量が爆発し、近似的な計算を強いられるなど完璧なシミユレーションは不可能だった。
3.量子化学計算の研究者にしてみれば、問題の解き方は分かっているものの、使えるマシンがない状態。量子力学の原理で動く量子コンピューターは、こうした難題を克服できそうな"救世主〃である。化学業界で量子コンピューターの応用先として今最も熱い分野は「次世代電池」の開発だである。現在主流で使われているのはリチウムイオン電池なのだが、将来の電気自動車の普及を見越し、より高性能な電池の開発競争は世界中で繰り広げられている。
4.中でも注目を集めるのは、リチウムを使った「リチウム空気電池」や「リチウム硫黄電池」など、リチウムイオン電池の。後継探しである。リチウムは元素の中でも原子が小型で、まだまだ小規模の量子コンピューターで計算するにはぴったり。リチウムがどういう反応で充放電するかの基礎的な振る舞いを理解するために使われている。
5.三菱ケミカルはリチウム空気電池の実現を目指し、リチウムと酸素の初期段階の反応のシミユレーションに成功した。また独自動車大手ダイムラーはIBMとリチウム硫黄電池の共同研究を進めている。
6.化学業界の注目は電池だけではない。JSRが期待するのは、半導体やディスプレーの製造で利用される新たな感光材の開発である。JSR四日市研究センターマテリアルズ・インフォマティクス推進室の大西裕也氏は、光を吸つて反応する感光材の計算は、原理的に正しくても、既仔のスパコンでは宇宙に存在する全ての原子を記憶素子として使っても不足する。スパコンの限界を量子コンピューターが打破してくれることに期待を寄せる。
7.光に反応する不安定な分子の計算は、既存の量子コンピューターにはまだ荷が重い。あらゆる問題が量子コンピューターで解けるようになるまでには30〜40年はかかる。それでも量子コンピューターに注力する理由について、これなら解けるという問題をいち早く選び出しておき、量子コンピューターがその性能に到達したときに速やかに使えるような準備をしておくと大西氏は強調した。
8.新興国がAIや機械学習、自動実験といった先進的なテクノロジーを活用し、従来日本が得意だつた分野で、人の手をかけずに品質の良い製品を作るかもしれないという危機感がある。競合に手の内を明かすことにもなるIBM Qネットワークハブに参加する利点について、量子コンピューターのエコシステムに入り込むことで、業界の進捗や優秀な人材がどこにいるかを早期に把握できる。
9.化学業界に近い製薬業界も創薬の現場において、複雑な構造の新薬の候補物質の探索や、大規模なデータを処理するゲノム解析などで、量子コンピューターに期待を寄せている。量子コンピューターの性能向上が進む中、高根の花であったマシンを身近な仔在にする動きも加速している。19年後半、米マイクロソフトのクラウドサービス「Azure」と米アマゾン・ドツト・コムの同じく「AWS」が、クラウド上で量子コンピューターのサービスを提供すると、相次いで発表した。
10.Azure上では米ハネウェルや米ベンチャーIonQのマシンを、AWS上ではIonQや米ベンチャーRigetti、カナダD-WaveSystemSのマシンが使えるようになる。AWSジャパンの長崎社長は、「従来不可能だった問題を解決できる可能性のある量子コンピューターには、これまでは一部の人しかリーチできなかった。間口を広げることで、ユースケースの可能性が広がる。日本でも複数の企業から問い合わせがある。クラウド経由で誰もが量子コンピューターを触れる時代が到来した。20年は量子コンピューターの産業応用を模索する動きが一気に加速する年になる。


yuji5327 at 06:56 

2020年03月16日

量子コンピューターのすごみは、性能が指数的に上がること。グーグルの53量子ビットのチップならば、2の53乗、約1京種類の情報を同時に計算できる。


「大矢博之、杉本りうこ(ダイヤモンド編集部)著:IBMの「虎の子」が日本上陸、週刊ダイヤモンド 2020.3.14」参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して自分のコメントもカッコ内に付記して纏めると以下のようになる。
1.2019年.夏、一本の論文が大阪大学教授の藤井啓祐の元に届いた。差出人は英科学誌:ネイチャーの編集部で査読の依頼だった。執筆者は米グーグルの研究チームで、量子コンピューターで、既存のスーパーコンピューターよりも高速で計算する量子超越を達成したとする内容だった。
2.実機を使って実験する青写真は数年前から予定されていた。いずれは発表されると期待していたが、本当に出たことは驚異的である。量ゴコンピューターのアイデア自体は30年以上前から存在していた。1982年、米物理.学者のリチャード・ファインマンが、もしも自然をコンピューターでシミユレーションしたければ、量子力学のルールで動くコンピューターを作るべきだ、と提唱した。
3..94年、米数学者のピーター・ショアが量子コンピユーターを使えば素因数分解を高速で解くことができるアルゴリズムを開発した。これで産業界の量子コンピューターへの見方が変わった。電子メールやインターネット上での商品の注文や、日々の暮らしでこうしたツールを気兼ねなく使えるのは、情報を暗号が守ってくれるからである。この暗号には、素因数分解が使われている。
4.量予コンピューターが登場すれば、暗号の安全性が根底から覆るかもしれない。ショアのアルゴリズムの登場で、量子コンピューターの第1次ブーム"が到米する。99年、の中村泰信(現東大教授)と蔡兆申〔現東京理.科大教授)が、超伝導を使って量子コンピューターの基本素子となる量子ビットを初めて実現。ところがここから冬の時代を迎える。量子ビットが安定せず、数を増やすことは困難を極めた。
5.潮目が変わったのは14年。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授のジョン・マルティニスが、高精度の5量子ビットのチップを実現した。これならば量子ビットを増やすことができるかもしれない。グーグルはマルティニスを研究室ごと買収することを決断した。今回量子超越を達成したのは、この研究.チームである。
6.グーグルの論文は、世界最速のスパコンで計算に1万年かかる問題も、量子コンピユーターを使えばたった200秒で、約15億倍速く解けるという内容である。ただ、解いたのは、量子コンピューターに極めて有利な問題である。量子コンピューターの動作を、量子コンピューターにシミュレーションさせた。
7.今回のグーグルの成果が、売り上げの改善など、すぐにビジネスに影響を及ぼす可能性は100%ない。しかし将来、量子コンピューターを社会で活用するならば、そもそも従来のコンピューターに勝てることを示さねばならない。
8.注目すべきは、グーグルはたった53量子ビットしか使っていないことである。これで世界一のスパコンを凌駕できると示した。量子コンピューターの強さの秘密は、計算に「重ね合わせ」という量子力苧の性質を使うことである。既存のコンピューターは、全ての情報を0とーの紐み合わせで表現する。この情報の基本単位がビットである。一方、量子力学の世界では、状態を必ずしも1つに確定する必要はなく、あいまいな状態を取ることが許されている。量子ビットは0と1を重ね合わせることで、その両方の状態を同時に表すことができる。例えば2景子ビットならば.00、01、10、11の4パターンを一度に表現することが可能である。
9.量子コンピューターの真のすごみは.性能が指数的に上がっていくことである。グーグルが使った53量子ビットのチップならば、2の53乗、約1京種類の情報を同時に保存して計算できる。量子ビットの数が増えるにつれ、性能が爆発的に上がっていく。もしも270量チビットのチップが実現すれば、そのパターンは10の80乗、宇宙に存在する全ての原子の数に匹敵する。これが、量子コンピューターの潜在力である。


yuji5327 at 06:25 

2020年03月15日

量子コンピューターを今後商用化するならば、サプライチェーンをつくらないといけない。部品・装置・材料メーカーを育てないと産業になり得ない。


「大矢博之、杉本りうこ(ダイヤモンド編集部)著:IBMの「虎の子」が日本上陸、週刊ダイヤモンド 2020.3.14」参考になる。印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して自分のコメントもカッコ内に付記して纏めると以下のようになる。
1.コンピューターの歴史の一里塚となったグーグルの論文に対して、異議を唱えたのが米IBMである。というのは、論文で比較対象となったのは米オークリッジ国立研究所の「サミット」である。1秒問に20京回の計算をすることが可能な世界最速のスパコンで、これがIBM製だった。
2.IBMの反論の骨子は、サミットの使い方を工夫すれば、1万年ではなく2・5日で解けるというものである。それでも、量子コンピューターの200秒よりは遅い。IBMは量子コンピューター開発.でもグーグルと鎬を削る。その開発競争は、対照的な戦略を取る
どちらが勝つのかも注目を集めている。片方はクローズ戦略で、もう一方はオープン戦略である。
3.いつもならばオープン戦略を取るグーグルが、今のところ自前主義のクローズ戦略を選んでいる。オープン戦略のIBMは、16年に5量子ビットの量子コンピューターをクラウド上で公開している。開発競争をリードすべく、次の一手を打ち川した。IBMが門外不出としてきた量壬コンピューターの実機を、日本に設置する。
4.2月13目、東京都内で開かれたイベントで、日本IBM執行役員の森本典繋は「日本に上陸する量子コンピユーターは2台で、20年中に設置される見通しであ。1台はIBMの最新の商用量子コンピューター、もう1台は試作機である。試作機を日本に設置して目指すのは、量子コンピューターの開発に日本のメーカーを巻き込むことである。
5.試作機の設置は、ハードウエア開発が目的で、量子コンピューターを今後商用化するならば、サプライチェーンをつくらないといけない。部品・装置・材料メーカーを育てないと産業になり得ない、と日本IBM東京基礎研究所所長の福田剛志はいう。量チコンピューターの心臓部は.マイナス273度に近い超低温である。そこに、室温下のケープルからマイクロ波を飛ばして量子ビットを制御することは、宇宙と通信するようなものである。試作機が日本にあれば、開発した部品が動作するかどうか、日本企業は検証しやすい。
6.日本に量子コンピユーターを置くことにはもう一つの狙いがある。将来、官公庁などが量子コンピューターの採用を検討する場台、日本にあることは大.きなアドバンテージになる。国外に送ることをはばかられるデータもある。量子コンピューターがどこにあるかは大事で、日本という場所に意味がある。現在の量子コンピューターの課題は、量子ビットがノイズに弱く、エラーをまだまだ無視できないことである。グーグルの量子ビットの精度は99%以上。それでも53個の量子ビットが全て正常に動作し、計算が成功する確率は1000回に2回しかない。
7.グーグルは今回の量子超越を発表した後の会見で、1903年のライト兄弟の有人初飛行に匹敵する意味を持つ、と意義を強調した。ライト兄弟の初飛行の距離はたつた256mだが、その11年後に始まつた第一次世界大.戦で、戦況を左右し、戦争の常識を変えたのは戦闘機だった。かつて夢物語だった量子コンビューターが、現実にスパコンを超えることが示された。今後飛躍的に性能は向上し、ビジネスの常識を変える存在になる日も、そう遠くない。



yuji5327 at 06:37 

2020年03月08日

日本は長年、生殖補助医療の根本的なルール作りをさぼり続けてきたので、現在のゲノム編集の議論がいっそうむずかしくなっている。

「青野由利著:ゲノム編集の、光と闇・・・ヒト受精卵の遺伝子改変ぽ許されるか 學士會会報No.941(2020-)」は面白い。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.2003年5月発行の『學士會会報No891(2011-)学士会会報』に「生殖補助医療のちゃぶ台返し」と題して書いた。当時、卵子や精子、受精卵を第三者から提供してもらって実施する体外受精のルールが4年以上かけて国の審議会で議論されていた。
2.今回、「ゲノム編集の光と闇」というお題で書くことで、当時の会報をみて、改めて感じたことは、日本は長年、生殖補助医療の根本的なルール作りをさぼり続けてきたために、現在のゲノム編集の議論がいっそうむずかしくなっている、ということである。本稿ではまず、遺伝子組み換えの歴史、ゲノム編集技術の基本について述べた上で、ゲノム編集が生殖医療に何をもたらすかを考える。
3.遺伝子改変の歴史遺伝情報を担う物質が細胞の中のDNAであることが明らかになったのは1944年のことである。1953年にはワトソンとクリックがDNAの二重らせん構造を解明し、分子生物学が幕を開けた。1970年代に入るとDNAを切り貼りし、生物の遺伝情報を改変する「遺伝子組み換え技術」が開発された。自然界では交わることのない別種の生物のDNA同士を試験管の中で結合し、これを大腸菌に導入することで次々増やしたり、遺伝子が作る産物を大量生産したりできることが示された。
4.この技術は当初、バイオハザードに対する懸念から国際的に実験実施のモラトリアムが呼びかけられた。世界の科学者が研究の自主規制を議論する「アシロマ会議」を経て、一定のガイドラインの下で実施されるようになった経緯は、科学史の中でもエポックメイキングな出来事だったと考えらる。
5.その延長線上に遺伝子工学による医薬品生産や病気の遺伝子の解明、遺伝子治療、ヒトゲノム計画、遺伝子組み換え作物といったさまざまな応用が発展し、ある場合には社会の中で摩擦を生み出してきた。ただ、こうした従来型の遺伝子改変技術には弱点があった。狙った遺伝子を思い通りに改変することができない、という点である。
6.ゲノム編集は何が違うかについて、ノーベル賞も受賞した「遺伝子ターゲティング」技術があるとの反論がある。確かに、生物学・医学研究の世界でモデル動物として広く使われてきた「ノックアウトマウス」は、狙.った遺伝子を破壊したマウスである。その作成には大変な手間暇とコストがかかる。この技術を応用できる生物は限られる。そこに登場したのがゲノム編集技術である。
7.1996年に第一世代の「ZFN」、2010年に第二世代の「TALEN」、そして2012年に今をときめく第三世代の「CRISPR・Cas9」が開発された。従来型遺伝子組み換え技術が通常は「ランダムな遺伝子改変」しかできないのに対し、ゲノム編集を使うとワープロで編集するように「狙った遺伝子の改変」ができる。特に、CRISPRは、手法が簡便で、使いやすく、安価であることから、瞬く間に世界の研究室に広まった。
8.そもそもCRISPRは細菌がその外敵であるファージの感染から身を守るために備えている免疫機構である。この地味な分野の研究をこつこつ進めていたフランス人のシャルパンティエと、米国の構造生物学者ダウドナの女性ペアが出会ったところから画期的な技術が誕生した、という成功物語もある。
9.現在、一般の人に身近なゲノム編集の応用は食品の品種改良である。本稿では、見逃せない課題である、人聞へのゲノム編集技術の応用について考える。この分野は「体細胞への応用」と「生殖細胞への応用」の2つに大きく分けられる。体細胞の遺伝子改変はこれまでも「遺伝子治療」として臨床応用されてきた。病気の原因遺伝子はそのままに、外から遺伝子を付け加えて、遺伝子が作り出す産物で治療する戦略で、いわば「遺伝子を使った治療」である。
10.これに対し、ゲノム編集による治療は、狙った遺伝子を改変できるため、「遺伝子そのものへの治療」ができる可能性がある。一方、リスクには共通点がある。従来型では外来遺伝子が細胞のゲノムのランダムな位置に入るため、導入場所によってはがんを引き起こす。ゲノム編集治療の場合も標的とは別の場所を編集してしまう「オフターゲット」が問題になる。社会的・倫理的課題も従来型遺伝子治療で議論されてきた課題と共通しており、その延長線上での議論が可能である。



yuji5327 at 06:26 

2020年02月26日

精密測定による1日の長さの変動の単位は1000分の1秒での変動があるが、大気がこれに敏感に呼応している。


「木本昌秀(東京大学海洋研究所・教授):熱帯の巨大雲塊の動きが影響? 微妙に変わる1日の長さ 週刊ダイヤモント 2020.02.22」は面白い概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.1日は24時間だが、精密に計ると1日の長さは毎日24時間ちょうどではなく、微妙に長くなったり短くなったりしている。地球の形や大きさを正確に求め、さらにそれらの時間的変化を明らかにする学問は、測地学と呼ばれる。地球上の大気の動きを調べる気象学は、かなり異なった両分野の関わ合いは以下の通りである。
2.1日の長さの地球の自転周期の精密測定は、はるか遠くの銀河系外の天体からの電波を利用して行われる。大きなものでは直径30mを超すパラボラアンテナで受けた電波の波形を地球上の2地点で比較することにより、片方が他方と同じ信号を受け取った時刻の遅れを計測し、電波の速さで割って距離を測る。電波は、1秒に30万kmという光の速さで進むので、この測定のためには、2地点間でピタリと同じ時刻を示す時計を使う必要がある。高精度の原子時計の登場がこれを可能にした。最新のものの誤差は、1000億分の1秒である。
3.多数の天体を用い、世界中の多数のアンテナのデータを解析すると、地球上の各点の位置やその動きが極めて正確に分かる。自転速度の変動も、その一つである。このような精密測定による1日の長さの変動の単位は1000分の1秒で、誰も気付かないほどの大.きさの変動であるが、大気がこれに敏感に呼応している。
4.自転軸を回る大気の、地面に対して相対的な動き、つまりは西風の強さと、その場所、高さの大気質量とを掛け合わせて、全球で足し合わせる。固体地球とその上に乗る大気の持つ角運動量は、外力が加わらない限り、一定に保たれる。これは、フィギュアスケーターが、フィニッシュのスピンで、最初は広げていた腕をだんだん縮めて回転を速めてゆくときに使っている原理である。
5.回転軸周りの角運動量は、回転の速度と回転軸からの距離、それに回転している物体の質量を掛けたものだが、これが一定ということは、腕を縮めれば、その分回転速度が上がる。この保存則によって、固体地球とその上に乗った大気の角運動蹟の合計が保存するので、片方が変化する、例えば固体地球の自転が遅くなれば、その分大気の角運動量(=西風〉が増加する。
6.大気の風は、必ずしも全球均一な稠密観測が行われていないのだが、観測所のデータに衛星などからのあらゆる情報を加えて天気予報のための全球解析値が毎日求められている。全く別の方法で求められた、1000分の1秒以下の大きさの自転速度変動の正確さで一致している。大気のデータは風だけではないので、このような変動がどんな気象現象に伴うものかも調べることができる。
7.赤道上での対流活動の東西の動きもわかる。赤道上の巨大雲塊とそれに伴う対流抑制域〔赤)のゆっくとした東進もわかる。全球大気角運動量は、熱帯での巨大雲塊の動きに伴って数10日スケールで変動し、それが自転周期の変動に反映されてる。
8.MJOの1カ月予測は、気象界のホットな話題であるが、自転速度のデータが予測に直接寄与するわけではない。しかし、測地学の精密測定が直接に気象予測のデータとして利用されている例もある。カーナビやスマホの地図アプリで用いられるGPSは.米国の衛星を使ったものの呼称である。GPSは、位置が正確に分かっている複数.の人工衛星からの電波信号の到着時刻の差から端末の位置を割り出す。ここでも正確な時計が重.要である。水晶時計の精度が限られるスマホの場合は位置特定の精度もそれなりだが、国土地理.院のGEONETのような本格的な受信システムでは位置特定精度が高く、それだけに電波が大気中を伝搬するときの遅延や屈折が位置測定にとってのノイズとなる。
9.逆に気象学側からすれば、これら大気による遅延・屈折を詳細に解析することで大気中の水蒸気景の情報を得ることができる。時空間的な変動の激しい水蒸気データは貴重.である。GPSを用いた水蒸気情報の取得には、大きく2つの方法があって、地上で直接受信した電波の大気遅延に基.つくものと、GPS衛星.からの屈折した電波を低軌道衛星.で受けるえんぺい法と呼ばれるものがある。前者は水平分解能に優れ、GEONETによるデータが日本付近の天気予報に用いられる。後著は水蒸気の鉛直分布の推定が可能で、貴重なデータとして全球の解析にも用いられている。
10.GPS水蒸気情報を使った場合と使わなかった場合の予報を比べると、GPS水蒸気情報の導入により、強い雨の予測精度が向上し、強過ぎる雨量の予報が改善されている。GPSえんぺい観測は、他にも観測の困難な大気重.力波や積雪深測定等にも応用されている。近年、揺れる海上の船舶でも川いることのできるGPS受信機の開発が進んでおり、貴重.な洋上での水蒸気情報を与えるものとして期待されている。


yuji5327 at 06:32 

2020年01月26日

グーグルは独自開発した量子プロセッサー「シカモア」を用いて、スーパーコンピューターの計算時間を16億分の1に短縮した。


「白鳥達也(編集鵜)著:ビジネス界が実用化を模索 量子コンピュータの未来 週刊エコノミスト 2020.1.14」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.量子コンピュータが自分たちのビジネス分野でどのように使えるのか、企業側の関心が高まっている。2019年12月に米サンノゼで開催された量子コンピューター国際会議に参加した野村総合研究所の藤吉栄二氏は、1年前との違いを肌で感じとった。研究者中心から協業を摸索する企業関係者の存在感が、格段に増していたからである。
2.18年の参加者数が約350人だったのに対して、今回は約500人に急増。参加者の所属企業は国内だけでもデンソー、富十通、伊藤忠テクノソリューションズ、丸紅、三菱重工業、NEC、ニコン、NTT、武田薬品工業など多岐にわたる。
3.量子コンピューターは、11年に世界初の商用をうたうカナダ・Dウェーブシステムズの「Dウェーブ」の登場をきっかけに、大手IT企業が次々と開発に参入。米IBMが14年に量子コンピューターを含む新技術領域に約3・3兆円の投資を発表する一方で、米グーグルや米インテルも量子コンピューター用のプロセッサーを開発している。
4.日本でも、NECが量子コンピューターの開発に取り組んでおり、23年の実用化を目指す。また、厳密には量子コンピューターではないが、その用途の一つである組み合わせ最適化問題を効率的に解決する専用機をNTTや富十通、日立製作所、東芝が開発している。
5.デンソーと豊田通商は、量子コンピューターを使った実証実験をタイで行っている。14万台以上のタクシー運送車両に取り付けた端末から位置やスピード、向かっている方角などのデータを送信。データを量子コンピューターで即時処理することで、いくつもある道筋から、その時々の渋滞状況を瞬時に把握し、最適なルートを選択できるようにする取り組みである。国内では、量子コンピューターそのものの開発以外にも、量子コンピューター上の計算で使うアルゴリズムやアプリケーションの開発を手がけるスタートアップ企業も登場し、にわかに活気づいている。
6.キュナシス(都内文京区)は量子コンピューターの性能を大きく引き出すためのアルゴリズムやアプリケーションの開発を手がける。シグマアイ(港区)は量子コンピューターの基礎・応用・実践の技術指導や、導入支援を行っている。
7.量子コンピューターとは、これまで使っているコンピューターよりも、はるかに強力な計算能力をもつコンピューターを指す。古典コンピューターの世界では、あらゆる情報は「0」か「1」のどちらかの値で表現される「ビット」という基本単位の集まりで構成され、情報を処理する際は、このビットの組み合わせで演算を行う。具体的には、2ビッ.トの演算を行う場合、その組み合わせは「00」「0l」「10」「11-の4通り〔2の2乗∀が考えられるが、古典コンビユーダーではこの組み合わせをーつずつ順番に、計4回処理する必要がある。これに対して、量子コンビューターは「量子ビット」という量子力学上の単位を用いて演算を行う。
8.ビットが0か1のどちらかに値が決まっているのに対して、量子ビットは0と1が重ね合わさつた状態も表現できる。この重なり合わせの状態を維持しながら情報処理を行うことで、複数の計算を一度に行うような状態を作ることができ、計算回数を大幅に削減できる。たとえば、50量子ビットの性能を持つ量子コンピユーターであれば.約1125兆通り〔2の50乗)もの計算を、古典コンピューターよりも大幅に短い時間で処理できる可能性を秘めている。
9.例として、グーグルは独自開発した量子プロセッサー「シカモア」を用いて、スーパーコンピューターで1万年かかる計算を200秒で解いたとの論文を19年10月に発表した。つまり、計算時間をスーパーコンピューターの16億分の1に短縮したことになる。
10.量子コンピューターが実用化すれば、コンピューターの計算能力の限界を指数関数的に引き上げることができるようになり、さまざまな領域で威力を発揮すると考えられている。その1つが、時々刻々と価格が変わる金融市場である。NRIの藤吉氏によると、米ゴールドマン・サックスは「モンテカルロ・シミュレーション」という計算方式を高速化し、ポートフォリオ〔投資の中身〕の最適化や裁定取引の高速化につなげることができないかを研究中である。
11.ほかにも、工場ラインの最適な人員配置、運送業者の最適配送ダイヤの開発、AIの応用範囲の拡大など、量子コンピューターに対する実務や実茉ベースの期待は非常に大きいが、量子コンピューターの汎用化は課題山積である。課題の一つは、量子ビットの数を増やすことの難しさにある。量子ビットはノイズに非常に弱いことが特徴で、量子ビットが増えれば増えるほど、量予ビット聞の干渉によるノイズ発生.が増え、エラーが出やすくなる。
12.現存する量子コンピューダーもエラーが出る確率が低くない。実務に使えるのかという根本的な課題がある。現在の最高峰はグーグルが開発する72量子ビット試作機だが、汎用レベルに必要な景了ビットの数は10万以上とも言われており、そこまでのレベルに達するにはあと20―30年は必要だと見られている」。
13.現在、IBMやグーグルなどは、50〜100量予ビット程度の量子コンピューターを作ることを目標とし、さらにノイズの影響でエラーが出ても、影響の少ない分野での活用方法を見いだそうとしている。具体的には化学系の分子構造解析に関する研究がその一つ。創薬や新しい化学肥料の開発に活躍が期待されている。エラーがあっても問題のない分野での活用を提案しつつ開発を進める「プレ量子コンピユーダー」とも、言える時代を早期に実現し.汎用最子コンピューターの登場につないでいくというのが、理.想的な発展シナリオになる。


yuji5327 at 06:19 

2020年01月13日

現在、中国の行政エリアの光ファイバーと4Gの開通割合は98%を超え、農村部も都市部と同じ速度の通信サービスを受けている。人里離れた地域に住む人々の生活様式も変えた。


「莫邦富(作家・ジャーナリスト)著:中国の驚くべき通信大国ぶり、秘境の少数民族もネットで英語学習 週刊ダイヤモンド 2019.12.7」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.最近読んだ中国関連のニュースの中で非常に印象に残ったのは中国通信事情に関するある報道である。その記事はインターネットが山奥に住む少数民族の日常生活に激変をもたらしたことを紹介している。
2.中国とミャンマーの国境付近では、中国で人口が比較的少ない少数民族の一つ「トーロン族」が、焼畑農業で暮らしていた。その場所は深い山と深い谷に囲まれているため、長い間、世間とは隔絶され、原始社会のような生活である。高黎質の雪山は1年中雪に閉ざされ、独竜江郷は1年のうちの大半は外界とほとんどつながりを持たない。村人たちもそれぞれ「山頂」に散らばって住んでいるため、これまでは重要な話し合いがあれば「爆竹を鳴らして伝える」ことしかできなかった。
3.2004年に電話が開通し、16年に4Gのネットワークが敷かれてから、村人たちはインターネットを通じて果物や薬草を販売できるようになっただけでなく、さらに英語を学習したり、医療専門家に遠距離診察を頼んだりしてきた。まさにインターネットの登場で、トーロン族たちは現代文明を受け入れる環境ができた。
4.インターネットなどの通信分野を司る工業情報化部の統計データによると、19年7月までに中国の4G通信基地局は456万カ所を超え、世界一となった。現在、中国は世界規模で最大の情報通信網をすでに構築し、全国で98%の行政エリアに光ファイバーと4Gネットワークが通じている。
5.辺鄙な山奥にまで通信網が敷かれていることについては、十数年前に私が身をもって体感してきた。07年、13回に分けて放送されたNHKのドキュメンタリー番組「NHKスペシャル大型シリーズ『激流中国』」で、08年3月に初回放送したこの番組を取材するために、雲南省の山間部と中国西北部、甘粛省に近い寧夏回族自治区の西吉県を、1カ月以上かけた。特に、西吉は農民の年収が当時の為替レートで約1万5000円前後で、最貧困地域だった。
6.当時、日本を出る前に、事務所のスタッフたちに、2カ月間山奥に行くので、音信不通になる可能性が非常に大きい。そのことを覚悟する旨を頼んだ。しかし、実際山奥に入っても、それほど通信の不便さを感じなかった。どんな辺鄙なところへ行っても、携帯電話の画面に電波の強さを示すアンテナが数本立っている。誰も住んでいない山奥ではさすがに電波は入らないが、高いところに立つと、どこからともなく電波が入った。
7.そのお陰で黄土高原の山奥にいながら、日本のテレビ局、香港の国際時事誌、アメリカのラジオ局から電話によるインタビューを受けることができた。取材の合間に、久しぶりに体感した農山村の日常、景色、においに新鮮さを覚え、携帯電話のショートメッセージ機能を使って、それらを中国語でエッセイ風に記録することも試みた。寧夏の農村に滞在したときに泊まったホテルでは、さすがにインターネットに接続できなかった。毎晩、町のネットカフェまで行かざるを得ない。好奇心旺盛な若いやじ馬たちに囲まれ、持ち込んだ自分のノートパソコンを使ってネットにアクセスすると、後ろにすぐに人垣ができ、「デザインがいい」と感嘆の声が聞こえた。
8.中国のネットワークー無線ネットワークにしろ、固定ネットワークにしろ、それは、現在世界で最も大規模に構築されているネットワークだ、という北京郵電大学の教授のコメントを読みながら、2Gから3Gに移行していた時期の中国のネット事情を思い出した。1978年の改革開放から今世紀初めまで、中国の通信業は約20年ほどかけて、03年に固定電話普及率を世界平均に追い付かせた。しかし、このとき新しい問題が発生した。農村の電話普及率は平均よりはるかに低く、都市のわずか3分の1程度で、しかもその差は開き続けていた。広大な農村が発展の落ちこぼれにならないよう、04年、農村で正式に電話開通の幕が切って落とされた。
9.6年間の努力を経て「全農村への電話敷設」プロジェクトは大きな進展を遂げた。10年、チベット高原で最も辺鄙な村落と見られた、電気なし、道路なしの1000以上の村が世間と隔絶された歴史に終わりを告げたことにより、中国全土の行政エリアに全て電話が通じるようになった。
10.04年に始まった「農村の電話開通ブロジェクト」が、電話線を通じて農民が外部とコミュニケーションできるようになったきっかけなら、15年に始まった「電気通信普及サービステストブロジェクト」は、光ファイバーや4Gの世界を農民に披露した。
11.中国「第12次5力年計画」(]1〜]5年)以来、光ファイバーや4Gに代表されるブロードバンドネットワークは、中国の都市部やその周辺地区で全面的に展開された。一方で、農村は再び通信網の発達が立ち遅れる危険に直面した。このため、中国政府は13年「プロードパンド中国」戦略を発表し、ブロードバンドを電気通信普及サービスの範囲に入れることを提起。農村のブロードバンドへのアクセス問題を重点的に解決した。
12.現在、中国の行政エリアにおける光ファイバーと4Gの開通割合は98%を超え、しかも農村部も都市部と基本的に同じネットワーク、同じ速度の通信サービスを受けている。電気通信の普及サービスは、人里離れた地域に住む人々の生活様式も根本から変えた。情報通信サービスの普及は、脱貧困という困難な問題の解決に大きく寄与しただけではなく、中国国民の知る権利の普及と維持にも貢献している。


yuji5327 at 06:48 

2020年01月06日

目を開けたら立体的な世界が見える。平面に描かれた絵画に奥行きを感じる。こんな日常的な出来事の背景で脳が複雑な仕事をしている。


「藤田一郎(大阪大学大学院生命機能研究科教授)著:見たものの奥行きが分かる脳内メカニズムの多様性、週刊ダイヤモンド2019・11・30」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.世界は空間的に3次元である。個々の物体もそれが配置されている空間も私たちには奥行きを持った立体的なものとして見える。当たり前のことのようだが、そうではない。奥行きの感覚は、私たちの脳の働きによって初めて実現する素晴らしい体験である。
2.「見る」ことの最初のステップは、眼球の内面を覆つ網膜が光を受け止めることから始まる。網膜は薄い神経組織であり、光をキャッチする視細胞はその一番奥を敷き詰めている。一つ一つの視細胞は、外界の特定の方向からやって来る光を受け止め、光の波長と強度によって反応を変える。つまり受け止めた光の方向、波長(色の知覚の元になる)、強度〔明るさの知覚の元になる)の情報を明示的に持っている。
3.ところが、個々の視細胞は自分が受けた光.がどのくらい遠くからやって来たかを知らない。本誌の誌面から反射してくる光も、部屋の壁から反射してくる光も、窓の向こうの遠くの木から反射してくる光も、皆同時に日の中に入ってきて視細胞に反応を引き起こす。
4.光の速さにとってみれば、これらの物体から目までの距離の間に違いはないに等しく、個々の視細胞の反応は光の発信地からの距離の情報を含んでいない。このような網膜からの情報を出発点としながら、私たちは奥行きを感じることができる。脳が情報処理をした結果、奥行きの感覚をつくり出している。
5.これが可能なのは、網膜に投影された像が外界の奥行き構造を反映した特有の光の分布を持つからである。奥行きの情報は投影像「画像的な特徴」の中に隠されている。視細胞は単独ではその特徴を捉えることができないが、多数の視細胞の活動はその特徴を反映している。
6.脳がその情報を読み出し、目の前の情景の奥行き構造を読み解くことで、世界が立体であるという感覚が生じる。網膜に映つた像が持つ奥行きを知るのに役立つ特徴は「與行き手掛かり」と呼ばれる。
7.奥行き手掛かりには豊富な種類がある。その多くは、左右の目それぞれにおける網膜像に含まれている。片方の目で見ても世界の立体構造をおおむね知ることができる。単眼立体視ができるのはそのためである。例えば、前後方向に延びる、平行な直線は、網膜像では遠くになるほど直線間の隔たりが小さくなり、一点に向かって収束していく。
8.この手掛かりは「線遠近」と呼ばれ、さらに、遠くのものはかすんで見え(大気遠近)、また青みを帯びて見える(色彩遠近)手がかりもある。幾何学的な手掛かりとかすみの手掛かりは、広い空間における奥行きを知覚するのに役立つ。
9.近い距離における奥行きを知るのに有用な手掛かりの一つは「テクスチャー勾配」である。多くの物体は表面に特有の凹凸を持ち、往々にして繰り返し模様となっている。物体表面で繰り返される凹凸に由来する視覚的特徴はテクスチャーと呼ばれる。テクスチャーを持つ面が奥行き方向に広がると、その構成要素は距離に従って変化する。一例を挙げると、石畳の上に立ったとき、遠くにあ.る石ほど、小さく、ひしゃげ、間隔が詰まって見える。
10.このテクスチャーの勾配から、石畳が、半たんな道なのか坂道なのか、どのくらい急な坂なのかなど、石畳の立体的な様子を知ることができる。遮蔽〔奥の物体の輪郭が見えない)、ぼけ〔注視点の前後の物体はぼけて見.える)、陰影やハイライト(出っ張った物体の下には影ができる、ガラスや金属の表而にはその立体構造に従ったハイライトを生じる)なども単眼立体視における奥行き手掛かりである。これらの奥行き手掛かりは静止した像の中に含まれており、絵画に描き込むことができるため、まとめて「絵画的奥行き手掛かり」と呼ばれる。
11.単眼立体視に加えて、両方の目を使って初めて奥行き感を得る能力も私たちは持っている(両眼立体視)。通常、立体視とか3Dビジョンとかいうときにはこれを指していることが多い。この感覚を持っていることは、単に片方の目を閉じたり開いたりするだけで簡単に確かめることができる。片方の目を閉じるとそれまで感じていた物体と物体との間の奥行き方向の距離が消え、閉じていた目を開けると、その瞬間に再び奥行き方向の距離が生まれる。
12.個々の物体には厚みがあり、空間の中で容積を占めていることが感じられる。両眼立体視による奥行き感覚は、単眼立体視によって奥行き順序や情景の立体横造が分かることとは別ものである。
13.両眼立体視において利用されている奥行き手掛かりは両眼視差である。私たちの右目と左目は横に6-7cm離れているため、それぞれの目に映る外界の像の間にはわずかなずれがある。このずれは両眼視差と呼ばれ、ずれの量と方向は対象物の奥行き位置に依存しているため、奥行きを知る手掛かりとなる。
14.両眼視差は両方の目からの情報を使うことで初めて算出することができる。3D映画は左右の目に両眼視差に対応する水平ズレを付けた映像を投影することで実現している。また、オートステレオグラムでは、両眼視差が生じるように、その繰り返し模様に工夫が施されており、両眼融合するとビビッドな立体図形が浮かび上がる。
15.ヒトの大脳皮質の少なくとも4分の1という広大な領域が視覚機能に関わる。後頭葉にある1次視覚野を出発点として頭頂葉、側頭葉を含む広い範囲へと情報が送られる。これらの領域のほとんどが奥行き惑覚に関わる。どの領域が奥行き感覚のどの側面に貢献しているかの探求が進んでいるが、近年、情報通信研究機構の番浩志博士らの研究により、V3Aと呼ばれる領域で絵画的奥行き手掛かりと両眼視差の情報処理の統合が進むことが、明らかになっている。目を開けたら立体的な世界が見える。平面に描かれた絵.画に深々とした奥行きを感じる。こんな日常的な出来事の背景で脳が複雑な仕事をしている。


yuji5327 at 06:51 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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