新技術

2017年12月07日

透明でプラスチックフィルムより強く、柔軟性も高いCNF透明シートは、思いもよらない製品になり得る可能性がある。

「小関美樹(王子ホールディング取締役)著:世界初の透明シートで新市場開拓する、
エコノミスト、2017.4.18」は参考になる。
1.年産能力40鼎CNF(炭素繊維)実証設備を導入した。今後は需要に応じて設備を増強し、将来、市場が拡大すれば、新工場の建設も視野に入れている。当社独自のナノ化技術で、繊維を最小単位の3〜4nmまで微細化した透明な液状のCNFを製造している。また、液状のCNFをシート状にした「透明連続シート」の開発にも成功している。最小単位にまで微細化すると、サイズが小さ過ぎることで、連続してシート化る技術が難しいとされるが、この技術を持っているのは、世界でも当社だけである。現在、このシートを年間25万平方胆集できる実証設備を建設中で、17年後半には稼働する予定である。
2.CNFの製造方法は、TEMPO触媒を使って化学処理する「TEMPO触媒酸化法」が有名である。TEMPO酸を使うことで繊維が簡単にほぐれ、均一なCNFを作ることができる。当社が独自に確立した「リン酸工ステル化法」は、化学処理としてはTEMPO酸化法と同様だが、セルロース繊維をよりほぐしやすくしたのが特徴である。
3.現時点では、既存の透明フィルムなどと同価格というわけにはいかない。実際に生産して量産効果を得ながら、製造工程の無駄を省いたり、人員を最適化するなどしてコストの削職を進め、徐々に低価格化を図っていく。現在、200社以上の企業にサンプルを出荷し、多くの企業が高い関心を持っている。
4.増粘剤としての用途が見込まれる液状のCNFは、従来の増粘剤に比べてごく少ない添加量で済むが、既存の増粘剤の置き換えでしかなく、最終製品は大きく変わらない。しかし、透明でプラスチックフィルムより強く、柔軟性も高いCNF透明シートは、人々の思いもよらない製品になり得る可能性がある。

yuji5327 at 06:32 

2017年11月20日

サムスン電子が開発着手を発表した「リチウム空気電池」は、軽量化・小型化が可能で、実用化は10数年先。現在のEVの問題の多くが解消できる。サムスンは10年先を見据えている。

2017/11/17付けの 大前研一さんの「 ニュースの視点」(発行部数 168,732部)は「米ブロードコム/米スプリント/韓国サムスン電子」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米半導体大手ブロードコムが同業の米クアルコムの買収を検討している。東芝メモリの買収にも名乗りを上げたブロードコムのホック・タンCEOは積極的に買収を仕掛けることで知られており、クアルコムへの逆風を察し、再び動いた。
2.ブロードコムのホック・タンCEOは非常にアグレッシブな人物として知られている。アバゴ・テクノロジーのCEOだった2015年に、アバゴよりも大きなブロードコムを約4兆6000億円という半導体業界で過去最大の金額で買収した。今回はさらに大きな米クアルコムを飲み込もうというのだから、豪腕ぶりは健在である。
3.実現すれば、半導体業界のトップ3に躍り出る。トランプ大統領と会談したホック・タンCEOは、トランプ大統領の意向に沿うように本社をシンガポールから米国に移す方針を伝えた。この巨大な買収は、米国を含め規制当局から独禁法絡みで調査を受けることは必須である。その規制をかいくぐるために先手を打って、トランプ大統領とディールを成立させた。
4.米スプリントは5日、米CATV大手アルティスUSAとインフラ事業で提携すると発表した。アルティスがスプリントの回線を借り、米国で携帯電話サービスを提供するということで、ソフトバンクはスプリント株を買い増す方針を明らかにした。アルティスを買収するわけでもなく単なる提携で、スプリント株の買い増しは数%程度である。
5.ソフトバンクとドイツテレコムが合併するなら、50対50で株式を保有し合うのではなく、お互いに48対48ほど保有して、数%を有識者の集まり・賢人と言えるような第三者に保有してもらう形を大前氏は提案している。これは日本とドイツという国を超えたクロスボーダーの合併を成立させるために、重要なことだからである。
6.例えば、世界最大級の石油会社であるロイヤル・ダッチ・シェルは、英国とオランダの石油持株会社で、2005年からは単一の事業法人に変更した。この仕組みが、2つの国の間で喧嘩もせずに、世界トップレベルの石油会社を経営できている1つの大きな要因である。ユニリーバも、英国とオランダの合併企業だが似たような形態をとっている。
7.Tモバイルとスプリントが合併し、日本とドイツのクロスボーダーを実現しようとするなら、中立的な立場の米国人などを入れるなど、ロイヤル・ダッチ・シェルやユニリーバの事例を参考にするべきである。
8.日経新聞によると、韓国サムスン電子は現行製品の2世代先となる「リチウム空気電池」の開発に着手した。これは、1回のフル充電で走行可能な距離を現行のリチウムイオン電池の2倍近くに増やすもので、トヨタ自動車が2020年前半の実用化を目指す全固体電池の先の世代で世界標準を狙う考えである。

9.現在のリチウムイオン電池には、電解質の液体があり、これが様々な問題を引き起こしている。トヨタが開発している全固体電池には、液体がない。密度が高くなり、問題も発生しにくくなる。
10.今回、サムスン電子が開発着手を発表した「リチウム空気電池」は、さらに軽量化・小型化が可能で、実用化は10数年先になると見込まれているが、実現すれば現在のEVが抱える問題の多くが解消できる。サムスンは、10年以上先を見据えて、取り組みを開始したいます。




yuji5327 at 06:50 

2017年11月18日

海洋が千分の1℃変わる熱量で気温は1℃変化するので、6000mの深度まで千分の1℃の精度で水温を観測する必要がある。海面〜海底まで正確に知る方法は観測船しかなく、何カ月もかける。

「日本の気候変動の実態と将来予測、西出則武著、學士會会報No.926(2017-V)」参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.過去約百年の日本近海における海域平均海面水温の上昇率(百年当たり1.09度)は、世界全体の平均値(百年当たり0.53度)より大きく、日本の気温上昇率(百年当たり1.19度)と同程度の値である。海域別でみると、黄海、東シナ海、目本海南西部、四国・東海沖、釧路沖では日本の気温上昇率と同程度、三陸沖、関東の東、関東の南、沖縄の東、竹島諸島周辺ではより小さく、日本海中部ではより大きい値である。
2.過去百年の世界平均の海面水位には上昇傾向が見られるが、過去百年の日本近海の海面水位は、10年〜20年周期で変動し、明瞭な上昇傾向は見られない。1950年頃に極大になった後、再び変動し、1980年代以降に上昇傾向に転じ、2016年、平年値より73亶發なった。1960年以降で最高値。また、1960以降の海面水位の変化を海域別に見ると、北陸〜九州の東シナ海側で、他の海域に比べて大きな上昇傾向が見られる。十年規模の変動の原因は、主に北太平洋の偏西風の強弱や南北移動にある。海面水位の変動と表層水温の変動には対応が見られ、特に南西諸島で一致している。
3.気候変化の予測とは、百年後の予測なので、気候モデルは全ての気象現象を完壁に再現できるものではない。狭い領域の予測をする場合、エルニーニョ現象など、大気や海洋の自然変動の影響が出やすい。温室効果ガスの排出シナリオには様々で、シナリオ次第で将来予測が異なる。
4.降水の変化予測は、気温に比べて不確実性が大きい。台風や梅雨の際の大雨は、狭い地域に集中する上、年によって頻度や程度が大きく変動し発生回数も少ないため、系統的な変化傾向が現れにくい。降雪の予測も不確実性が大きい。
5.地球温暖化の予測は、自然変動に伴う気候の「ジグザグ」な揺らぎの影響を取り除き、温室効果ガスの増加に伴って「じわじわ」と進行する長期的変化の傾向を検出する。
基本的には天気予報と同じで、スーパーコンピュータで数値シミュレーションを行う。世界全体のシミュレーションを20甸岾屬料討げ鯀度で行い、その結果を用いて、日本付近を対象に、詳細な計算を5甸岾屬嚢圓覆Α
6.猛暑日(最高気温が35度以上)の年間日数は、沖縄・奄美で約54日増加するなど、全国的に増加する。那覇の現在の猛暑日の年間日数は0.1日だが、21世紀末に約54日になる。気温は北ほど上昇するが、猛暑日は南ほど増加する。真夏日(最高気温が30度以上)の年間日数も、全国的に増加する。年間の増加量は、北日本の太平洋側で30日程度、沖縄・奄美で88日程度となっていて、特に南で大きく増加する。
7.真冬日(最高気温が0度未満)の年間日数は、北日本の日本海側で約38日、太平洋側で約32日減少するなど、沖縄・奄美を除いて全国的に減少する。札幌の場合、現在の真冬日の年間日数が45日だが、21世紀末には約7日になる。冬日(最低気温が0度未満)の年間日数も、北日本の日本海側で約65日、西日本の太平洋側で約32日減少する。
8.1時間の降水量が50舒幣紊涼算間強雨の年間発生回数は、全国平均では2倍以上になる。現在でも南に行くほど短時間強雨が多いが、将来もその傾向が続く。無降水日(雨量が1侈に)の年間日数は、全国的に増加し、特に冬の日本海側で増加が顕著である。年降雪量と年最深積雪は、全国的に減少する。特に本州日本海側で大きく減少する。
9.台風の将来変化は。現在の気候モデルでは高い解像度で地球全体の計算を行えないので、台風などの熱帯低気圧の将来変化の予測はできない。水蒸気量が増加し熱帯対流圏の上層の気温が地表面より大きく上昇するので、大気が安定し、熱帯低気圧の発生数が減少する。海面水温の上昇により大気中の水蒸気量が増加し、熱帯低気圧を発達させるエネルギー源が増加するため、平均強度が増加する。台風の発生件数は減るが、大型のものが増える。
10. 海は地球の表面積の7割を占め、熱やCO2を吸収することで温暖化を緩和している。海上・表面海水中のCO2濃度から、海洋のCO2収支が分かる。北西太平洋亜熱帯域では冬に吸収、夏に放出の傾向が見られ、全体として吸収が勝っている。予測の精度を上げるには、海洋の物質循環モデルの高度化が不可欠。海洋が千分の1度変わる熱量によって気温は1度変化するので、6000mの深度まで千分の1度の精度で水温を観測する必要がある。現在、海面〜海底までの海洋環境を正確に知る方法は観測船しかなく、何カ月もかけて地道な観測作業を行う。
11.数年、各地で自然災害が多発している。2015年の関東・東北豪雨では、鬼怒川の堤防が決壊した。2011年の台風第12号では、紀伊半島で数日間、激しい雨が降り続き、総雨量は多いところで2000伉兇箸いΦ録的な豪雨となった。


yuji5327 at 06:49 

2017年11月04日

欧米では早くから、がんやアルツハイマー病などの根本の原因である、老化の研究に力を入れてきたが、日本は高齢化が深刻なのに、研究は十分ではなかった。

「今井眞一郎(ワシントン大学教授)著:夢の「長寿物質」日本で効果を確かめたい、聞き手・構成、伊藤崇読売新聞鯨本社科学部、December2016 
中央公論CHUOKORON110」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.老化を制御するシステムについて、現在、科学的に解明されているものだけでも、インスリン及びインスリン様成長因子シグナル伝達系、mTORシグナル伝達系、サーチュインのファミリー、の3つがある。これらは、よく使われるモデル生物の酵母や線虫、ショウジョウバエ、マウスに共通して存在している。
2.3つはそれぞれ、システムとして独立しているが、複雑に絡み合っている。インスリンとmTORの場合、働きをちょっと抑えると老化を遅らせることができる。インスリンは体にとって必須なので、完全になくなると駄目だが、線虫やハエ、マウスはちょっと抑えることで長生きする。
3.逆にサーチュインは、その働きを強めると老化を遅らせ、寿命が延びることがわかっている。2016年のノーベル生理学・医学賞は、東京工業大学の大隅良典栄誉教授に授与された。大隅栄誉教授が仕組みを解明した細胞のオートファジー(自食作用)という働きも、老化の制御に関係していることが、線虫やショウジョウバエの研究でわかっている。
4.NMN以外の、老化抑制効果が期待されている物質として、欧米では、NMNとよく似た物質「ニコチンアミド・リボシド(NR)」の研究が盛んである。NRは体内で、NMNを経てNADに変わる。米国の企業がNRを安く供給しており、臨床研究も行われている。ただし、病気の改善効果を調べるのが目的で、NMNのように健康な人間を対象とした研究はまだ行われていない。
5.同じくサーチュインを活性化させる物質として、ポリフェノールの一種である「レスベラトロール」も注目を集めていた。確かに、マウスで老化抑制効果が確認されているが、健康な人間には効かないというのが共通見解になりつつある。
6.このほか、米国では今、糖尿病の第一選択薬である「メトフォルミン」を使った臨床研究が大々的に行われようとしている。老化を遅らせる効果があることが、マウスによる実験で明らかになっている。mTORを抑える働きを持つ薬「ラバマイシン」も注目されている。米国の大学が、ラバマイシンを飼い犬に投与し、抗老化作用を調べているところである。ただ、ラバマイシンはやや副作用があり、米国の製薬企業が副作用の少ない似た物質の開発を進めている。
7.日本は世界で最も高齢化が進み、全人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は今年、27.3%に達した。国民医療費は年間40兆円を超えている。日本の社会が内包している危機は非常に巨大である。病気を抱えて寝たきりの高齢者が増え、医療費がさらに膨らみ、少子化により労働者人口も減少していくのをこのまま座して見ているだけでは、社会は崩壊してしまう。
8.80歳になる私の母は、1、2年前、9種類の薬を飲んでいた。日本の病院は問題があるとすぐに薬を出すが、対症療法だけでは医療費を削減することはできない。一つ一つの病気に対応するだけでなく、病気にかからないよう予防し、健康寿命を延ばすことが重要である。
9.厚生労働省によると、日本人の平均寿命と健康寿命の差は男性で約9年、女性で約12年と開きがある。政府も、健康寿命の増進を国家目標に掲げている。私たち老化研究者が目指しているのは「生産的加齢」である。健康を保つだけでなく、社会に貢献し続けながら年を取っていくということである。
10.これまで、高齢化による諸問題の解決につながるような科学的研究は不十分だったが、ようやくNMNのような抗老化作用が期待される物質が見つかり、最新の科学が貢献できそうな段階まで来た。内閣府の調査では、日本の高齢者は、健康観や勤労意欲が特に高いという特徴がある。
11.最新の科学で生産的加齢を実現することが、日本の文化的、社会的な土台を保ちつつ、高齢化や労働力減少、医療費の増大といった問題の解決につながると信じている。ただ、NMN以外の物質でも臨床研究が行われているように、抗老化研究の国際的な競争は激しさを増している。NMNへの注目も一段と高まっている。
12.欧米では早くから、がんやアルツハイマー病などの根本の原因である、老化を食い止める研究に力を入れてきたが、日本は高齢化が最も深刻なのに、研究へのサポートはこれまで十分ではなかった。このため、文部科学省は来年度から、老化のメカニズムの解明や抗老化物質の特定などの基礎研究に力を入れる計画である。長寿大国の日本だからこそ、抗老化研究を積極的に進め、高齢化の処方箋となるようなモデルケースを世界へ発信していくことが重要である。


yuji5327 at 06:49 

2017年11月03日

再生医療への過度な期待がある。再生医療を将来受ける人はそれほど多くはないが、人類の未来がすべて決まるような報道があるのは気に掛かる。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「大隅良典氏との特別対談」は興味深い。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.東工大では2016年度から、生命科学の授業が必修科目になった。生命科学を学ぶ理由は、一つが「人間は地球上の生物のひとつである」「人間は地球上の生物のひとつである」という認識から出発して、さまざまな現象を考え、学ぶことが大事なこと。もう一つの理由は「自然をとらえ直す」ことである。野原で食べ物を採る実体験が、現代ではだんだん減っている。
2.新学習指導要領になって少しは緩和されたが、まだ、専門の生物学者が教科書を作ればもっと体系的に教えられるはずという思いが、現場の先生にもある。教科書をチエックする文部科学省の教科書調査官が生物学者ではない。教育大学系の教科書調査官と、実際に現場で生物を教える先生との間で、ギヤップがある。
3.見通しを立てて教えれば、生物学はそんなに高度なものではない。ブツ切りにして教えているので、大学に入ってからもう1回学び直しになっている。大学には学習指導要領や検定済み教科書はない。大学では全体像を描いた、体系的な生物学を教えられる。
4.理系では、成績のいい高校生は生物が好きでも、科目としての生物は選ばない。生物は文章問題が多く、満点が取りにくい。物理や化学は計算問題が多くて、比較的満点を取りやす。受験における生物の難しさである。物理と化学を学んだ上で生物も勉強する、という考え方が大事である。建築学や機械学を専攻する場合であってもです。将来何をするかにかかわらず、大学の早い段階で生命についての基本的な概念を知っておくことは、これからの社会にとって必要である。
5.再生医療への過度な期待に惑わされている。再生医療を将来受ける人はそれほど多くはないと思うが、人類の未来がすべて決まってしまうような報道がされているのは気に掛かる。
6.介護ロボットのように、人間と同じような動きをロボットにさせる研究を考えても、結局は人間の腕や足の動き、筋肉のはたらきを理解しないと、ロボットは作ることができない。
7.化学の授業はシュレーディンガー方程式など、量子化学の分野から始まることもある。とたんに化学嫌いになる。物理だと思っていたら数学だった、経済学だと思っていたら数学だった、ということがある。
8.分子生物学で注目されて、セントラルドグマといって、DNAの情報がRNAに写されてタンパク質になる過程が注目されていた。その中でも、RNAとアミノ酸がどう対応しているのかという問題が実験的に解決されたころに興味を持った。
9.生命科学と言にいっても、分子生物学、生化学、遺伝学、構造生物学、バイオインフォマティクス、システムバイオロジーなど、いろいろなアプローチがある。まずは自分がどんなことに興味があるのか見極めることが大事である。



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2017年11月02日

ビタミンCは世界で毎年約11万トン生産されている。原料のブドウ糖が安価であり、ブドウ糖からビタミンCが40%という高効率でつくられ、大量生産されて、ビタミンCを安価に入手できる。

「生田哲著:
ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く、講談社、2014.3.3、4冊」は参考になる。「まえがき「カゼやがんに効く」は本当だった」と「ビタミンCは安くて、しかも副作用がない」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.ビタミンCは、アスコルビン酸といい、肌の成分であるタンパク質、コラーゲンをつくるのに欠かせない栄養素である。最近の研究で、ビタミンCにはそれ以上の、もっと凄い健康効果があることがわかってきた。
2.1970年代にアメリカ発の大ブームがあった。ノーベル賞受賞生化学者であるライナス・ポーリング博士が、『ビタミンCとカゼ』という本を出版してベストセラーになった。また、スコットランドのエワン・キャメロン博士との共著で『がんとビタミンC』を刊行した。これらの本には「ビタミンCはカゼに効く」「ビタミンCはがんにも効く」と書かれていたが、みずから提唱した「ビタミンC療法」が医学界の権威筋に認められなかったポーリング博士は、1994年、93歳で世を去った。
3.ビタミンCは、ある程度、カゼに効くとは思っていたが、がんにまで効果があるとは思いもよらなかった。これまでにビタミンCについては膨大な数の論文が発表され、激しい論争があったが、2005年に、NIH(米国立衛生研究所)のマーク・レビン博士のグループにより、ビタミンCががん細胞を殺すことを証明する論文が発表された。
4.ビタミンCについて、多くの医学論文を取り寄せて精査したところ、次の5点が科学的に、十分に証明されていると理解できる。.咼織潺Cはがんに効く▲咼織潺Cはカゼやインフルエンザに効くビタミンCは感染症、心筋梗塞、脳梗塞にも効くぅ咼織潺Cは病気になりにくい体をつくるゥ咼織潺Cは安価で副作用のない安全な食品である
5.ビタミンCを今の1000倍の量を摂れば,人生のQOL(生活の質)は革命的に上がる。
わが国のビタミンCの所要量は100mgとされ、レモンを1日1個摂るだけで足りるとされているが、最適な健康状態を維持したいのなら1日に100mgでは足りない。仮に、カゼの予防には1日3gのビタミンC、治療には1日30gが必要だが、30gならレモン1200個だから実践するのは無理。果物の食べすぎはカロリー過剰になる。サプリメントでなら、余分なエネルギーを摂らずにビタミンCを簡便に、効率よく摂取できる。
6.ビタミンCの形状は、1個500mgまたは1gの錠剤が飲むのに好都合である。ビタミンCのナトリウム塩ならほとんど味がない。ある業者は天然型ビタミンCが体に安心と宣伝している。ビタミンCだけが本物で、アスコルビン酸や合成ビタミンCは偽物のような言い回しだが、ビタミンCとはLーアスコルビン酸のことである。
7.ビタミンCは、1930年代にポーランド出身のタデウシュ・ライヒシュタイン博士が確立した「ライヒシュタインプロセス」と呼ばれる化学合成と微生物による発酵の組み合わせで、工業的に大量につくられている。これが、ビタミンCが誰でも、安価に入手できる理由である。
8.このプロセスは、ブドウ糖(D-グルコース)から出発し、加水分解、微生物による発酵、水酸基の保護・酸化・閉環といった5段階の化学反応で構成される。ポイントは、2段階目微生物(酢酸菌)を使った発酵で、D-ソルビトールがL-ソルボースに変換されるプロセスである。1960年代になると、中国で、後の化学反応を発酵に置き換えた「2段階発酵法」も開発された。どちらのプロセスでもビタミンCが効率よく、大量につくられている。
9.現在、ビタミンCは世界で毎年約11万トン生産されている。原料のブドウ糖が安価であり、ブドウ糖からビタミンCが40%という高効率でつくられ、大量生産されていることが、ビタミンCを安価に入手できる理由である。
10.合成されたビタミンC(Lーアスコルビン酸)は、天然型ビタミンCとまったく同じものである。化学的・物理的・生物学的に少しも違わない。天然型ビタミンCが合成ビタミンCにまさる点は一つもない。野菜や果物に含まれるビタミンCも、合成ビタミンCも同じものですから、安心してサプリメントから摂取すればよい。
11.純粋なビタミンCは弱い酸性を示し、胃を刺激するため、人によっては胃に不快感があるが、そのような人はビタミンCのナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル塩を摂るとよい。ビタミンCのミネラル塩のうち、サプリメントでもっとも多いのは、ナトリウム塩とカルシウム塩である。ビタミンCのミネラル塩を大量に摂る際には、大量のミネラルも同時に体内に取り込むことになる。高血圧のために減塩食を実行中の人は、ナトリウム塩ではない形でビタミンCを摂取するほうがよい。ミネラル塩の効果は、純粋なビタミンCよりやや低い可能性がある。



yuji5327 at 06:41 

2017年11月01日

親をゲノムで選び、どんな子どもが生まれるか予測するシステムの特許は取得され、サービス会社がある。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「第4章:地球が多様な生命であふれているのはなぜですか」の「地球上にこんなに多くの種類の生物がいるのはなぜですか」「両親のゲノムから子どもの特徴は予測できますか」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.地球上にはいろいろな種類の生物がいて、全然違うように見えるのに、細胞レベルではほとんど同じしくみで機能している。そのしくみを解明するのが、生命科学という学問である。同じしくみで機能している生物がこれほどまでに多種多様にいるということは驚きである。
2. DNAを正確に複製して細胞が分裂し、100パーセント正確に複製されていれば、遺伝子が異なる多様な生物は生まれていないはずだが、現実はそうではなく、生物の種類が多いだけでなく、同じ人間の中でもいろいろな人がいる。多種多様な生命がおり、多様な生物種と、同じ生物種の中でも多様な個体がいる。日本人と外国人とは目の色などが違い、見た目だけではなくて、体質もバラバラ。お酒が全く飲めない人もいれば、いくら飲んでも平気な人もいる。
3.遺伝子のほんのちょっとした差で変わる。お酒を飲んでも平気かどうかは、「アセトアルデヒド脱水素酵素」というタンパク質を作る遺伝子の個人差で大きく決まる。血液型も多様で、ABO式だけを見ても4種類ある。みんな同じ血液型で問題なさそうなのに国や地域によって割合が違う。日本ではA型が多いが、ブラジルではO型がほとんどである。
4.特定の血液型だけが現在まで生き延びているという可能性はある。感染症という環境の影響を受けている。例えば、鎌状赤血球症とマラリアの関係がある。鎌状赤血球とは、赤血球の形状が変化して、酸素を運ぶ能力が落ちた赤血球のことで、酸素を運ぶヘモグロビンを作る遺伝子が変化したことで起きる病気で、貧血を引き起こす。鎌状赤血球症は、鎌状赤血球を作る遺伝子を父親・母親両方から受け取った場合は重い症状となり、ほとんどは成人前に死亡する。片方の遺伝子が正常であれば、日常生活を送る分には支障はない。
5.マラリアの原因となるマラリア原虫は赤血球内で増殖するが、鎌状赤血球内では生存できない。マラリアに強いから今でも鎌状赤血球を作る遺伝子が残っている。日本では鎌状赤血球を作る遺伝子をもつ人はほとんどいないが、マラリアが流行するアフリカでは25%もの人が異常ヘモグロビン遺伝子をもっている。多様な人間がいる理由の一つに、そういった生存に関わる環境がある。
6.遺伝子からどんな子どもになるのか予測するのは、実際には単純な話ではない。たとえば、お酒に強いかどうかは確率的に予測できる。これらは特定の遺伝子だけで決まっていることが明らかになっている。しかし、美人になるかどうか、頭がいいかどうかは、1つの遺伝子だけで決まらない。複数の遺伝子が関わっているし、環境要因や文化の影響も受ける。
7.予測できるのは、血液型などごく1部で、予測できないものが圧倒的に多い。一人ひとりのゲノムが全部解読されるようになると、あるカップルからどんな子どもが生まれるのか、予測するシステムが将来出てくるかもしれないが、ゲノムだけで人間が決まるほど単純な話ではない。かつての優生学のような間違った認識を繰り返してはいけない。
8.親をゲノムで選び、どんな子どもが生まれるか予測するシステムの特許はすでに取得されている。2013年9月、アメリカの遺伝子解析サービス会社「23andMe」は、精子または卵子提供者(ドナー)と、受け取る者(レシピエント)の両者のゲノムを解析することで、生まれる子どものがんリスクや目の色、寿命などを総合判定して最適なドナーを選択できるシステムの特許(特許番号US8543339)を取得した。2016年現在、運用はされていない。なお、この特許は個人向けの遺伝子解析サービスとして世界で100万人近くのユーザーを獲得している。遺伝子を調べる料金は149ドル(約1万5000円)。日本でも同様のサービスがある。


yuji5327 at 06:38 

2017年10月31日

白川先生の指導のもと研究を進め、ポリアセチレンを負極に用いて、非水系の二次電池を開発することを思い立った。負極に適している上、充電と放電を繰り返しても安定していた。

「吉野彰(旭化成株式会社顧問・技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター理事長)著:リチウムイオン電池現在・過去・未来、學士會会報No.923(2017-II)」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.90年代後半、リチウムイオン電池は、IT社会の到来と共に世界中で活発に研究開発され、市場規模は一気に拡大した。リチウムイオン電池(以下、LIB)に関する特許の出願件数の推移から見て、大きな変革の波が2回来たことが分かる。LIBの研究は1981年に始まり、1985年に原型が完成、1991年に商品化に成功、1995年に市場が成立した。世に出て4年問は全く売れず、ある日突然、売れ始めた。1995年にウインドウズ95が発売され、今日のIT社会が始まった。この年、携帯電話やパソコンなどの電源としてLIBの市場は一気に拡大した。その後、LIBに関する研究開発は非常に活発になり、特許の出願件数も急増した。LIBはIT変革と共に成長してきた。現在、特許の出願件数が再び急増し、第一の波よりも大きな波が訪れている。
2.変革は資源・環境・エネルギー分野で起きているので、ET変革と言える。1991年にLIBが世に出て以降、LIBのエネルギー密度は順調に向上した。開発初期は200wh/lだったが、現在は約3倍の600wh/lである。これは正極と負極の材料を改良したためである。3.LIBのコストも、技術革新によって大幅に下がった。1994年に本格的な量産が始まった時、LIBのwh当たりの単価は約300円だったが、現在は約20円である。LIBの市場も急成長した。1997年に2000億円規模だった市場は、現在、1兆2000億円規模である。
4.市場は2000年頃までは日本企業が独占していたが、現在は韓国や中国の企業も進出し、グローバル化が進んでいる。かつては、ほぼ全てのLIBが携帯電話やパソコンの電源向けだったが、2011年以降、年々、電気自動車向けが増えているが、まだ本格的な普及には至っていない。
5.LIBは、負極に炭素材料を用い、正極にリチウムイオン含有金属酸化物を用いる、非水電解液系二次電池である。電池は使い捨ての一次電池、充電再使用する二次電池、水系電解液、非水系有機電解液の4つに分類される。電解液とはイオンを含んだ溶液のことで、これが水なら「水系電解液」、水でないなら「非水系有機電解液」と言う。
6.水系電解液は燃えない上にコストの点でも優れているため、これまでの電池の大半は水系だったが、水系は1.5V以上の電圧がかかると水素と酸素に電気分解するので、水系を使用する限り、起電力は上げられず、電池の小型軽量化は不可能だった。
7.非水系を用いた電池の小型軽量化の研究が始まり、1970年、日本の電池メーカー2社が非水系の一次電池の商品化に成功した。しかし、非水系の二次電池の開発は難航し、ようやく世に出たのがLIBだった。
8.企業が新商品を事業化するまでには、3つの段階がある。1つ目は基礎研究の段階で、研究の端緒から原型を完成させるまで、2つ目は開発研究の段階で、その技術が本物かどうかという検証と、商品化するために必要な様々な技術開発、3つ目は事業研究の段階で、商品として売るための研究である。
9.最初から非水系の二次電池の開発を目指して研究が始まったのではなく、ポリアセチレンという材料を研究する中から生まれた。1980年当時、多くの人が非水系の二次電池の開発に挑み、全て失敗に終わった。問題は負極の材料にあり、非水系の一次電池は負極に金属リチウムを使うので、非水系の二次電池の開発でも、負極に金属リチウムが使われたが、うまくいかず、新しい負極材料の発見が急務だった。
10.その頃、導電性ポリアセチレンという材料が世界中で話題になった。発見者は白川英樹先生(2000年ノーベル化学賞受賞)である。プラスチックなのに電気が流れるので、大変注目された。この導電性ポリアセチレンは、アセチレンを特殊な触媒で薄膜重合したもので、アルミ箔のような銀色で、プラスチックとは思えない外観である。これは電気を通すだけでなく、場合によっては超電導にも半導体にもなる。
11.この素材に興味を持ち、白川先生の指導のもと研究を進めるうち、ポリアセチレンを負極に用いて、非水系の二次電池を開発することを思い立った。ポリアセチレンは負極に適している上、多くの電気を貯めることもでき、充電と放電を繰り返しても安定していた。
12.負極にポリアセチレンを使うことが決まれば、次の課題は正極材料である。チタン、バナジウム、ニッケル、鉄の金属酸化物、金属硫化物など、電池によく使われる材料と組み合わせ、実際に電池を試作したが、暗礁に乗り上げた。負極をポリアセチレンにすると、リチウムイオンを含まないので、正極材料にどの金属酸化物、硫化物を持ってきても電池にならなかった。
13、1980年、オックスフォード大学のグッドイナフ教授が、正極材料として、リチウムイオン含有金属酸化物を報告した。負極にポリアセチレン、正極にこの新素材を用いて電池を試作すると、この新素材はリチウムイオンを含むので充電も放電もうまくいき、しかも極めて安定的だった。こうして1983年、LIBの原型が誕生した。
14.研究を進める中で問題が浮上した。当時、IT変革はまだ始まっていなかったが、電池の軽量化と小型化が求められ始めていた。1990年頃、社内で、旭化成は確かにIBの開発に成功したが、電池についての素人の旭化成が、単独で事業化するのは危険、どこかと合弁で事業化すべきか、ライセンス事業化すべきか、という事業化の議論がなされた。
15.最終的には、‥貅任塙臺曚靴禿澱啝業に参入する、LIBの材料事業は旭化成が単独で事業化する、0芦柔単独でのライセンス事業も並行して推進する、というものだったが、結果的に、,療澱啝業は失敗した。
16.△虜猯岨業は成功し、セパレータ事業を中心に急成長し、現在も旭化成の稼ぎ頭の高い利益を挙げている。のライセンス事業も成功した。1997年までに基本特許を取得し、国内外10数社とライセンス契約を締結し、相応の稼ぎを得た。


yuji5327 at 06:35 

2017年10月30日

DNAが正確に複製されていれば、同じものしかできない。多様性が生まれるのは、DNAは100%正確には複製されず、エラーが起きている。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「第4章:地球が多様な生命であふれているのはなぜですか」の「どのようにして多様性が生まれるのですか」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.DNAが正確に複製されていれば、同じものしかできないはずだが、多様性が生まれるということは、DNAは100%正確には複製されず、エラーが起きているということになる。、エラーの箇所によっては、一見無害なときもあれば、致命的になるときもある。
2.エラーが起きる確率は、2億5000万分の1だと考えられている。ヒトのゲノムは30億塩基対あるので、1回のDNA複製ではおよそ12カ所でエラーが起きる。30億分の12だが、DNAの95%以上はタンパク質を作る遺伝子とは関係ないところなので、ほとんどのエラーは体への影響がない。
3.遺伝子でエラーが起きると、がんなどの病気につながることがある。遺伝子が異常になる原因が、DNAを複製するときのエラーである。ヒトのDNAのうち95%以上は遺伝子と関係ないが、遺伝子と関係ないところの存在意義は、はっきりとわかっていない。今まさに盛んに研究されている。無駄な部分でも、興味深いものとして、「レトロトランスポゾン」と呼ばれているものがある。
4.長い進化の過程で、一部のDNA領域が、まるでコピー&ペーストされたものが、ヒトのゲノムの中に残っている。レトロトランスポゾンは、まず自分自身のDNAをRNAに転写する。そのRNAを元にDNAが作られ、ゲノム中に転移する。この"レトロ"は、セントラルドグマにおけるDNAからRNAという遺伝情報の流れとは逆向き(レトロ)いう意味である。
5.RNAからDNAという逆向きは、ヒトのゲノムの中には、約40パーセントも占めている。タンパク質を作る遺伝子の部分よりもずっと高い割合である。レトロトランスポゾンは現在ではほとんど機能していないが、進化の長い歴史を振り返れば、生命の多様性を作り出すしくみの1つになっている。
6.他に多様性を作るしくみとして、染色体の「組換え」というものがある。精子と卵子が作られるときに、1対の染色体の間で交叉が起きる。組換えが起きると、新しい遺伝子の組み合わせが生まれ、生まれてくる子どもに遺伝子の多様性が生まれる。DNAの複製エラーが小さな差を作り、そしてレトロトランスポゾン、染色体の組換えが大きな変化を引き起こす。こうした現象の積み重ねが多様性を作る。
7.ヒトのゲノムの中にあるレトロトランスポゾンは進化の名残であり、現在は逆転写されてゲノム中で増えることはほとんどないが、一部のウイルスは今でも逆転写を利用している。たとえば、AlDS(後天性免疫不全症候群)の原因ウイルスであるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)は逆転写を行うことで、ヒトの免疫細胞のゲノムにHlVの遺伝子を入り込ませる。入り込んだHIV遺伝子からHlVを構成するタンパク質が作られ、HlVが免疫細胞内で増殖する。やがて免疫細胞が減ることでAlDSを発症する。


yuji5327 at 06:34 

2017年10月29日

電動化が進行するシナリオは、2回の充電で500勸幣總れないと、本格的に普及しない。LIBも改良を重ねることが必須である。

「吉野彰(旭化成株式会社顧問・技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター理事長)著:リチウムイオン電池現在・過去・未来、學士會会報No.923(2017-II)」の「リチウムイオン電池搭載電気自動車に係る展望」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.電気自動車に搭載するLIBの市場は拡大しつつあるが、本格的な普及には至っていない。2015年、中国に大規模な電気自動車の市場が生まれた。PM2.5問題の解決のため、中国政府の肝煎りで、電気自動車に対する大掛かりな補助金政策が始まった。特にバスの電動化が進んでいる。
2.2018年、アメリカ最大の自動車市場であるカリフォルニア州で、車に対する環境規制が厳格化された。アメリカの他の州やヨーロッパでも追随する動きがある。各自動車メーカーがどういう対策を練るか、注目される。
3.テスラというアメリカの電気自動車のベンチャー企業は、現在アメリカでシェアを拡大させつつある。AGVという無人自動運転技術は、OSの賢さで決まり、そのインターフェースは全てスマホで行うことになると予測される。スマホのOSで世界を制覇しているグーグルとアップルは、自動運転世界の分野にも参入してきている。
4.車社会の動向は、LIBの市場にも非常に大きな影響を与えている。2010年まではLIBの市場はほぼ全て、携帯電話やパソコン向けだったが、その後、電気自動車向けが少しずつ増え、2015年、中国の動向に合わせて、電気自動車向けが一気に拡大した。こうした傾向は今後も続く。
5.2018年、欧米で環境基準が厳格化されることは、日本にとって非常に不利に働く。最大の問題点は、2018年にZEVの定義が変更になるる。真の意味でZEVであるBEV(100%の電気自動車)とFCEV(燃料電池自動車)だけが認められ、これまで認められてきた通常のHEV(ハイブリッド電気自動車(ガソリンを使う)やPHEV(プラグイン・ハイブリッド車)が定義から外れる。
6.この結果、トヨタのプリウスがZEVでなくなる。今後、世界の自動車メーカーは、販売台数の一定割合を新定義に基づくZEVにしなければ、他社の持つ排出権(CO2削減クレジット)を購入するか、当局に罰金を払う。その割合は2018年に4.5%、2025年に22%で、相当厳しい基準である。現在、どの社もこの対策に追われている
7.2015年現在、排出権による営業外収益はテスラの独り勝ちである。ヨーロッパの自動車メーカーは2年程前までディーゼルで環境基準を満たす戦略だったが、ディーゼル問題発覚後、どの社も電動自動車開発に転換した。なお、この新しい環境基準は2017年10月以降に販売される車が対象である。
8.今後の車社会のシナリオは、今のペースで電動化が進行するシナリオは、電気自動車には、2回の充電で何キロ走れるかである。2015年には1回の充電で200卅れた。2018〜2020年には300〜350卍度走れるようになる。500勸幣總れないと、本格的に普及しない。そのためには、LIBも改良を重ねることが必須である。
9..電動化と無人運転化が同時進行するシナリオは、グーグルとアップルが無人自動運転車(AGV)の開発に参入し、5年ほど前から公道で実証試験を繰り返している。AIの運転学習には15年かかると想定されているので、両社とも10年後の2025年を目指して、自動運転技術をAIに学習させている。無人運転と電気自動車の両方が実現すると、マイカー保有が激減し、無人タクシーが普及すると予想される。
10.無人タクシーなら人件費はゼロで、電気無人タクシーがもたらす社会的・個人的メリットのポイントは、地球環境への貫献で、IOTでしか成し遂げられない。自動車なら年間燃料費が5分の1になる。そうなると、マイカー保有やタクシー利用によるコストが激減するので、画期的な価格破壊が達成される。さらに、100%ZEVも実現するので、地球環境に大きな貢献になる。PM2.5問題も解決する。今後の無人運転実用化は、高速道路は2025年、一般道路は2030年に、完全無人運転対応になる、予想されているが、実際にはこれより5年近く前倒しで進んでいる。2020年、東京オリンピックが開催される頃、無人自動運転のデモンストレーションができる。
11.単位体積当たり、電気を貯められる量、1ワットアワー貯めるのにかかるコスト、何円かかるかが問題である。ダイオードや太陽電池の材料の他の無機物の比重が4〜5であるのに対し、プラスチックであるポリアセチレンの比重は1.2である。そのため、他の無機物を使用した電池の3分の1まで、軽量化に成功した。
12.通常の品質管理の考え方では、製品の不良品発生確率は100万分の1程度に抑え込む、のが目安である。LIBは年間50億個製造されているので、年間5千個の不良品の発生は許容範囲となる。とはいえ、開発を急いだあまり製造工程が簡略化され、微細な金属片が混入し、ショートと発火を招いた例もある。
13.走行中に排気ガスや二酸化炭素を全く排出しない自動車のこの無人自動運転と電動化によってマイカーが激減すれば、自動車産業は打撃を受ける。自動車保険がなくなるので保険会社も打撃を受ける。一時的に失業者が増える可能性がある。しかし、マイカーやタクシーにかかっていた年闇100万円近いコストが10万円に激減すれば、可処分所得が90万円も増えることになる。全世界でみれば数10兆円規模になるので、新産業が生まれ、新しい雇用が生まれるだろう。AIはヒトの仕事を奪うのでなく、より良い仕事を生み出すだろう。



yuji5327 at 06:34 
池上技術士事務所の紹介
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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