新技術

2020年09月03日

アメリカやドイツ辺では1日1000kmぐらい走る人がいるが、航続距離やチャージに時間がかかるEVは長距離移動には向かない。電気とガソリンの両方を使えるHV車が優れている。


「大前研一著:なぜテスラの時価総額が世界一のトヨタを超えたか PRESIDENT 2020.9.184」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.7月1日、米国市場でアメリカの電気自動車〔EV〕メーカー、テスラの時価総額が一時約22兆6000億円となり、同日の東京市場で21兆7185憶円だったトヨタ自動車の時価総額を抜いて、自動車メーカーの世界首位に立った。コロナ禍でも、2020年第2四半期{4月6月}の業績が好調(同社初の4四半期連続黒字〕だったことからテスラの株価はその後も続伸、7月末にはテスラの時価総額は30兆円に達して、22兆円のトヨタを一気に引き離した。
2.米カリフォルニア州シリコンバレーでテスラが創業したのは03年。調達資金のほとん0どを研究開発投資に費やしてきて決算は赤字続きだったが、ここにきてようやく収益化のステージに入ったと目されている。テスラの19年の世界新車販売台数は過去最高の約36万7500台。前年の約24万台から大幅増で、20年は50万台突破を目標に置いている。EVの販売台数は、テスラが堂々の世界トップだ。
3.しかし、トヨタグループの19年の世界新車販売台数は約1074万台。テスラは30分のーの規模でしかない。トヨタは世界28力国に50を超える生産拠点を構えているが、テスラの生産拠点はアメリカと中国の上海だけ。21年にドイツのベルリンで新工場が稼働予定である。創業1937年、83年の歴史を積み重ねて生産管理技術を磨き、ガソリン車からハイブリッド車〔HV〕、EVに燃料電池車と幅広く事業展開してきたトヨタに対してテスラは新興のEV専業メーカーである。量産化に不可欠な生産管理技術の点では、まだ課題も多い。そんなテスラが時価総額で「トヨタ超え」を果たしたことは、自動車業界の大きな構造変化を象徴するトピックスである。
4.株式時価総額は株価に発行済株式数を掛け合わせたもので、現在の業績に対する評価だけではなく、将来に対する期待値がそこには込められている。年間1000万台以上のクルマを製造販売している高収益企業のトヨタより高いテスラの期待値は何かといえば、一つはEVである。100年に1度と言われる自動車業界の変革期を象徴するキーワードは「CASE」と称される。「Connected〔接続〕」「Autonomous(自動運転〕」「Shared〔共有〕
「Electric(電気自動車)」4つの言葉の頭文字を組み合わせた造語たが、テスラは「E」はもちろんのこと、「C」「A」「S」のカテゴリーでも次世代技術を先取りしたユニークな取り組みが高く評価されている。
5.たとえばシェアサービス事業については、イーロン・マスクCEOは完全自動運転のEVによるロボットタクシー事業を20年に実現するとした。テスラ車をリース契約しているオーナーは、空いている時間帯にマイカーをロボタクシーの配車サービスに充てて、収益を上げられるビジネスモデルである。
6.無人のロボタクシーを操るのは、同社の自動運転システムである。自動運転技術の開発競争では、Googleの兄弟会社である自動運転車開発企業「Waymoウェイモ」とともに、テスラもフロントランナーの一角を占めている。自動運転の技術は膨大な走行データを解析することで磨かれていく。ウェイモの強みは圧倒的な公道での走行実績と言われているが、テスラの場合は自動運転レベル2〔渋滞時の先行車追従システムなどの部分的自動運転〕を標準装備した市販車から走行データを集積している。
7.テスラ車はコネクテッドカー〔ネットに常時接続してオンライン上のさまざまなサービスとつなかった車〕であり、道路状況や路面状況、他の車の動きなどを検知した情報を収集している。そうやって蓄積された膨大な走行データをAIが学習して、白動運転のレベルをハイピッチで高めている。イーロン・マスクCEOは「レベル5、つまり完全自動運転のための基本機能の実現は非常に近い」と語っている。将来の完全白動運転化に対応するために、テスラ車には「オートパイロット」というハードウエァが搭載されていて、このコンピュータで走行のすべてが管埋されている。特徴的なのは、デジタル家電やスマホのように新しいソフトウエアを随時アップデートして、最新の機能を入手できる仕組みになっている。
8.ネット経由でアップグレードしていくという発想は、内燃機関で走る車を一生懸命造ってきた既存の自動車メーカーからは出てこない。車をスマホや電化製品と同列に扱うEV専業メーカーならではのアイデアである。
9.テスラの時価総額がトヨタ超えを果たしたのは、テスラの実力と将来性が評価されたから、だけではない。イーロン・マスクという実業家であり天才エンジニアの存在も大きく影響している。マスク氏といえば、型破りな言動で世間を賑わせてきた。タイの洞窟に閉じ込められた少年たちを救出するために小型潜水艇の提供を申し出て賞賛されたが、実際には採用されなかったためにマスクが罵詈雑言を吐いて顰蹙を買った、かと思えば、エイプリルフールに「テスラが破綻した」とッイートして株価を下落させた。最近では、米大統領選山馬を宣言したラッパーの力ニエ・ウェスト氏への支持をツイートして、世間をざわつかせた。
10.自ら手がける事業についてもしばしば先走った発言をして、希代の大才か、ビッグマウスかと賛否を呼ぶことが多い。たとえば渋滞解消のためにロサンゼルスの地下にトンネルを掘って、マスク氏が「Loop」と名付けた道路網を通すというプロジェクトについても懐疑的な見方が少なくなかったが、デモ用トンネルを開通させてテスラ車をテスト走行する段階まできている。「有言実行」を印象づけた直近最大のトピックスは、テスラ以前にマスク氏が創業してCEOを務める宇宙開発企業スペースXが、5月末に有人宇宙船「クルードラゴン」の国際宇宙ステーション「ISS」への打ち上げに成功したことである。
11.民間企業によるISSへの有人宇宙船の打ち上げは史上初の快挙。乗り込んだのは米航空宇宙局〔NASA〕の2人の宇宙飛行士で、ドッキングした国際宇宙ステーション{ISS〕に滞在後、無事、地球に帰還した。今回のスペースXのロヶットは乗り込んだ宇宙飛行士から「運転しやすい」と褒められるほどの優れものだったが、何よりすごいのは打ち上げに使われたブースター部分が地上の決められた位置に戻ってピタリと着地することだ。ブースターを回収して再利用するなんて、アポロ計画に携わった人間には絶対に思いつかない発想である。スペースXのロケット技術がテスラに転用できるという話ではないが、この偉業がイーロン・マスクの名声と信用を大いに高めてテスラの株価に影響したことは想像に難くない。アマゾンのジェフ・ベゾス氏も「ブルーオリジン」という会社を設立して航空宇宙ビジネスに乗り川しているが、ロケットはまだ開発段階で打ち上げサービスの提供は実現していない。マスク氏は自分で事業の目標を定めて、自分で技術的な解決策を編み山し、実現までできる希有な存在である。
12.その天才が率いるEVメーカーだからプレミアムがつくので、今回のテスラの「トヨタ超え」はご祝儀的な色合いが濃い。時価総額を正当化できるかどうかは、これから何世代にもわたって同じような優れた経営者が後を継ぐかどうかにかかっている。83年前に創業したトヨタは世代交代を繰り返しながら時代を乗り越え、世界に根を張り、年間1000万台以上の車を生産する世界一の自動車メーカーになった。いくら構造がシンプルなEVとはいえ、テスラが1000万台規模のメーカーになって世界のトップに躍り山るにはまだまだ時間がかかる。
13.マスク氏.がいつまでも率いるわけではないし、代替わりしてマスク氏の創業の精神や設計思想が守られるかどうかもわからない。マスク氏を上回るような才能、もしくは経営者が後を継がなければ、時価総額に見合った成長は望めない。30年後には内燃機関のエンジン車からEV時代に完全移行しているとも言われる。テスラの将来価値が見込まれる理由でもあるが、EVに完全移行するとは思わない。
14.アメリカやドイツ辺りでは1日1000kmぐらい走る人がいるが、航続距離が限られていてチャージに時間がかかるEVは長距離移動には向かない。その点、電気とガソリンの両方を使えるHV車のほうが優れていると思う。人口密集地はEVとして電気で走って、郊外ではガソリンも併用する。HVなら走りながら充電できるから、航続距離を稼げる。中国ではEVの購入に補助金が出るが、最近はHVにもインセンティブがつくようになった。EVの独壇場ではない未来もありうる。



yuji5327 at 06:22 

2020年08月28日

全分野に共通する重要スキルが英諸である。AIのようにデータの蓄積量と分析量が多いほど価値が高まる。日本語だけではデータ量が圧倒的に少ない。


「校條浩著:シリコンバレーの流儀、AI人材育成は中高時代が鍵、週刊ダイヤモンド2020.08.29」 は参考になる。』概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.AI(人工知能)の応用が爆発的に進んだことで、AIやデータ技術、デジタルトランスフォーメーション〔DX)など、「AI+データ+DX」に関連する人材の不足が心配されている。米IBMの調査によれば、データサイエンティストだけでも、現在必要とされる人数は270万人程度であり、さらに毎年70万人ずつ増加する。足元では既に人材不足だともいわれている。
2.AIの応用以前に、デジタルデータの生成と利用で世界の趨勢に大きく遅れ、AI開発や利用、展開という序盤戦で敗北した日本は、人材教育について世界のどの国よりも危機感を持って取り組まなければならない。これから日本がリターンマッチで生き残るには、AI+データ+DXの人材教育が一丁目一番地の課題である。AI+データ+DX人材と言われてもイメージがつかみにくい。このような人材に求められる知識やスキルを整理すると以下の通りである。
3.(1)機械学習やデータ分析ソフトウエアのプログラム作成能力。(2)機械学習のプログラムを実行できる能力。(3)いろいろな視点からデータを分析し、データを可視化、整理し、意味付けを行うことにより示唆を得る能力。(4)データから得られた示唆とビジネスモデルの関係性を探り、ビジネス上の課題設定をし、問題解決を図る能力。
4.こうして見てみると、求められる能力は多岐にわたっている。AIのプログラミングのみならず、Aーツールを使ったデータの分析、データを見て「ストーリー」を想像すること、さらにそのような分析から、ビジネスモデルを探ることにまで広がる。言い換えれば、デジタルビジネスの創造から既存事業のDXにまでまたがる、非常に広い範囲の素養や訓練が必要である。
5.これだけ幅の広い素養や専門性をどう教育していくのかは、「AI教育」という一つのくくりだけでは、とても育成はできない。そこで、ロールモデルとして、世界中から注日されている米スタンフォード大学の教授を紹介する。「人間中心AI研究所」所長のフェイフェイ・リ教授である。
6.リ教授は画像データを集めた「ImageNet」というデータベースを作り、公開したことで名を上げた。これは、ロボットが視覚による判断を学習するために、1500万枚以上の画像データを分析、2万2000のカテゴリーに分類したものである。リ教授はAI教育を受けたわけではないが、機械学習させるために天文学的な数のデータベースを作るという発想を自ら思い立った。
7.リ教授は、16歳のときに両親に連れられて中国の成都から米国に渡った移民である。その後、アインシュタインに憧れてプリンストン大学で物理を学んだ後、カリフォルニア工科大学〔カルテック)の大学院に進んだ。もともと「生命」の神秘に魅せられていたが、それが「人間の知能はどう機能しているのか」という疑問となり、カルテックでは神経科学とコンピュータ科学を専攻。そして、それが「機械に知能を持たせるにはどうしたらいいか」という興味に転換したのだ。
8.特に視覚による判断に注目し、それが機械学習させるための画像のデータベース作りにつながった。前述した(1)〜(4)にまたがるスキルを、リ教授は自ら満遍なく獲得した。中核となる専門知識は機械学習だが、周辺のデータに関する多様な知識を吸収している。データは、単なるデジタル情報としてのデータだけではなく、人間が営むビジネスや社会生活の中身をデーダとして表現することとの関係性が重要となる。例えば、米マサチューセッツ工科大.学(MIT)コンピュータ科学科のAIカレッジでは、AIそのものの知識のみならず、哲学、文化人類学、歴史学、社会科学まで扱っている。ここでは文系・理.系という区分けは全く意味がなくなっている。
9.日本の状況を見ると、〔1)のプログラミングと(2)のプログラム実行については、大学から学ぶのでは遅過ぎる。さらに(3)〔4)のような、データからビジネスに思いをはせるような能力は、特定の専攻で学ぶようなスキルではなく、若い頃からの実践教育が鍵となるので、受験勉強偏重の現状を打破する必要がある。
10.大人と変わらない頭脳に成長し、なおかつ大人の社会通念にまだ染まっていない時期は、だいたい中学2年生から高校2年生.の間である。ここで一貫した実践教育が継続できるように、高校受験がない中高一貫教育が望ましい。例えば、都立富士高校は、2010年に附属中学校が併設され中高一貫校となった。
11.STEM教育にさらにロボットと芸術、スポーツを加えたSTREAMS〔Science.Technology.Robotics.Engineering.Art.Mathmatics.Sports〕を標榜し、それをAIにつなげようとしている。STREAMSは富士高校が自校の特徴を反映して独自に考えられたビジョンだが、一般的には、新STEMを提案したい。Sはコンピュータ科学とデータ科学を、Tはテクノロジーを、Eは英語を、Mは数学に加えて「人と機械の関係」(Man-MachineReration)を意識する点が、従来のSTEMとは少し違う。
12.人と機械の関係は、特に人間個人や社会などに関しての考察であり、先ほどのMITのAIカレッジでの人文科学はこれに当たる。スタンフォード大学のリ教授が、「人間の知能」から「知能を機械へ」に興味の軸が移ったのは、まさに「人と機械の関係」に関する洞察が根底にあったからである。そして、全分野に共通する重要スキルが英諸である。AIのようにデータの蓄積量と分析量が多いほど価値が高まる場合、日本語だけではデータ量が圧倒的に少ないし、世界中の人材との意見交換もおぼつかない。日本語は足し算、英語は掛け算のスピードで、知見が蓄積していくと言ってもいい。これからの時代を引っ張っていくAI+データ+DXの人材育成は、中学生くらいから本格的に始める必要がある。新STEMのビジョンの下、教室を飛び出し、実践教育を進める。さらにオンラインで世界中の専門家と接し、刺激を与える。そうすれば、日本にもAI+データ+DX人材が多く育つ。-



yuji5327 at 06:44 

2020年08月22日

紫色は特別である。2万年前のクロマニョン人の洞窟の壁画は赤、黄、茶、黒で彩色されているが、ーカ所だけ紫の四角形が描かれており、何を意味するか研究者たちの謎である。


「藤田一郎(大阪大学教授):青紫と赤紫は全く別もの色が見える驚きのメ力ニズム 、週刊ダイヤモンド 2020.08.22」は面白い。
1.紫という色はさまざまな点で特別である。例えば、2万年前のクロマニョン人が残したラスコー洞窟の壁画のほとんどは赤、黄、茶、黒で彩色されているが、奇妙なことにーカ所だけ紫の四角形が描かれており、それが何を意味するのか研究者たちの想像力をかき立てている。
2.歴史上、西洋においても東洋においても、紫は高貴な色として身分の高い人物の衣服に用いられた。さらに、このような文化的側面だけでなく、生物学的にも紫は特殊な色である。日本語でいう紫は赤と青の中間のさまざまな色合いを意味する。赤い絵の具と青い絵の具を混ぜて紫を作るとき、それぞれの量を変えるだけで、赤っぽい紫になったり青っぽい紫になったりする。英語では赤紫はpurple、青紫はvioletと異なる名を持つが、私たちは赤紫と青紫は似ている色、「近い」色だと思っている。しかし驚いたことに、両者は全く異なるメカニズムで見えている。
3.私たちの多く〔男性の92〜95%、女性の99・5%以上)は3色型色覚を持ち、網膜には、異なる波長領域の光に反応する3種類の光受容細胞がある。長波長に反応するL錐体、中波長に反応するM錐体、短波長に反応するS錐体である。これらは、しばしば赤錐体、緑錐体、青錐体と呼ばれ、教科書や辞典に書かれていることすらあるが、そのように呼ばない方がよい。なぜなら、L錐体が反応すると赤が見えるわけでもないし、赤はL錐体だけに反応を引き起こすわけでもないからである。
4.私たちに見える光の波長範開(可視光領域)は360nmから830nmの間である。これより短い波長が紫外線(UV)、長い波長が赤外線であり、それらを見ることはできない。可視光領域の単一波長の光(単色光〉は3つの錐体に異なった強さの反応を引き起こし、その組み合わせによって特定の色を感じる。例えば、波長が600nmの光にL錐体は非常に強い反応を起こし、M錐体はそれなりの強さの反応を示し、S錐体はほとんど反応しない。この反応の組み合わせの結果、600nmの光は赤く見える。
5.虹の中の一点からやって来る光はほぼ単色光である。太陽光はさまざまな波長の光を含むが、それが空気中の水滴によって屈折し波長別に分解されているのが虹である。単色光に感じられる色をスペクトル色という。虹はその外側から内側に向けて赤、だいだい、黄、緑、青、藍、紫の7色から成るといわれるが、虹の紫はパープルかバイオレットが問題である。
6.虹の 一番内側に感じられる紫は、可視光領域の短波長側の端の単色光で生じる青っぽい紫、すなわちバイオレットである。パープルは虹の中にはない。どのような波長の単色光もパープルを生み出すことはできない。パープルは、大きく異なる複数の波長がL錐体とS錐体をあんばいよく刺激したときに初めて見える。そして、L錐体とS錐体の反応の比率の微妙な違いがさまざまなパープルを生み出すが、これらのうちのどれかが、単色光で生じるバイオレットと完全に同じ「見え・感じ」を持つことはない。パープルのように、単色光で感じることができない色を非スペクトル色と呼ぶ。
7.多くの動物は4種類以上の錐体を持っている。寿司ダネにもなるシャコには16種類もの錐体を持つものさえいる。また、鳥はL錐体、M錐体、S錐体に加えて、紫外線領域に感受性のピークがあるUV錐体を持つ。UV錐体のおかげで可視光領域が広がっているので、彼らには、私たちには見えないスペクトル色が見えていることは聞違いない。しかし、ヒトがパープルという非スペクトル色を感じることができるように、鳥がUV錐体とL錐体・M錐体・S錐体の反応の組み合わせによる非スペクトル色が見えているかはこれまで不明だった。
8.米プリンストン大学のマリー・スタッダード博上らはハチドリを対象にこの間題に取り組み、この6月、その研究成果を発表した。ハチドリが感じる色の世界は正4面体としてモデル化することができる。底面の3頂点は赤、緑、青で、赤から緑を経て青までを結ぶ2つの辺にはさまざまなスペクトル色が並ぶ。青の頂点と赤の頂点を結ぶ辺には非スペクトル色であるさまざまなパープルが並ぶ。ここまではヒトと同じである。
9.しかし、それに加えて、彼らはUV錐体を持つため、青の頂点からUVの頂点を結ぶ辺には、ヒトには見えないスペクトル色が並ぶ。問題は、波長の離れた赤の頂点とUVの頂点を結ぶ辺あるいは緑の頂点とUVの頂点を結ぶ辺に並ぶ非スペクトル色を、ハチドリが感じることができるかどうかである。
10.これを調べるために、スタッダード博士らはただの水が入った容器と砂糖水の入った容器を準備し、それぞれを、長波長の光あるいは長波長とUVの混合光で照らした。ハチドリは最初、どちらの容器に好物の砂糖水が人っているかが分からないが、両方の容器から絵水を経験すると、砂糖水の方へ向かうようになる。そしてその後は、容器の位置を変えても、ハチドリは長波長とUVの混合光で照らされている砂糖水の容器を選ぶのである。
11.さらに、長波長光とUV光の強度を調整することで、異なる2つの非スペクトル色が生じる条件で2つの容器を照らした場合でも、正しく砂糖水の容器を選んだことで、ハチドリが非スペクトル色を識別していることが判明した。鳥の羽毛や植物の多くが非スペクトル色を生じ得る反射特性を持つ。4種類の錐体を持ち、かつ非スペクトル色を見ることができるハチドリにとって、世界は、私たちが見る世界よりはるかに豊富な色に満ちている。
12.しかし、生まれつき目の見えない人に色のクオリアを伝えることができないように、ハチドリが見る匿界が実際にどのようなものであるかを私たちは知ることはできない。




yuji5327 at 06:39 

2020年07月29日

ISTは、クラウドファンディングもやっていて、最近の5号機は、2400人の方から4000万円集まった。


「堀江貴文(インターステラテクノロジズファウンダー)、三戸政和(インクーステラテクノロジズ社外取締役)稲川貴大(インターステラテクノロジズ代表取締役)談:
スペースXに負けない、これからの宇宙ビジネス戦略を語ろう、PRESIDENT 2020.8.14」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.宇宙ビジネスのビッグニュースといえば、5月にアメリカの宇宙開発企業・スペースXの宇宙船「クルードラゴン」が2人の字宙飛行士を乗せて、ファルコン9ロケットによって打ちヒげられた。民間企茉初の宇宙ステーションへの宇宙飛行だった。
2.有人宇宙飛行の話をするには、まずスベースシャトルから話すべきだ。スペースシャトルはNASAが2011年まで打ち上げていた有人宇宙船で、世間ではスペースシャトルは夢のロケットみたいなイメージがあるが、あれは間違いなく失敗である。スベースシャトルは政治的な妥協の産物である。
3.人類を月面着陸させる「アポロ計画」は、ICBMとロケットは、構造がほとんど同じで、まずソ連が開発してシベリアに落として、アメリカを核ミサイル攻撃できることを示した。衝撃を受けたアメリカもアポロ計画を打ち出して宇宙開発をした。安定的にロケットの打ち上げができることが、軍事力を測るバロメーターになるからである。本当は月に行っても意味がないけれど、政治的にそうなった。
4.ロケット開発は、象徴というか、わかりやすさが大事である。それで1969年に、アポロ11号で月に初めて人間が行って、アメリカが勝った。ただ、アメリカ国民はその後、急速に宇宙開発への興味を失なった。それで困るのは雇用である。アポロ計画は正義の公共事業で、開発拠点のテキサス州ヒューストンとか、打ち上げ基地のあるフロリダ州で、関運も含めて20万ー30万人くらいの雇用があった。計画が終わって、これがなくなると大変なことになる。
5.アポロは17号で終わっている。20号まで計画されていたけど、キャンセルされた。テキサス州やフロリダ州の議員たちが雇用を守るためにひねり出した案が、スペースシャトルだった。新しい計画は、国民の支持がなければ始められないので、翼をつけて飛行機型にした。アポロみたいな古臭い宇宙船じゃなくて、飛行機型で、離陸・着陸ができる。飛行機型では、なかなか宇宙に行けない。おそらく今の技術だって難しい。
6.ロケットは重くて、ロケットが1段しかない単段式では打ち上げが非常に難しい。ツィオルコフスキーの公式で計算すると、ロケットを2段式とか3段式の複数段にして、途中で燃料タンクを捨てて軽くしないと宇宙まで行けない。スペースシャトルはかっこつけて飛行機型の単段式にしたから当然、無理である。それで、大きな外部燃料タンクを追加した。追加するとまた重くなるから、もともとのメインエンジンだけでは打ち上がらないので、ロケットブースターをさらに2本つけた。
7.スペースシャトルの打ち上げの映像を見ると、ゴチャゴチャついている。荷物と人間を一緒に飛ばす設計もよくない。人間を飛ばすときの安全基準は、非常に厳しいが、スペースシャトルは荷物と人間が一緒になっていて、十分な脱出装置もついていない。全部の安全基準を人間に寄せなくてはいけないから、とにかくお金がかかる。再利用型だから安く済むというのも間違いである。飛ばせば毎回エンジンのオーバーホールが必要だし、再利用のために全部耐熱タイルで覆ったが、割れやすいから点検も必要になる。コロンビア号は耐熱タイルが剥がれていいたことが原因で空中分解して、乗員7人が亡くなった。
8.政治的な妥協の産物であることが、すべて悪く影響した。これがスペースシャトルの失敗である。それと比べると、同じ有人でもスペースXはうまくやっている。スペースXは民間企業だから人気取りをする必要はない。スペースXのファルコン9ロヶットも、第一段ロケットは打ち上げたらエンジンを逆噴射して地上に帰還させて、再利用している。再利用すると、帰ってくるときも燃料が必要で、1〜2割は余計に積まないといけない。エンジンの再整備も必要で、いくら再利用しても、コストは大して安くならない。スペースXは、第一段ロケット再利用の実用化以前から、安くて利益率の高いロケットを開発していた。
9.再利用しようがしまいが、コスト削減効果はあまりない。再利用する理由は、宇宙開発関係者たちは、火星に着陸するときに必要な技術を磨くためと言っている。火星は地球の100分の1くらいしか大気密度がないから、着陸が難しい。地球ならパラシュートを開いて、空気抵抗で速度を落とせるが、火星は大気が薄いから、最後は逆噴射して制御するしかない。再利用と言っているけど、それはただの方便で、目的は別にある。
10.インターステラテクノロジズ(IST)のロケットは、再利用は考えてない。再利用するとよくないことが多く起こる。ロケットの部品は繊細で、ギリギリの安全率で作られているから、再利用なんて怖くてできない。何回も使えるようにしようと思うと、それだけ重くなる。再利用すると、旧式のものを使い続けることになるから、バージョンアップがしづらい。逆に、使い捨ては新しいバージョンを試しやすいし、一回使えればいいから軽くできるし、何度も作るから量産効果が出てきてコストも下がる。おそらく再利用型よりも使い捨て型のほうが強くなる。だからISTは使い捨てである。
世界に勝負できる戦略がある
11.3月に米国破産法第11章を申請したワンウェブは、衛星コンステレーション(多数の衛星を統合して運用するシステム〕を使った衛星通信計画で注目されていた。ワンウェブは、勝ち目はない。スペースXのスターリンクが出てきた時点で負けである。スターリンクは、スペースXの衛星コンステレーション計画のことだけど、現時点でスペースXに勝てる会社はない。ワンウェブは自前のロケットを持っていないが、スペースXは自前のロケットがあるから他社より安く衛星を打ち上げられる。
12.ISTは、衛星コンステレーションを狙う。ISTのロケットの構想を進めてくれたJAXAの野田篤司さんは本当に先進的な考えを持っていて、何年も前から超々小型衛星のフォーメーションフライトというコンセプトに取り組んでいる。それを一緒にできたらいいと思っている。JAXAは日本の税金でつくられているから、日本企業に対して優先的に供与するはずである。
13.フォーメーションフライトというのは、カプセル玩具のように、カプセルに小さなおもちゃが入っている。あのサイズぐらいの超々小型衛星を何百基で一緒に宇宙に打ち上げる。小さな一基には、それぞれアンテナ装置と電磁石が入っていて、宇宙に行くと電磁石で自律的に距離を取って、アンテナのような形に広がる。これは点で広がる。電波は、その電波の波長の半分以下の距離ならキャッチできる。たとえば波長1mの電波をキャッチしようと思ったら、50cm以下の距離を取りな.から1000基の衛星を並べたら、超巨大なアンテナを作れる。
14.これができると、ブロードハンド通信の容量は、「電力x地上局の大きさx宇宙局の大きさ」で決まる。宇宙局が超巨大な半径1kmのアンテナだったとしたら、結構な容量のブロードバンド通信ができる。その研究開発を、JAXAの野田さんがやっている。いろいろ課題はあって、簡単にはできないが、技術的に不可能ではない。ISTとしても、取り組みたい。超々小型衛星1000基ならおそらく100kgくらいで、ISTのロケットで打ち上げられる。それをいくつも打ち上げていけば、世界中でブロードバンド通信かできる。しかも、スペースXのスターリンクより、大幅に安くできる。安くて大容量のデータ通信ができたら、スペースXにも勝てる。
15.アンテナを地上に向けたら通信ビジネスの話になるが、これを宇宙に向けるから、同じ仕組みで、半径数kmの超巨大望遠鏡を宇宙に送って、隣の恒星系に向けると、隣の恒星系にある地球型の惑星を直接観測して、海と陸地があるかどうかぐらいはわかる。夢を実現するために、ISTもパワーアップするために、まず人材とエンジニアがほしい。ロケットにはターボポンプとかエンジンとか難しい部品があって、それらを軽量化する構造を作れるエンジニアがほし。宇宙をやっているエンジニアに限らなくていい。たとえば、ターボポンプは自動車のターボチャージャーという機械にすごく近いし、ロケットエンジンは飛行機のジェットエンジンに近い。だから、自動軍や飛行機とか、宇宙以外の業界から来てもらっても即戦力である。今来たら、まずロケットエンジンの新規製作に関われる。さらに、超巨大アンテナみたいな世界初のことに関われる可能性が高い。そういう職場は、なかなかない。
16.資金は、エクイティ(株式資本)は当然募集している。それ以外にも、個人でも企業でも、IST本社がある北海道の大樹町にふるさと納税すると、それがロケットの発射場の整備に使われる枠組みを大樹町につくってもらった。これは画期的だと思います。さらに企業が自分のペイロードを、リーズナブルな価格で宇宙に運べる広告の仕組みもある。最初に利用していただいたのはレストランで、ハンバーグを運んで、お店では「宇宙に行ったハンバーグ」と銘打って提供している。クラウドファンディングもやっていて、最近の5号機はゴールデンウィークの延期のときに募集したが、2400人の方から4000万円集まった。


yuji5327 at 06:42 

2020年07月26日

日本企業はゼネラリスト志向のため、短期間で異動させ、専門的な知識や技能の習得は後回しになるる。シリコンバレーは、専門的な知識や視点である。


「校條浩著:シリコンバレーの流儀、人事ローテーションは必要か、週刊ダイヤモンド、2020.07.25」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.オープンイノベーションのために米シリコンバレーに派遣された駐在員には、長年の課題がある。シリコンバレーのベンチャーコミュニティーになかなか入れないことである。シリコンバレーは事業イノベーションの世界的中心地である。新しい事業の胎動は、何万社もあるスタートアップ企業やそれらに投資するベンチャーキャピタルなどから成るコミュニティーの中でこそ感じられるものである。そのインナーサークルにいないと、変化の兆しやその背景が理解できない。スタートアップ企業の急成長や潮流をニュースで知ったときにはもう遅い。
2.情報収集の巧拙の問題だと考える人もいるが、これは根の深い誤解である。イノベーションは何かの情報があればできるわけではなく、「情熱」を持った人がいろいろな知識や経験を頭の中で融合させる「再結合」から生まれる。情報ではなく情熱が全ての源であり、非常に個人的な営みなのである。
3.最近はそのような情熱を持った駐在員が少しずつ増えてきた。先日、ジェトロ〔日本貿易振興機構)のサンフランシスコ事務所がオープンイノベーションに関するオンライン討論会を主催した。登壇した駐在員たちははつらつとしており、それぞれが自社のイノベーションにつながった取り組みを紹介していた。
4.ある駐在員は、シリコンバレーの先進的なスタートアップ企業を自ら発掘することと、日本にいる経営幹部をいかに説得するかが成功の鍵だったと話していた。また駐在員が誰よりも高い熱量を持って、自発的に行動することが求められるとも語っていた。やはり、情熱は不可欠なのである。思い起こせば3年前、シリコンバレーの駐在員たちと同様のテーマで議論を交わしたことがあった。そのときは、日本側がシリコンバレーのエコシステムや文化を理解せず、日本的経営の発想で指示を出してくる問題が議論されていた。例えばシリコンバレーの事情を理.解してもらうために膨大な時間を割い資料提供や説明、調整をするが、日本側の意思決定が遅いことなどが指摘されていた。
5.しかし、先のジェトロの討論会から分かるように、3年前の問題を乗り越えた駐在貝が出現している。日本にいる経営幹部を巻き込み、実績を積むことで自分白身の立ち位置が強固になり、さらにプロジェクトが進む好循環を生み出している。もちろん、日本側にもシリコンバレーをよく理.解する経営幹部が増えてきたということもある。ある大企業の経営トップは、シリコンバレーに赴任する幹部社員にこう諭したという。「シリコンバレーに行ったら2つのことを守れ。まず、日本からの表敬訪問は受けるな。もう1つは、現地の日本人村には人るな」である。
6.指示を受けた駐在員はもともと自立心の強い人物だったこともあり、指示を守るのは難しくなかった。逆に経営トップや幹部を説得して、新しい投資ファンドまでつくった。この駐在員はシリコンバレーのインナーサークルに入り込む糸口を自らつかんだ。シリコンバレーでは、自分自身の考えを主体的に推し進める個人でなければ、コミユニテイーは受け入れてくれない。所属する会社は、それに力を与えてくれるパートナーと考えるべきである。個人が会社に従属するのではなく、両者は対等であるべきであ。会社が社員に投資をすることと、個人が会杜にもたらす価値が、ギブ・アンド・テークの関係なのである。
7.日本人駐在員の中に、シリコンバレーで通用する、情熱溢れる個人が増えてきたことは非常に喜ばしいことだが、新たな心配事が表出している。ほとんどの日本企業にある、人事ローテーションである。果敢に動き、コミュニティーに受け入れられ、手応えを感じ始めたところで、帰国命令が出てしまう。駐在貝たちは当然、シリコンバレーにとどまりたいと考える。しかし、駐在員自身がローテーションは会社員の運命だと考えている節があり、疑うことなく帰国の途に就いてしまう。駐在員の中には、ローテーションで人が入れ替わっても活動が継続される組織やシステムをつくろうとする人はいる。だがローテーションそのものを変えようとは思わない。
8.そもそもローテーションは、終身雇用を前提に、社員の能力開発と適材適所の人材配置を目的として、さまざまな業務・職場を経験させるための定期的な異動として発達した。社員が組織の中で活躍できるように、個入の適性を見極めると同時に、そのための業務経験を積ませる仕組みとしては優れている。一方で、日本企業はゼネラリスト志向のため、短期間で異動させ、専門的な知識や技能の習得は後回しになるというデメリットがある。シリコンバレーという世界最先端のイノベーションの中心地で習得すべきことは、専門的な知識や視点であり、またそこでの人脈である。短期聞の異動が前提では、シリコンバレーのエッセンスを吸い取ることは無理である。
9.今までのローテーションは、まず会社組織ありきで、社員を駒として配置する考え方が根底にある。既存事業を維持・成長させるなら、終身雇用を前提に、新卒採用した社員を一律にローテーションする仕組みは機能してきたかもしれないが、イノベーションは個人の営みであり、専門性が求められる活動である。既存のローテーションは足かせになってしまう。
10.事業革新や新事業創造を目指すイノベーションを起こすには、それに合つた人材配置やローテーションがあるはずである。イノベーションのためには「まず個人ありき」で、「尖った個人を会仕が支援して成功の確率を最大化する」考え方を取る。そのためには、社内外をくまなく探し、逸材を見つけて機会を与えることである。そしてその活躍に応じて、意思決定の権限と予算を持たせる。その権限の1つとして、そのような人材を、全社ローテーションの縛りから独立させるのがよい。つまり、本社の人事部門からイノベーション関連部隊へ、人事権の一部を移譲するのである。変革を迫られている多くの日本企業にとって、個人中心への人事システムの変革は避けて通れない。人事ローテーションを見直すときが来ている。


yuji5327 at 06:46 

2020年07月13日

「生物は時間とともに変化する」という意味は、「種」の認識であり、現在見られる種は固定されたものではなく、時間とともに変化してきた。


「長谷川眞理子(総合研究大学院大学学長)著者:進化という現象とは何なのか、世間に根付く「誤解」を解く 週刊ダイヤモンド 2020.07.11」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.そもそも「進化」とは何なのかについて、世間一般に十分に理解されているのか疑問である。進化という現象について、よくある誤解についてまとめてみる。「進化論」とは、生物が長い時間を経て変化してきたという考えを指すが、生物は時聞とともに変化しないという考えもある。近代科学としての生物学が生まれる以前から、この2つの考えは存在していた。古代ギリシャでは、エンペドクレスなどが「進化論的」考えであったのに対し、アリストテレスは進化論ではなく、生物は変化しないと考えていた。
2.キリスト教神学の時代になると、「創造論」という、聖書に書かれた通りに、神様がある日全ての生物をつくって以来、生物は変化せずに今に至っているという考えが主流になった。それに対する生物学としての進化論は、18世紀ごろから少しずつヨーロッパで出てきたが、キリスト教神学の影響が圧倒的に強かった欧米において、進化論者は、異端の思想家として戦わざるを得なかった。
3.現代科学においては、生物が進化することは事実として認められている。どのようにして進化するのか、メカニズムの詳細が解明されており、過去にどのように進化したのかを再構成し、今いる生物種間の系統関係を明らかにすることもなされている。だから今では進化論ではなく、「進化生物学」である。
4.「生物は時間とともに変化する」という意味は、「種」の認識と密接に関連しており、現在見られる種というのは固定されたものではなく、時間とともに変化してきたという考えである。例えば、もともとはチンパンジーのような類人猿だった生物から人類のような生物が出現したという話である。それは、ある類人猿の集団に遺伝的変異が起こり、それが世代を経るごとに増加して、やがては元の類人猿とは異なる人類という集団が生じた、ということである。つまり進化とは、幾つもの世代を経て集団に起こる変化の話である。
5.誤解その1.:進化は、一個体が一生の間に変化する話ではない。〇笋楼貔厳命練習して長打を打てるようになった。△海了劼郎廼畤板垢伸びたので戸棚に手が届くようになった。あの病気にかかって治ったので、もうかからなくなった。この3つの現象は進化とは違う。,漏惱の成果、△論長、は獲得免疫の話で、これらを、「私は進化して〇〇になった」と言うのは間違いである。
6.進化が起こるメカニズムとは、ダーウィンが最初に提唱した「淘汰」または「選択」の理論である。それは、個体には常にさまざまな遺伝的変異が生じる、それらの変異の中には、そのときの環境に対して有利に働くものがあり、それが次世代に受け継がれ、そのような変異を持った個体の子孫が増える、これが繰り返された結果、ある環境に適応した生物集団が生じる、という議論である。
7.ダーウィンがこの自然淘汰の理論を考えたとき、まだ遺伝の仕組みについては何も分かっていなかった。それでもダーウィンは、もしも遺伝子のようなものがあるとすれば、自然淘汰が働くだろうと主張した。そして、それは正しかった。事実、自然淘汰は働く。8.実際にはいろいろな問題がある。そのときの環境に有利な突然変異が、どのようにし出現するのかは、目的のない偶然の変異である。それがたまたまうまくいったとして、それが次の世代に広がるかも、うまくいけばという話である。そのときの環境に有利な変異が生じたとしても、それが集団中に多くの子を残して広がるのもまた、偶然の恩恵によるものである。進化は、目的を持って起こるプロセスではない。誰も設計などしていないし、たとえ適応的な変異が出現したとしても、それが集団中に広まるかどうかは、これまた偶然の賜物である。
9.誤解その2:進化には、目的や方向性があるわけではない。今のチンパンジーが何万年かすればヒトになるということはない。ヒトの方が「価値」が高く、全ての生物はヒトのような高度な存在になる方向に向かう、ということなどないからである。
10.誤解その3:進化は、進歩ではない。進化と進歩の混同がある。通信技術の進化、社会の進化などというが、それらは全て「進歩」である。進歩とは、人間がある価値観に基.ついて「より良くなった」と判断する状況を指す。自動単ができ、飛行機ができ、輸送の環境はどんどん進歩した。これは、「大量の物資を速く世界中に送ることができるのは良いことだ」という人間の価値観に基づけば、進歩である。人権という概念が 一般に広まり、いろいろな人々の置かれた環境が改善されてきたことも進歩である。
11.しかし、これを進化と混同してはいけない。進化は生物現象であり、人聞の価値観とは無縁である。魚類は、普通は目という装置を持っているが、洞窟にすむようになった集団の一部では、眼がなくなってしまった。このように、ある集団が複雑な形質を進化させたのに、後の集団がそれを失うことを退化というが、これも進化の1つの過程である。複雑なものを失ったから悪いと思うのは、人問の価値観にすぎない。


yuji5327 at 06:25 

2020年07月10日

「水素から電子を取るなら水の中」という言葉で始まる会報を書きたかった。「水の中」は、水素の研究におけるキーワードの1つである。

「小江誠司(九州大学大学院工学研究院教授)著:水素からの電子、 學士會会報No.943(2020-)は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.「水素から電子を取るなら水の中」という言葉で始まる会報を書きたかった。「水の中」は、水素の研究におけるキーワードの1つある。自然界には、水素酵素(ヒドロゲナーゼ)が存在する。1887年、ホッペ=ザイラーは川の泥とギ酸カルシウムを混ぜ、一定温度に保つと水素ガスが発生することを見出し、川の泥には水素ガスを生成する酵素を持つ細菌が含まれると考えた。
2.1931年、スティーブンソンとスティックランドは、大腸菌懸濁液が水素によるメチレンブルーの還元を触媒することを見出し、この反応を触媒する酵素をヒドロゲナーゼと名付けた。ヒドロゲナーゼ研究のブレイクスルーは、1995年のフランスのグループによる「NiFe」ヒドロゲナーゼの結晶構造の報告である。ニッケル(Ni)と鉄(Fe)が、水素(H)と2つの硫黄(S)で架橋されている。鉄には 一酸化炭素(CO)と二つのシアン化物イオン(CN-)が付いている。ニッケルには、さらに2つの硫黄が付いている。「NiFe」ヒドロゲナーゼは、活性中心で、水素から電子を取り出す。水素分子は、1つの電子を持っている。非対称な切断を水素のヘテロリティックな開裂といい、水素分子は、プラスH+プロトンと、マイナスH-、ヒドリドイオンに切れる。マイナスのヒドリドイオンをさらに、プロトンと2つの電子に切る。最終的に、水素分子から2つの電子が取り出されたことになる。
3.ヒドロゲナーゼが行う反応を、人工的に再現しようと多くの科学者が挑戦してきたが、困難を極め、2000年以前は、2つの研究グループの報告だけだった。1961年、ハルペン(米国化学会誌)らは、水の中で、ルテニウム触媒を用いて、水素のヘテロリティックな開裂を経由して、水素から電子を取り出す」反応を初めて提案した。反応は、1回だけ進行する(触媒回転数は1)。この年代なので、水素のヘテロリティックな開裂の証拠となるルテニウムヒドリド中間体の観測は行っていない。コンセプトを提案することに意味があった。
4.1992年、スタンフォード大学のコールマンらのグループは、ヒドロゲナーゼの機能モデルとなるルテニウム触媒を用いて、有機溶媒中で「水素のヘテロリティックな開裂を経由して、水素から電子を取り出す」ことを詳細に検討した。これらの反応が繰り返し行われたら、水素からの電子を取り出したことになるが、実際の反応は段階的に進み、繰り返し行うことはできない。1990年代初頭に、水素のヘテロリティックな開裂を経由して、水素から電子を取り出す」メカニズムを詳細に検討した先駆的な研究があった。
5.2020年、遂に、触媒的(触媒回転数は86)に水素のヘテロリティックな開裂を経由して、水素から電子を取り出すことに成功した。終わってみると、2つのキーワードである「水の中」と「電子貯蔵」が、触媒的に水素から電子を取り出す鍵であった。z

yuji5327 at 06:51 

2020年07月09日

精密重合で設計された、環境適合した分解型高分子や、精密制御できる触媒の開発などを通じて、捨てずに蘇らせる高分子材料などが期待される。

「澤本光男(京都大学名誉教授)著:ポリマーを美しく創る・精密重合と高分子の精密合成 學士會会報No.943(2020-)は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.高分子(ポリマー)は、分子量が数千から数百万におよぶ巨大分子をさし、その原料(モノマー)に由来する繰り返し単位が多数概ね鎖状に結合した構造をもち、しばしば真珠のネックレスにたとえられる。プラスチックなど高分子材料は強く、軽く、分解しないなど優れた性質をもち、現代社会の基幹材料として広範に用いられている。また人類はじめ地球上の生物も、水とともにタンパク質、筋肉、酵素、遺伝子などの生体高分子から形作られている。さらに、人類は古くから、絹、綿、ゴムなど自然に見出される天然高分子を繊維や樹脂などとして広く利用してきた。
2.このように、現代の快適、清潔で安全な社会は高分子材料なくしてはあり得ない。石器時代、青銅器時代など、人類の歴史をその時代の基幹材料で分類する場合があるが、これに倣うと、現代は占くからの鉄器時代の延長上にありながら、高分子時代といえる。重合反応スチレンやエチレンなどの重合は連鎖成長重合と呼ばれ、微量であるが高活性の反応中間体(成長種)によりモノマーが次々と結合して高分了を生成する。この重合は、開始、成長、連鎖移動、停止の各素反応からなり、開始で中間体が生まれ、これがモノマーを結合して高分子へと成長する。一方で連鎖移動と停止が起こると、中間体が活性を失って成長が止まるため、同じ反応容器で作られた高分子でも個々の分子量(大きさ)が不揃いになるとともに、様々な構造の高分子が生成する。このように、辿鎖移動と停止は、高分子の生成と構造の制御を妨げる副反応となっている。
3.この点は、タンパク質や遺伝子などの生体高分子が、酵素などにより精密に合成されるため分子量と構造が単一で、精緻な機能を発現するのと対照的であり、この差違の克服は高分子の人工合成の最も重要な課題とされてきた。精密重合と精密高分子連鎖重合のなかで、開始と成長のみからなり、連鎖移動や停止などの副反応が起こらない重合を「精密重合」(リビング重合)と呼ぶ。「リビング」という名称は、反応中間体が終始反応活性を失わない、すなわち「生きている」ことを意味する。
4.精密重合が実現すると、制御された分子量(鎖長)をもち、厳密に規定された構造と物による連鎖重合であるが、中間体(炭素カチオン)の性質を解明し、それに基づいて副反応を抑制する「炭素カチオンの安定化」を提唱して、精密カチオン重合を実現した。詳細は省略するが、そこでは、当時導入された分子量分布の新たなクロマト測定法による反応中間体の多様性の発見とカチオン源/ルイス酸触媒のこ成分開始剤系の開発が鍵となった。5.精密ラジカル重合の開発過酸化物などから生じるラジカルを中間体として進行する連鎖重合をラジカル重合といい、膨大な基礎研究が長年にわたり行われ、毎年世界で数百万トンの高分子材料が生産されている。このように、ラジカル重合は基礎と応用の両面からきわめて重要であるが、ラジカル中間体が特有の副反応(再結合と不均化による停止)を起こすため、その精密制御は困難といわれていた。1990年代になって、精密カチオン重合の研究で培われた中間体の安定化や触媒開発に基づいて、ラジカル重合の精密制御の研究に着手した。その結果、炭素ラジカルを重合に直接用いるのではなく、より安定な前駆体として炭素ーハロゲン結合などの共有結合化合物(休止種)を開始剤に用い、これを金属触媒で活性化してラジカル中間体を生成させると、副反応が抑制できることを見出した。
6.とくに、ルテニウム、鉄などの遷移金属錯体を触媒とすると、アクリル系やスチレン誘導体、酢酸ビニルなど、数多くのモノマーの精密ラジカル重合が可能なことを見出した。金属触媒による精密ラジカル重合の発見は国際的にある種の驚きをもって捉えられたが、同時に高く評価され、関連研究が世界各地で幅広く展開されるきっかけとなった。また、「休止種」に基づく重合制御の考え方は、今では精密重合の一般原理として広く認められている。
7.これらの精密重合は、分子量、末端基、側鎖官能基などの一次分子構造が厳密に設計・制御された機能性高分子の精密合成への途を拓いた。精密高分子は次世代の先端高分子材料として注目され、リチウム2次電池の固体イオン伝導性膜、先端界面活性剤、フォトレジスト、熱可塑性エラストマー、有害物質除去・回収剤等を目指して、実用展開研究が産官学で国際的に展開されている。
8.異なる2種以上の高分子鎖を共有結合でつないだ高分子を「ブロックポリマー」と呼ぶ。たとえば、スチレン(A成分)とポリエーテル鎖をもつメタクリル酸エステル(B成分)のABAーブロックポリマーは、その3元ブロック鎖構造から、各成分がミクロン単位の領域に規則正しく配列した特殊な微細構造(ミクロ相分離構造)を形成し、その柔軟で強靱なフィルムは優れたイオン導電体(高分子固体電解質)となる。
9.これにより、液体電解質を用いた従来型に比べ、電解液の液漏れがなく、安全で高効率のリチウムイオン電池が実現すると期待されている。精密重合を用いると、中央の核からいくつもの高分子鎖(枝)が放射状に結合した「星型ポリマー」も合成できる。ここでは、精密重合による直鎖状リビングポリマーに、2つの重合基(ビニル基)をもつ結合剤を少量反応させる。結合剤は局所的に架橋してミクロゲル核を形成し、これに枝分子が放射状に結合して球状の星型の高分子が生成する。星型ポリマーは、従来の1次元的な直鎖高分子と異なり、3次元的に規制された構造を持ち、その核は微小架橋空間(ナノ空間)を形成し、いわば可溶化されたゲルといえる構造をもつ。
10.架橋剤にフッ素化合物を用いると、1分子あたり数百から数千にもおよぶフッ素原子を核内部に集積できる。このフッ素集積核は、工業洗浄剤などに使用されるフッ素界面活性剤を選択的かつ高効率に捕捉・分離・除去できる。このように、環境保全に貢献する精密高分子も少なくない。
11.精密重合の発展で重要な点は、単に高分子化学にとどまらず、高分子物理や材料科学はもとより、有機化学、生物学、物理学、医学など、関連する諸分野にも精密重合が波及したことにある。これには、一つに、精密重合に触発されて、有機化学など関連する分野からの研究者の参入が相次いだことがあり、他方で、高分子合成を専門としない研究者にも、自らの目的のための自らによる高分子精密合成が拡がったことがある。さらに、一般性と拡張性に優れた様々な精密重合が開発され、その応用展開が国際的に精力的に進んでいる。
12.最近になって、使用された高分子材料が不注意に廃棄され、河川から海洋に流れて、いわゆる「微小プラスチック」や「海洋プラスチックごみ」問題を引き起こし、G20などの国際政治の場でも議論されるようになった。高分子科学も、学術や産業のみならず、このような喫緊の世界的課題にも貢献すべき使命を帯びている。たとえば、精密重合で新たに設計された、真に環境適合した分解型高分子や、重合の逆反応である解重合を精密制御できる触媒の開発などを通じて、高分子を創り、有効に使い、捨てずに蘇らせる高分子材料など、期待される分野は数多い。


yuji5327 at 06:22 

2020年06月12日

自動車業界の課題は、動力性能など車そのものより、モビリティーという、社会全体のシステムに広がりつつある。


「校條浩著:NHKの番組と創造力の関係、週刊ダイヤモンド、2020.06.13」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が増えた人も多いテレビの前で過ごす時間が増えた人も多い。そこで、普段とは少し違う視点で番組を探索することをお勧めする。見ようによつては、創造の感覚が養える。NHKの番組は特にお勧めたい。NHKには官僚的なイメージがあり、シリコンバレーの流儀からは程遠いと思われるかもしれないが、マイナーなチャンネルと思われがちなEテレ、BS1、BSプレミアムには、ありとあらゆる分野の、いぶし銀のような番組が隠れている。
2.米アップルの共同創業者である故スティーブ・ジョブズ氏は、「創造とは、点と点がつながることだ」と言った。「後の人生で何が生きてくるかなど分からない。いろいろな知識、経験の一つ一つの点が人生をつくる」ということである。さまざまな人生の小径を俳徊し、普段使わない脳をマッサージして「点」を作るには、視聴率の高い番組ではなく、NHKの「いぶし銀番組」は良い材料である。
3.具体的にどう番組を選択すればいいのかは、そこで新しい製品・サービスのアイデアを生み出す方法論である「デザイン思考」の枠組みを参考にしてみる。「ここで重要な視点は、「人の理解」「共鳴」「全体俯瞰」である。「人の理解」は、単にユーザーのニーズを探るだけではなく、人々の生活を想像し、その中から学び、また問題点に気付くことである。その肌感覚を得るには、旅番組が面白い。NHKの旅番組では、現地の観光スポットや番組の案内役のタレントが主役ではない。旅先で出会う市井の人々が主役である。
4.中でも「世界ふれあい街歩き」は、カメラ自身が異国の街中を歩き回り、地元の住民との交流をそのまま写している。案内役はカメラそのものであり、視聴者が直接相手と交流している気持ちになる。「駅ピアノ」「空港ピアノ」「街角ピアノ」のビアノシリーズはユニークである。世界中の駅や空港、街角に置いてあるビアノにカメラを固定し録画。通りすがりの人が弾いた後、スタッフが簡単なインタビユーをする。弾いた曲とその人との関わりや、弾いた人がどのような事情で旅をしているのかなど、人々の生きざまが垣間見える。美しい曲を奏でた若者が政情不安定な国を飛び出してきたことなど、意外な事実が明かされたりする。
5.「ザ・リアル・ボイス〜世界の街で聞いてみた〜」では、人々の声をより生々しく聞くことができる。この番組では、海外の人が集まる場所にテーブルと固定マイクを設置して、「あなたの悩みは?」「あなたの大事件は?」などのテーマを現地の言葉で書いたプラカードを掲示する。人々は自然にマイクに向かい、肩の力を抜いて喋りだす。内容は驚くほどストレートである。個人的な悩みもあれば、政治・社会に対する意見もある。その国に住む人々の本当の姿が映し出される。
6.「共鳴」に参考になるのは、さまざまな問題にチャレンジし、自ら道を切り開こうとする勇敢な人を取り上げるような番組である。先駆者の苦悩や勇気といった人間模様を丁寧に紹介するような内容が良い。
7.「NHK映像ファイルあの人に会いたい」や「先人たちの底力知恵泉」は秀逸だ。すでに亡くなった先駆者の功績をただ単に美化するような番組構成ではなく、淡々とその人のストーリーを解説し、社会に足跡を残すまでを紹介する。先駆者が社会に受け入れられるためには何が必要だったかという疑問を突き付けられる。
8.3つ目の「全体俯瞰」には、「国際報道2020」である。世界中のニュースや解説を実に鋭く、かつ冷静に届けてくれる。米CNNテレビのような報道専門チャンネルは、話が細か過ぎて全体像が分かりにくいし、どうしても米国のスタンスが軸になってしまうが、NHKの視点はバランスが良い。公共放送であるNHKで、尖った独自の視点の報道ができることを意外に思うかもしれないが、それには幾つか理由がある。1つ目は、「国際報道2020」は日本国内のニュースをメインでは扱わないので、日本の政財界の有力者や視聴者に忖度する必要がない。2つ目は、表看板の総合テレビではなく、BSという、ある意味で裏チャンネルであるということである。マイナーだから最大公約数の目を気にする必要がなく、そして3つ目は国際的な視野を持つキャスターである。3代続くキャスターたちは、フランクフルト、シンガポール、ロサンゼルス、ワシントン、ソウル、ジユネーブ、北京などの海外支局に勤務し、課題に切り込むための知識と経験を備えている。
9.NHK特有のお行儀の良さはあるが、それはおそらく表の顔である。よく見ていると、解説の行間にプロデューサーやキャスターたちの反骨精神を感じる瞬間がある。例えば、今般の新型コロナウイルスの問題では、医療の科学的な状況と各国の国内および国際的な政治の思惑が絡まるので、視聴者にとってはニュースを額面通りに信じていいのか判断が難しい。しかし「国際報道2020」では、淡々と因子を分析してズバリと問題点を指摘する。日本の外での話題だから、誰にも忖度せずに物が言えるのだろう。
10.さらに面白いのは、世界の課題に切り込むことで、むしろ日本の問題があぶり出されるところである。「他国はこういう課題を抱え難しい決断をしたが、翻って同じような条件の下で日本はどうなのか。果たして日本のメディアによる解説は本当なのか」といった具合である。
11.創造するには、目の前に見えていることよりも大きな枠で課題を俯瞰するのが重要である。例えば自動車業界の課題は、動力性能や環境対策など車そのものの課題から、現在では「AからBに移動する(モビリティー)」という、社会全体のシステムの次元に枠が広がりつつある。このように視点を広く持つには、常に外から内を見る態度が役に立つ。地球上の国際的な枠組みから日本を見つめる「国際報道2020」は、外から内を見る癖を付けるうってつけである。NHKのマイナーな番組には、地味ながら気付きの「点」を得られるようなコンテンツが多い。これらは、仕事や家事で忙しい親だけでなく、子供たちにとっても創造の心を育むのに良い。



yuji5327 at 06:35 

2020年06月09日

今日本にあるインフラで活用できるのは、携帯電話会社のNTTドコモやauに依頼すれば、携帯電話の決済情報に基づいて、国民にオンラインで支払いや請求が可能である。

2020/6/5付けの大前研一さんの「ニュースの視点」(発行部数 158,176部)は「緊急経済対策/寝屋川市〜特別定額給付金の振込に手間取る日本の根本的な問題」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.経済産業省の持続化給付金事業について、手続き業務全体が769億円で民間団体に委託され、さらに業務の大部分は749億円で電通に再委託されていたことがわかった。この経済産業省から委託を受けた一般社団法人が、ほとんど実体がない法人だったことも判明している。その上、法人の代表理事は、給付金の委託業務について把握しておらず、5月14日に辞任の意向を伝えている、というのだから驚く。
2.この法人から電通が再委託を受けているので、裏で電通が動いていたのは間違いない。しかも電通は「お金を配布する機構」を持っていないから、この業務を受ける理由がない。そもそも、各市町村でもできる給付金配布業務に、なぜ769億円も必要なのか、全く理解できない。おそらく「桜を見る会」と同じような、表に出せない事情があると思われる。電通に再委託する前に、一般社団法人でも20億円もの資金が中抜きされているから、何か怪しい動きがあったのかもしれない。安倍政権では、このようなことが多すぎて、いい加減にしてほしい。
3.大阪府寝屋川市は先月28日、国民1人につき10万円を給付する特別定額給付金について、誤って993世帯2196人に二重に振り込んでいたと発表した。世帯数の約10%、人口の約1%に、オンライン請求と紙の請求の重複をチェックせず、支払ってしまったということである。そして、今は二重に支払ってしまった人たちに対して、返却してもらうための書類を送っているというのは笑い話である。
4.根本的な問題は、日本では「国と国民がオンラインでつながっていない」という点にある。プライバシー保護などの意見に考慮し、マイナンバー制度も使用できる機能をあえて制限している。それなのに、無理にオンラインを活用しようとするから、このような事態を招いてしまう。
5.もし今日本にあるインフラで活用できるものがあるとすれば、携帯電話会社のインフラである。NTTドコモやauに依頼すれば、携帯電話の決済情報に基づいて、大部分の国民にオンラインで支払いや請求をすることが可能である。もちろん、携帯電話・スマートフォンを複数台所有している人もいるので、重複チェックは必要だが、技術的には比較的簡単である。日本は「国と国民がオンラインでつながる仕掛けを持っていない」という問題を解決しない限り、今後も同じようなことを繰り返すと思われる。



yuji5327 at 06:49 
池上技術士事務所の紹介
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池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
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のテーマについて、
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有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(常務理事)
 青山賞、春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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