新技術

2020年06月12日

自動車業界の課題は、動力性能など車そのものより、モビリティーという、社会全体のシステムに広がりつつある。


「校條浩著:NHKの番組と創造力の関係、週刊ダイヤモンド、2020.06.13」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が増えた人も多いテレビの前で過ごす時間が増えた人も多い。そこで、普段とは少し違う視点で番組を探索することをお勧めする。見ようによつては、創造の感覚が養える。NHKの番組は特にお勧めたい。NHKには官僚的なイメージがあり、シリコンバレーの流儀からは程遠いと思われるかもしれないが、マイナーなチャンネルと思われがちなEテレ、BS1、BSプレミアムには、ありとあらゆる分野の、いぶし銀のような番組が隠れている。
2.米アップルの共同創業者である故スティーブ・ジョブズ氏は、「創造とは、点と点がつながることだ」と言った。「後の人生で何が生きてくるかなど分からない。いろいろな知識、経験の一つ一つの点が人生をつくる」ということである。さまざまな人生の小径を俳徊し、普段使わない脳をマッサージして「点」を作るには、視聴率の高い番組ではなく、NHKの「いぶし銀番組」は良い材料である。
3.具体的にどう番組を選択すればいいのかは、そこで新しい製品・サービスのアイデアを生み出す方法論である「デザイン思考」の枠組みを参考にしてみる。「ここで重要な視点は、「人の理解」「共鳴」「全体俯瞰」である。「人の理解」は、単にユーザーのニーズを探るだけではなく、人々の生活を想像し、その中から学び、また問題点に気付くことである。その肌感覚を得るには、旅番組が面白い。NHKの旅番組では、現地の観光スポットや番組の案内役のタレントが主役ではない。旅先で出会う市井の人々が主役である。
4.中でも「世界ふれあい街歩き」は、カメラ自身が異国の街中を歩き回り、地元の住民との交流をそのまま写している。案内役はカメラそのものであり、視聴者が直接相手と交流している気持ちになる。「駅ピアノ」「空港ピアノ」「街角ピアノ」のビアノシリーズはユニークである。世界中の駅や空港、街角に置いてあるビアノにカメラを固定し録画。通りすがりの人が弾いた後、スタッフが簡単なインタビユーをする。弾いた曲とその人との関わりや、弾いた人がどのような事情で旅をしているのかなど、人々の生きざまが垣間見える。美しい曲を奏でた若者が政情不安定な国を飛び出してきたことなど、意外な事実が明かされたりする。
5.「ザ・リアル・ボイス〜世界の街で聞いてみた〜」では、人々の声をより生々しく聞くことができる。この番組では、海外の人が集まる場所にテーブルと固定マイクを設置して、「あなたの悩みは?」「あなたの大事件は?」などのテーマを現地の言葉で書いたプラカードを掲示する。人々は自然にマイクに向かい、肩の力を抜いて喋りだす。内容は驚くほどストレートである。個人的な悩みもあれば、政治・社会に対する意見もある。その国に住む人々の本当の姿が映し出される。
6.「共鳴」に参考になるのは、さまざまな問題にチャレンジし、自ら道を切り開こうとする勇敢な人を取り上げるような番組である。先駆者の苦悩や勇気といった人間模様を丁寧に紹介するような内容が良い。
7.「NHK映像ファイルあの人に会いたい」や「先人たちの底力知恵泉」は秀逸だ。すでに亡くなった先駆者の功績をただ単に美化するような番組構成ではなく、淡々とその人のストーリーを解説し、社会に足跡を残すまでを紹介する。先駆者が社会に受け入れられるためには何が必要だったかという疑問を突き付けられる。
8.3つ目の「全体俯瞰」には、「国際報道2020」である。世界中のニュースや解説を実に鋭く、かつ冷静に届けてくれる。米CNNテレビのような報道専門チャンネルは、話が細か過ぎて全体像が分かりにくいし、どうしても米国のスタンスが軸になってしまうが、NHKの視点はバランスが良い。公共放送であるNHKで、尖った独自の視点の報道ができることを意外に思うかもしれないが、それには幾つか理由がある。1つ目は、「国際報道2020」は日本国内のニュースをメインでは扱わないので、日本の政財界の有力者や視聴者に忖度する必要がない。2つ目は、表看板の総合テレビではなく、BSという、ある意味で裏チャンネルであるということである。マイナーだから最大公約数の目を気にする必要がなく、そして3つ目は国際的な視野を持つキャスターである。3代続くキャスターたちは、フランクフルト、シンガポール、ロサンゼルス、ワシントン、ソウル、ジユネーブ、北京などの海外支局に勤務し、課題に切り込むための知識と経験を備えている。
9.NHK特有のお行儀の良さはあるが、それはおそらく表の顔である。よく見ていると、解説の行間にプロデューサーやキャスターたちの反骨精神を感じる瞬間がある。例えば、今般の新型コロナウイルスの問題では、医療の科学的な状況と各国の国内および国際的な政治の思惑が絡まるので、視聴者にとってはニュースを額面通りに信じていいのか判断が難しい。しかし「国際報道2020」では、淡々と因子を分析してズバリと問題点を指摘する。日本の外での話題だから、誰にも忖度せずに物が言えるのだろう。
10.さらに面白いのは、世界の課題に切り込むことで、むしろ日本の問題があぶり出されるところである。「他国はこういう課題を抱え難しい決断をしたが、翻って同じような条件の下で日本はどうなのか。果たして日本のメディアによる解説は本当なのか」といった具合である。
11.創造するには、目の前に見えていることよりも大きな枠で課題を俯瞰するのが重要である。例えば自動車業界の課題は、動力性能や環境対策など車そのものの課題から、現在では「AからBに移動する(モビリティー)」という、社会全体のシステムの次元に枠が広がりつつある。このように視点を広く持つには、常に外から内を見る態度が役に立つ。地球上の国際的な枠組みから日本を見つめる「国際報道2020」は、外から内を見る癖を付けるうってつけである。NHKのマイナーな番組には、地味ながら気付きの「点」を得られるようなコンテンツが多い。これらは、仕事や家事で忙しい親だけでなく、子供たちにとっても創造の心を育むのに良い。



yuji5327 at 06:35 

2020年06月09日

今日本にあるインフラで活用できるのは、携帯電話会社のNTTドコモやauに依頼すれば、携帯電話の決済情報に基づいて、国民にオンラインで支払いや請求が可能である。

2020/6/5付けの大前研一さんの「ニュースの視点」(発行部数 158,176部)は「緊急経済対策/寝屋川市〜特別定額給付金の振込に手間取る日本の根本的な問題」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.経済産業省の持続化給付金事業について、手続き業務全体が769億円で民間団体に委託され、さらに業務の大部分は749億円で電通に再委託されていたことがわかった。この経済産業省から委託を受けた一般社団法人が、ほとんど実体がない法人だったことも判明している。その上、法人の代表理事は、給付金の委託業務について把握しておらず、5月14日に辞任の意向を伝えている、というのだから驚く。
2.この法人から電通が再委託を受けているので、裏で電通が動いていたのは間違いない。しかも電通は「お金を配布する機構」を持っていないから、この業務を受ける理由がない。そもそも、各市町村でもできる給付金配布業務に、なぜ769億円も必要なのか、全く理解できない。おそらく「桜を見る会」と同じような、表に出せない事情があると思われる。電通に再委託する前に、一般社団法人でも20億円もの資金が中抜きされているから、何か怪しい動きがあったのかもしれない。安倍政権では、このようなことが多すぎて、いい加減にしてほしい。
3.大阪府寝屋川市は先月28日、国民1人につき10万円を給付する特別定額給付金について、誤って993世帯2196人に二重に振り込んでいたと発表した。世帯数の約10%、人口の約1%に、オンライン請求と紙の請求の重複をチェックせず、支払ってしまったということである。そして、今は二重に支払ってしまった人たちに対して、返却してもらうための書類を送っているというのは笑い話である。
4.根本的な問題は、日本では「国と国民がオンラインでつながっていない」という点にある。プライバシー保護などの意見に考慮し、マイナンバー制度も使用できる機能をあえて制限している。それなのに、無理にオンラインを活用しようとするから、このような事態を招いてしまう。
5.もし今日本にあるインフラで活用できるものがあるとすれば、携帯電話会社のインフラである。NTTドコモやauに依頼すれば、携帯電話の決済情報に基づいて、大部分の国民にオンラインで支払いや請求をすることが可能である。もちろん、携帯電話・スマートフォンを複数台所有している人もいるので、重複チェックは必要だが、技術的には比較的簡単である。日本は「国と国民がオンラインでつながる仕掛けを持っていない」という問題を解決しない限り、今後も同じようなことを繰り返すと思われる。



yuji5327 at 06:49 

2020年06月08日

衛星によるリモートセンシング技術が進展し、雲内部の微粒子の動向を捉えることができる。


「木本昌秀(東京大字大気海洋研究所・教授)著:地球の気候変化の鍵を握る 雲の中で何が起こっているか 週刊ダイヤモンド 2020.06.06」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.空に浮かぶ雲にふと目が行き、癒やしを感じた経験は誰しもある。われわれ人間は、海辺の波のさざめきや木々の佇まいなど、聴覚的にも視覚的にも、いろいろな周波数、波長の交ざったある程度の不規則性を持ったものに癒やしを感じる。雲もその一つである。雲とは、大気中に浮かぶ水または氷の粒のことである。水蒸気を含む空気塊が冷やされるとき、飽和水蒸気量を超えた余分な水蒸気が凝結して雲水または雲氷になる。空気塊を冷やすプロセスには、上昇気流に伴う膨張と、気圧低下や夜間の放射による冷却がある。
2.雲を形態的に分類すると、晴天積雲やうろこ雲など隙間が多く、ボコボコした印象の積雲系と、空間的に比較的一様で隙間の少ない層雲系に分けられる。積雲系の雲では、雲の中と外で上昇、下降気流がはっきりしており、雲のあるなしが視覚的によく見えている。上下運動を伴う空気の運動を「対流」と呼ぴ、積雲系の雲は対流雲と呼ばれることもある。しかし、層雲系の雲でも、雲の内部では、細かい規模の乱れた対流=乱流が生じている。
3.飛行機が雲の中に入ると、このような乱気流の影響で揺れが大きくなる。雲の中で乱流が活発なことは、夏に発達する入道雲(積乱雲)の表面がカリフラワーのような凹凸を持ち、もくもくと動いている様子からも知ることができる。
4.雲の中での雲粒の大きさや数の分布はばらつきが大きい。雲粒の形成は、凝結水分が空気中に浮かぶ微粒子(凝結核)を見つけて取り付くことから始まり、その後、それらの粒同士の衝突併合や、さらなる凝結によって雨粒の大きさまで成長し、落下する。凝結核の空聞分布は決して一様ではないし、その後の成長過程も粒ごとにまちまちであるので、雲の中の雲粒分布にばらつきが生じる。雲粒の水分の一部は、もう一度空気中に水蒸気となって蒸発したりもする。凝結、蒸発に際しての、水の相変化に伴う凝結熱が周囲の空気を暖めたり冷やしたりするので、雲中では、温度や密度の分布にもばらつきが生じ、その差を埋めようとして乱流が生じる。
5.凝結核として働く微粒子には、風で巻き上げられた海塩や砂粒など自然に生じるものもあるが、人間活動から出る大気汚染物質(=大気中の小さな塵粒、エアロゾルと呼ぶ)も有効である。凝結核が増えると雲の発達が加速される。ヨウ化銀のような凝結核になり得る物質を飛行機などから人工的にまいて、雲や雨の動きを制御しようとする試みは、「人工降雨」と呼ばれている。
6.近年では、中国・北京オリンピックの開会式に際して、上流の雨雲にロケットでヨウ化銀を撃ち込んで制御しようとした試みが有名であ.る。幸い雨天は免れたのだが、予報が外れただけだったのかもしれない。人工制御の効果を科学的に証明することは難しい。さて、雲の地球気候の中での一番の働きは、海水から蒸発して大気中に供給される水蒸気を雨や雪にして地表へ戻す、地球規模の水の循環の主役としての役割であるが、同時に雲は、地球の気温を決める熱収支にも大きな役割を果たしている。
7.地球の平均気温は、太陽光から受けた熱工ネルギーを地球が自分の温度に応じて宇宙に射出する熱の出し入れのバランスで決まっている。太陽からのエネルギーも地球が出すものも同じ電磁波なのだが、絶対温度約6000度の太陽と、たかだか300度の地球では、射出される電磁波の波長が著しく異なる。温度が高い物質ほど射山する放射の波長は短く、エネルギーは大きくなる。太陽放射は、人問の日に感度のある可視光がその中心だが、地球放射はもっと波長の長い赤外線領域にあり、人間の日には見えない。割
8.雲は、地球の放射熱バランスにおいて2つの役割を果たしている。第1には、太陽光を反射すること、そして第2には、地表からの赤外線の一部を吸収し、再び地表へ向けて下同きに射出することによる、いわゆる温室効果である。大気下層の層雲や層積雲は、空間的に一様で太陽光を効率的に反射す.る。飛行機などで、上から見たときに自さが際立つことからも分かる。
9.太陽光を反射する雲は、地表の気温を下げる効果を持つ。一方、上層の雲は、太陽光反射能力もさることながら、温室効果が相対的に大きくなり、地表を暖める効果を持つ。上層雲は、宇宙へ向けて射出する赤外放射が、温度の高い地面近くの下層雲に比べて小さくなるので、その分だけ自分より下層の空気を暖める温室効果が大きくなるのである。このように、雲は地球気候を決めるのに、大きな役割を果たしている。従って、地球が温暖化した際に、雲が現在と比べてどう変化するのかが、気温や雨最やその地理分布といった気候変化の予測に大きな影響を持つ。
10.予測の精度を上げるには、雲の実態、特に雲中での雲粒の数や大きさ、そしてエアロゾルの役割の解明が重要である。エアロゾルは、種類に応じてそれ自身が太陽光を反射したり吸収したりするほか、凝結核として雲形成を左右し、雲の寿命や放射効果を変える役割も持つ。積乱雲のような激しい気象現象を伴う雲だけでなく、穏やかに広範閉を覆う下層雲の放射効果もグローバルな気候を左右する。
11.雲の実態、特に雲中の微粒子の観測は容易ではない。しかし近年、衛星によるリモートセンシング技術が大きく進展し、さまざまな観測器の組み合わせにより、雲内部の微粒子の動向を捉えることができるようになった。これまでに経験のない気候変化の予測という困難については、数値シミュレーションで気候変化を左右する微物理プロセスを見つけ出し、観測データを参照して、そのプロセスの量的に確からしい範囲を特定する、というアプローチが大きな進展を見せつつある。ミリメートル以下の粒子の微物理がグローバル気候を左右する現象の解明への挑戦が始まっている。


yuji5327 at 06:27 

2020年06月04日

一つの「数学」では、足し算と掛け算は固く結び付いている。ゴリ押しすると、矛盾が起こる。複数の数学で矛盾を回避する。


「加藤文元(東工大教授)著:超難問のABC予想を証明・望月教授のIUT理論の衝撃 週刊ダイヤモンド 2020.05.30」は面白い。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.4月3日、新型コロナウイルスの感染拡大で閉塞感の漂う中、数学界のビッグニュースが日本を駆け巡った。京都大学数理解析研究所の望月新一教授が構築した型宙際タイヒミユラー理論(IUT理論この論文が、ついに数学の専門雑誌「PRIMS」に受理.されたという内容である。このニュースがメディアでも大きく取り上げられたのは、IUT理論によって、数学の整数論における最も重要な予想問題の一つであった「ABC予想」が解決するからである。
2.ABC予想とは a+b=cとなる3つの自然数(2以上の公約数を持たない)を巡る予想である。aとbとcを掛け算したものを素因数分解し、登場する異なる素数を1回ずつ掛け算したものをdとする。大抵の場合はdの方がcより大きい。しかし、まれにdの方がcよ小さくなることがある。
3.例えばa¬=7、b=9とするとcは16だ。そしてabc=2×2×2×2×3×3×7なので、d=2×3×7=42となり、確かにdの方がcより大きい。他のaやbで計算してみるのもよい。高尚な暇つぶしにもいい。いろいろと試してみて、dの方がeより小さい場合に出くわしたら、幸運である。大抵の場合はdの方が大きいからである。dの方が小さいという「例外」が、実際に少ないということを数式で正確に記述できるとするのがABC予想である。
4.この予想は一見、単なる数遊びのようにも見える。しかし実はとても難しく、とても深い問題である。そして、この問題は整数論における多くの難問と密接に関係している。ABC予想の解決は、これらの問題の多くを一挙に解決に導く、とてもインパクトの大きい事件である。
5.ABC予想が難しい理由は、数の世界の足し算的側面と掛け算的側面の絡み合いに、真止面から対峙するからである。数には足し算と掛け算という、2つの演算がある。足し算を基調にして考えると、自然数は単純である。「1」をどんどん足していけば、どんな自然数も作れる。しかし、掛け算的な側面から考えると自然数は複雑である。どんな自然数も素数の積に分解できるから、素数が基本になる。
6.しかし、素数は無限に多く存在する。さらに、この2つの側面の関係は、もっと複雑である。ある素数に幾つ1を足したら次の素数になるのか、そんな法則はとても分かりそうにない。高度に進んだ現代数学をもってしても、こればかりは無理である。足し算と掛け算の関係は複雑過ぎて、到底分からないとしか言いようがない。先に述べた数「c」はaとbの足し算でできるが、数「d」は掛け算a×b×cの素因数分解を使って計算される数である。前者が足し算的側面の代表選手ならば、後者は掛け算的側面の代表選手である。7.そしてABC予想は、これら2つの数の間の大小という関係を問題にしている。まさに、数の世界の足し算的側面と掛け算的側面の複雑怪奇な絡み合いに、がっぷり4つに取り組んでいる。ABC予想は数の世界の深層を暴こうとしている。だから、望月教授による今回の業績でも、ABC予想を解決に導くために、「足し算と掛け算の関係」という数の世界の深層を相手にしなければならない。
8.数という簡単そうで極めて深い対象の、これほどまでに根本的な構造にメスを入れた人は、もしかしたら人類史上でも望月教授が初めてかもしれない。望月教授が今回の論文を発表したのは、2012年8月。発表直後に論文はPRIMSに投稿されたが、受理されるまでに7年半もの時聞を要した。7年半という時間は、数学の大論文のものとしては最長ではないと思われるものの、やはりそれでも長い時間である。それもそのはず、この論文が提唱するIUT理論は、数学のやり方を抜本的に変革するものだからである。
9.望月教授が提唱したIUT理論の真骨頂は、整数や有理数などを含めた「数体」と呼ばれる対象に対する「手術」を行うことで、この「足し算と掛け算」の間の複雑な絡み合いを破壊することにある。足し算と掛け算をバラバラの形で変形させ、これを再度縫合して〔できるだけ)元に戻すということをする。それが可能なのは、IUT理論は非常に高度な理論なので、その全容を一言で述べることは筆者の力量を超えている。しかし、その理論の底に流れる思想的側面には、ある種の自然性を見いだすことができる。本論文の著書『宇宙と宇宙をつなぐ数学」(KADOKAWA)では、この自然なアプローチのありさまを、全ての人々に分かるようにかみ砕いて説明することを試みた。そのかいもあってか、この本は刊行以来、この手のものとしては異例の話題を呼び、今でも多くの人たちに読まれている。
10.かみ砕いて言うと、足し算と掛け算をバラバラにするには、数学に新しい柔軟性が必要になる。それまで「堅い」と思われてきた足し算と掛け算の関係を、柔らかくする方法が必要である。そのために、IUT理論は複数の数学的「宇宙」を考える。宇宙とは、その中で普通の数学ができる環境一式である。
11、一つの「数学」の中では、足し算と掛け算は 一蓮托生に固く結び付いていて、どうしようもない。そこをゴリ押しすると、たちまち矛盾が起こる。だから、複数の数学にまたがって議論することによって矛盾を回避する。そういう新しい柔軟性をIUT理.論は作り出している。そういう突拍子もないことを、IUT理論は考える。だからこの理論は、従来の数学がやってこなかったような、とてもデリケートで精密なやり方を、数学に要求している。IUT理論が提案する数学の革命と、それが及ぼす影響については、別の機会に解説する。



yuji5327 at 06:21 

2020年05月14日

トランジスタの高速化は、1948年のトランジスタの誕生以来、半導体素子工学の目標であった。高速化で、大量の情報を処理したり、高周波数の電波信号を送受信することができる。

「三村高志著:高電子移動度トランジスタ〈HEMT)の研究成果、學士會会報No.942(2020-})は参考になる。
1.HEMTとは、電子の高速走行を実現したトランジスタである。動作原理や素子構造において、従来デバイスとは一線を画するトランジスタである。2000年にアメリカのクリントン政権が発表したNational Nanotechnology Instituteにおいて提唱されたナノテクノロジーの代表例の一つとしてHEMTが挙げられ、世界的な研究開発は現在もきわめて活発である。HEMTはすでに国内外の多くの企業で商品化され、電波天文学の進歩や衛星放送を爆発的に普及させるなど、各種情報通信システムのキー・デバイスとして活躍の場を拡げている。
2.トランジスタの高速化という技術課題は、1948年のトランジスタの誕生以来、半導体素子工学における強力なドライビングフォースであった。トランジスタが高速化されれば、大量の情報を短時間で処理したり、高い周波数をもつ電波信号を送受信することが可能になるなど、各種情報通信システムの性能向ヒが期待されるからである。
3.トランジスタの高速性を支配する基本的な要因については、トランジスタの動作スピードは、入力信号を担なったキャリア、たとえば電子が入力電極(ゲート電極)を走り抜けるのに要する時間で決まる。この時間を短くしてやれば、高速になる。だから、高速化には2つの方法が考えられる。その1つば、ゲート電極を短くしてやる、つまり微細化である。これは、シリコンの集積回路などで世代ごとに微細化が進むのを見ても分かるように、半導体デバイスでは伝統的手法である。トランジスタを高速化するもう1つの方法は、電子の走行速度をアップしてやることである。走行速度をアップさせるには。電流は電圧の大きさに比例するというオームの法則が役に立つ。電流が電圧とともに増加するのは、電子の走行速度がアップするためである。スピードアップのしやすさを移動度とかモビリティと呼んでいる。したがって、トランジスタを高速にするためには、電子移動度をできるだけ高くしてやればよい。
4.電子移動度というのは、半導体の種類によって異なるし、温度によっても著しく変化する。さらに、半導体中に添加するドナーやアクセプターなどの不純物の濃度によっても、移動度は大きく影響される。Siより電子移動度が高いことで知られるガリウムヒ素でも、不純物を殆ど含まない高純度のものであれば、電子移動度はSiより6倍位高い値を持つが、実用的なGaAsの電界効果トランジスタの電流路に使われるドナー濃度10**18/cm-3では、Siと同程度にまで低下してしまう。
5.ドナー濃度が高くなる程、電子がドナーと衝突する機会が増え、衝突する度に電子の運動方向がでたらめに曲げられる結果、電子のスピードが遅くなってしまうからである。このことが従来のトランジスタにおける技術的なバリアであった。つまり、電子移動度の観点から、出来る限り高純度の半導体を使いたいわけだが、一方、トランジスタに電流を流すためには電子を産み出すドナー不純物の添加が必須であり、電子移動度が低下してしまうというジレンマである。
6.HEMTにおいて、高電子移動度を得る仕掛けというのは、実はこのジレンマを解消する工夫に他ならない。HEMTの最も特徴的な構造部分は、不純物のない高純度GaAs層のの上部に、n型AlGaAs層を積層した2層構造になっている。こういう異種半導体の積層構造をヘテロ接合とかヘテロ構造と呼んでいる。2層構造上部のAlAsGa層には、電子を発生させるためにドナーとなるSi原子が添加されている。こういう構造にしてやると、電子は面白い空間分布をする。つまり、AlGaAs層中のドナーから発生した電子は、2層構造下部のGaAs層側へ移動してしまう。半導体には電子親和力という電子を引きつける性質があり、GaAsのほうがAlGaAsより電子親和力が強いためである。
7.電子親和力の差が、伝導帯のエネルギー段差となって現れ、電子にとってはAlGaAs層にいるよりは、GaAs層へ移動したほうがエネルギー的に得をすることになる。この結果、AlGaAs層にはプラスにイオン化したドナーが残り、GaAS層には2次元電子ガスが形成される。つまり、電子はドナーから空間的に分離される。このため、ドナーとの衝突がなくなり、高速で走れるようになる。これが、HEMTにおける高電子移動度を得る仕掛けの本質である。
8.現在HEMTは、衛星放送受信用コンバータや携帯電話機、自動車レーダ等に広く使われている。しかしこのような量産家電市場向けの製品化プランが当初からあったわけではない。1980年代初期には既存のマーケットに投入するには技術的な問題が山積していた。とりわけコストパフォーマンスの観点からGaAsMESEFTのような実績のある従来デバイスに到底太刀打ちできなかった。いろいろ検討した末、可能性のある応用分野としてマイクロ波帯の衛星通信分野に挑戦してはということになった。そこでHEMTの低雑音増幅器を試作し、1983年の国際固体回路会議で発表することになった。
9.HEMTの商品化のきっかけは思いがけないところから始まる。この発表をおこなった仲間が席にもどると、今あなたが発表したHEMTを売ってほしいといわれた。依頼主は米国の電波天文台の関係者であった。発表したHEMTの液体窒素温度での雑音性能がGaAs MESEFTに比べ若干優れており、また従来からかれらが使っていたパラメトリック増幅器より長時問安定に動作する可能性を持っていたためである。このことが一つの契機となり、1985年に野辺山電波天文台の直径45mのパラボラアンテナに設置された低雑音増幅器がHEMTのはじめての製品である。
10.このHEMT増幅器は、暗黒星雲の中の未知の炭化水素分子の発見に貢献し、その後世界中の電波天、文台に設置されるようになった。マーケットの出現によって技術進化が加速され、イノベーションに向けた最初の一歩が踏み出されたからである。
11.HEMTが本格的に普及し始めたのは1987年頃からである。従来からのGaAsMESFETにかわり、衛星放送受信用パラボラアンテナの低雑音増幅器として使われるようになった。HEMTを使うことでパラボラアンテナのサイズが従来の半分以下にまで小さくなり、衛星放送は日本や西側ヨーロッパ諸国のみならず、当時国交の無かった東欧の一般家庭にまで爆発的に普及した。このような急速な普及が可能となった背景には、MBE(分子線結晶成長法)やMOCVD(有機金属化学気相成長法)といった原子層レベルで結晶成長を制御するナノテクノロジーや素子構造の最適化、選択ドライエッチングなどHEMTに固有な量産化技術が開発されたことが挙げられる。
12.HEMTはマイクロ波、ミリ波領域の各種装置で高速・低雑音性能に優れた素子として必須部品となつており、情報通信社会を支える基盤技術の1つとして認識されている。1例を挙げれば、今では私たちの生活に欠くことができないものになっているスマートフォン・携帯電話において、基地局から端末に電波を送るところでHEMTは使われている。高周波領域で効率よく信号を増幅することができるため、消費電力を小さくできる利点がある。商用化されつつある5Gやその先の移動通信システムでは、更に高い周波数領域も 使われると予想されており、300GHz帯でのデモも報告されている。この用途ではHEMTの有用性が一層増すであろう。
13.1980年にHEMTを発表して今年で40年になる。この間HEMTは、一方では衛星放送受信システムや携帯電話システムなど、情報通信イノベーションを推進した基盤技術として広く普及し、また他方では電波望遠鏡の高性能化を通じ、宇宙の神秘を解明する基礎科学に貢献してきた。今後、情報通信技術の一層の高度化に向け、従来からのGaAsやInPを用いたHEMTに加え、GaNHEMTなど、技術開発のフロンティアは広範囲に拡がり、現在においてもなお多くの研究者の努力が傾けられている。さらにエネルギーの高効率な利活用や、環境にやさしい情報通信技術の実現など、HEMTによる持続可能な社会の実現に向け大きな役割を果たすものと期待される。


yuji5327 at 06:45 

2020年05月12日

ボストン郊外のバイオテクノロジー企業であるモデルナ社は、新型コロナウイルスのワクチンを生成。ヒトを対象とした臨床試験を開始するまでの最短記録42日を樹立した。

「Hannah Kuchier(ファイナンシャル・タイムズ記者):コロナ危機の終息を左右する「ワクチン開発」の最前線 COURRIER June 2020」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1. 2月下旬、ボストン郊外に拠点を置くバイオテクノロジー企業であるモデルナ社は、新型コロナウイルスを同定してワクチンを生成。ヒトを対象とした臨床試験を開始するまでの最短.記録を樹立した。その期間はわずか42日だった。研究室内でチームは興奮していたが、製造を担当して30年になる製薬の専門家であるアンドレスは、ワクチン候補を目的地へと配送する大型トラックの状況を気にして、携帯電話を確認していた。ワクチン候補は米国国立衛生研究所(NIH)へと運ばれ、その機能を確認するための臨床試験.が開始される。「この競争に誇りを持っています」と彼は言う。
2.「ワクチンをなるべく早く開発することは、我々の責務です」ワクチン候補が安全に到着したことが確認されると、チームはアイスクリームで祝った。少なくとも100人のモデルナ社員が本プロジェクトに関わったが、モデルナ社は、新型コロナウイルスに対するワクチンを開発するために戦う20以上の企業・公的機関のうちのーつである。新型コロナウイルスはこれまでに世界中の約225万人以上が罹患し、約15万人.が死亡してい
る〔4月20.日時点}。感染症流行対策イノベーション連合〔CEPI}は、世界の健康を脅かす新興疾患と戦うために3年前に設立された政府、業界、慈善団体の連合組織であり、モデルナ社を含む複数の新型コロナウイルスのワクチン開発プロジェクトを既に支援している。
3.CEP正の最高経営責任者であるリチャード・ハチェットは、必要とされるスピードに合わせて新型コロナウイルスのワクチンを開発するとなると、今後12〜18ヵ月で約2100億円かかると見積もる。モデルナ社は最速のスタートを切り、他社は少し遅れているとハチェットは考えている。彼は、1918年のスベインにおけるインフルエンザ大流行を引き合いに出し、こう語った。
4.2月に提案を募集したところ、世界中から48の申請があった。事態は切追している。我々が直面している脅威は、そのスピードと潜在的な重症度という観点から、過去100年において前例のないものだからである。
5.モデルナ社は、2009年にメキシコで発症した豚インフルエンザHlNlの大流行に携わった最高経営責任者のステファン・バンセルが、国立衛生研究所に電話をかけたことをきっかけとして動き出した。この秋に両組織は、モデルナ社の製造工場でテストを実行し、大流行にどれだけ迅速に対応できるかを確認することで合意していた。しかし、テストをおこなう前に、新型コロナウイルスの流行が起きた。
6.ボストン郊外の丘に位置するモデルナ社のノーウッド工場は、標準的な医薬品工場よりも小さいが、パーソナライズ化されている医薬品候補などに素早く適応できるように構築されている。
7、1月10日に中国の科学者が新型コロナウイルスのゲノム(3万の遺伝子コードのすべてをオンラインで公開するや否や、ワクチン開発競争が本格的に始まった。ゲノム配列を得て、開発競争に加わった。米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は、次に大流行するウイルスを、前もって予測することは不可能である。ある種の病原体(ウイルス)のワクチン開発を試みるのではなく、ワクチンが迅速に開発できるようにするためのプラットフォーム技術の開発を試みる必要がある、とファウチは述べる。そうしたプラットフォームの1つが、ウイルス遺伝学に基づいたモデルナ社によるワクチンの製造である。2月7日までに、同社の科学者たちは、4月に予定されている健康なボランティアを対象としたNIHの初期試験に充分な量の臨床投与可能なワクチンを製造した。
8.その後、研究者はバッチが無菌状態かどうかを確認するため、2週間かけて菌の成長を確認した。スタッフは、再製造する必要がある場合に備え、他の必要なテストを迅速に完了した。ワクチンの専門家によると、開発を急いだとしても、ワクチンが広範囲に使用できるようになるまでには少なくとも1年から1年半かかるという。通常、ワクチン開発には数年かかる。安全性試験を実施した後、有効性を確認するための大規模な臨床試験が必要である。
9.その一方で、流行が世界中に広がり、さらに数千人または数百万人もの人々が死亡する可能性がある。モデルナ社や競合他社のワクチン研究は、コロナウイルスが来年もまた別の大流行を起こすか、季節性インフルエンザのような風土病となった場合にのみ有用である。商業的利益が不確実にもかかわらず、感染症の流行に対して業界が反応するのは、企業の社会的責任と、科学的な課題に対処すべきだという使命感によるものである。
10.ウェルカム社や後のグラクソ・スミスクライン(GSK)社が198O年代にエイズの画期的な治療薬「ジドブジン」を開発したように、多額の利益を得る場合もある。モデルナ社が人に対する臨床試験を開始した最初の会社だが、ジョンソン・エンド・ジョンソンや仏サノフィといった大手製薬会社から、クイーンズランド大学などの研究機関まで、多くの組織がワクチンの開発に取り組んでいる。



yuji5327 at 06:22 

2020年05月11日

世界最大のワクチンメーカーであるGSKは、中国最大のバイオ医薬品製造事業を自社展開する中国のクローバー・バイオファーマ社との提携を発表している。

「Hannah Kuchier(ファイナンシャル・タイムズ記者):コロナ危機の終息を左右する「ワクチン開発」の最前線 COURRIER June 2020」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.遣伝子情報の解読と構造生物学の新技術により、ワクチン開発には変革が訪れている。科学者たちは検体の入手を待たなくても、ウイルスを独自に合成することができるようになった。ピッツバーグ大学のワクチン研究センター所長であるポール・デュプレクスは、新しい分野への道が開かれたと説明する。「特定の研究室でウイルスを培養しなければならないという制限がなくなり、さまざまな方法で問題を取り組む人が増えている」と言っている。
2.カリフォルニア州のラホーヤ免疫研究所のシェーン・クロッティ教授は、すでに病気に罹患した患者から最もよい免疫反応を探し出し、それを複製することでより強固なワクチンを製造するといったアプローチも進んでいる。これは過去5年間で最も大きく、期待できる技術の進歩だった。人を対象とLた臨床試験を開始L、良好な結果が得られそうなものもある。ワクチン生成において、はるかに洗練された方法である。モデルナ社のバンセルCEOは、1月にダボスで開催された世界経済フォーラムで、同社のワクチン開発に資金.提供するCEPIの契約に署名した。ダボスは2017年にCEPIが設立された場所でもある。
3.CEPIのハチェットCEOに、この場合の「迅速に」とは「今すぐ」を意味していると語った。そして、この契約は大流行に関して初めて議論した日からわずか2日後に署名された。モデルナ社は、ワクチンや治療薬候補の臨床試験を実施するも発売にこぎつけず、過去9年間は赤字企業だった。そのため、新型コロナウイルスのワクチン開発にかかるコストを自社では賄いきれなかった。収益性の高い大手製薬会社でさえ、得られる利益の低さから、公的資金なしでは大流行する病気のワクチン開発に投資することを避けがちである。
4.ワクチンが市場に出る前に収束したエボラ出血熱やSARS(重症急性呼吸器症候群)などの、過去の大流行した病気に対するワクチン開発によって多額の損失を計上した企業もある。モデルナ社はワクチン製造の最初のハードルを超えたが、量産するための準備に取り掛かる必要があった。ノーウッドの工場では、次の試験のためにバッチを大量製造することはできるが、必要とする人々のためにワクチンを大量に製造するだけの能力はない。
5.バンセルによれば、何百万または何十億ものワクチンを製造する方法について、各国政府と話し合っているというが、モデルナ社には製薬大手と提携する以外の選択肢はない。臨床試験で結果を得てライセンス製品を世に出す際に、生産能力は非常に重要だとGSK社のグローバル・ワクチン部門を率いるロジャー・コナーは、誰もがすぐに供給されることを望む。ただし、供粉体制を構築するには時間がかかる場合があります」と警告する。
6.世界最大のワクチンメーカーであるGSKは、中国最大のバイオ医薬品製造事業を自社展開する中国のクローバー・バイオファーマ社との提携を発表している。GSKは2009年のHlNIインフルエンザ大流行の際に効果的であることが証明された「アジュバント」技術も提供Lている。
7.ワクチンと同時に投与されると、アジュバント剤はより強い免疫応答を引き起こす可能性があると、説明する。ワクチンの投与量は少なくてもよくなる。つまり、より多くの人にワクチンをより早く届けられるようになる。GSKは、技術を提供できると発表して以降、多くの連絡を受けており、提供する相手を決定するために「構造評価」プロセスを実行中である。すべてのワクチンが技術的にアジュバントの恩恵があるわけではなく、候補ワクチンに技術スキャンをおこない、効き目があるのかどうかの専門家の判断を待つ。次に、候補ワクチンの力価と、それを実現する成功の可能性を評価したいと考えている。
8.現時点では、治療法を見つけることが先決であり、ワクチン生成が成功したことによる商業的な利益は二の次である。今の段階では、完全に科学面に注目し、提携企業を探Lている。すべてはワクチンを早く世に出すためである。ビジネスの取引に関する交渉は後からでもできる。科学面でコラボレーションすること、無料でプロダクトを入手し、前臨床試験を実施し、プロダクトが機能するかを確認することが優先事項だと考えている。19.政治家や患者たちが薬の価格の高さに不満を抱いているアメリカでは、40人以上の議員が2月、ドナルド・トランプ大統領に、ワクチン開発や治療に対して政府の資金を投入し、すべての人がワクチンまたは治療を受けられるようにするよう書面で要求した。イリノイ州選出で、イニシアチブを率いるジャン・シャコウスキー下院議員は、公的資金を使って、何かしらの治療法やワクチンが見つかれば、どこでも治療を受けられるようにする必要がある、と語り、民間の製薬会社に引き渡すべきではない、と忠告する。治療法が行き届くのかを非常に懸念している、とCEPIのハチェットは言う。2009年のHlNIインフルエンザの際は、裕福な国々が契約を結び、ワクチンの供給を独占した。
10.CEPIは、来年に向けて新型コロナウイルスのワクチンが準備できる場合、それが必要になるかどうかも含め、多くのシナリオを立てている。封じ込めが成功して病気がなくなることは、もはやありそうもないと考えている。とハチェットは言う。ワクチンには長期的かつ、商業的なビジネスニーズがある。モデルナの本社に.戻ったバンセルは、新型コロナウイルスにおいて自社の技術が最も進んでいることが証明されたと話した。そして、さらにスピードを上げられるはずだと考えている。
11.しかし、死者数が増えるにつれ、同社の社長であり彼の同僚でもあるスティーブン・ホーゲは、開発スピードをいくら早めても充分とは言えないことを懸念している。ワクチン候補の最初のバッチが出来上がり、一息つく間かできるかと思われたちょうどその時期に、韓国、ヨーロッパ、そLて世界中に蔓延が広がっていったからである。アンドレスのように、眠れない夜を過ごした。自分たちはある程度前進している、毎朝、目が覚めるたびにまだ遅れていると感じる。




yuji5327 at 06:16 

2020年04月20日

発熱一目で分かるIHI新システム

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IHI
2〜3m前を通る複数の人
表面温度を瞬時に測定
発熱者を検知するシステム
20日から販売
オフィスビルや空港、商業施設など
新型コロナウイルス
感染した疑いがある人の検知
赤外線カメラで体の表面温度を測定する技術
人工知能(AI)による顔認証技術
組み合わせて商品化
顔の画像も記録できる
混雑している状況
検知した人の追跡が可能
イベントなどの会場
短時間で設置


yuji5327 at 07:05 

2020年04月09日

革新的な技術は政府が規制しても国境を超えて移動し、既存の社会秩序を破壊する。イノベーションの野生化という。硬直的な日本企業は取り残されている。


「深尾京司(一橋大学教授):特定産業を丹念に調査、技術革新の過程を解明、週刊エコノミスト 2020.4.7」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.原子子力の平和利用を背景とした60年代米国における多額の公的研究開発支援、米国から日本への技術のスピルオーバー(伝播)、次々と明らかになる海水淡水化の技術的困難さ、旧デュポンの退出、M&A(企業の合併・買収)によるマーケットや技術の獲得、実質的にはダウ対日東電工間で争われた決定的に重要な特許係争の行方、開発継続のために救世主の役割を果たした半導体産業の超純水需要、新用途を知る上での顧客の重要性、日本企業によるリストラ下での研究開発部門の生き残り、など波瀾万丈のストーリーである。
2.累積資源投入量、技術水準、創造価値、利益水準の四つの要素について、相互連関しながら累積効果が働くメカニズムを二次元グラフで説明し、技術の確立などに不確実性がある中でもイノベーションを継続させる要因として「期待」の重要性を指摘している。
3.その「期待」がどのように生み出されるかについての理論的裏付けは弱く、後付け的な説明の域を出ていない。この点については、期待形成に関する十分な経済学・経営学的理論とは言いがたいと指摘する選考委員もいた。特定産業とその技術の発展を丹念に調査することにより、イノベーションという重要課題に直面する日本の産業に多くのことを教える書であり、日本と米国のナショナル・イノベーション・システムの違いを理解する上でも示唆に富む。
4.革新的な技術は政府が規制しても国境を超えて移動し、既存の社会秩序を破壊する。この現象を「イノベーションの野生化」と表現し、その現象が加速していること、硬直的な日本企業が取り残されていることを、世界経済史、企業行動などにもバランスよく目配りし、包括的に論じている。日本の生産性停滞についてマクロ経済データのみを使うなど、分析に深みがない。
5.グローバル・バリューチェーンは、生産プロセスが分割され、国境を超えて配置される今日の新しい国際分業パターンについて、国際産業連関表による最新の分析成果を活用しながら、米中貿易摩擦や、先進国の産業空洞化、途上国の国際分業への参加、などを分かりやすく説明している。旧来の産業連関分析の手法を大きく超えた視点が少ない。
6.日本の水産資源管理は、ニシン漁など国内水産業が衰退した理由を、丹念に分析した。日本は漁獲量の管理が不十分で、稚魚まで乱獲しており、長期的に成魚が不足する、といった指摘は重要である。経済学的な分析が不足している。



yuji5327 at 06:40 

2020年04月07日

5Gの戦いはこれからが本番。通信技術、ネットワークの上にどんなサービス、コンテンツが最も重要。自動運転車や高画質動画、遠隔診療、スマート工場などが有力。


「高口康太(ジャーナリスト)著:中国の5G覇権、ファーウエイが技術で欧米を圧倒
ファーウェイが技術で欧米を圧倒、5G(第5世代移動通信システム)時代の画期的な新サービスは中国から生まれる可能性が高い。週刊エコノミスト 2020.47.」は参考になる。
概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.「ファーウェイは91件の商用5G契約を獲得した」ファーウェイの通信キャリアネ
ットワーク事業グループを統括するライアン・ディン・プレジデントは、2月20日に英ロンドンで開催された発表会で宣言した。商用5G契約とは、世界の通信キャリアとの契約数を指す。ライバルのスウェーデンのエリクソンは81件にとどまっており、ファーウェイは契約キャリア数で世界一に立った。
2.91件のうち、47件は欧州のキャリアとの契約である。英国やドイツといった主要国ですらもファーウェイ排除に同調しない可能性が高まっている。米国の圧力にもかかわらず、ファーウェイと契約するキャリアが多いのは性能で競合メーカーを圧.倒しているためである。
3.今年1月、広東省深馴市のファーウェイ本社にある5Gショールームを視察したが、改めてその実力に圧倒された。ショールーム入.り口には情報通信技術の発展に貢献した科学者、数学者の肖像を飾っている。年代順に並ぶ科学者たちの最後に登場するのがトルコ・ビルケント大学のエルダル・アリカン教授である。同氏は高速かつ高精度の情報通信を実現する「ポーラ符号」の考案者である。
4.ファーウェイはその有効性にいち早く目を付け、2010年から共同研究を実施し、5G技術の標準仕様にすることに成功した。4Gの普及前から次世代の基.礎技術の準備を着々と進めてきた。
5.ファーウェイが過去10年間に投じた5G関連の研究開発費は40億ドルに達している。基礎理論だけではなく、基地局の小型化に.小可欠な放熱板の開発では素材開発から着手した。5Gでは従来以上に多くの基地局を設置する必要があるため、設備の小型.化は至上命題である。
6.端末の開発.でもファーウェイ傘下の半導体開発企業ハイシリコンが5Gモデムを開発している。5Gには4Gの制御信号を使う「NSA(ノンスタンドアローン)」方式と5Gのみを使う「SA(スタンドアローン方式)」があるが、双方に対応するデュアルモードを実現したことで、5G端末商戦でもリードしている。
7.もっとも5Gの戦いはこれからが本番である。通信技術、ネットワークの上にどんなサービス、コンテンツを作れるのかが最も重要な勝負となる。自動運転車や高画質動画、クラウドゲーム、遠隔診療、スマート工場などが有力視されているが、どれがヒットするかはやってみるまでは分からない。今現在は全く予想もつかないサービスがヒットする可能性も十分に考えられる。
8.この面でも中国は他国をリードしている。ファーウェイの予測によると、20年に世界で設置される5G基地局の過半数は中国になるといわれる。中国において他国よりも早く5G通信網が完成すれば、アイデアを試行錯誤する時聞が稼げる。画期的なビジネスが他国より先に生まれる可能性が高まる。
9.さらに新型.肺炎.問題がこの動きを後押しする。中国政府は急落した経済成長を回復するべく大々的なインフラ投資を行う方針だが、既に過剰投資が深刻な高速鉄道や道路ではなく、ニューエコノミー関連の投資を推進する構えである。その筆頭候補が5G基地局敷設の前倒しである。皮肉にも新型肺炎によって5Gの普及が早まることになりそうである。


yuji5327 at 06:29 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 青山賞、春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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