新技術

2017年10月28日

1990年代、ヒトの約30億塩基対すべてを調べるのに13年、3500億円かかった。次世代シーケンサーという最新機種では2週間、10万円でできる。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「第4章:地球が多様な生命であふれているのはなぜですか」の「ゲノムに大量の無駄があるのはなぜですか」「生命には無駄や多様性が必要ですか」「生命には無駄や多様性が必要ですか」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.ゲノムの大きさは、塩基対の数で表す。ヒトなら30億塩基対。他の生物では、大腸菌は460万塩基対、昆虫であるショウジョウバエは1億8000万塩基対。植物である小麦は170億塩基対。小麦のほうが多いが、ゲノムサイズが小さければ下等生物というわけではない。
2.ゲノムサイズが大きい生物がいる理由は、ゲノムサイズが大きくなると、遺伝子を担う部分が相対的に少なくなり、遺伝子として機能していない部分が多くなる。無駄に思えるが、子どもが生まれるときに、組換えが起こりやすいというメリットがある。無駄に思えるところが、実は多様性を作りやすくしている。
3.多様性といっても、ゲノムで見ればほとんど一緒だという生物はる。ヒトとチンパンジーは2パーセントしか違いがない。2パーセント、つまり50分の1と、DNA複製エラー率の2億5000万分の1とはかなり違う。生命科学が発展している今、人工的に超人類を生み出すという発想は、ゲノム編集という技術を使って、受精卵のゲノムを変えることができる状況になっている。デザイナーベビーの問題になる。
4.ゲノム編集とは、ゲノムの狙った場所を正確に改変する技術で、特に2013年に開発されたCR-SPR/Cas9という方法は簡便かつ安価にゲノム編集できる基礎研究では欠かせない技術となっている。一方で、ヒトの受精卵(育たない異常受精卵)をゲノム編集したとする研究成果も報告されており、倫理的な議論を呼んでいる。日本では2016年4月に「日本ゲノム編集学会」が設立され、ゲノム編集の技術や倫理を議論する場となっている。
5.ゲノムに無駄を作らせてでも、生命には多様性が必要される。人間社会でも、多様性のある社会のほうが強く、多様性のあるほうが強靱で、いろいろな環境や事態に対応できる。
6.バクテリアのゲノムには無駄な部分がほとんどないので、多様性が生まれにくい。だからバクテリアは数十億年もの間、大きな進化がなかった。無駄といっても、今は私たちが解明できていないだけで、もしかしたら生命にとって重要な機能が潜んでいるのかもしれない。
7.生命を語る上で、無駄や多様性がキーワードとなる。DNAの塩基配列を決める分析方法でも、最新の分析機械は、間違いが含まれているかもしれない多くの情報を短時間で読み、その中から正しい情報を取り出すシステムにしている。間違いという無駄が含まれているのを承知の上でやることが、むしろ時間短縮につながっている。
8.DNAの塩基配列を分析する機械は「DNAシーケンサー」または単に「シーケンサー」と呼ばれている。1990年代、ヒトの約30億塩基対すべてを調べるのに13年、3500億円かかっていた「ヒトゲノム計画」が、「次世代シーケンサー」という機械が登場したことで高スピードと低コストが進み、最新機種では2週間、10万円で調べることができる。第3世代、第4世代シーケンサーの開発も進んでおり、いずれは誰もが自分のゲノムをデータとして保有する未来がくるのかもしれない。
9.進化とは、生物の種類が爆発的に増えた表現するのが正確で、その中から環境に適応したものだけが結果的に生き残ると「進化」ということになる。われわれがものを作るとき、目的が最初にある。決まった部品しか作らないが、生命の歴史は違い、いろんな形の部品を手当たり次第に作り、その中でうまく機能するものだけが生き残り、それを繰り返して、さらに最適化を重ねて今の生命がある。進化は、道筋があって進んできたのではない。とにかく試すということを膨大な時間の中で、たまたまいいものだけが生き残った。明確な意思があるのではなく、単に確率的な問題である。昔の人は、そこに明確な意思や創造主のようなものが、あると考えた。


yuji5327 at 06:33 

2017年10月26日

地球外の生命の存在する確率はものすごく低い。広大な宇宙に、人類と同じレベルの知的生物が存在する確率を出す計算式がある。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「第4章:地球が多様な生命であふれているのはなぜですか」の「秘境、深海.そして地疎外に未知の生命はいますか」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.私たちはすべての生物を知っているわけではない。まだ知らない生物が、アマゾンなどにはいるかもしれない。最近注目されているのが深海の微生物である。今までは微生物を見つけたとしても、それを増やす環境を整えないと生物として調べることができず、見過ごされてきた微生物がかなり多くいた。
2.微生物を培養して増やす条件は、微生物によって違う。以前は培養できる微生物しか研究の対象にならなかった。微生物の場合、1匹だけでは研究できず、数億匹まで増殖させて初めて研究できるようになる。
3.最近は、培養できない微生物からDNAだけを取り出して、DNAから遺伝子やタンパク質を研究できるようになってきた。生き物としての微生物がなくても、DNAなら試験管の中で簡単に増やすことができる。新しい微生物は見つかっている。人類がまだ気付いていない生物は膨大にある。未知の生命現象をもっている生物がいても、不思議はない。
4.地球外の生命の存在する確率はものすごく低い。地球上の生命は、いろいろな偶然が重なって生まれたものである。広大な宇宙に、人類と同じレベルの知的生物が存在する確率を出す計算式があるが、その計算式では、その確率はゼロに近い。私たちは奇跡的な存在である。
5.この計算式は、ドレイクの方程式(またはグリーンバンク方程式や宇宙文明方程式)と呼ばれている。銀河系で人類と交信できるほど高度に発展した文明の数をNとすると、次の式で表現できる。
N=R×fb×Ne×fl×fi×fc×L
それぞれの項の意味は次のとおり。
R:1年間で銀河系の中で誕生する恒星の数
fp:その恒星が惑星をもつ確率
Ne: 生命の生存に適した惑星の数
fl : その惑星で生命が生まれる確率
fi : その生命が知性をもつ確率
fc: その知的生命体が整外と交信できるほど文明が発達する確率 
L: その文明の寿命
それぞれの数字を低めに見積もった場合はN=1、つまり地球のみになる.
5.地球上の生命は次の世代の子どもを作るのに、大腸菌のような単細胞生物であれば20分、人間なら数十年という幅に収まる。もし数万年に1回の頻度で世代交代する生命がいたとしたら、普段は何もしていないように人間の目には映る。それが生命だと、私たちは気付かない。生命を生命と認識できること自体が奇跡的なことである。


yuji5327 at 06:33 

2017年10月14日

希少金属であるリチウムの消費も著しく、材料費が高騰すと予想される。ナトリウムなどの新たな材料の電池開発、電池リサイクル技術が求められる。

「木通秀樹(日本総合研究所創発戦略センター部長)著:リチウムの次は何か、材料研究では日本がリード、
エコノミスト、2017.2.14」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.便利なリチウムイオン電池だが、性能の限界も見えてきた。「次」をめぐる研究が本格化している。次世代電池の最有力候補と目されるのは、全固体電池である。全固体電池は、電解質、正極.負極などすべてを固体で構成する電池。リチウムイオン電池は電解液の中をリチウムイオンが往来することで充放電するのに対して、全固体電池は固体の電解質の中をリチウムイオンが移動する。固体のため液漏れがなくなり、また難燃性の素材を電解質に使用するので発火の危険性が低くなり、安全性が高まる。
2.1つのセルに電極を積層できるため、高電圧化・大容容量化しやすく、理論的には電気自動車(EV)の走行距離をリチウムイオン電池の2.5〜3倍に伸ばす。充電時のイオンの移動が限られているので、電極や電解質の劣化が抑制されるメリットもある。全固体電池は、ほんの数年前までは夢の次世代電池と考えられていたが、近年は実用化に向けた研究開発が急速に進み、実用化のめどが従来よりも10年前倒しされ、2020年代には製品が出回る見通しである。
3.実用化前倒しのきっかけとなった研究の一つが、15年に東北大学が電極にコバルト酸リチウム、電解質に窒素添加リン酸リチウムを用いて、リチウムイオンが移動するときの抵抗を液体電解質よりも低く抑えることに成功したこと。全固体電池は電極と電解質の境目の抵抗が大きく、リチウムイオンの移動が制限されて十分な出力を出せないと言われていたが、その課題を克服する技術として注目された。
4.16年には、実用化に向けたコスト抑制や量産化の課題解決に関する研究が民間企業から出てきた。トヨタ自動車は東京工業大学とともに、セラミックス電解質を開発し、従来の2.5倍の出力特性を実現。日立造船は硫黄物系固体電解質を使用した全固体電池の開発に取り組む。電解質と電極原料の粉末をプレスによって加圧成形する技術を開発して、製品化に向けて一歩前進した。
5.三菱ガス化学も東北大学とともに、量産化技術を開発している。このほか村田製作所も全固体電池の研究を進めており、同じく全固体電池の研究開発を進めてきたソニーの電池部門を傘下におさめることで、実用化に弾みがつくと期待されている。すでに全固体電池は、センサー用など超小型の分野では実用化されている。またフランスのベンチャー企業BatScaP(バッツカップ)は全固体電池を搭載したEVを開発し、カーシェアリング車両向けに実験的ながら供給を始めている。
6.スマートフォンなどの民生品や、将来的に車載向けの分野で本格的に実用化していくためには課題も残る。その一つは、材料の構造に合わせた最適な製造方法と安定的な量産体制の構築である。電解質を固体にすることで、液体の場合と違って高度な材料成形の技術が必要となる。電解質にはリチウムイオンが行き来する微細で複雑なナノ構造を構築しなければならない。製造時の歩留まりが低くなるという課題がある。高い安全性が要求される車載向けでの実用化は、さらに時間がかかる。
7.リチウムイオン電池や全固体電池よりも蓄電密度を高められると考えられている「金属空気電池」の研究も進んでいる。金属空気電池は、正極は空気中の酸素を利用し、負極に金属を使い、酸素と金属の化学反応で電気を生み出す竃池。エネルギー密度〔容量の大きさ)はリチウムイオン電池の50倍に達すると考えられており、全固体電池をもはるかにしのぐ。現在、NEDOと京都大学、トヨタ自動車、日産自動車、パナソニックなどが研究を進めている。
8.金属空気電池はまだまだ研究の途上にあり、データの蓄積も少ない。実用化は30年以降になるだろう。スマホなどの民生用も、車載用も、量産化が進めば進むほど、電池の価格低下の圧力は強まる。近年は中国メーカーの台頭で、電池の価格は急速に下落している。メーカーは、次世代電池の開発に取り組まなければ、電池の価格下落の圧力に対抗することができない。
9.リチウムイオン電池の価格が下がりすぎると、太陽電池同様に廉価に大量生産できる企業による寡占化の問題もある。次世代電池の開発にあたっては技術面のみならずコスト競争力の向上が必須である。.
10.希少金属であるリチウムの消費も著しく、早晩材料費が高騰することが予想されている。こちらもナトリウムなどの新たな材料の電池開発、電池リサイクルの社会インフラの早期確立が求められる。次世代電池の開発は、コストと電池の性能を両立し、インフラにも気を配るという難しいかじ取りを迫られている。
11.リチウムイオン電池の改良も進んでいる。特に2000年代に入り大きく前進した。研究開発が進んだ背景の一つは、ナノテクノロジーを使った設計技術の進展である。電池のエネルギー密度には理論的な限界があるものの、製品としての性能は、電解質や電極などの材料、設計、加工によって大きく異なる。化合物をどうつくるのか、材料についてナノレベルの構造を解析する必要.がある。
12.従来は研究者の経験と勘に基づいて材料の組み合わせを検討していたが、00年後半にはDNA解析などの進展を契機にコンピューターの超高速化と、それを使ったシミュレーションによる分析ツールの登場によって解析技術が普及し、電池研究の裾野が広がった。
13.電池材料の電極はリチウムイオンを吸蔵・放出する役割を果たしており、この正極・負極材料の組成・構造がイオンのためやすさ、電池の劣化しやすさなど電池の性能を大きく左右する。電極はいわばイオンの「家」で、家の体積をより小さくしつつ、イオンをためる「部屋」を大きくすることが、電池の性能向上につながる。電極の構造の研究がシミユレーダーの登場で08年ごろから進展し、10年ごろには成果として表れるようになった。
14.こうした設計技術は、人工知能〔AI)を使うことでさらに進むと期待されている。適した材料やその量、組み合わせをAIが計算する。ただし、解析技術がどれだけ進んでも計第の基礎となるデータを入力するのは人間であり、いまだ研究者の経験と勘が人きな役割を占める。
15.先端の解析技術と、地道なデータの蓄積による経験と勘を組み合わせて研究開発ができることが材料分野における日本の強みであり、その点で、電池材料の技術で一日の長がある日本は、世界をリードできる位置を維持していくことが期待される。



yuji5327 at 06:46 

2017年10月09日

人間の場合、遺伝子は約2万5000種類あり、遺伝子ではないタンパク質の情報が含まれていない95%以上はどうしてあるのかわからない。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「第2章:細胞の中では何が起きているのですか?」の「DNAとRNAと両方あるのはなぜですか」「DNAの95パーセントは無駄ですか」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.セントラルドグマでは、DNAから一度RNAに転写されて、RNAからタンパク質に翻訳されが、RNAが間に入る理由は、それらを使い分けているからである。DNAが質のいい紙だとしたら、RNAはぼろ紙で、RNAは細胞の中ではすぐに分解されてなくなってし
まう。必要なタンパク質の種類や量は刻々と変化しており、いつまでもRNAが残っていると、タンパク質が必要以上に作られてしまい、細胞に悪影響が出てしまう。
2.DNAとRNAは似ているが、厳密には少しだけ化学的な性質に違いがある。DNAの構造は二重らせんだが、RNAは一本鎖である。また、使われている糖と塩基が違う。これらの違いが、RNAは分解されやすいという特徴につながる。分解されやすいことを「不安定である」と表現し、DNAは逆にとても安定している。
3.遺伝情報を担う物質がそう簡単に分解されては困るので、分解されにくいDNAが採用された。その一方で、タンパク質を作るときには分解されやすいRNAを間にはさむことで、いろんな種類のタンパク質を必要に応じて必要な量だけを作ることができ。
4. DNAのうち、タンパク質を作るための情報を担っている部分が遺伝子であり、人間の場合、遺伝子は約2万5000種類あるが、並んでいる順番はあまり関係ない。それどころか人間の場合、遺伝子ではないところ、つまりタンパク質の情報が含まれていないところがほとんどである。遺伝子を担っている部分は、全体のうち大体3〜5%ぐらいしかない。一見すると、無駄なところばかりで。残り95%以上のDNAはどうしてあるのか、わからない。
5.バクテリアは逆に無駄なところがほとんどなく、遺伝子がぎっしり詰まっている。無駄がないと言えば聞こえはいいが、余裕がないとも言える。余裕がないと多様性が生まれない。余裕があることでいろいろ試すことができ、新しい機能や生命が生まれやすくなる
6.無駄だと思われていたところでも、遺伝子からタンパク質を作るときの調節に関わっているものがある。今までは無駄たと思われていたところも、実は重要であったところが多く見つかっている。宇宙でいう暗黒物質(ダークマター)や暗黒エネルギーのように、存在するけどどう機能するのかわかっていないというのが実際のところである。
7.最近になってわかってきたことの一つは、DNA内の遺伝子が見つからない部分でも、実はRNAまで転写されているところが多くあるということである。タンパク質には翻訳されないけれども、RNAだけで何らかの機能をもつものも見つかっている。まだまだ見つかっていない現象がある。
8.今までは調べる方法がなかったが、今は解析技術がずいぶん進んで、DNAの配列を安く、大量に一気に読む技術がどんどん進んでいますし、RNAやタンパク質の研究でも同じである。
9.タンパク質に翻訳されないRNAは、ノンコーデイングRNAと呼ばれる。タンパク質に翻訳される部分をコード領域と表現するのに対して、タンパク質をコードしていないという意味でノンコーディングと呼ばれている。ノンコーデイングRNAは、他のRNAに作用してタンパク質への翻訳を阻害するなど、さまざまな機能があると考えられており、ひとつの大きな研究分野となっている。


yuji5327 at 06:48 

2017年10月08日

日本の金融界の試みは、ロボ運用というアドバルーンを上げるのが目的で、本気でパフォーマンスを向上させる知識も意欲もない。

「櫻井豊著:AIが好パフォーマンスを発揮、ヘッジファンドに地殻変動、
エコノミスト、2017.1.31」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.金融市場は今、急激な変化を遂げつつある。20世紀末までの金融市場は、極めて人間臭い場所であった。株式の取引所では、「場立ち」とよばれる人間のフロアブローカーが野球のブロックサンのような手サインで取引の仲介をしていた。
2.ヘッジファンド業界では、ジョージ・ソロスやジュリアン・ロバートソンのような大物ファンドマネージャーが、大量のポンド売りなどの戦略を、見世物のように世間に誇.小しながら巨額の収益を手にした。しかし、大物マネージャーが闊歩した古き良き時代は過ぎ去り、最近のヘッジファンド業界は、逆風と地殻変動が起きている。
3.最近のヘッジファンドの運用成績は散々である。代表的なヘッジファンド指数であるヘッジファンドリサーチ社の総合指数のリターンは、2015年にはマイナスを記録し、16年11月末までの過去3年間の平均でも2・5%にも満たない。高い手数料に嫌気が差した投資家は、名門ファンドであろうと容赦はなく、資金.を引き揚げ、多くのファンドは手数料の引き下げ圧力に直面している。
4.業界全体の苦境を尻目に、最新のAI技術をうまく取り入れに成功したヘッジファンドは極めて好調である。米ツーシグマというAI技術などを駆使した分析が売りのファンドは、過去の約3年間の平均として年率20%前後のリターンを出し、運用を依頼する資金.が殺到している。01年に設立されたファンドだが、すでに運用資産が4兆円を超えるほどの急成長を遂げ、現在では新規の資金流入を断っている。
5.1980年代から数理的なアプローチによって大成功してきた米ルネッサンス・テクノロジーズというファンドも、早くからAIに注目し研究を重ね、素晴らしいパフォーマンスを続けている。
6.ツーシグマやルネッサンスの好調さの秘密は、人間の経験と勘にとらわれない数理・統計的なアブローチである。二つのファンドの創業者やトップは共通して国際数学オリンピックでメダルを取得した数学や統計の専門家や、コンピューターの専門家ばかりだ。このように、トレーダーの経験と勘の代わりに数理・統計的な分析やコンビューター技術で.稼ぐタイブのファンドはクオンツ・ファンドと呼ばれる。
7.ルネッサンスは代表的なクオンツ・ファンドの1つであり、ツーシグマは21世紀の成長株である。ツーシグマの主要な運用対象は米国株式市場であり、その特徴はAIを使ったビッグデータ分析である。分析するデータは株価の過去データ以外に、ニュース、財務指標などの公表データ、さらにツイッターなどに及ぶ。ツーシグマは、こうした情報を基に多数の運用モデルを同時に走らせている。
8.具体的には、株価の動きに関する伝統的なテクニカル分析をするモデル、人間の株式アナリストのように財務指標などの分析から投資銘柄を探り出すようなモデルまである。こうした、多くのモデルはそれぞれが株価の動きの予想をする。ツーシグマはさらに別のアルゴリズムを使って、各モデルの過去のパフォーマンスを考慮したウエート付けをして、取引戦略をまとめ、最終的にはリスク管理のソフトが、ポートフオリオに与えるリスクをチェックして最終的な取引の意思決定を下す。
9.従来型のヘッジファンドも、ロボツト運用、つまりAIなどを駆使したコンピューター・アルゴリズムによって投資判断を決める手法に方同転換を試みている。例えば、大量の空売り戦略などで20世紀のヘッジファンド業界を席巻した1人であるポール・チユーダー・ジョーンズという投資家は、自身の経験や勘に基づく投資スタイルを捨てて、人工知能の専門家などを雇い入れて、機械学習によるビッグデータ分析などを利用した新しい取引スタイルを模索しはじめた。
10.ジョーンズのようなかつての大物投資家が経験と勘に頼るのを諦めたのは、21世紀に入ってからの機械学習、そして近年の深層学習のブームによって、投資の世界以外でも広くAI技術に大きな注目が集まっているからである。
11.16年3月に米グーグル子会社のディープマインドが開発したアルファ碁が韓国の囲碁のトップ・プロであるイ・セドルに圧勝した出来事は衝撃で、原因は、トップ・プロに勝ったという事実そのものではなく、アルファ碁の仕組みを説明したリポートを読んで、深層学習のアプローチが持つ底知れぬ可能性を感じた。
12.人材の争奪戦は、世界有数の金持ちが経営者であるようなヘッジファンドが、金に糸目を付けずに優秀なAI技術者を引き抜こうとする。こうした動きの先鞭をつけたのが、世界最大のヘッジファンドのブリッジウオーターが11年にIBMのワトソン開発を主導した技術者デービッド・フェルッチを引き抜いた。
13.その後、ヘッジファンド業界は、グーグル、IBM、アップルなど既存のAI技術の企業から、有力な技術者の引き抜きを行っている。有力ヘッジファンドが支払う報酬は、グーグルやアップルなどとは比較にならないため、世界最高の技術者が引き寄せられる。
14.AIを使った高度な運用技術を実現するには、札束だけでは十分でない。資産運用にAIを生かすためには、トップがマーケットとAIの両方のノウハウを高度に融合させる特別な才能を持つと共に、エンジニアリング的な能力と不断の努力の積み重ねが必要である。
15.誰が利用しても同じような成果を得られるような話ではない。ツーシグマのような成功は、札束によって技術者をスカウトするだけでは無理である。ジョーンズのような古いタイブの投資家が最近になって伝統的な投資スタイルからAIを活用したロボ運用に転換したような付け焼き刃の対応ではうまくいく見込みは低い。
16.日本の金融界は世界の資産運用界の最前線から大きな後れをとっている。1つの理由は、ニューヨークやロンドン周辺の先進的なヘッジファンドや、ブラックロックのようなグローバルな巨大資産運用会社が育たなかった。現在、最高のAI技術者を獲得し活用できるのは彼らであり、東京はこの分野では辺境の地である.
17.日本の金融機関も80〜90年代、アルゴリズム取引にチャレンジしたが、満足な成果を出せなかったので、ロボ運用に否定的な見方が定着し、新しい試みがほとんどなされていない。最近になってロボ運用は.再び注目を集めているが、日本の金融界の試みの大多数は、ロボ運用というアドバルーンを上げるのが目的で、本気でパフォーマンスを向上させる知識も意欲も欠けている。


yuji5327 at 06:42 

2017年10月06日

量子コンピュータの暗雲を払拭したのがカナダのDウェイブ社の市販のもので、市販当時は懐疑的だったが、量子演算が実装されている。米政府やIT企業が購買に踏み切った。

「池谷裕二著:闘論席、
エコノミスト、2017.1.31」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.2015年は人工知能の性能が身近になった。16年は「VR(仮想現実)元年」と呼ばれた。今年を象徴する技術は、量子コンピューターかもしれない。英国の科学雑誌「ネイチャー」の年始号には、「17年は量子コンピューターが研究室から巣立つ」と題された記事が掲載された。
2.量子コンピューターの演算速度が世界最速の従来型スーパーコンピューターを凌ぐことを「量子超越性」と呼ぶが、この臨界点が今年訪れそうだ。量子コンピューターは1980年ごろに提唱され、「20年先の未来技術」と期待されたが、実現を疑う声もあった。
3.この暗雲を払拭したのがカナダの「Dウェイブ」社の市販の量子コンピューターである。11年の市販当時は懐疑的な見方が強かったが、確かに量子演算が実装されていることが証明され、米政府組織やIT企業が購買に踏み切った。
4.他社も量子コンピューターの開発にのり出し、グーグルやマイクロソフト、IBMが注目に値する。16年7月にはグーグルが「量子コンピューターへの近道」とうたった発表で、従来想定されたよりも量子コンピューターの実現は容易であることを示した。
5.量子コンピューターを用いなければ計算できない問題があるかどうかは知られていないが、従来とは異なるビット原理を採用し、組み合わせ問題のように指数的に計算量が増す難問を解く速度が、驚くほど向上する。インターネット検索やビッグデータ解析、プログラムのバグ探し、医薬品の分子デザインなど多くの分野に、量子コンピューターは革命を巻き起こすに違いない。



yuji5327 at 06:55 

2017年10月05日

タンパク質によって病気が起きることがわかってくると、医学部とは違う方法で病気の原因を解明できる。医者にはできないアプローチで病気を知ることができる。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「第2章:細胞の中では何が起きているのですか?」の「アルツハイマー病は異常な形のタンパク質によって起きる?」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.タンパク質の折りたたみを助けるシャペロン自体がおかしくなったタンパク質が正しい形にならず、悪影響が現れる。他のタンパク質に悪影響を与え、病気と関係する場合もある。アルツハイマー病、パーキンソン病も、異常な形のタンパク質が深く関わっている。2.BSE(狂牛病)の原因もタンパク質が関係している。そのタンパク質は「プリオン」で、BSEやクロイツフェルト・ヤコブ病は、異常な形のブリオンが増えることが原因である。病気とは細菌やウイルスによって起きる以外に、異常な形のタンパク質によっても起きるというものもある。
3.タンパク質だけで起きるというのは、研究者にとっても最初は信じられなかった。異常プリオンが増える原因には、細菌やウイルスが関わっているはずだと思い込まれていた。セントラルドグマは、タンパク質が増えるためにはRNAが増えなければいけない、そしてRNAが増えるためには元になるDNAが存在しなければいけないという理論だから、プリオンはそうではない。
4.セントラルドグマ自体は正しい理論です。タンパク質は最終産物だから、プリオン自体が増えるわけではない。異常な形をしたプリオンが、正常な形のブリオンに作用して、異常な形に変えてしまい、元の正常な形に戻らない。そうして増えた異常プリオンが関与して脳の神経細胞を殺してしまって、いずれ死に至るのがBSEやクロイツフェルト・ヤコブ病である。タンパク質の折りたたみを助けるのがシャベロンで、タンパク質の形の異常は病気につながる。。
5.シャペロンは、タンパク質が生まれてから一人前になるときだけでなく、ストレスでおかしくなりそうなとき、さらには最後に死に至るまで、いつもタンパク質の面倒をみていることがわかってきた。老化などに伴ってシャペロンの能力が下がることがタンパク質の折りたたみの異常につながり、アルツハイマー病やパーキンソン病、さらにはプリオンにも関係し、分野が広がっている。
6.タンパク質によっていろいろな病気が起きるということがわかってくると、医学部とは違う方法で病気の原因を解明できるようになる。生命科学のタンパク質の部分を突き詰めて研究していくと病気にもつながり、医者にはできないアプローチで病気を知ることができる。
7.タンパク質の不思議をシャペロンという側面から調べたいというのが基本的な考えだが、病気を知ること自体が目的ではない。シャペロンの研究が結果として、医学を含めたいろいろな分野に波及している。たとえば、シャペロンのはたらきを抑える分子は抗がん剤として使われるものもある。


yuji5327 at 06:33 

2017年09月26日

理想的なEVは、プラグインハイブリッド車になる。これからのEVは都市部ではバッテリー充電が不足郊外ではガソリンという形になる。

2017/9/22付けの 大前研一さんの「 ニュースの視点」(発行部数 168,211部)は「中国自動車市場/三菱自動車/欧州自動車市場/ソーラーカー〜急速なEV化は日本の自動車産業の裾野を破壊する」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.中国政府がガソリン車やディーゼル車の製造・販売禁止の検討を始めた。フランスと英国が2040年までに禁止を表明したことに追随し、導入時期の検討に入った。EVを中心とする新エネルギー車に自動車産業の軸足を移し、環境問題などに対応する考えである。
2.中国の自動車産業は今でも2500万台規模だが、これが実現すれば中国の電気自動車は世界最大規模になる。カリフォルニア州と中国は、EVのみを許可するとも言われている。中国はフランスと同じようにプラグインハイブリッド車も認めると思われる。
3.EV化の波は、この1ヶ月で急速にトレンドが形成されました。日本も対応を誤ると、大変な事態になる。EV化対策に成功し、上手にシフト出来た場合にも、日本には課題がある。日本が世界に誇る部品産業が大打撃を受ける。EV化は数十年かけてやるくらいで考えないと、日本にとっては自動車産業の裾野のが大きく壊されるリスクがある。
4.三菱自動車は中国での販売店舗を2017年度に16年度比4割増の300店に増やす方針を明らかにした。環境規制強化でガソリン車の販売が禁止されることをにらみ、プラグインハイブリッド車など新エネルギー車の投入に備えるものである。販売が好調なロシアとインドネシアでは増産を検討する。
5.昨年、日産自動車が三菱自動車の約3割の株式を保有し、アライアンスを組んだ。なぜ100%保有しないのか理由がわからない。三菱自動車は経営陣がしっかりしていれば、
日産・ルノーにとっても大きな役割を果たしてくれる存在になる。三菱自動車の強みは、日産・ルノーが弱い地域で強いこと、そして電気自動車に強いことである。
6.三菱自動車の地域別販売台数を見ると、ロシア、北米、日本、中国となっていて、日本以外での販売台数が多くなっている。その他の地域での販売台数も多く、中東、アフリカ、中南米などにおいても、20万台も販売している。パジェロ、ランサーなどが田舎の悪路で人気を得ている。
7.将来の電気自動車を見据える意味もあり、現時点でも地域補完の効果は大きく、日産・ルノーにとっては非常にありがたい存在である。
8.日経新聞は「欧州勢のEVシフト鮮明」と題する記事を掲載した。ドイツで12日、フランクフルト国際自動車ショーが開幕し、独フォルクスワーゲンは約300ある全車種に電気自動車(EV)かハイブリッド車(HV)のモデルをそろえることを明らかにした。またダイムラーやBMWもEVの品揃えを拡充する方針で、これまでの自動車と同様、いかに使いやすく魅力的なEVを低価格で提供できるかの勝負になってきた。
9.各社の電動化戦略を見ると、VW、ダイムラー、BMW、ルノー、ジャガー・ランド・ローバーなどは明確に方針を示した。一方で、トヨタは全方位体制で、ホンダも若干腰が引けている。トヨタは本格的に取り組み始めれば、すぐにでも優位性を発揮できると思う。理想的なEVのあり方は、プラグインハイブリッド車になるからである。これまでのハイブリッド車では、馬力を必要とする時に動力源を切り替えていたが、これからのEVは都市部ではバッテリーで動くようにして、バッテリー充電が不足する可能性が高い郊外ではガソリンで動くという形になる。
10.この形式のプラグインハイブリッド車が主流になれば、現在のEVよりも圧倒的に安定感が増す。ハイブリッド車に関して、トヨタには多くの経験とノウハウがあるから、優位性を確保することは難しくない。
11.EVのダークホースはソーラーカーである。日経新聞は12日、充電なしでEV走れるソーラーカーの新星続々、と題する記事を掲載した。オランダアイントホーフェン工科大学の卒業生が立ち上げたライトイヤー社が自社で開発したソーラーカーの予約を開始したと紹介した。また中国の漢能(ハネジー)控股集団も昨年、太陽光発電だけで走る試作車を公開した。
12.ソーラーカーは屋根にパネルを入れることで、走行中に太陽光発電により充電し、プラグインを必要としない仕組みである。もちろん、天候による影響も大きく受けるが、EVのあり方としては、ダークホース的な存在で見逃せない。

yuji5327 at 06:33 

2017年09月24日

酵素入り○○というサプリメントは、体内ではアミノ酸にまで分解されるため、サプリメントの酵素が体内で作用することはないが、酵素で作られた成分が人間に作用することはある。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「第2章:細胞の中では何が起きているのですか?」の「タンパク質はどんな形をしているのか」「コラーゲンを食べるとお肌がぶるぶるになるのは本当ですか」「遺伝子組換え食品が有害把というのは思い込み?」「良質なタンパク質や必須アミノ酸とは何ですか」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.タンパク質のなかで、有名なのはコラーゲンである。コラーゲンを食べると、お肌がぷるぷるになるといわれるが、食べたタンパク質がそのまま体内で使われることはあり得ない。コラーゲンは三重らせん構造で、三重らせん構造をとることで、コラーゲンは固いファイバーの役割を果たす。ファイバーがびっしりとあることで、皮膚などで強度や弾力性が生まれるの。
2.コラーゲンは牛や豚など、いろいろな生物でファイバーとして機能している。それを食べると、一度アミノ酸にまで完全に分解され、そのアミノ酸が材料となって人間のタンパク質が作られる。直接同じコラーゲンが使われたり、コラーゲン合成のためだけに使われたりしない。
3.コラーゲンを含めたすべてのタンパク質のパーツとして使われる。コラーゲンの場合、グリシンやプロリンなど、特定のアミノ酸が多く使われているので、そのアミノ酸を多く摂取するという意味ぐらいはある。食べたコラーゲンがそのまま体内で使われるわけではない。
4.同じことは酵素にも当てはまる。「酵素入り○○」というサプリメントが販売されているが、タンパク質である酵素も体内ではアミノ酸にまで分解されるため、サプリメントの酵素そのものが体内で作用することはあり得ない。ただし、製品の中で酵素によって作られた有効成分が人間の体に作用することはあり得る。
5.コラーゲンを食べても全部アミノ酸に分解されるというのなら、遺伝子組換え食品も同じことがいえる。食べたものは、遺伝子組換え食品であろうがなかろうが、生体内では区別されずに分解される。遺伝子組換え食品は人間の体に有害かどうかは、食べて、タンパク質を分解するしくみを考えれば問題ない。遺伝子組換え食品を食べても、どんなタンパク質もアミノ酸に分解されるだけだから、別に害のあるものではない。
6.私はそう思います。ある特定の遺伝子を組み込んで、ある特定のタンパク質を作るようにしたたけてあって、製品のパッケージにある「遺伝子組換え大豆は使用していません」などの表示は、生命科学の立場からすると意味がない。食べものを消化するときに限れば、問題ない。そのほうが売れてしまうという現状があり、科学的根拠とは離れたところの議論になっている。
7.遺伝子組換え食品で問題があるとするなら、食品の安全性とは別のところ、すなわち、生態系への影響である。遺伝子組換え大豆だけが生き延び、それ以外の植物は生えてこないなら、害虫や微生物を含めた、その土地の生態系が変わる可能性はある。
8.「良質なタンパク質」の、良質なとは、「必須アミノ酸」がバランスよく入っている食品のことである。必須アミノ酸というのは、何が必須なのですか。生命を維持するのに必須のアミノ酸とは、20種類のアミノ酸はどの生命にも必要です。アミノ酸のうち、自分の体内で作ることができるものもあれば、できないものもある。自分で作れないものを必須アミノ酸と呼んでいる。ヒトでは20種類のアミノ酸中9種類が必須アミノ酸となる。
9.「バランスよく」とは、コラーゲンの場合、一部のアミノ酸だけが大量に使われている。グリシンというアミノ酸だけで30パーセント以上、プロリンとそれに似たもので20パーセント、アラニンで10パーセントを占めている。コラーゲンはアミノ酸バランスの悪いタンパク質である。
10.必須アミノ酸は生物種によって異なる。ヒトの場合は、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フエニルアラニン、トレオニン、トリプトフアン、バリンの9種類。大人のラットは、ヒトの9種類の必須アミノ酸にアルギニンを加えた10種類が必須アミノ酸となる。


yuji5327 at 06:36 

2017年09月22日

セントラルドグマのアイデアとは、DNAからタンパク質が作られる間に、何らかの介在分子があると考え、可能性が最も高いものとしてRNAを想定した仮説である。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「第2章:細胞の中では何が起きているのですか?」の「DNAとタンパク質をつなげる「生命の統一原理」とは何か」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.タンパク質とDNAは、どちらも生命にとって大切な分子だが、どのような関係があるかが重要である。そこで登場するのが「セントラルドグマ」という考え方である。DNAから「RNA」という分子に情報がわたり、RNAからタンパク質が作られるという流れである。
2.セントラルドグマとは、遺伝子を担う物質がDNAであると証明されたのが1950年ごろで、同時に、生体内でさまざまな生命機能を担っているのがタンパク質であることもわかり、遺伝情報の担い手であるDNAと、生命機能の担い手であるタンパク質がどうつながるのかの問題を解く仮説として提唱された学説がセントラルドグマである。
3.セントラルドグマのアイデアとは、DNAからタンパク質が作られる間に、何らかの介在分子があると考え、可能性が最も高いものとしてRNAを想定した仮説である。RNAとは正式名称をリボ核酸(ribonucleic acid)という。DNAに似た物質で、糖、リン酸、4種類の塩基からできている。DNAと違って二重らせん構造ではなく、単純な1本の紐である。DNAから、分子として性質が似ているRNAが作られて、RNAを元にタンパク質が作られるとするのがセントラルドグマである。
4.セントラルドグマという仮説は、今では正しいとされている。1950年代から70年代にかけて生命科学の研究者が躍起になって研究していき、今ではセントラルドグマは正しいということが証明されている。
5.最初にセントラルドグマを提唱し始めたのは、DNAの二重らせん構造の発見者の一人であるフランシス・クリックである。1958年にはセントラルドグマという言葉を用いて、DNAの情報を基にタンパク質が合成される順序について考えていた。
6.クリックは元々物理学者で、理論を先に発表してから実証していくという研究スタイルである。素粒子の研究と似たようなスタイルで、セントラルドグマも解明されていった歴史がある。物理学者が生命科学の研究に影響を与えてきたというのは、興味深い。
7.今では、セントラルドグマは生命の統一原理ともいわれている。DNAからRNAが作られ、RNAからタンパク質が作られるというセントラルドグマは、地球上のどんな生命にも共通のしくみである。
8.地球には、バクテリア、植物、昆虫、人間など、見た目も生き方も異なる多種多様な生命がいるが、細胞の中でやっていることの根源は同じであるので、生命の統一原理と呼んでいる。一見バラバラに見える生命でも、その根本は共通で、すべての生命は共通の祖先から生まれたことと関係がある。共通の祖先から生まれたという出発点が同じだからこそ、他の見た目や機能が変わろうとも、セントラルドグマだけは変わらずに今に至っている。バクテリアでも植物でも、DNAが一緒なら作られるタンパク質は同じになる。
9.セントラルドグマは、生命を理解するために必要な考え方で、遺伝子という情報を担うDNAと、実際の機能を担うタンパク質の二つがつながると、生命の理解が大きく深まる。
生命科学はセントラルドグマの流れがわかればいい。
10.タンパク質一つひとつの機能は違うし、タンパク質の機能や特定の生物の生態をいろいろ覚えようとすると、暗記科目になってしまうが、DNAからRNA、RNAからタンパク質というセントラルドグマの流れだけ理解して、その他の知識はその都度付け足すという学び方でよい。


yuji5327 at 06:42 
池上技術士事務所の紹介
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池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
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