新技術

2017年09月15日

DNAは1回の複製で2倍になるが、1度に大量にコピーできないようにコントロールされている。DNAが必要以上の数になると一種のがん細胞になる。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「第1章:生きているって、どういうことですか」の「細胞が分裂するときには何が起きているのですか?」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.細胞の自己増殖は、細胞が分裂するとき、分裂する前の細胞と、分裂した後の細胞は同じにならなければならない。そのとき、DNAは正確に2つ複製されて、それぞれが等しく2つの細胞に分配される。複製された2つのDNAは、どちらもちゃんと機能する本物である。
2.DNAの複製と細胞の分裂は違う。DNAが複製されて2倍になる。次に細胞が分裂して、DNAが2個の半分、すなわち1個分ずつ分配される。先に細胞が分裂してしまうと、DNAが半分に減ってしまうので、先にDNAの複製するしくみがある。
3.DNAを複製してから細胞を分裂するという順番は「細胞周期」と呼ばれている。細胞周期を制御する分子は多くあり、一連の研究成果は2001年のノーベル生理学・医学賞の対象となった。
4.DNAが複製される理由は、同じ遺伝情報、つまりゲノムを複製して2つの細胞に伝えるためである。1個の細胞である受精卵から個体ができあがるためには、細胞を増やさなけければならい。1個の細胞を2個に増やすとき、できあがる2個の細胞の中に同じ遺伝惰報をもたせるためには、DNAも同じものを2個作る必要がある。
5.それが本質で、生命というのは「DNAを伝えたい」と思う存在である。つまり、生命の本質は自己複製欲求である。そもそも、同じものを複製するしくみがないと、生命は今まで生き残ってこなかった。DNAを緻密に複製できる生命だけがここまで生き延びた。
6.DNAの緻密な複製は、二重らせんがほどけて、それぞれの片方が鋳型になって、新しいペアを作る。できるだけ正確に複製しようとするが、まれにミスが起こるが、仮にミスがあっても、それを修復するしくみが細胞内にはある。複製のミスを見つけて修復するしくみを研究した人たちには、2015年にノーベル化学賞が与えられた。
7.DNAは1回の複製で2倍になるが、一度に大量にコピーすることはできないようにコントロールされている。DNAが必要以上の数になると困るからである。実際、DNAが増えすぎたものが一種のがん細胞になる。核が2個以上できたり、染色体の数が増えたりするということがある。細胞内で遺伝子の機能をコントロールできなくなり、暴走してしまう。暴走しないように、DNAの複製がコントロールされれば、がんにならないようにできる。


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2017年09月13日

iPS細胞と比べて、ES細胞特有の問題は、受精卵から取ってくる。人間の命はどこから始まるのかという議論につながるもので、宗教的な思想も関わる。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「第1章:生きているって、どういうことですか」の「クローン、ES細胞、iPS細胞とは何ですか?」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.細胞にはいろいろある。受精卵から手足などが作られので、受精卵は何にでもなれる細胞である。受精卵は、胎盤も含めて何にでもなれるので「万能細胞」と呼ばれる。
2.ES細胞の正式名称は胚性幹細胞(embryonic stem cell)といって、受精卵がある程度.細胞分裂したときに採取された細胞である。ES細胞には、まだ設計図に隠されたものがない。胎盤にはなれないが、それ以外の種類の細胞に変化できる。ES細胞は木の幹にあたる。3.似たようなものに、iPS細胞がある。iPS細胞は、皮膚や白血球など、すでに特定の細胞に変化してしまったものを、変化前の状態に戻した細胞である。体ができあがると設計図の大部分はカーテンがかかって、他の種類の細胞には変化できないようになっている。設計図にかかっているカーテンを人工的に開けたものがiPS細胞である。正式名称は人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)である。iPS細胞も、ES細胞と同じく胎盤にはならないので、万能細胞ではなく多能性幹細胞と呼ぶ。万能性ではないが、多能性ではある、ということである。
4.カーテンを開ける方法は、たった4種類の遺伝子を細胞に入れることである。動物は、一度特定の細胞に変化すると元に戻らないというのが常識だったが、最初に発見した山中伸弥先生も、慎重に実験して他の人に信じてもらえるようにした。
5.iPS細胞と比べて、ES細胞特有の問題は、受精卵から取ってくる。人間の命はどこから始まるのかという議論につながるもので、宗教的な思想も関わる。アメリカでは息子ブッシュ政権のときに、国の予算をES細胞の研究に提供することをやめた。ブッシュ氏は中絶反対派だった。
6.受精したときを命の始まりと見なして、それに人間が手を加えることを問題と考えた。不妊治療も、人間がやってもいいのか、国によっては議論になっている。生命科学が進展したことで、新しい問題が出ている。科学の進歩は、ますます私たちに倫理のあり方を問うている。
7.ES細胞を作製するときには、不妊治療で不要となって廃棄されることが決まっている受精卵を使用する。日本では、文部科学省と厚生労働省が策定した「ヒトES細胞の樹立に関する指針』に、ES細胞作製のために使用する受精卵として「生殖補助医療に用いる目的で作成されたヒト受精胚であって、当該目的に用いる予定がないもののうち、提供する者による当該ヒト受精胚を滅失させることについての意思が確認されているものであること」などの要件を満たす必要がある。



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2017年09月09日

バクテリアが別のバクテリアに入り込んでその後ずっと一緒にいるという、生命の歴史上での大変化は2回あり、1回自がミトコンドリア、2回目は葉緑体である。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「第1章:生きているって、どういうことですか」の「植吻と動物は何が違うのか」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.生物が進化するにつれて、大きく分けて植物と動物が出てきた。地球の歴史では、植物が最初に陸に上がり、二酸化炭素から酸素を作ることで動物が陸に上がるための環境が作られた。植物の定義に光合成を行うことがある。光を使って二酸化炭素から炭水化物や酸素を作ることができる。
2.植物の光合成の能力は、最初はバクテリアがもっていた。光合成細菌と呼ばれているバクテリアで、今でも海中にいる。光合成細菌が、別の細胞の中に入り込んだ。バクテリアが別のバクテリアに入り込んでその後ずっと一緒にいるという、生命の歴史上での大変化は2回あり、1回自がミトコンドリア、2回目は葉緑体である。
3.ミトコンドリアというのは、エネルギーを作るために特化した細胞内の部屋である。酸素を使ってエネルギーを作ることができるバクテリアが、別のバクテリアに入り込んで、ミトコントリアになった。ミトコンドリアを獲得したバクテリアは大量のエネルギーを作り出せるようになり、生命の行動範囲や活動が一気に広まった。その後でさらに光合成細菌が入り込んだ。
4.ミトコンドリアに続いて、さらに光合成細菌も細胞に入り込む出来事が起こった。こうして生まれたのが植物で、光合成細菌は葉緑体になった。ミトコンドリアも葉緑体も、もとは別の生物です。ミトコンドリアや葉緑体のように、別の細胞に入り込んで棲みつくことがお互いの利益になる現象を「細胞内共生」と呼ぶ。
5.動物は文字通り動き回るが、植物は動かない。その違いは、動物はエサを食べないとエネルギーを獲得できないが、植物は光合成を行うことでエネルギーを自ら作り出すという違いがある。植物は水と光と二酸化炭素があれば、わざわざ動かなくてもエネルギーを獲得できる。
6.エネルギーを効率的に作り、かつ蓄積できるということは、植物も人類の歴史においても重要だった。


yuji5327 at 06:27 

2017年09月07日

生命科学は生物学の一部だが、物理のように統一原理に従っている学問で、決して暗記科目ではない。

「池上彰、岩崎博司、田口英樹著:
池上彰が聞いてわかった生命のしくみ、東工大で生命科学を学ぶ、朝日新聞出版、2016年9月」は面白い。「第1章:生きているって、どういうことですか」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.今の高校生物の教科書は池上彰のころと内容がずいぶん変わっている。違うところは、DNA、遺伝子、ゲノム、染色体の話題が多い。新しい学習指導要領が平成24年度から実施され、生物の内容が大きく変わった。
2.数10年前の生物の教科書で勉強していた人たちからすると、大きく変わった。今の高校生との間に、知識の格差ができてしまった。生物の教科書は大きく変わっ理由は、それまでの教科書の内容が古すぎた。DNAが二重らせん構造をしていることが1953年にわかり、そこから生物学は爆発的に発展し、劇的に変化したが、日本の生物の教科書は、新しい情報を後から付け足していくというスタイルだったため、教科書の内容が根本的に変わらなかった。
3.今までは、現象論中心の博物学だった。一つひとつの生き物について研究し、見つかってきたものを個々に配述していくので、つながりが少ない各論になり、覚えることも多くなり、暗記科目というイメージにつながった。それが、「生命とは何か」という根本原理をベースに考える、という視点が加わった。「どんな生物がいるのだろう」から、「そもそも生命とは何だろう」という視点になった。
4.生物学(バイオロジー)と生命科学(ライフサイエンス)との違いは、生物学は大きな範囲を扱う学問で、生命科学は生物学の一部である。生態学は生物学の一部だが、生命科学には含まれない。生命科学は物理のように統一原理に従っている学問としてとらえることができる。決して暗記科目ではない。
5.今の時代に生命科学が必要とされる理由は2つある。1つは、生命科学を知っておくことは、消費者として間違った情報や怪しい商品にだまされないため。もう1つは「自分は何であるか」を考えるためである。アメリカで、キリスト教の中でもエヴァンジェリカル(福音派)と呼ばれる人たちは進化論を否定し、子どもを公立学校に通わせると進化論を教えられるから、自宅学習をさせている家庭が、約100万世帯いる。
6."生きている"と"死んでいる"の違いを説明するのは難しい。人間の場合、「死」は定義による。脳死を人の死と認めるかどうか、死んでも髪の毛や爪はしばらく伸び続ける、細胞レベルではまだ生きている、多細胞生物のような複雑な生物では、生と死の境界は見方によって変わる、細胞レベルで見るか、個体レベルで見るか、単細胞生物と、多細胞生物の違い。
7.細胞の3つの定義。細胞と何か。すべての生命は細胞からできている。細胞の特徴。境界・自己増殖・代謝の3つ。細胞膜という境界で袋、自己増殖は細胞が分裂で同じものが増えていく。袋の中でエネルギーを作る。外からエネルギーや細胞内成分の元となる物質を取り込んで、袋の中でエネルギーを生み出し、新しく物質を作り、排出する化学反
応。袋の内部環境を維持するための活動を代謝と呼ぶ。
8.ウイルスは自分自身の中でエネルギーや体を作ることはできない。入り込んだ先の細胞を借りて、自分の材料を作っている。もし、生命の定義のうち、他の細胞を使ってもいい、とするなら、ウイルスを生命と見なしていいが、3つの定義に忠実に従えば、ウイルスは生命ではない。ウイルスは生命である、と主張する人もいる。
9.ウイルスの中には、バクテリア(大腸菌、乳酸菌などの細菌)よりも体のサイズやDN
A量が大きいものがいる。ミミウイルスやパンドラウイルスという名前ついている。バクテリアの中には、他の細胞に寄生しないと生きていけない種類もある。
10.マイコプラズマは肺炎の原因の1つである病原体で、大きさは0・0003mmで、遺伝子が500種類くらいしかないバクテリアである。ヒトの細胞は大きさが約0.1mm、遺伝子は約2万5000種類だから、マイコプラズマは本当に極小な生命である。その遺伝子には必要最小限の代謝に関わるものしかなく、入り込んだ先の細胞から必要な材料を集めて生きている。
11.ウイルスのようなバクテリアもいる。ウイルスと生命の違いがあいまいになっているので、細胞や生命の定義を見直そうとする動きがある。細胞を人工的に創るのが手っ取り早いが、細胞というゴールをはっきりさせる必要がある。人工的な細胞作製は成功していない。何をもって成功とするかを判断するためにも、細胞の定義をしっかりと決めておく必要がある。
12.漠然としていた生命を、分子のレベルから説明できるようになってきたから、境界線がはっきりしてきた。物理学や天文学でも、新しいことわかってきたことで定義を変えることは、いくらでもある。
13.宇宙には正体のはっきりしない暗黒物質(ダークマター)や暗黒エネルギーがあって、私たちが知っている物質は宇宙全体の数パーセントに過ぎないが、生命科学も同じである。かもしれませんね。天文学で定義を見直した例に「惑星」がある。2006年に惑星が明確に定義されたことにより、それまで惑星と見なされていた冥王星は「準惑星」に分類された。



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2017年09月03日

ポンプ車から高い水圧で水を送り込み、シェール含有層に亀裂を生じさせる水圧破砕法が確立されて以来、シエール業界ではイノベーションが急速に進んだ。

「岩田太郎(在米ジャーナリスト)著:チェサピーク・エナジー、復活するシェール革命の象徴、
エコノミスト、2016.1.22」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.チエサピーク・エナジーは、地下2〜4kmの深度に広がっている頁岩(シェール〕層から採取される天然ガスの生産で米第2位、坑井を通じて地下から産出する天然ガスを液体化した液化天然ガス生産で米第14位にランクする米シェール大手である。
2.シェール革命によって、米国がサウジアラビアやロシアなどの産油国を抜き、2014年に世界最大のエネルギー生産国になった1989年、シェールの将来性を熱く説くオーブリー・マクレンドン氏が、従業員10人で創業した会社が、チエサピーク・エナジー社である。
現在は、全米で約4万4000の原油・ガス井の権益を持ち、原油換算日量61万1000バレルを生産するまでに成長した。全米男子プロバスケットボールリーグNBAの試合が開催される、オクラホマ州オクラホマシティーの大規模屋内競技場「チェサピーク・エナジー・アリーナ」の地元スポンサー企業でもある。
3.シエール革命の象徴ともいえるチェサピーク・エナジーの急成長は、シェール掘削技術の驚異的な革新と、粘り強い地主との交渉で有望なシェール埋蔵地の採掘権を早くから確保していた先見の明に支えられてきた。
4.技術面では、ポンプ車から高い水圧で水を送り込み、シェール含有層に亀裂を生じさせる水圧破砕法〔フラッキング〕が確立されて以来、シエール業界ではイノベーションが急速に進んだ。地中から採取された岩石サンプルなどの性質を調べ、各深度における岩石の割れやすさを測定する技術も日進月歩で発達し、垂直に掘ってから横方向に進む水平掘削技術のコストパフォーマンスが高まった。
5.チェサビーク・エナジーは、この技術革新と、00年代初頭の天然ガス価格高騰の波に乗り、以前は採算の取れなかったオクラホマ州やテキサス州の鉱区の掘削による収益増で巨大化した。06年には、ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を選んで指数化したS&P500に名を連ねた。
6.同社は競合他社に比べ、より広いエリアにより大きいシェール採掘権を設定しているのが強みである。良質な軽質原油を産出し、北米において最も肩望な鉱区の一つであるテキサス州南部のイーグルフオード・シエールオイル・ガス田や、オハイオ州とペンシルベニア州にまたがるユーティカ天然ガス田、オクラホマ州北西部とテキサス州北部の回廊地帯に位置するアナダルコ盆地、そしてワイオミング州のパウダー川盆地にあるナイオブララ・シェールオイルなど、有名なところである。
7.これらに加え、テキサス州・ルイジアナ州・ペンシルベニア州などに散在する他のシェール・ガス田にも権益を確保するなどして、15年末で原油換算15億400万バレルの推定埋蔵量に対する採掘権を保有している。
8.チェサピーク・エナジーの目覚ましい躍進は、08年後半にシェール過剰生産による天然ガス価格の下落が始まったことでストップがかかった。05年には、天然ガス売買の単位である100万英熱量(BTU)当たり15ドル台まで暴騰した価格が、リーマン・ショックの影響などもあり、09年には2ドル台まで暴落。現在に至るまで、3ドル前後で推移するなど、さえない。
9.ガス価格の下落は、チェサピーク・エナジーの資金繰りを直撃した。生産したガスの一部を借人金の返済に充当するという条件で、しかも生産量を過大予測して資金を調達していたからである。15年の暖冬で需要が低迷したことも、打撃であった。同社にダブルパンチを食らわせたのが、14年に始まった原油安である。テキサス州で産出される低硫黄の超軽質原油であり、北米の原油価格の指標となっているWTI(ウエスト・テキサス・インダーミデイエイト)原油価格は、14年6月に107ドルの値をつけて以降、つるべ落としのように下落を続け、16年2月には30ドルにまで下がった。
10.チェサピーク・エナジー株は16年2月8日、一時50%超の大暴落を記録。創業者マクレンドン氏が、3月に不慮の事故死を遂げるなど悪い知らせが続き、市場では「同社の破綻は近い」とささやかれたが、チェサピーク・エナジーは3月に満期を迎えた債券を着実に償還したばかりか、掘削権などの資産売却、債務の株式化、流通市場から市場価格で買い入れる自社株買い、鉱区開発の規模縮小や先送りなどの手法をフルに使い、1〜3月期に負債額を10億ドル以上も削減することに成功した。
11.同社の負債はいまだ106億ドルと巨額であるものの、返済すべき債券償還額は15年9月末の22億ドルから、16年9月末の6億2500万ドルへと激減している。企業が稼いだお金から、活動するのに必要なお金を差し引いた余剰資金を表すフリーキャッシュフローの改善により、同社は、18年末までの債券償還に対する支払い現金を確保したと発表し、株価も回復傾向にある。


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2017年08月24日

トポロジーの概念は、7本の橋の問題である。川によって分けられ、7本の橋があが、どの橋も2度通らず、全ての橋を渡って元の場所に戻る、という問題である。

「大栗博司(カルフォルニア工科大学教授)著:ノーベル物理学賞受賞の理論値“トポロジカルな相転移”とは、
週刊ダイヤモンド、2016.11.05」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.温度や圧力などの外的な環境を変えると、物質の性質が変わることを「相転移」という。摂氏ゼロ度で水は固体の氷になる。1970年代までは、相転移は「対称性」という考え方に基づいて理解されていた。
2.物質では温度や圧力を変えると、対称性が変化する。鉄の原子は一つ一つが磁石のような性質を持っている。これらの原子がある特定の方向にそろうと、鉄全体が磁石になる。磁力は特足の方向に向いているので、これは「空間の回転対称性が破れた」状態という。温度を上げていくと、ある温度で鉄原子の向きがランダムになって、磁力が失われ、どの方向から見ても同じ性質を持つ。温度を上げることで、鉄の回転対称性が回復する。
3.授賞対象となったのは、対称性とは関係のない新しい相転移現象の理論的予言である。そこに登場するのが「トポロジー」である。トポロジーの概念が最初に登場したのは、「ケーニヒスベルクの7本の橋」-の問題である。この町は、プレーゲル川によって南北に分けられており、7本の橋が架かつており、「どの橋も2度通らず、全ての橋を渡って元の場所に戻れるか」という問題が話題になった。
4.18世紀の数学者オンハルト・オイラーは、橋の配置を、頂点と辺から成る図形で置き換えて考えた。そして、このような図形では、「全ての頂点に集まる辺の数が偶数のときに限って、一筆書きで元の場所に戻れる」ことを証明した。頂点に集まる辺の数の偶奇だけが問題で、橋の位置などを少しぐらいずらしても答えが変わらないというのがトポロジーの考え方の始まりである。
5.例として、「つむじ」の問題がある。私たちの髪の毛は頭全体を覆つているわけではなく、サッカーボールに毛を生やしてなで付けると、必ず1つはつむじができるという数学の定理がある。ところが、穴の1つ開いたドーナツに毛を生やすと、つむじを作らずになで付けることができる。
6.ノーベル物理学賞では、このトポロジーの考え方を使った相転移の理論が授賞対象となった。相転移の説明で、鉄の原子は一つ一つが磁石になっているとき、2次.元の薄膜の上に並んでいる状態を考える。対祢性に基づいた相転移の埋論では、薄膜の上の原子には相転移が起きないとされていた。ところ.が、今回の受賞者となったジョン・コステルリッツとディビッド・サウレスは、このような薄膜上の原子たちが、新しいタイプの相転移を起こすことを示した。
7.右巻きと左巻きのつむじが対で発生すると、コステルリッツとサウレスは、温度を上げていくとつむじの対が増え、ある温度になると、つむじの対がばらばらに分かれて薄膜を満たしていくことを計算で示した。これが「トボロジカルな相転移」である、薄膜上では相転移は起きないと考えられていたので、大きな驚きだった。
8.サウレスは、甲元真人らと共に、量子ホール効果と呼ばれる現象も「トポロジカルな相転移」の例として説明した。また、もう一人の受賞者となったダンカン・ハルデーンは、この理論をさらに大きく発展させ、応用の幅を広げた.


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2017年08月21日

コンパクトで単純な電力貯蔵装置は「空圧電池」で分散・多数設置型が可能である。圧縮した空気を解き放つときにタービンを回し発電する。

「福田良輔(中部大学客員教授)著:福島後の未来をつくる、中山間地域の切り札:空圧電池、日本全体の電力は1億kWで十分、
エコノミスト、2016.11.8」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日本は、「中山間地域」と呼ぶ地域が国上の70%を占める。中山間地域とは、平野の端から山聞地にかけた地域の産業は農林業が中心だが、農林業従事者の高齢化や後継者不足などから過疎化が進行し、衰退が著しい。中山間地域には、木材資源や放棄田畑など、再生可能エネルギー施設を設置するうえで必要な資源や土地が豊富で、安く入手できる。
2.著者と神戸製鋼所グループは「山麓フロンティア研究会」を設立し。中山間地域のメリットを生かして、再生エネルギーを活用した地域振興を取り組んでいる。太陽光発電は天気による発電量が変動、発電した電力を消費地に送るための送電系統網が脆弱で、電力会社は、中山間地域の太陽光発電を系統網につなぐことに制限を設けている。
3.課題の解決策の一つが電力貯蔵装置だが、電力貯蔵施設に使う蓄池として、鉛電池は蓄電容量が小さいので、多くの電池が必要になるし、重い。リチウムイオン電池も、数百kW級の電力を貯蔵するには高コストで、寿命も短い。
4.できるだけコンパクトで単純な構造ということで、電力貯蔵装置として「空圧電池」を用いた小容量・分散・多数設置型再生可能エネルギーシステムの開発・実.用化に取り組んでいる。システムでは、圧縮した空気を解き放つときに生じるエネルギーを使ってタ一ービンを回し、発電する仕組みである。空気の圧縮には、太陽光発電や風力発電などで余った竃力を使う。圧縮した空気は鋼製タンクにためておき、電力が必要になったら、圧縮空気を放出して発電する。研究会が岡山県美咲町で計画中の実証事業では、この空圧電池や空気タービンに・太陽光発電装置や木質バイオマス発竃装置を組み合わせた総合システムを構築する。
5.空気タービンには、神戸製鋼所製の「2軸スクリュータービン」を用いる。同社はすでに出力500kWのテストプラントを稼働中で、静岡県河津町でも風力発電と組み合わせた同2000kWの空圧電池・空気タービン設備を12月の完成を目指して建設中である。
6.農林水産省は当初木質バイオマス発電事巣の損益分岐点を発電規模5000kW級と算定していたが、最近では技術の進展もあって、2000kW程度まで下がっている。しかし、1000kW.級の大規模な木質バイオマス発電設備は燃料である木材資源の調達が難しい。出力300kW.以ドなら、システムを設置した周辺町村の地域木材を燃料資源として持続的に活用できる。容量効果が出ないとコストは高止まりしてしまうため、小さな容量クラス単独で利益を出すのは困難であるが、太陽光発電と空圧電池を組み合わせ、数百kW.規模の木質バイオマス発電でも安定した利益を生み山せる。
7.空圧電池の寿命はほかの蓄電池よりも長い。長い期間にわたって利益を確保できる。空圧電池の主要部材である鋼管は、空気貯蔵向けだけなら50年間超、長ければ100年聞使用可能である。シンプルな構造の空気圧縮機と空気タービンは、メンテナンスすれば50年間は十分持つ。
8.研究会は「100年」の超長寿命構造の太陽光パネルの開発・商用化を目指しており、パネル両面を厚さ2ミリの強化ガラスで覆った寿命50年の太陽光パネルの商用化に成功している。これを空圧電池と組み合わせ、20〜30年の長期にわたって初期投資費用を回収するとともに、それ以降の寿命まで太陽光発電の売電で得た利益をシステムの維持に充てる事業モデルを検討している。
9.日本全体の発電施設を合わせた総発電容量(能力}は、本来、1億kWで十分だが、電力量と使う電力量を一致させる「同時発電岡時消費」の原則があるために、使用量の多いピークに合わせて発電施設を設ける必要がある。このため、総発電容量は必要以上に多くなる。電力会社すべての余剰設備は計1億kWに上る。さらに企業の自家発電設備が5000万kWもあることから、日本全体の総発竜容量は2億5000万kWに及ぶ。
10.これを太陽光発竃を中心とした「再生エネ発電+空圧電池」のシステムに置き換えていけば、理論的には電力会社の余剰設備の1億kW分が不要になる。この不要になった発電資産を売り払い、売却で得た資金を空圧電池の設置に充てれば、それだけでも日本に必要な空圧電池すべてを設置できる。純国産資源で電力を賄うことができるようになれば、、現在の年10兆円に上る発電燃料の輸入向け外貨の持ち出しは不要になる。


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2017年08月19日

三菱商事は英国で洋上風力発電から地上に電気を送る海底送電線を約270億円で取得し、欧州全域を網羅する発送電網構築を目指す。

2017/8/18付けの 大前研一さんの「 ニュースの視点 」(発行部数 166,851部)は「ソフトバンクグループ/米ウーバーテクノロジーズ/三菱商事/エールフランスKLM 〜スカイチームの提携強化で変わること」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは先月25日、配車サービスを展開する米ウーバーテクノロジーズにソフトバンクグループが出資を検討していると報じた。ソフトバンクは中国で配車大手の滴滴出行に加え、インドのオラなど複数のライドシェア(相乗り)関連の企業に出資しており、今回の出資が実現すれば、ソフトバンクがアジアで事業運営を統合するよう働きかける可能性があると伝えている。
2.ソフトバンクが事業運営を統括することになる可能性は薄い。ソフトバンクは、中国の滴滴出行、インドのオラ、シンガポールのGrabに投資しているが、この種のサービスは国をまたいで投資しても相乗効果はそれほど期待できない。ソフトバンクがウーバーに出資することになっても、中国やインドで大きな変化が起こるとは思えない。
3.カラニック氏がウーバーのCEOを辞任し、ウーバーの舵取りをするか、に関して、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは先月28日、トラビス・カラニック氏の後任候補の1人として、ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルトCEOを検討していると報じている。
4.7月末でGEを退任したイメルト氏に関して、パワハラ問題などで社内はぐちゃぐちゃのウーバーでも、イメルト氏なら何とかしてくれるという期待が持っている。イメルト氏の立場であれば、ウーバーのCEOは受けない。もしイメルト氏が引き受けたなら、ソフトバンクの孫社長はイメルト氏と旧知の仲だから、出資に好影響が出るかも知れない。
5.日経新聞は先月26日、三菱商事は英国で洋上風力発電から地上に電気を送る海底送電線を約270億円で取得すると報じた。風力発電は安定的に電力を供給するのが難しいとされているが、発送電の分離が進み今後も需要がある英国を中心にノウハウを蓄積し、欧州全域を網羅する再生エネルギーの発送電網構築を目指すとのことである。
6.商社は潮流発電など、様々なものに投資をしているが、その1つが今回の海底送電線への投資である。この電源は、おそらく3000ボルト以下のものだから、サハリンから日本へ送り込むような高圧直流は必要ない。欲を言えば、高圧直流を研究して、ウラジオストクから新潟へ送電する、あるいはサハリンから日本へ送り、さらに福島に残っている送電網へつなぐなど、もう少し戦略的に投資すると良い。
7.仏蘭航空大手エールフランスKLMは先月27日、英ヴァージン・アトランティック航空の株式31%を取得すると発表した。同時に米デルタ航空と中国東方航空から出資を受け入れると発表。北米、欧州、アジアの3地域にまたがる航空ネットワークを構築し、競争力を高めるのが狙いとのことである。
8.スカイチームの提携関係を整理すると、次のようになる。エールフランスとKLMが2004年に経営統合した。エールフランスKLMは、アリタリア航空の業績が良くないときに支援をした仲間である。今回の記事によると、エールフランスKLMがデルタ航空と中国東方航空から10%ずつ出資を受け入れ、さらにヴァージン・アトランティック航空に31%出資をすることで、提携関係を大きく広げることになる。ただし、ヴァージン・アトランティック航空はスカイチームメンバーではない。
9.ヴァージン・アトランティック航空にはデルタ航空がすでに49%出資しているので、チーム全体で見れば、ヴァージン・アトランティック航空の株式を80%以上保有し、完全にコントロールできる状態である。これにより、欧州、米国に加えて、中国、アジアなどが一体化して、スカイチームが強くなる構図である。
10.航空業界にはいくつかのアライアンスがあるが、ここまで提携関係が強くなった例は他にない。中国東方航空がメンバーに入ったのも初めてである。アライアンスを組むことで、マイレージの共通化、乗り継ぎの融通などができるようになる。そのためにはオペレーションを改善していく必要がある。
11.デルタ航空には、4月に暴力問題で炎上したユナイテッド航空とは違うところを見せて欲しい。今後、オペレーションがどのように改善されていくのか見守っていきたい。




yuji5327 at 06:38 

2017年08月15日

太陽光を有効に活用するためには、可視光ではたらく光触媒の開発が必須である。2000年代になって、ようやく可視光を使った水分解活性を示す光触媒がいくつか見出された。

「光化学協会編:夢の新エネルギー:
人工光合成とは何か、講談社、2016年」は参考になる。「第6章:人工光合成への道筋(3)」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.1967年に二酸化チタン半導体光電極を用いた世界で最初の水の光分解実験の成功例として、ホンダーフジシマ効果が報告された。それを契機に、世界中の研究者がいろいろな光触媒や半導体光電極を用いた水分解などの人工光合成研究の取り組みを始めた。ホンダーフジシマ効果で用いられた二酸化チタンなどの金属酸化物、金属硫化物、金属(酸)窒化物、C-N有機物などは、半導体的な性質をもった物質であり、人工光合成で最も有望な触媒群である、,
2.光触媒は、一般に粉末にして水溶液に懸濁させた状態で用いる。半導体は、電子が存在できる軌道が隣の原子の軌道と結びついて、そのエネルギーが帯状に広がった軌道を作っている。エネルギーが低く電子がそれ以上は入らないバンドは価電子帯という。電子が定員いっぱいに入った最高被占軌道(HOMO)にあたる。また、エネルギーが高く電子がほとんど入っていないバンドは、「伝導帯」という。まだ電子が入る余地のある最低空軌道(LUMO)にあたる。
3.価電子帯と伝導帯のバンド状の軌道問のエネルギー差をバンドギャップとよぶ。半導体光触媒では、バンドギャップを満たすエネルギーをもった光子が当たると、価電子帯から伝導帯へと電子が飛び上がる。これは、色素分子に光が当たると、HOMOからLUMOへ電子が汲み上げられたことにあたる。色素分子と半導体は、どちらも人工光合成に利用できる可能性のあることがわかる。
4.価電子帯から電子が抜けてできた孔をホールとよぶ。ホールは価電子帯中を動くことができる。半導体のエネルギーレベルは、電極の電位に対応してV(ボルト)で表示することが多い。価電子帯の電子1個を伝導帯に汲み上げるには、1個の電子を電位差に逆らって上に運ぶ仕事の単位がeV(エレクトロンボルト)なので、バンドギャップエネルギーはeVの単位で表す。
5.半導体粉末光触媒は、1種類の光触媒を用いるタイプと、2種類の光触媒を用いるタイプに分類される。前者は、「単一粒子型光触媒」とよばれ、1つの光触媒粒予の上で水の還元および酸化反応により水素と酸素を生成する。この場合、水素を作るには2個の水素イオンH+に電子を2個与えるので、電荷分離を引き起こす光子は2個必要となる。一方、酸素を作るには、水から電子を4個引き抜くので光子は4個となるが、全体として見れば、1つの光触媒粒子に4個の光子を当てて、2分子の水素と1分子の酸素が発生することになる。
6.後者は、水素のみを生成する光触媒粒子と酸素のみを生成する光触媒粒子の2種類の粉末光触媒粒子と、それらの粒子間で電子のやり取りを行う電子伝達剤で構成される。酸素発生側の光触媒粒子が光子を4個吸収し、水から電子を汲み上げて酸素1分子が発生し(1段階目)、さらに水素発生側の触媒粒子も光子を4個吸収して電子を水素イオンに渡して2分子の水素が発生するので(2段階目)、形式的には天然の光合成の光化学系機↓兇卜犹した系となる。このような2光子過程ではたらく光化学系を「Zスキーム型光触媒」とよぶ。
7.太陽光水素エネルギー変換効率(STH)
=水素に蓄えたエネルギー量/全太陽光入射エネルギー
=水素生成量×水素のエネルギー含量/太陽エネルギー量×受光面積
と表される。
太陽光は、いろいろな波長を含んでおり、波長ごとに異なる数の光子が降り注いでいる。、人工光合成の効率を決めているのは、吸収波長と量子収率ということになる。量子収率とは、光吸収で生成した電子とホールがどのぐらいの割合で反応に使われたかを示す指標である。
8.光触媒の効率を決める吸収波長については、赤外線から紫外線まで幅広い波長の光が混ざっている太陽光から、光触媒が、どれだけ多くの光子を吸収できるかが重要となる。バンドギャップが狭いほどエネルギーの小さな光、すなわち波長が長い光まで吸収できるが、単にバンドギャップが狭ければよいわけではない。水の電気分解の理論電圧は1.23V(光の波長としては約1000nmに対応)なので、バンドギャップもそれより大きくなくてはならない。実際は余分なエネルギー(過電圧)も必要なので、1000nmよりもさらに短波長の光を用いないと水を分解することはできない。1000nmよりも短波長の光を効率良く吸収でき、さらに幅広い吸収波長領域で高い量子収率をもつ光触媒が、高効率なものと言える。
9.二酸化チタンTiO2の結晶構造には3種類があるが、これらのバンドギャップは、それぞれ3.2、3.2、3.0eVである。すなわち、同じ組成の物質でも、結晶構造が異なるとエネルギー状態も異なる。材料設計を行うことにより、より効率の高い光触媒を開発できる可能性がある。
10.1980年代後半からそれまで報告のなかった新しい光触媒が見出されるようになった。化学式で表すと、K4Nb6O17、K2La2Ti3O10、ZrO2、Ta2O5などである。しかし、可視光ではたらく効率の良い光触媒がなかったため、1990年代にはこの研究領域は低迷した。1990年代後半から、タンタル系複合酸化物光触媒をはじめとし、数多くの新しい光触媒材料が開発されるようになった。、特に高い活性を示すものとして東京理科大学の工藤昭彦教授らによって開発された光触媒(NiO/NaTaO3:La光触媒)がある。光触媒の粉に光を当てるだけで、高難度な水の分解反応が進行する。
11.太陽光を有効に活用するためには、可視光ではたらく光触媒の開発が必須である。2000年代になって、ようやく可視光を使った水分解活性を示す光触媒がいくつか見出された。


yuji5327 at 06:31 

2017年08月14日

フラッシュメモリーはHDDより高価なのが難点だったが、技術革新で、価格の高さを補う大容量・省電力化に成功した。

「種市房子、花谷美枝(編集部)著:世界中のハードディスクがフラッシュメモリーに置き換わる、
エコノミスト、2016.10.25」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.米国のフィラデルフイア半導体株指数〔SOX指数)は過去10年間で最高値水準の800ポイント超で推移している。東京市場でも半導体関連株ばかりが上がっている。半導体産業で今、注目を集めるのは、世界中でコンピューターサーパーの証憶装置が、ハードディスクドライブ〔HDD〕から、NANDフラッシユメモーリーに置き換わっていることである。新しいメモリー市場である。
2.ゲームはネット接続が主流になり、動画や音楽の配信サービスや竃子商取引が日常的になり、情報を保存サーバーの需要は今後、爆発.的に増える。年聞に生成されるデータ量は現在、世界で推計8ゼタバイト(ゼタは10の21乗〕とされるが、2020年までに40ゼタバイトに膨れ上がると予想される。このデータ量やサーバーのフラッシュメモリー採用状況から、20年にはフラッシュメモリーの工場が新たに200棟必要になる。製造技術の改善で歩留まりを高めたり、データの圧縮などで、実際にはそれだけの工場を建てなくても済む。
3.データセンターに置くサーバーはこれまでHDDが主流だった。ディスクを高速回転させてデータを書き込んだり読み込む仕組みで、低価格が売り物だった。回転させるモーターの電気代がかかること、モーター回転で発生する熱もサーバーの動作に悪影響を与えていた。
4.フラッシュメモリーはHDDより読み書きのスピードが速い。モーター駆動は不要で熱も発生しないが、価格が高いのが難点だった。情報量1ビット当たりの単価では、NANDはHDDより7〜8倍高く、データセンターも初期投資を躊躇していた。最近、フラッシユメモリーは技術革新によって、価格の高さを補う大容量・省電力化に成功した。
5.それを可能にしたのが、三次元NAND技術である。これまでは大容量化の技術競争は、1層の基板の上にいかに細かい線幅で回路を描くかという「微細化」が主戦場だった。線幅の微細化は10ナノメートル幅前後で限界に近づいた。線幅が小さくなり、隣り合うセルが近すぎると、電子が干渉し合う。最近3年の技術競争は、基板を重ねて回路を増やす「積層化」に移った。1次元NANDは、電子干渉で起きる動作エラーを修正するために竃力を消費していたが、3次元NANDは上にスペースを確保できた分、線幅に余裕を持った設計にできる。この結果、電子干渉対策の電力が不要になったので、3次元NANDは低消費電力で、電力コスト削減も含めたトーダルコストで見れば、3次元NANDがHDDを追い抜く段階に来た。
6.今や、データセンターの新設に当たっては、3次元NANDのサーバーの注文が相次いでいる。この波に乗り、世界のメモリー半導体メーカーは今年に入って大型の設備投資に踏み切り、インテルとサムスン電予は中国で.3次元NAND工場を立ち上げ、増力中である。。米マイクロンは9月、シンガポールの工場に3次元NAND用ラインを増設した。束芝も四日市工場に3次元NANDラインを増設した。さらに、中国勢の設備投資も活発である。
7.メーカーの設備投資の恩恵にあずかっているのが、半導体装置メーカーである。積層化は、セルの材料を積み重.ねて、電子を通す電極を埋め込むので、数10層に積み重.ねた材料に一気に員通孔を開ける。この「積層」「穴開け」「電極埋め込み」には、徴細化とは別の特殊技術が必要である。米アプライドマテリアルズや東京エレクトロンなどは、これらの技術に長けており、装置メーカーの株価は今年半ばから高値圏で推移している。
8.半導体市場の成長分野は、メモリーだけではない。自動運転、AI(人工知能)囲発、あらゆるものがネットにつながるIoT〔モノのインターネット〕時代に向けて、制御用や演算用の半導体市場にも期待が集まる。こうした成長を見越して、足元では大規模なM&Aが加速している。10月初旬、米紙は、スマホ向け通信情報処理チップ大手クアルコムが、マイコン世界2位のNXPセミコンダクターズの買収を検討していると報じた。買収規模は3兆円。9.買われる側のNXPは当時のマイコン世界4位・フリースケール・セミコンダクタを約2兆円で買収したばかりだった。こうした規模の利益を出すためのM&Aは半導体業界で繰り返されてきた。
10.他業界から半導体へ進出するためのM&Aも活発化している。ソフトバンクグループが英ARMを買収した。HDD事業を柱とする米ウエスタンデジタルも今年、メモリー大手のサンディスクを買収した。市場は、大型M&Aのうわさ話が絶えない。買収対象候補の株価は、買収する側が、時価より高い株価で買い付けるケースが多い。それを見越して、機閏投資家が先回りして株を買う。
11.半導体全体では、需要予想は弱い。2016年の世界半導体売上高はマイナス成長である。今はは完全にバブルである。フラッシュメモリーはしばらくは好調だろうが、2020年までには供給過剰になる。半道体バブル崩壊への足音にも耳を澄ます必要がある。




yuji5327 at 07:15 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
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