エネルギー問題

2017年09月03日

ポンプ車から高い水圧で水を送り込み、シェール含有層に亀裂を生じさせる水圧破砕法が確立されて以来、シエール業界ではイノベーションが急速に進んだ。

「岩田太郎(在米ジャーナリスト)著:チェサピーク・エナジー、復活するシェール革命の象徴、
エコノミスト、2016.1.22」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.チエサピーク・エナジーは、地下2〜4kmの深度に広がっている頁岩(シェール〕層から採取される天然ガスの生産で米第2位、坑井を通じて地下から産出する天然ガスを液体化した液化天然ガス生産で米第14位にランクする米シェール大手である。
2.シェール革命によって、米国がサウジアラビアやロシアなどの産油国を抜き、2014年に世界最大のエネルギー生産国になった1989年、シェールの将来性を熱く説くオーブリー・マクレンドン氏が、従業員10人で創業した会社が、チエサピーク・エナジー社である。
現在は、全米で約4万4000の原油・ガス井の権益を持ち、原油換算日量61万1000バレルを生産するまでに成長した。全米男子プロバスケットボールリーグNBAの試合が開催される、オクラホマ州オクラホマシティーの大規模屋内競技場「チェサピーク・エナジー・アリーナ」の地元スポンサー企業でもある。
3.シエール革命の象徴ともいえるチェサピーク・エナジーの急成長は、シェール掘削技術の驚異的な革新と、粘り強い地主との交渉で有望なシェール埋蔵地の採掘権を早くから確保していた先見の明に支えられてきた。
4.技術面では、ポンプ車から高い水圧で水を送り込み、シェール含有層に亀裂を生じさせる水圧破砕法〔フラッキング〕が確立されて以来、シエール業界ではイノベーションが急速に進んだ。地中から採取された岩石サンプルなどの性質を調べ、各深度における岩石の割れやすさを測定する技術も日進月歩で発達し、垂直に掘ってから横方向に進む水平掘削技術のコストパフォーマンスが高まった。
5.チェサビーク・エナジーは、この技術革新と、00年代初頭の天然ガス価格高騰の波に乗り、以前は採算の取れなかったオクラホマ州やテキサス州の鉱区の掘削による収益増で巨大化した。06年には、ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を選んで指数化したS&P500に名を連ねた。
6.同社は競合他社に比べ、より広いエリアにより大きいシェール採掘権を設定しているのが強みである。良質な軽質原油を産出し、北米において最も肩望な鉱区の一つであるテキサス州南部のイーグルフオード・シエールオイル・ガス田や、オハイオ州とペンシルベニア州にまたがるユーティカ天然ガス田、オクラホマ州北西部とテキサス州北部の回廊地帯に位置するアナダルコ盆地、そしてワイオミング州のパウダー川盆地にあるナイオブララ・シェールオイルなど、有名なところである。
7.これらに加え、テキサス州・ルイジアナ州・ペンシルベニア州などに散在する他のシェール・ガス田にも権益を確保するなどして、15年末で原油換算15億400万バレルの推定埋蔵量に対する採掘権を保有している。
8.チェサピーク・エナジーの目覚ましい躍進は、08年後半にシェール過剰生産による天然ガス価格の下落が始まったことでストップがかかった。05年には、天然ガス売買の単位である100万英熱量(BTU)当たり15ドル台まで暴騰した価格が、リーマン・ショックの影響などもあり、09年には2ドル台まで暴落。現在に至るまで、3ドル前後で推移するなど、さえない。
9.ガス価格の下落は、チェサピーク・エナジーの資金繰りを直撃した。生産したガスの一部を借人金の返済に充当するという条件で、しかも生産量を過大予測して資金を調達していたからである。15年の暖冬で需要が低迷したことも、打撃であった。同社にダブルパンチを食らわせたのが、14年に始まった原油安である。テキサス州で産出される低硫黄の超軽質原油であり、北米の原油価格の指標となっているWTI(ウエスト・テキサス・インダーミデイエイト)原油価格は、14年6月に107ドルの値をつけて以降、つるべ落としのように下落を続け、16年2月には30ドルにまで下がった。
10.チェサピーク・エナジー株は16年2月8日、一時50%超の大暴落を記録。創業者マクレンドン氏が、3月に不慮の事故死を遂げるなど悪い知らせが続き、市場では「同社の破綻は近い」とささやかれたが、チェサピーク・エナジーは3月に満期を迎えた債券を着実に償還したばかりか、掘削権などの資産売却、債務の株式化、流通市場から市場価格で買い入れる自社株買い、鉱区開発の規模縮小や先送りなどの手法をフルに使い、1〜3月期に負債額を10億ドル以上も削減することに成功した。
11.同社の負債はいまだ106億ドルと巨額であるものの、返済すべき債券償還額は15年9月末の22億ドルから、16年9月末の6億2500万ドルへと激減している。企業が稼いだお金から、活動するのに必要なお金を差し引いた余剰資金を表すフリーキャッシュフローの改善により、同社は、18年末までの債券償還に対する支払い現金を確保したと発表し、株価も回復傾向にある。


yuji5327 at 06:39 

2017年08月21日

コンパクトで単純な電力貯蔵装置は「空圧電池」で分散・多数設置型が可能である。圧縮した空気を解き放つときにタービンを回し発電する。

「福田良輔(中部大学客員教授)著:福島後の未来をつくる、中山間地域の切り札:空圧電池、日本全体の電力は1億kWで十分、
エコノミスト、2016.11.8」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日本は、「中山間地域」と呼ぶ地域が国上の70%を占める。中山間地域とは、平野の端から山聞地にかけた地域の産業は農林業が中心だが、農林業従事者の高齢化や後継者不足などから過疎化が進行し、衰退が著しい。中山間地域には、木材資源や放棄田畑など、再生可能エネルギー施設を設置するうえで必要な資源や土地が豊富で、安く入手できる。
2.著者と神戸製鋼所グループは「山麓フロンティア研究会」を設立し。中山間地域のメリットを生かして、再生エネルギーを活用した地域振興を取り組んでいる。太陽光発電は天気による発電量が変動、発電した電力を消費地に送るための送電系統網が脆弱で、電力会社は、中山間地域の太陽光発電を系統網につなぐことに制限を設けている。
3.課題の解決策の一つが電力貯蔵装置だが、電力貯蔵施設に使う蓄池として、鉛電池は蓄電容量が小さいので、多くの電池が必要になるし、重い。リチウムイオン電池も、数百kW級の電力を貯蔵するには高コストで、寿命も短い。
4.できるだけコンパクトで単純な構造ということで、電力貯蔵装置として「空圧電池」を用いた小容量・分散・多数設置型再生可能エネルギーシステムの開発・実.用化に取り組んでいる。システムでは、圧縮した空気を解き放つときに生じるエネルギーを使ってタ一ービンを回し、発電する仕組みである。空気の圧縮には、太陽光発電や風力発電などで余った竃力を使う。圧縮した空気は鋼製タンクにためておき、電力が必要になったら、圧縮空気を放出して発電する。研究会が岡山県美咲町で計画中の実証事業では、この空圧電池や空気タービンに・太陽光発電装置や木質バイオマス発竃装置を組み合わせた総合システムを構築する。
5.空気タービンには、神戸製鋼所製の「2軸スクリュータービン」を用いる。同社はすでに出力500kWのテストプラントを稼働中で、静岡県河津町でも風力発電と組み合わせた同2000kWの空圧電池・空気タービン設備を12月の完成を目指して建設中である。
6.農林水産省は当初木質バイオマス発電事巣の損益分岐点を発電規模5000kW級と算定していたが、最近では技術の進展もあって、2000kW程度まで下がっている。しかし、1000kW.級の大規模な木質バイオマス発電設備は燃料である木材資源の調達が難しい。出力300kW.以ドなら、システムを設置した周辺町村の地域木材を燃料資源として持続的に活用できる。容量効果が出ないとコストは高止まりしてしまうため、小さな容量クラス単独で利益を出すのは困難であるが、太陽光発電と空圧電池を組み合わせ、数百kW.規模の木質バイオマス発電でも安定した利益を生み山せる。
7.空圧電池の寿命はほかの蓄電池よりも長い。長い期間にわたって利益を確保できる。空圧電池の主要部材である鋼管は、空気貯蔵向けだけなら50年間超、長ければ100年聞使用可能である。シンプルな構造の空気圧縮機と空気タービンは、メンテナンスすれば50年間は十分持つ。
8.研究会は「100年」の超長寿命構造の太陽光パネルの開発・商用化を目指しており、パネル両面を厚さ2ミリの強化ガラスで覆った寿命50年の太陽光パネルの商用化に成功している。これを空圧電池と組み合わせ、20〜30年の長期にわたって初期投資費用を回収するとともに、それ以降の寿命まで太陽光発電の売電で得た利益をシステムの維持に充てる事業モデルを検討している。
9.日本全体の発電施設を合わせた総発電容量(能力}は、本来、1億kWで十分だが、電力量と使う電力量を一致させる「同時発電岡時消費」の原則があるために、使用量の多いピークに合わせて発電施設を設ける必要がある。このため、総発電容量は必要以上に多くなる。電力会社すべての余剰設備は計1億kWに上る。さらに企業の自家発電設備が5000万kWもあることから、日本全体の総発竜容量は2億5000万kWに及ぶ。
10.これを太陽光発竃を中心とした「再生エネ発電+空圧電池」のシステムに置き換えていけば、理論的には電力会社の余剰設備の1億kW分が不要になる。この不要になった発電資産を売り払い、売却で得た資金を空圧電池の設置に充てれば、それだけでも日本に必要な空圧電池すべてを設置できる。純国産資源で電力を賄うことができるようになれば、、現在の年10兆円に上る発電燃料の輸入向け外貨の持ち出しは不要になる。


yuji5327 at 06:38 

2017年08月17日

原子力発電の政府のもくろみは、原発コストの消費者・国民への転嫁である。

「古賀茂明著:闘論席、
エコノミスト、2016.1025」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.原子力発電をめぐる政府のもくろみが、いよいよその全貌を現してきた。福島第一原発事故直後から、経済産業省内で築き上げられてきたもので、その核心は、「原発コストの消費者・国民への転嫁」である。
2.電力小売りの自由化と不完全ながら発送電分離の実施が決まり、原発はコスト高で生き残れなくなった。そこで電力会社は、発送電分離の条件として、原発事業で決して損が出ない「制度的な」保証を求めた。平時だけではなく、事故を起こしても、という虫の良い仕組みである。
3.経産省は今、福島の事故処理費用のうち、損害賠償と廃炉について、原発を保有する大手9社だけでなく、新電力にも負担させる制度を検討している。全国の原発が廃炉になった場合の費用や、賠償費用の一部などを新電力の消費者を含めて電力料金に転嫁する方法で、少なくとも8・3兆円の負担を大手電力会社は免れる。
4.原発から出る使用済み核燃料の再処理事業を担う認可法人を作り、電力会社に再処理費用の支払いを義務づける「再処理等拠出金法」が10月1日に施行された。再処理を電力会社の経営から切り離し、苦しくなったら、廃炉の負担から逃れる。
5.核のゴミの処分も国が前面に出て、場所の選定に乗り出している。こちらも、コストを新電力にも負担させるだろう。事故の際の電力会社の損害賠償額に上限を設けようという、究極の「モラルハザード」法の構想も姿を現した。
6.最後の締めが、電力価格がどうなっても、原発が絶対に赤字にならないようにする収入保証の仕組みの導入である。原発だけでは批判が起こるので、火力発電の議論から始まる。一連の政策で電力会社の株価は大きく上昇する。国民の犠牲で、本来責任を取るべき株主の利益を増やすという政策である。この国に「正義」はあるのか。国民の見識が問われている。



yuji5327 at 06:30 

2017年08月08日

2050年頃の世界のエネルギー需要の3分の1を人工光合成プロセスで製造したソーラー水素でまかなうには、日本列島の15分の1の面積で済むので非現実的ではない。

「光化学協会編:夢の新エネルギー:
人工光合成とは何か、講談社、2016年」は参考になる。第7章:人工光合成大規模プラント実現への挑戦」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.ホンダ・フジシマ効果の発見以来、半導体光触媒を用いて水素を作る方法の実用化への検討が進んでいる太陽エネルギーを利用して水を分解して得られる水素はソーラー水素とよばれている。
2.ソーラー水素製造の実用化には経済性が必要である。経済産業省は、2020年頃に水素の価格を450円/kgにすることを目標としている。2015年時点で、燃料電池自動車用水素の水素ステーションでの値段は1000円/kgである。米国エネルギー省は水素供給価格の目標を200〜400円/kgと定めており、日本の価格目標に近い。
3.2013年に米国で種々の形式のソーラー水素製造プラントの水素の販売価格について分析されている。ソーラー水素の作り方は、半導体光電極を用いる方法と粉末光触媒を水の中に分散させて用いる方法がある。光触媒電極を用いた場合に、太陽光水素エネルギー変換効率(STH)が10%を達成でき、水素の価格は160〜1040円/kgになる。STHとは、全太陽光入射エネルギーのうち、水素に蓄えたかを示す指標である。
4.いずれの方法でも、10%程度以上のSTHを達成することが、水素供給価格の目標を満たすうえで必要である。半導体光触媒でSTHが10%に達するには、量子収率という吸収で生成した電子とホールがどれだけの割合で反応に使われたかを示す指標を上げる必要がある。
5.太陽エネルギーは入射強度が時問帯や天候や季節により大きく変動し、エネルギーが豊富な地域も砂漠地帯に偏在している。太陽エネルギーを利用するには長期間の貯蔵や長距離の輸送技術が必要である。体積が大きくなる気体のソーラー水素はそのまま輸送するのではなく、触媒プロセスを用いていったん炭化水素やアンモニアなどの液体燃料に変換して輸送し、そのまま利用したり、水素に戻したりして利用することが想定さる。
6.太陽エネルギー強度の強いサンベルト地帯(アメリカ合衆国南部、ほぼ北緯37度以南の温暖な地域フロリダ州、ジョージア州など)で、25km^2の規模の人工光合成型ソーラー水素製造プラントが10%のSTHで稼働する場合、1日あたり5100トンの水から570トンの水素が製造される。これを分離・精製して貯蔵や輸送が容易な液体燃料に物質変換し、消費地まで運送して利用することか想定される。
7.2050年頃の世界のエネルギー需要の3分の1を人工光合成プロセスで製造したソーラー水素でまかなうには、25万km^2の面積が必要となる。この面積は、日本列島の面積:377万7900km^2なので日本列島の15分の1の面積で済む。アフリカのサハラ砂漠の面積は約940万km2なのでその37分の1で良い。ソーラー水素製造プラントの建設は、決して非現実的ではない。
8.ソーラー水素製造プラントで使う大規模な人工光合成装置のイメージは、粉末光触媒の粒子が固定化されたシート状のデバイスを作り、それを太陽電池のようにモジュール化し、パネルの上に並べる。シート状のデバイスを「光触媒シート」とよび、それを並べて水を入れ、発生した水素を集めるしくみを「人工光合成パネル」とよぶ。
9.粉末光触媒をガラス基板や柔軟な膜上に塗布・固定化すれば、パネル状、シート状の光触媒として利用できる。このシートを水に浸して光を当てるだけで、水素と酸素が発生する。可視光で水を水素と酸素に分解することができる光触媒の窒化ガリウム酸化亜鉛固溶体を光触媒シートにするには、シート状に固定化された光触媒をそのまま水に浸漬させただけでは、粉末光触媒をそのまま懸濁させた場合と比較して水を分解する活性が落ちる。10.理由は、光触媒粒子が緻密に積層するために、光触媒粒子の隙間に水が浸透しにくくなったり、生成した水素や酸素の気泡が光触媒層から出にくくなる。そこで、親水性の二酸化ケイ素粒子を光触媒粒子に混ぜて光触媒パネルを作製したところ、粉末をそのまま水に懸濁させた場合と同じ程度の水分解速度を示す。シリカ粒子の添加効果はシリカ粒子の粒径が大きいほど高い。粒径が大きな親水性の二酸化ケイ素粒子が混じることにより光触媒粒子層に十分な空隙が生じて気泡や水の出入りが改善され。
11.光触媒粒子をシートに層として固定する手法を検討することで、粉末のまま光触媒を使ったときと同じ水分解速度を発揮する光触媒パネルを作製することができるので、将来大規模なプラントで用いる光触媒パネルの作製に活用できる。
12.粒子転写法という方法を用いて金属膜上に固定化した光触媒シートが開発された。この方式では、光触媒粒子と金属膜などの導電層の間に十分な機械的強度があり電気的導通性も良いものを作ることができる。
13.金属膜を用いた光触媒シートの一般的な作製手順はシンプルで、まず、水素を生成する光触媒と酸素を生成する光触媒のそれぞれの粉末の混合物をガラス基板などに塗布する。次に、光触媒粒子の層上に金属膜などの導電層を製膜する。その後、光触媒粒子層・導電層の接合体を別の基板に転写する。最後に、超音波処理などにより余分の光触媒粒子を取り除く。これで、水素生成光触媒と酸素生成光触媒の粉末が導電層に埋め込まれた光触媒シートを簡単に作ることができる。
14、この方法では、理想的には光触媒粒子が1層に並んだ配置となり、電子が縦方向に粒子と金属膜の間を移動するだけなので電気抵抗の少ない光触媒と導電層の接合体を得ることができる。


yuji5327 at 06:33 

2017年08月06日

化学プラントで排出されるCO2は、日本の年間排出量は約13億トン(2015年)であり、その中で化学産業は約8000万トン程度である。

「光化学協会編:夢の新エネルギー:
人工光合成とは何か、講談社、2016年」は参考になる。「第7章:人工光合成を実用化する具体策:事業化の戦略、人工光合成で化学品製造を目標とする」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.現在、我が国における人工光合成の研究の中で、実用化に向けた取り組みとして人工光合成化学プロセス技術研究組合の人工光合成プロジェクト(略称ARPChem)がある。これは経済産業省所管の国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」による2012〜2021年という10年問の国家プロジェクトである。
2.ソーラー水素や液体燃料の製造・出荷を直接の目的とはせず、水素をもとにして化学工業の原料を製造し、出荷するプラントの実現を目標としている。プラントから出荷されるのは、水素でなくエチレンやプロピレンなどの化学工業の原料プラスチックなどの製品の原料である。
3.CO2削減の課題および産業としての採算性の課題を解決する。新技術を適用する際に考えるべきポイントが2つある。1つは、必要不可欠な課題が解決できる点だ。2つは採算がとれること。
4.産業活動によるCO2排出のうちの多くは自動車、飛行機、船舶などの燃料や火力発電所の燃料からの排出、製鉄所で鉄鉱石をコークス(炭素)で還元して鉄を生産する際のCO2排出に由来する。化学プラントで排出されるCO2はこれらに比較するとそれほど大きくない。日本を例にとるとCO2の年間排出量は約13億トン(2015年)であり、その中で化学産業は約8000万トン程度である。
5.化学原料を人工光合成の開発対象にする理由は、各家庭へのガスや電気エネルギーの供給方法や社会全体のエネルギーシステムなどはすでに、社会が多額の投資を蓄積してきた結果として有している社会インフラ、社会資本である。これらを、一気に変えて、新しいシステム、設備に移行するは、新たな巨額投資が必要になる。現在の社会インフラ、社会資本、エネルギーシステムを最大限有効利用しながら、少しずつ新しいシステムに移行していく考え方、方法が現実的である。
6.ソーラー水素、人工光合成技術は、事業化に成功する確率の高い方法で社会実装しようとしている。化学製品を事業対象にするのかは、より付加価値の高い製品として出荷することで、採算性を取ろうとするからである。
7.これまで天然ガスのメタン(CH4)を原料として合成ディーゼル油やジメチルエーテル(DME)を製造する触媒プロセスの開発が実施されてきたが、未だに実用化されていない。その理由の一つとしてエネルギー用の燃料価格の安さがある。
8.石油化学産業の現在の原料であるナフサ(原油を蒸留して得られる30〜180℃程度の沸点をもつ成分の混合物)は、ほぼガソリンと同様の成分であり、価格も同等であるが、ナフサクラッカー(ナフサを熱分解して低分子化合物を得るための分解炉)によって得られるエチレン、プロピレンなどの低級オレフィンは、クラッカー(分解炉)での熱分解というひと手間をかけている分のコストが加算されるので割高になる。


yuji5327 at 06:47 

2017年08月04日

人工光合成技術導入ソーラーH2によるオレフィンの製造コストは、ソーラーH2の値段が200円/kg程度が達成できれば、他の方法と十分に競争ができる。


光化学協会編:夢の新エネルギー:人工光合成とは何か、講談社、2016年」は参考になる。「第7章:人工光合成を実用化する具体策:事業化の戦略、人工光合成で化学品製造を目標とする」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.ソーラーH2とCO2からエチレン、プロピレンなどを作ることができれば、ガソリン相当の燃料を作るよりは利益が得やすい。またエチレン、プロピレンなどから誘導される、より複雑な化学品(たとえばポリマ一)への変換といった高機能化が図られるので、その分より利益が得られやすい。
2.燃料は単に燃やしてエネルギーを作るので、その価値はエネルギー価格で決まる。燃料は安ければ安いほどよいので、燃料には付加価値はほとんどつかない。人工光合成が作る人造石油が、まず狙うべき目標は燃料ではなく化学品とする必要がある。工業的な意味でまず経済合理性を得やすい付加価値の高いエチレン、プロピレンなどのオレフィン類を作ることを目標とする事業化の道を探り、その事業化の後により大規模な生産量(大幅なCO2排出削減)につながる水素を含めた燃料製造を考えるのが合理的であ。
3.化学品の大半は石油から作られている一方、北米でシェールオイルなどの非在来型の化石資源の産出量が急拡大している。生産規模から考えると石油にせよ、シェールガスやシェールオイルにせよ化石資源が化学品製造の原料である時代は当分続く。化学品の価格は当分の間、化石資源の価格に依存する。したが'って、人工光合成によって得られる水素を用いたCO2からの炭化水素の価格は化石資源由来の価格と同等程度でなければ競争にはなりえない。
4.現在使用している化石資源と将来使用したいソーラーH2が登場するまでの間をつなぐことが必要である。CO2排出量の観点から有効な手段として天然ガスのCH4に注目する。化石資源ではあるが、燃料目的に用いられており、また化学品に変換する場合においてもCO2排出量の少ないのがメリットである。まずはCH4を用いてCO2を化学原料化する。
5.その後に、人工光合成に移行する。CO2の化学原料化する。過剰分の水素をもつCH4を酸素で酸化して(酸素が電子を取って)6電子還元相当の炭化水素を作ることが可能であろう。この場合、電子を取りすぎないようにできれば、CO2は生成せずに済む。
6.ソーラー水素と二酸化炭素を利用した化学原料製造によってCO2排出量は減る。化石資源由来の(CH2)n、の場合には、採掘、輸送、製造に際して発生したCO2に加えて、製品を燃やした場合に発生するCO2を加算した「カーボンフットプリント」で表現する。
カーボンフットプリント(略称CFP:CarbonFootprint炭素の足跡)とは、「人間活動が温室効果ガスの排出によって地球環境を踏みつけた足跡」という意味で、一般的に製品が販売され、さらに焼却処分までを含めて排出される温室効果ガス重量をいう。
7.化石資源から製造したH2を用いて燃料電池自動車を走らせても、原料が化石資源である限りにおいては、H2の製造までにたっぷりとCO2が副生している。つまり、化石資源を原料としている限りにおいてはCO2排出ゼロなどという表現を使えば嘘になる。
8.ソーラーH2を用いた場合には水素雰囲気で反応させ、空気(つまり酸素)がない状態で反応するので、生成物のオレフィンが無駄に燃焼することもなくCO2が出ることもないメリットがある。このCO2削減量は、従来技術ではありえない驚異的な数字であり、カーボンプラス(CO2増加)のプロセスからカーボンニュートラル(CO2不変)どころではなく、一挙にカーボンマイナス(CO2減少)プロセスにまで達するのである。人工光合成プロセスは、まさに地球を救う化学プロセスであることがわかる。
9.人工光合成技術を導入したソーラーH2によるオオレフィンの製造コストは、ソーラーH2の値段として200円/kg程度が達成できれば、CH4とCO2を用いた場合を含む他の方法と十分に競争ができる。風力発電や太陽光発電を用いた、水の電気分解法による水素製造に比べても、人工光合成によるソーラー水素は、最も有望であるとの評価が得られている。


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2017年07月24日

アラブ諸国の原子力発電所建設で先頭に立つのはUAE。UAEは、09年に日本を退けて韓国の企業連合に建設を発注した。20年までに計4基で国内電力供給の25%を賄う。

「土屋一樹(JETROアジア経済研究所研究員)著:アラブで進む脱石油依存、原油価格下落で大胆な経済改革、
エコノミスト、2016.9.20」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.アラブ諸国で構造改革の試みが本格化している。国内の人口増加と国際原油価格の急落によって、持続的な経済成長に向けた抜本的な改革が不可避となっている。エジプトは今年2月に「エジプト2030年ビジョン」、サウジアラビアは4月に「ビジョン2030」と題した30年までの開発計画を公表。アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国は6月に「経済ビジョン2030」を改訂した。いずれも、持続可能な経済成長を目的とした開発の青写真を描いている。
2.構造改革の目的は、原油価格の変動に翻弄されない、安定したマクロ経済と持続可能な経済成長を実現すること。構造改革の第1弾は、エネルギー政策の見直しである。国内向けのエネルギー価格の引き上げや、エネルギーミックス(電源構成)の変更を実施する。背景には、エネルギーの国内需要の急増により将来の石油輸出余力の低下とエネルギーへの補助金支出の増加が懸念される。これらは各国の経済開発と国家財政に直結する問題である。
3.アラブ諸国の多くは、国内向けのエネルギーに巨額の補助金を投入している。国際通貨基金(IMF〕をはじめとする国際機関は、この補助金が各国の財政赤字を悪化させ、安価なエネルギー販売は資源の浪費につながるとして改革を求めてきた。
4.アラブ諸国の政府は、補助金削減に消極的だった。低価格でのエネルギー供給は、独裁的な政府と国民との暗黙の社会契約の1つであり、安易な価格引き上げは政府の正統性を問われかねないと考えていたが、11年にUAEのドバイ首長国政府が家庭向けの電力価格を15%引き上げた。他のアラブ諸国もエネルギー販売価格の見直しを検討するようになった。正当な理由に基づく補助金削減は、国民の理解を得られるとの判断があった。
5.サウジでは、15年にムハンマド・ビン・サルマン副皇太子(現国王の息子)がエネルギー価格の合理化と高所得層への補助金撤廃の意向を表明。今年、ガソリン、ディーゼル燃料、天然ガスを大幅に値上げした。クウェートはディーゼル燃料の価格を15年に引き上げ、現在は電力料金の値上げを模索している。オマーンは15年に天然ガス価格を2倍にし、今年はガソリンとディーゼル燃料の価格を引き上げた。
6.エジプトは慢性的な財政赤字を抱えつつも、補助金の削減には長年、慎重な姿勢だったが、シシ政権成立直後の14年7月に電力、天然ガス、ガソリンなどエネルギー全般を大幅に値上げした。同時にエネルギー補助金の段階的な廃止を表明し、今年8月に再び電力料金を引き上げた。
7.アラブ諸国の多くは、豊富な埋蔵量を持つ石油資源輸出国であり、自国での消費を大きく上回る石油資源を産出しているが、近年はエネルギーミックスの見直しを始めた。石油資源の輸出量を確保しつつ、国内電力需要の急速な拡大に対応するためである。UAEは07年から発電用に天然ガスの輸入を開始し、08年以降に純輸入国となっている。世界第7位の天然ガス埋蔵量にもかかわらず、天然ガスの需要が国内産出量を上回り、輸入量は年々増加。パイプラインを通したカタールからの輸入に加え、タンカーによる液化天然ガス(LNG)の輸入も増えている。
8.クウェートもUAEと同様に、00年代末から発電用天然ガスの輸入を始めた。輸入量は年々増えており、今年は新たなLNG輸入施設の建設を発注するなど、今後も輸入量の拡大が見込まれる。
9.サウジはこれまで、天然ガスについては自給を基本方針としてきが、電力需要の急拡大を受け、ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、発電用に天然ガスを輸入する可能性に言及した。発電の燃料に原油ではなく輸入天然ガスを使い、原油の輸出余力を確保するためで、天然ガス政策の転換を視野に入れた発言である。エネルギーミックスの再編は、天然ガスの利用拡大だけでなく、原子力や再生可能エネルギーの推進にも及んでいる。
10.アラブ諸国の原子力発電所建設で先頭に立つのはUAEである。UAEは08年に原発の検討を開始し、09年に日本を退けて韓国の企業連合に建設を発注した。17年に1号機が運転を開始する予定で、20年までに計4基で国内電力供給の25%を賄うことを計画している。


yuji5327 at 06:37 

2017年07月22日

今後、アラブ諸国は人口増加が見込まれる。各国では、石油資源に頼らない経済構造への転換が最重要課題となっている。先駆けは、UAE、バーレーン、カタールなど。

「土屋一樹(JETROアジア経済研究所研究員)著:アラブで進む脱石油依存、原油価格下落で大胆な経済改革
、エコノミスト、2016.9.20」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.サウジは原発建設に向けた検討を10年に本格化させた。現在の計画では、22年までに1基目の運用を開始して、40年までに計16基を建設し、総発電電力量の20%を賄うとしている。
2.エジプトは13年に原発の建設計画を再開し、15年にロシア企業と計4基の建設契約を締結した。24年に最初の1基の運用を開始し、30年には総発電電力量の9%を原発で供給することを計画している。
3.再生可能エネルギーは中東の環境条件に適した太陽エネルギーと風力による発電計画が中心である。UAEは13年に世界最大級の太陽熱発電施設を稼働させた。ドパイは昨年、「ドバイ・クリーンエネルギー戦略2050」を開始。30年までに、太陽エネルギーを中心とするクリーンエネルギーで総発電電力量の25%を調達することを目指している。
4.エジプトは、再生可能エネルギーによる発電を推進するため、太陽エネルギーと風力で発電した電力の固定価格買い取り制度を14年に導人した。そして「エジプト2030年ビジヨン」において、太陽エネルギーと風力を合わせた発電量を30年までに総発電電力量の30%にする目標を掲げた。
5.構造改革の第2弾は、長期経済開発方針の策定である。人口増加で深刻化する失業問題は、公的部門での雇用拡大で緩和してきたが、この施策は安定した石油輸出収入を前提とする。そのため原油価格の下落により、各国の経済と財政は翻弄されている。原油価格の下落は、エジプトのような石油輸入国にも悪影響を及ぼしている。石油輸出国からの投資、経済支援、出稼ぎ労働者からの送金、観光収入などが減少するためである。
6.今後もアラブ諸国は人口増加が見込まれる。そのため各国では、石油資源に頼らない経済構造への転換が最重要課題となっている。対策の先駆けは、UAEのアブダビ首長国、バーレーン、カタールがそれぞれ08年後半に公表した。30年までの経済開発ビジョンである。クウェートも35年に向けた開発方針を策定した。いずれも持続可能な経済成長を目標とした長期ビジョンで、人材育成、産業多角化、民間部門の拡大、公的部門の効率化などを柱としている。
7.湾岸アラブ諸国で最大の人口3200万人を抱えるサウジは、大胆な構造改革を必要としている。「ビジョン2030」は、「活気ある社会」「繁栄する経済」「野心的な国家」の3つの柱で構成。「繁栄する経済」は、石油に依存しない経済構造に転換し、持続的な経済成長を実現することを目指している。その手段として、民間部門の拡大、国際競争力の向上、国有ビジネスの民営化、政府投資ファンドの形成などを計画している。サウジにとつても目新しいものではないが、経済政策の実質的な決定権者であるムハンマド・ビン・サルマン副皇太子が直接指揮する計画であること、そして数値目標を明記していることで、世界から注目された。加えて、女性の社会進出、観光資源の開発、エンターテインメントの振興といった、サウジにとって機微な分野の政策を含んでいることも関心を集めた。
8.サウジのムハンマド副皇太子は精力的に外国を訪問している。今年6月に米国とフランスを訪問し、8月31日〜9月3日には公式な実務訪問賓客として来日。日本では、エネルギー分野での協力とビジネス関係の強化で合意した。日本訪問の前後には中国を訪問して、経済・治安分野での関係強化を確認したほか、9月4〜5日に杭州で開かれた主要20力国・地域(G20)首脳会議に出席し、「ビジヨン2030」を紹介した。
9.「エジプト2030年ビジヨン」は、エジプトで14年に発足したシシ政権が策定した初の長期開発計画で、経済開発・社会発展・生活環境改善の3つの柱から構成される。「バランスのとれた、知識に基づく、競争力を持つ市場経済」の構築を掲げ、30年までに経済規模で世界30位、1人当たり国内総生産(GDP)1万ドル、失業率5%といった数値目標を明記している。



yuji5327 at 06:46 

2017年07月20日

日本の風力発電の累積導入量は15年末時点でようやく300万kW程度。中国は15年の1年間だけで3100万kW。米国も860万kW、ドイツも600万kW。1年間の導入量でも大きな差がある。。

「今西章(創・省・蓄エネルギー時報編集次長)著:取り残される日本の風力発電部品メーカー軸に挽回を、エコノミスト、2016.9.20」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.世界のエネルギー産業は、風力発電をに動きつつある。15年末時点の世界の風力発電の累積導入量は4億3300万kWで、太陽光発電の2億2700万kWの約1・9倍である。16年8月末時点の世界の原子力発電の累積導入量約3億9000万kWをも上回る。現在の再生可能エネルギー産業は、化石燃料から風力に移りつつある。
2.日本の状況は心もとない。風力発電の累積導入量は15年末時点でようやく300万kW程度である。中国は15年の1年間だけで3100万kW。米国も860万kW、ドイツも600万kWを導入した。主要国の1年間の導人量にも大きく水をあけられている。
3、欧州など風力発電先進国は近年、化石燃料を用いた火力発電所を地球温暖化対策や経済性の観点からほとんど建設していない。日本は今年4月に始まった電力小売り全面自由化を受け、安価な電源として石炭火力発電所に注目が集まり、建設計画が続々と打ち出されている。
4.日本の風力発電は、世界の潮流とは真逆の方向に進んでいる。日本の風力発電の導人は進まないのは、陸上風力発電の適地が少ない、各電力会社間の送電系統網がスムーズにいかない、などの理由は正しくない。日本が世界の主要国並みに進めると、電力会社は既存のビジネスモデルを維持できなくなる。そこで、電力会社はさまざまな理由をつけて風力発電の電力受け入れを妨げている。
5.日本の風力発電にも希望はある。20年に予定される電力会社の発電部門と送配電部門を別会社化する「発送電分離」である。すでに発送電分離が実現した欧州のように、再生可能工ネルギー電力の系統網への接続が容易になる。電力会社の中にも再生可能エネルギーに理解を示す「革新派」勢力も生まれつつある。
6.独最大の電力会社イーオンは、原発発竃事業や石炭など火力発電事業を本社から切り離し、再生可能エネルギーに特化した事業モデルに転換した。日本の風力発電が今後急成長を遂げるには、風力発電所の電力が主力の電源となるような電力会社が出現する変革が起きなければ難しい。
7.日本の風力発電産業も、部品メーカーは、世界でも大きな存在感を示している。機械メーカーのナブテスコは、風力発電機が効率的に発電できるための、風車の羽根の角度を制御する減速機で定評がある。同社の減速機は高精度・高剛性、高効率が強みである。重電大手の富士電機は、受変電設備と系統安定化装置では、海外に競合メーカーがなく、ほぼ独占状態にある。
8.風力発電機本体は、日本メーカーの存在感は薄い。独大手シーメンスとスペイン大手ガメサが風力発電設備事業で統合したように、競争が激化している。今後は例えば、三菱重工業と日立製作所のように、複数メーカーの風力発電事業を統合・再編し、世界とわたり合えるような企業を作ることも手段の一つである。
9.太平洋戦争は大艦巨砲主義の時代が終わり、航空機主体の戦闘になっていたのに、日本は、莫大な予算を投じて戦艦大和や武蔵を作った。造船会社が当時の官僚や軍人の天下り先となっていたためである。現代の原子力産業がムラを形成して利権を維持している構図によく似ている。



yuji5327 at 06:39 

2017年07月14日

中国は電力量の伸びが急減しており、電力供給が過剰気味となっている。火力発電、風力発電や太陽光発電が減少する状況にある。

「富岡浩司(アジア株アナリスト)著:中国長江電力、三峡ダムを持つ水力発電会社、
エコノミスト、2016.9.6」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.中国長江電力は中国最大の水力発電会社で、三峡ダム発電所の運営会社として2002年9月に設立された。国有企業の親会社、長江三峡ダム集団が72・01%の株式を保有している。保有発電能力は15年末時点で2528万kWで、ほとんどが世界最大の水力発電設備である三峡ダム発電所で2250万kWを占める。日本最大規模の水力発電所が奥只見発電所の56万kWであるから、三峡ダム発電所が巨大であるか分かる。
2.同社は、湖南省の原子力発電所にも出資しているが、当面は試験や経験を積むという段階で、積極的に拡大する方針にはない。発電規模が巨人なだけに、電力供給している地域も非常に広く、華中、華東、広東省や雲南省など、ほぼ中国の東部、南部全域をカバーしている。
3.同社は今年4月、親会社の長江三峡ダム集団などが保有していた世界3位のダムである渓洛渡発電所〔1260万kW)と向家壩発電所(600万kWkW.}の買収を完了し、発電能力は4388万kWと74%も増加した。買収費用は(約1・2兆円で非常に大きい買い物となっており、財務面での負拠が非常に大きい。水力で起こした電力は価格が安くて、上海地域など地元火力発電所の20ー30%も安い。他の水力労発電所に比べても圧倒的な価格競争力を保有している。
4.中国は鉄鋼などで過剰設備の削減が進められ、16年1〜6月の電力量の伸びが前年比2.7%まで急減しており、電力供給が過剰気味となっている。火力発電、風力発電や太陽光発電の平均稼働時間が減少する状況にある。そんな電力業界の逆風の中、同社は電力価格が安いという強みから、ライバルからすれば理想酌な状況が続いている。
5.リスクは、業績が天候に左右されやすい点で、雨がたくさん降れば流水量が増加して発電量が大きくなが、雨が少なければ売上が減少する。15年決算で売上高が9.9%減、純利益が2.6%減と減収減益になったのは、年聞を通じた降雨量が少なかったためである。
6.中国水力発電の雄として長江電力の発展の余地はまだ非常に大きい。親会社の長江三峡ダム集団は渓洛渡ダムの上流に、2カ所の大型水力発電所の建設を計画している。20年から21年の完成が見込まれており、稼働後問題がなければ長江電力への譲渡手続きに入る。完成すれば同社は発電量世界ランキング・トップ10に入る水力発電所を4カ所も保有することになる。
7.長江三峡ダム集団は政府が進める海外進出にも積極的に関与しており、既に欧州や中南米、アフリカなど45力国・地域の水力発電プロジェクトを運営したり、出資したりしている。
8.中国の景気の更なる下振れは脅威だ。電力需要がマイナス成長に沈むような状況が続けば、同社も雨さえ降ればそれだけ電力が売れるという状況に甘んずるわけにはいかない。稼働率が低下するだけではなく、新たに買収した2水力発姫掲所は電力価格が比較的高いことから、値下げ圧力が強まる可能性もある。




yuji5327 at 06:55 
池上技術士事務所の紹介
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池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
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