エネルギー問題

2019年01月28日

ソーラーシェアリングとは、太陽光を発電と農業で共有する取組み。農作物を生産しながら発電事業を行う営農型太陽光発電とされ、農業問題とエネルギー問題を同時に解決する。


「廣町公則(エネルギージャーナリスト)著:新潮流「ソーラーシェアリング」「発電×農業で地域振興、エコノミスト、2019.1.29」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が2012年7月にスタートして以来、太陽光発電の導入は急速に進んだ。一方で、自然災害が多発する昨今にあって、発電設備の安全性や地域との共生が喫緊の課題として顕在化してきている。こうした中、いま多方面から注目を集めているのが、「ソーラーシェアリング」である。
2.ソーラーシェアリングとは、太陽光を"発電"と"農業"で共有する取組み。農地の上部空間に太陽光パネルを設置して、農作物を生産しながら発電事業を行う営農型太陽光発電とも称され、農業問題とエネルギー問題を同時に解決する試みとしても期待が高まっている。
17年4月3日、耕作放棄地を農地として再生する先駆的収り組みともなった「匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所」(千葉県匝瑳市)の落成式には.小泉純一郎氏.細川護煕氏、菅直人氏の歴代3首相が政党の垣根を越えて列席し.ソーラーシェアリングの重要性を印象づけた。
3.一般に農地で太陽光発電を行つためには.農地法の定めに従って.農地転用の許可を得る必要がある。農地は.その土地の優良性や市街地化の状況等から5種類(農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地・第2種農地・第3種農地)に区分されているが、区分によって農地転用の許可基準には大きな違いがある。市街地化の進んだ第3種農地等であれば、完全な農地転用を行い、農業をやめて太陽光発電所に変えてしまうことも可能。しかし、農地として優良な農用地区域内農地や第1種農地などの場合、太陽光発電所に限らず農地転用は原則不許可となっている。
4.これは農地を守るという意味では有効であるように見えるが、実際には必ずしも現況に合っておらず、荒廃農地を生む背景ともなっていた。担い手がいない農地であっても、そこが第1種農地であれば、アパートを建てるなどの土地活用も許されず、耕作放棄地として放置するしかなかった。
5.ソーラーシェアリングは、こうした状況に風穴を開ける。当初は、同じ土地で農業と発電を.両立させるという発想自体がなかったため、FIT施行後も、しばらくは農地転用許可制度上の取り扱い規定が定まっていなかった。しかし、13年3月31日に農林水産省が農地転用に関する指針を表明したことで、事態は大きく進展した。ソーラーシェアリングが普及の途に就くとともに、農地に新たな可能性が開かれることとなった。
6.指針の最大のポイントは、ソーラーシェアリングは一般的な農地転用でなく、転用の許可期間が定められた。一時転用で行うこと。そして、「営農の適切な継続」「農業機械の利用が可能な高さ(最低地上高2m以上)や空間の確保」等の条件を満たせば、農地の区分に関わらず、一時転用許可を得ることができるとされたことだ。一時転用許可期間が満了しても、発電設備が営農に悪影響を与えていないことなどを示せれば、何度でも再許可される。つまり、これまでは農地転用が認められず農業以外には使われなかった第1種農地で
あっても、ソーラーシェアリングなら可能になった。第3種農地や第2種農地に対しても、新たな選択肢が示された意義は大きい。
7.18年5月15日には、1回ごとの一時転用許可の期間が、これまでの3年から、特定のケースでは10年まで延長されることになった。具体的には、’清箸涼瓦ぜ蠅自ら所有する農地や、耕作権を得ている農地等を利用する、荒廃農地を再生して発電設備を設置する、B2種農地または第3種農地を利用する:などの場合である。ここには、農水省のソーラーシェアリング推進の姿勢が明確に示されている。
8.ソーラーシェアリングの意義は、農業サイドと発電サイド、それぞれから見ることができる。まず、農業面に関しては、農作物の販売収入に如凡、継続した売電収入が得られるため、農業者の経営が安定する。十分な収入が得られずに離農を考えていた農家をつなぎとめる契機にもなるし、農家の跡取り問題を解決する糸口にもなる。農業経営の効率化や規模拡大を期待することもできる。
9.近年、日本各地で問題となっている耕作放棄地(荒廃農地)の解消にも貢献する。一時転用許可の大前提は「営農の適切な継続」であり、農業とセットでなければソーラーシェアリングは認められない。これを逆手にとって、ソーラーシェアリングを行うことを前提に、耕作放棄地を農地として.再生させようという試みが広がっている。
10.耕作放棄地には、しばらく営農者がいなかったわけだが、ソーラーシェアリングによる売電収入を元手に、営農を近隣の農家や農業生産法人等に外部委託することが可能になる。土地所有者にとっては、農地転用もできず眠らせていた資産を有効活用する道が開かれたということである。農水省によると、実際、ソーラーシェアリングのために農地の一時転用許可を得た775件(16年3月末までの許可件数)のうち、荒廃農地に発電設備を設置したものが全体の約30%(234件)を占めていた。
11.発電サイドから見た最大のメリットは、農地がもつ発電設備設置場所としてのポテンシャルである。日照条件が良く、平坦で土地造成費用が掛からないような太陽光発電事
業の適地は、既にその多くが押さえられている。住宅や工場など建築物の屋根上を除けば、新たな太陽光発電設備の設置スペースは、大規模造成が必要な山の斜面や、ため池の水面など未活用の場所に限られてくる。
12.こうした状況にあって、農地はほとんど手付かずのままである。しかも、その大半は日昭茶件に優れた平坦な土地である。その面積は、荒廃農地だけでも約28万ha(17年3月末)に達する.。一方で、ソーラーシェアリングに使われている農地面積は約350haに過ぎない。導入の余地は、果てしないほどに大きい。一般の太陽光発電は、ともすれば森林破壊や土砂災害の元凶とされ、地域との共生が危ぶまれるケースもある。
13.農業と共存し、農地再生にも一役買うソーラーシェアリングであれば、そうした懸念には及ばない。むしろ、農業生産を通して地域経済と必然的に連携することで、地方創生を具体化する取り組みともなっている。非常時には、食料とエネルギーを自給できる強靭性の高いシステムであり、地域全体の価値を高めることにも貢献する。
14.気になるのは、そもそも「太陽光パネルによって光が遮られても、農作物の生育に支障は出ないのか」ということだが、答えは「ノー」である。植物にはそれぞれ光飽和点があり、一定の強さを超えた光は光合成に寄与しない。ソーラーシエアリングはこの原理.
に基ついて考案されたもので.太陽光パネルの設置間隔を調整することで、作物の生育に支障のない日照量が確保される。
15.太陽光パネルのタイプはさまざまだが、日当たりの不均等や風雨の影響を抑えやすい幅狭タイプを推奨している。多くの太陽光パネルメーカーがソーラーシェアリング専用の製品を闇発しており、それぞれに高性能を競っている。また、太陽光パネルを支える支柱やくいについても、農地上に大空聞を確保するための強度と、施工性や耐候性を併せ持つ専用製品が販売されている。
16.農水省の最新統計によると、ソーラーシェアリングの導入件数は、17年3月末現在で合計1269件。北は北海道から南は沖縄まで、ほぼ全都道府県に導人事例があるが、地域問のパラつきは大きく、1位千葉県204件、2位静岡県140件、3位群馬県138件が突出している。
17.ソーラーシェアリングにおける発電設備の出力規模については、関係省庁どこからも発表されていないが、ソーラーシェアリング推進連盟によると、日本全体で350MWほどで、比較的小親模なものが大半である。18年5月15日から、農地の一時転用許可期間が10年になるケースが設けられたので、20年の再許可が1回で済む。





yuji5327 at 07:04 

2019年01月13日

原子力技術は、広範な専門領域にわたる総合技術であるため、原子力分野に限らず幅広い專門分野の技術者を広く確保し、原子力専門知識について再教育することが重要である。


「村上朋子(日本エネルギー経済研究所、原子力グループマネージャ)著:将来性のない原子力産業、人材確保に近道はない、エコノミスト、2019.1.13」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1. 国が目指す「"2030年のエネルギーミックス目標」の原子力比率20-22%は達成できるのか、という質問を受ける。30年の電力に占める割合[20〜22%に相当する原子炉基数は、原子炉30〜35基程度である。しかし、11年の福島第1原子力発電所事故発生時にあった54基のうち16基が廃止となり、18年現在、残る既設炉は38基。うち9基が再稼働し、6基が再稼働の認可を受けている。残る23基は数年以内に再稼鋤する保証はない。
2. 新規建設計画にも特段の動きが見られない。そうなると上記目標を達成はない、と考えるのは極めて自然である。現実を見れば、これで原子力産業に明るい将来展望を持て、というほうが無理である。
3.問題として挙げられるのが「人材確保」である。基数は激減しても、プラントがある以上は安全な運転にかかわる入材は不可欠だし、放射性廃棄物処理・処分、廃炉に取り組む人材も必要である。その人材をどこからどうやって確保するべきか、エネルギー産業の関係者なら一度は考えたことのある問題である。
4.この問題を考えるにあたって必要な基本情報は、原子力事業における従事者数のトレンドである。新規着工こそ途絶えたものの50基以上が運転中だった2000年代と、基数が激減しつつある現在とで従事者数にどれくらいの差があるのかを確認すると、日本原子力産業協会の「原子力発電に係る産業動向調査」は1959年から続く定点観測で、ここに電力会社と鉱工業他プラントメーカーなど原子力関係従事者数の推移を見ると、両者とも、直近20年弱の従事若数に大きな変動はなく、約4万2000〜5万入で推移し、プラント関係3万2000〜3万8000人程度、電力会社は99年から16年にかけて約1万人から1万3000人に増加している。原予力産業の魅力が低下し、優秀な人材が集まりにくくなった、と言われるほどデータからは読めない。
5.なぜ多くの人が異口同音に原子力産業の人材確保に危機感を持つかは、古くて新しい問題だからである。日本に原子力産業が誕生して以来、長期的な人材確保が課題として挙がらなかった時代はない。例えば、82年6月30日原子力委員会決定の原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画には、長期的な人材確保のあり方として以下のような記述がある。「将来必要となる技術者数は、原子力発電の将来規模等から推定すると、1990年度には、6万6000人程度(エネルギー利用分野で約4万人、放射線利用分野で約2万6000人)となる。」
6.原子力技術は、広範な専門領域にわたる総合技術であるため、原子力分野に限らず幅広い專門分野の技術者を広く確保し、原子力専門知識について再教育することが重要である、と書かれている。
7.82年ごろは国・民聞が共同で原子力プラントの改良標準化を進め、電力会社もメーカーも多くの建設案件を抱え、原子力産業は花形成長産業であった。一部の大学には原子力工学科に優秀な学生が集まっていたといわれるが、当時からすでに原子力工学科は人気のある学部ではなかった。将来に向けて人材確保という課題は早い段階から認識されていた。8.97年から17年までの直近20年問にわたり、電力会社・メーカーそれぞれについて原子力部門への配属人数は、原子力工学系からの採用率が20%前後で推移する一方、電気系や機械系からそれぞれ20〜30%、化学・材料系他から30%程度、幅広い分野から入材を採用している。原子力系に限定しない幅広い分野に開いている流れは一貰している。
9.人材の長期的な育成・維持・技術継承にあたって原子力工学科の存在意義が問われる。
05年に東京大学大学院に設置された原子力専攻はこの方向性に沿うものである。原子力分野等で働いた経験のある社会人を主な対象者とし、学部であまり扱わなくなった「原子炉物理学、原子力熱流動工学、原子力構造工学、原子カプラント工学、原子力燃料材料工学、廃棄物管理工学など、1年間で原子力修士を目指す。
10.縮小に向かう今後は、今後も、多様な人材確保と専門教育体制の維持を古くて
新しい課題として認識し、原子力産業が花形であろうが落ち目であろうが、人材確保という課題解決が必要である。



yuji5327 at 06:30 

2018年10月14日

人口減少が避けられなければ、地域経済の縮小を避けなければならない。1人当たりの稼ぐカを高め、域外から稼ぎつつ、稼ぎを地域内で消費・投資する地域経済循環が必要である。


「田中信一郎(地域政策デザインオフィス代表理事)著:人口減少でも地域経済を成長「地域エネ政策」の長野モデル、エコノミスト、2018.1016」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日本は、2008年から有史以来初の人口減少時代に突入している。08年に1憶2800万人のピークを迎え、現在に至るまで減少を続けている。国のシナリオの「60年に1億人」が実現しても、人口急減が続くことに違いはない。70年ごろまで急減が続き、その後、9000万人で定常化すると想定されている。
2.人口減少は、内需を中心とする地域経済に大きな影響を及ぼす、地域と運命を共にするガス、交通、金融、建設、小売りなどは需要縮小が避けられない。住民や自治体から見ると、地域経済の縮小は、どうしても避けたい。民間企業によって供給されている住民サービスの縮小・撒退を意味し.さらなる住民の流出を助長しかねない。
3.人口減少が避けられない現実だとすれば、地域経済の縮小こそ避けなければならない。1人当たりの稼ぐカを高め、域外から稼ぎつつ、その稼ぎを地域内で消費・投資する地域経済循環を形成することが必要である。
4.これまでの地域経済政策は、人口増加を前提にしてきた。自治体の主な政策は、増え続ける住民の雇用先となる企業を誘致することと、大企業の下請けとなる中小企業の資金繰りを支援することだった。
5.一方、経済構造の全体を俯瞰し、地域の資金収支を改善することには不熱心だった。自治体は、商工、農林、建設と縦割り化し、地域経済の一翼を担う健康福祉や教育などについては、産業としての視点を持っていなかった。
6.人口減少や資金収支という視点では、これらの政策は地域経済のさらなる衰退を招く恐れがある。雇用先でなく、働き手の不足が常態化するからである。そのため、自治体は経済政策の抜本的な転換を迫られている。従来の政策を継続すれば、縮小していく、雇用者と消費者の奪い合いを、域外資本と地域資本が繰り広げ、自治体が火に油を注ぐかたちになる。
7.その際、政策の見直しに加えて、地域エネルギー政策を確立することが重要になる。電気・ガス・燃料は、元をたどると石汕・石炭・液化天然ガス(LNG〕とほぽ海外産であ
る。消費と引き換えに、代金を日々、それらの産出国に支払っている。
8.地域エネルギー政策によって、エネルギーの利用の効率化と産出の地域化を促進すれば、その分だけ、資金収支が改毒する。例えば.地域の工務店に200万円で建物の断熱改修をしてもらい,毎年10万円の光熱費を減らしたとすれば、20年間で投質回収できる。これを工務店から見れば、顧客が200万円を域外に光熱費として支払う代わりに、新たな仕事を受注したことになる。同様に、燃料を地域産の木質チップに変更すれば、域外に流出するはずの燃料代が、地域の木材業者や森林組合へ行くことになる。風力や太陽光で発電した電気を大都市に売れば,域外から新たな収入を得ることにもなる。
9.長野県では、13年度から地域エネルギー政策を経済政策に位概付け、エネルギーと経済の好循環に取り組み始めている。同年度からの「長野県環境工ネルギー戦略」は、経済成長とエネルギー消費量・温室効果ガス排出量抑制の両立を目指している。
10.福島原発事故から半年後の11年10月から、筆者は長野県の任期付きの課長級職員として、5年間にわたりエネルギー政策に携わった。省エネ分野では、新築建物にエネルギー性能の検討を義務づけている。それと合わせ、建築事業者が施主に客観的な性能をデータで説明できるよう、評価ツールを普及した。例えば、建築費2000万円で年間光熱費20万円の住宅と、建築費2200万円で年問光熱費10万円の住宅のどちらを建てるか、施主は選べるようになった。
11.その結果、長野県の新築では、省エネ住宅の割合が大幅に増加した。国の省エネ基準を上回る新築戸建て住宅は、正確な統計はないものの、全国半均で3〜4割といわれる。16年の長野県調査では、8割を超える新築住宅が省エネ基準を上回っていた。
12.再エネ分野では、事業に取り組むスタートアップや中小企業を促進している。長野県内で再エネ普及を目指す産官学民のネットワーク組織「自然工ネルギー信州ネット」に、再工ネ事業に関心をもつ行政、中小企業、NPO、専門家、研究者、個人が参加し、再エネ事業に関する情報やノウハウを交換している。
13.その結果、再工ネ事業に取り組む事業者が県内各地に生まれている。例えば、「上田市民エネルギー」は、市民から小口の資金を集め、太陽光発電事業を展開している。18年5月現在、同県上田市を中心に.41ヵ所・600kWの設備を展開している.長野県は、18年6月に国から「SDGs〔持続可能な開発目標}未来都市」に選定され、地域エネルギー政策を活用した地域経済循環の強化に取り組み始めている。.
14.長野県の地域エネルギー政策は、大きな地域経済効果を生むと見.込れている。立命館大学のラウバッハ教授らの分析によると、長野県の再エネ目標(10年10万kW→50年300万kW)が達成された場合、50年までの累積で最大4400億円の付加価値が再エネ事業
を通じて生まれると試算されている。
15.この分析から、再エネ事業における資本・経営・資金の帰属の重要性が明らかになった。再エネ事業は、ほとんど雇用を産まないため、誘致しても固定資産税くらいしかメリットはない。けれども、利益を生まないわけでなく、利益の多くが事業所得になることが特徴である。つまり、地域の企業や住民が出資と経営を担い、地域の金融機関が融資したとき、地域への経済効果が拡大化される。出資・経営・融資のすべてを地域で担う手法を「地域主導型」と呼ぶ。一方、いずれも域外で担われる「外部主導型」では、地域への経済効巣は小さくなる。
16.長野県では、地域主導型の促進を方針とし、そのための支援策を積極的に講じてきた。信州ネットはその一環で、地域金融機関からの融資を後押しする補助金も設けている。こうした長野県の地域エネルギー政策は、地域固有の状況に依存するものでなく、全国の自治体に水平展開できるものである。
17.地域経済に資するエネルギー政策が現.実的になったのは、福島原発事故の11年以降である。再エネの固定価格買い取り制度が国会で成立し、再エネ発電で収益をあげることが容易になった。並行して、再エネ技術が安価になり、建築などの省エネ技術が高まり、地域エネルギー政.策の手法が確立した。それらが相まって、神奈川県小田原市や北海道ド川町、同ニセコ町など、同様の政策に取り組む自治体が、各地に増えつつある。


yuji5327 at 06:34 

2018年09月28日

イラン産原油を輸入すればペナルティーが科せられる。アメリカの理不尽な要求に日本は同調するが、原油か輸出できないイランがホルムズ海峡を封鎖し、オイルショックの再来もある。


「大前研一著:日欧に大打撃、トランプのイラン制裁、PRESIDENT2018.10.15」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.5月に米トランプ政権ば2015年に主要6力国(米英仏中露の国連常任理事国+独)とイランによって結ばれた核合意からの一方的な離脱を表明した。この核合意はイランが核開発の大幅な制限を受け入れる代わりに、欧米の経済制裁を解除するというものである。
2.これをトランプ大銃顕は弾道ミサイルの開発が制限きれていないことなどを理由に「現
在の合意内容でばイランの核開発を阻止できない」として離脱を宣言した。査察役のIAEAはイランが核合意を順守しているとの報告書をまとめているし、他の当事国も合意継続を訴えてアメリカの一方的な合意破棄を批判している。だがトランプ大銃顕はまったくお構いなしである。
3.イランへの経済制裁の一部を再開する大統領令に署名して.「史上最強の制裁を科す」と言明した。アメリカのイラン制裁ば90日、180日という2段陪の猶予期悶が設けられている。第1段階ばすでに発動して、イランによる米ドルの購入・取得、金などの、貴金属や鉄鋼、アルミニウム、石炭などの取引が制裁対象になった。
4.外国企業が旅客磯や部品を輸出したり、イランの自動車産業に関わったりすることも禁じられて、これを破った外国企菜も制裁対象とされる。第2段階の11月以降は、いよいよイランの輸出収人の8割以上を占める石油閲連の取引に対する制裁が始まる。このデッドラインに向けてアメリカとイランの対立は緊張度を高めると思われる。
5.イラン産原油の輪入停止を呼びかけるアメリカに対して、イランばホルムズ海峡の封鎖をほのめかしている。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の大動脈であり、日本が輸入する原油の7-8割はホルムズ海峡を通過する。イラン産原油の輸入ができなくなった場合、サウジアラビアやクウェートが肩代わりすると言っているが、サウジの原油もクウェートの原油も、同じく依存度の高いアラブ首長国連邦の原油やカタールのLNGもすべてホルムズ海峡を通ってくる。
6.イラン産原油を輸入すればペナルティーが科せられるし、アメリカの理不尽な要求に日本は同調せざるをえない。しかし禁輸が広がって原油か輸出できなくなったイランがホルムズ海峡を封鎖すれば、オイルショックの再来もありうる。ホルムズ海峡の封鎖をアメリカが軍事力で阻止しようとすればイランとの本格的な戦争に発展しかねないわけで情勢は予断を許さない。
7.制裁力ードが大好きなトランプ大銃顕にとって、イランぐらい制裁してメリットのある国はない。中国に対しては貿易不均衡を理由に制裁関税を次々と発動しているが.中国も報復関税で応戦して制裁合戦の様相を呈している。アメリカは中国から年間50兆円以上輸入しているし.対中貿易赤字は40兆円近い。米中の繰済はズブズブの依存関係にあって、制裁合戦がエスカレートすればモノの値段は上がって国民生活やアメリカ経済に深刻な影響が出てくる。
8.しかし、イラン革命と在イラン米大使館人質事件後の1980年に国交を断絶して以来、アメリカとイランぱ関わり合いがほとんどない。しかもアメリカは石油と天然ガスを輸出できるようになったから、イラン産原油をストップするのは自国のエネルギー産業にとってプラスになる。制裁の直接的な反動、デメリットが何もない。
9.さらに従来の同盟国をいじめ、ロシアや北朝鮮のような敵対国あるいは独裁国に親和性を持つトランプ大続領にとって愉快この上ないのは.イラン制裁のおかげでヨーロッパや日本などの同盟国が七転八倒することだ。
10.エアバスはフランス、ドイツ.イギリス、スペインが共同運営しているヨーロッパ随一の航空機メーカーで.イランから100機の注文を受けていた。しかしアメリカの制裁発動によって受注できなくなり.かろうじて完成していた3機を納めただけで、残り97機が頓挫した。またフランスの自動車メーカーPSA〔ブジョーシトロエン〕は核合意後にイランに合弁の自動車.工場をつくって17年から現地生産を囲始したばかりだったが、イラン制裁の悪影響を懸念してイランでの事業からの撤退を決めた。PSA以外にも核合意によって経済制裁が解除された後にイランに飛び込んだ欧州企業ば多い。



yuji5327 at 06:48 

2018年09月06日

「廃炉」という言葉は印象が良くない。グリーン技術として環境学科の科目にする。「グリーン」「環境」で表現すれば、成長産業である。廃炉はニーズがある。人材を確保して欲しい。

2018/8/31付けの 大前研一さんの「 ニュースの視点 」(発行部数 167,103部)は「原子力産業/福島第一原発〜原子力事業は日本全体で1つの事業体で担うべき」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日経新聞は23日、「原発 膨らむ費用、再編迫る」と題する記事を掲載した。東京電力と中部電力、日立製作所、東芝が原子力事業で提携協議に入ったと紹介。原発事業は世界的にコストが膨らむ傾向にあり、4社とも「1社では事業を担えない」という共通の焦りがあり、今回の提携をきっかけに国内の原発はもう一つの連合との2陣営時代を迎える可能性もあるとしている。
2.一昔前は、BWR(沸騰水型軽水炉)とPWR(加圧水型軽水炉)の2つの陣営に別れていたが、今ではそれほど明確に分かれてはいない。BWR陣営には、日立、東芝、東京電力、中部電力、東北電力、中国電力、北陸電力。そしてPWR陣営には、三菱重工、関西電力、九州電力、四国電力、北海道電力。これがかつての2陣営の構図だった。
3.PWRを世界で初めて商用化したのはウエスチングハウスで、かつて日本国内では三菱重工が提携し、PWR陣営の一翼を担っていた。しかし、東芝がウエスチングハウスを傘下におさめたことで、東芝はBWRもPWRもどちらも対応できるようになっている。三菱重工は仏アレバと提携した。
4.全体として見ればBWR陣営、PWR陣営という区分けに敏感ではなくなっている。また「1社では無理なので4社で」原子力事業を担っていくとのことだが、4社でも不十分である。
5.東日本大震災が発生した3月11日の直後、大前氏は次のように提案していた。すなわち、9電力会社の原子力部分を全て切り離し、そこに日立、東芝、三菱重工を加えて、「日本原子力機構」という組織を作るべき、と。このように提案した理由は、とても1社だけでは無理だし、日本全体で1つにならなければ対応できないからである。
6.東京電力は相当大きな企業だが、それでも福島の原発だけで持て余す状態になっている。原子力損害賠償・廃炉等支援機構が資金を注入しなければ、存在できない状況である。中部電力は、浜岡原発を当時の菅直人首相に閉鎖させられて困り果てている。フランスでも実質的にアレバ1社に原子力事業が集約されているように、日本も「とりあえず4社で」などと言わず、全体として1つに集約されなければ原子力の体制を立て直すことは難しい。
7.福島第一原発事故もあって、日本国内で新しい原子炉を作るのはほぼ不可能な状況にである。これから先は海外に出ていくしかない。その意味でも、日本全体でまとまらないと企業体力の面でも厳しいことは明らかである。
8.日刊工業新聞の情報サイトは21日、「東京電力と大学の思惑一致せず…足りない廃炉人材」と題する記事を掲載した。福島第一原発の廃炉作業を支える人材育成について、大学が廃炉技術の研究者を育てている一方、実際に現場で求められるのは日々発生するトラブルに対応しながら計画管理ができるプロジェクトマネージャーであると紹介している。こうした人材を育てるには、自身の専門以外の基礎を働きながら学べる仕組みや大学と現場をつなぐ場が必要としている。
9.大前氏がMITで原子力工学を学んだときには、同級生が130人もいたが、スリーマイル島原発事故が起こって状況が一変した。97年頃私がMITに訪れたときには、原子力工学を学ぶ生徒は1学年で15人くらいに激減していた。しかも、その15人の中に米国人は1人もいなかった。ほとんどは奨学金をもらってアフリカから来ていた留学生だった。
10.大前氏が学んでいた時代には、原子力工学には夢があった。マンハッタン計画の後は、原子力の平和利用だと誰もが思っていたし、MITでも非常に有名な先生が教鞭を執っていたが、スリーマイル島原発事故の後、米国人の中に原子力を学ぶという発想はなくなった。
11.福島第一原発事故で、同じことが日本でも起こってしまった。当時の米国でもそうだったが、今、日本で原子力を学んでいると言ったら「将来性がない」と思われる。だから誰も学ぶ人がいなくなる。
12.この問題は廃炉人材がいなくなることになるので、極めて重要な問題である。廃炉のために外国人を雇用して危険な環境の中で仕事をさせるのは、国際的な批判も受けるし、難しい。とは言え、廃炉は絶対にやらなければいけない。「廃炉」という言葉も、その印象が良くない。グリーン技術の1つとして環境学科の科目にするなど工夫するのも1つの策である。「グリーン」「環境」という言葉で表現すれば、興味関心を持ってくれる生徒も増える可能性がある。MITでもそのようにしている。考え方次第では、これは成長産業である。なぜなら、廃炉は「絶対にやらなくてはいけないこと」だから、完全なニーズがある。「廃炉」という見せ方ではなく、成長が約束された環境産業として位置づけて人材を確保して欲しい。


yuji5327 at 06:55 

2018年08月15日

使用済み核燃料の処理問題は、まず、もんじゅに代わる有害度低減技術開発、次に、原発敷地内に空冷式冷却装置を設置しオンサイト中聞貯蔵、リアルな原発のたたみ方を準備すること。


「橘川武郎(東京理科大学教授)著:福島後の未来をつくる、有害度の低減技術開発をリアルな原発のたたみ方、エコノミスト、2018.8.7.」は参考になる。
1. 核兵器非保有国である日本がプルトニウムを生む使用済み核燃料の再処理を行うことを可能にしているのは、日米原子力協定による米国政府のお墨付きがあるからである。その根拠になっていたのは、日本は核燃料サイクル政策を推進し、プルトニウムを平和的に管理する仕組みを有しているという判断だったが、2016年12月に高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃止が決定されたため、核燃料サイクル政策はその「心臓部」を失い、事実上立ち行かなくなった。核燃料サイクルを支える主要な柱と想足されていたのは、高速増殖炉燃料サイクルの方であった。
2.日本政府は、もんじゅ廃止後も、既存原発の軽水炉でウラン燃料とプルトニウム燃料を混ぜて利用するプルサーマルを実施すれば核燃料サイクルの維持は可能だとしているが、プルサーマルだけでは日本が現.在国内外に保有する約47トンのプルトニウムはわずかずつしか減らない。しかも、そのプルサーマル自体が遅々として進まず、現在プルサーマル発電を行っている原発は3基のみ、電気事業連合会が目標としてきた16〜18基には遠く及ばない状況である。
3.国際社会は、日本が今後どのようなプルトニウム削減方針を打ち出すか.注視している。今年7月に日米原子力協定は自動延長されたが、同時に、日米どちらかが6か月前に通告すれば、協定を破棄できる局面にも突入した。日本が打ち出すプルトニウム削減方針が国際社会の納得を得られない場台、トランプ米政権が北朝鮮政策との整合性を取るため、日米原子力協定を破棄して、日本の使用済み核燃料再処理に対するお墨付きを取り下げることもありうる。日本の使用済み核燃料処理政策は、きわめて困難な岐路に立たされている。
4.注目したいのは、16年に廃止が決定される以前から、もんじゅが事実上、高速増殖炉としての役割を終えていたという事実である。14年に策定された第4次エネルギー基本計画〔今年7月の改定まで効力があった)は、使用済み核燃料の減容化について「放射性廃棄物を適切に処理・処分し、その減容化・有害度低減のための技術開発を推進する。高速炉や、加速器を用いた核種変換など、放射性廃棄物中に長期に残留する放射線量を少なくし、処理・処分の安全性を高める技術などの開発を国際的なネットワークを活用しつつ推進する」と述べていた。
5.もんじゅに関しても、「廃棄物の減容・有害度の低減や核不拡散関連技術等の向上のための国際的な研究拠点と位置付け、これまでの取り組みの反省や検証を踏まえ、あらゆる面において徹底的な改革を行う」としていた。
6.第4次エネルギー基本計画では、もんじゅの高速炉技術を、従来のように怯燃料の増殖のためでなく、使用済み核燃料の減容化・有害度低減に転用する方針が、すでに打ち出されていたのである。
7.日本政府が政治的判断で、減容化・有害度低減のために転用するはずだったもんじゅの廃止を決定したのは、その2年後だ。つまり、日本の核燃料サイクル政策は、もんじゅ廃止で行き詰まったわけではなく、それ以前からすでに破綻をきたしていたことになる。もんじゅ廃止は、厳密には、核燃料サイクル政策に対してではなく、使用済み核燃料の減容化・有害度低減の取り組みに対して痛手を与えたと言うべきである。
8.「バックエンド対策」と呼ばれる使用済み核燃料の処理対策は、原発への賛否にかかわらず社会全体が解決を迫られている重.大な問題である。それは決して日本だけでなく、人類全体にかかわる問題でもある。
9.使用済み核燃料を再利用するリサイクル方式を採るにしろ、1回の使用で廃棄するワンススルー〔直接処分)方式を採るにせよ、最終処分場の立地は避けて通ることのできない課題であり、実現は、きわめて難しい。
10.最終処分場では使用済み核燃料を地下深く「地層処分」することになるが、その埋蔵情報をきわめて長い期問にわたって正確に伝達することは至難の業である。リサイクル方式を採れば危険な期間は短縮されるかもしれないが、それでも「万年」の単位、つまり、伝達期間は何百ー何千世代にも及ぶことになる。原発推進派の中には「地層は安定しているから大丈夫」と主張する向きもあるが、それでは地上はどうなのだろうか。
11.プルトニウムの半減期は2万4000年だが、2万年前には北海道はアジア大陸と陸続き、本州から種子島まで陸続きで、日本列島の姿は今とはまったく異なっていたという。
12.使用済み核燃料の危険な期間が万年単位のままでは、いくら政府が前面に出ても、最終処分地が決まるはずはない。最終処分地の決定には危険な期問を数百年程度に短縮する有害度低減技術の開発が必要不可欠である。有害度低減技術の開発については、その困難性のゆえに.否定的な見解をもつ識者も多いが、どんなに高いハードルであってもそれをクリアしない限り、あるいは少なくともそれにチャレンジしない限り、人類の未来は開けない。
13.有害度低減技術の開発には長い時間がかかる。その間、原発の敷地内に燃料プールとは別の追加的エネルギーを必要としない空冷式冷却装置を設置する、使用済み核燃料の「オンサイト中間貯蔵」を行うことも求められる。さらにいえば、きわめて困難とされる使用済み核燃料の有害度軽減の技術革新が成果を上げず、バックエンド問題が解決しないことも想定しなければならない。
14.それに備えて、「リアルでポジテイブな原発のたたみ方」という選択肢も準備すべきだ。柱となるのは、_侘魯轡侫(送変電設備を活用した原子力から火力発電への転換〕、廃炉ビジネス(廃炉作業などによる雇用の確保)、オンサイト中閏貯蔵への保管料支払い(使い終わった電気が生み出した使用済み核燃料を預かってもらうことに対し、消費者が電気料金等を通じて支払う保管料}からなる、原発立地地域向けの「出口戦略」だ。この戦略が確立すれば、現在の立地市町村も、「原発なきまちづくり」が可能になるだろう。
15.使用済み核燃料の処理問題にどう向きあうべきかは、まず、もんじゅに代わる有害度低減技術開発の具体的な方針を確立すること、次に、原発敷地内に空冷式冷却装置を設置し「オンサイト中聞貯蔵」を行うこと、そして「リアルでポジティブな原発のたたみ方」という選択肢も準備することが重要だと思われる。



yuji5327 at 06:48 

2018年07月24日

メタンハイドレートは、水分子の結晶構造の中にメタン分子が取り込まれた物質で、深海などの低温・高圧下で生成され、「燃える氷」と呼ばれ、日本列島周辺の海底に埋蔵されている。

「大西琢磨著:しんかい6500の世界、學士會会報No.931(2018-)は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.「しんかい」は日本周辺だけでなく世界中の海で、生物、地質、地震、資源などの調査潜航をしている。2011年8月、東日本大震災後、宮城県沖の震源海域に潜った際は、深さ2m、幅1m、長さ80mの亀裂を発見し、周辺で「地震前後で生物学的・地質学的にどんな変化があったか」の調査をした。
2.資源ではメタンハイドレートの調査があります。水分子の結晶構造の中にメタン分子が取り込まれた物質で、深海などの低温・高圧下で生成され、「燃える氷」と呼ばれる。燃やした時の二酸化炭素の量が石油の半分で、クリーンなエネルギー資源である。日本の天然ガス消費量の96年分以上に相当するメタンハイドレートが日本列島周辺の海底に埋蔵されている。
3.最近ではマンガンノジュールの調査も行っている。南鳥島周辺の水深約5000mで、北海道のほぼ半分の面積のマンガンノジュール畑が発見され、しかもコバルトなどのレアメタルの含有量が非常に多い(日本の消費量の1600年分に相当)と判明した。これらの鉱物は海底で採取した後、海上まで引き上げる技術が確立していない。



yuji5327 at 06:33 

2018年06月22日

日本で期待できるのは、HTGRで冷却材が喪失しても炉心溶融が起こらないなど、高い安全性を持ち、発電だけでなく水素製造などの多目的利用が可能である。


「窪田秀雄(テピア総合研究所主席研究員)著:福島後の未来をつくる、エコノミスト、2018.6.26 」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.英国やトルコなど、建設費高騰が原発新設の大きな障害となっている。福島第1原発事故を受け、世界的に安全対策が一段と強化された。原子力産業界が建設費高騰に直面するなかで、工場でシリーズ生産ができ、高い安全性を備えたモジュール式小型炉〔SMR}が原子力産業再生の切り札になる。
2.原子力発電の開発の歴史を見ると、経済性の観点から大型化が進められてきた。建設には計画立案から必要な許認可までに何年もかかる。着工後も作業が順調に進む保証はない。新しい世代の原子炉を採用するとなれば、なおさら時聞がかかる。

3.この4月、中国広東省の台山1号機に採用された世界初となるEPR〔フランス製の加圧水型炉)が中国国家核安全局によって核燃料装荷が許可された。出力は175万kWという大型の原子炉である。この台山1号機も2009年の着工から核燃料装荷まで9年を要した。フィンランドやフランスで建設中のEPRは中国よりさらに遅れている。
4.原発には、規模の経済性は成立せず、kW当たりの単価でも小型炉の方が低いという見方が出てきた。国際原子力機関(IAEA)は、出力が30万kW以下を小型炉、70万kW程度までを中型炉と定義している。現在、小型炉に分類される原発は中国やパキスタンで稼働中だが、これから導入されようとしているのは、コンセプトが全く違い、工場でシリーズ生産し、需要に合わせてモジュールを追加するというSMRが主流である。
5.現場でなく工場でのモジュール製造であれば工期を大幅に短縮できる。さらに、SMRは新しい設計を採用し、人手を介さずに原子炉を冷却できるなど、従来の原予炉より安全性を高めている。発電だけでなく、海水淡水化や熱供給、海上浮動式プラントなど用途も広いが、商業運転実績がない。
6.開発中のSMRのタイプは炉型として大きく四つに分けられ、軽水炉、高速炉、高温ガス炉〔HTGR)、溶融塩炉である。IAEAによると、全部で50種類のSMRが世界中で開発されている。すでに20力国がこの小型炉を含め原発の新規導入に関心を示しているが、大半は途上国で、コストの安いSMRは魅力的である。
7.米、英、カナダでもSMRにかける期待も大きい。米オレゴン州のニュースケール・パワー社は16年12月、米原子力規制委員会〔NRC〕に対してSMRの設計認証を初めて申清した。同社のSMRは電気出力5万kWの一体型PWR(加圧水型原子炉)で、NRCへの申請では、建屋に12基のモジュールを配置し60万kWの発電所を構成する。NRCは今年4月、フェーズ1の審査を完了した。同社は20年までに設計認証を取得することを見込んでいる。
8.英ロールス・ロイス杜は今年2月、英国型SMRの実証モジュール開発で、英国政府が設立した先進的原子力機器製造研究センターと契約を締結した。ロールス・ロイス社はSMRを設計するための国内企業連合を率いており、初期段階の設計原則を確立する計画である。
9.原発の割高感が共通認識になっているカナダでもSMR導人の機運が高まっている。カナダ原子力研究所〔CNL〕は今年4月、SMRの実証炉を建設・運転するプロジェクトの提案を募集すると発表した。26年までに実証炉を建設するという長期戦略で、世界中から提案を募り審査を行う。
10.この3力国以上にSMRの導入に積極的な中国では、10万kWのモジュール2基で構成されるHTGR実証炉が来年にも山東省で運転を開始する。また、PWRダイブのSMRについても中国核工業集団公司、中国広核集団有限公司など複数の国有原子力事業者が電力や熱の供給だけでなく、海上浮動式原子力プラント用に開発を進めている。PWRタイプのSMR実証炉も近く着工の見通しとである。
11.中国は、国産の大型PWR「華龍1号」だけでなく、HTGRとPWRタイブのSMRの輸出も狙っている。SMRに期待が高まっているのは、大型炉の行き詰まりを打破できる可能性が高いからである。SMRを制する者が世界の原子力市場で覇権を握る可能性が高い。
12.日本で期待できるSMRは、日本原子力研究開発機構が開発を進めるHTGRである。HTGRは、冷却材が喪失しても炉心溶融が起こらないなど、高い安全性を持ち、発電だけでなく水素製造などの多目的利用が可能な新世代の原子炉である。
13.ポーランドで、日本原子力研究開発機構の技術で商用炉を建設する話が進んでいるが、ポーランド側の法人の設立が遅れている。海外プロジェクトへの参加は、日本のHTGR技術を存続する方策だが、他力本願ではどう転ぶか分からない。福島事故を乗り越え、次の世代に安全な原子力技術を継承するためにも日本国内にHTGR実証炉を作ることを考えるべきである。




yuji5327 at 06:36 

2018年06月06日

水に太陽光を当てるだけでは何も起きない。触媒が必要で、その役割を果たすのが酸化チタン。触媒を混ぜた水に光を当てと水素と酸素が作られる。


「清水孝太郎(三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員)著:化石燃料を用いず水素を生産、人工光合成研究は日本が突出、エコノミスト、2018.6.5」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.人工光合成は、植物の働きにならい、太陽光エネルギーから燃料を生産したり、工業原料を生産する技術である。‖斥杆で水に化学反応を起こし、水素を生産、∪源困気譴真總任函大気中にある二酸化炭素を反応させて有機物を生産、という2段階からなる。
2.第1段階の水素の生産では、水に太陽光を当てるだけでは何も起きない。反応を促進するための触媒が必要となる。触媒の役割を果たす代表的な物質が酸化チタンである。触媒を混ぜた水に光を当てることで、化学反応が起きて水素と酸素が作られる。
3.触媒を混ぜた水溶液に太陽光を当てる、触媒を塗布したシートや基板を水中に沈めて上から太陽光を照射する。水の中から水素と酸素の気泡が上がってくる。光を当てることによって水を分解したり、殺菌作用などの機能を示す物質を「光触媒」という。光触媒は1970年代に日本人研究者が発見した。
4.光触媒は、水素の生産性、太陽光エネルギーからの変換効率、耐用時間、生産プロセスの簡便さなどが課題であった。水素量産用ではなく、酸化還元作用を生かして、消臭や殺菌などに用いられることが多かった。トイレなどの衛生陶器に光触媒を混ぜた薬剤を塗布して抗菌作用を持たせるといった事例である。この作用には水分子の分解は関係しない。
5.水素を燃料として発.電する「燃料電池」が注目されると、光触媒は化石燃料を用いずに水素を生産できる技術として注目される。技術開発では、光触媒に使う物質がカギとなる。従来主に使われているのは酸化チタンだが、他の物質の効能が研究されている。たとえば、エネルギー変換効率を高めるには、太陽光のうち、より弱い光もエネルギーとして取り入れる必要がある。
6.酸化チタンは紫外線でしか作用しない。紫外線は太陽光の中で強い光だが割合が小さい。そこで紫外線の次に強い可視光を取り入れる物質の研究が進められており、その他のチタン化合物、ビスマスを用いるものや白金族元素ロジウムを用いるものが注目されている。従来の光触媒に、これらの物質を滉ぜて使うことで変換効率が高まることが期待される。
7.光触媒は、何時間か水素を生産すると劣化して、処理能力が落ちる。光触媒に自己再生機能を付与して劣化を極力抑制する研究も進む。これらの研究で、光触媒の処理能力が高まれば、より少ない光触媒で水素をより大量に生産できる。
8.人工光合成の実現に向けた光触媒の研究は、例えば経済産業省とNEDOの事業では、人工光合成化学プロセス技術研究組合〔ARPChem)が研究開発を進めている。同組合では、従来20時間程度に過ぎなかった光触媒の寿命が1100時閲以上へと改善されたほか、2018年には太陽光エネルギーからの変.換効率を10%程度〔従来は数%程度)まで高めることに成功している。同組合には、国際石油開発帝石、TOTO、ファインセラミックスセンター、富士フイルム、三井化学、三菱ケミカルが参画している。


yuji5327 at 06:41 

2018年06月05日

高性能な光触媒が登場しつつあることで、再生可能エネルギーによる水素供給の可能性が見えてきた。


「清水孝太郎(三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員)著:化石燃料用いず水素を生産、人工光合成研究は日本が突出、エコノミスト、2018.6.5」は参考になる。印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.水素は、自然界でそのまま産出することはないため、事実上の化.右燃料である天然ガスを分解して得るか、化石燃料や原子力などから得られた電力で水を電気分解するぐらいしか方策がない。高性能な光触媒が登場しつつあることで、再生可能エネルギーによる水素供給にも大きな可能性が見えてきた。
2.人工光合成の2段階目は、光触媒で得られた水素と、工場などで発生する二酸化炭素を原料として、樹脂の原料を合成するものである。この取り組みは、二.酸化炭素の吸収源対策にも通じることから、地球温暖化対策の一つとしても期待されている。
3.水素と二酸化炭素を合成させる手法は、電圧をかけて化学反応を起こす「電気合成」や、酵素などを触媒に用いるものなど多様だが、いずれも小規模実験のレベルだが、期待の持てる研究も進んでいる。
4.12年に経済産業省が開始した先述の「人工光合成」プロジェクトは、ARPChemが21年度まで政府研究開発プロジェクトとして進める。このプロジェクトでは、光触媒で塗産された水素と二酸化炭素とを反応させ、樹脂原料となるエチレンC2H4〕、プロピレン〔C3H6〕、プテン(C4H8)などのオレフィン(不飽和炭化水素)の合成を目指している。
5.実現すれば、これまで排出抑制の対象とされてきた発電所や工場などから発隼する二酸化炭素を、樹脂原料に利用することが可能になる。現在、日本は、ナフサやシェールガスといった樹脂原料は海外からの輸入に頼らざるを得ないが、輸入に依存することも少なくなる。
6.人工光合成の研究は、日本が世界で突出している。草分けはトヨタグループの豊田中央研究所である。11年、可視光の太陽光エネルギーを利用しながら、水中で二酸化炭素を有機物(蟻酸、CH2O2)、に変換する技術を開発した。蟻酸は水素貯蔵材料として持ち運びも可能だ。その蟻酸を、水と二.酸化炭素を基.に生産できる技術原理を明らかにしたことは意義深い。
7.パナソニックは13年、太陽光エネルギーを利用して二酸化炭素と水から蟻酸、また都市ガスの主成分であるメタン〔CH4〕を合成する技術を公開した。昭和シェル石油も二.酸化炭素からメタンやエチレンの合成に成功した。東芝は 二酸化炭素からペットポトルなどの.原料となるエチレングリコール〔C2H6O2〕の生成を試みている。
8.戸建て分譲住宅販売の飯田グループホールディングスは、大阪市立大学と連携しながら、二.酸化炭素を消費して水素燃料を生み出すという「1Gパーフェクトエコハウス」構想の実現を目指している。人工光合成で得られた蟻酸を基に水素を発生させ、これを燃料電池に通せば、家庭で必要な電力をまかなうことができる。
9.人工光合成は、地球温暖化対策として、また自国における資源開発プロジェクトとして大いに期待される。現在の光触媒には、エネルギー変換効率や耐久時間では課題があるものの、実現すれば究極の「無炭素社会」を体規するキーテクノロジーとなるだろう。


yuji5327 at 06:38 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
千葉市美浜区
磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
ke8y-ikgm@asahi-net.or.jp

工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





地域別アクセス

ジオターゲティング

ジオターゲティング
livedoor プロフィール

yuji5327

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード