エネルギー問題

2019年06月25日

世界を見ると、原子力の発電コストが最安でないことは、はっきりする。再エネ、中でも風力と太陽光が世界各地で拡大し、ここ数年で発電コストが劇的に低下している。


「風間直樹著:原発は脱炭素化を担えない、実は火力より発電コスト高、週刊東洋経済、2019.5.16」は参考になる。概要の続きを自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日本の電力はさまざまな課題があり、その問題意識を広く共有できていないという危機感を持っていた、と日本経済団体連合会は、エネルギー政策に関する提言を発表し、中西宏明会長〔日立製作所会長〉は会見でそう述べた。
2.提言では原子力発電所の再稼働や新増設、運転期間延長などを訴えている。提言からは東日本大震災以降、運転を停止した原発の再稼働が思うように進まないことへの産茉界のいら立ちがうかがえる。政府が咋年策定した新たなエネルギー基本計画では、2030年度に全電源に占める原子力の比率を20〜22%とする日標を継続し、「重要なべースロード(基幹)電源」との位置づけを据え置いた。
3.この原子力比率を達成するには30基程度の原発再稼働が必要にもかかわらず震災後の新規制基準の下で再稼働できたのは9基。足元の電源構成(発電電力量)では原子力比率は約3%にとどまる。目標達成はかなり厳しい。それでも政府が数字の見直しを行わなかったのは、発電コストは原発が最も安いという前提があるからである。
4.経産省は15年に総合資源工ネルギー調査会の発電コスト検証ワーキンググルーブで、発電方法別のコスト比較を行った。14年に発電所を建設し一定年数稼働させた後に廃炉した場合の総費用を、運転期問の総発電電力量で除している。この試算によれば、原子力の発電コストは1kWh当たり10・1円以上。一方、火力発.竃のコストは、石炭で12・3円、液化天然ガス(LNG}で13・7円になる。今回の基本計画で「主力.竃源化」が打ち出された再生可能エネルギーはどうか。風力〔陸上設置)は21・6円、太陽光〔メガソーラー)は24・2円に上る。この試算を根拠に、経産省は「原発は火力発電よりも安く、再エネとの比較では約半分のコストに収まる」と結論づけ、原発の経済性は高いとしている。
5.経産省のこの試算に対して、NPO法人原子力資料情報室の松久保肇事務局長は、「当時高騰していた資源価格で試算したため、LNGや石炭などの発電コストを過剰に見込んでいる。一方、原発のコストは賠償費用を過小にみている」と批判する。政府は16年末に福島第一原発事故の損害見積もりを総額21・5兆円へ大幅に引き上げているが、試算は14年時点のままで反映されていない。政府の計算式に基づき原子力資料情報室が17年時点の実際の資源価格で算定したところ、原発の単価が10・72円以上となるのに対し、LNG火力は9・17円と大幅に下回った。16年の資源価格では8・58円だ。試算は発電設備を新設した場合であるため、再稼働する原発について直接当てはまるものではないが、松久保事務局長は「少なくともコストの観点から、原子力をベースロード電源とすることは誤りだ」と話す。事故による損害額などがさらに膨らむと、原子力の発電コストはより高まる。
6.福島事故以来、原発の建設コストは、安全対策費などの増加によって、1基1兆円といわれるほど高騰している。そのため、政府が旗を振る英国やトルコへの原発輸出も採算が合わず頓挫した。原子力規制委員会は4月24日、原発への設置を義務づけたテロ対策施設について、完成期限の延期を認めず原発運転停止を求める方針を決めた。
7.再稼働している関西電力、四国電力、九州電力はいずれも期限に間に合わない見通しで、原発9基が順次停止を迫られる可能性がある。テロ対策施設の建設費は1基当たり数百億〜1000億円と見込まれ、完成を急げばさらに膨らむことになる。いずれにしても30年度20〜22%という原子力比率はさらに遠のいた。電力業界からは「原発の事業リスクを民間で負うのは、もはや難しい」といった声も漏れる。
8..世界に目を転じると、原子力の発電コストが最安でないことは、さらにはっきりする。再エネ、中でも風力(陸上設置)と太陽光が世界各地で拡大し、ここ数年で発電コストが劇的に低下している。米投資銀行のラザードが昨年11月に行った分析によれば、ここ数年の全世界の電源別発電コストは、陸上風力と太陽光を、原子力や.右炭火力が大きく上回っている。直近18年に至っては、陸上風力と太陽光に比べ石炭火力は2倍以上、原子力は3倍以上の高さになっている。
9.自然エネルギー財団の石田雅也マネージャーは「大半の国では、新設の原発はほかの発電方法よりコスト競争力で劣っている」と話す。強みとされた発電コストの面からみても、原発が脱炭素化の担い手となるのは難しい。


yuji5327 at 06:27 

2019年06月23日

日立製作所が、風力市場の自社生産から撤退したことは残念。日本の再エネの主力電源化には、洋上風力を含めた数字を示す必要がある。


「大塚隆史著:洋上風力で先行する台湾、日本に足りないものは何か、週刊東洋経済、2019.5.18」は参考になる。印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.洋上風力発電に用いられる風車は、ブレードやベアリングなど約2万点の部品で構成されており、高い品質と信頼性が求められる。そのため、現在の主力産業であるIT機器製造の次代を担うハイテク産業としての役割も期待されている。台風など特有の自然災害にも対応できる製品の生産ができれば、アジアへの輸出拠点に育つ可能性もある。大量導入に先立ち、風力発電機の樹脂メーカーである上緯(スワンコール)が設置した実証機は今日に至るまで大きなトラブルなく稼働している。
2.すべてが順調に進んでいるわけではない。蔡政権のエネルギー政策の柱となってきた脱原発政策が覆る可能性がある。昨年11月の住民投票では脱原発に反対する票が多数を占め、電気事業法の脱原発に関する条文が削除された。再エネ導入を進めることで与野党は一致しているものの、政策が不安定であることは否めない。高めに設定されたFIT価格への批判も根強い。台湾は世界的にも安価な電力料金を強みに産業振興を図ってきた。そのため、洋上風力の導入で「電力料金が大幅に上昇するような事態になれば、産業競争力が弱まる」と、財界からも懸念の声が上がる。
3.能源局の陳組長は「高いFIT価格の設定は、発電事業者に現地調達義務を課したことによるコスト増などを含めたものだ」と説明する。また、台湾中部から最大の電力消費地である台北までを結ぶ電力網の増強工事も、高いFIT価格を原資に賄われる。その工事費用は総額約2200億円に及ぶ。高い買い取り価格は初期のプロジェクトに対して設定されたもので、入札制度に移行したプロジェクトの料金水準は大幅に下がっている。当初1kWh当たり20・6円程度だったFITの買い取り価格は、入札制度の導入後は8・9円程度に安くなっている。しかし、現在のところ、財界を中心に批判が収まる気配はない。
4.18年後半には発電事業者の反発を招いた事件も起こった。FIT価格をめぐる攻防である。台湾政府は18年11月、売電契約を翌19年に締結する場合は、買い取り価格を18年と比べ約12%切リドげる方針を発表した。これに、デンマークの大手電力、アーステツドなどが強く反発した。
5.18年に売電契約を結ぶ予定だったが、台湾側の事務手続きが遅れたことで、19年の価格を適用せざるをえなくなったためである。一時はアーステッドが事業撤退もちらつかせる事態となった。事務手続きの遅れは、洋上風力プロジェクトを多く抱える台湾中部に位置する彰化県での政権交代をきっかけに生じた。18年11月の首長選挙で国政与党の民進党が敗北し、野党・国民党に首長の座が移るや、書類審査などが遅れ、アーステッドを含む発電事業者は必要な手続きを期限までに完了できなかった。ある在台関係者は、前任の首長への反発が影響したのではないか、と分析する。
6.その後、台湾政府が19年分の切り下げ幅を縮小したことで混乱は収束。アーステッドは4月末に最終投資決定に踏み切ったものの、政治リスクの一端を事業者に知らしめた。それでも台湾が洋上風力で先んじた存在になろうとしていることは確かである。後塵を拝した日本が何よりも学ぶべきは、政府による導入目標の明確化である。台湾では26年以降も年間1GW.のベースで洋上風力の導入を継続する方向性が示されている。洋上風力のビジネス実務に詳しいべーカー&マッケンジー法律事務所の江口直明弁護十は、「日本には洋上風力に関しての長期的な目標がない。これではメーカーが日本での設備投資に踏み切ることは難しい」と危惧している。
7.日立製作所が、風力市場の成長を前に、自社生産から撤退すると表明したことは技術立国を標榜する日本にとって、痛恨事である。昨年7月、日本ではエネルギー基本計画が閣議決定された。そこでうたわれた再エネの主力電源化を実現するには、洋上風力を含め、それにふさわしい数字を示す必要がある。


yuji5327 at 06:39 

2019年06月22日

台湾は2025年までに発電容量で5・5GWに上る洋上風力発電を導入し、それ以降も年間に1GWのベースで導入を進めていく計画である。日本の風力発電の設備容量目標の10GWと同規模になる。


「大塚隆史著:洋上風力で先行する台湾、日本に足りないものは何か、週刊東洋経済、2019.5.18」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.台湾は2025年までに発電容量で5・5GWに上る洋上風力発電を導入し、それ以降も年間に1GWのベースで導入を進めていく計画である。30年には、日本が定めたエネルギー基本計画における風力発電の設備容量目標(陸上風力と洋上風力の合計)の10GWと同規模になる。
2.人口が日本の2割に満たない台湾はなぜ、洋上風力でこのような野心的な目標を掲げているのか。その理由を探るべく、現地を取材した。4月中旬、本誌記者が訪れた台中港(台中市}の発電機組み立てエリアでは、数台のショベルカーが整地作業を進めていた。風力発電プロジェクトの拠点港に位置づけられた台中港ではまだ基礎工事が始まった段階で更地が目立つが、その土地は数年後には、東アジア有数の洋上風力発電の産業拠点になる。
3.すでに風車のブレードメーカーの天力が工場建設を始めており、洋上風力の安全訓練施設も建設される予定である。台中港が面している台湾海峡には水深50m下の浅い海が広がり、風速も8m/sと、洋上風力発電にとって恵まれた環境がそろっている。
4.これまで原干力と石炭火力発電に頼ってきた台湾のエネルギー政策を大きく転換させたのが、16年に政権交代を果たした蔡英文政権だ。発足後問もなく、25午までにすべての原子力発電所を廃止するとともに、発電電力量に占める再生可能エネルギーの比率を20%以上に引き上げる方針を決めた。
5.背景には11年に発生した東京電力・福島第一原発事故の影響や石炭火力発電による大気汚染、世界で進む脱炭素への対応の必要性があった。台湾は国連に加盟しておらず、パリ協定(温暖化対策の国際的枠組み}の締約国ではないが、脱炭素化に前向きにならざるをえない事情がある。
6.台湾の半導体大手TSMCは米アップルから再エネ電力を導人するよう要請を受けている。自社製品の製造を外部委託しているアップルにとって、製品に組み込まれる部品の最大の供給拠点である台湾で再エネ導入が進むことは望ましい。エネルギー政策を所管する政府能源局の陳崇憲組長も、「豊冨な再エネを備えることが、台湾企業の競争力強化にも資する」と強調する。
7.洋上風力は投資規模が極めて大きい。25年までの導人目標である5・5GW.を実現するための投資規模は、最大9625億台湾ドル〔約3・4兆円)を見込む。出力10MW.級の大型風車〔直径約190m)に換算して550本分が海上に立ち並ぶ計算である。
8.台湾の野心的な目標は、洋上風力で先行する欧州の発電機メーカーや発電会社のみならず、日本企業も引き寄せている。三井物産や双日といった大手商社や、JERA(東電と中部電の合弁会社など日本の発電事業会社も参画する。共通する意図は台湾でノウハゥを蓄積し、日本を含めたアジア各国で洋上風力事業を拡大することである。三井物産は世界で保有する発電容量10・4GWのうち、再エネ電力の割合を30年までに現在の15%から30%へ引き上げる計画である。洋上風力は産業の裾野が広く、部晶や資材調達などで、商社ならではの強みを生かしやすい。
9.外国企業が台湾に続々と進出した理由は、第1は台湾政府の日標数値が明確だったこと、.第2に政府による実証事業が進められており、事業者のやるべきことが明確になっていたことがある。そして台湾政府は、洋上風力を促進するため、固定価格買い取り制度(FIT)に基.つく洋上風力の電力買い取り価格を高めに設定した。ノウハウが豊富な海外企業を呼び込み、台湾に関連産業の集積を促すのが狙いである。台湾政府は高いFIT価格と抱き合わせの形で、洋上風力関連設備の現地調達義務も導入した。海外メーカーが、拡大する台湾市場に入り込むには現地生産を進めるほかない。
10.スペインの風力発電機大手シーメンスガメサ・リニューアブル・エナジーは、台湾企業から風力発電向けの鉄塔や樹脂の供給を受けることを決めた。ライバルのMHIヴェスタス〔三菱重工業とデンマークのヴェスタスの合弁会社)も地元企業と覚書を交わすなど現地調達に対応する方針である。経済団体である中華民国工商協進会は、洋上風力の導入拡大をきっかけに、欧州メーカーと台湾企業との合弁会社設立や台湾への技術移転が進むと期待している。




yuji5327 at 06:41 

2019年06月21日

高レベル放射性廃棄物の最終処分地どころか、中間貯蔵施設の候補地すら見つからない。核燃料サイクルが無理なのはわかっている。


「風間直樹著:安全性も必要性も乏しい破綻状態の核燃料サイクル、週刊東洋経済、2019.5.18」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.「お願いした確認事項に対する追加説明は、求めたものと違っている。再度説明をお願いしたい」。と原子力規制委員会の核燃料施設の審査を担当する田中委員はH本原燃の説明内容への不満とし、審査を継続することを告げた。国策として進められる原子力発電の核燃料サイクル政策。中核となる日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ヶ所村〕の安全審査の先行きに不透明感が増している。
2.再処理工場は、原発で発生した使用済み核燃料を解体し化学処理することで、核物質であるウランとプルトニウムを取り出す施設である。両者を混ぜてウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料に加工し、原発で利用する仕組みを核燃料サイクルという。
3.ウラン資源の有効活用につながるとして、六ヶ所再処理工場は1993年に建設が始まっていたが、相次ぐ施工不良の発覚、技術的なトラブル、福島原発事故後に強化された新規制基準への対応などで、20回以上も竣工時期を延期している。運営する日本原燃は現在、再処理工場は2021年度上期の竣工、同じ敷地に建設中のMOX燃料工場は22年度上期の竣工を目指している。ただし両工場の竣工は規制委の審査に合格することが条件である。再処理工場の審査は申請から5年以上が過ぎ、今年3月末には審査書案が了承され、合格が内定するとみられていたが、その草案が公開されると、委員から多くの論点で追加説明を求める指摘があり、審査会合が再開されることになった。
4.原子力規制庁幹部も、今までの説明を繰り返すようでは、もっと時間がかかる、と話している。委員からは航空機落下の影響や活断層評価など、広範な論点が提起されている。
再処理工場など核燃料サイクルの施設には、安全性に関わるこれらの論点について、規制委以外の専門家からも懸念の声が上がる。4月9日、航空自衛隊「沢基地の最新鋭ステルス機F35Aが青森県沖に墜落した。再処理工場の南約10キ。瞬地点には三沢基地の訓練区域があり、自衛隊機、米軍機が訓練を行っている。日本はF35Aを次期の主力戦闘機としている。日本原燃はこうした航空機落ドについて、総重量20tの戦闘機が150m/sの速度で再処理工場に衝突しても、建屋.の損壊は免れると主張するが、それ以上の重量や速度での影響は評価されてない。
5.東芝で原子炉格納容器の設計グループ長を務めた後藤政志氏のは、150m/sの衝突速度でも総重量が30tに至れば全体が破壊される危険性があるという。墜落したF35Aの最大離陸重.量は30t強である。「六ヶ所村の核燃料サイクル施設は、活断層の上に建てられているようなもの」と話すのは、東洋大学の渡辺満久教授〔変動地形学)である。施設の一部にかつて十和田カルデラからの火砕流が到達したことも確認されている。
6.仮にこうした安全性の論点をクリアし、審査に合格したとしても、そのための補強工事を実際に行う必要がある。再処理工場は06年に使用済み核燃料を用いてプルトニウムを抽出するアクティブ試験に着手しており、内部はすでに広い範囲が放射性物質で汚染され、人間は立ち入れない。補強工事の難しさは通常の原発の比ではない、と市民団体代表浅石紘爾弁護士は話している。
7.安全性へのさまざまな懸念に加え、核燃料サイクルの必要性についても、建設開始当初とは状況が大きく異なっている。当初の構想では、発電しながら消費した以上の燃料を生み出す高速増殖炉が本命視されており、ウラン資源の飛躍的な利用効率向上につながると語られてきた。しかし国は16年末に高速増殖原型炉もんじゅの廃炉を決定。MOX燃科で発電するプルサーマル炉の原発も、稼働は現在4基で、ウラン燃料よりはるかに高コストで経済的合理性はない。
8.日本はすでに国内外に47tのブルトニウムを保有している。日本は日米原子力協定により例外的に再処理を認められた非核保有国だが、プルトニウムは核兵器の材料にもなり、余剰については海外から厳しい視線が注がれている。
9.原子力委員会は従来の方針を転換し、保有量が現在の水準を超えることがないように再処理認可を行うと決定した。つまり現在のようなプルトニウムの余剰が続く限り、事実上再処理.工場は動かせないことになる。
10.安全性への懸念に加え、時代の変化で必要性も失われた核燃料サイクルだが、政府や原子力事業者はその旗を降ろしていない。むしろ施設が集中する青森県内の自治体への関与を、より深めている。3月末、東通村が東北電力からの4億円に続き、東京電力ホールディングスから2億円の寄付を受けることが明らかになった。また、むつ市は市内に立地する使用済み核燃料中間貯蔵施設に関連し、国から10億円の新交付金を受けることになった。両市村は原子力施設の稼働による固定資産税収入などを見込んで事業を進めてきたが、福島事故以米、再稼働や工事再開のメドが立っていない。
11.原子力施設の立地するむつ市、大間町、六ヶ所村、東通村の4市町村長は2月、世耕弘成経済産業相と面会し財政支援描置を要望。前述の計16億円の寄付・新交付金につながった。原発や核燃料サイクル施設の立地に伴う電源三法交付金や核燃料物質等取扱税(核燃料税)、そして固定資産税や寄付金。こうした「核燃マネー」は、財政基盤が弱い自治体にとって、もはや欠かせない。青森県内への電源三法交付金は、開始から総額で3300億円を超える。その典型が核燃料サイクル施設の集中する六ヶ所村である。村内にある文化交流プラザ「スワニー」の大ホールで開催されるコンサートには著名なアーティストが招かれ、併設する村民図書館には約5・5万冊の蔵書がある。同施設の総事業費33億円のほとんどは電源三法交付金で賄われた。
12.人口約1万人の同村への交付金総額は600億円に上る。六ヶ所村は国策に翻弄され続けてきたと、村内で長らく反核燃活動を続ける種市信雄氏(84)は言う。大規模な工業地帯開発計画が頓挫して村が荒廃した80年代前半に、突如浮上したのが核燃料サイクル計画だった。村を二分する対立がしばらく続いたが、89年の村長選挙で開発「凍結」を掲げて当選した村長が就任後に推進へ転じたのを機に、反対派は激減した。「今では周囲でも8割ぐらいは身内に日本原燃の仕事の関係者がいる。村内で核燃料サイクル反対を公言できるのは数人しかいない」と種市氏は言う。
13.日本原燃は社員の約6割を青森県内出身者が占める。昨年の村長選でも、核燃料サイクルの推進を唱える現職が約95%の得票率で反対派候補を圧倒した。県内の他立地自治体も事情は同じで、経産相と面会した4市町村長の要望書には「核燃料サイクルの推進」と明記されていた。下北半島に深く浸透した核燃マネーは今、県都の青森市へ向かう。
14.日本原燃は核燃料サイクルのPRを行う情報センターを青森市内に移転開設した。移転先は東奥日報新町ビルである。県紙・東奥日報を発行する東奥日報社が、創刊130周年事業として建設した5階建てのビルには、情報センターが2階の一角を占めるほか、5階、4階には日本原燃とその関連会社が入る。青森市内には17年に中部電力、18年には東電、関西電力が相次いで事務処理などのサポート拠点を設立。地元出身者の採用など雇用への貢献をアビールしている。さらに東電は、19年度上期中に青森事業本部を設置し核燃料サイクル事業を最大限支援するとしている。
15.核燃料サイクルの見通しが立たない中でも、国や事業者が地元貢献をアピールする背景には、「使用済み核燃料の行き場さえ確保できれば、当面はそれでいいという本音がある」と元青森市長の鹿内博氏はみる。原発の再稼働が進む電力会社では、使用済み核燃料の保管場所の確保が懸案となっている。六ヶ所再処理工場の使用済み燃料貯蔵プールはすでに満杯である。
16.電気事業連合会によれば、3月末時点で各原発の使用済み燃料貯蔵量も管理容量の7割を超える。保管場所の確保は原発稼働の必須条件である。中でも再稼働で先行する関電は原発によっては管理容量の8割に至っている。立地する福井県には県外で中間貯蔵地を選定すると約束しているが、昨年末の期限を越えても見つからない。東電などが手がけるむつ市の中間貯蔵施設の共同利用の検討も報じられた。
17.高レベル放射性廃棄物の最終処分地どころか、青森県外では中間貯蔵施設の候補地すら見つからないのが現状である。核燃料サイクルが無理なのはわかっている。だから六ヶ所はずっと"試運転〃をしていればいい。動くと言い続けないと、原子力の神話が崩れてしまう、と自民党の大物幹部(故人)がかつて語っていたとおりのシナリオで進みつつある。
18.六ヶ所村の核燃料サイクル施設を中心に、青森県に核のゴミをすべて押し付ける。最終処分とは決して言わないが、事実上の「永久の中間貯蔵」として。原発がこうした壮大な国家的フィクションの上に乗っている限り、脱炭素化のための中核電源と位置づけられることはない。


yuji5327 at 06:36 

2019年04月22日

電力会社に余剰電力を買い取ってもらっていた世帯が、19年11月より10年間の買い取り期間の満了を迎える。


「廣町公則(エネルギージャーナリスト)著:「卒FIT」で商機53万件、住宅・電機・自動軍など名乗り、エコノミスト、2019.4.2」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.住宅用太陽光発電を取り巻く環境が大きく変わろうとしている。2009年に始まった「余剰電力買い取り制度」によって、電力会社に余剰電力(太陽光で発電した電力のうち家庭で使いきれずに余った電力)を買い取ってもらっていた世帯が、19年11月より順次、10年間の買い取り期間の満了を迎える。
2.同制度は12年に開始された「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)」に引き継がれ、その後も太陽光発電の普及拡大を支えている。買い取り期間満了案件は、19年だけでも約53万件。20年以降も確実に増え続け、23年までには約165万件が満了となる見通しである。買い取り期間満了案件は、総称して「卒FIT」案件と呼ばれ、近年、多方面から関心を寄せられてきた。今年に入り、いよいよ卒FITの到来が目前に迫り、新たなビジネスチャンスを求める機運が高まっている。
3.太陽光パネルは、国の買い取り保証期間である10年を過ぎても、さらに10年、20年と発電し続ける。上述の165万件は、発電設備容量でみると合計約670万kWで、原発7基分にも相当する。その量は、以降もどんどん伸び続ける。しかも、卒FIT発電設備は文字どおりFITから卒業しているので、国民が電力料金の一部として負担している再エネルギー賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金.、FITの原資)を要しない。
4、住宅用太陽光発電が、最安値の再生可能エネルギーに生まれ変わる。この電源を巡る各社のアブローチには、これまでの電力・太陽光関連ビジネスを超えた動きをみることができる。卒FIT世帯の選択肢を整理すると、買い取り期間が終了した電源については、法律に基づく電力会社の買い取り義務はなくなるが、 崛蠡弌自由契約によって余剰電力を売電する」ことができる。この場合、これまでと同じ電力会社に売電してもよいし、新電力(旧来の大手電力会社以外の小売り電気事業者)を含むさまざまな選択肢の中から売電先を選ぶこともできる。あるいは、◆峅板輙冀濺澱咾覆匹鯑蛙佑靴董太陽光で発電した電力を可能なかぎり自宅で使う(自家消費)」という選択肢もある。もっとも、家庭用蓄電池があっても充電しきれない余剰電力は生じるので、,鉢△料箸濆腓錣察△發靴は当面 崘篥邸廚里澆箸いΕ院璽垢多い。
5.各社の取り組みも、卒FIT世帯の選択肢に対応する。まず、余剰電力の買い取りに関しては、新電力に加えて、太陽光バネルメーカー、住宅メーカー、商社、流通など、幅広い業種の企業が参入を表明している。顧客を奪われる形となる大手電力も、他社との協業を含め対抗策を強化する。
6.自家消費に関しては、総合家電メーカーによる蓄電池とエネルギーマネジメントを組み合わせる提案や、電気自動車を住宅用の蓄電池として活用する提案などが注目される。ブロックチェーン技術を活用した卒FIT電力のP2P(Peer to Peer)取引など、まったく新しい取り組みも進められている。卒FIT電力を、どの会社がいくらで買い取ってくれるのか卒FIT世帯が最初に頭を悩ます問題である。
7.太陽光で発電した電力を1kWh当たり48円で買い取ってもらっていた。今後は、買い取り制度による補助がなくなるので、大幅に減額されることは間違いない。しかし10年を経て、既に投資回収が終わっている発電設備なので、これからの売電収入はそのまま家計のプラスになる。買取り事業者としては、そのメリットをアピールしたい。現時点では、ベンチマークとなる大手電力の買い取り価格が公表されておらず、新電力も大半が価格の発表を見合わせている。経済蘂省は大手電力に対し、6月末までに買い取り価格を示すよう求めており、その発表を待って新電力各杜の価格も出そろう。
8.19年2月28]、昭和シェル石油(4月1日より出光興範)と太陽光バネルのソーラーフロンティアは、大手電力に先立って買い取り価格を発表し、余剰電力買い取リサービスの事前登録受け付けを開始した。その価格は、九州エリアで1kWh当たり7・5円、その他のエリア(沖縄を除く)で同8・5円である。これは卸電力市場の取引価格と照らしても、合理的な金額といえる。昭和シェル石油としては、電力供給サービスとセットでの契約を促すことで、卒FIT世帯の取り込みを図っていきたい。同社では、卒FIT太陽光から調達した電力を活用する「CO2低排出電カプラン」を新たに提供する考えも示している。なお、初年度の買い取り価格は19年11月から20年12月のものであり、翌年以降は1年ごとに見直しが図られる。
9.新電力と太陽光関連事業者とのバートナーシップでは、エネットとNTTスマイルエナジーの取り組みも興味深い。太陽光発電の遠隔監硯サービスを展開するNTTスマイルエナジーが、同社の監視システムを設置している顧客から卒FIT電力を調達し、新電力のエネットにまとめて供給する。エネットが、その電力を環境負荷の低いグリーンメニユーとして、RE100〔事業運営を100%再エネで行うことを目指す企業の国際イニシアチブ)加盟企業などに販売するというスキームである。
10.住宅メーカーからは、積水ハウスが卒FIT電力の買い取りを表明した。同社も既に買い取り価格を発表し、19年3月1日より事前受け付けを行っている。買い取った卒FIT電力は、外部に販売するのではなく、再エネ導入目標の実現に向けた自社事業用電力として使用する。買い取り価格は.現時点では最も高い1kWh当たり11円である。買い取り対象を積水ハウスオーナーの太陽光発電に限定することで、この価格を実現した。
11.こうした多様な動きに抗し、大手電力も新たなパートナー企業を見つけ、これまでにないサービスを打ち出している。例えば、中部電力はイオンと提携し、卒FIT電力をイオンの「WAONポイント」と交換できるサービスを提供する。イオンは中部電力から卒FIT電力の提供を受け、店舗運営のCO2排出削減・再エネ導入目標実現に生かしていく。
12.余剰電力を買い取る電力会社をターゲットにしたビジネスも芽吹き始めている。日本気象協会は18年12月、卒FIT電刀買い取りに関するコンサルティングサービスを開始した。卒FIT世帯の余剰電力は、太陽光発電量から自家消費量を差し引くことで算出され、気温や日射量などの気象要素の影響を受けて大きく変動する。そこで同協会では、従来からサービス提供している「日射量・太陽光発電出力予測」と「電力需要予測」の技術を組み合わせ、余剰電力の審給管理最適化を支援していくという。
13.卒FIT電力の買い取り価格(ユーザーからみれば売電価格)が1kWh当たり7〜11円程度だとすると、ユーザーにとっては、売電よりも自家消費の方が得になる。電力会社から供給される電力量料金(同20〜30円程度)の方が明らかに高いので、売電収入よ暑電気代削減額の方が大きくなるからである。しかし、太陽光発電設備のみでは、日中だけしか自家消費できない。ここで求められるのが、家庭用蓄電池などの蓄電システムである。いままでは導人コストがネックとなり普及が進まなかったが、電気代削減メリットが大きければ、ある程度の投資をしても回収のめどは立つ。卒FITは、蓄電池市場の活況につながるものと期待されている。19年度には、家庭用蓄電池に対する国の補助金も新設され、これを後押しする。
14.こうした状況にあって、シャープは卒FITユーザーに向けて「クラウド蓄電池システム」を提案する。太陽光発電設備と蓄電池を一体的にコントロールでき、クラウドで気象情報とも連携。気象警報が発令されると、蓄電池を満充電し、電動窓シャッターの開閉など住宅設備家電も制御する。同様のソリューションは、パナソニックの「創蓄連携システム」などにもみられる。太陽光発電事業を手掛ける総合家電メーカーが、しのぎを削る領域だである。東京電力ホールディングス傘下のTRENDEは、伊藤忠商事をパートナーに、蓄電池と電力供給のセットブランを発表した。AIを駆便した総合サービスで家電各社の攻勢に対抗する。15、蓄電システムとしては、電気自動車(EV)の存在も忘れてはならない。EVに搭載された大容量バッテリーは蓄電池そのものであり、V2H(Vehicle to Home)機器を導入すれば、住宅用としても活用することができる。日産自動車では、卒FITユーザー向けにEV「リーフ」の蓄電池利用を提唱。18年11月には、リーフと連携するモデルハウスを公開した。同車のバッテリー容量は40〜62kWhであり、一般的な家庭用蓄電池の容量(4〜12kWh程度)を凌駕する。
16.太陽光で発電・蓄電する時間帯はクルマに乗らないなど、ライフスタイルが合う家庭には有効な選択肢である。三菱自動車と三菱電機も、この市場の開拓に意欲的である。蓄電池大手のニチコンは、家庭用蓄電池とEVを併用する「トライブリッド蓄電システム」で、フレキシブルな自家消費をアピールする。
17.蓄電システムの導入による自家消費の提案は、目の前の卒FITユーザーにアプローチするためだけのものではない。ポストFITビジネスの創出に向けた試金石となる。一方で、卒FIT電刀は、自由に取引できる環境価値のある再エネとして、新たなビジネスを生もうとしている。そこには、FITという導入促進策に依存することなく、太陽光発電事業を自立的に発展させていくためのヒントがある。卒FIT元年・再生可能エネルギーを巡るビジネスは、着実に次のフェーズに移っていく。



yuji5327 at 06:30 

2019年03月28日

ネクステラ・エナジー社は米国の大手電力会社で、世界最大の再生可能エネルギー電力会社。フォーチュン誌の「世界で最も称賛される企業2019」電気ガス業界部門で第1位である。


「小田切尚登(経済アナリスト)、ネクステラ・エナジー、エコノミスト、2019.3.18」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.ネクステラ・エナジー〔NEE)は米国の大手電力会社であ.り、世界最大の再生可能エネルギー(再エネ)電力会社である。1984年にフロリダ州で設立されたが、2010年に再エネに力点が移ってきたことに伴い、社名をネクステラ・エナジーに変更した。米「フォーチュン」誌が発表した「世界で最も称賛される企業2019」電気ガス業界部門で第1位を獲得している。
2.同社は大きく2つの子会社からなる。フロリダ電力電灯会社(FPL)は、会社全体の売り上げの約3分の2、純利益で6割を占める。FPLはフロリダ州最大の電力会社で、法人・個人を合わせて、約1000万の顧客を有する。総発電量2万4500mwの内訳は天然ガス73%、原子力22%、石炭2%となっている。販売は小売り中心で、個人客が顧客数の89%、売り上げでは53%を占める。同州は経済状況が比較的よく、人口も増えているので市場環境としては悪くない。
3.フロリダ州ではFPLの存在感が圧倒的に大きく、2番手のデューク社の3倍近いシエアを待つ。FPLの電力料全は低めに設定されており、個人向け月額電気料金の平均は1000kWh当たりで約1万1000円、18年平均と、フロリダ州平均の約1万3000円、全米平均の約1万6000円よりも、かなり安価である。この価格設定と高いマーケットシェアを背景にして、州内で強い競争力を維持している。19年1月にはフロリダ北西部を地盤とし、46万の顧客を有する電力会社ガルフ・パワーを買収。州内での基盤を盤石のものにした。
4.FPLと並ぶもう一つの柱が、NEEリソーシズ(NEER)である。98年にNEEの再生可能工ネルギー事梁を統合する子会社として設立された。米国36州とカナダ4州で、再エネや天然ガスパイブライン、蓄電プロジェクトなどの分野で、技術開発や施設の建設、運営などをしている。総発電量は2万1000MWで、太陽光や風力発電など再エネで世界最大の規模を誇る。米国最大級の電力卸売会社でもある。5.このNEER傘下に14年,「イルドコ」として設立されたのが、ネクステラ・エナジー・パートナーズ〔NEP)である。イルドコとは、電力会社などが太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー事業を分離独立させた企業で、再エネの長期売電収入を収益源とする。NEERはNEPの64.4%の持ち分を所有し、マネジャ-〔管理膏)としてNEPのすべての業務を実質的に行いつつ、事業から得た利益を配当として得ている。
6.再エネ事業の流れとしては、まずNEERが太陽光や風力などの発電施設を建設。完成後、大口顧客と長期契約を結んだところで、NEPにその発電所を売却する。この方式で、NEPの事業リスクを抑えている。NEPの電力供給量の内訳は、風力59%、原予力33%、太陽光7%などである、事業の中心は風力発電で、4720MWの発電最を誇る。ほかには太陽光発電の施設と天然ガスのパイプライン、原子力発電所4ヵ所を保有する。
7.FPLとNEERは、対照的なビジネスモデルと言える。FPLは従来型の電力会社としてフロリダ州のさまざまな現制のもと、安定的な利益を生んできたが、これから利益を大きく伸ばすことは難しい。一方、NEERは再エネに特化する子会社であり、リスクは高いが,利益を大きく伸ばせる可能性がある。この二つをバランスよく展開して、事業を拡大していくというのがNEEの戦略である。12年から最高経営責任若〔CEO)としてNEEの指揮を執るのは、米GE〔ゼネラル・エレクトリック)の金融部門にいたジェームズ・ロボ氏である。ロボCEOは経営を数字で管理することにたけている。クリーンエネルギーのビジネスが牲々にして政治や世論に巻き込まれやすい中、マスメディアに出るのを好まず、着実に利益をあげている経営者として、証券関係者の評価が高い。
8.NEEのような電力会社に投資する際のリスクは、大きく2つある。第1に多額の設備投資を必要とする事業であるため、借り入れ依存度が高くなること。金利の上昇局面では収益が悪化する可能性がある。第2は自然災害をはじめとする大規模災害のリスクである。18年にカリフォルニア州で大規模な山火事が起きた際、出火原因とされた電力大手パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック・カンパニー(PG&E)は、巨額の賠償負担を求められて経営が悪化.破産法の手続きを取っている。17年9月の超大型ハリケーン「イルマ」による被害は、同社の経営を揺るがすことはなかったが、こうした大規模災害のリスクが常につきまとう。このほか、再エネ事業に関しては、政府や自治体からの補助に頼る部分が大きい点も忘れてはならない。米国では風力や太陽光の発電に対してタックスクレジット〔税控除〕を受けられる,しかし、こうした優遇制度は徐々に減らされる傾向にあり、
9.すでに19年以降に建設される風力発電所については、国の税控除が受けられないことが決まっている。とはいえ、電力業界において、NEEは有利な立場にある。高い資本力に如えて、再エネ発電の規模、運営のノウハウなどを持っており、競争力がある。さらに、風力発電については、最も良いロケーションを押さえていると業界内で評価されている。現時点の債券格付けも、大手格付け機関が投資適格な債券と判断している。
10.米株式市場でも有望銘柄の1つに数えられている。株価は過去10年近くにわたって、ほぼ右肩上がりを続けてきた。18年12月には約2万円台半ばから170ドルを割る水準まで株価が急落したが、19年に入ってからは再び値を戻している。他の電力会社の株価が低迷している中、好対照の動きを見せている。
11.配当金も着実に増やしており、19年第1四半期(1〜3月)配当金についても1株当たりドルから1.25ドルへ増額することを発表したばかりだ。それでも配当性向(当期純利益に対する配当金の割合)は56%で、これは同業他社に比べて低い水準にあり、配当を増やせる余地がある。継続的に株価が上昇してきた今なお、多くの証券アナリストが売買予想で,「買い推奨」をつけている。


yuji5327 at 06:40 

2019年02月21日

再生可能エネルギー経済において、大半の国はエネルギー自給のレベルを高めることができ、エネルギーの安全保障はより強化され、自国の戦略の自由度が大きくなる。


「アドナン・アミン(国際再生エネルギー機関事務局長)著:再生可能エネルギーが世界秩序を変える、Newsweek44, 2019.2.19」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.過去8年にわたり圃際再生可能エネルギー機関のトップとして、新エネルギーへの移行の実情を見てきた著者は、新たな地政学的現実が生まれつつあることを確信している。この新たに生.まれるエネルギー地政学の地図は、過去100年間に支配的だったものとは根本的に連って見える。
2.19世紀は石炭が工業化を進める力となり、20世紀には石油が国の同盟関係の構築を後押しした。そして再生可能エネルギーの静かな革命が、21世紀の政治を一変させる。あまり言われていないが、再生可能エネルギーは予想以上のスピードで世界のエネルギーシステムを変容させている。
3.近年、技術の進歩とコストの低下により、再生可能工ネルギーは競争刀のある電源となってき。価格動向からすれば20年までに、太陽光と風力の平均発電コストは、化石燃料価格の下限と同じくらいになる。この静かな革命には、もうーつ重嬰な要素がある。気候変動に対抗することが不可決だという合意である。これが投質家や国際世論を動かし、野心的な再生可能エネルギーの導入目標につながった。
4.現在のところ世界の人口の約80%が、エネルギーの輪入が輸出を上回る純輸入大国に住んでいる。だが将来的には、エネルギー生巌は分散されていく。.水力やバイオエネルギー、太陽光、地熱、風力などの再生可能エネルギーはほとんどの国で、何らかの形で生産可能である。化石燃料は産地が偏在しているが.再生可能工ネルギーなら世界中でずっと均等にアクセスできる。
5.再生可能エネルギー経済において、大半の国はエネルギー自給のレベルを高めることができる。エネルギーの安全保障はより強化され、自国の戦略的優先事項を決定するときの自由度が大きくなる。世界では10億人以上が電気のない生活を送っている。そんな現状を、一変させるような恩恵をもたらす新エネルギー安全保障は軽硯できない。.
6.立ち回りのうまい国々は、自国向けの将来のエネルギー供給を確保するだけでなく、エネルギー経済の新たなリーダーになる好機をつかんでいる。再生可能エネルギーの超大国となるべく、先頭に立っているのが中国である。太陽電池パネル.風力タービン、電気自動車の生産や輸出、導人では世界トップであり、17年には世界の再生可能エネルギー投資の45%以上を占めた。
7.ヨーロッパではドイツが咋年、電力の40%以上を再生可能工ネルギーで賄った。デンマークも同じく半分以上を発電している。中米のコスタリカでは17年に300日間、全ての電力を再生可能エネルギーで賄った。エネルギー生産の変化だけで国際関係がひっくり返ることはない。ただし、エネルギー外交がこれまでのような力を持つことはなくなる。近い将来、石油やガスといった化石燃料の輸出国が新エネルギー時代に向けて経済を再構築しない限り、その世界的な影響力は低下していく。
8.エネルギー貿易の地理的状況も一変するかもしれない。輪送ルートはそれほど重要ではなくなる。優れた接続性やネットワーク、グリッドインフラ〔送電線や電力貯蔵施設など)を持つ国が、エネルギー供給ルートの支配において戦略的に優位にたつ。その点、インフラを整備してアジア、アフリカ、ヨーロッパをつなごうという中国の一帯一路構想は重要である。再生可能エネルギーの送電網でアジア各地を結ぶ「アジアスーパーグリツド構想」のように、近隣諸国の送電網を統合する動きも出てくる。
9.エネルギーの転換にリスクがないわけではない。従来のエネルギーシステムの衰退は、社会的緊張やエネルギー産業における雇用損失、経済的リスクなどのストレスを発生させる。これらの上手な管理が必要である。コバルトやリチウムなど再生可能エネルギー技術に欠かせない鉱物の需要増も、緊張や紛争を引き起こす可能性がある。それでも、新エネルギー時代の恩恵はリスクを上回る。エネルギー外交の衰退とともに、外交政策の輪郭が変異し、世界の勢力図も変わる。
10.政策立案者は再生可能エネルギーに転換するチャンスをつかみ、将来の課題に先んじるため、すぐに行動する必要がある。新エネルギー時代は.今とは全く異なる世界の形成を促進していく。そこではあらゆる国が恩恵を受けられる。


yuji5327 at 06:21 

2019年01月28日

ソーラーシェアリングとは、太陽光を発電と農業で共有する取組み。農作物を生産しながら発電事業を行う営農型太陽光発電とされ、農業問題とエネルギー問題を同時に解決する。


「廣町公則(エネルギージャーナリスト)著:新潮流「ソーラーシェアリング」「発電×農業で地域振興、エコノミスト、2019.1.29」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が2012年7月にスタートして以来、太陽光発電の導入は急速に進んだ。一方で、自然災害が多発する昨今にあって、発電設備の安全性や地域との共生が喫緊の課題として顕在化してきている。こうした中、いま多方面から注目を集めているのが、「ソーラーシェアリング」である。
2.ソーラーシェアリングとは、太陽光を"発電"と"農業"で共有する取組み。農地の上部空間に太陽光パネルを設置して、農作物を生産しながら発電事業を行う営農型太陽光発電とも称され、農業問題とエネルギー問題を同時に解決する試みとしても期待が高まっている。
17年4月3日、耕作放棄地を農地として再生する先駆的収り組みともなった「匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所」(千葉県匝瑳市)の落成式には.小泉純一郎氏.細川護煕氏、菅直人氏の歴代3首相が政党の垣根を越えて列席し.ソーラーシェアリングの重要性を印象づけた。
3.一般に農地で太陽光発電を行つためには.農地法の定めに従って.農地転用の許可を得る必要がある。農地は.その土地の優良性や市街地化の状況等から5種類(農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地・第2種農地・第3種農地)に区分されているが、区分によって農地転用の許可基準には大きな違いがある。市街地化の進んだ第3種農地等であれば、完全な農地転用を行い、農業をやめて太陽光発電所に変えてしまうことも可能。しかし、農地として優良な農用地区域内農地や第1種農地などの場合、太陽光発電所に限らず農地転用は原則不許可となっている。
4.これは農地を守るという意味では有効であるように見えるが、実際には必ずしも現況に合っておらず、荒廃農地を生む背景ともなっていた。担い手がいない農地であっても、そこが第1種農地であれば、アパートを建てるなどの土地活用も許されず、耕作放棄地として放置するしかなかった。
5.ソーラーシェアリングは、こうした状況に風穴を開ける。当初は、同じ土地で農業と発電を.両立させるという発想自体がなかったため、FIT施行後も、しばらくは農地転用許可制度上の取り扱い規定が定まっていなかった。しかし、13年3月31日に農林水産省が農地転用に関する指針を表明したことで、事態は大きく進展した。ソーラーシェアリングが普及の途に就くとともに、農地に新たな可能性が開かれることとなった。
6.指針の最大のポイントは、ソーラーシェアリングは一般的な農地転用でなく、転用の許可期間が定められた。一時転用で行うこと。そして、「営農の適切な継続」「農業機械の利用が可能な高さ(最低地上高2m以上)や空間の確保」等の条件を満たせば、農地の区分に関わらず、一時転用許可を得ることができるとされたことだ。一時転用許可期間が満了しても、発電設備が営農に悪影響を与えていないことなどを示せれば、何度でも再許可される。つまり、これまでは農地転用が認められず農業以外には使われなかった第1種農地で
あっても、ソーラーシェアリングなら可能になった。第3種農地や第2種農地に対しても、新たな選択肢が示された意義は大きい。
7.18年5月15日には、1回ごとの一時転用許可の期間が、これまでの3年から、特定のケースでは10年まで延長されることになった。具体的には、’清箸涼瓦ぜ蠅自ら所有する農地や、耕作権を得ている農地等を利用する、荒廃農地を再生して発電設備を設置する、B2種農地または第3種農地を利用する:などの場合である。ここには、農水省のソーラーシェアリング推進の姿勢が明確に示されている。
8.ソーラーシェアリングの意義は、農業サイドと発電サイド、それぞれから見ることができる。まず、農業面に関しては、農作物の販売収入に如凡、継続した売電収入が得られるため、農業者の経営が安定する。十分な収入が得られずに離農を考えていた農家をつなぎとめる契機にもなるし、農家の跡取り問題を解決する糸口にもなる。農業経営の効率化や規模拡大を期待することもできる。
9.近年、日本各地で問題となっている耕作放棄地(荒廃農地)の解消にも貢献する。一時転用許可の大前提は「営農の適切な継続」であり、農業とセットでなければソーラーシェアリングは認められない。これを逆手にとって、ソーラーシェアリングを行うことを前提に、耕作放棄地を農地として.再生させようという試みが広がっている。
10.耕作放棄地には、しばらく営農者がいなかったわけだが、ソーラーシェアリングによる売電収入を元手に、営農を近隣の農家や農業生産法人等に外部委託することが可能になる。土地所有者にとっては、農地転用もできず眠らせていた資産を有効活用する道が開かれたということである。農水省によると、実際、ソーラーシェアリングのために農地の一時転用許可を得た775件(16年3月末までの許可件数)のうち、荒廃農地に発電設備を設置したものが全体の約30%(234件)を占めていた。
11.発電サイドから見た最大のメリットは、農地がもつ発電設備設置場所としてのポテンシャルである。日照条件が良く、平坦で土地造成費用が掛からないような太陽光発電事
業の適地は、既にその多くが押さえられている。住宅や工場など建築物の屋根上を除けば、新たな太陽光発電設備の設置スペースは、大規模造成が必要な山の斜面や、ため池の水面など未活用の場所に限られてくる。
12.こうした状況にあって、農地はほとんど手付かずのままである。しかも、その大半は日昭茶件に優れた平坦な土地である。その面積は、荒廃農地だけでも約28万ha(17年3月末)に達する.。一方で、ソーラーシェアリングに使われている農地面積は約350haに過ぎない。導入の余地は、果てしないほどに大きい。一般の太陽光発電は、ともすれば森林破壊や土砂災害の元凶とされ、地域との共生が危ぶまれるケースもある。
13.農業と共存し、農地再生にも一役買うソーラーシェアリングであれば、そうした懸念には及ばない。むしろ、農業生産を通して地域経済と必然的に連携することで、地方創生を具体化する取り組みともなっている。非常時には、食料とエネルギーを自給できる強靭性の高いシステムであり、地域全体の価値を高めることにも貢献する。
14.気になるのは、そもそも「太陽光パネルによって光が遮られても、農作物の生育に支障は出ないのか」ということだが、答えは「ノー」である。植物にはそれぞれ光飽和点があり、一定の強さを超えた光は光合成に寄与しない。ソーラーシエアリングはこの原理.
に基ついて考案されたもので.太陽光パネルの設置間隔を調整することで、作物の生育に支障のない日照量が確保される。
15.太陽光パネルのタイプはさまざまだが、日当たりの不均等や風雨の影響を抑えやすい幅狭タイプを推奨している。多くの太陽光パネルメーカーがソーラーシェアリング専用の製品を闇発しており、それぞれに高性能を競っている。また、太陽光パネルを支える支柱やくいについても、農地上に大空聞を確保するための強度と、施工性や耐候性を併せ持つ専用製品が販売されている。
16.農水省の最新統計によると、ソーラーシェアリングの導入件数は、17年3月末現在で合計1269件。北は北海道から南は沖縄まで、ほぼ全都道府県に導人事例があるが、地域問のパラつきは大きく、1位千葉県204件、2位静岡県140件、3位群馬県138件が突出している。
17.ソーラーシェアリングにおける発電設備の出力規模については、関係省庁どこからも発表されていないが、ソーラーシェアリング推進連盟によると、日本全体で350MWほどで、比較的小親模なものが大半である。18年5月15日から、農地の一時転用許可期間が10年になるケースが設けられたので、20年の再許可が1回で済む。





yuji5327 at 07:04 

2019年01月13日

原子力技術は、広範な専門領域にわたる総合技術であるため、原子力分野に限らず幅広い專門分野の技術者を広く確保し、原子力専門知識について再教育することが重要である。


「村上朋子(日本エネルギー経済研究所、原子力グループマネージャ)著:将来性のない原子力産業、人材確保に近道はない、エコノミスト、2019.1.13」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1. 国が目指す「"2030年のエネルギーミックス目標」の原子力比率20-22%は達成できるのか、という質問を受ける。30年の電力に占める割合[20〜22%に相当する原子炉基数は、原子炉30〜35基程度である。しかし、11年の福島第1原子力発電所事故発生時にあった54基のうち16基が廃止となり、18年現在、残る既設炉は38基。うち9基が再稼働し、6基が再稼働の認可を受けている。残る23基は数年以内に再稼鋤する保証はない。
2. 新規建設計画にも特段の動きが見られない。そうなると上記目標を達成はない、と考えるのは極めて自然である。現実を見れば、これで原子力産業に明るい将来展望を持て、というほうが無理である。
3.問題として挙げられるのが「人材確保」である。基数は激減しても、プラントがある以上は安全な運転にかかわる入材は不可欠だし、放射性廃棄物処理・処分、廃炉に取り組む人材も必要である。その人材をどこからどうやって確保するべきか、エネルギー産業の関係者なら一度は考えたことのある問題である。
4.この問題を考えるにあたって必要な基本情報は、原子力事業における従事者数のトレンドである。新規着工こそ途絶えたものの50基以上が運転中だった2000年代と、基数が激減しつつある現在とで従事者数にどれくらいの差があるのかを確認すると、日本原子力産業協会の「原子力発電に係る産業動向調査」は1959年から続く定点観測で、ここに電力会社と鉱工業他プラントメーカーなど原子力関係従事者数の推移を見ると、両者とも、直近20年弱の従事若数に大きな変動はなく、約4万2000〜5万入で推移し、プラント関係3万2000〜3万8000人程度、電力会社は99年から16年にかけて約1万人から1万3000人に増加している。原予力産業の魅力が低下し、優秀な人材が集まりにくくなった、と言われるほどデータからは読めない。
5.なぜ多くの人が異口同音に原子力産業の人材確保に危機感を持つかは、古くて新しい問題だからである。日本に原子力産業が誕生して以来、長期的な人材確保が課題として挙がらなかった時代はない。例えば、82年6月30日原子力委員会決定の原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画には、長期的な人材確保のあり方として以下のような記述がある。「将来必要となる技術者数は、原子力発電の将来規模等から推定すると、1990年度には、6万6000人程度(エネルギー利用分野で約4万人、放射線利用分野で約2万6000人)となる。」
6.原子力技術は、広範な専門領域にわたる総合技術であるため、原子力分野に限らず幅広い專門分野の技術者を広く確保し、原子力専門知識について再教育することが重要である、と書かれている。
7.82年ごろは国・民聞が共同で原子力プラントの改良標準化を進め、電力会社もメーカーも多くの建設案件を抱え、原子力産業は花形成長産業であった。一部の大学には原子力工学科に優秀な学生が集まっていたといわれるが、当時からすでに原子力工学科は人気のある学部ではなかった。将来に向けて人材確保という課題は早い段階から認識されていた。8.97年から17年までの直近20年問にわたり、電力会社・メーカーそれぞれについて原子力部門への配属人数は、原子力工学系からの採用率が20%前後で推移する一方、電気系や機械系からそれぞれ20〜30%、化学・材料系他から30%程度、幅広い分野から入材を採用している。原子力系に限定しない幅広い分野に開いている流れは一貰している。
9.人材の長期的な育成・維持・技術継承にあたって原子力工学科の存在意義が問われる。
05年に東京大学大学院に設置された原子力専攻はこの方向性に沿うものである。原子力分野等で働いた経験のある社会人を主な対象者とし、学部であまり扱わなくなった「原子炉物理学、原子力熱流動工学、原子力構造工学、原子カプラント工学、原子力燃料材料工学、廃棄物管理工学など、1年間で原子力修士を目指す。
10.縮小に向かう今後は、今後も、多様な人材確保と専門教育体制の維持を古くて
新しい課題として認識し、原子力産業が花形であろうが落ち目であろうが、人材確保という課題解決が必要である。



yuji5327 at 06:30 

2018年10月14日

人口減少が避けられなければ、地域経済の縮小を避けなければならない。1人当たりの稼ぐカを高め、域外から稼ぎつつ、稼ぎを地域内で消費・投資する地域経済循環が必要である。


「田中信一郎(地域政策デザインオフィス代表理事)著:人口減少でも地域経済を成長「地域エネ政策」の長野モデル、エコノミスト、2018.1016」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日本は、2008年から有史以来初の人口減少時代に突入している。08年に1憶2800万人のピークを迎え、現在に至るまで減少を続けている。国のシナリオの「60年に1億人」が実現しても、人口急減が続くことに違いはない。70年ごろまで急減が続き、その後、9000万人で定常化すると想定されている。
2.人口減少は、内需を中心とする地域経済に大きな影響を及ぼす、地域と運命を共にするガス、交通、金融、建設、小売りなどは需要縮小が避けられない。住民や自治体から見ると、地域経済の縮小は、どうしても避けたい。民間企業によって供給されている住民サービスの縮小・撒退を意味し.さらなる住民の流出を助長しかねない。
3.人口減少が避けられない現実だとすれば、地域経済の縮小こそ避けなければならない。1人当たりの稼ぐカを高め、域外から稼ぎつつ、その稼ぎを地域内で消費・投資する地域経済循環を形成することが必要である。
4.これまでの地域経済政策は、人口増加を前提にしてきた。自治体の主な政策は、増え続ける住民の雇用先となる企業を誘致することと、大企業の下請けとなる中小企業の資金繰りを支援することだった。
5.一方、経済構造の全体を俯瞰し、地域の資金収支を改善することには不熱心だった。自治体は、商工、農林、建設と縦割り化し、地域経済の一翼を担う健康福祉や教育などについては、産業としての視点を持っていなかった。
6.人口減少や資金収支という視点では、これらの政策は地域経済のさらなる衰退を招く恐れがある。雇用先でなく、働き手の不足が常態化するからである。そのため、自治体は経済政策の抜本的な転換を迫られている。従来の政策を継続すれば、縮小していく、雇用者と消費者の奪い合いを、域外資本と地域資本が繰り広げ、自治体が火に油を注ぐかたちになる。
7.その際、政策の見直しに加えて、地域エネルギー政策を確立することが重要になる。電気・ガス・燃料は、元をたどると石汕・石炭・液化天然ガス(LNG〕とほぽ海外産であ
る。消費と引き換えに、代金を日々、それらの産出国に支払っている。
8.地域エネルギー政策によって、エネルギーの利用の効率化と産出の地域化を促進すれば、その分だけ、資金収支が改毒する。例えば.地域の工務店に200万円で建物の断熱改修をしてもらい,毎年10万円の光熱費を減らしたとすれば、20年間で投質回収できる。これを工務店から見れば、顧客が200万円を域外に光熱費として支払う代わりに、新たな仕事を受注したことになる。同様に、燃料を地域産の木質チップに変更すれば、域外に流出するはずの燃料代が、地域の木材業者や森林組合へ行くことになる。風力や太陽光で発電した電気を大都市に売れば,域外から新たな収入を得ることにもなる。
9.長野県では、13年度から地域エネルギー政策を経済政策に位概付け、エネルギーと経済の好循環に取り組み始めている。同年度からの「長野県環境工ネルギー戦略」は、経済成長とエネルギー消費量・温室効果ガス排出量抑制の両立を目指している。
10.福島原発事故から半年後の11年10月から、筆者は長野県の任期付きの課長級職員として、5年間にわたりエネルギー政策に携わった。省エネ分野では、新築建物にエネルギー性能の検討を義務づけている。それと合わせ、建築事業者が施主に客観的な性能をデータで説明できるよう、評価ツールを普及した。例えば、建築費2000万円で年間光熱費20万円の住宅と、建築費2200万円で年問光熱費10万円の住宅のどちらを建てるか、施主は選べるようになった。
11.その結果、長野県の新築では、省エネ住宅の割合が大幅に増加した。国の省エネ基準を上回る新築戸建て住宅は、正確な統計はないものの、全国半均で3〜4割といわれる。16年の長野県調査では、8割を超える新築住宅が省エネ基準を上回っていた。
12.再エネ分野では、事業に取り組むスタートアップや中小企業を促進している。長野県内で再エネ普及を目指す産官学民のネットワーク組織「自然工ネルギー信州ネット」に、再工ネ事業に関心をもつ行政、中小企業、NPO、専門家、研究者、個人が参加し、再エネ事業に関する情報やノウハウを交換している。
13.その結果、再工ネ事業に取り組む事業者が県内各地に生まれている。例えば、「上田市民エネルギー」は、市民から小口の資金を集め、太陽光発電事業を展開している。18年5月現在、同県上田市を中心に.41ヵ所・600kWの設備を展開している.長野県は、18年6月に国から「SDGs〔持続可能な開発目標}未来都市」に選定され、地域エネルギー政策を活用した地域経済循環の強化に取り組み始めている。.
14.長野県の地域エネルギー政策は、大きな地域経済効果を生むと見.込れている。立命館大学のラウバッハ教授らの分析によると、長野県の再エネ目標(10年10万kW→50年300万kW)が達成された場合、50年までの累積で最大4400億円の付加価値が再エネ事業
を通じて生まれると試算されている。
15.この分析から、再エネ事業における資本・経営・資金の帰属の重要性が明らかになった。再エネ事業は、ほとんど雇用を産まないため、誘致しても固定資産税くらいしかメリットはない。けれども、利益を生まないわけでなく、利益の多くが事業所得になることが特徴である。つまり、地域の企業や住民が出資と経営を担い、地域の金融機関が融資したとき、地域への経済効果が拡大化される。出資・経営・融資のすべてを地域で担う手法を「地域主導型」と呼ぶ。一方、いずれも域外で担われる「外部主導型」では、地域への経済効巣は小さくなる。
16.長野県では、地域主導型の促進を方針とし、そのための支援策を積極的に講じてきた。信州ネットはその一環で、地域金融機関からの融資を後押しする補助金も設けている。こうした長野県の地域エネルギー政策は、地域固有の状況に依存するものでなく、全国の自治体に水平展開できるものである。
17.地域経済に資するエネルギー政策が現.実的になったのは、福島原発事故の11年以降である。再エネの固定価格買い取り制度が国会で成立し、再エネ発電で収益をあげることが容易になった。並行して、再エネ技術が安価になり、建築などの省エネ技術が高まり、地域エネルギー政.策の手法が確立した。それらが相まって、神奈川県小田原市や北海道ド川町、同ニセコ町など、同様の政策に取り組む自治体が、各地に増えつつある。


yuji5327 at 06:34 
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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