エネルギー問題

2020年02月29日

次の選挙、地位を最重要視する政治家・官僚の視界は、3年先である。原子力政策を含むエネルギー政策には、30年先を見通す眼力が求められる。


「橘川武郎(東京理科大教授):官即"ゆがめるエネルギー政策・原発建て替え議論回避の無責任 週刊エコノミスト 2020.3.3」参考になる。概要の続きを自分なりに纏めると以下のようになる
1. 電力や都市ガスの小売全面自由化は、きわめて有意義な改革である。結果として、福島第一原発事故後9年近くが経週したにもかかわらず、原予力政策は漂流したままである。次の選挙・次のポストを最重要視する政治家・官僚の視界は、3年先にしか及ばない。しかし、原子力政策を含むエネルギー政策を的確に打ち出すためには、少なくとも30年先を見通す眼力が求められる。
2.このギャップは埋めがたく、日本の原子力政策をめぐっては、戦略も司令塔も存在しないという不幸な状況にいたった。原子力をめぐる諸問題を解決する主体は、政治家や官僚ではなく、あくまで民間事業者だになる。原発のリプレースを決断するのも、国や経済産業省ではなく、民間の電力会社しかない。その「民間の電力会社」になりうる唯一に近い存在が、関西電力であったが、金銭授受問題で関電は打撃を受け、首脳陣は総退陣することになった。
3.関電は美浜原発(編井県美浜町)4号機のリプレースを計画しており、これが行き詰まった日本の原子力政策を変える可能性を秘めていた。老朽原発を廃棄し、危険性が低い原発に置き換えつつ依存度低下を進めるという現実的な政策への役割が期待されたが、そのリプレースを切り出す主体が舞台から退場し、日本の原子力発電の未来は閉ざされた。この点こそが、関電金銭授受問題の本質である。
4.原子力政策を含む日本のエネルギー政策をめぐって、これ以上、「戦略も司令塔も存在しない」状況を放置するわけにはいかない。エネルギー基本計画は3-4年ごとに改定されるから、20年度中にも第6次エネルギー基本計画の策定をめぐる議論が始まる可能性が高い。その際には、今度こそ、「30年に原発比率20〜22%」などという実現できっこない絵空事ではなく、リアリズムに立脚した検討が必要となる。その際、有効だと思われるのは、 峺業無し、石炭火力無し」、◆峺業無し、石炭火力有り」、「原発存り、石炭火力無し」、ぁ峺胸厠枠電所有り、石炭火力有り」という4つのシナリオを想定し、それぞれのケースで、エネルギー政策の基本となる「S+3E」について、何が問題になるかを直視するアプローチである。
5.「S+3E」とは、セーフティー〔危険牲の最小化)、エネルギー・セキュリティー(エネルギーの(安定供給)、エコノミック・エフィシェンシー(経済効率性の向上)、エンバイロメント(地球提暖化対策の推進)のことである.


yuji5327 at 06:29 

2020年02月28日

原子力にとっての最大のリスクは、「政治リスク」、厳密に言えば「首相官邸リスク」である。


「橘川武郎(東京理科大教授):官即"ゆがめるエネルギー政策・原発建て替え議論回避の無責任 週刊エコノミスト 2020.3.3」参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.原子力にとっての最大のリスクは、「政治リスク」、厳密に言えば「首相官邸リスク」である。2018年に閣議決定された第5次工ネルギー基本計画は、30年の電源構成を原子力20〜22%、再生可能エネルギー22〜24%、火力56%とするとともに、50年時点で
も原子力に「実用段階にある脱炭素化の選択肢」として高い位置づけを与えた。
2.一方で、安倍内閣は、それまでと同様に第5次計画の策定過程においても原発の建て替え(リプレース)に関する議論を回避し、問題を先送りした。このことは、明らかな矛盾である。というのは、リプレースに正面から取り組まない限り、30年に20-22%の原発比率を確保することはできないし、50年に原子力を「脱炭素の選択肢」として維持することも不可能だからである。
3.ここでリプレースを強調するのは、原発.をどんどん推進せよという意味ではまったくない。脱炭素の選択肢として原発を多少なりとも使い続けるのであれば、危険性の最小化が絶対的な前提条件となるから、より危険性が高い古い原子炉を積極的に廃止し、より危険性が低い新しい炉に置き換えるべきだと考えるからである。
4.リプレースは、「原発.依存度を可能な限り低減する」という国民世論の期待や安倍内閣の公約と矛盾しない。リプレースを行うにしても、30年の原発.依存度は最大限15%程度にまで押し下げるべきである。可能な限り低い依存度の枠内で原発リプレースを進めることが、将来において原発を使用する際の唯一の責任ある道だと言える。
5.安倍内閣がリプレースを回避するのは、選挙がこわいからである。安倍1強時代が7年以上も続いているのだから、そんなはずはないという反論があるかもしれないが、安倍首相が獲得をめざすのは、国会の議席の過半数ではなく、3分の2以上である点である。6.憲法こ改正をめざす首柑からすれば、原子力のような微妙な問題に深入りすることは得策ではない。安倍政権が続く限り、リプレースが正面から取り上げられることはない。リプレースが取り上げられない限り、原子力の未来は開かれない。原子力にとっての最大のリスクは「官邸リスク」だと指摘したゆえんである。
7.昨年発覚し、大きな社会的批判を呼んだ関西電力の金銭授受問題もまた、原発リブレースのゆくえと深くかかわっている。日本の原子力開発は、「国策民営」方式で進められてきた。福島第1原発事故のあと、事故を起こした当事者である東京電力が、福島の被災住民に深く謝罪し、ゼロベースで出直すのは、当然のことであるが、それだけですまない。
8.国策として原発を推進してきた以上、関係する政治家や官僚も、同様にゼロベースで出直すべきであるが、彼らは、それを避けたかった。そこで思いついたのが、「たたかれる側からたたく側に回る」という作戦である。
9.この作戦は、東電を悪役として存続させ、政治家や官僚は、その悪者をこらしめる「正義の味方」となるという構図で成り立っている。その悪者の役回りは、やがて、東電から電力業界全体、さらには自由化に消極的だった都市ガス業界全体にまで広げられた。10.政治家や官僚は、火の粉を被るおそれがある原子力間題については、深入りせず先送りする姿勢に徹した。このように考えれば、福島第1原発事故後に政府が、電カシステム改革や都市ガスシステム改革には熱心に取り組みながら、原子力政策については明確な方針を打ち出してこなかった理由が理解できる。熱心に「たたく側」に回ることによって、「たたかれる側」になることを巧妙に回避しようとしたのである。


yuji5327 at 06:43 

2020年02月23日

国際海運で排出される温室効果ガスは、世界全体の約2〜3%、ドイツ1国分に相当する。排出ゼロへの取り組みは、ほかの産業にも影響を及ぼす。


「岡田広行著:脱炭素化で船舶が大激変 週刊東洋経済 2020.2.22」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して自分のコメントもカッコ内に付記して纏めると以下のようになる。
1.地球温暖化への対策が急務となる中で、海運や船舶のあり方が大きく変わろうとしている。100年以上にわたって主流となってきた重油などの石油系燃料から、温室効果を持つ、二酸化炭素〔CO2の排出が相対的に少ないLNG(液化天然ガス)への転換が急速に進みそうである。その先は、水素やアンモニアといった、CO2を排川しない燃料や、風力など再生可能エネルギーの利用も視野に入りつつある。
2.国際海運のルールを決める国際海事機関〔IMO〕は2018年4月に「温室効果ガス削減戦略」を採択し、「今世紀中のなるべく早期に、国際海運からの温室効果ガス排出ゼロを目指す」との目標を取り決めた。その際、30年時点での目標として「08年比で単位輸送量当たりの温室効塒ガス排出最の40%以上削減」に加え、50年時点での「国際海運全体での温室効果ガス排出総量の50%以上削減」(単位輸送量当たり温室効果ガス排出量の80%以上削減に相当、08年比)という数値目標が決まった。
3.エンジンの出力制限など30年目標達成に実効性を持たせるための具体的な規制内容については現在、日本やデンマーク、中国などが具体案を持ち寄りIMOの専門委員会で議論を続ける。30年目標については、「現在、考えられている対策でクリアできる」(大手海運各社)とみられている。一方、50年目標の達成については、越えねばならないハードルが多い。だが、どのようなルールが導入されるにせよ、既存の船舶を今までどおり運航させることは困難になるうえ、新たに建造される船舶についても燃料の転換が不可避である。
4.国際的な温室効果ガス削減の動きを見据えた仕組みが、国内でもスタートしている。日本郵船と商船三井、九州電力の3社は昨年12月、LNG燃料で運航する載貨重量9万5000トン級の大型石炭輸送船2隻の導入を内容とした基本協定書を締結した。この規模の石炭輸送船の建造は世界で初めてで、23年4月および6月に竣工する予定である。55.LNG燃料については、九電の子会社が福岡県北九州市に持つLNGの陸上出荷設備から2隻に供給する。LNG燃料の長所は、燃焼時の大気汚染物質排出が極めて少ないことにある。一般的な船舶燃料油であるC重油と比べて、硫黄酸化物についてはほぼすべて、窒素酸化物では約80%の削減が見込まれている。
6.一方、CO2排出の削減率は20-30%にとどまる。LNG燃料を用いるだけでは、IMOが目指す温室効果ガス排出ゼロや大幅な削減には届かない。だが、減速航行、船舶の設計改善、風力の活用などと組み合わせることにより、50年目標達成への有力な手段になりうる。加えて日本の強みも生かせる。というのは、海運大手3社はLNGの輸送実績で世界有数であるうえ、船員の訓練などオペレーションでも、従来のLNG輸送船の経験を生かせる。
7.LNG火力発電や都市ガス供給を通じて、日本は世界最大のLNG輸入国になっている。そのため、30以上の港湾にあるLNG受け入れ基地を改修し、供給機能を持たせることも可能である。造船業では数多くのLNG輸送船の建造実績がある。今後、船舶燃料の大部分がNGに切り替わると思う。今後建造する自動車輸送船の燃料についてLNG化する方針である。
8.商船三井は日本で初めてのLNG燃料フェリー2隻の建造を決定した。LNGを燃科とする自動車輸送船については、日本郵船と川崎汽船の発注によって、国内の造船所で2隻の建造が始まっている。いずれも20年秋に竣.工する予定である。LNG燃料を船舶に供給するためのインフラ整備も進みつつある。タンクローリーから船舶への供給方式に続いて、より大量の燃料を短時間で供給できるLNGバンカリング〔燃料供給〕船による供給も具体化してきた。
9.燃料価格の面でも、LNGに追い風が吹き始めた。今年1月に国際海運全体でSOx排出規制が始まったことにより、排煙脱硫装置を設置した船舶でなければ、硫黄分の多いC重油を燃焼させることはできなくなった。脱硫装置を設置していない船の場合、硫黄分の少ない「規制適合油」に切り替えなければならない。この適合油は従来のC重油と比べて割高である。
10.以前とは状況が変わりつつある。バンカリングに対するエネルギーメジャーの日の色も変わってきた」と指摘する。LNG燃料普及のカギを握るのが供給インフラの整備だ.日本郵船は従来の電力やガス会祉向けLNG燃料の輸送にとどまらず、船舶へのLNG燃科の供給業務を新たなビジネス分野に設定した。そのーつが、伊勢湾三河湾での合弁事業であり、九州・瀬戸内地区でも九電、西部ガスなどと協議を進めている。従来の輸送業のみならず、調達など関連分野にも広げる。海外でも、日本の海運会社はLNG燃料ビジネスを始めている。
11.LNGへの燃料転換は、温室効果ガスの排出最の抑制に効果があるものの、それ自体では排出ゼロにはならない。一方で、LNG化は船舶燃料の脱炭素化への移行をスムーズに進めるために有効である。LNG供給で用いられるインフラは、将来、有力なカーボンリサイクルメタンなど、脱炭素化を見据えた代替燃料にも活川できる。
12.IMOで取り決められた50年時点での温室効果ガス削減目標を達成するうえで、以下の2つのシナリオが有力だとされている。1つは、LNGおよびカーボンリサイクルメタンが、現在、船舶燃料のほとんどを占めている石油系燃料の大部分に置き換わるというシナリオがあり、さらに水素およびアンモニア燃料中心のシナリオもある。カーボンリサイクルメタンは、CO2および水素から合成したメタンである。天然ガスの主成分はメタンであるため、既存のLNGインフラに加え、LNG燃料船の技術も使用できる。ただし、生産過程でCO2を発生させないためには、再エネ電力で水を電気分解し、水素を生成しなければならない。それには再エネ電力のコストを抜本的に低減させる必要がある。CO2は、船舶の運航で発生する排ガスから集めることも検討されている。なお、カーボンリサイクルメタン自体が、新たに環境負荷を生まない「カーボンニュートラル」であるとの評価を得られることが前提になる。
13.一方、水素およびアンモニア燃料中心のシナリオでは、メリットとともに、特有の課題がある。水素およびアンモニアは燃焼時にCO2が発生しないため、ゼロエミッション燃料となる。ただし、水素は液化したときの熱量当たり体積がC重油の約4・5倍と大きく、船内に燃料貯蔵のスペースが必要である。また、液化ではマイナスー62度のLNGよりもはるかに低いマイナス253度に冷却する必要があり、供給インフラも一から造らなければならない。アンモニアはガスタービンでの燃焼実績があるうえ、水素と比べて熱量当たり体積が大きくないことから輸送しやすいといった長所もある。一方、毒性や強い臭気に関して設備や安全面での対策が必要になる。燃焼時に発生するNOxにはCO2の約300倍もの温室効果があるため、NOx低減対策も不可欠である。
14.水素と窒素を合成して製造するため、水素製造のコストにも強く影響を受ける。代替燃料には利点とともにさまざまな課題がある。しかし、IMOの目標である50年までに残された年数は多くない。「船の耐用年数を考慮に入れると、ゼロエミッション技術を盛り込んだ実験船を30年あたりまでに竣工させ、その性能を確かめたうえで、一斉に発注するスピード感覚を持って業界横断的に取り組む必要がある。
15.国際海運を通じて排出される温室効果ガスの総量は、世界全体の約2〜3%、ドイツ1国分に相当する。排出ゼロへの取り組みの行方は、ほかの産業にも大きな影響を及ぼす。



yuji5327 at 06:23 

2020年01月16日

再エネ取引の新たな形が出てきているだけでなく、発電予測の精緻化など技術の蓄積から再エネ電力そのものの価格競争力も高まっている。


「岡田広行(本誌)著:脱炭素化を前進させる切り札 勃興する再エネ新ビジネス、週刊東洋経済2019.12.7 」は参考になる。概要の続きを自分なりに纏めると以下のようになる。
1.2つの取引プラットフォームがある。そのーつが、これまで述べてきた電力取引のプラットフォーム。もうーつが、環境価値をやり取りするプラットフォームである。こちらでは自社開発のICT(情報通信技術)機器を太陽光発電設備に設置し、そこから得られた発電情報をプロックチェーンに記録する。この仕組みによって計測したCO2削減量などの環境価値が、国が運営する「Jークレジット制度」の認証を受けらけるようにする。
2.第1陣として、デジタルグリッドの出資者でもある東京ガスグループ、東邦ガスおよび日立製作所が参画。研究所や顧客の建物の屋根に設置した太陽光発電設備の電力の環境価値を測定し、20年1月にプロジェクトの登録審査を受ける予定である。
3.プロックチェーンを用いた新たな手法が認められることで、ビルや住宅など異なる施設での環境価値をまとめて評価する道が開かれる。さらにその先を見据えて、デジタルグリッドは太陽光発電システムを設置した住宅が相互に電力をやりとりする実証試験も進めている。これは電力の「個人間取引」と呼ばれる。
4.電力会社の送配電ネットワークと結ばれつつも、「非同期連系」という技術を用いて、普段からできる限りコミュニティーの範囲内で電力を融通する。送配電ネットワークとの切り離しが容易であるため、災害時の停電リスクも軽減できる。
5.再エネ取引の新たな形が出てきているだけでなく、発電予測の精緻化など技術の蓄積から再エネ電力そのものの価格競争力も高まっている。その実例が、ソニーと東京電力エナジーパートナー(EP)が構築したメガワット級の太陽光発電設備を活用する、自家消費の仕組みである。
6.ソニーのグループ会社が持つ静岡県内の物流倉庫の屋上に東電EPの子会社が太陽光発電設備を設置し、発電した電力を倉庫で使用する。余剰分は、「自己託送」と呼ばれる仕組みによって、地元電力会社の中部電力の送配電線を経由して、ソニーグループの製造工場に供給する。
7.発電量は天候に左右されるが、東電EPはこれまでの研究成果を用いて発電予測を精緻に行うことで、計画と実際の発電量の誤差を縮め、誤差が生じた際に電力会社(送配電事業者)へ支払うインバランス料金を極力少なくする。
8.こうした取り組みによって、通常の電力購入と比べて遜色ないコストでの調達が可能になる。通常の電力のような燃料費の変動もなく、電力料金に相当する設備の利用料は定額になる。事業計画を立てるうえで、エネルギー単価が一定であることは、1つのメリットである。なお、両社の取り組みでは、全体のコストを極力抑えるために、蓄電池の導入はしない。
9.ソニーはこの取組みを20年2月に開始し、再エネ電力の利用率を高める。同社は、自社で使用する電力のすべてを再エネで賄う国際的な活動であるRE100に加盟しており、物流倉庫での自家消費は重要なワンステップとなる。
10.一方、太陽光発電設備と蓄電池を組み合わせ、従来のように大手電力会社から購入するよりも安い価格で電力を供給すると宣言したのが、再エネビジネスを主力とするネクストエナジー・アンド・リソースである。同社は世界最大手の蓄電池メーカーCATL(中国)
と提携し、「TPO(第三者所有)モデル」と呼ばれる事業を展開する。具体的には、初期負担を伴わない形で発電設備をユーザーの工場やビルの屋根などに設置し、そこで発電した電力をユーザーに供給する。20年6月をメドに開始する予定で、同社が今年7月に開示した事業計画によれば、20年間での総発電コストは東電管内での平均的な電力価格よりも安くできる。
11.その際、ネクストエナジーは、TPO事業者となる電力小売会社と提携し、蓄電池などの部材を販売するだけでなく、取引プラットフォームを提供し、その利用料を受け取る。また、TPO事業者が余った電力を集めたうえで、数年後に新たに創設される需給調整市場(買いとり主体は大手電力の送配電子会社)で販売するビジネスも視野に入れている。
12.従来、販売代理店どに支払ってきた蓄電池などの流通コストを大幅に削減できることから、TPOモデルこそ、コスト競争力において最強の電源。現在の固定価格買い取り制度終了後の再エネビジネスの本命である。相次いで立ち上げられる新ビジネスは、電力業界の新時代到来を物語る。ただ、再エネの大量導入とともに、電力システムのあり方が大きく変わろうとしている。そうした中、個々のビジネスが将来にわたって持続するかは末知数である。変革の過程で勝者もつねに入れ替わる。どの業界でも当たり前のように起きてきたことが、電力業界にも訪れる。


yuji5327 at 06:33 

2019年08月20日

経団連と言えば「老害」の典型だが、現会長の中西宏明氏の発言は度が過ぎ、小泉純一郎元首相からの公開討論の申し入れにを拒否した。


「大前研一著:何年経っても反省しない絶望の原発提言、PRESIDENT、2019.7.19」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1. 経団連と言えば「老害」の典型だが、現会長である中西宏明氏(日立製作所会長〕の原発を巡る発言は度が過ぎた。小泉純一郎元首相が顧問を務める民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」からの公開討論の申し入れに、「絶対ダメという方と議論しても始まらない」と拒否した。その後の4月、経団連は「日本を支える電力システムを再構築する」と題したエネルギー政策の新たな提言を発表した。会見の席上、中西会長は「日本の電力は危機に直面している」としたうえで、かねて経団連が主張してきた原発の再稼働や新増設を改めて求め、さらに原発の運転期間について初めて言及した。
2. 現状、原発の運転期間には「40年ルール」という縛りがある。東京電力福島第1原発の事故を受けて、政府は原子炉等規制法を13年に改正、原発の運転期間を原則40年に制限して、1回限り20年の延長が認められるようになった。つまり原発の運転期間は最長60年なのだが、中西会長はさらなる期間延長を検討すること、そして3・11以降の原発の停止期間の8年を「40年の2割に相当する」として、運転期間から差し引くように求めた。
3. これは東日本大震災と福島第一原発事故以来の国民感情というものをまったく理解していない発言である。原発メーカーの会長が政府に対して堂々とロビー活動している。「原発を止めてもやっていけた」というのが国民の実感であって、稼働年数の延長など誰も望んでいな。原発の運転年数を延長して再稼働しようにも、住民の反対にあってほとんど不可能である。知事選で原発推進派がことごとく敗北している情勢で、原発の運転年数延長、再稼働にまともに取り組む首長が出てくるとは思えない。
4. 原発を再稼働するためには、原子力規制委員会が自分たちも怯えながら作り上げたさまざまな安全基準を全部クリアしなければならない。そのためのコスト、要するに安全対策費は少なくとも5000憶円はかかる。5000億円といえば新設の原子炉1基の値段に相当する。東芝が叶.き川した米国原発大手ウエスチングハウスが開発した最新の加圧水型原子炉は「AP1000」と呼ばれる。この原子炉は炉心溶融を引き起こす崩壊熱がクールダウンするまで補助装置が白己熱で回り続ける仕組みになっているので、福島型の重大事故は起こさないと言われている。約1100..の山力を叩き川すAP1000の値段が5000億円。中国はAP1000型の原発稼働を進めているDH本では原発の新設なんてまったく考えられないし、計画.か止まっている原発の建設再開もほぼ〔寄能。あと数年もすれば、中国のほ・71が先輩になっているだろう。
5. 大前氏は基本的には原発推進論者である。福島の反省を踏まえて、「こうすれば安全は確保できる」というレポートも書いているし、再稼働のための『原発再稼働「最後の条件」も出版している。原発を推進したければ推進する方法はあると思うが、運用責任者であるはずの日本政府に信頼が置けない。再び原発を推進する大前提は、福島の原発事故を徹底的に究明して、事故の検証から導き出した安全対策を実行し、再稼働の条件を明確化することである。地元や国民に対する情報開示は当然だが、政府は福島の原発事故の説明責任をいまだに果たしていない。
6. 物埋的な安全対策だけではなく、それでも事故が起きた場合に備えて、組織的な危機管理体制も整えておかなければならない。重大事故状態に陥ったときに誰がどういう手順で避難指示を出すのか、自衛隊の出動命令を出すのか等々、事故に迅速に対応する指揮命令系統を確立する必要がある。現実には首相官邸が司令塔になるべきで、私は何度も自民党に説明に行って相応の機関を官邸に設置するように進言したが、まともに取リ合ってもらえなかった。
7. 規制委員会は事故が起きないようにする組織だから、事故が起こったときには、それとは独立した専門家集団が官邸で判断、指揮などを首相に進言しなくてはならない。福島第一のときには保安院の院長が機能不全になり、大前氏がメルトスルー(溶融貫通〕している、と官邸に説明に行っても「そんなはずはない」と叫んでいた。また、「万が一のときはこうしましょう」という話を詰めなければいけないのに、担当したある国会議員は「万が一なんて選挙区で言ったら、私は選挙に受かりません。嫌です」と議論を拒否した。万が一の事故が起きたときに、こんなアホばかりの政府、首相官邸が司令塔の役割を果たせるわけがないし、住民や国民の不安を拭えるはずもない。
8.中西会長は「原子力抜きでパリ協定は守れない」とも語っている。パリ協定は2015年にパリで開催された第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21〕で採択された気候変動抑制に関する多国間の国際協定である。パリ協定を批准している日本は「2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比26%減」「2050年までに80%減」などの中長期目標を掲げている。
9.福島の事故以降、原発が停まった日本では石油やLNG{液化天然ガス〕などの化石燃料の比重が8割を超えていて、パリ協定の目標達成は厳しい状況か続いている。だからといって協定遵守を理由に原発の再稼働や運転期間の延長を求めるのは、財界トップとしてやはり無神経と言わざるをえない。パリ協定を念頭に置くなら、まずやらなければいけないのは脱化石燃料である。そして原発に頼れない国内情勢を鑑みれば、再生可能エネルギーの比重を高めるしかない。
10.再生可能エネルギーの安定活用にはまだまだ技術的課題が多い。一番安定しているのは電力量の7%を占める水力発電だが、日本の水力は開発され尽くしていて余力はない。また地熱発電で日本は世界3位のポテンシャルを秘めているが、候補地が温泉の近くだったり、国立公園の中にあったりするので、反対運動や規制が絡んで思うように開発が進まない。再生可能エネルギーのチャンピオンとして期待されているのは太陽光と風力だ。しかし、どちらも「お天道様任せ」「風任せ」というウイークポイントがある。太陽光発電の場合、平均の稼働率は13%程度。風力発電でも19%ほどしかない。あくまでこれは平均値だから、太陽がガンガンに照りつけたり、風か吹き荒れると設備の発電能力が全開になって100%を超えてしまう。プラス80%に相当する電力が一気に放出されたらグリッド(電力網〕はこれを吸収できない。電力ネットワークというのは、地域内の電力の需要量と供給量が一定に保たれてないと不安定化してしまう。それがサージ(過電圧〕という現象を引き起こして、ブラックアウト{大停電〕につながる。
11.再生可能エネルギーもコストや安定供給などの課題があって、活用に限界がある。他方、原発は国民からNOを突きつけられている。そうした認識に立って「日本の電力は危機に直面している」というのなら、経団連会長として政府と国民世論に問うべきは「節電」である。日本のような人口減社会は放っておいても少しずつ電力使用量が減っているのだが、国全体が必死で節電することによって電力使用量は半分で済むようになると思う。
12.たとえば電力使用量が非常に大きい工業用、商業用のモーターやコンプレッサーは、省エネ研究が実用化の段階に入って、少なくとも30%くらいの省電力化の見通しが立っている。車もPHV化することによってガソリン消費量は半減する。各家庭においてもすべての電球をLED化したり、住宅の断執花を義務化すれば、大幅な節電ができる。また日本の電力網は新潟県の糸魚川と静岡県の富十川を境に電源周波数が東は50Hz、西はHzに分かれていて、この糸魚川ラインをまたいで融通できるようにするための変換設備の合計容量は120万kWで、実際に使えるのは40万〜55万kW程度しかない。これを改善して時差に応じて電力を融通しあえる全国的な電力ネットワークを築けば、日本全体の発電量は15%程度抑えられる。「産業界の50%節電は、私が責任と覚悟を持って仲間に呼びかけ、車などの移動体も含めて取り組みます。ついては国民の皆さんにも同じく50%の大胆な目標を持って節電に取り組んでいただきたい。そして政府には家庭のLED化や断熱化を助成していただきたい」と大前氏が経団連会長ならこう提言する。

yuji5327 at 10:23 

2019年06月25日

世界を見ると、原子力の発電コストが最安でないことは、はっきりする。再エネ、中でも風力と太陽光が世界各地で拡大し、ここ数年で発電コストが劇的に低下している。


「風間直樹著:原発は脱炭素化を担えない、実は火力より発電コスト高、週刊東洋経済、2019.5.16」は参考になる。概要の続きを自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日本の電力はさまざまな課題があり、その問題意識を広く共有できていないという危機感を持っていた、と日本経済団体連合会は、エネルギー政策に関する提言を発表し、中西宏明会長〔日立製作所会長〉は会見でそう述べた。
2.提言では原子力発電所の再稼働や新増設、運転期間延長などを訴えている。提言からは東日本大震災以降、運転を停止した原発の再稼働が思うように進まないことへの産茉界のいら立ちがうかがえる。政府が咋年策定した新たなエネルギー基本計画では、2030年度に全電源に占める原子力の比率を20〜22%とする日標を継続し、「重要なべースロード(基幹)電源」との位置づけを据え置いた。
3.この原子力比率を達成するには30基程度の原発再稼働が必要にもかかわらず震災後の新規制基準の下で再稼働できたのは9基。足元の電源構成(発電電力量)では原子力比率は約3%にとどまる。目標達成はかなり厳しい。それでも政府が数字の見直しを行わなかったのは、発電コストは原発が最も安いという前提があるからである。
4.経産省は15年に総合資源工ネルギー調査会の発電コスト検証ワーキンググルーブで、発電方法別のコスト比較を行った。14年に発電所を建設し一定年数稼働させた後に廃炉した場合の総費用を、運転期問の総発電電力量で除している。この試算によれば、原子力の発電コストは1kWh当たり10・1円以上。一方、火力発.竃のコストは、石炭で12・3円、液化天然ガス(LNG}で13・7円になる。今回の基本計画で「主力.竃源化」が打ち出された再生可能エネルギーはどうか。風力〔陸上設置)は21・6円、太陽光〔メガソーラー)は24・2円に上る。この試算を根拠に、経産省は「原発は火力発電よりも安く、再エネとの比較では約半分のコストに収まる」と結論づけ、原発の経済性は高いとしている。
5.経産省のこの試算に対して、NPO法人原子力資料情報室の松久保肇事務局長は、「当時高騰していた資源価格で試算したため、LNGや石炭などの発電コストを過剰に見込んでいる。一方、原発のコストは賠償費用を過小にみている」と批判する。政府は16年末に福島第一原発事故の損害見積もりを総額21・5兆円へ大幅に引き上げているが、試算は14年時点のままで反映されていない。政府の計算式に基づき原子力資料情報室が17年時点の実際の資源価格で算定したところ、原発の単価が10・72円以上となるのに対し、LNG火力は9・17円と大幅に下回った。16年の資源価格では8・58円だ。試算は発電設備を新設した場合であるため、再稼働する原発について直接当てはまるものではないが、松久保事務局長は「少なくともコストの観点から、原子力をベースロード電源とすることは誤りだ」と話す。事故による損害額などがさらに膨らむと、原子力の発電コストはより高まる。
6.福島事故以来、原発の建設コストは、安全対策費などの増加によって、1基1兆円といわれるほど高騰している。そのため、政府が旗を振る英国やトルコへの原発輸出も採算が合わず頓挫した。原子力規制委員会は4月24日、原発への設置を義務づけたテロ対策施設について、完成期限の延期を認めず原発運転停止を求める方針を決めた。
7.再稼働している関西電力、四国電力、九州電力はいずれも期限に間に合わない見通しで、原発9基が順次停止を迫られる可能性がある。テロ対策施設の建設費は1基当たり数百億〜1000億円と見込まれ、完成を急げばさらに膨らむことになる。いずれにしても30年度20〜22%という原子力比率はさらに遠のいた。電力業界からは「原発の事業リスクを民間で負うのは、もはや難しい」といった声も漏れる。
8..世界に目を転じると、原子力の発電コストが最安でないことは、さらにはっきりする。再エネ、中でも風力(陸上設置)と太陽光が世界各地で拡大し、ここ数年で発電コストが劇的に低下している。米投資銀行のラザードが昨年11月に行った分析によれば、ここ数年の全世界の電源別発電コストは、陸上風力と太陽光を、原子力や.右炭火力が大きく上回っている。直近18年に至っては、陸上風力と太陽光に比べ石炭火力は2倍以上、原子力は3倍以上の高さになっている。
9.自然エネルギー財団の石田雅也マネージャーは「大半の国では、新設の原発はほかの発電方法よりコスト競争力で劣っている」と話す。強みとされた発電コストの面からみても、原発が脱炭素化の担い手となるのは難しい。


yuji5327 at 06:27 

2019年06月23日

日立製作所が、風力市場の自社生産から撤退したことは残念。日本の再エネの主力電源化には、洋上風力を含めた数字を示す必要がある。


「大塚隆史著:洋上風力で先行する台湾、日本に足りないものは何か、週刊東洋経済、2019.5.18」は参考になる。印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.洋上風力発電に用いられる風車は、ブレードやベアリングなど約2万点の部品で構成されており、高い品質と信頼性が求められる。そのため、現在の主力産業であるIT機器製造の次代を担うハイテク産業としての役割も期待されている。台風など特有の自然災害にも対応できる製品の生産ができれば、アジアへの輸出拠点に育つ可能性もある。大量導入に先立ち、風力発電機の樹脂メーカーである上緯(スワンコール)が設置した実証機は今日に至るまで大きなトラブルなく稼働している。
2.すべてが順調に進んでいるわけではない。蔡政権のエネルギー政策の柱となってきた脱原発政策が覆る可能性がある。昨年11月の住民投票では脱原発に反対する票が多数を占め、電気事業法の脱原発に関する条文が削除された。再エネ導入を進めることで与野党は一致しているものの、政策が不安定であることは否めない。高めに設定されたFIT価格への批判も根強い。台湾は世界的にも安価な電力料金を強みに産業振興を図ってきた。そのため、洋上風力の導入で「電力料金が大幅に上昇するような事態になれば、産業競争力が弱まる」と、財界からも懸念の声が上がる。
3.能源局の陳組長は「高いFIT価格の設定は、発電事業者に現地調達義務を課したことによるコスト増などを含めたものだ」と説明する。また、台湾中部から最大の電力消費地である台北までを結ぶ電力網の増強工事も、高いFIT価格を原資に賄われる。その工事費用は総額約2200億円に及ぶ。高い買い取り価格は初期のプロジェクトに対して設定されたもので、入札制度に移行したプロジェクトの料金水準は大幅に下がっている。当初1kWh当たり20・6円程度だったFITの買い取り価格は、入札制度の導入後は8・9円程度に安くなっている。しかし、現在のところ、財界を中心に批判が収まる気配はない。
4.18年後半には発電事業者の反発を招いた事件も起こった。FIT価格をめぐる攻防である。台湾政府は18年11月、売電契約を翌19年に締結する場合は、買い取り価格を18年と比べ約12%切リドげる方針を発表した。これに、デンマークの大手電力、アーステツドなどが強く反発した。
5.18年に売電契約を結ぶ予定だったが、台湾側の事務手続きが遅れたことで、19年の価格を適用せざるをえなくなったためである。一時はアーステッドが事業撤退もちらつかせる事態となった。事務手続きの遅れは、洋上風力プロジェクトを多く抱える台湾中部に位置する彰化県での政権交代をきっかけに生じた。18年11月の首長選挙で国政与党の民進党が敗北し、野党・国民党に首長の座が移るや、書類審査などが遅れ、アーステッドを含む発電事業者は必要な手続きを期限までに完了できなかった。ある在台関係者は、前任の首長への反発が影響したのではないか、と分析する。
6.その後、台湾政府が19年分の切り下げ幅を縮小したことで混乱は収束。アーステッドは4月末に最終投資決定に踏み切ったものの、政治リスクの一端を事業者に知らしめた。それでも台湾が洋上風力で先んじた存在になろうとしていることは確かである。後塵を拝した日本が何よりも学ぶべきは、政府による導入目標の明確化である。台湾では26年以降も年間1GW.のベースで洋上風力の導入を継続する方向性が示されている。洋上風力のビジネス実務に詳しいべーカー&マッケンジー法律事務所の江口直明弁護十は、「日本には洋上風力に関しての長期的な目標がない。これではメーカーが日本での設備投資に踏み切ることは難しい」と危惧している。
7.日立製作所が、風力市場の成長を前に、自社生産から撤退すると表明したことは技術立国を標榜する日本にとって、痛恨事である。昨年7月、日本ではエネルギー基本計画が閣議決定された。そこでうたわれた再エネの主力電源化を実現するには、洋上風力を含め、それにふさわしい数字を示す必要がある。


yuji5327 at 06:39 

2019年06月22日

台湾は2025年までに発電容量で5・5GWに上る洋上風力発電を導入し、それ以降も年間に1GWのベースで導入を進めていく計画である。日本の風力発電の設備容量目標の10GWと同規模になる。


「大塚隆史著:洋上風力で先行する台湾、日本に足りないものは何か、週刊東洋経済、2019.5.18」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.台湾は2025年までに発電容量で5・5GWに上る洋上風力発電を導入し、それ以降も年間に1GWのベースで導入を進めていく計画である。30年には、日本が定めたエネルギー基本計画における風力発電の設備容量目標(陸上風力と洋上風力の合計)の10GWと同規模になる。
2.人口が日本の2割に満たない台湾はなぜ、洋上風力でこのような野心的な目標を掲げているのか。その理由を探るべく、現地を取材した。4月中旬、本誌記者が訪れた台中港(台中市}の発電機組み立てエリアでは、数台のショベルカーが整地作業を進めていた。風力発電プロジェクトの拠点港に位置づけられた台中港ではまだ基礎工事が始まった段階で更地が目立つが、その土地は数年後には、東アジア有数の洋上風力発電の産業拠点になる。
3.すでに風車のブレードメーカーの天力が工場建設を始めており、洋上風力の安全訓練施設も建設される予定である。台中港が面している台湾海峡には水深50m下の浅い海が広がり、風速も8m/sと、洋上風力発電にとって恵まれた環境がそろっている。
4.これまで原干力と石炭火力発電に頼ってきた台湾のエネルギー政策を大きく転換させたのが、16年に政権交代を果たした蔡英文政権だ。発足後問もなく、25午までにすべての原子力発電所を廃止するとともに、発電電力量に占める再生可能エネルギーの比率を20%以上に引き上げる方針を決めた。
5.背景には11年に発生した東京電力・福島第一原発事故の影響や石炭火力発電による大気汚染、世界で進む脱炭素への対応の必要性があった。台湾は国連に加盟しておらず、パリ協定(温暖化対策の国際的枠組み}の締約国ではないが、脱炭素化に前向きにならざるをえない事情がある。
6.台湾の半導体大手TSMCは米アップルから再エネ電力を導人するよう要請を受けている。自社製品の製造を外部委託しているアップルにとって、製品に組み込まれる部品の最大の供給拠点である台湾で再エネ導入が進むことは望ましい。エネルギー政策を所管する政府能源局の陳崇憲組長も、「豊冨な再エネを備えることが、台湾企業の競争力強化にも資する」と強調する。
7.洋上風力は投資規模が極めて大きい。25年までの導人目標である5・5GW.を実現するための投資規模は、最大9625億台湾ドル〔約3・4兆円)を見込む。出力10MW.級の大型風車〔直径約190m)に換算して550本分が海上に立ち並ぶ計算である。
8.台湾の野心的な目標は、洋上風力で先行する欧州の発電機メーカーや発電会社のみならず、日本企業も引き寄せている。三井物産や双日といった大手商社や、JERA(東電と中部電の合弁会社など日本の発電事業会社も参画する。共通する意図は台湾でノウハゥを蓄積し、日本を含めたアジア各国で洋上風力事業を拡大することである。三井物産は世界で保有する発電容量10・4GWのうち、再エネ電力の割合を30年までに現在の15%から30%へ引き上げる計画である。洋上風力は産業の裾野が広く、部晶や資材調達などで、商社ならではの強みを生かしやすい。
9.外国企業が台湾に続々と進出した理由は、第1は台湾政府の日標数値が明確だったこと、.第2に政府による実証事業が進められており、事業者のやるべきことが明確になっていたことがある。そして台湾政府は、洋上風力を促進するため、固定価格買い取り制度(FIT)に基.つく洋上風力の電力買い取り価格を高めに設定した。ノウハウが豊富な海外企業を呼び込み、台湾に関連産業の集積を促すのが狙いである。台湾政府は高いFIT価格と抱き合わせの形で、洋上風力関連設備の現地調達義務も導入した。海外メーカーが、拡大する台湾市場に入り込むには現地生産を進めるほかない。
10.スペインの風力発電機大手シーメンスガメサ・リニューアブル・エナジーは、台湾企業から風力発電向けの鉄塔や樹脂の供給を受けることを決めた。ライバルのMHIヴェスタス〔三菱重工業とデンマークのヴェスタスの合弁会社)も地元企業と覚書を交わすなど現地調達に対応する方針である。経済団体である中華民国工商協進会は、洋上風力の導入拡大をきっかけに、欧州メーカーと台湾企業との合弁会社設立や台湾への技術移転が進むと期待している。




yuji5327 at 06:41 

2019年06月21日

高レベル放射性廃棄物の最終処分地どころか、中間貯蔵施設の候補地すら見つからない。核燃料サイクルが無理なのはわかっている。


「風間直樹著:安全性も必要性も乏しい破綻状態の核燃料サイクル、週刊東洋経済、2019.5.18」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.「お願いした確認事項に対する追加説明は、求めたものと違っている。再度説明をお願いしたい」。と原子力規制委員会の核燃料施設の審査を担当する田中委員はH本原燃の説明内容への不満とし、審査を継続することを告げた。国策として進められる原子力発電の核燃料サイクル政策。中核となる日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ヶ所村〕の安全審査の先行きに不透明感が増している。
2.再処理工場は、原発で発生した使用済み核燃料を解体し化学処理することで、核物質であるウランとプルトニウムを取り出す施設である。両者を混ぜてウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料に加工し、原発で利用する仕組みを核燃料サイクルという。
3.ウラン資源の有効活用につながるとして、六ヶ所再処理工場は1993年に建設が始まっていたが、相次ぐ施工不良の発覚、技術的なトラブル、福島原発事故後に強化された新規制基準への対応などで、20回以上も竣工時期を延期している。運営する日本原燃は現在、再処理工場は2021年度上期の竣工、同じ敷地に建設中のMOX燃料工場は22年度上期の竣工を目指している。ただし両工場の竣工は規制委の審査に合格することが条件である。再処理工場の審査は申請から5年以上が過ぎ、今年3月末には審査書案が了承され、合格が内定するとみられていたが、その草案が公開されると、委員から多くの論点で追加説明を求める指摘があり、審査会合が再開されることになった。
4.原子力規制庁幹部も、今までの説明を繰り返すようでは、もっと時間がかかる、と話している。委員からは航空機落下の影響や活断層評価など、広範な論点が提起されている。
再処理工場など核燃料サイクルの施設には、安全性に関わるこれらの論点について、規制委以外の専門家からも懸念の声が上がる。4月9日、航空自衛隊「沢基地の最新鋭ステルス機F35Aが青森県沖に墜落した。再処理工場の南約10キ。瞬地点には三沢基地の訓練区域があり、自衛隊機、米軍機が訓練を行っている。日本はF35Aを次期の主力戦闘機としている。日本原燃はこうした航空機落ドについて、総重量20tの戦闘機が150m/sの速度で再処理工場に衝突しても、建屋.の損壊は免れると主張するが、それ以上の重量や速度での影響は評価されてない。
5.東芝で原子炉格納容器の設計グループ長を務めた後藤政志氏のは、150m/sの衝突速度でも総重量が30tに至れば全体が破壊される危険性があるという。墜落したF35Aの最大離陸重.量は30t強である。「六ヶ所村の核燃料サイクル施設は、活断層の上に建てられているようなもの」と話すのは、東洋大学の渡辺満久教授〔変動地形学)である。施設の一部にかつて十和田カルデラからの火砕流が到達したことも確認されている。
6.仮にこうした安全性の論点をクリアし、審査に合格したとしても、そのための補強工事を実際に行う必要がある。再処理工場は06年に使用済み核燃料を用いてプルトニウムを抽出するアクティブ試験に着手しており、内部はすでに広い範囲が放射性物質で汚染され、人間は立ち入れない。補強工事の難しさは通常の原発の比ではない、と市民団体代表浅石紘爾弁護士は話している。
7.安全性へのさまざまな懸念に加え、核燃料サイクルの必要性についても、建設開始当初とは状況が大きく異なっている。当初の構想では、発電しながら消費した以上の燃料を生み出す高速増殖炉が本命視されており、ウラン資源の飛躍的な利用効率向上につながると語られてきた。しかし国は16年末に高速増殖原型炉もんじゅの廃炉を決定。MOX燃科で発電するプルサーマル炉の原発も、稼働は現在4基で、ウラン燃料よりはるかに高コストで経済的合理性はない。
8.日本はすでに国内外に47tのブルトニウムを保有している。日本は日米原子力協定により例外的に再処理を認められた非核保有国だが、プルトニウムは核兵器の材料にもなり、余剰については海外から厳しい視線が注がれている。
9.原子力委員会は従来の方針を転換し、保有量が現在の水準を超えることがないように再処理認可を行うと決定した。つまり現在のようなプルトニウムの余剰が続く限り、事実上再処理.工場は動かせないことになる。
10.安全性への懸念に加え、時代の変化で必要性も失われた核燃料サイクルだが、政府や原子力事業者はその旗を降ろしていない。むしろ施設が集中する青森県内の自治体への関与を、より深めている。3月末、東通村が東北電力からの4億円に続き、東京電力ホールディングスから2億円の寄付を受けることが明らかになった。また、むつ市は市内に立地する使用済み核燃料中間貯蔵施設に関連し、国から10億円の新交付金を受けることになった。両市村は原子力施設の稼働による固定資産税収入などを見込んで事業を進めてきたが、福島事故以米、再稼働や工事再開のメドが立っていない。
11.原子力施設の立地するむつ市、大間町、六ヶ所村、東通村の4市町村長は2月、世耕弘成経済産業相と面会し財政支援描置を要望。前述の計16億円の寄付・新交付金につながった。原発や核燃料サイクル施設の立地に伴う電源三法交付金や核燃料物質等取扱税(核燃料税)、そして固定資産税や寄付金。こうした「核燃マネー」は、財政基盤が弱い自治体にとって、もはや欠かせない。青森県内への電源三法交付金は、開始から総額で3300億円を超える。その典型が核燃料サイクル施設の集中する六ヶ所村である。村内にある文化交流プラザ「スワニー」の大ホールで開催されるコンサートには著名なアーティストが招かれ、併設する村民図書館には約5・5万冊の蔵書がある。同施設の総事業費33億円のほとんどは電源三法交付金で賄われた。
12.人口約1万人の同村への交付金総額は600億円に上る。六ヶ所村は国策に翻弄され続けてきたと、村内で長らく反核燃活動を続ける種市信雄氏(84)は言う。大規模な工業地帯開発計画が頓挫して村が荒廃した80年代前半に、突如浮上したのが核燃料サイクル計画だった。村を二分する対立がしばらく続いたが、89年の村長選挙で開発「凍結」を掲げて当選した村長が就任後に推進へ転じたのを機に、反対派は激減した。「今では周囲でも8割ぐらいは身内に日本原燃の仕事の関係者がいる。村内で核燃料サイクル反対を公言できるのは数人しかいない」と種市氏は言う。
13.日本原燃は社員の約6割を青森県内出身者が占める。昨年の村長選でも、核燃料サイクルの推進を唱える現職が約95%の得票率で反対派候補を圧倒した。県内の他立地自治体も事情は同じで、経産相と面会した4市町村長の要望書には「核燃料サイクルの推進」と明記されていた。下北半島に深く浸透した核燃マネーは今、県都の青森市へ向かう。
14.日本原燃は核燃料サイクルのPRを行う情報センターを青森市内に移転開設した。移転先は東奥日報新町ビルである。県紙・東奥日報を発行する東奥日報社が、創刊130周年事業として建設した5階建てのビルには、情報センターが2階の一角を占めるほか、5階、4階には日本原燃とその関連会社が入る。青森市内には17年に中部電力、18年には東電、関西電力が相次いで事務処理などのサポート拠点を設立。地元出身者の採用など雇用への貢献をアビールしている。さらに東電は、19年度上期中に青森事業本部を設置し核燃料サイクル事業を最大限支援するとしている。
15.核燃料サイクルの見通しが立たない中でも、国や事業者が地元貢献をアピールする背景には、「使用済み核燃料の行き場さえ確保できれば、当面はそれでいいという本音がある」と元青森市長の鹿内博氏はみる。原発の再稼働が進む電力会社では、使用済み核燃料の保管場所の確保が懸案となっている。六ヶ所再処理工場の使用済み燃料貯蔵プールはすでに満杯である。
16.電気事業連合会によれば、3月末時点で各原発の使用済み燃料貯蔵量も管理容量の7割を超える。保管場所の確保は原発稼働の必須条件である。中でも再稼働で先行する関電は原発によっては管理容量の8割に至っている。立地する福井県には県外で中間貯蔵地を選定すると約束しているが、昨年末の期限を越えても見つからない。東電などが手がけるむつ市の中間貯蔵施設の共同利用の検討も報じられた。
17.高レベル放射性廃棄物の最終処分地どころか、青森県外では中間貯蔵施設の候補地すら見つからないのが現状である。核燃料サイクルが無理なのはわかっている。だから六ヶ所はずっと"試運転〃をしていればいい。動くと言い続けないと、原子力の神話が崩れてしまう、と自民党の大物幹部(故人)がかつて語っていたとおりのシナリオで進みつつある。
18.六ヶ所村の核燃料サイクル施設を中心に、青森県に核のゴミをすべて押し付ける。最終処分とは決して言わないが、事実上の「永久の中間貯蔵」として。原発がこうした壮大な国家的フィクションの上に乗っている限り、脱炭素化のための中核電源と位置づけられることはない。


yuji5327 at 06:36 

2019年04月22日

電力会社に余剰電力を買い取ってもらっていた世帯が、19年11月より10年間の買い取り期間の満了を迎える。


「廣町公則(エネルギージャーナリスト)著:「卒FIT」で商機53万件、住宅・電機・自動軍など名乗り、エコノミスト、2019.4.2」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.住宅用太陽光発電を取り巻く環境が大きく変わろうとしている。2009年に始まった「余剰電力買い取り制度」によって、電力会社に余剰電力(太陽光で発電した電力のうち家庭で使いきれずに余った電力)を買い取ってもらっていた世帯が、19年11月より順次、10年間の買い取り期間の満了を迎える。
2.同制度は12年に開始された「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)」に引き継がれ、その後も太陽光発電の普及拡大を支えている。買い取り期間満了案件は、19年だけでも約53万件。20年以降も確実に増え続け、23年までには約165万件が満了となる見通しである。買い取り期間満了案件は、総称して「卒FIT」案件と呼ばれ、近年、多方面から関心を寄せられてきた。今年に入り、いよいよ卒FITの到来が目前に迫り、新たなビジネスチャンスを求める機運が高まっている。
3.太陽光パネルは、国の買い取り保証期間である10年を過ぎても、さらに10年、20年と発電し続ける。上述の165万件は、発電設備容量でみると合計約670万kWで、原発7基分にも相当する。その量は、以降もどんどん伸び続ける。しかも、卒FIT発電設備は文字どおりFITから卒業しているので、国民が電力料金の一部として負担している再エネルギー賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金.、FITの原資)を要しない。
4、住宅用太陽光発電が、最安値の再生可能エネルギーに生まれ変わる。この電源を巡る各社のアブローチには、これまでの電力・太陽光関連ビジネスを超えた動きをみることができる。卒FIT世帯の選択肢を整理すると、買い取り期間が終了した電源については、法律に基づく電力会社の買い取り義務はなくなるが、 崛蠡弌自由契約によって余剰電力を売電する」ことができる。この場合、これまでと同じ電力会社に売電してもよいし、新電力(旧来の大手電力会社以外の小売り電気事業者)を含むさまざまな選択肢の中から売電先を選ぶこともできる。あるいは、◆峅板輙冀濺澱咾覆匹鯑蛙佑靴董太陽光で発電した電力を可能なかぎり自宅で使う(自家消費)」という選択肢もある。もっとも、家庭用蓄電池があっても充電しきれない余剰電力は生じるので、,鉢△料箸濆腓錣察△發靴は当面 崘篥邸廚里澆箸いΕ院璽垢多い。
5.各社の取り組みも、卒FIT世帯の選択肢に対応する。まず、余剰電力の買い取りに関しては、新電力に加えて、太陽光バネルメーカー、住宅メーカー、商社、流通など、幅広い業種の企業が参入を表明している。顧客を奪われる形となる大手電力も、他社との協業を含め対抗策を強化する。
6.自家消費に関しては、総合家電メーカーによる蓄電池とエネルギーマネジメントを組み合わせる提案や、電気自動車を住宅用の蓄電池として活用する提案などが注目される。ブロックチェーン技術を活用した卒FIT電力のP2P(Peer to Peer)取引など、まったく新しい取り組みも進められている。卒FIT電力を、どの会社がいくらで買い取ってくれるのか卒FIT世帯が最初に頭を悩ます問題である。
7.太陽光で発電した電力を1kWh当たり48円で買い取ってもらっていた。今後は、買い取り制度による補助がなくなるので、大幅に減額されることは間違いない。しかし10年を経て、既に投資回収が終わっている発電設備なので、これからの売電収入はそのまま家計のプラスになる。買取り事業者としては、そのメリットをアピールしたい。現時点では、ベンチマークとなる大手電力の買い取り価格が公表されておらず、新電力も大半が価格の発表を見合わせている。経済蘂省は大手電力に対し、6月末までに買い取り価格を示すよう求めており、その発表を待って新電力各杜の価格も出そろう。
8.19年2月28]、昭和シェル石油(4月1日より出光興範)と太陽光バネルのソーラーフロンティアは、大手電力に先立って買い取り価格を発表し、余剰電力買い取リサービスの事前登録受け付けを開始した。その価格は、九州エリアで1kWh当たり7・5円、その他のエリア(沖縄を除く)で同8・5円である。これは卸電力市場の取引価格と照らしても、合理的な金額といえる。昭和シェル石油としては、電力供給サービスとセットでの契約を促すことで、卒FIT世帯の取り込みを図っていきたい。同社では、卒FIT太陽光から調達した電力を活用する「CO2低排出電カプラン」を新たに提供する考えも示している。なお、初年度の買い取り価格は19年11月から20年12月のものであり、翌年以降は1年ごとに見直しが図られる。
9.新電力と太陽光関連事業者とのバートナーシップでは、エネットとNTTスマイルエナジーの取り組みも興味深い。太陽光発電の遠隔監硯サービスを展開するNTTスマイルエナジーが、同社の監視システムを設置している顧客から卒FIT電力を調達し、新電力のエネットにまとめて供給する。エネットが、その電力を環境負荷の低いグリーンメニユーとして、RE100〔事業運営を100%再エネで行うことを目指す企業の国際イニシアチブ)加盟企業などに販売するというスキームである。
10.住宅メーカーからは、積水ハウスが卒FIT電力の買い取りを表明した。同社も既に買い取り価格を発表し、19年3月1日より事前受け付けを行っている。買い取った卒FIT電力は、外部に販売するのではなく、再エネ導入目標の実現に向けた自社事業用電力として使用する。買い取り価格は.現時点では最も高い1kWh当たり11円である。買い取り対象を積水ハウスオーナーの太陽光発電に限定することで、この価格を実現した。
11.こうした多様な動きに抗し、大手電力も新たなパートナー企業を見つけ、これまでにないサービスを打ち出している。例えば、中部電力はイオンと提携し、卒FIT電力をイオンの「WAONポイント」と交換できるサービスを提供する。イオンは中部電力から卒FIT電力の提供を受け、店舗運営のCO2排出削減・再エネ導入目標実現に生かしていく。
12.余剰電力を買い取る電力会社をターゲットにしたビジネスも芽吹き始めている。日本気象協会は18年12月、卒FIT電刀買い取りに関するコンサルティングサービスを開始した。卒FIT世帯の余剰電力は、太陽光発電量から自家消費量を差し引くことで算出され、気温や日射量などの気象要素の影響を受けて大きく変動する。そこで同協会では、従来からサービス提供している「日射量・太陽光発電出力予測」と「電力需要予測」の技術を組み合わせ、余剰電力の審給管理最適化を支援していくという。
13.卒FIT電力の買い取り価格(ユーザーからみれば売電価格)が1kWh当たり7〜11円程度だとすると、ユーザーにとっては、売電よりも自家消費の方が得になる。電力会社から供給される電力量料金(同20〜30円程度)の方が明らかに高いので、売電収入よ暑電気代削減額の方が大きくなるからである。しかし、太陽光発電設備のみでは、日中だけしか自家消費できない。ここで求められるのが、家庭用蓄電池などの蓄電システムである。いままでは導人コストがネックとなり普及が進まなかったが、電気代削減メリットが大きければ、ある程度の投資をしても回収のめどは立つ。卒FITは、蓄電池市場の活況につながるものと期待されている。19年度には、家庭用蓄電池に対する国の補助金も新設され、これを後押しする。
14.こうした状況にあって、シャープは卒FITユーザーに向けて「クラウド蓄電池システム」を提案する。太陽光発電設備と蓄電池を一体的にコントロールでき、クラウドで気象情報とも連携。気象警報が発令されると、蓄電池を満充電し、電動窓シャッターの開閉など住宅設備家電も制御する。同様のソリューションは、パナソニックの「創蓄連携システム」などにもみられる。太陽光発電事業を手掛ける総合家電メーカーが、しのぎを削る領域だである。東京電力ホールディングス傘下のTRENDEは、伊藤忠商事をパートナーに、蓄電池と電力供給のセットブランを発表した。AIを駆便した総合サービスで家電各社の攻勢に対抗する。15、蓄電システムとしては、電気自動車(EV)の存在も忘れてはならない。EVに搭載された大容量バッテリーは蓄電池そのものであり、V2H(Vehicle to Home)機器を導入すれば、住宅用としても活用することができる。日産自動車では、卒FITユーザー向けにEV「リーフ」の蓄電池利用を提唱。18年11月には、リーフと連携するモデルハウスを公開した。同車のバッテリー容量は40〜62kWhであり、一般的な家庭用蓄電池の容量(4〜12kWh程度)を凌駕する。
16.太陽光で発電・蓄電する時間帯はクルマに乗らないなど、ライフスタイルが合う家庭には有効な選択肢である。三菱自動車と三菱電機も、この市場の開拓に意欲的である。蓄電池大手のニチコンは、家庭用蓄電池とEVを併用する「トライブリッド蓄電システム」で、フレキシブルな自家消費をアピールする。
17.蓄電システムの導入による自家消費の提案は、目の前の卒FITユーザーにアプローチするためだけのものではない。ポストFITビジネスの創出に向けた試金石となる。一方で、卒FIT電刀は、自由に取引できる環境価値のある再エネとして、新たなビジネスを生もうとしている。そこには、FITという導入促進策に依存することなく、太陽光発電事業を自立的に発展させていくためのヒントがある。卒FIT元年・再生可能エネルギーを巡るビジネスは、着実に次のフェーズに移っていく。



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池上技術士事務所の紹介
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池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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