エネルギー問題

2018年05月26日

世界的に風力発電と太陽光発電の過剰の発電エネルギーを電池に蓄える方法など模索されているが、可能性が高いのは、水素に変換する方法で、ドイツで実験が進んでいる。

「2018/5/25付けの 大前研一氏の ニュースの視点(発行部数 167,783部)は「太陽光発電/温暖化対策/海運排ガス規制/富山空港/国内タクシー業界」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日経新聞は6日、『家庭の太陽光に「19年問題」』と題する記事を掲載した。固定価格による買取制度の期限が2019年から切れ始め、23年までに160万世帯が発電する大量の電力が買い手を失う恐れがある。一方、先行するドイツをモデルケースとして一般家庭が近所で電力を融通し合う仕組みや、電力を蓄電池に貯め夜間に使用する変換システムを開発する企業も出始めている。
2.東日本大震災の後、当時の民主党政権下で経済産業省が再生可能エネルギーを重視する政策の一環として、高い固定価格での電力会社の買い取りの義務化を決定した。固定価格の買取制度の期限が切れてしまうと、現時点において太陽光発電はその他のエネルギーとまともに競争できるレベルではない。
3.世界的に見ても風力発電と太陽光発電によって過剰に発電されたエネルギーを、どのように処理するかが大きな課題になっている。電池に蓄える方法など様々な方法が模索されているが、今のところ、決定打ともいえる方法は見つかっていない。最も可能性が高いと思われるのは、水素エネルギーに変換するという方法で、ドイツでは一部実験が進んでいる。
4.日本の場合には、その場しのぎで制定した制度のために、ここに来て突如として問題を突きつけられる羽目に陥っている。
5.米カリフォルニア州は9日、2020年1月から州内の新築一戸建て住宅に太陽光パネル設置を義務付ける方針を決定した。カリフォルニア州は温室効果ガスの排出量を2030年までに1990年に比べて40%削減する目標を掲げており、今回の取り組みもその一環である。ブラウン知事の最後の置土産である。太陽光システムを開発している企業や太陽光パネルを作っている企業など、大いに追い風になる。
6.日経新聞は11日、『海運悩ます「2020年問題」』と題する記事を掲載した。国際海事機関(IMO)は2020年1月から、船の排ガス規制を大幅に強化する見通しである。海運業者は従来の安価な「C重油」を使いながら排ガスを浄化する戦略を描く一方、石油元売り側はC重油の生産を抑えたい考えで、規制発効まで2年を切るなか、日本の貿易を支える海運の主燃料が不足する事態が現実味を帯びている。
7.この問題は非常に難しい問題で、直間に合わない。日本では帆船のようなものを利用しつつ、全体のエネルギー量を減らす方法などを試しているが、決定的な打開策は見つかっていない。
8.高価な油を買えば問題は解決するが、大型船は「大きなディーゼルエンジン+C重油」に依存してきたために、簡単に切り替えるわけにはいかない。ペナルティーを支払うしか道は残されていない。
9.富山県や全日本空輸、富山県内の商工会議所などで作る「富山空港を発展させる会」は2日から、富山空港発着の羽田便の利用促進キャンペーンを開始した。富山空港内に置かれた応募ボックスに氏名などを記入した応募用紙を投函した利用者に、抽選で1万円相当の富山の産品を選べるギフトカード、スズ製ぐい飲みや地酒などの名産品、空港内テナントの利用券をプレゼントする。これは無駄な抵抗である。
10.東京駅から富山駅へのアクセス状況は、上越新幹線+特急はくたかで3時間27分、富山空港を使うと飛行機+バスで2時間38分だった。北陸新幹線が登場し、2時間7分で到着する状況になっている。
11.信越新幹線によって新潟の羽田便がなくなったように、新幹線が2時間半を切ってくると飛行機は非常に厳しい状況になる。同じ北陸でも金沢の場合には、北陸新幹線で東京から2時間28分で到着することになるが、小松空港が市内から離れたところにあるため、一定の需要が残る可能性がある。残念ながら富山空港の場合には、結論は出ている。10万円を支払うキャンペーンなどをやったところで、焼け石に水である。
12.日経新聞は7日、『配車レース、首都決戦』と題する記事を掲載した。スマホアプリを利用したタクシー配車事業で日本勢と海外勢の競争が過熱してきた。第一交通がウーバー、滴滴出行との連携に前向きな一方、日本交通は国産アプリにこだわり、トヨタ自動車やKDDIなどとの協力に活路を見出す取り組みを進めている。残りのタクシー会社がどの陣営に加わるか、水面下で交渉が繰り広げられそうである。
13.滴滴出行と提携に前向きとされる第一交通は北九州にある会社で、なかなか面白い会社である。東京で作ったSuicaでも、福岡の交通系サービスとして第一交通だけは決済手段として利用することができる。日本交通は、国内の2.4万台のタクシーと共同して「全国タクシー」アプリを展開している。その他、国際自動車などはソニーと連携しサービスを展開することを発表している。
14.将来的には、2つのグループで競争する形式が望ましい。1つは、滴滴出行などインバウンドの中国系サービスを利用していくもの。もう一つは、全国タクシーである。個人的には日本交通のみのサービスだった頃のほうが、特に東京在住の人間にとっては、予約方法など使いやすかった。
15.広告費でタクシー運賃をまかなうという。サービスを展開する面白い企業が福岡にある。このビジネスモデルのオリジナルは、LCCのライアンエアーである。2時間以上のフライトならギャンブルに参加することを条件に、飛行機の運賃を無料にするサービスなどを展開していたが、下火になってしまった。
16.コンセプトが広告モデルだから、タクシーの場合も現実的にギャップがある。コンセプトは非常に面白いが、タクシーに乗車している間、ずっと広告を見続けるというのは現実味がない。現時点では、やはり現状の配車サービスの延長上で考えざるを得ない。
17.自動車業界の一部でいまだに「買いたくなる車を作る」「FUN TO DRIVE」などと言われることがあるが、自動車業界の問題を理解していない。時代の流れを考えれば、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)が主流であり、この流れに逆らうことは無理である。この点から配車サービスの今後の展開に注目したい。



yuji5327 at 06:42 

2018年04月18日

再エネの発電比率目標をドイツが30年に50%以上、フランスは30年に40%、英国は20年に31%としているが、日本は30年に22〜24%と低い。

「横山渉(ジャーナリスト)著:再生エネルギーで出遅れる日本、原子力へのこだわりが障害に、エコノミスト、
2018.3.20」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.世界各国が、2015年の「パリ協定」合意を受け、太陽光.や風力など再生可能エネルギー(再エネ)の開発に力を入れている。再エネのコストが大幅に下がり、経済的にも導人するメリットが高まっている。「原子カ」にこだわる日本は、世界の潮流から取り残されてきた。
2.2040年には総発電量に占める再エネの割合は40%に達すると、国際エネルギー機関〔IEA〕は昨年11月に公表した。さまざまなシナリオに基づき40年までの世界のエネルギー需要・供給を予測したもので、発電の主役は石炭から再エネに一変する。
3.太陽光発電は中国とインドが導人することで、再エネの中で最大の資源になる。欧州では30年代初頭に風力が最大のエネルギー源になる。その理由は「パリ協定」だけではなく、技術革新によるコストの低下である。
4.独フラウンホーファー研究機構によると、太陽光の1kWh当たりの発電コストは15年に9セント、新型の石炭火力は5〜10セント、原子力は11セントである。再工ネの採用は、地球環境の問題ではなく、経済合理性の問題となった。
5.IEAも、太陽光.が40年までに多くの国や地域で最も低コストのエネルギー源になるとしている。エネルギーの将来像を調査・研究しているシンクタンク、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの黒崎美穂氏は、中国とインドも現在は.石炭が一番安いが、20年には太陽光と風力の方が安くなる。日本では25年ごろ、石炭より安くなる、と話した。
6.これは新規で建設した場合のコスト比較だが、既存の発電設備をやめて再生可能エネルギーに概き換えた場合の経済性は、中国では30年くらいに帳換点が訪れる。稼働中の石炭火力をやめて再エネにリプレースしても採算が取れる。アメリカでもそうなる、と強調している。
7.日本では、再エネへの転換は遅々として進まない。それは、日本政府と大手電力会社の、原子力へのこだわり、があるからである。パリ協定の合意を受け、世界各国は脱炭素を再エネ導入で実現しようとしたのに対し、日本政府と電力会社は脱炭素を原発再稼働で推進しようとしたが、世論の反対で原発再稼働の見通しがつかないために、.石炭火力発電の新増設を打ち出した。
8.政府や電力会社は、日本の石炭火力発電は高効率で「従来型よリベター」と説明するが、どんなに効率化してもLNG発電などのCO2排出量には遠く及ばない。独ボンで開かれたCOP23では、日本の石炭火力拡大が参加国から大きな非難を浴びた。日本のこうした姿勢は、再エネの普及率に如実に表れている。資源エネルギー庁によれば、日本での発電電力量に占める再エネ比率は15.3%〔16年)、で水力を除くとわずか7.8%にすぎない。ドイツは30.7%、イギリスは25.9%、スペインの35.3%に対して大きく遅れている。
9.政府や電力会社は、再エネの欠点として“電コストが高い、⊇侘呂不安定、A電網への負荷が大きい、を挙げるが、,蓮∈謄┘佑慮把蟆然頁磴ぜ茲蠕度〔FIT〕により市場原理が働かないためで、FITをやめ競争を促せば、技術革新と経営の効率化で簡単に克服が可能である。
10.◆↓について、再エネの発電比率は30%でも問題ないことが世界的に実証されつつある。2割、3割はあたりまえで、今後、4〜5割にするのがテーマになっている。
11.日本の総発電量は、スペイン、ポルトガル、フランス、イタリアの4力国を合わせたものと同じであるが、電力エリアが10個に分断されて相互に融通しづらいのが欠点で、その仕組みを変えれば対応可能である。
12.不安定な太陽光や風力の欠点を補うのがスマートグリッドやIOE〔エネルギーのインターネット)などの新技術である。AIで大量の気象予測と電力需給データを集め、各月・各地ごとの電力需.要も予測でき、大きなインフラ整備にもつながり、新しいビジネスを生む。世界のスマートグリッド関連市場は20年には7兆9200億円(矢野経済研究所)。
13.電力会杜の動きは鈍く、大手電力10社の今年1月基幹送電線利用率が平均で19.4%にとどまる。大手電力はこれまで、空き容量ゼロを口実に自社の送竃網への再エネ接続を拒否してきたことで、ウソが明るみに出た。
14.ある電力会社は、送電線の空き容量は、火力や原子力など将来の需要を考慮して計算している、と回答しているが、これは、言い換えれば、原発再稼働のために送竃網を空けてある、ということである。
15.資源エネルギー庁発表資料によれば、再エネの発電比率目標をドイツが30年に50%以上、フランスは30年に40%、英国は20年に31%としているのに対し、日本は30年に22〜24%と低い。電気自動車などを含めたライフスタイルを変える社会インフラという大きな視点で見ないと、エネルギー転換の動きは読めない。もし、再エネ導入と技術開発を進めなければ、日本は完全に乗り遅れる。
16.独ボンのCOP23ではパリ協定脱退を表明している米国から、カリフォルニア州のブラウン知事やコカコーラ、マイクロソフト、アップル、DHLなど2500を超える企業や自治体が参加した。COP23には政府関係著以外に、各国の投資家たちも大勢集まり、新しい投資先を探していた。世界中の巨大マネーが「脱炭素化」へかじを切るなか、経済合理性や金融市場の動向に背を向け、原子力にこだわる日本のエネルギー政策の未来は暗い。



yuji5327 at 06:51 

2018年01月31日

将来のエネルギーシステムとして可能性があるのは、水と太陽光から水素を作るシステムと、藻類バイオマスエネルギーである。

「深井有著:
地球はもう温暖化していない、科学と政治の大転換へ、平凡社、2015年」は参考になる。CO22削減の国家プロジェクトに参画した自分にとって共感できる記述も多い。「第4章:今後とるべき政策を考える」の「3.物理学者の見る地球温暖化問題」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.地球環境とエネルギー問題の、現状認識は以下の通りである。
|狼紊諒振儺げ垢歪拘にわたって変動を繰り返してきた。中世温暖期(〜10世紀)から小氷河期(16〜18世紀)を経て、現在は再び中世温暖期とほぼ同じ気温に戻った。300年前から上昇してきた気温は18年前から頭打ちになっている。
気候変動と太陽活動との間に強い相関があることは古くから知られていたが、これは太陽磁場が地表に到達する宇宙線量を左右しているためである。太陽磁場が弱くなると宇宙線量が増え、これが低層雲を作ることで気温を下げることになる。現在、太陽は長期にわたる活動期を終了したので、今後は活動が弱まるにつれて気温の低下をもたらす。
今後の数十年間は、太陽活動の低下による寒冷化の一部は二酸化炭素の増加による温暖化によって打ち消されるが、全体として気温は頭打ちから低下に向かい、大きな寒冷期が頻発する。
ぢ腟っ罎瞭鷸晴獣坐任録∧の成育を促すプラスの効果はあっても、人間の環境にとって如何なる意味でもマイナス要因にはならない。存在する二酸化炭素を減らすこと自体に意味はなく、二酸化炭素排出削減は炭素資源を子孫に残すためにこそ意味がある。
ッ坐濃餮擦紡悗錣襯┘優襯ー源の開発は緊急の問題である。将来のエネルギーシステムとして可能性があるのは、水と太陽光から水素を作って水素を2次エネルギー媒体として使う水素エネルギーシステムと、藻類バイオマスエネルギーである。とくに藻類エネルギー開発には国家プロジェクトとしてただちに取り組むべぎである。
2.ホモ・サピエンスがアフリカから出て全地球に広がったのが約12万年前だが、それ以来、人類は長い氷河期を生き抜いてきた。その聞の平均気温の変動は10℃を超えていた。しかし現在の間氷期に入ると、それまでに例のない安定した温暖な気候に恵まれて、農耕を始め、文明を築き、技術を進歩させて、急激に増殖した。
3.1650年に約5億であった世界の人口は1900年に約9億、1970年にば36億、現在2014年には72億である。この間氷期は1万年以上も続いていて、われわれは温暖な気候に慣れたが、氷河期への転換はいつ起こっても驚かない。それは厳しいものだが、変動が自然要因によるものだから、何とか順応していく他はない。
7.気候は地域によって異なるものだから、その変動についても地域的要素に目が向きがちだが、それを積み重ねても全体像ぱ掴めない。地球のことは地球だけを見ていたのでは分からない。最近の観測技術に裏打ちされた天文学・地球惑星科学の進歩によって、古くからの気候は地球を銀河系・太陽系の中に置かれた存在として捉えることで初めて理解される。地球に到達する銀河宇宙線が太陽活動によって変化することが重要である。
8.近年の人為的要因による温暖化が決して無視できない大きさである。気候変動の自然要因と人為的要因をともに考慮した解析による今後100年間の気温予測が得られた。これから人類は未曾有の困難に直面している。人口の急激な増加に食料生産が追いつかなくなるためである。有限の地球が養うことのできる人口は50億程度で、現在すでに世界人口70億のうち20億は飢えに苦しむ。
9.食料の大増産が望めない以上、人口が100億になったときにはその半数が飢る。これは30〜50年後のことである。気候が寒冷化に向かえば食料の減産が強く懸念される。今後50〜100年の間、気温は頭打ちから寒冷化に向かい、変動が激しくなって、大きな寒冷期が頻発する。そのときは、世界中で食料の奪い合いが起こり、殺し合いが起こる。人類の歴史の必然であり、そこで何とか生き残る策を考える。何よりも重要なのは、エネルギーと食料が自給できることである。
10.経済規模と人口を縮小させて、縮小均衡を図る必要がある。1970年代のオイルショックは中東産油国が石油を戦略資源として認識したことから始まった。その後、世界的に食料が不足するにつれて多.くの国々が米国の食料戦略に絡め取られようとしている。人口増加と気候変動で食料が逼迫してきたとき、各国は食料の囲い込みに走り、価格ぱ暴騰する。
11.エネルギー自給は藻類エネルギーと水素エネルギーの開発によって何とか可能になるが、食料自給は容易ではない。今後の気候変動に備えて食料自給を図ることは喫緊の課題だが、その危機感がまったく見られない。



yuji5327 at 06:36 

2017年11月14日

大手電力会社が独占する送電網を使って自然エネルギーを封じ込めている。発送電を分離しない限り、日本のエネルギー政策は欧州に水をあけられる。

「自然エネルギー普及を鈍らせている。選択、2017.3」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.原発に代わる代替エネルギーとして、自然エネルギーに大きく舵取りをする必要があるが、.大手電力会社が独占運用する送電線が障壁となって、自然エネルギー普及を鈍らせている。
2.日本は、福島第一原発事故を契機に導入された固定価格買取制度のおかげで、急速に太陽光発電の普及が進んだ。2016年末には累積で37ギガワットと、ドイツを越え、急拡大している中国(85ギガワット)に次ぐ世界2位の設置量である。
3.16年のゴールデンウィークの晴れた昼間には、日本全体の電力供給の約46%、四国電力や九州電力では80%近くを自然エネルギーがカバーし、その多くは太陽光発電だったが、こうした自然エネルギーの普及に立ちはだかるのが、送電線の問題である。、
4.大手電力会社が設けた自然エネルギーの「接続可能量」という上限が問題である。原発や火力による電力をベースにするという、欧州では廃れた「ベースロード電源」に固執して、自然エネルギーの量を事実上規制している。供給電力の半分、場所によっては8割近くも自然エネルギーで発電できる実績があるのだから、欧州で実施している天候予測システムなどを導入すれば「接続可能量」という考えは不要である。
5.大手電力会社が言う「送電線に空き容量がないから自然エネルギーをつなげない」という問題は、実際には、停止中の原発やこれからのために用意している石炭火力向けの系統容量を使えば十分に空いている。仮に空きがなくても、送電線利用者全体の負担で増強すればわすかな費用で済む。
6.新規参入の自然エネルギー電力会社が既存の送電線に接続するために必要な「連系工事負担金が過大」という問題は、3億円程度の電力を接続するのに6億円もの負担金を請求するような事例が見られる。送電線は高速道路と同じ公共的インフラなのだから、利用者や社会全体で負担するのが当然だが、ほとんどの費用を自然エネルギー電力会社に押しつけている。原発に関しては、福島第一原発の廃炉費用まで、すべての消費者の電気料金に上乗ぜしようとしている。
7.送電線の問題は、急激な変化を望まない大手電力会社が独占する送電網を使って自然エネルギーを封じ込めている。発送電を分離しない限り、日本のエネルギー政策は欧州に水をあけられる。



yuji5327 at 06:42 

2017年11月09日

電力会社が身を削って温暖化のことを考えているわけでもない。電力会社は基本的に競争がなく、売り上げが上がっても下がっても、それに応じて電気料金を変える仕組みになっている。

「武田邦彦著:
偽善エコロジー「環境生活」が地球を破壊する、幻冬舎、2008年7月30日」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.エアコンの温度を控えても電気代が安くするエコは意味がない。偽のエコ情報の被害をいちばん受けているのは、子供たちである。ダイオキシンという言葉は最近ほとんど聞かない。日本は大昔からたき火をしているし、アメリカでは山火事で大量のダイオキシンが発生している。
2.小学校の頃から森を守ると言われて紙のリサイクルをしてきたが、新聞には、製紙会社が紙のリサイクル率を偽装していたと言う記事が載っていた。新品の紙と偽ってリサイクル紙を混合していたのならわかるが、リサイクル紙を少なく入れていた。
3.大人は自分が温暖化にあまりよいことをしていなくてら、二重人格性を持っています。温暖化を防止するのは、人生を少し犠牲にずることになる。高校生は真面目に親の言うことを聞いてエアコンを我慢した結果、受験に失敗することもある。
4.ある社長は地球温暖化にはほとんど関心がなく、売り上げが上がることだけを考えているが、会社の経費を下げたいので、温暖化防止を口実にし、電気をこまめに消すようにと従業員に呼びかける。本当は儲けのためにと思っていても、口では温暖化防止のために、と呼びかける。
5.人間には、心に思ってもいないことを平気で口に出せる人と、一つのことをそのまま信じて、それと反することはできない人がいる。現代の日本人の多くは心にも思っていないことを平気で口に出せるようになっているが、次世代を担う高校生は、まだそんな現代の風潮に汚染されていない。それは心強いことだが、大人の表向きの論理を信じてしまう。
6.電力会社が身を削って温暖化のことを考えているわけでもない。電力会社は基本的に競争がなく、売り上げが上がっても下がっても、それに応じて電気料金を変える仕組みになっている。日本の電気料金は高止まりしている。政治家とつながりを持ち、電気料金の認可をもらえば問題ないので、消費者には、節電のような、会社の利益が減る方向での広告を呼びかけることができる。
7.環境というのは、人間が作り出すものだから、価値観の違うことを同時に口に出すような風潮がある。温曜化を防ぐために電気を節約しましょう、などと..テレビ局が放送している。



yuji5327 at 06:38 

2017年09月03日

ポンプ車から高い水圧で水を送り込み、シェール含有層に亀裂を生じさせる水圧破砕法が確立されて以来、シエール業界ではイノベーションが急速に進んだ。

「岩田太郎(在米ジャーナリスト)著:チェサピーク・エナジー、復活するシェール革命の象徴、
エコノミスト、2016.1.22」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.チエサピーク・エナジーは、地下2〜4kmの深度に広がっている頁岩(シェール〕層から採取される天然ガスの生産で米第2位、坑井を通じて地下から産出する天然ガスを液体化した液化天然ガス生産で米第14位にランクする米シェール大手である。
2.シェール革命によって、米国がサウジアラビアやロシアなどの産油国を抜き、2014年に世界最大のエネルギー生産国になった1989年、シェールの将来性を熱く説くオーブリー・マクレンドン氏が、従業員10人で創業した会社が、チエサピーク・エナジー社である。
現在は、全米で約4万4000の原油・ガス井の権益を持ち、原油換算日量61万1000バレルを生産するまでに成長した。全米男子プロバスケットボールリーグNBAの試合が開催される、オクラホマ州オクラホマシティーの大規模屋内競技場「チェサピーク・エナジー・アリーナ」の地元スポンサー企業でもある。
3.シエール革命の象徴ともいえるチェサピーク・エナジーの急成長は、シェール掘削技術の驚異的な革新と、粘り強い地主との交渉で有望なシェール埋蔵地の採掘権を早くから確保していた先見の明に支えられてきた。
4.技術面では、ポンプ車から高い水圧で水を送り込み、シェール含有層に亀裂を生じさせる水圧破砕法〔フラッキング〕が確立されて以来、シエール業界ではイノベーションが急速に進んだ。地中から採取された岩石サンプルなどの性質を調べ、各深度における岩石の割れやすさを測定する技術も日進月歩で発達し、垂直に掘ってから横方向に進む水平掘削技術のコストパフォーマンスが高まった。
5.チェサビーク・エナジーは、この技術革新と、00年代初頭の天然ガス価格高騰の波に乗り、以前は採算の取れなかったオクラホマ州やテキサス州の鉱区の掘削による収益増で巨大化した。06年には、ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を選んで指数化したS&P500に名を連ねた。
6.同社は競合他社に比べ、より広いエリアにより大きいシェール採掘権を設定しているのが強みである。良質な軽質原油を産出し、北米において最も肩望な鉱区の一つであるテキサス州南部のイーグルフオード・シエールオイル・ガス田や、オハイオ州とペンシルベニア州にまたがるユーティカ天然ガス田、オクラホマ州北西部とテキサス州北部の回廊地帯に位置するアナダルコ盆地、そしてワイオミング州のパウダー川盆地にあるナイオブララ・シェールオイルなど、有名なところである。
7.これらに加え、テキサス州・ルイジアナ州・ペンシルベニア州などに散在する他のシェール・ガス田にも権益を確保するなどして、15年末で原油換算15億400万バレルの推定埋蔵量に対する採掘権を保有している。
8.チェサピーク・エナジーの目覚ましい躍進は、08年後半にシェール過剰生産による天然ガス価格の下落が始まったことでストップがかかった。05年には、天然ガス売買の単位である100万英熱量(BTU)当たり15ドル台まで暴騰した価格が、リーマン・ショックの影響などもあり、09年には2ドル台まで暴落。現在に至るまで、3ドル前後で推移するなど、さえない。
9.ガス価格の下落は、チェサピーク・エナジーの資金繰りを直撃した。生産したガスの一部を借人金の返済に充当するという条件で、しかも生産量を過大予測して資金を調達していたからである。15年の暖冬で需要が低迷したことも、打撃であった。同社にダブルパンチを食らわせたのが、14年に始まった原油安である。テキサス州で産出される低硫黄の超軽質原油であり、北米の原油価格の指標となっているWTI(ウエスト・テキサス・インダーミデイエイト)原油価格は、14年6月に107ドルの値をつけて以降、つるべ落としのように下落を続け、16年2月には30ドルにまで下がった。
10.チェサピーク・エナジー株は16年2月8日、一時50%超の大暴落を記録。創業者マクレンドン氏が、3月に不慮の事故死を遂げるなど悪い知らせが続き、市場では「同社の破綻は近い」とささやかれたが、チェサピーク・エナジーは3月に満期を迎えた債券を着実に償還したばかりか、掘削権などの資産売却、債務の株式化、流通市場から市場価格で買い入れる自社株買い、鉱区開発の規模縮小や先送りなどの手法をフルに使い、1〜3月期に負債額を10億ドル以上も削減することに成功した。
11.同社の負債はいまだ106億ドルと巨額であるものの、返済すべき債券償還額は15年9月末の22億ドルから、16年9月末の6億2500万ドルへと激減している。企業が稼いだお金から、活動するのに必要なお金を差し引いた余剰資金を表すフリーキャッシュフローの改善により、同社は、18年末までの債券償還に対する支払い現金を確保したと発表し、株価も回復傾向にある。


yuji5327 at 06:39 

2017年08月21日

コンパクトで単純な電力貯蔵装置は「空圧電池」で分散・多数設置型が可能である。圧縮した空気を解き放つときにタービンを回し発電する。

「福田良輔(中部大学客員教授)著:福島後の未来をつくる、中山間地域の切り札:空圧電池、日本全体の電力は1億kWで十分、
エコノミスト、2016.11.8」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日本は、「中山間地域」と呼ぶ地域が国上の70%を占める。中山間地域とは、平野の端から山聞地にかけた地域の産業は農林業が中心だが、農林業従事者の高齢化や後継者不足などから過疎化が進行し、衰退が著しい。中山間地域には、木材資源や放棄田畑など、再生可能エネルギー施設を設置するうえで必要な資源や土地が豊富で、安く入手できる。
2.著者と神戸製鋼所グループは「山麓フロンティア研究会」を設立し。中山間地域のメリットを生かして、再生エネルギーを活用した地域振興を取り組んでいる。太陽光発電は天気による発電量が変動、発電した電力を消費地に送るための送電系統網が脆弱で、電力会社は、中山間地域の太陽光発電を系統網につなぐことに制限を設けている。
3.課題の解決策の一つが電力貯蔵装置だが、電力貯蔵施設に使う蓄池として、鉛電池は蓄電容量が小さいので、多くの電池が必要になるし、重い。リチウムイオン電池も、数百kW級の電力を貯蔵するには高コストで、寿命も短い。
4.できるだけコンパクトで単純な構造ということで、電力貯蔵装置として「空圧電池」を用いた小容量・分散・多数設置型再生可能エネルギーシステムの開発・実.用化に取り組んでいる。システムでは、圧縮した空気を解き放つときに生じるエネルギーを使ってタ一ービンを回し、発電する仕組みである。空気の圧縮には、太陽光発電や風力発電などで余った竃力を使う。圧縮した空気は鋼製タンクにためておき、電力が必要になったら、圧縮空気を放出して発電する。研究会が岡山県美咲町で計画中の実証事業では、この空圧電池や空気タービンに・太陽光発電装置や木質バイオマス発竃装置を組み合わせた総合システムを構築する。
5.空気タービンには、神戸製鋼所製の「2軸スクリュータービン」を用いる。同社はすでに出力500kWのテストプラントを稼働中で、静岡県河津町でも風力発電と組み合わせた同2000kWの空圧電池・空気タービン設備を12月の完成を目指して建設中である。
6.農林水産省は当初木質バイオマス発電事巣の損益分岐点を発電規模5000kW級と算定していたが、最近では技術の進展もあって、2000kW程度まで下がっている。しかし、1000kW.級の大規模な木質バイオマス発電設備は燃料である木材資源の調達が難しい。出力300kW.以ドなら、システムを設置した周辺町村の地域木材を燃料資源として持続的に活用できる。容量効果が出ないとコストは高止まりしてしまうため、小さな容量クラス単独で利益を出すのは困難であるが、太陽光発電と空圧電池を組み合わせ、数百kW.規模の木質バイオマス発電でも安定した利益を生み山せる。
7.空圧電池の寿命はほかの蓄電池よりも長い。長い期間にわたって利益を確保できる。空圧電池の主要部材である鋼管は、空気貯蔵向けだけなら50年間超、長ければ100年聞使用可能である。シンプルな構造の空気圧縮機と空気タービンは、メンテナンスすれば50年間は十分持つ。
8.研究会は「100年」の超長寿命構造の太陽光パネルの開発・商用化を目指しており、パネル両面を厚さ2ミリの強化ガラスで覆った寿命50年の太陽光パネルの商用化に成功している。これを空圧電池と組み合わせ、20〜30年の長期にわたって初期投資費用を回収するとともに、それ以降の寿命まで太陽光発電の売電で得た利益をシステムの維持に充てる事業モデルを検討している。
9.日本全体の発電施設を合わせた総発電容量(能力}は、本来、1億kWで十分だが、電力量と使う電力量を一致させる「同時発電岡時消費」の原則があるために、使用量の多いピークに合わせて発電施設を設ける必要がある。このため、総発電容量は必要以上に多くなる。電力会社すべての余剰設備は計1億kWに上る。さらに企業の自家発電設備が5000万kWもあることから、日本全体の総発竜容量は2億5000万kWに及ぶ。
10.これを太陽光発竃を中心とした「再生エネ発電+空圧電池」のシステムに置き換えていけば、理論的には電力会社の余剰設備の1億kW分が不要になる。この不要になった発電資産を売り払い、売却で得た資金を空圧電池の設置に充てれば、それだけでも日本に必要な空圧電池すべてを設置できる。純国産資源で電力を賄うことができるようになれば、、現在の年10兆円に上る発電燃料の輸入向け外貨の持ち出しは不要になる。


yuji5327 at 06:38 

2017年08月17日

原子力発電の政府のもくろみは、原発コストの消費者・国民への転嫁である。

「古賀茂明著:闘論席、
エコノミスト、2016.1025」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.原子力発電をめぐる政府のもくろみが、いよいよその全貌を現してきた。福島第一原発事故直後から、経済産業省内で築き上げられてきたもので、その核心は、「原発コストの消費者・国民への転嫁」である。
2.電力小売りの自由化と不完全ながら発送電分離の実施が決まり、原発はコスト高で生き残れなくなった。そこで電力会社は、発送電分離の条件として、原発事業で決して損が出ない「制度的な」保証を求めた。平時だけではなく、事故を起こしても、という虫の良い仕組みである。
3.経産省は今、福島の事故処理費用のうち、損害賠償と廃炉について、原発を保有する大手9社だけでなく、新電力にも負担させる制度を検討している。全国の原発が廃炉になった場合の費用や、賠償費用の一部などを新電力の消費者を含めて電力料金に転嫁する方法で、少なくとも8・3兆円の負担を大手電力会社は免れる。
4.原発から出る使用済み核燃料の再処理事業を担う認可法人を作り、電力会社に再処理費用の支払いを義務づける「再処理等拠出金法」が10月1日に施行された。再処理を電力会社の経営から切り離し、苦しくなったら、廃炉の負担から逃れる。
5.核のゴミの処分も国が前面に出て、場所の選定に乗り出している。こちらも、コストを新電力にも負担させるだろう。事故の際の電力会社の損害賠償額に上限を設けようという、究極の「モラルハザード」法の構想も姿を現した。
6.最後の締めが、電力価格がどうなっても、原発が絶対に赤字にならないようにする収入保証の仕組みの導入である。原発だけでは批判が起こるので、火力発電の議論から始まる。一連の政策で電力会社の株価は大きく上昇する。国民の犠牲で、本来責任を取るべき株主の利益を増やすという政策である。この国に「正義」はあるのか。国民の見識が問われている。



yuji5327 at 06:30 

2017年08月08日

2050年頃の世界のエネルギー需要の3分の1を人工光合成プロセスで製造したソーラー水素でまかなうには、日本列島の15分の1の面積で済むので非現実的ではない。

「光化学協会編:夢の新エネルギー:
人工光合成とは何か、講談社、2016年」は参考になる。第7章:人工光合成大規模プラント実現への挑戦」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.ホンダ・フジシマ効果の発見以来、半導体光触媒を用いて水素を作る方法の実用化への検討が進んでいる太陽エネルギーを利用して水を分解して得られる水素はソーラー水素とよばれている。
2.ソーラー水素製造の実用化には経済性が必要である。経済産業省は、2020年頃に水素の価格を450円/kgにすることを目標としている。2015年時点で、燃料電池自動車用水素の水素ステーションでの値段は1000円/kgである。米国エネルギー省は水素供給価格の目標を200〜400円/kgと定めており、日本の価格目標に近い。
3.2013年に米国で種々の形式のソーラー水素製造プラントの水素の販売価格について分析されている。ソーラー水素の作り方は、半導体光電極を用いる方法と粉末光触媒を水の中に分散させて用いる方法がある。光触媒電極を用いた場合に、太陽光水素エネルギー変換効率(STH)が10%を達成でき、水素の価格は160〜1040円/kgになる。STHとは、全太陽光入射エネルギーのうち、水素に蓄えたかを示す指標である。
4.いずれの方法でも、10%程度以上のSTHを達成することが、水素供給価格の目標を満たすうえで必要である。半導体光触媒でSTHが10%に達するには、量子収率という吸収で生成した電子とホールがどれだけの割合で反応に使われたかを示す指標を上げる必要がある。
5.太陽エネルギーは入射強度が時問帯や天候や季節により大きく変動し、エネルギーが豊富な地域も砂漠地帯に偏在している。太陽エネルギーを利用するには長期間の貯蔵や長距離の輸送技術が必要である。体積が大きくなる気体のソーラー水素はそのまま輸送するのではなく、触媒プロセスを用いていったん炭化水素やアンモニアなどの液体燃料に変換して輸送し、そのまま利用したり、水素に戻したりして利用することが想定さる。
6.太陽エネルギー強度の強いサンベルト地帯(アメリカ合衆国南部、ほぼ北緯37度以南の温暖な地域フロリダ州、ジョージア州など)で、25km^2の規模の人工光合成型ソーラー水素製造プラントが10%のSTHで稼働する場合、1日あたり5100トンの水から570トンの水素が製造される。これを分離・精製して貯蔵や輸送が容易な液体燃料に物質変換し、消費地まで運送して利用することか想定される。
7.2050年頃の世界のエネルギー需要の3分の1を人工光合成プロセスで製造したソーラー水素でまかなうには、25万km^2の面積が必要となる。この面積は、日本列島の面積:377万7900km^2なので日本列島の15分の1の面積で済む。アフリカのサハラ砂漠の面積は約940万km2なのでその37分の1で良い。ソーラー水素製造プラントの建設は、決して非現実的ではない。
8.ソーラー水素製造プラントで使う大規模な人工光合成装置のイメージは、粉末光触媒の粒子が固定化されたシート状のデバイスを作り、それを太陽電池のようにモジュール化し、パネルの上に並べる。シート状のデバイスを「光触媒シート」とよび、それを並べて水を入れ、発生した水素を集めるしくみを「人工光合成パネル」とよぶ。
9.粉末光触媒をガラス基板や柔軟な膜上に塗布・固定化すれば、パネル状、シート状の光触媒として利用できる。このシートを水に浸して光を当てるだけで、水素と酸素が発生する。可視光で水を水素と酸素に分解することができる光触媒の窒化ガリウム酸化亜鉛固溶体を光触媒シートにするには、シート状に固定化された光触媒をそのまま水に浸漬させただけでは、粉末光触媒をそのまま懸濁させた場合と比較して水を分解する活性が落ちる。10.理由は、光触媒粒子が緻密に積層するために、光触媒粒子の隙間に水が浸透しにくくなったり、生成した水素や酸素の気泡が光触媒層から出にくくなる。そこで、親水性の二酸化ケイ素粒子を光触媒粒子に混ぜて光触媒パネルを作製したところ、粉末をそのまま水に懸濁させた場合と同じ程度の水分解速度を示す。シリカ粒子の添加効果はシリカ粒子の粒径が大きいほど高い。粒径が大きな親水性の二酸化ケイ素粒子が混じることにより光触媒粒子層に十分な空隙が生じて気泡や水の出入りが改善され。
11.光触媒粒子をシートに層として固定する手法を検討することで、粉末のまま光触媒を使ったときと同じ水分解速度を発揮する光触媒パネルを作製することができるので、将来大規模なプラントで用いる光触媒パネルの作製に活用できる。
12.粒子転写法という方法を用いて金属膜上に固定化した光触媒シートが開発された。この方式では、光触媒粒子と金属膜などの導電層の間に十分な機械的強度があり電気的導通性も良いものを作ることができる。
13.金属膜を用いた光触媒シートの一般的な作製手順はシンプルで、まず、水素を生成する光触媒と酸素を生成する光触媒のそれぞれの粉末の混合物をガラス基板などに塗布する。次に、光触媒粒子の層上に金属膜などの導電層を製膜する。その後、光触媒粒子層・導電層の接合体を別の基板に転写する。最後に、超音波処理などにより余分の光触媒粒子を取り除く。これで、水素生成光触媒と酸素生成光触媒の粉末が導電層に埋め込まれた光触媒シートを簡単に作ることができる。
14、この方法では、理想的には光触媒粒子が1層に並んだ配置となり、電子が縦方向に粒子と金属膜の間を移動するだけなので電気抵抗の少ない光触媒と導電層の接合体を得ることができる。


yuji5327 at 06:33 

2017年08月06日

化学プラントで排出されるCO2は、日本の年間排出量は約13億トン(2015年)であり、その中で化学産業は約8000万トン程度である。

「光化学協会編:夢の新エネルギー:
人工光合成とは何か、講談社、2016年」は参考になる。「第7章:人工光合成を実用化する具体策:事業化の戦略、人工光合成で化学品製造を目標とする」の印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.現在、我が国における人工光合成の研究の中で、実用化に向けた取り組みとして人工光合成化学プロセス技術研究組合の人工光合成プロジェクト(略称ARPChem)がある。これは経済産業省所管の国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」による2012〜2021年という10年問の国家プロジェクトである。
2.ソーラー水素や液体燃料の製造・出荷を直接の目的とはせず、水素をもとにして化学工業の原料を製造し、出荷するプラントの実現を目標としている。プラントから出荷されるのは、水素でなくエチレンやプロピレンなどの化学工業の原料プラスチックなどの製品の原料である。
3.CO2削減の課題および産業としての採算性の課題を解決する。新技術を適用する際に考えるべきポイントが2つある。1つは、必要不可欠な課題が解決できる点だ。2つは採算がとれること。
4.産業活動によるCO2排出のうちの多くは自動車、飛行機、船舶などの燃料や火力発電所の燃料からの排出、製鉄所で鉄鉱石をコークス(炭素)で還元して鉄を生産する際のCO2排出に由来する。化学プラントで排出されるCO2はこれらに比較するとそれほど大きくない。日本を例にとるとCO2の年間排出量は約13億トン(2015年)であり、その中で化学産業は約8000万トン程度である。
5.化学原料を人工光合成の開発対象にする理由は、各家庭へのガスや電気エネルギーの供給方法や社会全体のエネルギーシステムなどはすでに、社会が多額の投資を蓄積してきた結果として有している社会インフラ、社会資本である。これらを、一気に変えて、新しいシステム、設備に移行するは、新たな巨額投資が必要になる。現在の社会インフラ、社会資本、エネルギーシステムを最大限有効利用しながら、少しずつ新しいシステムに移行していく考え方、方法が現実的である。
6.ソーラー水素、人工光合成技術は、事業化に成功する確率の高い方法で社会実装しようとしている。化学製品を事業対象にするのかは、より付加価値の高い製品として出荷することで、採算性を取ろうとするからである。
7.これまで天然ガスのメタン(CH4)を原料として合成ディーゼル油やジメチルエーテル(DME)を製造する触媒プロセスの開発が実施されてきたが、未だに実用化されていない。その理由の一つとしてエネルギー用の燃料価格の安さがある。
8.石油化学産業の現在の原料であるナフサ(原油を蒸留して得られる30〜180℃程度の沸点をもつ成分の混合物)は、ほぼガソリンと同様の成分であり、価格も同等であるが、ナフサクラッカー(ナフサを熱分解して低分子化合物を得るための分解炉)によって得られるエチレン、プロピレンなどの低級オレフィンは、クラッカー(分解炉)での熱分解というひと手間をかけている分のコストが加算されるので割高になる。


yuji5327 at 06:47 
池上技術士事務所の紹介
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池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
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池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
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