エネルギー問題

2018年10月14日

人口減少が避けられなければ、地域経済の縮小を避けなければならない。1人当たりの稼ぐカを高め、域外から稼ぎつつ、稼ぎを地域内で消費・投資する地域経済循環が必要である。


「田中信一郎(地域政策デザインオフィス代表理事)著:人口減少でも地域経済を成長「地域エネ政策」の長野モデル、エコノミスト、2018.1016」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日本は、2008年から有史以来初の人口減少時代に突入している。08年に1憶2800万人のピークを迎え、現在に至るまで減少を続けている。国のシナリオの「60年に1億人」が実現しても、人口急減が続くことに違いはない。70年ごろまで急減が続き、その後、9000万人で定常化すると想定されている。
2.人口減少は、内需を中心とする地域経済に大きな影響を及ぼす、地域と運命を共にするガス、交通、金融、建設、小売りなどは需要縮小が避けられない。住民や自治体から見ると、地域経済の縮小は、どうしても避けたい。民間企業によって供給されている住民サービスの縮小・撒退を意味し.さらなる住民の流出を助長しかねない。
3.人口減少が避けられない現実だとすれば、地域経済の縮小こそ避けなければならない。1人当たりの稼ぐカを高め、域外から稼ぎつつ、その稼ぎを地域内で消費・投資する地域経済循環を形成することが必要である。
4.これまでの地域経済政策は、人口増加を前提にしてきた。自治体の主な政策は、増え続ける住民の雇用先となる企業を誘致することと、大企業の下請けとなる中小企業の資金繰りを支援することだった。
5.一方、経済構造の全体を俯瞰し、地域の資金収支を改善することには不熱心だった。自治体は、商工、農林、建設と縦割り化し、地域経済の一翼を担う健康福祉や教育などについては、産業としての視点を持っていなかった。
6.人口減少や資金収支という視点では、これらの政策は地域経済のさらなる衰退を招く恐れがある。雇用先でなく、働き手の不足が常態化するからである。そのため、自治体は経済政策の抜本的な転換を迫られている。従来の政策を継続すれば、縮小していく、雇用者と消費者の奪い合いを、域外資本と地域資本が繰り広げ、自治体が火に油を注ぐかたちになる。
7.その際、政策の見直しに加えて、地域エネルギー政策を確立することが重要になる。電気・ガス・燃料は、元をたどると石汕・石炭・液化天然ガス(LNG〕とほぽ海外産であ
る。消費と引き換えに、代金を日々、それらの産出国に支払っている。
8.地域エネルギー政策によって、エネルギーの利用の効率化と産出の地域化を促進すれば、その分だけ、資金収支が改毒する。例えば.地域の工務店に200万円で建物の断熱改修をしてもらい,毎年10万円の光熱費を減らしたとすれば、20年間で投質回収できる。これを工務店から見れば、顧客が200万円を域外に光熱費として支払う代わりに、新たな仕事を受注したことになる。同様に、燃料を地域産の木質チップに変更すれば、域外に流出するはずの燃料代が、地域の木材業者や森林組合へ行くことになる。風力や太陽光で発電した電気を大都市に売れば,域外から新たな収入を得ることにもなる。
9.長野県では、13年度から地域エネルギー政策を経済政策に位概付け、エネルギーと経済の好循環に取り組み始めている。同年度からの「長野県環境工ネルギー戦略」は、経済成長とエネルギー消費量・温室効果ガス排出量抑制の両立を目指している。
10.福島原発事故から半年後の11年10月から、筆者は長野県の任期付きの課長級職員として、5年間にわたりエネルギー政策に携わった。省エネ分野では、新築建物にエネルギー性能の検討を義務づけている。それと合わせ、建築事業者が施主に客観的な性能をデータで説明できるよう、評価ツールを普及した。例えば、建築費2000万円で年間光熱費20万円の住宅と、建築費2200万円で年問光熱費10万円の住宅のどちらを建てるか、施主は選べるようになった。
11.その結果、長野県の新築では、省エネ住宅の割合が大幅に増加した。国の省エネ基準を上回る新築戸建て住宅は、正確な統計はないものの、全国半均で3〜4割といわれる。16年の長野県調査では、8割を超える新築住宅が省エネ基準を上回っていた。
12.再エネ分野では、事業に取り組むスタートアップや中小企業を促進している。長野県内で再エネ普及を目指す産官学民のネットワーク組織「自然工ネルギー信州ネット」に、再工ネ事業に関心をもつ行政、中小企業、NPO、専門家、研究者、個人が参加し、再エネ事業に関する情報やノウハウを交換している。
13.その結果、再工ネ事業に取り組む事業者が県内各地に生まれている。例えば、「上田市民エネルギー」は、市民から小口の資金を集め、太陽光発電事業を展開している。18年5月現在、同県上田市を中心に.41ヵ所・600kWの設備を展開している.長野県は、18年6月に国から「SDGs〔持続可能な開発目標}未来都市」に選定され、地域エネルギー政策を活用した地域経済循環の強化に取り組み始めている。.
14.長野県の地域エネルギー政策は、大きな地域経済効果を生むと見.込れている。立命館大学のラウバッハ教授らの分析によると、長野県の再エネ目標(10年10万kW→50年300万kW)が達成された場合、50年までの累積で最大4400億円の付加価値が再エネ事業
を通じて生まれると試算されている。
15.この分析から、再エネ事業における資本・経営・資金の帰属の重要性が明らかになった。再エネ事業は、ほとんど雇用を産まないため、誘致しても固定資産税くらいしかメリットはない。けれども、利益を生まないわけでなく、利益の多くが事業所得になることが特徴である。つまり、地域の企業や住民が出資と経営を担い、地域の金融機関が融資したとき、地域への経済効果が拡大化される。出資・経営・融資のすべてを地域で担う手法を「地域主導型」と呼ぶ。一方、いずれも域外で担われる「外部主導型」では、地域への経済効巣は小さくなる。
16.長野県では、地域主導型の促進を方針とし、そのための支援策を積極的に講じてきた。信州ネットはその一環で、地域金融機関からの融資を後押しする補助金も設けている。こうした長野県の地域エネルギー政策は、地域固有の状況に依存するものでなく、全国の自治体に水平展開できるものである。
17.地域経済に資するエネルギー政策が現.実的になったのは、福島原発事故の11年以降である。再エネの固定価格買い取り制度が国会で成立し、再エネ発電で収益をあげることが容易になった。並行して、再エネ技術が安価になり、建築などの省エネ技術が高まり、地域エネルギー政.策の手法が確立した。それらが相まって、神奈川県小田原市や北海道ド川町、同ニセコ町など、同様の政策に取り組む自治体が、各地に増えつつある。


yuji5327 at 06:34 

2018年09月28日

イラン産原油を輸入すればペナルティーが科せられる。アメリカの理不尽な要求に日本は同調するが、原油か輸出できないイランがホルムズ海峡を封鎖し、オイルショックの再来もある。


「大前研一著:日欧に大打撃、トランプのイラン制裁、PRESIDENT2018.10.15」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.5月に米トランプ政権ば2015年に主要6力国(米英仏中露の国連常任理事国+独)とイランによって結ばれた核合意からの一方的な離脱を表明した。この核合意はイランが核開発の大幅な制限を受け入れる代わりに、欧米の経済制裁を解除するというものである。
2.これをトランプ大銃顕は弾道ミサイルの開発が制限きれていないことなどを理由に「現
在の合意内容でばイランの核開発を阻止できない」として離脱を宣言した。査察役のIAEAはイランが核合意を順守しているとの報告書をまとめているし、他の当事国も合意継続を訴えてアメリカの一方的な合意破棄を批判している。だがトランプ大銃顕はまったくお構いなしである。
3.イランへの経済制裁の一部を再開する大統領令に署名して.「史上最強の制裁を科す」と言明した。アメリカのイラン制裁ば90日、180日という2段陪の猶予期悶が設けられている。第1段階ばすでに発動して、イランによる米ドルの購入・取得、金などの、貴金属や鉄鋼、アルミニウム、石炭などの取引が制裁対象になった。
4.外国企業が旅客磯や部品を輸出したり、イランの自動車産業に関わったりすることも禁じられて、これを破った外国企菜も制裁対象とされる。第2段階の11月以降は、いよいよイランの輸出収人の8割以上を占める石油閲連の取引に対する制裁が始まる。このデッドラインに向けてアメリカとイランの対立は緊張度を高めると思われる。
5.イラン産原油の輪入停止を呼びかけるアメリカに対して、イランばホルムズ海峡の封鎖をほのめかしている。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の大動脈であり、日本が輸入する原油の7-8割はホルムズ海峡を通過する。イラン産原油の輸入ができなくなった場合、サウジアラビアやクウェートが肩代わりすると言っているが、サウジの原油もクウェートの原油も、同じく依存度の高いアラブ首長国連邦の原油やカタールのLNGもすべてホルムズ海峡を通ってくる。
6.イラン産原油を輸入すればペナルティーが科せられるし、アメリカの理不尽な要求に日本は同調せざるをえない。しかし禁輸が広がって原油か輸出できなくなったイランがホルムズ海峡を封鎖すれば、オイルショックの再来もありうる。ホルムズ海峡の封鎖をアメリカが軍事力で阻止しようとすればイランとの本格的な戦争に発展しかねないわけで情勢は予断を許さない。
7.制裁力ードが大好きなトランプ大銃顕にとって、イランぐらい制裁してメリットのある国はない。中国に対しては貿易不均衡を理由に制裁関税を次々と発動しているが.中国も報復関税で応戦して制裁合戦の様相を呈している。アメリカは中国から年間50兆円以上輸入しているし.対中貿易赤字は40兆円近い。米中の繰済はズブズブの依存関係にあって、制裁合戦がエスカレートすればモノの値段は上がって国民生活やアメリカ経済に深刻な影響が出てくる。
8.しかし、イラン革命と在イラン米大使館人質事件後の1980年に国交を断絶して以来、アメリカとイランぱ関わり合いがほとんどない。しかもアメリカは石油と天然ガスを輸出できるようになったから、イラン産原油をストップするのは自国のエネルギー産業にとってプラスになる。制裁の直接的な反動、デメリットが何もない。
9.さらに従来の同盟国をいじめ、ロシアや北朝鮮のような敵対国あるいは独裁国に親和性を持つトランプ大続領にとって愉快この上ないのは.イラン制裁のおかげでヨーロッパや日本などの同盟国が七転八倒することだ。
10.エアバスはフランス、ドイツ.イギリス、スペインが共同運営しているヨーロッパ随一の航空機メーカーで.イランから100機の注文を受けていた。しかしアメリカの制裁発動によって受注できなくなり.かろうじて完成していた3機を納めただけで、残り97機が頓挫した。またフランスの自動車メーカーPSA〔ブジョーシトロエン〕は核合意後にイランに合弁の自動車.工場をつくって17年から現地生産を囲始したばかりだったが、イラン制裁の悪影響を懸念してイランでの事業からの撤退を決めた。PSA以外にも核合意によって経済制裁が解除された後にイランに飛び込んだ欧州企業ば多い。



yuji5327 at 06:48 

2018年09月06日

「廃炉」という言葉は印象が良くない。グリーン技術として環境学科の科目にする。「グリーン」「環境」で表現すれば、成長産業である。廃炉はニーズがある。人材を確保して欲しい。

2018/8/31付けの 大前研一さんの「 ニュースの視点 」(発行部数 167,103部)は「原子力産業/福島第一原発〜原子力事業は日本全体で1つの事業体で担うべき」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日経新聞は23日、「原発 膨らむ費用、再編迫る」と題する記事を掲載した。東京電力と中部電力、日立製作所、東芝が原子力事業で提携協議に入ったと紹介。原発事業は世界的にコストが膨らむ傾向にあり、4社とも「1社では事業を担えない」という共通の焦りがあり、今回の提携をきっかけに国内の原発はもう一つの連合との2陣営時代を迎える可能性もあるとしている。
2.一昔前は、BWR(沸騰水型軽水炉)とPWR(加圧水型軽水炉)の2つの陣営に別れていたが、今ではそれほど明確に分かれてはいない。BWR陣営には、日立、東芝、東京電力、中部電力、東北電力、中国電力、北陸電力。そしてPWR陣営には、三菱重工、関西電力、九州電力、四国電力、北海道電力。これがかつての2陣営の構図だった。
3.PWRを世界で初めて商用化したのはウエスチングハウスで、かつて日本国内では三菱重工が提携し、PWR陣営の一翼を担っていた。しかし、東芝がウエスチングハウスを傘下におさめたことで、東芝はBWRもPWRもどちらも対応できるようになっている。三菱重工は仏アレバと提携した。
4.全体として見ればBWR陣営、PWR陣営という区分けに敏感ではなくなっている。また「1社では無理なので4社で」原子力事業を担っていくとのことだが、4社でも不十分である。
5.東日本大震災が発生した3月11日の直後、大前氏は次のように提案していた。すなわち、9電力会社の原子力部分を全て切り離し、そこに日立、東芝、三菱重工を加えて、「日本原子力機構」という組織を作るべき、と。このように提案した理由は、とても1社だけでは無理だし、日本全体で1つにならなければ対応できないからである。
6.東京電力は相当大きな企業だが、それでも福島の原発だけで持て余す状態になっている。原子力損害賠償・廃炉等支援機構が資金を注入しなければ、存在できない状況である。中部電力は、浜岡原発を当時の菅直人首相に閉鎖させられて困り果てている。フランスでも実質的にアレバ1社に原子力事業が集約されているように、日本も「とりあえず4社で」などと言わず、全体として1つに集約されなければ原子力の体制を立て直すことは難しい。
7.福島第一原発事故もあって、日本国内で新しい原子炉を作るのはほぼ不可能な状況にである。これから先は海外に出ていくしかない。その意味でも、日本全体でまとまらないと企業体力の面でも厳しいことは明らかである。
8.日刊工業新聞の情報サイトは21日、「東京電力と大学の思惑一致せず…足りない廃炉人材」と題する記事を掲載した。福島第一原発の廃炉作業を支える人材育成について、大学が廃炉技術の研究者を育てている一方、実際に現場で求められるのは日々発生するトラブルに対応しながら計画管理ができるプロジェクトマネージャーであると紹介している。こうした人材を育てるには、自身の専門以外の基礎を働きながら学べる仕組みや大学と現場をつなぐ場が必要としている。
9.大前氏がMITで原子力工学を学んだときには、同級生が130人もいたが、スリーマイル島原発事故が起こって状況が一変した。97年頃私がMITに訪れたときには、原子力工学を学ぶ生徒は1学年で15人くらいに激減していた。しかも、その15人の中に米国人は1人もいなかった。ほとんどは奨学金をもらってアフリカから来ていた留学生だった。
10.大前氏が学んでいた時代には、原子力工学には夢があった。マンハッタン計画の後は、原子力の平和利用だと誰もが思っていたし、MITでも非常に有名な先生が教鞭を執っていたが、スリーマイル島原発事故の後、米国人の中に原子力を学ぶという発想はなくなった。
11.福島第一原発事故で、同じことが日本でも起こってしまった。当時の米国でもそうだったが、今、日本で原子力を学んでいると言ったら「将来性がない」と思われる。だから誰も学ぶ人がいなくなる。
12.この問題は廃炉人材がいなくなることになるので、極めて重要な問題である。廃炉のために外国人を雇用して危険な環境の中で仕事をさせるのは、国際的な批判も受けるし、難しい。とは言え、廃炉は絶対にやらなければいけない。「廃炉」という言葉も、その印象が良くない。グリーン技術の1つとして環境学科の科目にするなど工夫するのも1つの策である。「グリーン」「環境」という言葉で表現すれば、興味関心を持ってくれる生徒も増える可能性がある。MITでもそのようにしている。考え方次第では、これは成長産業である。なぜなら、廃炉は「絶対にやらなくてはいけないこと」だから、完全なニーズがある。「廃炉」という見せ方ではなく、成長が約束された環境産業として位置づけて人材を確保して欲しい。


yuji5327 at 06:55 

2018年08月15日

使用済み核燃料の処理問題は、まず、もんじゅに代わる有害度低減技術開発、次に、原発敷地内に空冷式冷却装置を設置しオンサイト中聞貯蔵、リアルな原発のたたみ方を準備すること。


「橘川武郎(東京理科大学教授)著:福島後の未来をつくる、有害度の低減技術開発をリアルな原発のたたみ方、エコノミスト、2018.8.7.」は参考になる。
1. 核兵器非保有国である日本がプルトニウムを生む使用済み核燃料の再処理を行うことを可能にしているのは、日米原子力協定による米国政府のお墨付きがあるからである。その根拠になっていたのは、日本は核燃料サイクル政策を推進し、プルトニウムを平和的に管理する仕組みを有しているという判断だったが、2016年12月に高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃止が決定されたため、核燃料サイクル政策はその「心臓部」を失い、事実上立ち行かなくなった。核燃料サイクルを支える主要な柱と想足されていたのは、高速増殖炉燃料サイクルの方であった。
2.日本政府は、もんじゅ廃止後も、既存原発の軽水炉でウラン燃料とプルトニウム燃料を混ぜて利用するプルサーマルを実施すれば核燃料サイクルの維持は可能だとしているが、プルサーマルだけでは日本が現.在国内外に保有する約47トンのプルトニウムはわずかずつしか減らない。しかも、そのプルサーマル自体が遅々として進まず、現在プルサーマル発電を行っている原発は3基のみ、電気事業連合会が目標としてきた16〜18基には遠く及ばない状況である。
3.国際社会は、日本が今後どのようなプルトニウム削減方針を打ち出すか.注視している。今年7月に日米原子力協定は自動延長されたが、同時に、日米どちらかが6か月前に通告すれば、協定を破棄できる局面にも突入した。日本が打ち出すプルトニウム削減方針が国際社会の納得を得られない場台、トランプ米政権が北朝鮮政策との整合性を取るため、日米原子力協定を破棄して、日本の使用済み核燃料再処理に対するお墨付きを取り下げることもありうる。日本の使用済み核燃料処理政策は、きわめて困難な岐路に立たされている。
4.注目したいのは、16年に廃止が決定される以前から、もんじゅが事実上、高速増殖炉としての役割を終えていたという事実である。14年に策定された第4次エネルギー基本計画〔今年7月の改定まで効力があった)は、使用済み核燃料の減容化について「放射性廃棄物を適切に処理・処分し、その減容化・有害度低減のための技術開発を推進する。高速炉や、加速器を用いた核種変換など、放射性廃棄物中に長期に残留する放射線量を少なくし、処理・処分の安全性を高める技術などの開発を国際的なネットワークを活用しつつ推進する」と述べていた。
5.もんじゅに関しても、「廃棄物の減容・有害度の低減や核不拡散関連技術等の向上のための国際的な研究拠点と位置付け、これまでの取り組みの反省や検証を踏まえ、あらゆる面において徹底的な改革を行う」としていた。
6.第4次エネルギー基本計画では、もんじゅの高速炉技術を、従来のように怯燃料の増殖のためでなく、使用済み核燃料の減容化・有害度低減に転用する方針が、すでに打ち出されていたのである。
7.日本政府が政治的判断で、減容化・有害度低減のために転用するはずだったもんじゅの廃止を決定したのは、その2年後だ。つまり、日本の核燃料サイクル政策は、もんじゅ廃止で行き詰まったわけではなく、それ以前からすでに破綻をきたしていたことになる。もんじゅ廃止は、厳密には、核燃料サイクル政策に対してではなく、使用済み核燃料の減容化・有害度低減の取り組みに対して痛手を与えたと言うべきである。
8.「バックエンド対策」と呼ばれる使用済み核燃料の処理対策は、原発への賛否にかかわらず社会全体が解決を迫られている重.大な問題である。それは決して日本だけでなく、人類全体にかかわる問題でもある。
9.使用済み核燃料を再利用するリサイクル方式を採るにしろ、1回の使用で廃棄するワンススルー〔直接処分)方式を採るにせよ、最終処分場の立地は避けて通ることのできない課題であり、実現は、きわめて難しい。
10.最終処分場では使用済み核燃料を地下深く「地層処分」することになるが、その埋蔵情報をきわめて長い期問にわたって正確に伝達することは至難の業である。リサイクル方式を採れば危険な期間は短縮されるかもしれないが、それでも「万年」の単位、つまり、伝達期間は何百ー何千世代にも及ぶことになる。原発推進派の中には「地層は安定しているから大丈夫」と主張する向きもあるが、それでは地上はどうなのだろうか。
11.プルトニウムの半減期は2万4000年だが、2万年前には北海道はアジア大陸と陸続き、本州から種子島まで陸続きで、日本列島の姿は今とはまったく異なっていたという。
12.使用済み核燃料の危険な期間が万年単位のままでは、いくら政府が前面に出ても、最終処分地が決まるはずはない。最終処分地の決定には危険な期問を数百年程度に短縮する有害度低減技術の開発が必要不可欠である。有害度低減技術の開発については、その困難性のゆえに.否定的な見解をもつ識者も多いが、どんなに高いハードルであってもそれをクリアしない限り、あるいは少なくともそれにチャレンジしない限り、人類の未来は開けない。
13.有害度低減技術の開発には長い時間がかかる。その間、原発の敷地内に燃料プールとは別の追加的エネルギーを必要としない空冷式冷却装置を設置する、使用済み核燃料の「オンサイト中間貯蔵」を行うことも求められる。さらにいえば、きわめて困難とされる使用済み核燃料の有害度軽減の技術革新が成果を上げず、バックエンド問題が解決しないことも想定しなければならない。
14.それに備えて、「リアルでポジテイブな原発のたたみ方」という選択肢も準備すべきだ。柱となるのは、_侘魯轡侫(送変電設備を活用した原子力から火力発電への転換〕、廃炉ビジネス(廃炉作業などによる雇用の確保)、オンサイト中閏貯蔵への保管料支払い(使い終わった電気が生み出した使用済み核燃料を預かってもらうことに対し、消費者が電気料金等を通じて支払う保管料}からなる、原発立地地域向けの「出口戦略」だ。この戦略が確立すれば、現在の立地市町村も、「原発なきまちづくり」が可能になるだろう。
15.使用済み核燃料の処理問題にどう向きあうべきかは、まず、もんじゅに代わる有害度低減技術開発の具体的な方針を確立すること、次に、原発敷地内に空冷式冷却装置を設置し「オンサイト中聞貯蔵」を行うこと、そして「リアルでポジティブな原発のたたみ方」という選択肢も準備することが重要だと思われる。



yuji5327 at 06:48 

2018年07月24日

メタンハイドレートは、水分子の結晶構造の中にメタン分子が取り込まれた物質で、深海などの低温・高圧下で生成され、「燃える氷」と呼ばれ、日本列島周辺の海底に埋蔵されている。

「大西琢磨著:しんかい6500の世界、學士會会報No.931(2018-)は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.「しんかい」は日本周辺だけでなく世界中の海で、生物、地質、地震、資源などの調査潜航をしている。2011年8月、東日本大震災後、宮城県沖の震源海域に潜った際は、深さ2m、幅1m、長さ80mの亀裂を発見し、周辺で「地震前後で生物学的・地質学的にどんな変化があったか」の調査をした。
2.資源ではメタンハイドレートの調査があります。水分子の結晶構造の中にメタン分子が取り込まれた物質で、深海などの低温・高圧下で生成され、「燃える氷」と呼ばれる。燃やした時の二酸化炭素の量が石油の半分で、クリーンなエネルギー資源である。日本の天然ガス消費量の96年分以上に相当するメタンハイドレートが日本列島周辺の海底に埋蔵されている。
3.最近ではマンガンノジュールの調査も行っている。南鳥島周辺の水深約5000mで、北海道のほぼ半分の面積のマンガンノジュール畑が発見され、しかもコバルトなどのレアメタルの含有量が非常に多い(日本の消費量の1600年分に相当)と判明した。これらの鉱物は海底で採取した後、海上まで引き上げる技術が確立していない。



yuji5327 at 06:33 

2018年06月22日

日本で期待できるのは、HTGRで冷却材が喪失しても炉心溶融が起こらないなど、高い安全性を持ち、発電だけでなく水素製造などの多目的利用が可能である。


「窪田秀雄(テピア総合研究所主席研究員)著:福島後の未来をつくる、エコノミスト、2018.6.26 」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.英国やトルコなど、建設費高騰が原発新設の大きな障害となっている。福島第1原発事故を受け、世界的に安全対策が一段と強化された。原子力産業界が建設費高騰に直面するなかで、工場でシリーズ生産ができ、高い安全性を備えたモジュール式小型炉〔SMR}が原子力産業再生の切り札になる。
2.原子力発電の開発の歴史を見ると、経済性の観点から大型化が進められてきた。建設には計画立案から必要な許認可までに何年もかかる。着工後も作業が順調に進む保証はない。新しい世代の原子炉を採用するとなれば、なおさら時聞がかかる。

3.この4月、中国広東省の台山1号機に採用された世界初となるEPR〔フランス製の加圧水型炉)が中国国家核安全局によって核燃料装荷が許可された。出力は175万kWという大型の原子炉である。この台山1号機も2009年の着工から核燃料装荷まで9年を要した。フィンランドやフランスで建設中のEPRは中国よりさらに遅れている。
4.原発には、規模の経済性は成立せず、kW当たりの単価でも小型炉の方が低いという見方が出てきた。国際原子力機関(IAEA)は、出力が30万kW以下を小型炉、70万kW程度までを中型炉と定義している。現在、小型炉に分類される原発は中国やパキスタンで稼働中だが、これから導入されようとしているのは、コンセプトが全く違い、工場でシリーズ生産し、需要に合わせてモジュールを追加するというSMRが主流である。
5.現場でなく工場でのモジュール製造であれば工期を大幅に短縮できる。さらに、SMRは新しい設計を採用し、人手を介さずに原子炉を冷却できるなど、従来の原予炉より安全性を高めている。発電だけでなく、海水淡水化や熱供給、海上浮動式プラントなど用途も広いが、商業運転実績がない。
6.開発中のSMRのタイプは炉型として大きく四つに分けられ、軽水炉、高速炉、高温ガス炉〔HTGR)、溶融塩炉である。IAEAによると、全部で50種類のSMRが世界中で開発されている。すでに20力国がこの小型炉を含め原発の新規導入に関心を示しているが、大半は途上国で、コストの安いSMRは魅力的である。
7.米、英、カナダでもSMRにかける期待も大きい。米オレゴン州のニュースケール・パワー社は16年12月、米原子力規制委員会〔NRC〕に対してSMRの設計認証を初めて申清した。同社のSMRは電気出力5万kWの一体型PWR(加圧水型原子炉)で、NRCへの申請では、建屋に12基のモジュールを配置し60万kWの発電所を構成する。NRCは今年4月、フェーズ1の審査を完了した。同社は20年までに設計認証を取得することを見込んでいる。
8.英ロールス・ロイス杜は今年2月、英国型SMRの実証モジュール開発で、英国政府が設立した先進的原子力機器製造研究センターと契約を締結した。ロールス・ロイス社はSMRを設計するための国内企業連合を率いており、初期段階の設計原則を確立する計画である。
9.原発の割高感が共通認識になっているカナダでもSMR導人の機運が高まっている。カナダ原子力研究所〔CNL〕は今年4月、SMRの実証炉を建設・運転するプロジェクトの提案を募集すると発表した。26年までに実証炉を建設するという長期戦略で、世界中から提案を募り審査を行う。
10.この3力国以上にSMRの導入に積極的な中国では、10万kWのモジュール2基で構成されるHTGR実証炉が来年にも山東省で運転を開始する。また、PWRダイブのSMRについても中国核工業集団公司、中国広核集団有限公司など複数の国有原子力事業者が電力や熱の供給だけでなく、海上浮動式原子力プラント用に開発を進めている。PWRタイプのSMR実証炉も近く着工の見通しとである。
11.中国は、国産の大型PWR「華龍1号」だけでなく、HTGRとPWRタイブのSMRの輸出も狙っている。SMRに期待が高まっているのは、大型炉の行き詰まりを打破できる可能性が高いからである。SMRを制する者が世界の原子力市場で覇権を握る可能性が高い。
12.日本で期待できるSMRは、日本原子力研究開発機構が開発を進めるHTGRである。HTGRは、冷却材が喪失しても炉心溶融が起こらないなど、高い安全性を持ち、発電だけでなく水素製造などの多目的利用が可能な新世代の原子炉である。
13.ポーランドで、日本原子力研究開発機構の技術で商用炉を建設する話が進んでいるが、ポーランド側の法人の設立が遅れている。海外プロジェクトへの参加は、日本のHTGR技術を存続する方策だが、他力本願ではどう転ぶか分からない。福島事故を乗り越え、次の世代に安全な原子力技術を継承するためにも日本国内にHTGR実証炉を作ることを考えるべきである。




yuji5327 at 06:36 

2018年06月06日

水に太陽光を当てるだけでは何も起きない。触媒が必要で、その役割を果たすのが酸化チタン。触媒を混ぜた水に光を当てと水素と酸素が作られる。


「清水孝太郎(三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員)著:化石燃料を用いず水素を生産、人工光合成研究は日本が突出、エコノミスト、2018.6.5」は参考になる。印象に残った部分の概要を自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.人工光合成は、植物の働きにならい、太陽光エネルギーから燃料を生産したり、工業原料を生産する技術である。‖斥杆で水に化学反応を起こし、水素を生産、∪源困気譴真總任函大気中にある二酸化炭素を反応させて有機物を生産、という2段階からなる。
2.第1段階の水素の生産では、水に太陽光を当てるだけでは何も起きない。反応を促進するための触媒が必要となる。触媒の役割を果たす代表的な物質が酸化チタンである。触媒を混ぜた水に光を当てることで、化学反応が起きて水素と酸素が作られる。
3.触媒を混ぜた水溶液に太陽光を当てる、触媒を塗布したシートや基板を水中に沈めて上から太陽光を照射する。水の中から水素と酸素の気泡が上がってくる。光を当てることによって水を分解したり、殺菌作用などの機能を示す物質を「光触媒」という。光触媒は1970年代に日本人研究者が発見した。
4.光触媒は、水素の生産性、太陽光エネルギーからの変換効率、耐用時間、生産プロセスの簡便さなどが課題であった。水素量産用ではなく、酸化還元作用を生かして、消臭や殺菌などに用いられることが多かった。トイレなどの衛生陶器に光触媒を混ぜた薬剤を塗布して抗菌作用を持たせるといった事例である。この作用には水分子の分解は関係しない。
5.水素を燃料として発.電する「燃料電池」が注目されると、光触媒は化石燃料を用いずに水素を生産できる技術として注目される。技術開発では、光触媒に使う物質がカギとなる。従来主に使われているのは酸化チタンだが、他の物質の効能が研究されている。たとえば、エネルギー変換効率を高めるには、太陽光のうち、より弱い光もエネルギーとして取り入れる必要がある。
6.酸化チタンは紫外線でしか作用しない。紫外線は太陽光の中で強い光だが割合が小さい。そこで紫外線の次に強い可視光を取り入れる物質の研究が進められており、その他のチタン化合物、ビスマスを用いるものや白金族元素ロジウムを用いるものが注目されている。従来の光触媒に、これらの物質を滉ぜて使うことで変換効率が高まることが期待される。
7.光触媒は、何時間か水素を生産すると劣化して、処理能力が落ちる。光触媒に自己再生機能を付与して劣化を極力抑制する研究も進む。これらの研究で、光触媒の処理能力が高まれば、より少ない光触媒で水素をより大量に生産できる。
8.人工光合成の実現に向けた光触媒の研究は、例えば経済産業省とNEDOの事業では、人工光合成化学プロセス技術研究組合〔ARPChem)が研究開発を進めている。同組合では、従来20時間程度に過ぎなかった光触媒の寿命が1100時閲以上へと改善されたほか、2018年には太陽光エネルギーからの変.換効率を10%程度〔従来は数%程度)まで高めることに成功している。同組合には、国際石油開発帝石、TOTO、ファインセラミックスセンター、富士フイルム、三井化学、三菱ケミカルが参画している。


yuji5327 at 06:41 

2018年06月05日

高性能な光触媒が登場しつつあることで、再生可能エネルギーによる水素供給の可能性が見えてきた。


「清水孝太郎(三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員)著:化石燃料用いず水素を生産、人工光合成研究は日本が突出、エコノミスト、2018.6.5」は参考になる。印象に残った部分の概要の続きを自分なりに補足して纏めると以下のようになる。
1.水素は、自然界でそのまま産出することはないため、事実上の化.右燃料である天然ガスを分解して得るか、化石燃料や原子力などから得られた電力で水を電気分解するぐらいしか方策がない。高性能な光触媒が登場しつつあることで、再生可能エネルギーによる水素供給にも大きな可能性が見えてきた。
2.人工光合成の2段階目は、光触媒で得られた水素と、工場などで発生する二酸化炭素を原料として、樹脂の原料を合成するものである。この取り組みは、二.酸化炭素の吸収源対策にも通じることから、地球温暖化対策の一つとしても期待されている。
3.水素と二酸化炭素を合成させる手法は、電圧をかけて化学反応を起こす「電気合成」や、酵素などを触媒に用いるものなど多様だが、いずれも小規模実験のレベルだが、期待の持てる研究も進んでいる。
4.12年に経済産業省が開始した先述の「人工光合成」プロジェクトは、ARPChemが21年度まで政府研究開発プロジェクトとして進める。このプロジェクトでは、光触媒で塗産された水素と二酸化炭素とを反応させ、樹脂原料となるエチレンC2H4〕、プロピレン〔C3H6〕、プテン(C4H8)などのオレフィン(不飽和炭化水素)の合成を目指している。
5.実現すれば、これまで排出抑制の対象とされてきた発電所や工場などから発隼する二酸化炭素を、樹脂原料に利用することが可能になる。現在、日本は、ナフサやシェールガスといった樹脂原料は海外からの輸入に頼らざるを得ないが、輸入に依存することも少なくなる。
6.人工光合成の研究は、日本が世界で突出している。草分けはトヨタグループの豊田中央研究所である。11年、可視光の太陽光エネルギーを利用しながら、水中で二酸化炭素を有機物(蟻酸、CH2O2)、に変換する技術を開発した。蟻酸は水素貯蔵材料として持ち運びも可能だ。その蟻酸を、水と二.酸化炭素を基.に生産できる技術原理を明らかにしたことは意義深い。
7.パナソニックは13年、太陽光エネルギーを利用して二酸化炭素と水から蟻酸、また都市ガスの主成分であるメタン〔CH4〕を合成する技術を公開した。昭和シェル石油も二.酸化炭素からメタンやエチレンの合成に成功した。東芝は 二酸化炭素からペットポトルなどの.原料となるエチレングリコール〔C2H6O2〕の生成を試みている。
8.戸建て分譲住宅販売の飯田グループホールディングスは、大阪市立大学と連携しながら、二.酸化炭素を消費して水素燃料を生み出すという「1Gパーフェクトエコハウス」構想の実現を目指している。人工光合成で得られた蟻酸を基に水素を発生させ、これを燃料電池に通せば、家庭で必要な電力をまかなうことができる。
9.人工光合成は、地球温暖化対策として、また自国における資源開発プロジェクトとして大いに期待される。現在の光触媒には、エネルギー変換効率や耐久時間では課題があるものの、実現すれば究極の「無炭素社会」を体規するキーテクノロジーとなるだろう。


yuji5327 at 06:38 

2018年05月26日

世界的に風力発電と太陽光発電の過剰の発電エネルギーを電池に蓄える方法など模索されているが、可能性が高いのは、水素に変換する方法で、ドイツで実験が進んでいる。

「2018/5/25付けの 大前研一氏の ニュースの視点(発行部数 167,783部)は「太陽光発電/温暖化対策/海運排ガス規制/富山空港/国内タクシー業界」と題する記事である。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.日経新聞は6日、『家庭の太陽光に「19年問題」』と題する記事を掲載した。固定価格による買取制度の期限が2019年から切れ始め、23年までに160万世帯が発電する大量の電力が買い手を失う恐れがある。一方、先行するドイツをモデルケースとして一般家庭が近所で電力を融通し合う仕組みや、電力を蓄電池に貯め夜間に使用する変換システムを開発する企業も出始めている。
2.東日本大震災の後、当時の民主党政権下で経済産業省が再生可能エネルギーを重視する政策の一環として、高い固定価格での電力会社の買い取りの義務化を決定した。固定価格の買取制度の期限が切れてしまうと、現時点において太陽光発電はその他のエネルギーとまともに競争できるレベルではない。
3.世界的に見ても風力発電と太陽光発電によって過剰に発電されたエネルギーを、どのように処理するかが大きな課題になっている。電池に蓄える方法など様々な方法が模索されているが、今のところ、決定打ともいえる方法は見つかっていない。最も可能性が高いと思われるのは、水素エネルギーに変換するという方法で、ドイツでは一部実験が進んでいる。
4.日本の場合には、その場しのぎで制定した制度のために、ここに来て突如として問題を突きつけられる羽目に陥っている。
5.米カリフォルニア州は9日、2020年1月から州内の新築一戸建て住宅に太陽光パネル設置を義務付ける方針を決定した。カリフォルニア州は温室効果ガスの排出量を2030年までに1990年に比べて40%削減する目標を掲げており、今回の取り組みもその一環である。ブラウン知事の最後の置土産である。太陽光システムを開発している企業や太陽光パネルを作っている企業など、大いに追い風になる。
6.日経新聞は11日、『海運悩ます「2020年問題」』と題する記事を掲載した。国際海事機関(IMO)は2020年1月から、船の排ガス規制を大幅に強化する見通しである。海運業者は従来の安価な「C重油」を使いながら排ガスを浄化する戦略を描く一方、石油元売り側はC重油の生産を抑えたい考えで、規制発効まで2年を切るなか、日本の貿易を支える海運の主燃料が不足する事態が現実味を帯びている。
7.この問題は非常に難しい問題で、直間に合わない。日本では帆船のようなものを利用しつつ、全体のエネルギー量を減らす方法などを試しているが、決定的な打開策は見つかっていない。
8.高価な油を買えば問題は解決するが、大型船は「大きなディーゼルエンジン+C重油」に依存してきたために、簡単に切り替えるわけにはいかない。ペナルティーを支払うしか道は残されていない。
9.富山県や全日本空輸、富山県内の商工会議所などで作る「富山空港を発展させる会」は2日から、富山空港発着の羽田便の利用促進キャンペーンを開始した。富山空港内に置かれた応募ボックスに氏名などを記入した応募用紙を投函した利用者に、抽選で1万円相当の富山の産品を選べるギフトカード、スズ製ぐい飲みや地酒などの名産品、空港内テナントの利用券をプレゼントする。これは無駄な抵抗である。
10.東京駅から富山駅へのアクセス状況は、上越新幹線+特急はくたかで3時間27分、富山空港を使うと飛行機+バスで2時間38分だった。北陸新幹線が登場し、2時間7分で到着する状況になっている。
11.信越新幹線によって新潟の羽田便がなくなったように、新幹線が2時間半を切ってくると飛行機は非常に厳しい状況になる。同じ北陸でも金沢の場合には、北陸新幹線で東京から2時間28分で到着することになるが、小松空港が市内から離れたところにあるため、一定の需要が残る可能性がある。残念ながら富山空港の場合には、結論は出ている。10万円を支払うキャンペーンなどをやったところで、焼け石に水である。
12.日経新聞は7日、『配車レース、首都決戦』と題する記事を掲載した。スマホアプリを利用したタクシー配車事業で日本勢と海外勢の競争が過熱してきた。第一交通がウーバー、滴滴出行との連携に前向きな一方、日本交通は国産アプリにこだわり、トヨタ自動車やKDDIなどとの協力に活路を見出す取り組みを進めている。残りのタクシー会社がどの陣営に加わるか、水面下で交渉が繰り広げられそうである。
13.滴滴出行と提携に前向きとされる第一交通は北九州にある会社で、なかなか面白い会社である。東京で作ったSuicaでも、福岡の交通系サービスとして第一交通だけは決済手段として利用することができる。日本交通は、国内の2.4万台のタクシーと共同して「全国タクシー」アプリを展開している。その他、国際自動車などはソニーと連携しサービスを展開することを発表している。
14.将来的には、2つのグループで競争する形式が望ましい。1つは、滴滴出行などインバウンドの中国系サービスを利用していくもの。もう一つは、全国タクシーである。個人的には日本交通のみのサービスだった頃のほうが、特に東京在住の人間にとっては、予約方法など使いやすかった。
15.広告費でタクシー運賃をまかなうという。サービスを展開する面白い企業が福岡にある。このビジネスモデルのオリジナルは、LCCのライアンエアーである。2時間以上のフライトならギャンブルに参加することを条件に、飛行機の運賃を無料にするサービスなどを展開していたが、下火になってしまった。
16.コンセプトが広告モデルだから、タクシーの場合も現実的にギャップがある。コンセプトは非常に面白いが、タクシーに乗車している間、ずっと広告を見続けるというのは現実味がない。現時点では、やはり現状の配車サービスの延長上で考えざるを得ない。
17.自動車業界の一部でいまだに「買いたくなる車を作る」「FUN TO DRIVE」などと言われることがあるが、自動車業界の問題を理解していない。時代の流れを考えれば、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)が主流であり、この流れに逆らうことは無理である。この点から配車サービスの今後の展開に注目したい。



yuji5327 at 06:42 

2018年04月18日

再エネの発電比率目標をドイツが30年に50%以上、フランスは30年に40%、英国は20年に31%としているが、日本は30年に22〜24%と低い。

「横山渉(ジャーナリスト)著:再生エネルギーで出遅れる日本、原子力へのこだわりが障害に、エコノミスト、
2018.3.20」は参考になる。概要を自分なりに纏めると以下のようになる。
1.世界各国が、2015年の「パリ協定」合意を受け、太陽光.や風力など再生可能エネルギー(再エネ)の開発に力を入れている。再エネのコストが大幅に下がり、経済的にも導人するメリットが高まっている。「原子カ」にこだわる日本は、世界の潮流から取り残されてきた。
2.2040年には総発電量に占める再エネの割合は40%に達すると、国際エネルギー機関〔IEA〕は昨年11月に公表した。さまざまなシナリオに基づき40年までの世界のエネルギー需要・供給を予測したもので、発電の主役は石炭から再エネに一変する。
3.太陽光発電は中国とインドが導人することで、再エネの中で最大の資源になる。欧州では30年代初頭に風力が最大のエネルギー源になる。その理由は「パリ協定」だけではなく、技術革新によるコストの低下である。
4.独フラウンホーファー研究機構によると、太陽光の1kWh当たりの発電コストは15年に9セント、新型の石炭火力は5〜10セント、原子力は11セントである。再工ネの採用は、地球環境の問題ではなく、経済合理性の問題となった。
5.IEAも、太陽光.が40年までに多くの国や地域で最も低コストのエネルギー源になるとしている。エネルギーの将来像を調査・研究しているシンクタンク、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの黒崎美穂氏は、中国とインドも現在は.石炭が一番安いが、20年には太陽光と風力の方が安くなる。日本では25年ごろ、石炭より安くなる、と話した。
6.これは新規で建設した場合のコスト比較だが、既存の発電設備をやめて再生可能エネルギーに概き換えた場合の経済性は、中国では30年くらいに帳換点が訪れる。稼働中の石炭火力をやめて再エネにリプレースしても採算が取れる。アメリカでもそうなる、と強調している。
7.日本では、再エネへの転換は遅々として進まない。それは、日本政府と大手電力会社の、原子力へのこだわり、があるからである。パリ協定の合意を受け、世界各国は脱炭素を再エネ導入で実現しようとしたのに対し、日本政府と電力会社は脱炭素を原発再稼働で推進しようとしたが、世論の反対で原発再稼働の見通しがつかないために、.石炭火力発電の新増設を打ち出した。
8.政府や電力会社は、日本の石炭火力発電は高効率で「従来型よリベター」と説明するが、どんなに効率化してもLNG発電などのCO2排出量には遠く及ばない。独ボンで開かれたCOP23では、日本の石炭火力拡大が参加国から大きな非難を浴びた。日本のこうした姿勢は、再エネの普及率に如実に表れている。資源エネルギー庁によれば、日本での発電電力量に占める再エネ比率は15.3%〔16年)、で水力を除くとわずか7.8%にすぎない。ドイツは30.7%、イギリスは25.9%、スペインの35.3%に対して大きく遅れている。
9.政府や電力会社は、再エネの欠点として“電コストが高い、⊇侘呂不安定、A電網への負荷が大きい、を挙げるが、,蓮∈謄┘佑慮把蟆然頁磴ぜ茲蠕度〔FIT〕により市場原理が働かないためで、FITをやめ競争を促せば、技術革新と経営の効率化で簡単に克服が可能である。
10.◆↓について、再エネの発電比率は30%でも問題ないことが世界的に実証されつつある。2割、3割はあたりまえで、今後、4〜5割にするのがテーマになっている。
11.日本の総発電量は、スペイン、ポルトガル、フランス、イタリアの4力国を合わせたものと同じであるが、電力エリアが10個に分断されて相互に融通しづらいのが欠点で、その仕組みを変えれば対応可能である。
12.不安定な太陽光や風力の欠点を補うのがスマートグリッドやIOE〔エネルギーのインターネット)などの新技術である。AIで大量の気象予測と電力需給データを集め、各月・各地ごとの電力需.要も予測でき、大きなインフラ整備にもつながり、新しいビジネスを生む。世界のスマートグリッド関連市場は20年には7兆9200億円(矢野経済研究所)。
13.電力会杜の動きは鈍く、大手電力10社の今年1月基幹送電線利用率が平均で19.4%にとどまる。大手電力はこれまで、空き容量ゼロを口実に自社の送竃網への再エネ接続を拒否してきたことで、ウソが明るみに出た。
14.ある電力会社は、送電線の空き容量は、火力や原子力など将来の需要を考慮して計算している、と回答しているが、これは、言い換えれば、原発再稼働のために送竃網を空けてある、ということである。
15.資源エネルギー庁発表資料によれば、再エネの発電比率目標をドイツが30年に50%以上、フランスは30年に40%、英国は20年に31%としているのに対し、日本は30年に22〜24%と低い。電気自動車などを含めたライフスタイルを変える社会インフラという大きな視点で見ないと、エネルギー転換の動きは読めない。もし、再エネ導入と技術開発を進めなければ、日本は完全に乗り遅れる。
16.独ボンのCOP23ではパリ協定脱退を表明している米国から、カリフォルニア州のブラウン知事やコカコーラ、マイクロソフト、アップル、DHLなど2500を超える企業や自治体が参加した。COP23には政府関係著以外に、各国の投資家たちも大勢集まり、新しい投資先を探していた。世界中の巨大マネーが「脱炭素化」へかじを切るなか、経済合理性や金融市場の動向に背を向け、原子力にこだわる日本のエネルギー政策の未来は暗い。



yuji5327 at 06:51 
池上技術士事務所の紹介
261-0012
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磯辺6丁目1-8-204

池上技術士事務所(代表:池上雄二)の事業内容
以下のテーマの技術コンサルタント
1.公害問題、生活環境、地球環境
2.省エネ・新エネ機器導入
のテーマについて、
・技術コンサルタント
・調査報告書の作成
・アンケート調査・分析
・技術翻訳、特許調査
を承ります。
有償、無償を問わず
お気軽に下記にメールをください。
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工学博士、技術士(応用理学)、
公害防止主任管理者、
騒音防止管理者の資格で
お役に立ちたいと思います。

池上湖心 プロフィール
○略歴
大東文化大卒、
在学中 上條信山に師事
書象会に所属、書象会理事
審査会々員
○作品展の開催
・主宰している「さざ波会」
 作品展を毎年8月開催
(於:稲毛ギャラリー)
・土曜会(グループ展)
 作品展を毎年10月開催
(於:銀座大黒屋)
○公募展の受賞、入選
・日展入選
・読売書法展(現在理事)
 読売奨励賞
 読売新聞社賞
・謙慎展(現在理事)
 春興賞の受賞:2回
○書道教室
・学生:月曜日
・一般:火曜日、水曜日





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